勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年02月

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    2月の製造業PMI(購買担当者景況感)は、想像を絶する悪化であった。好不況ラインの50を大幅に下回る35.7に落ち込んだ。例年2月の製造業PMIは、春節明けで跳ね上がるパターンだが、今回は全く逆の結果になった。新型コロナウイルス発症という緊急事態発生が原因である。

     

    新型コロナウイルス伝染で、春節後に人間の移動や物流が大幅に制限されている。こういう中で、生産がほぼストップする事態に見舞われて再開が遅々としている。

     

    広東省政府は、出稼ぎ労働者の復帰を支援するため、貸し切り列車を手配するほどだ。省政府の高官は記者会見で「広東省は、情報技術(IT)や自動車、石油化学、家電の企業、特にファーウェイZTE、美的、GACグループの生産再開を最優先事項に位置付けている」と説明した(『ロイター』2月28日付け)。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月29日付け)は、「中国景況感、2月過去最悪の35.7、新型コロナ打撃」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国国家統計局が29日発表した2月の製造業の購買担当者景気指数(PMI)は前月より14.3ポイント低い35.7だった。リーマン・ショック直後の08年11月(38.8)を下回り、過去最低を記録した。非製造業のPMIも同24.5ポイント低い29.6と過去最低だった。今回のPMIは新型コロナウイルスの拡大を全面的に反映する初めての経済指標だ。新型コロナの中国経済への打撃の大きさを印象づけた」

     

    製造業PMIは3000社を対象にアンケート調査で算出する。新規受注や生産が50を上回れば拡大、下回れば縮小を示す。

     

    製造業PMI  35.

    非製造業PMI 29.

    これまでのPMIでは、非製造業が製造業を上回ってきたが2月は逆になった。ウイルス禍で、人々の移動が制限されるなど外出を控えた結果、非製造業=サービス業のPMIの落込みが大きかった。

     

    景気のバロメータになる製造業PMIは、リーマン・ショック時を下回る落込みとなった。リーマン・ショックの震源地は米国だ。中国は、事態を引き起こした当事国でなかった。今回の新型コロナウイルス感染は、中国が震源地である。危機感が、いやが上にも高まったのは当然であろう。

     


    (2)「2月は、柱の新規受注が前月比22.1ポイント低い29.3、生産も同23.5ポイント低い27.8となり、いずれも過去最低だった。新型コロナで新規受注は激減、多くの工場は停止して操業再開が遅れている。輸出に限った新規受注も同20ポイント低い28.7と大幅に悪化した」

     

    新規受注 29.

    生産   27.

    輸出   28.

     

    製造業主要項目のPMIを見れば、今後の見通しも暗い。コロナ禍が原因である以上、回復時期が長引くのは当然である。世界経済が、新型コロナウイルス感染の拡大で、一段と「障壁」を高めて防疫体制を固めなければならないのだ。当然、中国の輸出にブレーキがかかるはずである。

     

    世界保健機関(WHO)は28日、新型コロナウイルスによる肺炎の地域別危険性評価で、世界全体を「高い」から、最高の「非常に高い」に引き上げた。ウイルス感染が世界各地に拡大し、死者・感染者数の増加に歯止めがかからないことから、世界的に流行していると認定した形である。こういう状況下で、中国ビジネスに制約がかかるのは不可避である。

     

    2月のPMI(製造業・非製造業)から判断して、中国の1~3月期のGDPがマイナス成長になる公算が強まった。


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    韓国は、新型コロナウイルスへ油断したばかりに、中国の巻き添えを食って地獄の苦しみを味わう事態に追い込まれている。文政権が、自らの支持率引上げという政治的な意図優先で、中国との門戸を閉じずにいた結果だ。韓国の現状は、まさに「火中」に放り込まれている。

     

    この結果、62ヶ国が韓国人の入国制限を実施している。中国では、韓国へ事前に何らの連絡もせずに、入国と同時に有無を言わせず14日間の強制隔離対象にさせられたケースもある。こういう中国の扱いに対して、韓国は憤激しているがどうにもならない。感染者が激増しているからだ。

     

    中国国家移民管理局によると13日時点で、世界130カ国が中国人の入国停止や健康状況の申告義務づけなどの入国制限措置を実施している。米国やオーストラリア、シンガポールなどは自国民を除き、直近2週間以内に中国本土に滞在歴がある人については、原則として入国を拒否する措置を実施するほどの厳しさである。

     

    『聯合ニュース』(2月28日付)は、「韓国からの入国制限、62カ国・地域に増加」と題する記事を掲載した。

     

