勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年02月

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    韓国では、新型コロナウイルスが手の施しようもない猛威を振るっている。韓国は28日10時、前日の午後4時からこの日午前9時までに新たに256人の感染と発表した。これで感染者数は計2022人。26日午前の発表で1000人を超えてから2日でほぼ倍増した。死者数は前日午後の発表と変わらず13人である。

     

    新規の感染者256人のうち231人は、南東部の大邱市(182人)と慶尚北道(49人)で確認された。大邱の感染者は計1314人、慶尚北道は計394人に増えた。集団感染の震源地・大邸が激増している。


    韓国政府はますます窮地に立たされている。国民の批判をかわすべく、ようやく中国を入国制限リストに入れた。最後まで、中国への政治的配慮で門戸を開けておいたが、国内の反発が強く、重い腰を上げた形だ。中国共産党系メディア『環球時報』が、社説で「外交よりも防疫重視」を掲げて、中国による韓国人入国阻止を正当化している。その通りであって、韓国による過度の「中国思いやり」が、完全に裏目に出た。文政権の失態である。

     


    『朝鮮日報』(2月28日付)は、「『韓国の方が新型コロナ危険』中国人学生、続々帰国」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「全国各地の中国人留学生たちが「韓国の方がもっと危険だ」として中国に帰国したり、開講を前に韓国に来る予定だった中国人留学生が続々と入国を取り消したりしている。新型コロナウイルス感染症の最初の発生地である中国を出て、急いで韓国に来ようとしていた数週間前の状況とは全く違う状況だ

     

    下線部分に無念さが表れている。震源地の中国が、被害国の韓国から逃げ出すという「アベコベ現象」が起こっている。政権の誤った外交感覚が、こういう取り返しのつかない事態を招いている。

     

    (2)「大邱大学では最近、中国人留学生7人が帰国した。3月の開講を前に入国し、寮などに入っていたが、大邱で感染者が急増すると、あわてて荷造りをして帰国したという。ソウル大学医学部では、中国籍を持つ延辺大学医学部出身の大学院生が、親の帰国要求に応じて休学届を出して帰ったとのことだ。忠清北道では入国を延期するケースが相次いでいる。26日に入国する予定だった忠北大学の中国人留学生90人のうち、入国した留学生は33人に過ぎなかった。清州大学も同日入国予定だった21人の中国人留学生のうち、来たのは8人だけだった。蔚山大学も中国人留学生277人のうち169人が入国を見合わせている。7人は入国しないと通知してきた」

     

    韓国の各地の大学で、中国人留学生が帰国や入国取り止めという騒ぎである。気の毒というほかない。日本もこういう事態を招かないように細心の注意が必要だ。

     

    米国務省は2月26日、韓国に対する旅行警報を第2段階(強い注意を払う)から第3段階(旅行の再考)へと引き上げた。国務省は今月22日、韓国と日本に対して第2段階の警報を出した。それからわずか4日で、韓国についてのみ第3段階へとレベルを高めた。第4段階の警報は、米国人の「旅行禁止」である。

     

    米国疾病対策センター(CDC)は今月24日、韓国に対する独自の旅行警報を、中国と同じ第3段階(不必要な旅行の自粛)へと引き上げた。米軍インド・太平洋司令部も同日、「インド・太平洋司令官は、コロナ19の危険低減に向けたCDCの旅行警報に合わせて、必須でない韓国訪問を全て制限する」と声明を出した。

     

    ドナルド・トランプ大統領は26日(現地時間)、韓国に対する入国制限措置の可能性について「適切な時期にそれをやることもあり得る」としつつも「今すぐは適切なときではない」とした。すぐに措置を取ることはないが、武漢コロナ拡大の推移によっては入国制限のような強硬措置を取ることもあり得る、という意味だ。

     

    以上は、『朝鮮日報』(2月28日付)の報道である。韓国を巡る情勢は厳しくなっている。日本が、仮にこういう事態に陥ったならば、東京五輪の開催は不可能である。今、その瀬戸際にある




