勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年09月

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    韓国は、やはり日本の「ホワイト国除外」と韓国の「GSOMIA破棄」の相互リセット案を日本側に提案してきたことが分った。GSOMIA破棄は、余りにも感情的な決定であり、当初から「ホワイト国除外」とのリセットが目的であったのだ。

     

    『中央日報』(9月3日付)は、「韓国首相に会った河村氏、GSOMIA・ホワイトリストセットで原点に戻そうと提案受けた」と題する記事を掲載した。

     

     先月31日から3泊4日の日程で韓国を訪問した河村建夫・日韓議員連盟幹事長(元官房長官)は3日、「韓国のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)終了決定、ホワイト国から韓国を排除した日本の措置の2種類をセットで一緒に元へ戻すということはどうだろうか、という提案を韓国側から受けた」と話した。テレビ朝日が報じた。

     

    (1)「 報道によると、河村氏はこの日、帰国直後に記者団と会って「2日、約2時間にわたって李洛淵(イ・ナギョン)首相と会談した」と公開した。 河村氏は「スタートは元徴用工問題だから、これはこれで検討しなければならないと話した」と紹介した。 河村氏によると、韓国側は日本との交渉に向けて内部の協議をスタートさせているという立場を明らかにし、特に李首相はGSOMIAの期限が切れる11月までに解決策を見いだしたい考えを伝えた」

     

    韓国側の提案する相互リセットは、日本としては簡単に受け入れ難いものであろう。「ホワイト国除外」は安全保障を守るという立場であった。韓国が厳格な戦略物資の管理を行っていないことが理由である。韓国のGSOMIA破棄は、安全保障を危うくするものである。こう見てくると、「ホワイト国除外」も「GSOMIA破棄」も、韓国側の安保姿勢の曖昧さが原因である。

     

    日本が、こういう韓国と無原則にバーター取引することはリスクの大きい話である。韓国は、あれだけ日本を罵倒しておいて、自国に都合が悪くなったからと言って「にじり寄る」姿勢に大いなる不信感を持たざるを得ない。

     

    (2)「日本政府は今まで「輸出管理(輸出規制強化)とGSOMIAは次元が全く違う問題」という立場を堅持している 一方、共同通信は「今後日韓首脳会談を開くにはどうすればよいかという点についても意見交換したとしている」としつつ「詳細は説明していない」と伝えた。  河村氏は2日、韓日議員連盟会長である共に民主党の姜昌一(カン・チャンイル)議員とも別途会談を行った」

     

    下線を引いた部分の通りである。日本は、筋道を通して行くべきである。ここで妥協すれば、せっかくの「政経非分離」がウヤムヤになり、再び歴史問題を蒸し返されるリスクが高く、何らの解決にもならないのだ。今後も、永久に「反省しろ、謝罪しろ、賠償金を払え」と言われ続けるに違いない。この悪弊を断ち切るには、今しかその機会はないだろう。


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    韓国は、お世辞にも交渉上手とは言えません。感情8割・理性2割の国民性ですからやむを得ないとしても、大統領を筆頭にして日本へ暴言を吐きながら、ケロッとしているところが不思議に思えます。

     

    8月31日から3泊4日の日程で韓国を訪問した自民党の河村建夫・日韓議員連盟幹事長が9月3日、韓国首相からの提案について話しました。「韓国のGSOMIA廃棄と日本のホワイト国からの韓国排除をセットで元へ戻そうという提案を受けた」と言うのです。韓国がこういう案を持っているならば、あのような日本罵倒の発言をなぜしたのでしょうか。相手の感情を害さないよう、十分に配慮するのが普通なのです。

     

    韓国には、そういう心配りがないのに驚きました。相手の感情を逆なでして平気でいるのはなぜか。ちょっと考えて見ませんか。

     

    私には、専制国家の歴史が長かった背景があるように思えます。専制国家の社会秩序は上下の「タテ」の関係だけです。欧米流社会は、市民社会が基盤になっていますから、「ヨコ」の関係です。日本は、欧米流社会とは違いますが、「オモテナシ」精神に富んだ民族です。その意味で、日本を準欧米社会という位置づけにすれば、「ヨコ」の関係でしょう。「ヨコ」重視とは、相手を尊重する精神が前提です。韓国の「タテ」には、それが欠けているのです。

     