    韓国での新型コロナウイルスの感染者急増を受けて韓国人の入国を制限する国・地域が増え続け、国連加盟国(193カ国)を基準にすると、世界の3分の1に上る。

     

    (1)「韓国外交部によると、28日午後6時50分現在、62カ国・地域が韓国人の入国を制限している。同部は本部や在外公館を総動員して各国に新型コロナウイルスへの韓国政府の取り組みを説明し、入国禁止などの措置を控えるよう求めているが、増加に歯止めがかかる気配はない。韓国人を全面的または部分的に入国禁止としているのは30カ国・地域で、前日より8カ国増加した。入国手続きを強化した国・地域は21から32となった」

     

    韓国人への入国制限は28日現在、62ヶ国に及んでいる。爆発的な感染者増加状態であるのでやむを得ない措置だ。

     


    実は、日本も安閑としていられない。日本の入国制限をかけている国が増えているのだ。

    日本外務省によると26日現在、日本を含む感染者が確認された国からの入国制限を行っているのは、ミクロネシア連邦、サモア、キリバス、ツバル、ソロモン諸島、コモロ、イスラエル、それにイラクである。このうちイラクは、日本などからの外国人の入国を禁止すると発表している。またイスラエルは、過去14日間に日本や韓国に滞在した外国人の入国を禁止するとしている。同様の措置をクウェートも始めた。

    カザフスタン、リベリア、インドのケララ州、オマーン、イギリス領ジブラルタルは、入国自体は禁止していないが、入国後一定の期間、外出制限や医療機関による経過観察を義務づけている。以上は、『NHK・NEWS WEB』(2月28日付)が報じた。

     

    (2)「中国は、山東省、遼寧省、吉林省、黒竜江省、福建省に続き広東省、上海市、陝西省、四川省でも韓国からの入国者に対して隔離などの措置を取っている」

     

    中国では9つの地方政府が韓国からの入国者に対して隔離措置を取っている。韓国の中国への配慮に比べれば雲泥の差である。中国は自らガードを堅め、韓国に対してはフリーパス入国を求めるという不平等を要求している。

     

    文大統領は、中国経由の入国制限に対して、次のように指摘している。

     

    「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、国内での新型コロナウイルス感染拡大を受け、一部から出ている中国人の入国全面禁止を求める主張について「入国禁止は不可能で実益もない。これを政治争点化するのは望ましくない」との考えを示した。国会で開かれた与野党4党の代表との会合で述べた。文氏は中国人の入国を禁止する場合、韓国側の不利益が大きいとの見方を示した。また、2月4日以降、中国人入国者のうち新型コロナウイルス感染が判明した人はいなかったとした上で、「既に入国禁止に関する管理が徹底的に行われているため(全面的な入国禁止は)実効性がない」と強調した」(『聯合ニュース』2月28日付)

     

    文大統領は、「水際作戦」で100%、感染者を食い止めていると指摘している。これは、はなはだ自信過剰な発言である。今回のウイルスが「無症状」という特色を持っている点を見落としている。韓国の医療専門家が、6回も全面的な中国経由の入国禁止を献策した理由はこれである。文氏は、医療の素人であって専門家の意見を聞き入れるべきなのだ。

     

    文氏は、中国人の入国を禁止する場合、韓国側の不利益が大きいとしている。多分、中国が報復措置として韓国人を締め出すと脅しているのであろう。米国は、中国経由の入国を締め出している。中国は、米国に何らの対抗措置もしていないのだ。米韓が、共同作戦を取れば中国に対抗できるはずで、ミスミスその機会を失い、現在の状況を招いたのだ。


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    習近平国家主席は、中国の権力を一手に掌握しているものの焦っている。今年が、2010年比でGDPと国民所得を倍増させる計画達成年であるからだ。目標達成には、5.8%成長が不可欠である。その重要な節目の年に、「新型コロナウイルス禍」の直撃弾を浴びた。今年のGDP成長率は、4%以下の見通しが圧倒的である。こうなると、習氏はますます焦らざるを得なくなるのだ。

     

    『韓国経済新聞』(2月28日付)は、「習近平、『経済活動再開促す』日常復帰急げば『2次拡散』の危険」と題する記事を掲載した。

     

    中国で新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の拡散の勢いが沈静の兆しを見せると習近平国家主席が「経済社会の発展のためにも努力しなければならない」と求めた。新型コロナウイルスの追加拡散阻止と経済活動再開という二兎を同時に得ようということだ。しかし、企業の生産活動や市民の日常生活の再開を急ぎすぎれば、移動と接触が増えて2次拡散が起こるかもしれないという懸念も出ている。