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    独裁主義の中国が、今回の新型コロナウイルス発症で感染者数を正確に発表しているのか疑惑の目で見られている。GDP統計さえ水増ししている中国である。感染者数は、逆に少なく公表している疑いが持たれている。山東省では日々、公表している感染者人数より、実際は数倍~52倍も多いという元資料が発見された。

     

    『大紀元』(2月27日付)は、「独占、山東省の内部文書を入手、『感染者が政府発表の数倍~52倍』」と題する記事を掲載した。

     

    大紀元がこのほど入手した山東省衛生保健委員会(保健委)の内部文書によると、実際の新型肺炎の感染者数は政府発表の人数の数倍にのぼるという。

     

    (1)「同省保健委が220日に発表したデータによると、19日に新たに2人の感染が確認された。しかし、同省疾病予防コントロールセンターが保健委に提出した全省検査統計の日報によると、同日、省内の各疾病予防コントロールセンターと病院が行った新型ウイルス検査で陽性反応が出たのは49件だ」

     

    山東省保健委による2月20日の感染者発表数は2人である。実際は、49人の陽性反応が出ていた。実に、現実の感染者数は発表の24.5倍である。

     


    (2)「山東省21日の新型ウイルス検査結果総表では、20日、陽性反応があったのは274人。そのうちの1人は以前、すでに陽性を確定し、確認のため検査を受けたため、それを差し引いて同日の感染者総数は273人で、政府発表の202人より71人多い。また、2822日まで各医療機関から報告された当日の陽性反応検出件数は少なくとも政府発表件数の1.36倍であり、多い日は52倍に上っている2822日までの感染者累計数について、内部文書に記された実際の数字は政府発表の2.4倍に当たる。中国メディア27日は中国医学科学院・王辰院長の話として、「核酸検査法(PCR)は3050%の陽性しか検出できない」と報じた」

     

    山東省の21日発表では、202人が感染したことになっている。実際の感染者数は273人であった。2月8日~22日までに発表された日々の感染者数に対し、実際の感染者数は少ない日で1.36倍。多い日では52倍にも上がっている。累計では、実際の感染者数は、公表の2.4倍だ。核酸検査法(PCR)は、30~50%の陽性しか検出できない「未完成検査法」と関係者が証言している。PCRから漏れた陽性反応者は、野放し状態なのだろう。

     

    米国は、中国の感染者発表に疑問を持っている。実数よりも少なく発表しているのでないかと疑っている。

     

    『大紀元』(2月27日付)は、「米国、新型肺炎情報の入手にスパイ活用、中国政府の発表に疑念」と題する記事を掲載した。

     

    米国の国家安全保障当局は、中国で発生した新型コロナウイルスに関する情報を入手するために、軍のスパイによる情報収集能力を活用している。匿名の元国家安全保障当局者が米メディアに語った。米ヤフーニュースが伝えたこの情報筋の話によると、米当局者はスパイ部隊を動員して、中国政府の対応について情報収集している。

     


    (3)「報道によると、中国政府は緊急事態に備える計画を立てている兆候があるという。その計画には、上層の指導者層が一時的に国外退去するか、地下施設に身を隠すといった筋書きが考えられる。米国家安全保障当局は、新型肺炎が世界的に蔓延すれば、米国を含む世界の安全保障上の脅威となると懸念している。数年前、西アフリカでエボラ出血熱が流行した時、米国の安全保障当局は大規模にスパイを動員して感染病の情報を収集した」

     

    数年前、西アフリカでエボラ出血熱が流行した時、米国は大規模なスパイを動員して感染病の情報を収集した経緯がある。今回の新型コロナウイルス発症でも当然、スパイ網が活躍しているはずだ。中国最高指導部は、緊急事態に備えて国外退去や地下施設に身を隠す筋書きが用意されているという。今回も同様の兆候が見られる。自分の身の安全が第一である。

     

    (4)「米国防総省の元職員でシンクタンク・アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所のマイケル・ルービン氏は、共産党政権の隠ぺい体質と情報の信ぴょう性の低さは、過去の事例から分かっていると、米メディアのワシントン・イグザミナーへの寄稿文で述べた。中国が発表した最初の感染者の感染時期や、実際の感染死亡の人数は、実態と合致しないとの見方がある。「中国政府が提供する情報をありのままに信じることは、証拠がないまま理論を展開することと同じように無責任なことだ」としている」