    韓国の「タテ」に対して日本は「ヨコ」とすれば、交渉では日本が韓国よりもスマートなはずです。少なくも、韓国の文大統領が日本を罵倒するような言葉を使いません。韓国の大統領は、朝鮮王朝では王様です。王様であれば、相手に丁寧な言葉よりも、乱暴な言葉を使った方が、威厳があるのかも知れません。文氏が、日本を罵倒するのは「王様」の積もりなのです。

     


    ここから、本論に入ります。

     

    韓国は、日本に対して「ホワイト国除外」と韓国の「GSOMIA破棄」をセットにして相殺しようと提案してきたというのですが、この交渉の結末はどうなるでしょうか。先ず、日本が交渉を受入れるでしょうか。日本のサムライ・スピリットから言えば、公の場で辱めの言葉を投げかけられた以上、交渉の席に着くはずがありません。

     

    サムライ・スピリットと言えば、江戸末期に日本を訪れたドイツの貿易商が、武士にお礼の印に金銭を渡そうとしたところ、「日本のサムライは、そういうカネを受け取れない」と拒否した話が旅行記にあります。この延長線上で言えば、無礼な言葉を投げかける韓国には、理屈で押し返すほかありません。妙な妥協をしてはならないのです。サムライ・スピリットによって、論理で立ち向かわなければなりません。

     

    この際、日本は韓国に対して本当の日本の姿を見せつける必要があります。韓国が、頭を下げて来ても簡単に応じてはなりません。韓国が、いかに間違ったことをしてきたか。それを自覚させる必要があるのです。

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    「世界一」の最強労組と言われる現代自労組が、ストライキなしで賃上げ交渉を妥結させた。8年振りという。これまでは、山猫ストなどによって会社側を翻弄してきた労組が、温和しく賃上げに応じた背景は何か。日韓問題によって、韓国経済の「左前」を懸念して早期妥結になったという。

     

    韓国労組は、別名で貴族労組と言われるほど高賃金を獲得してきた。中でも、現代自労組は戦闘的で、会社側をきりきり舞いさせて高賃金を実現してきた。既に、トヨタ自動車の賃金水準を上回ったおり、世界一の高賃金を得ている。この結果、現代自の営業利益率は5%を大きく下回る危険ラインを余儀なくされている。

     

    その労組が、ストなしの賃上げで妥結したのは、日韓摩擦で先行きの経済見通しが悪いなどを考慮したものとされている。

     

    『聯合ニュース』(9月3日付)は、「現代自の賃上げ交渉、8年ぶりストなし妥結、韓日問題など考慮」と題する記事を掲載した。

     

    韓国自動車最大手、現代自動車の労働組合は3日、全組合員を対象に今年の賃金・団体協約を巡る労使の暫定合意案の賛否を問う投票を実施し、賛成多数で可決されたと発表した。現代の労使交渉がストライキを実施することなく完全妥結するのは8年ぶり。労使は5月30日に交渉を開始し、8月27日に暫定合意に達していた。

     

    (1)「合意案は賃金(基本給)4万ウォン(約3500円)以上の引き上げ、成果給150%プラス300万ウォン(約26万2500円)支給、伝統市場の商品券20万ウォン(約1万7500円)支給などを盛り込んだ。また、賃金体系の改善に伴う激励金として、勤続期間に応じて200万(約17万5000円)~600万ウォン(約52万5000円)と従業員持ち株15株を支給する」

     

    日本的に言えば、どれほどの賃上げ率になるのか不明だが、基本給引上げのほかに成果給、商品券支給などと細かい現物支給もはいっている。過去の過激な闘争で、会社が無理やり要求を飲まされた跡を窺わせている。一度与えると、それが既成事実化されてゆくのだ。

     

    (2)「労組は今年の交渉でスト権を獲得したが、実施は見送った。日本政府が安全保障を理由に輸出管理の優遇対象国「グループA(旧ホワイト国)」から韓国を除外し、韓国は不当な輸出規制措置の撤回を求めるとともに対策を講じるなど、両国の経済関係は深刻な事態に陥っており、韓国経済への影響を懸念する世論を労組も考慮したとみられる。米中貿易摩擦による韓国自動車産業の停滞懸念も影響した」

     

    貴族労組もようやく、経済環境の悪化を受入れるような柔軟性を取り戻してきたのか。これまでの労使関係は最悪状態に陥っていた。

     