    (1)「2月27日、官営の『新華社通信』によると習近平主席は前日、共産党中央政治局常務委員会会議で「全国の新型コロナウイルス防疫の状況が好転している」とし「今後は経済回復も加速しなければならない」と指示した。習主席は続けて「こういう時ほど各部門に対して徹底した党中央の方針と指導が必要」とし「絶対に安どしてはならず、経済社会の発展にも緊張を遅らせてはいけない」と強調した。また、習主席は企業の生産回復と労働者の復帰、交通・物流、市場供給業務への支援が必要だと述べた」

     

    習氏の指示を見ると、かなりの焦りを感じる。病み上がりの病人に対して、全力疾走で走れと命じているような感じを抱かせるからだ。

     


    (2)「このような方針に基づいて中国の13の省級行政区域が新型コロナ対応レベルを下げた。広東省・陝西省・江蘇省・四川省など6省の対応レベルを1級から2級に下げた。遼寧と雲南省、青海省など7地域は1級から3級に一度に2段階下げた。中国は重大突発公衆衛生事件を特別重大(1級)、重大(2級)、比較的に重大(3級)、一般(4級)に分けて管理している上海など新型コロナのリスクが低い地域は経済活動を完全に正常化し、道路通行制限を解除した。山東省は省内の企業の操業を80%まで引き上げたと伝えられた。江蘇省でも省内の75%に及ぶ3万4000工場が稼動を始めた。中国民用航空局は、新型コロナウイルス拡散により中断した航空便運航を湖北省を除く路線から順次再開することにした。民用航空局は、他国の航空当局にも中国行きの国際線運航を再開するように要請する方針だ」

     

    下線部では、いち早く全力疾走の体制を取っている。だが、農民工の工場復帰が不十分である。中国政府は、国内の航空便を早期に再開させて、他国の国際線運航を再開させる呼び水にしようとしている。工場再開を急がせている背景は、海外向けのアピールという目的も隠されている。

     

    (3)「中国政府は新型コロナ事態で苦しんでいる自営業者、農村からの出稼ぎ労働者のために大規模な減税と融資拡大も迅速に行う計画だ。地方政府では不安感が高まっている。企業の積極的な経済活動を支援するためには、工場再稼働の手続きを簡素化し、労働者の自由な移動を保障しなければならない。しかし、そうして新型コロナウイルスの感染者が再び増えかねないという政策の負担を抱え込まなければならない。重慶市と湖南省、陝西省などで工場の稼働を再開したが、従業員が感染した事例が確認され、再び工場を閉鎖したことが報じられた

     

    感染者が陰性になって退院しても、再び陽性になるケースが出ている。病原菌が内臓に残っていることが理由とされる。従来の感染症と違った根治の難しさを見せている。

     


    (4)「経済活動の正常化のための条件がまだ十分に備わっていないという指摘も出ている。春節(旧正月)の連休後も自己隔離と公共交通機関の運行制限、外出制御など中国本土内で移動制限措置の適用を受ける人口は未だ数億人にのぼることが分かった。日本の野村證券が中国最大の検索プロバイダ、百度の資料を分析した結果、先月春節連休に北京・上海・深センなど大都市を離れた人の3分の1しか職場に戻っていないことが分かった。

     

    大都市を離れた地方の農民工は、帰郷後の地方で足止めされているケースも多い。北京・上海・深圳の職場に戻った農民工は3分の1程度とされる。しかも、14日間は隔離される生活である。

     

    (5)「ある江西省関係者は、「旅行や移動などの制限措置を緩和することは極度に注意しなければならない」とし、「まだ新型コロナの不確実性が続いているため、今まで注力してきた私たちの努力が水の泡になるのは見たくない」と述べた。『ウォール・ストリートジャーナル』は、「中国の政策当局者は伝染病の制御と経済発展の均衡を合わせなければならいという矛盾に直面した」と報じた」

     

    WHO(世界保健機関)の終結宣言が出た訳でもない。依然として、感染再燃のリスクを抱えて薄氷を踏む状況である。習氏の焦りが、中国経済の危機を立証している。

     

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    文大統領は、中国人を入国禁止すれば、韓国が不利益を受けると発言している。中国から脅されているのだろう。中国は現在、8つの地方政府が韓国経由の入国制限をしている。韓国は新型コロナウイルス感染者がこれだけ激増しても、対策は現状のままである。大統領として韓国の利益を守るのか、中国の利益代弁者なのか。そういう本質的な疑問を感じさせる対応である。

