韓国経済は、底が抜けたような状況に追い込まれている。30大企業グル-プの7~9月期の営業利益は前年比50%減となった。期を追うごとに落込み幅が大きくなっている。輸出不振に内需不振が重なって、「NO文政権」という状況である。
海外からも韓国経済への不安視が強まっている。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』に続いて英紙『テレグラフ』は29日(現地時間)も下記のように報じている。
『中央日報』(10月31日付)は、「韓国、『日本の失われた20年』より深刻な経済危機も」と題する記事を掲載した。
(1)「英紙『テレグラフ』は、韓国経済が危機に直面した理由として、米中貿易戦争や韓日葛藤など対外要因だけでなく、所得主導成長や法人税引き上げなど文在寅(ムン・ジェイン)政権の誤った政策のためというのが同紙の分析だ。同紙はソウル大行政大学院のパク・サンイン教授の韓国経済分析を引用した。パク教授は「韓国経済が不況を迎えることになれば、1997年の通貨危機当時と同じような危機が発生する可能性がある」と述べた。パク教授は韓国が2011年から下降傾向だと説明し、「韓国の危機は日本の『失われた20年』より状況がさらに深刻になるだろう」という見方を示した」
韓国経済が、慢性的な危機状況にありながら表面化しなかったのは、輸出増が内需不振を隠してきたからだ。昨年12月から輸出が前年比マイナスに落込み、韓国社会が実勢悪に気付いただけであろう。ここで、韓国経済が「衰退不可避」のデータを提示したい。
潜在成長率推移 生産年齢人口比率
1991~1995 7.3% 70.5%
1996~2000 5.6 71.5
2001~2005 4.7 72.3
2006~2010 3.9 72.8
2011~2015 3.2 73.3
2016~2020 2.5
(資料:現代経済研究院) (資料:世界銀行)
生産年齢人口比率が上昇する「人口ボーナス期」でありながら、潜在成長率が下がっていた事実を見落としてはいけない。韓国経済がすでに生産性が落ちていたことだ。労組の生産性向上への協力拒否も見逃せない。韓国社会がバラバラで統一が取れないマイナスは大きい。唯一まとまるのは、「反日」だけというなんとも不思議な「感情社会」である。
『韓国経済新聞』(10月31日付)は、「半導体不況に内需不振重なり韓国30大上場企業、 7~9月期営業利益半減」と題する記事を掲載した。
韓国の主要上場企業の7-9月期の営業利益が前年同期より50%以上急減したことがわかった。業績が悪化した1-3月期と4-6月期より減少幅が大きい。国際会計基準(IFRS)が全面導入された2012年以降で最大の減少幅だ。一部では韓国企業の競争力が根本的に損なわれたのではないかとの懸念が大きくなっている。
(2)「韓国経済新聞が30日に7-9月期の業績を発表した四半期売り上げ1兆ウォン以上の30大企業(金融・持ち株会社除外)の営業利益を集計した結果、総額14兆2779億ウォンで昨年7-9月期の31兆1433億ウォンより54.2%減った。今年1-3月期の46.9%減、4-6月期の49.7%減より減少幅が大きくなった」
営業利益前年比減少幅
1~3月期 46.9%
4~6月期 49.7%
7~9月期 54.2%
この「釣瓶落とし」の状況を見れば、韓国経済が容易ならざる事態に落込んでいることが分かるはずだ。韓国大統領府の「素人集団」だけは、経済が順調であると嘯いてきた。経済データの見方が分らないのでないか、とすら思うほど鈍感な反応であった。もはや、逃げ口上は許されない。
(3)「サムスン電子とSKハイニックスなど半導体企業の営業利益が70%近く急減したのが決定的だったが、鉄鋼、石油精製、化学、建設、電子などほとんどの業種が振るわなかった。30大企業の売り上げ比営業利益率は6.1%で昨年7-9月期の13.1%から半分水準に落ち込んだ。同期基準では2014年7-9月期の5.2%以降で最低だ」
半導体市況の急落が、収益を悪化させた主因であるが、ほとんどの業種が不振である。7~9月期の30大企業グループの営業利益率は6.1%。前年同期は13.1%であった。半減以下である。ここまで低下してくると、設備投資も研究開発も絞らざるを得なくなる。韓国経済にとってはSOSである。