勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年09月

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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    家宅捜査受けた新任法相

    自浄能力欠く韓国の運命

    3事例に浮かぶ衰退国家

    労働貴族が誤解する変革

     

    韓国政治が、混乱している。新任のチョ・グク法務長官(法相)が、9月22日11時間に及ぶ家宅捜査を受けた。就任前からいくつかの疑惑を抱えており、韓国国会の聴聞会でも疑惑は解けなかった。この聴聞会中にチョ氏の妻が、検察から文書偽造の罪で取り調べを受けることなく、在宅起訴という異例の措置を受けた。

     

    家宅捜査受けた新任法相

    文在寅大統領は、こういう緊迫化した状況を受けながら、「新たな疑惑が出なかった」という軽い認識で、議会の聴聞会報告を受けずに「強行任命」した。実は、ユン・ソクヨル検察総長は事前に、文大統領へ「チョ・グク法務長官不適格」(ハンギョレ新聞)と諌言していた。文氏は、それを無視してチョ氏を法務長官に任命したことになる。任命権者としての文大統領は、余りにも軽率と言わなければならない。

     

    もともと検察改革は、文大統領が政治に参加することを決心する過程で重要な動機となった、とされている。チョ氏も長い間、検察改革運動に取り組んできた。大統領は、チョ氏を民情首席に任命した時から、「検察改革」の執行人として目を掛けてきたとされる。こういう文大統領とチョ氏の関係から、長官就任を固辞できなかったという事情を指摘する報道もある。

     

    チョ氏にかけられている疑惑は、次の3点とされる。

     

    1)娘のソウル大学のインターン確認書偽造

    2)実弟経営の熊東学院工事代金の虚偽

    3)証拠隠滅

     

    検察は、チョ氏が少なくとも3つの疑惑に直接関与したものと見ている。検察内部ではこの結果、チョ長官を事実上の被疑者扱いに転換して、強力な捜査体制を敷くものと見られる。検察にとって痛し痒しなのは、今回の捜査が文政権の最大の目玉政策である「検察改革」潰しと誤解されかねない点である。韓国独立後、検察は時の政権の「差し金」によって、反対派弾圧の「手先」になってきたという芳しくない経緯があるからだ。ただ、今回の捜査を指揮するユン検察総長は事前に、チョ氏が「疑惑満載」であると警告してきた事実から言えば、「検察改革潰し」という批判は消えるであろう。

     

    任命権者である文大統領は、チョ法務長官の任命に当り、自らの業績を残したいとする焦りが招いた一件とも言える。ユン検察総長の事前警告も聞き入れずに指名したからだ。この事態は、文政権に「自浄能力」ゼロであることを示唆する。文氏が「チョ就任反対」という世論を受入れていれば、今回のような醜態を招かなかったはずだ。文氏が成果を焦り、「アンテナ」の感度まで狂っていた結果であろう。

     

    文大統領は、なぜ誤った決断を下したのか。それは、すべて政治的な思惑先行によるものだ。事前に、「チョ疑惑」の数々が報じられている中で、文氏があえてそれらを無視したのは、来年4月の総選挙を意識したものであろう。検察改革という進歩派に悲願の政治課題を解決するには、チョ氏を法務長官に就任させ与党支持派を結束させる必要があった。そして、文氏はチョ氏を自らの後継大統領候補に据えて、進歩派政権の継続を狙っていたのだ。今や、この構想は瓦解したと言うほかない。

     

    自浄能力欠く韓国の運命

    私は、今日のメルマガの「統一テーマ」として、韓国は「自浄能力」が完全に欠如した社会であることを強調したい。自浄能力とは、言葉を換えれば「市場機構」である。市場は情実を受け付けず、真に合理的なものしか存在できないシステムである。韓国は宗族社会ゆえに、宗族ごとの利益が優先されており、韓国社会全体の利益が軽んじられている国である。

     

    その意味では、近代化以前の「朝鮮李朝時代」のままだ。特権階級の「ヤンバン」(両班)は、利益を貪り庶民を食い物にしても、何らの精神的な痛みも感じなかった。現代においては、財閥や労組、市民団体が特権階級をなしている。財閥では、財閥家族が王侯貴族のふるまいである。労組は、「労働貴族」と称せられているように、最低賃金の大幅引上げで自営業者や若者を踏み台にして利益を貪った。市民団体は、強引に原発を廃止させ太陽光発電で多額の補助金を懐に収め、豊富な清治資金を貯め込んでいる。(続く)

