勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年07月

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    全文の4分の1だけを掲載しますが、残りは下記のアドレスでご覧ください。

    https://www.mag2.com/p/money/

     

     

    韓国、無年金者が54.1%の衝撃。文在寅政権の反日と税金ばら撒きで自滅していく=勝又壽良

    増え続ける医療費が経済を支えている


    韓国の46月期GDPが発表されました。13月期が前期比マイナス0.4%成長であったことの反動と、政府による集中的な支出増によって前期比1.1%増に跳ね上がりました。内容を子細に見ると、決して褒められる内容でなく、先行きの不安を増幅するものでした。JPモルガンは、46月期の経済成長率が期待に及ばなかったとし、年間経済成長率予測を従来の2.2%から2.0%に下方修正したほどです。

    韓国は、「病人経済」に成り下がっています。文在寅(ムン・ジェイン)政権になって以来、国民生活は激変しています。

    もともと韓国では企業などを退職した人たちが、退職金を元手にして自営業を始めるケースが多いのです。この零細な自営業を襲ったのは、文政権による大幅な最低賃金引き上げでした。

    201819年の2年間で、最低賃金を約30%も引き上げた結果、多くの零細自営業はそれに耐えられず、従業員を解雇せざるを得ませんでした。これが、過去にない失業者を増やすことになった理由です。失業者の増加は、個人消費を減らします。こうして、自営業者が廃業・倒産するという悪循環に陥っています。

    これでは、病人が増えて当然です。実はこの病人増加が、皮肉にも韓国のGDPを支える要因だったのです。病人の増加が、個人の医療費増加を招いています。これによって、政府の健康保険医療費支出も自動的に増えます。この病人増加が、46月期のGDPに「寄与」したとは、哀しい話です。詳細は、後で取り上げます。

    韓国は、合計特殊出生率の急減によって高齢化が急ピッチで進みます。昨年の合計特殊出生率は、0.98と世界で初めて1を割り込みました。この落ち込みは、今年に入っても止らず、さらに悪化が予想されます。こうして、韓国の高齢化は、日本を上回るスピードで進行する情勢となっています。

    半数以上が無年金者

    人口高齢化は、年金問題と結びつきます。最近の調査では、高齢者で年金を受給していない「無年金者」が、なんと54.1もいたのです。統計庁の最新調査で判明しました。その調査内容を見ておきます。

    韓国の高齢層(5579歳)の半数以上が、年金を一銭も受け取っていません。年金受給者でも、およそ3人に2人は月平均受給額が50万ウォン(約45800円)未満で、基礎生活(生活保護)の受給費にも満たない金額です。以上は、統計庁が23日に発表した「20195月経済活動人口調査 高齢層付加調査」によります。『中央日報』(723日付)から引用しました。


    こういう、厳しい老後生活を強いられる韓国の高齢者が、健康な生活を送れるはずがありません。栄養的に満足な食生活を送れなければ、病に冒されるのは避けられません。医療費が膨らんで当然です。

    ここで、日本人の高齢者が年金面でどのような生活を送っているかを見ておきます。日本では現在、サラリーマン退職者は国民年金と厚生年金を受給し、平均で男性は1819万円、女性は910万円ほどの受給額とされています。

    これに比べて、韓国は年金受給者が全体の45.9%に過ぎないこと。その受給者の月平均年金額が、3人に2人は約45800円未満に過ぎません。1人当りの名目GDPは、韓国が日本の約8割(2018年)水準であることを勘案しますと、韓国の高齢者は絶望的状況に置かれていることがわかります。

    韓国の高齢者は絶望的

    日韓における、高齢者の経済的な環境格差は年金だけでありません。日本の高齢者は、ほとんど債務がありません。韓国の高齢者は債務が多いのです。

    韓国の引退年齢は満60歳ですが、実際の引退時期はこれよりも早くなっています。会社での出世に見切りをつけ、50代半ばを超えるとすぐに退職、または退職モードに入ります。この人たちが自営業の核になっています。最近では、中途退社せずに定年まで勤めよう。そういうアドバイスが増えています。老後の経済生活が難しいのが理由です。

    2017年の韓国「家計金融福祉調査」では、家計の貯蓄額が最も高い時期が50代です。ただ、家計負債も多く貯蓄と負債の差がほとんどないのです。60代も、貯蓄と負債の差はほとんどありません。ただ、金額は50代に比べてかなり少なくなっています。こうして、日本とは異なって5060代でも純貯蓄(貯蓄負債)はゼロ状態です。