     

    共産主義特有の隠蔽性から見て、中国政府発表のデータを額面通り信じることはできないと指摘している。これは正鵠を得た見方だ。ソ連の突然の崩壊も事実の隠蔽が限界を超えた結果である。不利な点は隠蔽し、有利な点を誇大宣伝する。これが、共産主義の常套手段である。


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    韓国は、今回の新型コロナウイルス発症によって、中国政府を信じると裏切られる貴重な教訓を得たはずだ。日本にも当てはまる話である。

     

    中国は武漢でコロナウイルス感染が起こった直後、米国が中国経由の旅行客を受入れない決定をした。航空機の乗り入れも禁止する徹底的な防疫対策を講じた。中国はこれを強く批判して、各国に同調しないように根回しした。韓国は、中国の要請をほぼ受入れた。中韓首脳電話会談で、文大統領は、習近平国家主席に対して「中韓は運命共同体」とまでリップサービスしたほど。「中韓コロナ運命共同体」を宣言したのだ

     

    中国は、この韓国が新型コロナウイルスに冒され、感染者が急増すると掌を一変させた。韓国から中国へ入国した旅行客を強制隔離してしまったのである。韓国外交部がこれに抗議すると、予想もできないような中国メディアの厳しい社説で一撃を加えてきた。中国は苦しい時に助けてくれと言うものの、立場が変われば強気に出てくる。この「カメレオン中国外交」に、信頼を置く方が「初心」というべきだろう。

     


    『中央日報』(2月27日付)は、「中国、韓国外交部長官の抗議に正面反論『外交より重要なことは防疫』」と題する記事を掲載した。

     

    外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官の中国に対する「過度だ」という発言が中国メディアによって真っ向から反論されている。康長官は威海など中国の一部都市で取っている韓国人入国者強制隔離措置に対し抗議の意味合いで「過度だ」と話した。しかし中国では、これは外交問題でなく、それよりもっと重要な防疫問題だとして康長官の発言を一蹴している。そのように発言する康長官の心情を理解はするが、中国としては中国人民の安全を優先するほかないという理由からだ。

    (1)「中国『環球時報』(27日付)は、「中国にくる韓日入国者に対する隔離は絶対に差別待遇ではない」という見出しの社説を掲載した。社説は康長官の発言に中国外交部が同質感を感じるような反応を見せたが中国メディアの立場では絶対ないと主張した。社説は「必ず指摘しなければならないのはこれが外交問題ではなく、それよりさらに重要な防疫問題」とした。続けて「集中隔離をしようがホテルや自宅に分散隔離をしようが疫病が激しい国から来た人に対し絶対に割引する状況ができてはならない」と明らかにした。最近「中国の26省・市で新規患者が1人も出ていないが、こうした状況を作るまでに中国が払った代価は厳重だ。万一、海外から人々を特殊集団に分類して放置し疫病が再発すれば中国人民が絶対許さないだろう」とした」

    中国が、対外的に防疫対策を取ることは正しい。この立場から言えば、各国が中国からの新型コロナウイルス防疫対策として、門戸を閉じるのも正しい政策である。中国が非難されるべきは、自国の場合は、相手国に門戸を閉じるなと要求したことだ。今になって、中国が門を閉じる権利を主張している。ならば、他国にも初めからその権利を尊重する行動を取るべきだったのだ。

     

    (2)「現在、中国の防疫業務で重要なことは新型コロナウイルスが海外から再び中国に持ち込まれるのを防ぐこととし、中国としては事態が深刻な韓国と日本からコロナウイルスが再び輸入されないようにすることが緊急な業務だと主張した。「中国もまた、事態の初期に他の国が中国人入国制限措置を取ることに心境が複雑だったが、最終的に受け入れた。中国は他の国が国境閉鎖や制限措置を取ったからと相手方を憎悪したりはしない」ともした。また「韓日が中国に対する友好的措置と支援で中国人に良い印象を与えており、中国に対する韓日の一部制限的な措置は中国人が理解するところ。中国が韓日を対象に14日間の隔離措置を取ることは結局韓日社会の理解を得られるだろう」と主張した」

