勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年12月

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    世界最貧国の北朝鮮が、世界覇権国の米国を脅迫する図は滅多に見られるものでない。何が北朝鮮をそこまで駆り立てているのか。それは、北朝鮮の経済逼迫がギリギリの段階まできている証拠だ。背に腹はかえられぬ。ここは、一か八かという賭けに出て来たのだろう。その裏には、米国は、軍事行動を起こすまいという「甘え」が前提になっている。いざとなれば、韓国が止めてくれる。文在寅氏の「人の良さ」を利用しようとしている。

     

    北朝鮮による「年末」と時間を区切った米国への威嚇は、29日現在では実施されていない。あれだけ大言壮語しながら控えているのは、米軍の厳戒体制がある。妙な動きをして、米軍の奇襲攻撃を受けたら元も子もない。ひとまず、「年内」は矛を収めているのかも知れない。

     

    北朝鮮が朝鮮労働党の中央委員会総会を12月28日に開催し、総会で示される新しい戦略路線や政策に関心が集まっている。2017年以前は、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などを行って米国と対立した。その時の強硬路線に回帰するか、挑発と対話の硬軟両様であいまいで戦略的な選択をするか注目されるのだ。

     

    ここで北朝鮮が党大会を開催したのは、カムフラジューにみえる。あれだけ米国を脅迫しながら何もやらなかったとすれば、米国が脅迫に驚かず、逆に厳戒体制を敷いて北朝鮮を締め付け、動けぬ状態に囲い込んでしまった結果だ。そこで、北朝鮮は党大会を開催して戦術の練り直しをしている、と読めるのだ。

     


    ここで、北朝鮮の外貨事情を見ておく必要があろう。

     

    今年3月頃では、北の外貨保有額は30~70億ドルと推算されていた。対北制裁の余波で1年に約10~15億ドルずつ消えているとすれば、現在の対北制裁が維持される場合、最悪なら今年中に、少なくとも来年中に保有外貨がなくなる可能性がある、と予想されていた。この外貨事情に狂いがないとすれば、この年末に「一勝負」賭けてくることは十分に根拠がる動きだ。

     

    『聯合ニュース』(12月29日付)は、「北朝鮮、大規模な党中央委総会開催、情勢認識反映した新路線注目」

     

    北朝鮮は今回、異例の形式で総会を開き、現在の情勢を重大に受け止めていることをうかがわせている。北朝鮮が朝鮮労働党の中央委員会総会を28日に開催し、総会で示される新しい戦略路線や政策に関心が集まっている。今回の総会は事前予告から期間、参加者数などが従来と異なる。総会は通常、政治局常務委員や委員、候補委員、約200人の党中央委委員らが出席するが、今回は党や内閣、中央機関の幹部、道人民委員長、市・郡党委員長、武力機関の幹部など、北朝鮮体制を支える重要関係者が傍聴した。歴代の総会のうち、最も大きな規模とみられる

     


    (1)「北朝鮮の最高指導者が党大会や党代表者会で実施していた「国家事業全般に関する報告」を金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が総会で行ったことも注目される。また、総会を1年に2回招集し、1日以上行うことも金日成(キム・イルソン)政権の時期を除けばなかったことだ」

     

    経済的に逼迫しているので、改めて党内の引締めを図る目的があろう。ここで、対米強硬路線を決めたところで成算があるわけでない。米軍が、厳戒体制をとっており、トランプ氏が妥協して経済制裁を緩めるはずがない。来年の大統領選を控えて弱気を見せれば、トランプ氏が大統領選で不利になる。北は、成算なくして突っ込めば、正恩氏の座を脅かすことにあろう。こう見れば、北が正常な感覚に戻らざるをえないであろう。

     

    (2)「規模が大きくなり、期間も長くなった総会は、今後追求する路線の決定や政策方向などが示される可能性を示唆する。朝鮮中央通信は総会の議題について、「現情勢下でわが党と国家の当面した闘争方向と、革命の新しい勝利を獲得するための重要な政策的問題」と伝えた。また、「革命発展を一層加速させ、党建設や党活動、国家建設と国防建設に関する重大な問題を討議するため」に総会を開いたと報じた」

     

    一言で言えば、党内の引締めであろう。経済的に超劣勢の北朝鮮が、米国に対抗できることは、罵詈雑言しかないことも事実だ。米軍の厳戒体制が、北朝鮮の士気を挫く有力な手段であろう。