     

     

     


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    韓国では、「ポスト安倍」政権が、対韓強硬政策を変えるかどうか注目している。だが、韓国大法院が、日韓基本条約に背く判決を出して以来、完全に風向きが変ったと見ている。日本が、国家間の条約を破る韓国と融和姿勢を取れる余地がなくなったという認識で一致していることに関心を寄せている。

     

    『中央日報』(9月25日付)は、「安倍氏が退いても韓国に対する強硬基調は変わらない」と題するコラムを掲載した。筆者は、 陳昌洙(チン・チャンス)/世宗(セジョン)研究所日本研究センター長である。

     

    (1)「 問題は、ポスト安倍が誰になっても対韓政策は特別な変化を見せない可能性があるというところにある。最近、韓日関係が悪化の一途をたどりながら、安倍氏は韓国を排除した北東アジア戦略を露骨に模索している。すなわち「信頼できない韓国」を排除しながら、北東アジアで日本の役割を拡大しなければならないという安倍氏の主張が明確に強化された。現在、安倍政権は米国を説得して中国に対抗するためのインド太平洋戦略に熱心だ。ここに韓国を含めることには消極的だ。その一方で中国との関係回復には積極的だ」

     

    安倍首相が、韓国に愛想を尽かしたのは事実だ。韓国が誠実に対応しないことが最大要因である。徴用工判決と慰安婦合意を事実上、破棄するという行為は信じがたいものであった。日本が、韓国を「信頼できぬ国」と見なすことは致し方ない。韓国は、そういう行為を行ったのだ。

     

    (2)「日中関係の改善は日米関係の悪化に対する保険の性格というだけでなく、韓国を牽制(けんせい)するカードとして考慮した。特に、北朝鮮との条件をつけない首脳会談の提示は、南北を仲違いさせて利益を取ってきた伝統的な2つのコリア(Two Korea)政策の転換を暗示している。このような安倍氏の強硬姿勢が日本国民から支持を受けている状況が我々を悲しませている」

     

    安倍政権の支持率が50%を上回っているのは、経済の安定が支えになっている。若者の間で、安倍支持は多数を占めている。就職率向上が、安倍支持率を押上げている。外交面では、日米蜜月関係をつくり上げ、中国との関係も深めてきた。日本が今後、米中対立を緩和させる役割も担う可能性が出て来た。こういう中で、韓国が訳の分らない歴史問題を持出してくれば、日本が拒否するのは当然。韓国は、従来の日本観で外交戦略を固めると、齟齬を来たして日本の激しい反発を買うだけだ。韓国は、日本との生存共栄を考えるべき時期に突入している。

    (3)  日本政界の対韓強硬の流れは自民党内の穏健派だといっても安倍氏と別段違うところがない。その例として、河野太郎防衛相(前外相)は韓国に親近感を有している代表的な政治家だった。しかし、外相時期の発言を見ると、安倍氏の右派的な考えをそのまま代弁するだけでなく、かえって反韓的な態度を示したりした。日本政界の親韓派は、これ以上韓国問題に関心を持とうとしない。さらに嫌韓の雰囲気をあおったりもする。「韓国の友」はどこにいるのかと思うほどだ」

     

    日韓関係が徹底的に破壊されたのは、文大統領が出現して以降である。日本の安全保障政策の転換もあり、韓国が日本に対する従来のような傍若無人の振る舞いは容認されないだろう。韓国は、それを早く認識することだ。

    (4)「 日本国民の安倍支持は長期沈滞による景気回復への熱望、国際関係に対する危機意識、そして韓中の歴史認識に対する反発に関連した日本社会の変化を代弁している。韓国で輪ポスト安倍は安倍氏と違うだろうと期待していては日本社会の変化を見逃す。現在、日本政界は国民の嫌韓の雰囲気拡大で親韓派は消えて安倍氏の政策に同調する傾向が強い。安倍氏の支持率が57%に高まる状況で、ポスト安倍も他の声を出すことは難しくなった。今のように日本で韓国不信が定着した状況ではなおさらだ。果たして韓日関係が正常な関係に発展できるのか強い憂慮がある

