勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年09月

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    日韓対立が表面化して、ちょうど2ヶ月経ちます。韓国では、「NO JAPAN」から「NO 安倍」と旗のスローガンは変りました。相変わらず反日不買運動をやっています。韓国の騒ぎに比べれば、日本はウソのように静かです。「韓国品不買」というニュースも聞きません。

     

    中国では、こういう日韓の対照的な動きに興味を持って報道しています。日本は「風林火山」であるというのです。ちょっと、紹介しましょう。

     

    韓国国民は、「憤青」(憤怒青年)のような状態です。怒れる若者は過激で、活動がヒートアップしている。ところが、日本の反応はいたって冷静である。日本は基礎科学の分野に力を入れてきた結果、毎年のようにノーベル賞受賞者を出しており、「匠の大国」として材料分野を極め、韓国に必殺の一撃を加えられるようになったと論じています。そして、「風林火山の武田信玄を模倣し、孫子の兵法を実践している」と手放しで絶賛しているのです。以上の記事は、中国メディア『今日頭条』(8月20日付)からの引用です。

     

    結論として、この記事は、韓国よりも日本の方が信頼できること。中国は、韓国のように憤青を育成するより、日本のように匠を育成すべきだと主張しています。中国は、日韓問題の傍観者として、こうした点を学ぶべきだとしているのです。



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    「憤青」は、日本が経済制裁してきたと錯覚し、その不安の余りに「不買運動」を始めたというのが真相と思われます。これまで日本は、韓国から歴史問題で批判されても、陳謝し賠償を払うという受け身でした。それが一転、韓国を「ホワイト国除外」にする対抗措置に出たのでビックリ仰天したのでしょう。

     

    日本が本気になって怒り出した。そういう不安が、「NO JAPAN」や「NO 安倍」という旗を作らせたと見られます。現に、韓国の消費者心理は7月に入って、急速に悪化しています。これを反映し小売売上高が落ちています。韓国の「反日不買運動」は、日本の足を引っ張る目的だったものが、自分の首を締めるという意外な結果を招いています。

     

    「風林火山」のような日本の動きが、韓国の「空騒ぎ」民族には恐ろしく見えるのでしょう。ここで、この騒ぎを収める方法を考えて見ました。それは、日本が韓国を「虐めている」という、事実に合わぬイメージを流されるのは不本意なことです。「日本は韓国を経済制裁する意図は全くない」。こういう言葉を発して、韓国を安心させてやることです。

     

    10月に入れば、半導体製造3素材の輸出も順調に進むはずです。そうなれば、韓国も安心して騒ぎを起こさなくなるように思います。手の焼ける韓国ですね。

     

     

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    昔の中国人は倹約家であった。今の若者は、米国流に変ってきた。一人っ子政策で甘やかされて育ってきた結果だ。この甘やかしが、中国経済を逆境に追い込む要因になってきた。

     

    昨年、中国の経常収支黒字は、対GDP比で0.4%にまで落込んだ。今年は、0.1%まで落込む見通しである。赤字スレスレである。これは、中国の国内貯蓄が枯渇してきた証拠である。急速な人口高齢化が、促進している一方、若者の消費行動が無軌道で債務依存という思わざる事態が招いた危機である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月30日付)は、「中国若者の消費スタイル、 まるで米国人」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国政府は過去何十年にもわたり、輸出とインフラ建設に依存する形で成長を促進してきた。しかし、米トランプ政権の対中関税攻勢を受けて、最近は景気減速の兆候が出始めている。新たな消費パターンは、電子商取引大手 アリババグループ 、ネットサービス大手 テンセントホールディングス などのハイテク企業に利益をもたらしている。これらの企業の急速な成長が、中国経済の活性化に寄与している。しかし、こうした消費にはすべてマイナス面がある。若い世代の消費のための借金を背景に、過去数年間で家計の債務は急増した

     

    エコノミストの中には、中国政府の発表する「消費」が、個人消費と誤解している。政府消費を含めているのだ。このトリックにまんまと騙されて、「中国の個人消費は60%もある」と書き、中国経済安定論の片棒を担がされている。実際のGDPに占める個人消費比率は、40%未満である。個人消費は、安定どころか不安定化している。