    下線部分は、真っ赤な噓である。韓国駐在の中国大使は、韓国に対して門戸を閉じないように公然と圧力をかけていた。中国は、WHO(世界保健機関)事務総長を使って、自由な貿易と人的交流を妨げないようにという声明さえ出させたのである。今になって、「中国は他の国が国境閉鎖や制限措置を取ったからと相手方を憎悪したりはしない」と綺麗事を言っているが、証文の出しおくれである。

     

    (3)「万一この時期に中国が門を開き韓日から来る人を超国民待遇し中国の防疫網に穴が開くならば、これはむしろ韓日の尊重を受けられないだろう」と話した。また「現在威海などで取っている措置は完全に中国内部隔離制度の延長にある」と主張した。これを持って「政治化する必要もなくて実際に合致することもない」とした。一方環球時報の編集者である胡錫進は「中国のすべての都市が威海に続いて韓日からの入国者に対する隔離措置を取るべき」と促した」。

    ことここに至ったならば、互いに門戸を閉じるべきである。これが正解である。中国が、新型コロナウイルス発症の時点で、この正攻法を各国に認めていたならば、現在のようなパンデミック騒ぎにならずに済んだのである。中国の狭量さが招いた事件である。


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    絶頂にあった世界の株価が、新型コロナウイルスで直撃を受けている。大幅な値下がりである。悲観の底だが、これからどうなるか。株式を持つ者も持たぬ者も大きな関心事である。株価下落は、年金資産運用に影響を与える。春の賃上げや景気全般への下支え役であるからだ。

     

    本欄が、株式投資に関する記事を扱うことは少ない。ただ、大きく売り込まれ、その主導役が機関投資家であることを認識する必要があろう。個人投資家は、投資利回り競争をしている訳でないから、落ち着くべしというのがWSJの記事である。少しでも参考になればと考えて紹介した。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月27日付)は、「株価急落、個人投資家は売り急ぐ必要なし」と題する記事を掲載した。

     

    相場が崩れた場合、その原因は通常、小口投資家ではなく大口投資家にある。新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)になりかねないとの警戒感から株価が落ち込む中、大半の個人投資家は現在のところ動揺を見せていない。大口投資家が売りに走る中、小口投資家はこのまま冷静さを保てば、割安株を手に入れられる可能性さえある。

     


    (1)「市場が急変した際、プロの投資家は真っ先に動く傾向がある。これはおおむね自衛本能からだ。市場と歩調が大きくずれて、顧客から担当を外されることが、彼らが直面する最大のリスクだからだ。このことがプロに過度に市場トレンドを追わせることになる場合がある。「株価が大幅に下落した場合、機関投資家の方が個人投資家よりも売りが激しい」。金融経済学者のパトリック・デニス氏とディオン・ストリックランド氏は2002年の調査でこの事実を発見した。また、大口投資家に広く保有されている銘柄ほど、市場急落時の取引量が大きいことも調査で明らかになった」

     

    機関投資家は、パフォーマンスによって報酬が決まる職業である。個人投資家は、誰に命令されるものでもなく「主人」である。この差が、機関投資家と個人投資家の違いである。

     

    (2)「また、市場低迷時に大口投資家が投げ売りした株は、その後の半年にわたり市場をアウトパフォームする傾向があることも判明した。市場が2%以上下落したときの機関投資家の売りは「その株式の適正価値を下回る水準に押し下げる」。両氏はこう結論付けている。機関投資家が売りに転じる場合、最も流動性の高い銘柄を手放す。それらはベストの価格で一番売却しやすいためだ」

     

    大口投資家が投げ売りした銘柄は、半年にわたりアウトファーム(日経平均やTOPIXよりも好成績を挙げる)するという。機関投資家が保有していた銘柄だから優良株である。その投げ売りだ。その銘柄が、値上りして好成績を収めるのは当然の理屈である。

