勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年03月

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    中国のハイテク企業は、めざましい業績を上げて注目されてきた。だが、昨年秋頃から幹部社員の整理が報じられるようになって注目されている。中国経済の減速が背景にあるのだ。この中年社員受難は突然、始まったことでなくこれまでもあったのだ。ロイターの報道で明らかにされた。

     

    『ロイター』(3月25日付け)は、「中国テク企業が『新陳代謝』、憂き目にあう中年社員」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の大手テクノロジー企業は、活力にあふれた若者への求人を強化している。ベテランのマネジャーたちがその犠牲になる場合もある。テクノロジー各社は、年長の従業員の一部が懸念している動きについて、年齢に基づく差別によるものではないと否定する。多くの国では年齢に基づく露骨な差別は禁止されているが、中国では違法ではない。中国テクノロジー企業の『若者優先』は有名だ。理由の一端は、いわゆる「996」、つまり午前9時から午後9時まで、週6日間働くことが求められる厳しい労働条件にある」

     

    中国の雇用条件では、年齢に基づく差別は違法でないという。儒教社会の「長幼の序」を重んじる社会では、考えられないことが起っている。ただ、人権蹂躙が公然と行なわれている国だから、こういう「年齢による差別」は当然かも知れない。これは、中国特有の「権力を握った者は何でも可能」という風潮の反映かも知れない。いずれにしても、中国企業に勤務するには、「若い時代だけ」という限定がつく。これでは、技術の伝承など不可能だろう。技術窃取もこういう背景で行なわれているのだろう。はた迷惑なことだ。

     

    いわゆる「996」、つまり午前9時から午後9時まで、週6日間働くことが求められる厳しい労働条件も問題である。こういう違法就業が放置されている。中国雇用の前近代性を示している。

     


    (2)「中国のインターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)は21日、マネジャー層の10%を入れ替える計画があることを認めた。「マネジャークラスの年長メンバーの一部には、現在の地位から退いてもらう」と同社のマーティン・ラウ社長は語った。「そのポストを引き継ぐのは、もっと若い人材、より情熱的と思われる、新たな仲間たちだ」 。この再編についてさらに詳しい説明を求められたテンセントは、同社の雇用慣行が法令を遵守しているとする年次報告書の記述に触れ、「ジェンダー、民族、人種、障害、年齢、信仰、性的志向や婚姻状態に基づく差別は行っていない」としている。

     

    テンセントの雇用慣行は、法令を遵守しているとする年次報告書に、「ジェンダー、民族、人種、障害、年齢、信仰、性的志向や婚姻状態に基づく差別は行っていない」としている。現実には、年齢を条件に差別し解雇している。米国であれば、企業が訴えられて敗訴は確実である。中国では、放置されているから堂々と「年齢差別」が行なわれている。

     

    (3)「若手をマネジャーに登用しようという動きは、1つには、中国で新世代のインターネット企業が台頭していることを意識したものだとアナリストは指摘する。たとえば拼多多(ピンドゥドゥ)や北京字節跳動科技(バイトダンス)といった企業の経営陣の主力は、1980年代90年代生まれの起業家だ。『米国や欧州では、企業が1年おきに構造改革を実施するという例はめったにない。だが中国では、それが当たり前だ。中心的な経営陣でさえ、非常に短期間のうちに入れ替わる可能性がある』と指摘されている」

     


    IT企業家が、「80後」や「90後」であることに注目したい。一人っ子世代で甘やかされて育てられた「小皇帝」である。他人の痛みなど知る由もない世代だ。こういう世代が、たまたま、中国の不動産バブルの波に乗って起業に成功したに過ぎない面もあろう。これからの「中国経済冬の時代」に生き残れるか、保証の限りではない。今後が、見物である。

     

    ファーウェイ(華為技術)の雇用契約は数年という。凄い「年齢搾取」企業である。中国の少子高齢化は、日本以上のスピードで進む。いずれ若者が減ってくる。その時は、ファーウェイの成長も止む時で
    もある。長期的な視点での人材育成を考えない。そういう刹那主義が、中国の特色である。