    46月期のGDP計算で、個人の医療費支出と政府の健康保険支出が増えて、成長率に貢献したと述べました。この事情は、韓国高齢者の厳しい経済状況からみて、おわかり頂けたでしょうか。私も最初、GDP統計を見て不思議に思ったのです。韓国の高齢者経済状況から納得せざるを得ませんでした。

      

    テイカカズラ
       

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領最大の支持メディアである『ハンギョレ紙』は、日韓紛争で勝利を収めると豪語している。その根拠は、きわめて情緒的なもの。韓国における日本製品不買運動のリーダーたちの「自信」を示すものと見られる。日韓の技術的格差という「物理的根拠」を欠いた、ただの「大口」ではあるが、彼らの胸中を見るには好適な記事であろう。

     

    『ハンギョレ紙』(7月25日付)は、「トランプを真似た安倍の5つの勘違い」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本は米国と「体格のクラス」が違う。経済大国ではあるが超強大国ではない。世界貿易の規範を破ってもびくともしない国は、米国と中国ぐらいだ。日本が貿易報復をカードとして使いづらいのはそのためだ。さらに日本は韓国に劣らず、世界経済に占める輸出の割合が大きい国だ。米国のような万年貿易赤字国ではない。米国は最大の輸入国であるため、いつでも報復関税という「実弾」をぶちまけることができる。米国が中国との貿易戦争でも余裕を見せるのはそのためだ。一方、日本は国際社会が例外として認めるほど強い国ではなく、貿易戦争をするほど武器が十分にあるわけでもない」

     

    最初から、日本を見くびっている。韓国が、日本の実態を理解していない例がここでも見える。対GDPの輸出依存度は、2017年で韓国37.72%、日本は14.14%である。日本は海外生産で供給しているので、輸出のウエイトは世界平均の21.6%を下回る。韓国は逆だ。世界平均を上回り、輸出依存度の高い経済である。

     

    この韓国の高い輸出依存度を支えているのが、日本からの中間財輸出である。韓国製造業は、加工型貿易で成長してきた現実を忘れた議論をしている。日本は、東日本大震災で立証されたように、世界へ代替不可能な重要中間財の生産基地である。下線で引いたようなことは間違いである。貿易戦争の武器を持っている国である。だから、韓国は今、騒いでいるのだ。

     

    (2)「日本は韓国に最も打撃が大きな13位の化学製品を人質にした。不純物の洗浄剤や感光剤など敏感な工程に使われるこれらの製品の日本産の割合は41.984.5%に上る。短期的には致命的な影響が予想される。韓国のホワイト国からの除外は、日本政府が輸出統制の手綱を握り続ける意図と思われる。ここまで来れば、適当な対応手段がない上に最低賃金を巡る議論、景気の鈍化などで窮地に追い込まれた文在寅政府がすぐに降参するだろうと誤判断したのだろう」

     

    韓国経済が、政策ミスによる内需不足経済であることは間違いない。それだけに、ここで日本とトラブルを起こすことがさらなる負担になることは事実だ。この負担が、韓国をしてWTO一般理事会まで訴えさせた背景にある。すでに、降参しかかっているが、メンツでそれができないジレンマを抱えている。

     


    (3)「韓国の不買運動は長続きしないだろうと言ったユニクロの役員の主張も似たような脈絡だ。韓国にとって日本の輸出規制は経済侵略と同義語になっている。韓国経済を揺るがすための挑発と映る。さらに、事態の発端である強制徴用問題は、日本帝国主義の侵略の産物だ。激しい不買の熱気はそのような認識に基づいている。熱しやすく冷めやすくもあるが、一度感情に火がつけばどの国民よりも強力なエネルギーを発するのが韓国人だ。政治外交と歴史の問題を経済的圧迫で解決しようとした安倍首相の火遊びが成功するのは難しく危険だというのはそのような背景からだ」

     

    日本の輸出規制は、韓国への経済侵略という言い方は間違いである。侵略とは、奪い取ることである。日本は、韓国から何も奪ってはいないのだ。韓国が、そういう認識であるならば、韓国経済が日本に大きく依存している弱点を侵略という言葉に置換えたに過ぎないであろう。

     