     


    (3)「資産運用大手バンガード・グループが16000人を超える個人投資家を対象に実施した調査は、彼らの姿勢が大手機関投資家とは大幅に異なることを示している。バンガードは17年初めから2カ月ごとにこの調査を実施している。その結果は、個人投資家が金融市場の安定を保つ主要な勢力になっていることを示している。調査によると、個人投資家は米株が向こう1年で約5%の収益を上げると常に予想している。これは、配当を含めた過去の平均年間収益率(10%)のわずか半分だ。

     

    個人投資家が、金融市場の安定を保つ主要な勢力という。個人投資家の層が厚くなれば、市場が安定するという意味だ。これは、中間層が厚くなれば社会が安定する理屈と似ている。個人投資家は、欲を膨らませて投機をしないということであろう。

     

    (4)「それら個人投資家の6割近くが年間収益率を06%とみており7割弱が10年の平均年間収益率が同レンジになると予想している。プロの投資家の年間収益率予想は往々にして7.5%を超えている。調査によると、株価が下落したあと、個人投資家は将来の収益率が低下すると予想しているものの、その幅は小さい。一方、株価が好調なときは、将来の収益率が上昇すると予想しているが、やはりその幅は小さい」

     

    個人投資家は、年間収益率を0~6%と手堅く見ている。ここが、機関投資家と違う点である。小幅な期待収益率であれば、株価が急落してもゆとりがあるのだろう。

     

    (5)「189月~12月にかけて米株が約20%下落する中、バンガードの個人投資家の収益率予想は4.8%から2.7%に低下した。しかし、市場が持ち直した192月までには、向こう1年の収益率予想は4.9%に上昇していた。しかし、バンガードの調査では、それら投資家にはやや楽観的なときに株を買い増したり、やや悲観的なときに株を売ったりする傾向は見られなかった。プロの投資家と異なり、彼らは自らの意見通りに行動する義務を感じず、しばしば意見を変える」

     

    個人投資家の期待収益率が低いのは、一攫千金を狙わない結果であろう。これが、相場に振り回されず大怪我をしない秘訣である。逆説的に言えば、個人投資家に一攫千金は似つかわしくないのだろう。

     


    (6)「相場が大幅に崩れれば、その信頼性は揺らぐ。市
    場でも実生活でもパニックはめったに起きないことを覚えておくべきだ。第2次世界大戦時にナチス・ドイツが英国を爆撃した際、ほとんどの人が極めて冷静を保ち、政府が集団パニックの影響を抑えるために開設した「神経症センター」はほとんど使われなかった。コロナウイルスを巡る警戒感がどの程度に及ぶか、それに反応して株価がどの程度下落するかは誰にも分からないかなり確実なのは、個人投資家は最初ではなく、最後に売りに走る投資家の1人になりそうだということだ」

     

    今回のコロナウイルスを巡る警戒感で、株価は大きく下げている。個人投資家は、現在では持ち株を売らなくても、いずれ自信を失い売却する。これで売り相場が終わって、次の上昇相場が始まるのだ。機関投資家は最初に売って、最初に買いを入れてくる。このパターンは永遠に変わらない。

     

    SARS(2003年)の株価下落時に、中国本土、香港、米国の各市場は、SARSが正式に封じ込められる数カ月前に底入れした。機関投資が買いを入れた結果である。この事実を見過ごさないことであろう。

     

    サンシュコ
       

    韓国は27日、前日の午後4時からこの日午前9時までに新たに334人の感染が確認されたと発表した。午前10時(同9時時点)と午後5時(同4時時点)の1日2回、新型コロナウイルスの感染者数を発表している。今日の午後5時にも27日の新たな感染者数が発表される。おそらく500人を上回るのか。

     

    韓国に見るこのような爆発的な感染者の増加は、疫学上の「パンデミック」(大流行)に該当するという。SARS(2003年)でも、パンデミックとは言われなかった。今回の「新型コロナウイルス」が、パンデミック現象に相当すれば、世界は新たな危機に包まれよう。

     