     


    (3)「国家と国防建設の重大な問題を討議したと発表したのは、北朝鮮がこの2年間取ってきた硬軟両様の対応を取りやめ、新しい重大決定を行うことを予想させる。具体的な内容は公開されていないが、米国との対話ではなく、強硬路線の道を選ぶ意思を確認する可能性がある。「変化した対内外の情勢の要求に合わせ、国家の戦略的地位と国力を一層強化し、社会主義建設の速度を高めていくための闘争路線と方略」が示されるとしており、核保有国の地位に再び言及し、核武力やICBMなど戦略兵器の開発を強化する宣言が出る可能性もある」

     

    核武力やICBMなど戦略兵器の開発を強化する宣言が出れば、米国は一段と経済制裁を厳しくするだけだ。北朝鮮を屈服させるには、軍事力を使わずとも経済制裁に加えて金融制裁を行なえば、大きな効果が上げられるという。北朝鮮と取引した企業の決済を止めてしまえば、世界中で北朝鮮と取引する国はなくなる。最後は、その急所を締上げることだ。

     

    (4)「総会では外部に依存する急速な経済成長ではなく、時間がかかっても「自力更生」による経済成長を続ける路線を維持するとみられる。国連など国際社会の制裁が続く中、北朝鮮が体制の維持のためには自力更生以外に別の選択肢がない状況だ」

     

    北朝鮮が「自力更生」の道を選ばざるを得ない以上、韓国へも圧力がかかってくる。文政権は、隙があれば「経済支援」したがっている。米国は、これを止めなければならず、米韓でこの問題が最大の軋轢要因になりそうだ。

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    韓国文政権を見て驚くのは、すでに南北統一準備を始めていることだ。国民の意識を民族意識に燃えさせ、難なく南北統一する「前工程」として、北朝鮮の美化に着手している。高校歴史教科書の書き換えは、統一へもっとも手っ取り早い手段であると見ているからだ。

     

    文政権の思惑は外れるだろう。現在の若者は、北朝鮮への郷愁はない。それは両親の世代までの話だ。北朝鮮は、30代の専制君主が国民の人権を弾圧していること。それに較べて、韓国の30代は結婚もできず、ウロウロさせられている。そういうギャップが災いして、南北統一に否定的である。

     

    文政権は、こういう若者世代の動向に危機感を募らせ、高校歴史教科書を「北朝鮮化」させる手を打っている。まさに、歴史の政治化である。欧州にも、左右の政治勢力が存在する。だが、教科書の記述を巡って消耗的な論争が膨れ上がるケースはまれだという。教科書は特定の政治的立場や歴史観を強要するものではない。歴史的事実に基盤を置くべきである。そういう合意が、知識人社会にあると指摘されている。

     

    韓国には、こういう欧州のような成熟化した民主主義は育っていない。文政権が属する韓国進歩派は、「敵か味方か」というヒトラー的な全体主義に陥っており、何が何でも韓国を北朝鮮に近い思想状況にさせたい妄念を抱いている。危険きわまりない企みである。

     

    『朝鮮日報』(12月29日付)は、「韓国史教科書の75%は評価未定の近現代史150年、それ以前の数千年は25%」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国政府の検定を通過し、来年3月から各学校で使われることになる高校韓国史の教科書8種類全てで、先史時代から朝鮮王朝時代までの前近代史の比重が低下し、近現代史の比重が過剰なほど高まっていることが判明した。「歴史教育の不均衡」を招くという懸念が浮上している。特に、ほんの数十年から数年前に起こり、利害当事者が生存しており、まだ歴史的判断が下されていない事件や、依然として政治的な攻防の材料になっている事件を歴史の教科書に放り込んだ-という指摘が出ている。今年まで高校で使っていた従来の韓国史検定教科書は、前近代史と近現代史を半分ずつ扱っている」

     

    下線を引いた部分は、歴史という分野でなく、「時事問題」である。ましてやその当事者が生存している問題まで歴史として扱う。「メチャクチャ」な歴史教科書だ。これこそ、韓国進歩派が、敵か味方かという短絡した物差しで歴史を判断している証拠である。

     

    日韓併合に対する評価もこれと同じだ。敵である日本の統治であるからすべて悪。朝鮮民族は、日本から徹底的に弾圧され搾取されたという「歴史観」を押しつけている。そういう虐げられた朝鮮に、鉄道が敷かれ学校教育制度が普及し、京城帝国大学まで作るという「植民地収奪」があり得るか。こういう疑問には一切答えず、「日本は悪党」という紋切り型で処理しているのだ。        