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    日産・ルノー連合は3月27日、誕生から20年を迎えた。この間、経営危機に見舞われた三菱自動車も連合に加わって3社連合へと発展した。だが、3社が連合を組んだだけであり、これまでは統合の準備段階と言える。いよいよ「統合」という段階で、「ゴーン事件」が持ち上がった。

     

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、3月29日付け「ゴーン失墜の内幕、日産幹部が恐れた仏支配」、3月30日付け「日産・ルノー・三菱連合、統合か資本関係見直しを」を報じた。ゴーン氏の「犯罪」という視点を超えて、「3社連合」がどこへ向かうのか。WSJの取材陣が捉える視点を紹介したい。

     

    (1)「ルノーと日産自動車のトップは131日、アムステルダムで会談した。定例の取締役会の後に行われた夕食会は、2人がお互いをよりよく知るための機会となった。日産自動車のCEO西川広人は、まるで余談のように「爆弾」を投下した。西川は次のように語った。日産幹部の一部が、ある目的を持ってゴーンに不利な証拠を集め、日本の当局に提供したと自分は認識している。彼らは日産とルノーの全面的な経営統合をゴーンが推進しているのではないかと恐れ、その可能性をつぶしたいと考えていた。日産内部の反乱者たちは、自分たちの日本企業がフランスの支配下に入ることを恐れた――

     

    日産は、フランスの支配下に入ることを最も恐れた。これが、今回の事件の発端である。

     

    (2)「日産の内部調査に詳しい人々や各種資料によれば、経営統合のこれ以上の進展を阻止しようと決意した日産の幹部2人が調査を主導、以前からうわさされていたゴーンの不正行為を調べ、検察当局に提出できる金融犯罪の証拠を見つけたという。2人の考えをよく知る人々によると、主要な動機は日産を守ることだった。それは世界の国々が依然、国を代表する企業を保護している現実を反映しているかのようだった。資料によれば、2人が調査を始めたのは2018年4月。同じ月には、ルノー株の15%を握る仏政府がルノーと日産の統合を望む理由を説明している」

     

    仏政府が、ルノーと日産統合を望む理由を説明したのは昨年4月。日産側がゴーン氏の不正調査を始めたのも昨年4月である。

     

    (3)「ゴーンの追い落としを計画した日産幹部らが期待していた通りに、経営統合の協議は振り出しに戻った。ゴーンの弁護士である弘中惇一郎は、こうした日産側の動機を弁護の材料にしたいと考えている。日産幹部は経営戦略上の問題を理由に行動したのであり、それは刑事事件にふさわしくないと弘中は指摘する。日産側は、内部告発者の意図は関係ないと考えている。同社の広報担当者ニコラス・マックスフィールドは、社内調査で『明らかに倫理にもとる行為の十分な証拠』が明らかになったと述べた」

     

    ゴーン裁判では、不正調査の動機が検察と弁護側で争われるだろう。

     

    (4)「仏政府は、ルノーに取締役として送り込んだマルタン・ビアルを通じ、より直接的に関与するようになった。マレーシア出身で日産に長く勤めるCEOオフィス担当の専務執行役員ハリ・ナダは、423日にビアルと面会し、自身としてはありがたくない統合への圧力を受けた。これはナダがゴーンに出した会合の報告書によって明らかになった。この報告書によると、ビアルは統合の利点についての書簡を送ってきていたが、それは『日産の株主の主張や視点に対応したものではなかった』と。

     

    仏政府側の統合案は、日産株主の利益を害するものだった。

     

    (5)「ナダはビアルに日産の要求を伝えた。それは、ルノーが日産への出資比率を引き下げるとともに日産の支配権を求めないことを約束すること、そして仏政府が撤退することだった。ビアルは『犠牲が多すぎる』として、この要求を却下したと報告書には記されている。この争いに、日産の渉外担当責任者を務める川口均が加わった。報告書によると、川口は経済産業省の関係者と頻繁に連絡を取り、『日産の後ろ盾となる』よう要請した。経産省は仏政府宛ての覚書の草案を作成し、ナダの要求を事実上盛り込んだ。それは基本的に、フランスが日産の独立性を尊重すると約束すること、いかなるやりとりも日本政府を通じて行うことを求めるものだった