     

    40%未満の個人消費比率では、中国経済を支えられない。その40%も、借金依存で無軌道な若者消費がリードしていれば、中国経済はきわめて底の浅い経済と見るほかない。

     

    (2)「高水準の企業債務と政府債務は以前から中国政府にとって懸念材料だった。一部のエコノミストは、家計債務の増加を受けて社会全体の債務負担が管理不能となり、中国の成長を阻害することを不安視している。エコノミストの中からは、将来の問題を回避するためには、家計債務の伸びが、より持続可能な水準に抑制される必要があるとの声も聞かれる。これは中国経済への新たな逆風になるかもしれない。彼らが描く最悪のシナリオは、高水準の政府、企業、家計の債務が景気減速を悪化させ、中国国内でより広範な信認の喪失を招く可能性があるというものだ」

     

    中国の家計消費は、債務依存で不健全である。今後の中国経済が、企業や政府の過剰債務のほかに、家計の過剰債務まで加われば、すべての経済部門が「借金漬け」になる。他の発展途上国を債務漬けにしてきた中国が、逆に債務漬けとは笑い話にもならない。

     


    (3)「JPモルガン の推計によれば、国内総生産(GDP)比でみた中国の家計負債は2020年までに61%に上昇する見通し。これは2010年時点の26%から増加しており、イタリア、ギリシャの現行水準より高い。国際通貨基金(IMF)によれば、米国の水準は2006年に98%に達したあと低下しており、現在は約76%となっている。別の測定方法である可処分所得に対する家計負債の比率でみると、中国は既に米国の水準を上回っている。上海財経大学高等研究院の研究員、レイ・ニン氏によれば、同国の比率は2018年に117.2%となり、2008年の42.7%から大幅に上昇。米国は2007年に135%とピークに達したあと、2018年には101%へと低下している」

     

    家計は、一国経済の「貯蓄源」である。それが、逆転して「借金源」と変れば、中国経済は著しく不安定化する。中国の家計負債の対GDP比は、イタリア、ギリシャの現行水準より高い61%(2020年)の見込みである。可処分所得に対する家計負債の比率でみると、中国は既に米国の水準を上回っている。積み上がった家計負債が、経済のブレーキに変るのだ。

     

    (4)「中国の若い世代が失業したり、賃金の引き下げに直面したりすれば、消費を急激に抑制することが必要となり、中国経済の鈍化を加速させる恐れがあることを懸念する向きもある。もし若い世代が雇用、賃金面でそうした状況に直面せず、負債をさらに拡大し続けることになれば、彼らは将来もっと打撃を受けやすい状況に追い込まれる可能性がある」

     

    (5)「2008年の金融危機の際に米国で見られたように、成長が鈍化すればデフォルト率は急激に上昇する。クレディ・スイス 香港オフィスのエコノミスト、ドン・タオ氏は、この世代は「苦しい時期がどのようなものか想像がつかない」と指摘、「どのような消費者金融ブームでも常に試練の時期はくる。例外はない」と述べた。タオ氏は若い世代を含め中国経済全体で住宅ローンの債務問題が深刻化しつつあることを指摘。住宅ローンの債務残高は2012年第4四半期の時点で11000億ドルだったが、今年6月時点では39000億ドルに膨れ上がっている」

     

    中国経済は、もはや米中貿易戦争を続けられる限界を超えている。家計債務が、急激に増えている状態では、失業率増加が加われば、GDPは急ブレーキを踏むことになろう。

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    日韓「GSOMIA破棄」を巡って、米国政府は韓国を批判している。韓国は、米韓同盟とはいえ、国益が優先すると啖呵を切って、米韓関係までモヤモヤする状況だ。韓国はこの微妙な時期を狙って、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、米軍基地26カ所の早期返還を求めるとの挙に出て、反米姿勢をチラチラ見せ始めてきた。

     

    これは、米国政府への「嫌がらせ」である。韓国のGSOMIA破棄は、韓国の主権に関わる問題であり、米国政府が関与すべきでない。こういう韓国政府の主張を反映している。韓国には、日米韓三カ国の安保インフラという認識はないのだ。