                                                              

     

    (2)「大韓民国(韓国)は、国連が認めた「韓半島唯一の合法政府」だという内容をはじめ、北朝鮮の挑発、北朝鮮の世襲体制、北朝鮮住民の人権問題を扱うべきだとする部分などが省かれた8種類の検定教科書のうち6種類が「哨戒艦『天安』爆沈」(注:北朝鮮の攻撃による)をきちんと記述していないのは、こうした基準によって作られたからだ。韓国国内1642校の私立小・中・高校の集まりである「韓国私立小中高等学校法人協議会」は19日、「偏向性の論争が持ち上がった8種類の教科書を来年1学期から一線の高校でそのまま使うことに深い懸念を表する」として「韓国政府が早急に執筆基準を再整備し、バランスの取れた内容の歴史教科書を発刊させることを求める」とする立場を打ち出した」

     

    下線部分は、すべて北朝鮮に関わる既述である。北朝鮮と韓国は、法的にいえば休戦状態であり、戦争は終結していない。それにも関わらず、「敵国」である北朝鮮を美化している。これで再び、北朝鮮が韓国へ軍事行動を取ってきた場合、何と説明をつけるのか。

     

    朝鮮戦争は、北朝鮮がソ連の承認を得て仕掛けたことが明らかになっている。1994年、ロシアのエリツィン大統領(当時)が韓国に渡した旧ソ連の極秘文書で、朝鮮戦争直前に北朝鮮の金日成(キム・イルソン)が、韓国へ侵略するためにソ連のスターリンになんと48回も建議していたという事実が判明している。ここに、北朝鮮の韓国への侵略は歴史的事実として確定している。文政権は、それにも関わらす北朝鮮の肩を持っており、この事実をできるだけぼやかそうと狙っている。文政権は、北朝鮮へ接近する振る舞いを続けているのだ。

     

    韓国国内1642校の私立小・中・高校は19日、偏向性の論争が持ち上がった8種類の教科書を高校で使うことに深い懸念を表したのは当然である。文政権は、これほどまでして北朝鮮を美化し、統一したいのであろう。「北朝鮮愛」が燃え盛っているのだ。

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    中国の習近平国家主席は、失敗続きである。米中貿易戦争では、情勢判断を誤り米国へ対抗したばかりに、経済はガタガタに落込んでいる。失業者急増で突発的な社会騒動が懸念される事態だ。香港では、民主化要求デモを強権で弾圧し、区会議員選挙で親中派が大量落選の憂き目を見た。

     

    香港の強権による弾圧が、台湾総統選に大きく響いてきた。来年1月の選挙では、これまで「一つの中国」を唱えてきた国民党の支持率が急落している。不況が続き不利だった蔡総統は、「一つの中国」を否定してきたことでブレークし、「当選確実」という状況に急変している。これも習近平氏の強硬策がもたらした、「もう一つの失敗」である。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(12月23日付)は、「台湾総統選に立ちはだかる中国の影」と題する記事を掲載した。

     

    台湾与党・民主進歩党(民進党)の現職候補、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が、台湾の事実上の独立を阻止しようとする中国の動きに抵抗して同国指導部の怒りを買っていた。中国による香港民主化デモ弾圧が台湾に飛び火して、蔡氏は2期目4年間の続投を決めるのは、ほぼ確実な情勢となっている。皮肉にも、中国の香港統治強攻策が、台湾で「反中派」の蔡氏を勝たせる要因になりそうだ。

     


    (1)「国民党が総統選の候補者を決めた19年春の時点では、(国民党候補の)韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長が、大差で蔡氏を破るとの見方が多かった。痛みの伴う蔡氏の経済改革に有権者が不満を抱くなか、民進党の伝統的な地盤である高雄市の市長選に圧勝した韓氏は、人気ロックスター並の扱いを受けた。だが、この7カ月間で韓氏の支持率は50%弱から20%に急落。一方、蔡氏の支持率は34%から50%超に急上昇した。ここ数週間で、蔡氏は韓氏との差をほぼ30ポイントにまで広げた」

     

