勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年09月

    a0960_006602_m
       

    韓国大統領府の国益論には笑ってしまう。日本とは国益上、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄するというのだ。国益って、国民が利益をうることに決まっている。韓国の国益は、「文政権の利益」ということだろう。文政権のメンツを潰したから、それが国益を損ねるという解釈としたら、傲慢もいいところ。政権を預かる資格はない。

     

    北朝鮮という核保有国が、38度線で韓国と対峙している。軍事衛星もない韓国が、どうやって北朝鮮の軍事情報を100%補足するのか。アンテナは多いいほど良いに決まっている。その面で、日本は軍事衛星を飛ばして24時間、北朝鮮を監視している。その日本情報は要らないというのだ。代わって、タイの軍事情報が必要だという。いやはや、物事を判断する次元が異なる。文政権は、異次元の発想法である。

     

    『聯合ニュース』(9月1日付)は、「韓国高官、GSOMIA維持は国益にそぐわず」と題する記事を掲載した。

     

    韓国外交部の李泰鎬(イ・テホ)第2次官は1日、 ソウルで開かれた文化交流イベント「韓日交流おまつり2019 in Seoul」に出席し、日本から出席した鈴木憲和外務政務官と文化・人的交流など両国関係について意見交換を行った。

    (1)「鈴木氏は韓国政府による軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定、韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた強制徴用訴訟問題に対する日本政府の立場をあらためて伝えた。これに対し、李氏は日本政府が安全保障を理由に輸出管理の優遇対象国「グループA(旧ホワイト国)」から韓国を除外した状況の中、敏感な軍事情報交流を目的に締結した同協定を維持することは国益にそぐわないと説明した。その上で日本の不当な輸出規制措置を速やかに撤回するよう促した」

     

    「ホワイト国除外」問題の説明は、当方も飽きてしまった。韓国は、自分だけが正しい。改めるところはないと胸を張っている。これでは、外交は不可能である。EUでは、韓国を「ホワイト国」として認めていないのだ。日本にこれだけ「言い寄って」来るならば、EUにも同じようにやるべきだ。福島県ほか8県の海産物を輸入規制しながら、韓国だけの主張をしてくる。日本政府の当局者は、こういう国を相手にしているとストレスも溜まるだろうと同情する。

     

    『聯合ニュース』(8月27日付)は、「タイとのGSOMIA締結を推進へ、韓国政府が閣議決定」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「韓国政府は27日、タイとの軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結を推進することを閣議決定した。タイとのGSOMIA締結は、軍事機密の相互保護のための制度的基盤を構築し、両国間の国防分野の支援と協力を強化するのが目的だ」

     

    タイからどういう軍事情報を仕入れると言うのか。北朝鮮情報が得られるのだろうか。韓国の国益を増進するのか。日本の軍事情報はいらなくて、タイの軍事情報は必要だという。日本への当てつけであることは明々白々。この子どもじみた行動に笑ってしまうのだ。


    1104 (2)
       


    ブログを書きながら笑ってしまいました。韓国は、日本とのGSOMIAを破棄することが国益とか。「牽強付会(けんきょうふかい)」も良いところです。一方で、タイとGSOMIAを締結するというのです。他国のやることですから「ご自由に」と言うほかないのですが、韓国国民に説明が付くだろうかと、心配するほどです。

     

    文政権は、政権担当して満2年4ヶ月経ちましたが、成功例は一つもありません。失敗例は山ほどあります。なかでも、日韓関係は最悪事態を迎えています。文氏は来年4月の総選挙を控えて、反日を選挙材料に使う腹です。韓国国内を「反日一色」に染め上げて、保守党に勝つべき戦略を立てているはずです。

     

    日本脅威論を押し立て、来年度予算を増やしています。文政権になってから2年間で補正予算を3回も組まざるを得ないほど景気実勢は悪化しています。4回目の補正予算を組んだり、最初から来年度予算を大型で組むには「日本脅威論」がうってつけの理屈付けです。

     

    現実には、日本からの輸出が世界経済の低調に見合った程度の減少です。日本が、故意に輸出を減らしている形跡はないと、韓国当局も認めています。それでも、「日本脅威論」を振りかざし、野党の反対を封じる戦術です。なかなかの巧妙な振る舞いをしています。