     

    これでは、文大統領弾劾請願をする国民の叫びも分かるであろう。現状において、文氏弾劾は法的にも不可能である。ただ、痛烈な批判の矢が放たれたことは事実だ。しかも、100万人にも達した事実は重い。

     

    『中央日報』(2月28日付)は、「参加者100万人超えた『大統領弾劾請願』、与党は民心に謙虚になるべきだ」と題する社説を掲載した。

     

    韓国政府は、今回の「新型コロナウイルス感染」に対して、事実を歪曲し、責任を押し付け、自画自賛。新型コロナウイルス感染症(コロナ19、新型肺炎)の拡散事態に対する責任を回避して世論を糊塗する政府・与党要人の詭弁と暴言が続いて非難を浴びている。国民が一丸となって困難を克服しようと訴えても足りない時に党政の責任ある高位要人がむしろ混乱をあおり、政府に対する不信を育てているという指摘がそれだ。



    (1)「新型肺炎の最も大きな原因が「中国から入国した韓国人」と話した朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官は激しい辞退の圧力に直面した。朴長官は「感染学会が中国全域入国禁止を申し立てなかった」と話して嘘の論議にも巻き込まれている。新型肺炎の感染源が中国というのは小さい子供でも分かる事実だが、このような事実さえ歪曲して何もはばからずに偽りの回答を繰り返す要人がコロナ事態収拾の主務長官だとは国民が信頼することができるだろうか。もどかしいばかりだ」

     

    中国で、新型コロナウイルスが起こったことは子どもでも知っている。韓国政府はこれをねじ曲げて、「中国から入国した韓国人」が病原菌を持ち込んだと説明しているのだ。韓国に責任があるという論法で一貫している。韓国国民からすれば、聞き捨てならぬ発言なのだ。国民感情からすれば、文政権はどこの国の政府なのかと怒りがこみ上げて当然であろう。

     

    韓国政府が、ここまで中国を庇っている理由は何か。それは、習近平国家主席に訪韓して貰いたいという一念である。それによって、文政権支持のテコ入れを図りたいのだ。すべてが選挙目当てである。

     

    (2)「青瓦台(チョンワデ、大統領府)請願掲示板に掲載された文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する弾劾請願が27日100万人を超えた。4日、「文在寅大統領弾劾を促します」というタイトルで初めて掲載された請願は、初期に大きな関心を集めることができなかった。そうするうちに25日午後から爆発的に参加者数が増え始め、数日で100万人を超えたわけだ。国民は、新型肺炎による死亡者続出、マスク大乱、韓国人に対する入国禁止拡大などコリアフォビアの拡散で傷ついている。政府は、事態をここまで悪化させたことに謝罪をするどころか、自画自賛と暴言を並べているから民心の怒りが沸き上がらないわけがない」

     

    弾劾請願が100万人に達しても、それで文大統領が辞任するわけでない。国民の不満が「投票」で明らかになっただけである。だが、総選挙を目前にしてこういう形で「不信任」が形を表わすと、マイナス材料になるのは明らかである。

     


    (3)「与党は民心の怒りを刺激せず自粛して謙虚になってほしい。国民の前にすべてを透明に明らかにし、協調を求めるのが当然な道理だ。危機の時、強固になる強い民族性や愛国心、成熟した市民意識だけが危機を克服できる原動力であることを忘れてはならないだろう」

     

    現与党が、野党時代に朴槿惠政権を厳しく非難した。だが、文政権の行なっていることは、前政権以上に恣意的である。好き勝手なことをやっている。10年ぶりに政権を手にして、人事は露骨な論功行賞だ。文大統領の普段の発言からは、信じられないことの連発である。権力とは、これほど魔力に満ち旨味があるのだろう。不幸なのは、韓国国民である。

     




     

    ムシトリナデシコ
       

    新型コロナウイルス蔓延の直撃弾を受けて、韓国格安航空会社(LCC)6社の経営がお手上げ状態に陥っている。このほど、LCC6社は、韓国政府に経営支援を求めることになった。昨年7月以降の反日不買運動で、韓国から日本への乗客が急減して危機状態になっていた。そこへ、今回の新型コロナウイルスで集団発症に陥っており、LCCの経営危機はさらに深まった。

     