    韓氏の支持率は、50%弱→20%に急落

    蔡氏の支持率は、34%→50%超に急上昇

    両氏の支持率は、7ヶ月間で入れ替わってしまった。それほど、中国の「香港人権デモ弾圧」が、台湾総統選に影響しているのだ。中国へ近づけば経済面ではプラスでも、政治の自由を失うという危機感に結びつき、韓氏の支持率は離散した。

     

    (2)「中央研究院(台北)のネイサン・バトー副研究員は、「選挙戦終盤になって、あるいは選挙期間全体でみても、支持率がこんなに大きく動くのは異例中の異例だ」と台湾の学術機関が言う。「一般的に世論調査の数字は選挙戦全体を通じて数ポイントしか動かないのに」と。その異例な動きの背景にあるのが中国の存在だ。中国政府は台湾を自国の領土の一部であると主張し、あくまでも統一に抵抗するなら侵攻も辞さないと威嚇している。蔡氏は、香港の混乱を台湾の有権者に対する警告として利用し、「一つの中国」の原則を受け入れれば、海峡を挟んでの両義性の余地が失われてしまうと訴える。香港方式を導入すれば台湾の民主主義は終わるとの主張だ」

     

    国民党は、中国革命戦争で共産党に敗れて台湾へ逃げ込んだもの。国民党は、その敗北相手の習近平氏と握手し、尖閣諸島の帰属問題では日本と微妙な位置に立った。これで、長年の日本と国民党の友好関係に傷がついた。民進党の方が、はるかに親日的である。李登輝・元総統が親日であることを受け継いでいるからだ。日本としては、蔡総統の再選を祝いたい気持ちだろう。

     

    (3)「民進党の政治家や独立系アナリストは、韓氏が一気に頭角を現したのは中国が陰で選挙戦を操ったおかげだと指摘した。台北大学でインターネットによる情報操作について研究する沈伯洋助教授は「韓氏がソーシャルメディアで何かをつぶやけば、たちまち数十万人に拡散し、『いいね!』やコメントが寄せられた。他の政治家の通常のレベルをはるかに超えていた」と分析する。そうした反応を示したアカウントの大半が中国の一握りの省に集中していたという。だが、ソーシャルメディア上での韓氏の人気は急落した。台湾の有権者も韓氏を見限ったようだ。総統選と同日実施の立法委員(国会議員)選挙の候補者名簿で、国民党が中国共産党と関係の強い政治家を上位に据えたのを受けて、韓氏の支持率は急降下した」

     

    中国は、総統選に「介入」している。SNSの韓氏のアカウントに、中国の限られた省から「いいね」を押させて、あたかも人気が高いように見せかけたのだ。だが、それも効果が切れて韓氏の人気が落ちて中国の介入が逆効果になった。台湾では、中国の存在が嫌われているのだ。

     


    (4)「その後、オーストラリアに逃亡した「元スパイ」を名乗る中国人が、中国政府は高雄市長選で韓氏を勝たせるために大がかりな介入をしたと述べたのを受け、韓氏の支持率はさらに下落した。韓氏はこの疑惑を否定している。中国脅威論は韓氏の選挙戦に悪影響を及ぼしたが、蔡氏には強力な援軍となった。蔡氏は有権者の目を内政問題からそらし、中国に向けることができた。台湾にとっては米中貿易戦争も追い風だ。台湾のハイテク企業が生産拠点を中国から地元に戻す動きに出ているからだ」

     

    台湾経済は、米中貿易戦争の余波を受け、中国へ進出していた台湾IT企業が、相次いでUターンしている。これが、台湾経済を活性化させている。台湾は、中国の札ビラ外交で8ヶ国と外交関係を断絶させられた。これに激怒した米国が、台湾との関係をさらに密接化する「台北法」を上院外交委員会が決定し、上院へ提案する。この法律で、米台貿易協定を検討するなど、フォローの風が吹いている。すべて、習近平氏の行なった強硬策が破綻したものだ。

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    世代ギャップをもっとも強く示すものは、ゲーム機への関心程度であろう。無関心は、「旧世代」。関心ありは、「新世代」である。そのゲームを巡って、中国と韓国がバトルを演じている。問題の発端は、約3年前の韓国による「THAAD」(超高高度ミサイル網)設置に対して、中国が経済制裁を加え輸入を禁止したからだ。

     

    その間に中国では、日米のゲームだけが輸入許可され、韓国製は締出しを食ったまま。それだけでない。中国企業が、韓国製ゲームをコピーして韓国へ輸出する事態に遭遇している。その被害額は、数千億円と推計されている。