     

    しかし、「日本脅威論」は思わぬ落し穴が待っています。韓国は、国内で政治的に不安要因が高まると、財布の紐を締めてしまう習性があるのです。文政権は、ことさら「日本脅威論」を流しています。「NO JAPAN」とか「NO 安倍」がそれです。これが一見、日本に対抗する姿勢を強調しているのですが、実際は違っており弱気に陥っているのです。

     

    これまで、一度も経済的に対抗措置を取らなかった日本が、ついに立ち上がった。遠くは,豊臣秀吉の例もある。「日本が怒り出したら手がつけられない」という、潜在的な恐怖感に火がついています。口では、日本が怖いと言いません。一人一人の胸の内は別です。現実に、日韓関係が最悪化した7月以降、消費者心理指数は急落しています。日本が怖いのです。

     

    韓国政府が、「日本恐怖論」を打ち出している以上、個人が財布の紐を固くするのは当然でしょう。日本品を買うなと言うのは、韓国品も節約しましょうということになっています。

    どうか、この点を間違わないでいただきたいのです。「不買運動」は、日本を困らせることもさりながら、韓国の商店も不買の犠牲になっているのです。人間の微妙な心理を読まねばなりません。

     

    不買運動やっても、トータルで見ればみんな損をしています。小売店、韓国政府、それと日本企業も程度の差はあります。韓国の被害の方が、広範囲に出ているはずです。韓国も、損を被っていることを知るべきでしょう。


    a0960_001610_m
       

    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    文氏の側近醜聞で支持率低下

    日本軽視が招く韓国経済衰微

    政治不安が韓国消費者を萎縮

     

    文在寅(ムン・ジェイン)政権は、側近中の側近と言われる法務部長官候補、曺国(チョ・グク)前大統領府民情首席秘書官のスキャンダルで足下を洗われています。曺氏にまつわる疑惑はいくつかありますが、最も国民感情を逆なでしているのは娘の大学不正入学疑惑です。高校3年生で、大学医学部論文の筆頭筆者として名を連ねたからです。

     

    「筆頭筆者」とは、その学術論文を主としてまとめたという意味です。高校生の身分で、大学医学部論文の筆頭筆者になり得るはずがありません。この論文によって、娘が高麗大学という韓国で「四天王」とされるトップクラスの大学へ、無試験入学できたのです。

     

    韓国の大学入試は、競争率と質の高さで異常なほどの関心を呼んでいます。前記の「四天王」クラスの受験生は、高校2年レベルで東大入試問題をクリアするというほど。一日の受験勉強は20時間に近いと言いますから、常識を外れています。昨年春、ソウル大学へ入学できた学生が、入学一週間後、なぜか飛び降り自殺した事件がありました。これに悲嘆した家族(両親と妹)が、相次ぎ自殺するという悲劇が起こっています。韓国の大学受験は、これほどの悲劇と裏腹のところで行われる狂気とも言えでしょう。

     

    過激な受験競争の世界である韓国で、ソウル大学教授を父に持つ娘が、親の七光りで高麗大学へ無試験入学とは、余りの優遇で卒倒するほどでしょう。このスキャンダルは、他の投資問題と絡んで韓国検察から強制捜査が入りました。約20カ所の家宅捜査です。関係者2人には出国禁止命令が出されました。事件化するまでに出国した2名にも帰国要請が出されました。これだけの捜査態勢が敷かれている以上、文大統領は曺氏を法務部長官候補として指名し続けるのか、大きな曲がり角に立っています。

     


    文氏の側近醜聞で支持率低下

    文在寅氏にとって頭の痛いのは、前大統領の朴槿惠(パク・クネ)氏と長年の友人であった崔順実(チェ・スンシル)氏の娘が、大学不正入学で国民の憤激を買った事件と似通っている点です。前大統領の事件で、文氏は当時の野党代表として朴政権を厳しく非難しています。今度は、文氏の最側近で同様な事件が起こったのです。

     

    まさに、ブーメランに見舞われました。ダブルスタンダードは許されません。崔氏の娘の不正入学を非難攻撃し、自らの最側近では「不問」とはいきません。文氏が、得意とするフレーズの「国民感情が許さない」のです。 