     

    下線を引いた部分は重要である。 このコラムの筆者は、冷静に日韓関係の底流が変ったことを認識している。「帰らざる河」なのだ。今後、韓国経済が衰退すればするほど、日本は韓国を相手にしなくなるだろう。現在が、その分岐点である。いつまでも、「韓国は日本をバカにできる唯一の国」という見当外れの優越感に浸っている、と大火傷するに違いない。


    (5)「ポスト安倍に期待をかけるといっても韓日関係が改善されるという保障はない。今からでも安倍政権と対話ルートをつけて互いの不信がどれほど危険な状況なのかを理解させなければならない。今の相手が最悪だからといって避けるのではなく、相手と対話と妥協を通じてリスクを管理する冷静な戦略が必要だ」

     

    文政権は、日韓関係を破壊した政権である。日本が絶対に妥協しない理由は、韓国の一方的日本批判が度を越しているからだ。それでも、中国の韓国に対する「虐め政策」から見れば、低レベルである。日米韓三ヶ国という枠がはめられているからだ。


     

     

     

     

     

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    9回目となった24日の米韓首脳会談を巡って、韓国側は落胆している。韓国は、米国産液化天然ガス(LNG)追加輸入、米国製兵器の購入などと「手土産」を持参した。秘かに期待していたのは、日米韓の三カ国首脳会談である。日韓が直接会談を開くには、まだまだ壁が高い。そこで、トランプ氏を挟んで儀礼的な会談でも開いて欲しかったのだ。

     

    日米が、日米韓三ヶ国首脳会談に関心を持っていないこともあり、韓国の「隠し球」は不首尾に終わった。ここまで来ると、文大統領の計算違いが日米韓にこれほどの溝を掘ってしまったことに驚かざるを得ない。11月22日に失効するGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)は、日米側からの反応がないために、韓国が撤回しない限りは自動消滅になる運命だ。

     

    『中央日報』(9月25日付)は、「『空っぽ』の韓米首脳会談で先が見えない韓米同盟」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「24日ニューヨークで行われた韓米首脳会談は中身がなかった。韓米同盟の危機をもたらす韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄など核心の争点に関する議論はなかった。北朝鮮の完全な非核化に向けた深い意見も出てこなかった。メディアとの質疑応答時間はトランプ米大統領のワンマンショーだった。トランプ大統領は「私が大統領でなかったとすれば今ごろ北朝鮮と戦争をしているだろう」「金正恩(キム・ジョンウン)委員長との関係は良い」など、北朝鮮非核化や同盟とは距離がある発言を続けた。このため文大統領は答弁の機会がなく、冷めた雰囲気だったという。両首脳の9回目の会談だったが、まったく信頼感は見られない」

     

    トランプ氏は、米韓首脳会談になると記者団と即席の記者会見をして、文氏の出番が全くないという、はなはだ外交上の礼儀に反した行動を取っている。なぜなのか。トランプ氏による、文氏の存在を無視した振る舞いは、米韓関係の隙間風を象徴した光景でもある。トランプ氏は、何らかのサインを出しているのだろうが、韓国は掴めずにいる。

     
    (2)「 韓米同盟はいま先行きが見えない。昨日から防衛費分担金実務会議が始まったが、交渉の結果は予測できない。米国の50億ドル(約6兆ウォン)要求に政府は首を横に振っている。米国の分担金要求額は今年の1兆389億ウォン(約930億円)の5倍にのぼる。トランプ大統領の「取引」優先主義によるものだ。同盟が取引対象に転落した。11月には韓米同盟の重要な基盤であるGSOMIAが破棄される。GSOMIAが中断されれば韓米連合防衛体制に決定的な亀裂が生じる。それでも両首脳は今回の会談で同盟復元のための可視的な結果を出すことができなかった。GSOMIAは議題にもならなかった」

     

    韓国は、GSOMIAを破棄してしまったが本気ではなかった。日本に「ホワイト国除外」を撤回させるための「演技」であった。ところが、日米首脳は沈黙している。文大統領は日韓関係について韓国政府が責任をもって打開するという「原則論」を語っているが、どうする積もりか。展望は全くないのだ。

     