     

    先の中韓首脳会談で、韓国がこのゲーム問題の改善を要請すると期待されていた。その後、全くの「無言」であったことが判明。韓国ゲーム業界は、文政権の及び腰に落胆している。中国に対しては、抗議がましいことを何も言えず、中国の言い分をただ聞かされ、「同意した」と発表される始末だ。韓国の対中国外交は「存在」しない。

     


    『朝鮮日報』(12月29日付)は、「中国で横行する韓国ゲームのコピー行為、中国で営業許可が下りない間に笑う日本」と題する記事を掲載した。

     

    韓国のゲーム業者が中国企業のコピー行為などで韓国市場まで脅かされる中、中国の韓国企業に対するゲーム営業許可(版号)の発給中断問題は解決の兆しすら見えない。中国は2017年初めから終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備への報復の一環として、韓国のゲームに許可を出していない。

     

    (1)「そうした市場の空白には日本企業が食い込んだ。ゲーム業界は今年、中国が外国企業に発給した許可のうち3040%を日本企業が占めると推定している。日本の知的財産権(IP)を活用したゲームも中国で人気を集めている。ゲーム業界関係者は、「最近日本のIPを活用した中国のゲームは日本による独自製作と区分できないほどレベルが高い。韓国のゲーム業者による中国進出が阻まれる間、中国が日本企業との相乗効果で実力を養っている」と説明した。開発能力を高めた中国のゲーム業者は最近、韓国市場に進出し、好業績を上げ、韓国市場を侵食している」

     

    中国は、韓国を虐めている。「コリア・ハラスメント」だ。それに引き替え、日本を優遇している。狙いは明白である。中国が、米中貿易戦争で苦しんでいるので、日本を中国側へ引き寄せるためだ。だが、日本は中国のそういう誘いに乗ってフラフラすることはない。そこが、韓国と違うところである。政経を分離できない国は、中国が畏怖しないのだ。

     

    (2)「韓国ゲーム業界は、「中国のゲーム許可不発給による被害は数兆ウォン(数千億円)に達すると予想されるが、韓国政府は問題を解決しようとする努力すらしない」と指摘した。韓国ゲーム学会は今月11日、外交部に対する声明を出し、「韓国のゲームに対する中国政府の差別について、どんな見解と対応策を持っているのか明らかにしてもらいたい」と申し入れた」

     

    ゲーム業界は当初、文政権に期待を寄せていた。大統領選で支持もした。だが今、すべて裏切られたと怒っている。『朝鮮日報』(12月29日付)は、次のように事情を説明している。

     

    当初ゲーム業界は文在寅政権を「珍しくゲームに理解がある政権」だとみていた。文大統領の息子、ムン・ジュンヨン氏にはゲーム開発会社を起業した経歴があり、ゲーム産業に対する理解度が前任の大統領より高いとの見方だった。実際に文大統領は候補だった当時、「ゲームをまるで麻薬かのようにとらえる先入観や偏見は変わるべきだ」「否定的な認識で中国に追い越されたが、(規制を)適正に緩和すれば、再び韓国経済の成長動力になる」などと発言していた。

     

    今年初めに青瓦台で開かれた企業経営者との対話では、NCソフトの金沢辰(キム・テクチン)代表を真横に座らせ、ネットマーブルの房俊ヒョク(パン・ジュンヒョク)理事会議長と青瓦台の敷地内を散策した。

     

    しかし、いざ韓国ゲーム業界にとって切実な懸案の解決となると、無気力な姿勢を見せている。今月11日、韓国ゲーム学会は「前回の大統領選でゲーム産業復興の適任者として文在寅候補を支持したが、現政権の外交部は(中国の)許可証差別に何の対策も示していない」とする声明を出した。中国の問題は営業許可証だけではない。中国による韓国製ゲームの無分別なコピー行為について、韓国政府は解決法どころか、公式な抗議さえしていないのが現実だ。

     

    以上の記述を読むと、文政権が中国に対して、全くの無気力政権であることが分かる。その弱気の部分が、すべて「反日」となって向かってくる。この民族の「偏向」ぶりがよく分かるのだ。