     

    現に、これまで文大統領を支持してきた中道派は、今回の法務長官候補のスキャンダルで嫌気が刺し、顕著な「支持離れ」を見せています。

     

    韓国ギャラップ調査(8月27日発表)によると、今月20~22日実施した世論調査で、文大統領に対する中道層の国政遂行支持率は43%。直前の調査だった8月第2週(50%)より7%ポイントもの急落となりました。否定評価は同期間43%から50%へ7%ポイント上昇したのです。20代と50代、地域では首都圏中道層の離脱が目立つと指摘されています

     

    下線をつけた部分について、コメントをつけます。

    20代は、生々しい受験競争の経験が生きています。50代は、受験生の子どもを持つ親の世代です。首都圏中道層が多いのは、大学入試が最も身近な世代が住んでいるので、今回のスキャンダルで敏感に反応したのは、合理的説明が可能です。

     

    文政権発足当初と現在までの中道派支持率推移を比較しますと、中道層離脱で劇的な変化が起こっています。政権発足時には、多くの期待を寄せた「御祝儀」でした。それが、最低賃金の大幅引上げによる失業者増加で、期待感が薄れて昨年12月では 支持・不支持が拮抗しました。最近時の調査では不支持が支持を上回るという逆転が起こっています。(つづく)

     

     

    30 1025    1
       

    日本列島を襲っている秋雨前線が消えれば、すがすがしい秋がやってくる。深まる秋と共に出てくる話題は「ノーベル賞」だ。すっかり、受賞常連国になった日本だが、この勢いはいつまで続くのか。中国が、そろそろお鉢が回ってくるのでないかと期待しているふうに見える。

     

    ノーベル賞受賞に必要なことは、国際的な研究の連携が必要だとされている。独りでコツコツと職人芸でやるのでなく、世界を舞台にして共同研究を立ち上げるような度量が必要とされる。その点で、中国は米国の著名大学や研究所へ手を伸しているが、最近、にわかに雲行きが怪しくなってきた。中国人研究者が、研究成果を盗んで母国へ持ち帰っているという例が頻繁に報告されている。こうなると、西側諸国は、中国に盗まれた技術のリストをつくって、中国人研究者をマークするだろう。

     

    もう一つ、米国が中国人研究者を積極的に排除していることだ。米国の研究所で重要ポストまかされながら、こっそりと中国の研究所に籍を置く人物が摘発されている。著名な米国の医学研究所で、所長が解任されたケースが、中国関係が理由であった。中国人と言えば、米国籍になっていても、必ず「スパイ活動」を誘ってくるという。FBI(連邦捜査局)が、動静に目を光らせており、具体的なスパイ手口まで公表し、逮捕への協力を求めているほどだ。

     

    『サーチナ』(9月1日付)は、「毎年のようにノーベル賞を受賞する日本人、この勢いはいつまで続くのか」と題する中国記事を掲載した。

     

    ここ10年ほど、日本は平均で毎年1人ずつノーベル賞受賞者を輩出している。日本人受賞者が増えたのは2000年からで、それ以前は5ー6年に1人ほどだったことを考えると、急激な増加だ。中国メディア『今日頭条』(8月28日付)は、日本が毎年のようにノーベル賞受賞者を出すのはいつまでなのか分析する記事を掲載した。



    (1)「日本はいつまで今のペースを保って受賞者を輩出していくのだろうか。記事は、英国と米国の例を引き合いに出し「今がピークだが、このピークはいつか終わる」と主張。それは、記事によると「知識生産能力のピークは、物的な生産能力のピークよりも遅れてくる」ためだ。ナポレオン時代の1815年に戦勝国となった英国は世界最大の債権国となり、「世界で最も金持ち」の状態が100年続いた。そんな英国から有名な科学者が出たのは経済発展のピークを過ぎた19世紀後半であり、後に「世界で最も金持ちの国」を70年続けた米国も同様だった。日本はバブル崩壊前に40年間物質的な生産力の発展がピークとなったが、今は「知識生産能力のピーク」を迎えているというのが主張の根拠らしい」

     