    韓国は、自ら抱える弱点を突かれないように、常に友好関係を保つように配慮すべきであった。その準備をしなかったのは、韓国の落ち度である。日韓関係を最悪事態に陥れて、日本との話合いすら拒否した韓国の責任である。米国が、仲裁に慎重なのは、まさに韓国がこの点の認識を欠き、経済侵略と喚いている事実にある。

     

    日本が輸出しないとすれば、日本も損害を被る話である。韓国から利益を奪い取ることではない。よって「経済侵略」には当らない。日本の神経を逆なでるだけで、無益この上ない表現である。

     

     

     




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    韓国政府は、政府高官を米国へ送り日韓紛争を訴えたが、仲裁に出ようという要人は現れず失望感を深めている。経済副首相は、報復策をとることはしないと、静観する姿勢を見せている。

     

    『中央日報』(7月30日付)は、「仲裁しようというワシントンの要人はいなかった」と題する記事を掲載した。

     

     日本の「ホワイトリスト(輸出優遇国)」除外という貿易戦争の拡大が迫っている。我々は米国を説得するために総力を傾けた。政府・国会・民間代表団20人余りがワシントンを相次いで訪れた。

    (1) 「兪明希(ユ・ミョンヒ)交渉本部長通商産業本部長、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)青瓦台(チョンワデ、大統領府)国家安保室第2次長と丁世均(チョン・セギュン)元議長を含めた国会代表団、対外経済政策研究院など民間代表団が米政府・議会・シンクタンクを全方向から接触した。結論は終始一貫していた。「米国が介入や仲裁をすることはない。両国がうまく解決してほしい」だった。

    米国要人が、韓国の訴えを聞いても仲介を回避しているのは、韓国が訴えるだけで、その原因である徴用工問題の認識がないからだろう。この点の解決なくして「ホワイト国」関連問題は解決しない。韓国は、その点について気付こうとしていないのだ。

     

    (2) 「マーク・ナッパー国務副次官補代行(日本・韓国担当)は25日に会った韓国議員にややつっこんだ内心を見せた。ナッパー副次官補代行は「日本政府と企業からかなり以前から韓日葛藤について聞いていた。韓国政府と企業家にも会って両国の立場は十分によく知っている」と話した。また「米国がどちらか片方に立って仲裁をすればもう片方の同盟と関係が損なわれかねない。米国ができる最善のことは韓日両国が対話できるように環境づくりをすること」と話した。米国の役割は韓日対話を促したり環境を整えたりする程度だという意味だ。トランプ式表現では「文大統領も良くて、安倍も特別な人」だからだ。

    韓国は、徴用工問題が国際法違反の判決であることを知るべきだ。司法が、条約に介入することは御法度という「司法自制の原則」を無視したところに問題の根源がある。

     


    (3)「ナッパー副次官補代行のように韓日葛藤を見慣れた者にとっては「韓日問題への介入は一筋縄ではいかないうえに、良い結果を見ることもない」という考えが固定化している。今年初めから多方面のチャネルを通じて韓日関係に対する懸念を伝えていたにもかかわらず、事態だけが悪化したことに対する疲労感も根底にある 結局、我々は日本の戦争拡大に一人寂しく対抗しなければならない。日本のホワイトリスト除外が現実化される場合、年間200億ドル(約2兆1800億円)の被害対策から用意しなければならないだろう」

     

    下線を引いた部分は、米国が今年初めから韓国へ懸念を伝えていたにもかかわらず、韓国が何らの対応も取らずにきた結果である。一方、韓国政府はこの点を指摘されれば、グーの音もでない

     

    洪副首相は、次のよう語った。『韓国経済新聞』が7月30日に伝えた。

     

    (4)「ホワイトリストからの除外が現実化すれば輸出規制対象が拡大する恐れがある」とし「すべての可能性を念頭に置いて徹底的に備えている」と強調した。輸入先の多角化、国内生産の拡充、国産化、関連規制の合理化および迅速処理などを推進しているという説明だ。ただし「日本に対して我々も相応する措置を準備しているか」という質問には「不当な措置には断固として対応していかなければならないが、対応-逆対抗の悪循環は両国双方にとって決して望ましくない」と話した(『韓国経済新聞』7月30日付)。

    下線を引いた部分は、これまでの韓国政府の発言と異なり、事態の深刻さが分ってきたのだろう。韓国には、被害が拡大しないようにするという受け身になっている。文大統領は当初、「報復する」と鼻息が荒かったが、もはやそのようなことで問題が解決しないことを覚ったにちがいない。

