韓国紙『中央日報』(6月1日付け)に、慶応大学の添谷芳秀教授のインタビュー記事が掲載されています。その中で、「右側の安倍首相と左側の文大統領が両国の政権のトップになったため、構造的にうまく解決するのは難しい」という箇所に目が止まりました。
ここで言う右側は保守派、左側は進歩派を指しているのですが、日本の交通規則を思い出しました。「人は右、車は左」ですね。この左側通行は、世界の大勢ではありません。世界では55ヶ国。少数派です。車の左側通行を交通規則にしている国は、日本以外は途上国でした。
ここからが本論です。外交という一本道を、日韓の車がそれぞれ反対側から走ってくれば、交通規則が違いますので衝突する運命です。これを避けるには、共通のルールを守るほかありません。韓国も日本も国際ルールに従ってこそ、正面衝突の危険性を免れます。
韓国はどうでしょうか。1965年に締結した日韓基本条約の基本部分を骨抜きにしました。また、2015年暮れにようやく合意した慰安婦問題も勝手に破棄同然の措置をとって平然としています。文大統領が、あえてこういう行動に出ている動機は「正義」の実現だそうです。
1965年当時の韓国は貧しかった。日本に対等に扱って貰えなかった。現在は、日韓の経済的な格差が狭まり、言いたいことが言えるようになった。だから、過去に結んだ条約を見直す。これが、本音だそうです。
だが、ちょっと待って欲しいのです。韓国は、日韓基本条約によって無償有償の合計で11億ドル以上の資金を得て、高度経済成長である「漢江の奇跡」を実現させたのです。その結果、日韓の経済格差が縮まったのでしょう。とすれば、日韓基本条約の果たした役割はきわめて大きいはずです。
子どもが、小さい頃は親に反抗できなかった。だが、成人して親と同格になったから、子ども時代の償いをしろと言えば、どうなるでしょうか。親は、子どもを成人にさせるまでにかかった教育費や生活費を子どもに請求しません。こういう類いの話は、非現実的なことでしょう。
韓国は今、日本に向かってこういう「あり得ない要求」を突付けています。いくら、人の良い日本人でも、首を傾げる話なのです。徴用工に関する韓国大法院(最高裁判所)の判決で2人の裁判官が反対したそうです。反対ゼロでなくてホットします。まだ、真実の分る裁判官が韓国にいたのです。
国際的な取り決めは、ルールをつくって承認することです。これによって、外交の一本道は、右側通行と左側通行でも衝突しないでスムースに流れます。韓国は、自分だけに通用する「正義」を振りかざします。それが「外交テロ」なのです。早く、それに気付いてください。