自衛隊が、今年10月に予定している観艦式で、中国はすでに招待されている。一方、レーダー照射問題で対立する韓国への招待状がまだ送られていないと、中韓で話題になっている。
日本は、昨年10月の韓国主宰の国際観艦式で参加の条件に、「旭日旗」の不掲揚を求められるという屈辱を味わされた。旭日旗は、自衛隊旗であり国際的に承認されている。韓国国防部は、旭日旗が「戦犯旗」として騒ぎ立てる一部メディアに流され、旭日旗の不掲揚という考えられない要求を突付けた。結局、日本は参加を見送った。
その後の日韓をめぐる問題を考えれば、韓国軍艦を招待すべきでなかろう。日本としては、宥和精神で招待論も出るであろうが、これは長い目でみて良い結果を生まない。これまで日本は、「まあまあ主義」「事なかれ主義」で、韓国の要求をほぼ飲んできた。そういう甘さが、韓国を増長させている。今回は、ピシッと線引きして招待を見送ることが、反省を求める機会になろう。
『レコードチャイナ』(2月26日付)は、「自衛隊観艦式に中国を招待、韓国はまだ招待されず、『海自と韓国海軍の関係はすでに崩壊状態』と中国メディア」と題する記事を掲載した。
中国メディア『観察者網』(2月25日付)は、自衛隊が今年10月に予定している観艦式で中国がすでに招待された一方で、レーダー照射問題で対立する韓国はまだ招待されていないと報じた。
(1)「記事は、『日中両国関係の回復に伴い、中国海軍と海上自衛隊の雪解け、交流回復が進む一方で、レーダー照射問題を理由に海上自衛隊と韓国海軍の関係はすでに崩壊状態にあると言える』と伝えた。そのうえで、日本の複数メディアが25日に、『防衛省が多くの国を招待して今年10月に行う予定の自衛隊観艦式で、韓国が招待国リストに入っていないことが政府関係者の話から明らかになった』と報じたことを紹介。観艦式は海上自衛隊にとって最大規模のイベントで3年に1度開催され、首相が現場で艦隊を観閲するとしたほか、防衛省がすでに米国、オーストラリア、インド、シンガポールに加えて中国にもすでに招待を出していると伝えた。中国の参加が実現すれば、海上自衛隊の観艦式への参加は初めてとなる」
(2)「記事は一方で、現時点で韓国に招待を出していないことについて、韓国に対し強硬的な立場を見せる自民党議員が、『レーダー照射問題を棚上げにして韓国海軍を呼べば、誤ったメッセージと受け取られかねない。韓国が謝らないのなら、招待すべきでない』と発言したことを伝えた。また、岩屋毅防衛相がこの件について『すでに招待しないことを決定したというのは事実とは異なる。各種の状況を総合的に考えて適切に判断する』とコメントしたことを紹介したうえで、『観艦式まで半年以上ある中で、方針転換の余地を残したことは妥当といえる。ただ、レーダー照射問題を契機に、日韓両国の防衛関係悪化がかなり長い時間続くことは間違いなさそうだ』と評している」
韓国としては、参加しにくい雰囲気であろう。レーダー照射問題で、あれだけ日本を非難攻撃した手前、参加を遠慮すべきだ。韓国は、友邦国に対しあたかも仇敵に対するように、罵詈雑言を発した。そういう礼儀を忘れた軍隊とは、冷却期間を置くべきだろう。
韓国が、中国を恐れているのはその苛烈な報復主義にある。日本は、報復することなくすべてを受入れる包容主義できた。この差が、韓国の日中に対する差別的な対応を生んでいる。国家間でも「もたれ合い」は精算することだ。不条理な要求を突付ける場合は、それなりの厳しい対応をすべきである。日韓関係は、過去のもたれ合いを精算して、中国のように「ドライ」な対応に立ち戻る時期である。