     

    現在、韓国政府の主権という意識が全面に出ており、この延長で米軍基地の「早期返還」を求めたと見られる。「早期移転」でなく「早期返還」という強い言葉が、韓国大統領府の米国への高姿勢ぶりを浮き彫りにしている。

     

    韓国大統領府が、今回の米軍基地早期返還要求を求めた背景は、大統領府に陣取る「86世代」の「親中朝・反日米」路線から出てきたことは容易に想像できる。元学生運動家の反米思想が、「今がチャンス」とばかり、米国への嫌がらせとなって現れてきたのであろう。

     


    『朝鮮日報』(8月31日付)は、「青瓦台、NSC会議後に米軍基地早期返還を公に要求」と題する記事を掲載した。

     

    青瓦台(韓国大統領府)は30日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長の主催で国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、竜山など米軍基地26か所の早期返還と平沢基地(キャンプ・ハンフリーズ)への早期移転を積極的に推進したいと発表した。青瓦台がNSCまで開いて在韓米軍基地の「早期返還」を公に要求するのは異例と評されている。

     

    (1)「韓日軍事情報包括保護協定(GCOMIA)破棄決定の後、米国政府は公に不満を表明してきており、韓国政府はハリー・ハリス駐韓米国大使を呼んで「自制」を要求した。こうした韓米対立の状況での米軍基地早期返還要求は、米国に対する公の圧迫措置と解釈されている。青瓦台はこの日、NSCの後に出した報道資料で「在韓米軍再配置計画に基づく早期返還を積極的に推進することとした」として、「竜山基地返還手続きは今年中に開始し、基地返還が長期間遅れている原州、富平、東豆川地域の4基地は最大限の早期返還を推進することとした」と発表した」

     

    韓国大統領府の本音は、「日本の味方をしている米国に一泡吹かせてやれ」という復讐心であろう。

     

    (2)「青瓦台は、仁川市富平のキャンプ・マーケット、江原道原州のキャンプ・ロング、キャンプ・イーグル、そして京畿道東豆川のキャンプ・ホビー射撃場の名前を具体的に挙げつつ「基地返還が長期間遅れていることにより社会的・経済的困難が生じている」とも主張した。米軍が当初合意した日程の通りに基地を移転せずにいることから、移転ができるだけ速やかに実現するよう措置を取りたいという意味だと解されている。青瓦台の関係者は「韓米合意に基づく平沢基地への移転を、定められた手続きどおりに推進しようというもの」だとして、「米国側に事前通知を行った」と語った」

     

    韓国大統領府は、わざわざ国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開いて決めたことだ。米国に対して、一歩も引かないという対抗心を漲らせている点が、感情論であることを裏付けている。

     

    (3)「一部からは、韓国政府がGSOMIAをめぐる韓米対立や米国の急激な防衛費分担金引上げ要求に対する反発で「米軍基地早期返還」を要求したのではないか、という見方も出ている。青瓦台は、このところ韓米対立の状況について「同盟より国益が優先」とコメントしてきたシン・ウォンシク元合同参謀本部次長は「米国が抗議すると分かっていても今回のような措置を取った」として、GSOMIA破棄後に米国が反発したことを受け、むしろこのチャンスに対立角をはっきり立てようとしている」と語った。だが青瓦台の関係者は「返還が予定されていた米軍基地80カ所のうち、これまでに54カ所が返還されて26カ所が残っており、進め続けてきたことに速度を付けたいという意味」だとして、「GSOMIA終了決定などとは全く関連がなく、別の韓米の安保懸案とも関係ない」と語った」

     

    下線をつけた部分は、韓国が米国から離れようという前兆の動作とも受け取れる。もしそういう意図を秘めていれば、来年の総選挙には不利になろう。北朝鮮の核保有が鮮明になっているなかで、米軍と離れた韓国は嵐の中へ飛び出すようなもの。韓国民族主義が、周囲の状況も考えずに騒ぎ出している感じだ。