    仮に、韓国がGSOMIAを破棄したままでいれば、米韓関係は一段と冷え切ってくる。日米はこの際、韓国を追い詰めて精神を入れ替えさせる狙いかも知れない。この問題は、日米韓三ヶ国における最大の「時限爆弾」になってきた。

     




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    韓国経済が、音を立てて壊れてきた。8月の生産者物価指数が、前年同月比「マイナス0.6%」に下落したからだ。7月の「マイナス0.3%」から低下幅が拡大している。生産者物価と消費者物価は連動している。8月の消費者物価指数は、前年同月比「マイナス0.04%」の下落である。これで、9月の消費者物価指数の「マイナス」予想が強くなってきた。

     

    両物価指数が揃ってマイナス状況に落込めば、「デフレ定着」と言って差し支えない。マクロ経済では2017年9月が、景気のピークと判定された。既に2年もの間、景気が下り坂に入っている以上、今回の現象は当然、起こるべくして起こったことだ。

     

    デフレとは、物価が持続的に下落すること。企業の倒産、失業者の増大など社会不安を伴う。現在の韓国経済は、まさに「デフレ基調」に落込んだ。文政権は、これまで「景気は順調」と嘯(うそぶ)いてきた。それだけに、冷や水を掛けられた思いだろう。情けない政府である。経済の基調転換も見通せない「アマチュア政権」である。

     

    『朝鮮日報』(9月25日付)は、「韓国生産者物価が2カ月連続下落、高まるデフレ懸念」と題する記事を掲載した。

     

    韓国銀行は24日、8月の生産者物価指数が前年同月に比べ0.6ポイント低下したと発表した。卸売物価である生産者物価は時差を置いて消費者物価に反映されるため、消費者物価も8月(マイナス0.038%)に続き、9月もマイナスとなる可能性が高まった。生産者物価指数の下落は7月(マイナス0.3%)に続き2カ月連続だ。

     

    (1)「8月の生産者物価を品目別に見ると、農産物(マイナス11.7%)、畜産物(マイナス8.4%)、石炭および石油製品(マイナス9.5%)、化学製品(マイナス4.4%)などの価格下落が1年前と比べ目立った。7月にも同じ理由で生産者物価が下落した。細かい品目別に見ると、白菜(マイナス53.8%)、大根(マイナス66.1%)、スイカ(マイナス32.0%)、ホウレンソウ(マイナス45.9%)など農産物価格が昨年8月と比べ、大きく下落した」。

     

    7~8月の生産者物価指数の下落要因では、農産物価格の下落が目立つ。これは、農家経済を直撃しているので、個人消費への影響は出て不思議はない。農産物価格の下落要因は、豊作が理由か。需要の下落が原因か不明であるが、スーパーで「サツマイモ」のバーゲンセールをしても売れ残ったことを考えると、需要減が主因と見られる。

     

    (2)「生産者物価が2カ月連続でマイナスとなり、消費者物価も同じ軌道を描くと予想される。アフリカ豚コレラ(ASF)が広がり、豚肉価格は上昇局面にあるが、価格が値下がりした品目の方が多かった。韓国農水産食品流通公社(aT)によると、24日現在で国産のサムギョプサルの小売価格(冷蔵)は100グラム当たり平均2123ウォンで、アフリカ豚コレラ発生直前の今月16日に比べ、5.2%上昇した。しかし、1年前の価格(同2130ウォン)をやや下回る水準だ」

     

    消費者物価では、アフリカ豚コレラ(ASF)が広がり、豚肉価格は上昇局面にある。だが、代替品のサムギョプサルの小売価格(冷蔵)は、1年前の価格を若干、下回る程度である。購買力の低下そのものが、代替品価格の値上がりを抑制した形だ。韓国経済は、上昇エネルギーが奪われた格好である。厳戒体制に入っているのだ。

     

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    韓国与党の非常識は度を超している。政権交代と共に公共機関長の自動交代制を議会に提案しているからだ。公共機関は、できるだけ民営化すべきというのが世界の潮流である。日本では、国鉄・電電公社・専売局・郵便事業などすべて民営化して経営効率を高めている。

     

    韓国では、いまだに公共機関として存続させている。経営トップは、政府が任命する建前上、猟官運動が盛んだ。文政権では、その弊害が大きく報道された。前政権が任命した経営者を任期途中で強引に辞めさせて問題になったのだ。辞めるように嫌がらせをする、公募人事の場合、事前に質問要項を教えるなど、違法行為を重ねた。