     

    日産は、ルノーへ逆提案し仏政府の撤退を求める大胆なものだった。同時に経産省へも連絡を取り始めた。経産省は、早手回しに覚書の草案をつくるまでになった。

     


    (6)「日産とルノーは3月27日、それぞれ異なるメッセージで20周年を迎えた。日本からは、日産がカルロス・ゴーン被告指揮下の権力集中を痛烈に批判するガバナンス(企業統治)報告書を公表。欧州からは、英紙『フィナンシャル・タイムズ』(FT)が、ルノーは向こう1年に日産との経営統合交渉再開を望んでいると報じた。仮にフランスの意向が通れば、ルノーと日産は株式資本をアライアンス経営陣が拠点を置くオランダに集約することになる。それぞれが独立して事業運営を行う自動車メーカーとして残るが、単一の財務、株価となることで、一段のコスト削減が可能になる。ルノーは議決権を有する日産の株式43%を保有する一方、日産が保有するルノー株15%には議決権がない」

     

    ルノーは統合を諦めていない。日産は出資比率の不平等是正を求めている。統合すれば、日産の名前は残っても、実態が外資系企業になる。日本政府と日本人がどう反応するか。

     

    (7)「主要パートナーの思惑が食い違う中、近い将来に事態が進展する見込みは薄い。日産が重要問題を検討するため、新たな取締役を指名するのにさえ、さらに3カ月はかかるだろう。投資家は秋に、変更に関する一段と信頼できる兆候が必要になる。現在のアライアンス形態は、資本を縛る一方で、高い利益率を実現できるほど踏み込んでおらず、双方にとってほぼ間違いなく最悪と言えるだろう

     

    日産が、グローバル企業として発展するにはどうするか。この回答が、日産独自で用意できれば、その道を進めば良いだろう。


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    中国人は、平気で悪態をつくから驚く。ファーウェイ(華為技術)の輪番制会長の一人が米政府を非難してこう言ったのだ。「米政府の態度は負け犬のようだ。我々とまともに競合できないから、ファーウェイを中傷している」。ビジネスマンが、こういう悪口雑言を言うべきでない。必ず、後から仇を討たれるからだ。この点で、韓国人と中国人はよく似た存在だ。

     

    米国政府は、ファーウェイ製品がスパイ活動に悪用されると警戒を呼びかけている。日本では、政府が「5G」でファーウェイ製品について導入に否定的態度を取った途端に、プロバイダーがファーウェイ製品の引き上げをユーザーに連絡するほど敏感に反応する。こういう状況で、あえて米国に悪態をついてもファーウェイ製品の売り上げにプラスはないことを知るべきだろう。

     

    『日本経済新聞』(3月30日付け)は、「ファーウェイ、2位転落、米の排除響く」と題する記事を掲載した。

     

    2018年の携帯通信インフラの世界シェアで中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が2位に順位を落とし、スウェーデンのエリクソンが2年ぶりに首位を奪還したことがわかった。次世代通信規格「5G」に限ると、ファーウェイは4位だった。トランプ米政権によるファーウェイ製品の排除が通信インフラ市場の勢力図にも影響を及ぼし始めた。

     


    (1)「英調査会社IHSマークイットがまとめた18年の基地局などの売上高シェアで、エリクソンが29.0%17年比2.4ポイント上昇する一方、ファーウェイは26.0%と同1.9ポイント低下した。ファーウェイのシェア低下について、IHSマークイットは「貿易戦争の影響で一部新規購入を控えた国があった」と分析する。現行の「4G」から5Gへの移行期という要因も重なり、世界全体の市場規模は305億ドル(約34千億円)と17年比18%縮小した

     