    創造的な研究には、「研究の自由」が不可欠である。政治的な雑音から離れていることも必要条件だ。日本では、京都大学など関西圏がそうした条件を満たしている。東京では、やたらと政府の委員に引っ張り出されて研究時間を失うのも痛手らしい。地方の大学に有利な環境があることは事実だ。

     

    中国は、政府が国威発揚で研究を利用してダメにしてしまうのでないか。自由な発想を認めない中国に真の研究精神が宿っているか不明だ。いつも、研究に補助金をぶら下げられている状況では、研究=金儲けとなっている。ノーベル賞のような基礎研究では、中国人と中国の政治体制が不向きと見る。

     

    (3)「この論理で言えば、日本からのノーベル賞受賞者は今後減っていくことが予想され、逆に中国からは増えていくことになるだろう。記事に対しても、「中国が科学者の育成を始めたのが20世紀に入ってからなので、10年後にはたくさん輩出されるだろう」と期待する声があがる一方、やせ我慢なのか「中国には必要ない」と主張する人も少なくなかった。理由は「ノーベル賞は資本主義の甘い砲弾」だから、あるいは「我々には自信があるので」など様々なようだが、本心では日本が羨ましくてたまらないのではないだろうか」

     

    中国の経済成長は、もはや限界領域に入っている。経常収支も赤字転落が目前であり、貯蓄不足が深刻になってきた。世界が描く中国の「GDP世界2位」は、実質的に架空のものと見るべきだ。厳しい内部矛楯が進行している。

     

    a0005_000048_m
       

    韓国政府が、笛や太鼓で騒ぎ回った日本の「経済制裁」の影響は、8月の対日貿易にほとんどなかったことが判明した。「NO JAPAN」と反日を煽った韓国政府と与党は、意外な結果に驚いているはずだ。フランスでのG7開催直前、韓国政府高官が手分けしてG7各国へ、日本を告げ口して回っていた。今は、ばつの悪い顔をしているに違いない。

     

    『日本経済新聞 電子版』(9月1日付)は、「韓国、対日貿易、輸出管理強化で大きな影響出てない」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国産業通商資源省が1日発表した8月の輸出入動向によると、対日輸出は前年同月比で6.2%、輸入は同8.2%それぞれ減った。日韓貿易は米中貿易摩擦の激化などの影響で減少傾向にあり、8月も同様だった。日本は7月から半導体材料3品目の輸出管理を強化したが、同省は「いまのところ大きな影響はない」と分析している」

     

    (2)「日本が韓国向けの輸出管理を強化した半導体材料3品目の7月の対日輸入額は8000万ドル(約85億円)。対日輸入額全体(約416000万ドルドル)に占める比率は1.8%にとどまる。同省によると、3品目の輸出管理強化が「実際の生産の遅れなどにつながった事例はない」としている」

     

    (3)「韓国の半導体・ディスプレー産業は日本から部品や素材、製造装置を輸入して完成品をつくり、世界に輸出している。8月(125日)は半導体市況の悪化に伴う設備投資の低迷を受け、日本からの半導体製造装置の輸入は33%減少した。対日輸入はこのほか、原動機部品が同28%、鉄スクラップが同18%それぞれ減った」

     

    「大山鳴動して鼠一匹」という状況に終わったことが判明した。韓国が、それにも関わらず騒いだのは、これまでの日韓貿易構造の欠陥に気付いた結果であろう。必要な部品や素材は,すべて日本から輸入し、自国での開発を行わなかった「安直さ」を日本が突いたことにある。

     

    日本は、世界でもっとも他国からの批判を気にする国である。海外で、「韓国虐め」という噂を立てられることに敏感にならざるを得なかった。事実、7月以来の海外論調では、そのような「風評」がいくつか見られた。だが、日本企業は、長年の取引実績のある輸出相手企業に対して、木で鼻をくくるような対応ができるわけがない。

     

    江戸時代以来の老舗が多い日本である。取引相手を大切にするからこそ、時代の風波を超えて生き抜いてこられたはずだ。その原動力は、商品の品質を磨き取引先を大切に扱う「顧客第一主義」であろう。日本企業が、韓国の取引先を大事にしていることは容易に想像できる。



     

     

    このページのトップヘ