習国家主席が31日、新年に当たり恒例の演説をした。「自力更生」という毛沢東の使った言葉で、国民に団結を呼びかけた。米中貿易戦争がもたらした経済悪化と、技術窃取が不可能ゆえに、「真面目に頑張ろう」という意味であろう。100年に一度の変化は、中国が先進国から包囲されたという自覚の表明である。すべて、習氏の独断が招いた災難である。
『ブルームバーグ』(1月1日付)は、「中国の習主席 自力更生を強調 100年に一度の大きな変化ー演説」と題する記事を掲載した。
(1)「中国の習近平国家主席は新年の演説で、『100年に一度の大きな変化』の中、中国には自力更生が必要だと強調した。中国は景気減速やトランプ米政権との対立激化に直面してきた。習主席は毎年大みそかに行う演説で、産業、技術面で2018年に達成した一連の功績を挙げ、中国には困難を乗り越えるだけの能力があると述べた」
100年に一度の大きな変化を招いた責任は、習近平氏にある。狭い視野で、「米国への徹底抗戦」などと言い出した代価が、現在の窮状を招いた。問題は、この危機を乗り越えられるかである。内にはバブル経済の崩壊。外では先進国との安保をめぐる敵対関係の醸成もからみ、米中貿易戦争は最悪事態で起っている。
100年に一度の危機論を言い出した背景には、米中貿易戦争を終了させるべく「全面降伏」を示唆しているのか。国内向けの言い訳として、「100年に一度」という言葉を利用する魂胆かもしれない。
(2)「また、経済成長の急減速を回避し、『企業にかかる負担軽減」を目指した取り組みの一環として減税を実施すると表明した。習氏は「あらゆるリスクや課題が存在している中で、中国は質の高い発展を目指して経済を推進し、成長のけん引役の交代を加速させると同時に、主要な経済指標を合理的なレンジ内に維持してきた」と述べた」
年末に発表された国家統計局による製造業PMI(購買担当者景気指数)は、12月が49.4と、2016年初め以来の低水準を記録し50を割り込んだ。PMIは50を上回ると活動の拡大を表し、50を下回ると縮小を示す。中国経済が「真冬」に入っていることを示したもの。
製造業PMIを構成する指数のうち、将来の需要動向を示唆する新規輸出受注も46.6と、11月の47から低下した。輸出は大きく落込む見込みで、新年の貿易収支の黒字は大幅に減り、経常収支は赤字に転落することは必至であろう。まさに、「100年に一度」の事態が襲ってくる。「一帯一路」で援助する資金的な余裕もなくなるはずだ。習氏は、自らの誤算による窮迫状況を他に転嫁もできず、自らを恨むほかない。
まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。
https://www.mag2.com/p/money/612755
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