けさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。
新型ウイルス感染力は2倍
武漢発症者は最悪25万人
中国のGDPは5%へ下落
韓国成長率は1.5%へ追随
中国武漢を感染地とする新型コロナウイルスは、当初予想を覆して世界中に飛び火している。感染力が弱いと見られたのは、発症するまでの時間が長いことが誤解されたものだ。SARS(2002~03年)に比べて、感染力は大きいことが分かってきた。
過去のインフルエンザによるRO(感染拡大率)を見ておきたい。WHOとは世界保健機関である。
過去のRO比較(WHO調査)
季節性インフルエンザ 1.28人
2009年 世界的大流行の新型インフルエンザ 1.48人
1918年 全世界に流行ったスペイン風邪 1.8人
武漢ウイルスのRO予想比較
WHO 1.4~3.3人
英米4学者 3.6~4.0人(詳細は後述)
米ハーバード大学ファイグルーディン博士 3.8人
新型ウイルス感染力は2倍
過去のROと武漢ウイルスの予想ROを比べると、今回の方が格段に高くなっている。これには、次のような理由が考えられる。
第1は、致死率は4%と低いものの、伝染力がきわめて強いことだ。肺にウイルスがくっつかず、喉の奥にあることが原因とされる。このため患者が「のどが痛い」と訴える。ウイルスがのどから出るのだ。せきをしなくても伝播する場合もある。風邪やインフルエンザのように地域社会に広がる状況が最悪である。以上は、韓国政府疾病管理本部の初代本部長を務めた翰林大聖心病院の鄭ギ碩(チョン・ギソク)教授(呼吸器内科)の見解である。『中央日報』(1月29日付)が伝えた。
第2は、グローバル化で人の交流が世界的になっている。2002~03年のSARS発症時の中国経済と現在(2018年)のそれでは、GDP規模が3.7倍にも拡大している。これに見合って、中国人の海外旅行が盛んになっており、それだけ海外への拡散率が大きくなっていると見るべきだろう。
第3は、発症地の武漢が、昨年12月末からSNSで「単なるインフルエンザでなく危険な感染症である」との投稿を取締、その関係者を拘束する大きなミスを冒したことだ。武漢市民は、これを見て「SARSの二の舞」と感知して、武漢市が交通機関(空路を含めた)封鎖を発表した時点で、市民1100万人のうち500万人以上が武漢を脱出していたことが判明した。これが、中国内外にウイルス菌をばらまく危険性を高めている。
中国が専制主義でなく、言論の自由が認められていれば、昨年末のSNSでのインフルエンザ発症情報で即時、防疫体制が取れたはずである。中国はSARS発症に次いで、今回もまた世界的感染症の発症地という不名誉な記録を担うことになった。秘密主義は感染症拡大の原因になるのだ。次の例がそれを示している。
第1次世界大戦中の1918年、スペインかぜの流行も「情報管理」が事態を悪化させた。米国では、政府当局者やマスコミが、戦意低下を避けるために、スペインかぜの被害を軽微に装おうと出来る限りの策を講じた。メディアが、この病気を「熱と寒気を伴う普通のかぜ」と表現していた時期に、1000人単位で人々が死亡する悲劇招いた。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月27日付)が伝えた。
新型コロナウイルス(武漢肺炎)の世界拡散を最も早く予測したのは、カナダの人工知能(AI)だった。17年前のSARS発生時に死闘を繰り広げたカナダの医師が創業したスタートアップ企業の技術である。そのスタートアップ企業「ブルードット」が、WHOや米国疾病予防センター(CDC)よりも先に武漢肺炎の拡散を警告していたことが1月28日に判明した。以上は、『中央日報』(1月29日付)が報じた。
それによると、ブルードットは昨年12月31日、AIで世界中のニュースや航空データ、動植物疾病データなどを収集・分析し、「ウイルスが拡散するだろう」という報告書を出していた。その後、昨年1月6日にCDCが、1月9日にWHOが新型ウイルスの拡散を公式に警告した。このように、中国の秘密主義で感染症を隠蔽していても、AIがいち早く情報をキャッチする時代である。中国は、このことに気付かなかったのだろう。(つづく)