    『中央日報』(2月27日付)は、「『コロナ、パンデミックの3つの条件に合』専門家が挙げる証拠は『韓国』」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナ感染症(コロナ19、新型肺炎)は「パンデミック(世界的大流行)」の状況に到達したのだろうか。世界保健機関(WHO)はパンデミックの宣言を先送りしているが、すでにパンデミックが始まった見なすべきだという専門家の主張も出ている。

     

    パンデミックはWHOの伝染警報6段階の中で最高レベルである5~6段階を意味する。前段階であるエピデミック(伝染病)より広範にわたる領域に広がる特性がある。パンデミックは国と大陸を行き来しながら宿主を感染させる。1928年スペイン・インフルエンザと2009年鳥インフルエンザがその例だ。2003年発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は4段階のエピデミックに留まった。

     


    (1)「2月25日(現地時間)、CNNによると、米国疾病管理予防センター(CDC)傘下国立予防接種・呼吸器疾患センターのナンシー・メッソニエ局長は「新型肺炎がパンデミックに近づいた」と話した。メッソニエ局長はパンデミックの3つの特性として、死亡可能性のある病気を誘発するか、人と人との感染が可能なのか、全世界的に拡散になるかを挙げて「新型肺炎は前者の2つの特性にすでに合致し、発病国が増えることで3つ目の特性にも近づいている」と説明した」

     

    パンデミックの3条件とは

    .死亡可能性のある病気を誘発するか

    .人と人との感染が可能なのか

    .全世界的に拡散になるか

     

    前記の3条件のうち1と2にはすでに該当している。残るは3のみだが、次第にその条件に接近している。地球上では、南極を残すのみでコロナ感染者が発生している。米国でも近く相当数の患者が発生すると疫学的な予測がされている。

     

    (2)「ハーバード大保健大学院伝染病力学センターのマーク・リップシッチ教授も25日、自身のツイッターで新型肺炎が「すでにパンデミックの状況になるという証拠が増えている」と話した。韓国とイランのように感染者が急激に増加するのがパンデミックの証拠とも主張した。リップシッチ教授は「効果的な統制が行われなければ世界の大人の40~70%が新型肺炎に感染する可能性がある」とも伝えた。しかし、WHOは新型肺炎をパンデミックに引き上げることに慎重な態度を見せている」

     

    韓国、イランなどの感染者急増は、パンデミックの根拠と見られるという。この状況がさらに激化すれば、世界の大人の40~70%は感染する恐れを指摘されている。



    (3)「特に、パンデミックの可能性を高めたのは韓国やイタリア、イランだ。最初発生地と知らされた中国武漢から距離があるこの3カ所で毎日感染者が急増しているという点が新型肺炎がパンデミックに近づいている証拠だと専門家たちは口をそろえる」

    (4)「ロンドン大学感染および熱帯医学科のジミー・ホイットワース教授は25日、BBCインタビューで「おそらくほとんどは今の新型肺炎現象をパンデミックだと感じているだろう」とし、「このウイルスは世界のさまざまな地域に広がっている」と話した。ホイットワース教授はまた「このウイルスは次第に(最初発生地である)中国と関係性が小さくなっている」と付け加えた

     

    韓国・イタリア・イランという中国武漢から遠く離れた地域での感染者急増が、パンデミックに近づいている証拠と見られている。

     

    (5)「エディンバラ大学グローバル公衆保健学科のデビー・シュリダール教授は「数日で新型肺炎事態が著しく変わった」として「この前までは中国の事態だったが、もはや韓国や日本、イラン、イタリアで進行中だ。これは非常に感染性の高いウイルスであるうえに、非常に急速に広がっている」と説明した。シュリダール教授は「まだパンデミックと言える根拠はないが、数日内にパンデミックだと確信できる瞬間がくると考える」と話した」

    日本政府は、ここ1~2週間をヤマ場とみている。パンデミックと確信できるほどの急増が数日中に起こるだろうという予測もある。疫学上の予測は、統計に基づいたものだけに無視すると大変な事態に巻き込まれよう。互いに、自分の身は自分で守るしかない。そういう状況に立ち至ったようである。


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