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    韓国は、プロの外交官や安全保障専門家であれば、絶対にやらない「GSOMIA破棄」に出てきた。感情論に基づく決定である。米国の非難に対しては、「同盟の利益」よりも「国益優先」と粋がった発言をして自己満足に陥っている。この論法で行けば、米国は朝鮮戦争で敗走した韓国を救援する必要はなかった。恩を仇で返す韓国の「非倫理性」に驚くほかない。

     

    韓国政府は、内外の専門家が一斉に不安を覚える安全保障政策に舵を切った。その背景には、外交も安全保障も専門知識のない元学生運動家が、「反日米思想」だけで国家を動かしているという危険性がある。

     

    『中央日報』(8月29日付)は、「『韓国は中国側に行くのか』、米国・日本の疑心強まる」と題する記事を掲載した。

     

    日韓の軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了決定で韓米同盟が根本から揺らいでいる。韓国政府は「国益」を名分に出したが、米国は「失望」と表現して「考えを変えるべき」と警告した。米国務省は韓国の独島(ドクト、日本名・竹島)防御訓練についても「問題を悪化させるだけ」と懸念を表した。これに対し韓国外交部は28日、ハリス駐韓米大使を呼んで「失望」という表現の自制を要請したが、米国は不快感を表した。米国防長官と統合参謀本部議長は一斉にまた批判した。これまでになかったことだ。さらにシュライバー国防次官補は破棄の理由を「韓国内の政治」と指摘した。韓日葛藤が韓米攻防に拡散する傾向だ。

     

    (1)「2016年のGSOMIA締結を担当した柳済昇(リュ・ジェスン)元国防部政策室長(予備役陸軍中将)は、「情報交流は戦略的評価と直結する」とし「安全保障問題をあまりにも安易に考えた」と指摘した。情報は正確性・迅速性・信頼性が基本だ。それでいくつかのソースが必要となる。北の軍事活動と核・ミサイル脅威に対する日本の情報寄与は韓・米の次だ。北朝鮮情報が不足したり間違って推論すれば、韓米連合防衛体制に弱点が生じる。これを狙った北が挑発すれば最前線にある在韓米軍の危険が高まり、防衛に困難も生じる。また、日本にある国連軍司令部の後方基地(7カ所)を拠点とする連合作戦の遂行が困難になる

     

    GSOMIA破棄は、完全に「素人判断」である。全く専門知識のない大統領府側近が、判断できる問題でないことを裏付けている。日韓GSOMIAを破棄すれば、朝鮮半島有事の際、日本にある国連軍司令部の後方基地(7カ所)を拠点とできないという事実さえ理解していないのだ。

     

    (2)「申範チョル(シン・ボムチョル)峨山政策研究院安保統一センター長は、次のように指摘する。有事の際、迅速な情報共有が核心であるため、その枠組みであるGSOMIAがさらに重要となる。戦争状況では北のミサイルが数百発ずつ落ちる。北の潜水艦と特殊部隊が東海(トンヘ、日本名・日本海)公海上に浸透すれば日本の海上哨戒機の情報が必須だ。しかしGSOMIAを破棄すれば日本から情報を現場で直接受けることができない。米国の艦艇を経由すれば迅速な対応が難しい」

     

    「86世代」の元学生運動家が、判断しそうな「GSOMIA破棄」論である。

     


    (3)「インド太平洋戦略は米国の大戦略だ。韓米同盟はその中にある。韓国がこの戦略に消極的であるため、日本は韓国を排除しようとする。ロスト(lost)コリアになっている。今回のGSOMIA破棄を通じてロストコリアはさらに加速化する。韓国の安保的魅力も落ちる。こうした状況をどう挽回するかが悩みだ」


    文在寅政権は、米国の描くインド太平洋戦略に消極的である。中国への配慮からだ。しかし、米韓同盟はこのインド太平洋戦略に組み込まれている。ここから離れた韓国は、中国へ身を寄せる積もりなのか。韓国国内の保守派の存在を考えれば、そういう露骨な「親中朝・反日米」路線をすぐには取りにくいだろう。こういう悩みを抱えて、韓国はカントリーリスクを高めるのだ。「GSOMIA破棄」は、総合的視点が完全に欠如し、感情論に支配されたものであることを示している。

     

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