     


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    世界一の自動車生産国に躍り出た中国が、過剰生産能力を抱えて苦悩している。昨年の自動車生産能力は4280万台で、その約3分の1に相当する1400万台分が遊休状態とみられる。中央政府や地方政府が経済発展および雇用創出を狙って補助金を大盤振る舞いした結果、自動車業界は急速に拡大してきた。しかし今や成長が頭打ちとなっているほか、電気自動車(EV)生産で新興企業も競争に参入してきたため、事業不振のメーカーは市場からの退出を迫られていると報じられている。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月29日付)は、「中国の自動車販売急減で欧米勢に広がる衝撃」と題する記事を掲載しました。

     

    中国の自動車市場縮小が欧米メーカーに打撃を与えている。工場稼働率が極度に落ち込むなど、撤退を余儀なくされる企業もかなり出るのではないかとの懸念を誘発している。最も困難な状況に置かれているのが、米フォード・モーターとプジョーを傘下に持つ仏グループPSAだ。中国の自動車市場が昨年、ほぼ30年ぶりの縮小に転じた後、両社の工場稼働率は生産能力を大幅に下回っている。中国の昨年の乗用車販売台数は4%減の2300万台だった。減少は今年に入っても続いており、上半期の販売台数は前年同期比14%減だった。

     

    (1)「フォードと合弁を組む中国長安汽車集団の生産データをフィナンシャル・タイムズ紙が分析したところ、フォードは今年上半期の中国工場稼働率が11%にとどまっている。フォードの今年上半期の中国販売台数は前年同期比27%減となった。中国の自動車業界団体によると、PSAの長安汽車との合弁工場は今年上半期の生産台数がわずか102台にとどまった。つまり、稼働率は1%にも満たない。東風汽車集団との合弁工場の稼働率も22%だ。PSAは今年上半期、中国での新車販売台数が62%減少した。一般的に、工場は稼働率80%が損益分岐点とされる

     

    中国自動車市場が、急激な落込みである。もともと、普及率の天井圏に差し掛かっていたので、当然の現象とも言える。問題は、過剰生産能力を抱えていることだ。冒頭に指摘したように、約3分の1に相当する1400万台分が遊休状態と指摘されている。すでに、30%強が過剰である。赤字を出さない損益分岐点は80%とされるので、現状はそれを下廻る状態だ。中国自動車市場は、「水没状態」に落込んでいる。

     

    (2)「米調査会社サンフォード・C・バーンスタインのアナリスト、ロビン・チュー氏は、過剰な生産能力が原因で外国の自動車大手は中国での収益が「とても弱くなる」と予測する。同氏は「一部のOEM(相手先ブランドで生産するメーカー)は遠からず、この市場におけるポジションについて考える必要があるだろう」と話す。15万元(約240万円)以下の車を売るメーカーを中心に、中国は「終わった」ことになっていると、コンサルティング会社JSCオートモーティブのヨッヘン・シーベルト氏は指摘する」

     

    下線をつけた部分は、15万元以下の大衆車を売る自動車企業は、損益分岐点から見て経営的に存続できないと示唆しているようだ。とすれば、民族系はほとんど自然淘汰されかねない厳しさだ。

     

    (3)「独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)など、中国市場で成功している企業でさえ、打撃を受けている。今年第1四半期の販売台数はVWが前年同期比6%減、GM10%減だった。中国の自動車販売の下降は、経済成長の減速と新たな排ガス規制、自動車購入補助金の縮小が原因とされている。アナリストの間では、すでに市場は底入れし、来年から再び成長に転じるとの見方も出ている。だが、成長率は恐らく12%程度と、10年前の2桁成長とは程遠いものになるだろう」

     

    中国のマクロ経済が、不動産バブル崩壊に伴う信用不安を抱えている状況だ。民間企業の経営不安は頂点に達している。これに米中貿易戦争が暗い影を落としている。また、すでに指摘の通り中国の自動車市場は普及率の天井圏に差し掛かっている。こういう物理的な限界を考えれば、来年の自動車市場は買い換え中心の1~2%の低成長に苦吟するであろうという。私も、その可能性が高いと見る。


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    韓国は迂闊だった。これほど日本の技術に依存しながら、日本をメチャクチャに批判してきた。今、そういう過去を悔いているだろう。世界中で、日本を馬鹿にできるのは韓国だけ、と妙な自信を持ってきたほど。その馬鹿にされてきた日本が、伝家の宝刀を抜く場面にきた。

