韓国経済が文在寅(ムン・ジェイン)政権発足直後の17年9月に「山」を迎え、今は後退局面に入っていることが正式に確認された。韓国政府は最近まで「景気後退」を認めていなかったが、これまで間違った診断に基づいて景気を委縮させる政策を相次いで打ち出し、「景気後退をあおった」との批判が高まっている。
文大統領はつい数日前まで、「景気は順調、悪化説はフェイクニュース」とまで強調してきた。実際には、大統領の方が偽ニュースを流してきたわけで、メンツ丸潰れである。世界に、こういう根本的な事実誤認する大統領がいるだろうか。
『朝鮮日報』(9月21日付)は、「文在寅政権発足直後の2017年9月が景気の山」と題する記事を掲載した。
(1)「韓国統計庁は9月20日、国家統計委員会の経済統計分科委員会を開き、「韓国の第11循環期の景気『山』を2017年9月と暫定的に設定した」と明らかにした。一国の経済活動は上昇期と下降期を経るが、「谷」-「回復」-「山」-「後退」に至る1周期を「景気循環」という。統計庁は景気の局面が転換する時点(山と谷)をその時点から2-3年後に正式発表する。統計庁は2016年6月、第11循環期の景気の底を「2013年3月」に設定した。統計庁は「2013年3月以降は内需を中心に景気が徐々に回復、2016年10-12月期以降は世界経済の成長の勢いが強まり、貿易が拡大するなどして回復傾向が拡大した」
この景気の「山」の設定指標に用いられたのは、「先行指数」であることだ。現実の景気循環の「山」設定作業では「一致指標」が用いられるはず。この点に疑問を持たざるを得ない。なぜ、景気の「山」判断に先行指数を用いたのか、である。
(2)「国内景気が下がっているという見方は、既に昨年上半期から取りざたされていた。金広斗(キム・グァンドゥ)国民経済諮問会議副議長=当時=は昨年5月、「現在の景気は後退局面の入り口」と評した。だが、金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相=同=が「性急な判断だ」と反論するなど、公の場で舌戦を繰り広げた。昨年下半期から韓国開発研究院(KDI)など国内の主要機関も景気について「後退の兆しを示している」と評したが、政府は「良い流れを維持している」との主張を曲げなかった」。
下線部分の判断は、「一致指標」の下落傾向が6ヶ月以上続きそうだという判断があった。私は、この一致指標の下落傾向から、昨年10月が景気の「山」説を取ってきた。それが、「景気判断」の尺度が、「先行指標」に変ったとすれば驚きである。
(3)「企画財政部が毎月発刊する「最近の経済動向」(別名「グリーン・ブック」)では、昨年9月まで景気について「回復傾向」と評していたが、今年4月になって「不振」を認めた。企画財政部は20日に発刊した今月のグリーン・ブックでも「不振」と評した。6カ月連続「不振」という表現を使ったことになり、これは2005年のグリーン・ブック発刊以来、最長期間だ」
政府の企画財政部は、昨年9月まで「景気回復」と逆の判断をしてきた。なんとも恥ずかしい「誤診」である。
(4)「専門家らは、「政府が景気後退期に最低賃金の急激な引き上げ、不動産規制、法人税・所得税引き上げなど市場にとって負担のかかる政策を強行したのは、(景気下降に)『火に油を注ぐ』ようなものだった」と指摘する。漢城大学のキム・サンボン教授は「政府は景気後退期であることを認め、研究・開発や産業分野に財政を投入し、市場競争力を高める方向に進むべきだった。短期雇用やインフラなどとんでもない所で血税を無駄遣いしたのは大きな失策だ」と語った」
下線を引いた部分で明らかなように、景気下降局面で、さらなる景気引き下げの行為を行う政策ミスを冒した。
① 最低賃金の急激な引き上げ
② 不動産規制、法人税・所得税引き上げ
市場にとって負担のかかる政策を行った。景気の落勢を強める結果になったのだ。文大統領は、国民にどのような釈明をするのか。最賃の大幅引上げが最大の失策である。