    (3)「証券業界では、ストが実施されなかったことで、3000億(約262億5000万円)~6000億ウォン(約525億円)の営業利益押し下げを回避できたとみている。労使はまた、賃金体系の改善により、7年に及んだ通常賃金(時間外労働手当や退職金などの算定のベース)訴訟と、これに伴う最低賃金違反問題にも決着をつけた。合意案への調印は3日午後行われる予定」

     

    スト回避で263億~525億円のコスト減となって、営業利益を押上げるという。これまでの長期の泥沼ストでは、どれだけコストアップを招いていたか分らない。日韓対立が、労組を冷静にさせるきっかけになったという。韓国国内の緊張振りが現れている。


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    韓国は、「旭日旗」を見ると猛然と抗議してくる。闘牛に赤い布を見せた時と同じ反応パターンだ。日本のやることには、あらゆる点で反対しようということらしい。東京五輪でも、競技場に旭日旗持ち込みを禁じるよう、東京五輪組織委員会へ申入れて断られた。

     

    3日のSBS(ソウル放送)の報道によると、東京五輪組織委はSBSの質問に対する公式答弁書簡で「旭日旗が日本で広範囲に使用されているため制止する理由はない」と主張した。また組織委は「旭日旗自体はいかなる政治的な意味もない。したがって禁止品目と見なさない」と強調した。

    旭日旗は、法律で決められた自衛隊旗である。韓国だけがこれに反対している。昨年のパリ祭では、フランスから自衛隊が招待され、旭日旗を掲げてパレードに参加している。このように、国際的に認知されている旭日旗に対して、韓国だけが反対するという「内政干渉」を続けている。

     

    『聯合ニュース』(9月3日付)は、「制止する理由ない、旭日旗応援を認めた東京五輪組織委」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「2020東京オリンピック(五輪)組織委員会が旭日旗の使用を制裁なく認める考えを明らかにした。 組織委が旭日旗の使用を認めたことで、来年の東京五輪で日本の観客が競技場で旭日旗を掲げながら大規模な応援をする可能性が高まった。大韓体育会の関係者は競技場への旭日旗搬入禁止を要求した。「旭日旗は韓国人に日本軍国主義を象徴する戦犯旗と認識されている。競技場で旭日旗の応援がある場合、韓国の観衆と日本の観衆が衝突する不祥事が生じることもある」と主張しながらだ。しかし組織委は確答を避けた」

    (2)「 韓国の国会文化体育観光委員会は先月29日に全体会議を開き、「2020東京夏季オリンピック大会および夏季パラリンピック大会での旭日旗競技場内搬入禁止措置要求決議案」を議決した。 文化体育観光委は安敏錫(アン・ミンソク)委員長(共に民主党)が提案した今回の決議案で「国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック組織委員会、パラリンピック組織委員会に対し、東京五輪期間の競技場内の旭日旗使用、旭日旗を活用したユニホームと道具の搬入、これを活用した応援行為を禁止することを求める」と明らかにした」



    この韓国側の動きに呼応して、韓国外交部まで乗り出してきた。 

     

    韓国外交部の金仁チョル(キム・インチョル)報道官は3日の定例会見で、東京五輪・パラリンピック組織委員会が競技場での旭日旗の使用を禁止しない方針を示したとの報道について、「旭日旗は周辺国に過去の軍国主義や帝国主義の象徴として認識されていることは日本側もよく知っているはずだ」として、「是正されるよう、引き続き努力していく」と強調した。『聯合ニュース』(9月3日付)が伝えた。

     

    「ホワイト国除外」反対、「GSOMIA破棄」に続いての「旭日旗持ち込み反対」で、日本を揺さぶる意図のようである。


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    韓国は調子に乗りすぎた。日韓GSOMIAを破棄決定後、米国は公然と韓国を批判し始めている。これに対し、韓国大統領府は「同盟の前に国益を重視する」と啖呵を切ったばかりに、さらに米国の怒りを買っている。自国を防衛して貰っている米国に対し、言うべき言葉ではあるまい。浅はかな民族主義者のなせる技であろう。

     

    『朝鮮日報』(9月3日付)は、「ハリス米大使、安保対話に参加せずモルディブ行き」と題する記事を掲載した。

     