     

    韓国は、日本にどれだけ技術的に依存しているかを調査した結果、これまでの日本に抱いてきた「道徳的」優越感が吹き飛んだ衝撃を受けている。日本からの輸入依存度90%以上の品目が、48品目もあることが判明したからだ。

     

    私は、技術貿易収支の黒字額から推測して、韓国は日本の「技術属国」と表現してきた。日本の技術貿易黒字は世界2位である。韓国は、むろん赤字だ。こういう客観的な事実を無視して、日本を感情的に揺さぶってきた結果が、今回の事態を生んだというべきである。日本に対する謙虚さが足りなかったのだ。

     

    『聯合ニュース』(7月28日付)は、「劣勢の韓国産業、対日輸入依存度9割超が48品目=輸出規制で危機」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の民間シンクタンク、現代経済研究院が28日発表した報告書によると、韓国の対日輸入依存度が90%以上の品目は昨年48品目で、輸入額は計27億8000万ドル(約3020億円)に上った。日本が半導体材料などの対韓輸出規制の強化に加え、輸出管理で優遇する「ホワイト国」から韓国を除外した場合、食品や木材を除くほぼ全ての産業が影響を受けることになり、日本より劣位にある韓国の多くの産業が危機にさらされていることが分かった。

     

    (1)「韓国が日本から輸入する品目は計4227品目。輸入依存度は紡織用繊維が99.6%、化学工業の生産品が98.4%、車両・航空機・船舶および輸送機器関連品が97.7%などと高かった。対日輸入依存度が50%以上の品目は253品目で、輸入額は158億5000万ドルに上った。さらに、国の輸出競争力を示す「貿易特化係数」(TSI)を分析した結果、重化学工業の大部分で韓国が日本より劣勢であることが分かった」

     

    対日輸入依存度の高い産業を整理して表示する。

    紡織用繊維               99.6%

    化学工業品               98.4%

    車両・航空機・船舶および輸送機器関連品 97.7%

     

    化学工業と精密工業では、韓国は完全に日本技術の「支配下」にある。韓国が、日本の特許に触れず独自技術を開発することは、かなりの時間と資金を必要とする。半導体製造の3素材は、化学工業品である。

     

    下線を引いた貿易特化係数とは、ある品目の貿易黒字額(輸出額-輸入額)の貿易総額(輸出額+輸入額)に対する比率として計算され、-1~+1の間の値をとり、+1に近いほど国際競争力が高い、と評価するもの。この算式を考案したのは、日本人エコノミストの故・金森久雄さんと記憶する。経済白書の分析で考案したもの。この貿易特化係数で、韓国は重化学工業の大部分で日本に劣っていることが判明した。

     


    (2)「半導体産業では日本との競争力が急速に低下し、韓国が「絶対劣位」にある。対日輸出額は2000年の31億7000万ドルから18年に12億4000万ドルと急減した一方、対日輸入額は同期間に42億9000万ドルから45億2000万ドルに小幅上昇した」

     

    半導体では汎用品(メモリ)では韓国が競争力を持つ。だが、半導体高級品の「非メモリ」のシステム半導体では日本が「絶対優位」である。全自動運転車など高度の技術を要する分野は、システム半導体の領域である。生産量は少ないが高価な半導体である。どっこい、日本の高級半導体技術は生きているのだ。

     

    (3)「自動車産業でも日本との差が急拡大している。00年に約1000万ドルだった対日輸出額は18年に3000万ドルに増加したが、対日輸入額は同期間に4000万ドルから12億3000万ドルと30倍近く増えた。日本に競争力で劣る産業が多いため、日本の輸出規制強化によって韓国産業が危機に立たされ、経済成長も脅かされると報告書は指摘した」

     

    日本の自動車部品産業は、世界一の競争力を持つっている。ドイツのボッシュ社と日本のデンソーなどトヨタ系自動車部品会社は双璧である。韓国自動車企業が、日本から部品を輸入するのは当然であろう。

     

    韓国政府は、世界に冠たる日本製造業の底力を軽視してきた。「灯台下暗し」と言うが、余りにも日本の実力を知らなすぎた。日本の過去だけに関心を持って、現在について無関心であったことの咎めが出ているのだ。韓国は、謙虚になることが世界で生存できる条件である。

    そう、謙虚という道徳を身につけることがもっとも必要である。


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