    ファーウェイ製品の基地局売上高シェアが低下した。18年は2位で、前年の1位から後退したもの。世界の覇権国である米国が、名指しでファーウェイを非難している以上、後に問題が発覚した際に、担当者は責任を問われかねないのだ。そんな、危ない橋を渡る人が減ってきた証拠であろう。

     

    (2)「地域別にみると、北米ではエリクソンが68%と圧倒的なシェアを占める半面、ファーウェイは6%にとどまった。一方、ファーウェイは欧州・中東・アフリカで40%、アジア太平洋で30%と、17年よりそれぞれ2ポイントシェアを拡大した。『ファーウェイは(米国による排除活動の)影響のない地域で販売を強化したため、シェアの下落は小幅にとどまった』(IHSマークイット)。5G通信機器の推定出荷台数シェアでは、エリクソンが24%でトップ。サムスン電子(21%)、ノキア(20%)が続き、ファーウェイ(17%)は4位だった。ファーウェイは5G関連の特許出願件数では先行したが、米国が5Gを標的にファーウェイを排除したことがビジネスに影響を及ぼしているとみられる」

     

    5G通信機器の推定出荷台数シェアでは、エリクソンが24%でトップ。サムスン電子(21%)、ノキア(20%)が続き、ファーウェイ(17%)は4位だった。ファーウェイが4位であることは、米国政府のファーウェイ製品警戒論が相当響いているものと見られる。こういう状況を見ると、ファーウェイが米国に悪態をつくのは逆効果になる。

     


    『大紀元』(3月30日付け)は、「
    英政府報告書、ファーウェイ製品に新たな重大技術問題」と題する記事を掲載した。

     

    英情報機関傘下の諮問機関が28日発表した調査報告書で、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が以前から指摘されていたセキュリティ上の欠陥を修正する意思がないと指摘し、「新たに技術上の重大な問題が見つかった」とした。

     

    (3)「ロイター通信28日付によると、英国国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が調査報告書をまとめた。報告書は、ファーウェイは2012年、セキュリティ上の欠陥について改善を約束したにもかかわらず、実際には「目に見える改善がなかった」と批判したCSCは、英諜報機関である政府通信本部(GCHQ)の高官などによって構成されている」

     

    同報告書では、ファーウェイはネット上の安全を最優先課題にしていないとの見方を示した。ファーウェイ製品のセキュリティ上の欠陥は、そのソフト・エンジニアリング能力の低さが原因だと指摘した。ファーウェイにとっては、痛いところを突かれている。


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    https://www.mag2.com/p/money/652352

     


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    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、国民生活が苦しもうと頓着なく、「私の政策は正しい」と叫んでいる。こういう文氏に国民はしだいに距離を置くようになってきた。最新の世論調査では、支持率43%、不支持率46%と逆転している。

     

    文氏の不支持率を高めているのは、大統領府スタッフの「不行跡」もある。文氏を激烈支持する新聞社の記者が、大統領報道官に抜擢されその挙げ句に「ビル投機」(約2億5000万円)に走ったとして糾弾、辞職に追い込まれた。この元報道官は、自宅を売却して安い家賃の官舎に入り、不動産投機に走ったというもの。何とも「セコイ」話だ。この類いの話はゴマンとあるのが韓国である。

     

    『朝鮮日報』(3月30日付け)は、「文大統領支持率43%、政権発足以来最低に」と題する記事をした。

     

    (1)「43日の補欠選挙を5日後に控えた29日、相次ぐ悪材料で与党が完全に追い込まれてしまった。韓国ギャラップが今月2628日に全国の成人男女1003人を対象に行った世論調査によると、文在寅大統領の支持率は先週よりも2ポイント低い43%となり、現政権発足以来最低を記録した。不支持は先週に比べて2ポイント高い46%だった」

     

    文氏は、支持率を高めるために大型インフラ投資を次々に乱発している。これまでは、環境調査などの手続きを踏まなければならない規定を飛ばすことまで行い、GDP押上げに夢中である。前政権を「土木国家」と揶揄してきたのが文氏の率いた「共に民主党」である。そういう不都合なことは棚上げして遮二無二、政権維持へ突進している。何とも、ご都合次第でころころ変る政府だけに、国民も冷めてきたのかもしれない。