     

    来春の総選挙を目前にして、前記の「依怙贔屓(えこひいき)人事」がヤリ玉に上がらぬように、政権交代と公共機関の人事交代をワンセットにして批判封じ策に出て来たものと見られる。この政権与党は、どこまでも「厚かましい」振る舞いをする。

     

    『東亜日報』(9月24日付)は、「公共機関長の自動入れ替え、経営安定性と独立性を害するおそれが大きい」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「与党「共に民主党」が大統領の任期が終われば、129の公共機関長の任期も同時に終了させるいわば「公共機関の自動入れ替え法」を推進している。国会企画財政委員会の与党幹事の金政祐(キム・ジョンウ)委員などの民主党議員18人が、このような内容を柱とする「公共機関の運営に関する法律」の改正案を提出した。大統領が任命する67の公共機関長は、外部の専門家が参加する役員推薦委員会も経ることなく、長官の提請で大統領が直接任命できるようにする案も含まれている

     

    近代経営の原則は、出資と経営の分離である。この理屈を公共機関経営に当てはめれば、政府の出資と公共機関の経営を分離すること。つまり、専門経営者に任せるべきだ。この原則から外れて、政権与党の言い分を聞くだけの経営者であっては、国民への奉仕が不可能である。

     

    戦前の日本では、政権交代と共に警察署長まで替わると言われてきた。韓国は、この悪しき例を踏襲しようというのだろう。日本よりも100年は遅れた統治意識である。

     

    (2)「現在、公共機関法は、3年の機関長の任期を保障しているが、歴代政権は慣行的に政権が変れば、公共機関長も変える事実上の猟官制を行って毎回、摩擦をもたらしてきた。政権発足初期に新しい人を任命しようとする政府と、任期を全うしたいという機関長の間に対立が繰り返されてきたのである。民主党の改正案は、このような摩擦の余地を当初から取り除くという趣旨に受け止められる」

     

    (3)「電力公社、鉄道公社、道路公社、LHなどのほとんどの公共機関は、国民生活に密接な商品やサービスを提供する企業であり、統治哲学の共有よりは、経営の専門知識と政治的独立性が要求される場合が多い。政権が交代するたびに、任期を始めたばかりの機関長を変えるなら、公共機関の経営の安定性と継続性を損ないかねない」

     

    与党は、もっともな理屈をつけているが、そうではあるまい。次回の総選挙で野党から「お手盛り人事」と批判されるのを回避したいだけだろう。公共機関経営の効率化を図る目的ならば、「政府統治」の弊害を絶って、専門経営者に経営を委ねることだ。政府は、無原則に人事に介入する誤りをみとめるべきだろう。前政権の決めた人事だから変えて当然という、身勝手な理由は許されない。

     

    (4)「歴代政府は、統治哲学を具現するという名分の下、専門性と資格の足りない人々を天下りで送り、公共機関の経営を台無しにしてきた。民主党と文在寅(ムン・ジェイン)政府もこれまで、公共機関の独立性を損なうことを「積弊」と非難したが、いざ政権を握ると、キャムコド(大統領選挙キャンプ・コード・共に民主党)の出身者を大々的に公共機関長に天下りさせた」

     

    進歩派政権は、理想論を前面に出して前政権を批判しながら、やることと言えば前政権以上の醜悪な猟官運動を伴っていた。定職のなかった人たちの救済という意味が濃く、適性からほど遠い人物を登用してきた。恥を知るべきである。

     

    (5)「天下りの機関長は、機関の生産性を高めることに貢献するよりは、労組と野合して「彼らだけの既得権」を強固にしたり、政界の苦情を引き入れて組織を台無しにすることが多かった。今は資格不足の人物を天下りで任命することが繰り返されないように、機関長と常任監査役等の高官の人選過程を透明かつ公正に改善することから急ぐべき時だ。韓国経済と社会の重要な軸を担当する公共機関を維持発展させるためには、政治的独立性と専門性を保障しなければならない」

     

    このパラグラフの主張は、100%正しい。公共機関長は、専門経営者を当てるべきである。与党の言い分は、子どもじみた幼稚な理屈に過ぎない。

     

     

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