    反日不買は、韓国政府が引き金を引いている。反日不買は、日本の半導体3素材輸出手続き強化が発端である。結果的には、日本からの輸入数量に何らの支障も発生せず、空騒ぎに終わった。日本は、繰り返し「数量規制」でなく、輸出管理手続き問題であると説明した。だが、韓国の感情的な反発によって冷静な判断をできず、LCC6社の経営を苦境においこんでしまった。

     

    新型コロナウイルスの集団発症は、韓国政府の「中国偏愛」によるもの。習近平国家主席の早期訪韓実現のために、あえて中国に対する防疫対策を強化しなかったことが理由だ。中国外交重視であり、防疫対策を二の次にした咎めが出たものである。

     


    『中央日報』(2月28日付)は、「『もう限界』、韓国LCC6社、政府に緊急資金支援を要請」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルス感染拡大の直撃弾を受けた韓国の格安航空会社(LCC)6社が政府に緊急資金支援を要請した。

     

    (1)「エアプサン、エアソウル、イースター航空、チェジュ航空、ジンエアー、ティーウェイ航空のLCC6社の社長団は28日、共同建議文を出し、「LCCは昨年の日本不買運動に続く新型コロナ事態で絶体絶命の崖っぷちに立っている」とし「いかなる経営改善策も効果がなく退路も見えない」と訴えた。続いて、「航空産業は一般産業とは違い、利潤追求よりも国民の便宜と公共性を優先する国家基幹産業」とし「観光、宿泊などサービス・物流から航空機の整備にいたるまで関連産業につながる経済サイクルの出発点として、国家経済への波及効果は極めて大きい」と強調した」

     

    航空会社は、ナショナル・フラッグ(国旗)を掲げた国家基幹産業である。私営であるが、完全な公益的企業である。反日不買や新型コロナウイルス発症による経営危機である以上、韓国政府が支援すべき性格のもである。

     

    (2)「LCC社長団は建議文発表の前日の27日、ソウルで会議を開き、現在の危機が特定の航空会社だけでなく国内格安航空産業全体の危機という点に同意したという。LCC社長団は政府に無担保・長期低利など条件を大幅に緩和した緊急経営安定資金の支援を求めた社長団は「負債比率が高い航空会社の構造上、赤字が累積した現時点で都市銀行の商品を通じた資金調達は事実上不可能」とし「今すぐ流動性改善のための資金調達が必要」と緊急金融支援を要求した。また、コスト構造改善のために空港使用料および税金の猶予でなく全面的な減免措置も求めた。現在、政府が提示した空港使用料など各種コスト支援は減免ではなく納付猶予であり、実質的な支援にはならないということだ。航空機財産税、航空燃料輸入関税など各種税金の減免支援が至急という主張だ」

     

    航空産業や海運産業は、韓国経済の骨格をなしている。朴槿惠政権では、韓国最大手の韓進海運(世界8位)を救済せず、意図的に倒産に追い込む愚行を演じた。政権に協力しなかったという「私怨」による感情問題に端を発した倒産である。

     

    LCCは、韓国政府の責任で救済すべきだ。仮に見殺しにすれば、韓国経済の将来に大きな禍根を残すだろう。インバウンド消費増に多大の貢献をするからだ。



    (3)「LCCは雇用維持支援金比率の一時的引き上げも要請した。社長団は「運航路線の縮小による休職人員の発生が避けられないため、航空会社勤労者の休業手当に支援される雇用維持支援金の比率を現行の50%から70%に一時的に引き上げることを望む」と伝えた。
    韓国LCCは過去最悪の危機に直面している」

     

    LCCは、薄利での運航で利益を上げている。それだけに、今回のように感染症がパンデミック(大流行)状態に落込めば、不況抵抗力はない。

     

    (4)「昨年の日本不買運動や香港デモなどの余波が消える前に、中国発の新型コロナ事態が発生し、主力路線の中国、東南アジア路線の多くの運航を中断した。役員辞任、賃金返納、有給・無給休職など経営改善策を施行しているが、新型コロナ拡大で外国の入国統制が強まり、LCCは追加の運航中断を迫られる状況を迎えた社長団は「LCCはいかなる改善策も効果がない危機に直面している」とし「現在の国家的災難は航空会社が独自の努力だけで克服できるものではない。政府レベルの前向きな支援を要請する」と訴えた」

     

    反日不買は、韓国政府が音頭を取って始めたこと。日本から輸入面で何らの被害を被った訳でなく、韓国が被害を受けるという自殺行為になった。感情過多症の韓国らしい経営蹉跌である。


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