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    韓国の憲法裁判所は、日韓慰安婦合意でまた妙な判決を下した。条約でなく政府間の合意だから拘束力を持たないというのだ。条約であろうと合意であろうと私的な約束ごとではない。国家を代表する政府間の合意は、拘束力がないという「珍判断」である。こうなると、日韓慰安婦合意で、日本が韓国に提供した10億円はどういう位置づけか。韓国政府による「詐欺」に当る。

     

    予算措置を伴う行為である以上、日本は立法府の承認が必要であり、国会議決を経ている。韓国は、議会の承認を経ていないとしても、日本は議会の予算行為として間接的に承認を経ているのだ。韓国憲法裁は、自国本位の決定している。日本の立場を無視したのだ。

     

    韓国は、裁判所も政府も法律意識面で、国際感覚からズレている懸念が強い。その一例は、韓国政府が昨年6月にイランのダヤニ一族との投資家・国家間訴訟(ISD)で敗訴したが再び、英国の高裁に判定の取り消しを求めた訴訟で敗訴した。韓国政府の国際的な法律紛争への対応能力に、深刻な欠陥があるのではないかと指摘されている。これは、韓国司法にも通じる話だ。

     

    徴用工賠償問題の大法院判決は、国際的な「司法自制論」からみて見当違いの判決である。日本政府が抗議したのは当然である。今回の憲法裁判所は、提訴を却下している。その理由は、「政治的合意で拘束力なし」である。韓国だけの立場である。大法院といい憲法裁といい。国際的な次元とは別次元の判断である。

     

    『韓国経済新聞』(12月28日付)は、「4年前の慰安婦合意、法的効力ない」と題する記事を掲載した。

     

    27日、韓国憲法裁判所は韓日慰安婦合意は、違憲審判の対象ではないと次のように判断した。「2015年の慰安婦合意は政治的な合意であり、慰安婦被害者の法的地位に影響を及ぼすとみることはできない」。憲法裁は裁判官全員一致の意見で請求を却下した。却下は訴訟の要件を満たさず本案自体を判断する必要がない場合に下す決定だ。

    (1)「憲法裁は、慰安婦合意が被害者の基本権を侵害する可能性や危険性を持たないと見なした。慰安婦合意が、法的拘束力を持つ条約でなく「合意」に該当すると判断したからだ。憲法に明文化された「条約」に関する概念はない。ただ、憲法第60条第1項などに条約が言及されている。条文には、国会が主権の制約に関する条約、立法事項に関する条約などに締結・批准に対する同意権を持つとなっている。また、憲法第73条は大統領に条約締結権を付与し、憲法第89条第3号は条約案で国務会議の審議を経なければならないと定めている」

     

    憲法裁は、国家間の「条約」と「合意」を分けている。条約は、国会での承認を必要とするので拘束力を持つ。「合意」は議会の承認をしていないので、拘束力を持たないとしている。こういう解釈が憲法裁から出た以上、韓国政府と「合意」しても取り消される懸念が生まれる。日本は10億円提供しても韓国政府に履行させる拘束力を持たないというのだ。

     

    日本の立場からいえば、「10億円の国家詐欺」にあったのも同然である。金を受け取っても約束ごとを守らない。政権は変っても、他国と結んだ約束ごと(条約や合意)を守る。これは、革命政権でも行なうことだ。文政権は、それもしなかった。信義において最低・最悪の存在である。



    (2)「憲法裁はこうした条約と合意を明確に区分した。憲法裁は「国家間の合意は拘束力を付与するにはあまりにも抽象的や具体性がない内容を含んでいて、条約締結の形式的な手続きを踏むこともない」と説明した。続いて「合意を履行しない国家に対して抗議や批判の根拠になることはあるが、法的拘束力とは区別される」と決定文に明示した。慰安婦合意が法的拘束力がない合意なら、それによって国民の法的地位は影響を受けないため、違憲審判の対象にならないと決定したのだ」

     

    下線を引いた部分は重要である。「合意を履行しない国家に対して抗議や批判の根拠になることはあるが、法的拘束力とは区別される」と決定文に明示した。韓国政府は、日本政府から抗議や批判されることはある、としている。しかし、拘束力はないというのだ。国家詐欺を働いて「赤っ恥をかくが、履行しなくても構わない」。何とも、韓国政府にぴったりな言葉のように聞える。日本政府も他国の政府も、韓国政府を相手にする場合、肝に銘じるべき点は、韓国政府と「合意」しても「国家詐欺」に遭うリスクを背負うことに気を付けることである。

     

     

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