      


    (2)「与党支持の傾向が強い首都圏でも文在寅大統領への不支持が支持を上回った。ソウル市では同率(46%)だったが、仁川市と京畿道では不支持が47%、支持が42%で不支持が支持を上回った。支持が不支持を上回った地域は光州・全羅南北道だけで、支持76%、不支持13%だった。文大統領を支持しない理由については「経済と庶民生活の問題解決が不十分(36%)」「北朝鮮との関係で親中的、親北的な傾向(16%)」などが多数を占めた」

     

    文大統領を支持しない理由は、次の点に表れている

     

        経済と庶民生活の問題解決が不十分(36%)

        北朝鮮との関係で親中的、親北的な傾向(16%)

     

    上記の項目にコメントをつけたい。

     

        経済と庶民生活の問題解決が不十分; 政治の最大眼目の解決に十分に取り組んでいないと指摘されている。最低賃金の大幅引上げによって、庶民は雇用の場を失ったのだ。自営業者は、庶民に働く場所を与えてきたが、最賃大幅引き上げが、自営業自体の営業を圧迫している。こういう状態がすでに15ヶ月も続けられているのだ。弊害は、失業率の上昇や自営業者の倒産、帰農者の急増などこれまでに見られなかった現象が起っている。

     

        北朝鮮との関係で親中的、親北的な傾向:これまでの中国や北朝鮮への警戒姿勢は吹き飛び、融和論が圧倒的になっている。朝鮮戦争を仕掛けてきたのは中朝であることを忘れた振る舞いを行なっている。北朝鮮への「主敵論」が消えており、代わって日本を「主敵」にするという考えられないことを始めている。予備役軍人の講習会では、「主敵」なる言葉が消え、講師の講話では秀吉時代の朝鮮出兵が話題にされ、「日本主敵論」の印象を与えたという。


     

    (3)「与党・共に民主党の支持率も先週に比べて2ポイント低い35%となり、これも現政権発足以来最低だった。これに対して保守系野党・自由韓国党は1ポイント高い22%、正義党は10%、正しい未来党6%、民主平和党1%だった。

     

    政権与党の「共に民主党」も、支持率が低下して35%になった。与党は、傲慢発言を連発して批判を浴びている。最近では、野党が国会質問で「文大統領を北の代理人」と発言して紛糾した。その際、「北の代理人」と最初に報じた海外メディア記者(韓国人)を誹謗中傷し、訂正を求められ窮地に立たされている。およそ、革新政党の看板に背く行為の連続である。

     

    文大統領就任から後1ヶ月余で2年を迎える。就任演説で行なった国民への約束は、ことごとく破られている。国民との約束を破ってはならないのだ。

       

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    https://www.mag2.com/p/money/652352

     

     


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    米国で、生きた金融政策はかくあるべしという見本が展開されている。国債の長短利回りの逆転する「逆イールド」が、3月22日に起って以来、米国金融市場では活発な議論が始まっている。

     

    米ホワイトハウスのクドロー国家経済会議(NEC)委員長は、FRB(連邦準備理事会)が政策金利を「直ちに」0.5ポイント引き下げることが望ましいとの考えを示した。クドロー氏は、経済専門局CNBCで、利下げにより海外の低調さから米経済の力強さを守ることができると説明。ただ利下げは直ちに必要なわけではなく、「基調的な経済」は減速していないと述べた。以上は、『ブルームバーグ』(3月30日付け)が報じたものだ。

     

    現在の米国経済には、何らの変調も見られない。だが、クドローNEC委員長が発言するように、海外経済は中国の失速に表れているように予断を許さない状況もみられる。それだけに早めに手を打って、被害を最小限に食い止めるべし、という予防策でもある。

     



    『ロイター』(3月25日付け)は、「米国債利回り曲線の姿、過去の利下げ局面に接近」と題する記事を掲載した。

     