    ハリー・ハリス駐韓米国大使=写真=がモルディブで行われるインド洋コンファレンス(IOC)に出席して、「(米国の)インド・太平洋ビジョンの話をするだろう」と1日、ツイッターで明らかにした。ハリス大使は3日と4日に行われるIOCに出席し、4日から6日まで行われる韓国国防部主催のソウル安保対話(SDD)は欠席するという。韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定で韓米関係の乱れの兆しがあちこちでキャッチされているものだ。米国の官民の一部からは韓米合同軍事演習の縮小・中断や在韓米軍の削減・撤退など韓米軍事同盟の再調整の必要性も取りざたされている

     

    (1)「韓国国防部や駐韓米国大使館などが2日に明らかにしたところによると、今年で8回目を迎えるSDDに米国側から主要当局者が派遣されないのは非常に異例のことだという。これまで米国からは次官補クラスの人物が出席していた。韓国政府関係者は「米国防総省が欠席を通知してきたのでハリス大使の出席を打診したが、これもスケジュールが詰まっているため実現しなかったと聞いている」と語った。ハリス大使は先月28日に韓国外交部に呼び出され、「不満の意を表すのを自制してほしい」と要求されて以降、韓国国内の安保関連行事を相次いで欠席したり取り消したりしている」

     

    韓国は、徴用工問題で日本を怒らせた。この日本に対抗すべく「GSOMIA破棄」という見当違いの弾を日本に撃ち込んで、今度は米国の怒りを買っているという構図だ。すべて、韓国の時代錯誤の判断が、逆走を始めて招いた結果である。

     

    韓国大法院による日韓基本条約の骨抜き判決は、遡っていけば米国主導のサンフランシスコ講和条約にまで達するという。それだけに、米国も無関心ではいられない状況という。こうした国際条約の関連性を忘れて、自国本位の判決がどういう意味を持つかも分らないでは、韓国も困った存在である。

     

    (2)「こうした中、米ワシントンでは韓米軍事同盟再調整の必要性が取りざたされている。進歩系として知られるブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン・シニアフェローは1日、米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に「大規模な韓米合同軍事演習はこれまで『非常に大きく強力な』同盟を印象付けるという役割を果たしてきたが、財源をこのような形で使うことが果たして最善なのかは議論してみるべき価値がある。北侵演習の誤解を招く可能性がある大規模な演習を中止したり、これを小規模訓練に分けて実施したりすることは考慮に値する」と語った」。

     

    (3)「保守系とされるケイトー研究所のダグ・バンドウ・シニアフェローは同放送で、「あらゆる面で北朝鮮よりもはるかに進んでいる韓国はもはや米軍を必要とせず、兵力や装備などを自ら充当すべきだ。米国は抑止力を提供する必要がない」と述べた。ただし、ワシントンの大多数の官僚・専門家グループは依然、在韓米軍削減や韓米合同軍事演習縮小に反対している」

     

    米韓軍事同盟の存在を北朝鮮に絶えず認識させるべく、米韓の大規模な軍事演習が行われてきた。今、これへの疑問譜がつけられ始めた点は、韓国も看過できない動きであろう。

     

    (4)「ドナルド・トランプ米大統領は最近、「金の無駄」だとして韓米合同軍事演習を非難する一方で、日本やオーストラリアなどとの軍事演習は拡大させる姿勢を見せている。特に、米日は今年初めて連合戦時増援演習(RSOI)を行ったが、韓米は北朝鮮の非核化交渉を理由にRSOI(韓米合同軍事演習「キー・リゾルブ」)を3月に廃止した。国防大学のパク・ヨンジュン教授は「GSOMIA破棄という局面を迎え、米国側はこれまでバランスを保ってきた韓米同盟と米日同盟のはざまで米日同盟側に寄る傾向を見せている。今、同盟再編論が出ているのは、韓国政府に対する不満を表しているためと見られる」と言った」

     

    米国は、韓国との合同演習を「無駄かね」と言う一方で、日本や豪州との合同軍事演習では積極的である。これは、インド太平洋戦略の一環であるからだ。米韓合同演習の仮想敵は北朝鮮だが、日米豪の三ヶ国合同演習の仮想敵は中国である。対象国が違う以上、演習規模も異なるのだろう。米国は、防衛地域を韓国から、すでに日豪印へ変えたと見られなくもない。そういう微妙な局面で、韓国は米国との間に秋風が吹き始めた。危険なシグナルだ。


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