    米連邦準備理事会(FRB)の驚くようなハト派転換ぶりに低調な経済指標の発表が重なり、米国債のイールドカーブ(利回り曲線)の主要部分は、過去にFRBが利下げに動いた局面に見られた姿に近づいている。

     

    (1)「FRBは20日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で、年内の想定利上げ回数を従来の2回からゼロに変更し、3年続けてきた利上げサイクルに突如終止符を打っただけでなく、9月にはバランスシート縮小も停止すると表明した。こうした姿勢は投資家の先行きに対する自信を強めるどころか、むしろ市場にこれまでにないほど悲観的な米経済の見通しを広めてしまった、と語るのはブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨戦略グローバル責任者ウィン・シン氏だ」

     

    FRBが、これまでの利上げ先行のタカ派から一転、3年続けてきた利上げサイクルに突如終止符を打っただけでなく、9月にはバランスシート縮小も停止すると表明。ハト派に転じたのだ。この裏に何が起ったのか。私は、前記のクドローNEC委員長発言のように海外要因と見る。具体的には、中国経済の信用破綻の現実性が迫っていると警戒し始めたとみる。

     

    (2)「そのため米国債の2年5年利回りスプレッドはマイナス幅が拡大し、以前にFRBの利下げがあった水準に迫りつつある。3カ月物財務省短期証券(Tビル)と10年債の利回りも22日に10年余りぶりに逆転し、このままの流れなら12年以内に米国が景気後退(リセッション)に陥る恐れがあると警鐘を鳴らしている。

     

    FRBのハト派転換に伴い、3ヶ月(Tビル)と10年債の利回りが3月22日に逆転した。こうなると、過去の例では1年以上、後になって米国がリセッションに陥る危険性が高まる。これは、次期の米国大統領選の時期にかかってくるだけに、現政権にとっては重大問題になる。

     

    (3)「シティグループのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、トム・フィッツパトリック氏によると、2~5年利回りスプレッドのマイナス、つまり逆イールドの幅が12ベーシスポイント(bp)より大きくなると、これまでは利下げが実施されてきた。足元のマイナス幅は6bpだが、22日には9bpまで広がっていた。例外的なケースだったのは2006年で、マイナス幅が19bpに達しながら、利下げまでさらに10カ月を要した。そしてやってきたのが07~09年の金融危機で、結局政策金利はゼロとなり、量的金融緩和が何年も継続した」

     

    2~5年債の利回り差のマイナス、つまり逆イールドの幅が12ベーシスポイント(bp)より大きくなると、これまでは利下げが実施されてきたという。足元のマイナス幅は6bpだが、22日には9bpまで広がっていた。1bpとは、0.01%の意味。12bp=0.12%である。

     

    注目点は、このマイナス幅の広がりを放置しておくと、08年のリーマンショックという重大問題に陥る危険性が高まる。よって、12bpを限界に利下げが望ましいと指摘している。現状は、その方向に向かっているようだ。

     

    (4)「過去の逆イールド化とそれに続く利下げは、いずれも非常に大きなショックを背景に起きた現象だ。1989年は貯蓄貸付組合(S&L)危機、2000年はナスダック総合指数の急落、06年は住宅バブル崩壊だった。それと比べると今回は、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題が米経済を脅かす要因になっているものの、かつてのようなはっきりしたショックは見当たらない。ただフィッツパトリック氏は、もし2~5年利回りスプレッドのマイナス幅が12bpを超えるようなことがあれば、市場の不安が相当なレベルに達しているからで、そうなった原因のイベントが発生していると思うと話す

     

    中国経済の問題が、米国金融市場の不安要因として示唆しているように見られる。私の懸念するのは、中国の経常赤字が現実化してきたことだ。これが、人民元売りを誘発し、中国の外貨準備高の急減をもたらす形で、世界経済に波及する問題である。これが起っても、米国経済の防波堤を高くしておけば被害を防げる。それには、事前の利下げが必要なのだろう。



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