勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年03月

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    文政権は、4月15日の総選挙を前にして、新型コロナウイルスを材料にして誇大宣伝している。実際は、自らの失敗でコロナ感染者を激増させたのである。その責任を忘れた顔をして、韓国政府の対応は世界中から賞賛を浴びているとしている。こういう文政権の厚顔無恥に対して、韓国メディアが痛烈な批判の矢を放った。

     

    『朝鮮日報』(3月31日付)は、「『新型コロナ自慢』過ぎたるは及ばざるがごとし」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「青瓦台(大統領府)がホームページに掲載している新型コロナウイルス推移グラフを、感染者数が急激に減少しているかに見えるように作っていたという。グラフで前日より感染者数が増えた日はすべて省いていたのだ。このようにして、新規感染者が毎回減っているように見せていた。操作に近い。こうした小細工をする理由は明らかだ。総選挙を前に、政府の成果を大きく見せたいからだ」

     

    政府のホームページのグラフが操作されていたのは、国民を欺く詐欺行為である。その手法は、次のような内容だ。

     

    青瓦台は10日からホームページに国内の新型コロナウイルス日別感染者/完治者の推移をグラフで示している。このグラフによると、2月末以降、日別感染者数は急激に減り、日別完治者数は緩やかに増えているように見える。ところが、グラフの横軸の間隔がおかしかった。今月27日時点のグラフは新規感染者が最も多かった2月29日(916人)を開始点に、34日(4日間隔)、7日(3日間隔)、9日(2日間隔)、 14日(5日間隔)の感染者数をグラフにしていた。日付の間隔がまちまちなのに、グラフは間隔が一定のように描かれている。この過程で、33日、6日、11日など、前日に比べて新規感染者数が増えた日はすべて外されていた。『朝鮮日報』(3月30日付)が伝えた。

     

    このほか、感染者は「新規感染者数」のみを表示して減っていることを示しながら、完治者は「累積完治者数」を表示して急激に増えているようにグラフを描いている。どう見ても、韓国のコロナウイルス感染者が急激に減っている、という誤解をさせる意図だ。こういう詐欺行為を平然と行なう政府が、存在していることに驚くのだ。

     

    (2)「このような本心が見え隠れする行動は一つや二つではない。韓国外交部は「韓国製診断キット3製品が米食品医薬品局(FDA)の事前承認を受けた」という報道資料を週末の夜に出し、「異例の迅速承認は韓米首脳電話会談の後続措置結果として評価できる」と言った。しかし、該当の各企業が通知を受けていない状態で性急に資料を出し、不正確な用語を使ったために市場に混乱をもたらした。気持ちが先走っているのではないのか」

     

    この問題は、韓国政府の「韓国の新型コロナウイルス診断キットがFDA(米食品医薬品局)の『事前承認』を受けた」という発表に「フェイクニュース」疑惑が浮上したもの。韓国政府が4月の総選挙前に「韓国の防疫は世界最高」と宣伝するため、結論が出ていないFDAの診断キット承認件を決定済みかのように誇張して発表したと指摘されているものである。

    韓国外交部は、30日夜に「事前承認」を「暫定承認」に変えた。だが、メーカーには、FDAから何らの連絡もなく当惑。株価だけが乱高下して終わった。とんだお騒がせになった。

     


    (3)「青瓦台は、「UAE(アラブ首長国連邦)に診断キットを輸出した」と広報したが、実際に契約した物品は感染の有無を判定するキットではなく、輸送容器だということが明らかになった。青瓦台は政府合同外信記者会見の内容を編集して掲載する際、「防疫が成功したという評価には同意しがたい」との専門家の発言などはすべて外し、政府を賞賛する内容でのみ満たした。これを見たある外信記者は「韓国政府の考えに合わせるため、どれだけ多くの『外信記者たち(の発言)』がカットされたのか気になる」と言った」

     

    これも、政府の誤りであった。当初、「診断キット」の輸出と発表されたが、実際は「輸送容器」に過ぎなかった。「綿棒」という報道もあるなど、明らかに「診断キット」の誇大宣伝を狙っていた。韓国では、コロナ感染者を検査する器具として、この「診断キット」が英雄的な存在になっている。ただ、精度は80%が最大値とされている。これで、陰性と診断が下っても安心できないのだ。正確な診断には、血液の抗体検査が最善とされている。日本では、早ければこの夏に横浜市大の開発キットが登場する。今日のブログで紹介した。

     

     

     

     

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    新型インフルエンザ治療薬「アビガン」(富士フイルム富山化学工業製造)は、新型コロナウイルス治療のため、臨床試験(治験)を近く始める。3月30日、共同通信が報じた。アビガンについては、安倍首相が28日の記者会見で、正式承認に向けた手続きを始める考えを示している。増産体制に入る予定である。

     

    治験は、アビガンを開発した富士フイルム富山化学工業が病院と連携して行う。感染拡大が深刻化している状況を踏まえ、治験後は早期に承認される可能性がある。生産能力拡大のため他社への生産委託も検討している、と報じられた。

     

    中国・武漢大などのチームが、「アビガン」が新型コロナウイルスに感染した肺炎患者の治療に有効だとする研究成果を3月23日までにまとめた。軽症者に限ると投与後7日以内の回復率が7割を超えた。多くは4日間で症状が消えた。チームは「高血圧や糖尿病など持病がある人には、早期の症状改善が重要だ」として、有望な薬剤だとしている。中国は既にアビガンを政府の診療方針に採用することを表明している。チームは2月から3月にかけ、同大病院など三つの病院で18歳以上の116人の患者に対しアビガンを投与。熱やせきなど症状が出てから12日以内に錠剤を飲んでもらった。以上は、『共同通信』(3月23日付)が伝えた。

     

    中国での治験によれば、高血圧や糖尿病など持病がある人には、早期の症状改善が見られるという重要な治験結果が得られている。新型コロナウイルスでは、高齢者で持病のある患者ほど、重篤状態に陥ると指摘されている。アビガンを早期に投与して、重篤化を防ぐ上で効果があるようだ。

     

    中国科学技術省は3月17日記者会見で、前記のアビガンが新型コロナ治療の臨床研究で有効性を確認したと発表した。肺炎などの症状が改善したという。今後、中国の医療現場で患者への使用が推奨されることになった。

     


    アビガンは、日本国内で2014年3月にインフルエンザ薬として製造販売承認を取得した。16年に中国製薬会社の浙江海正薬業(浙江省)にライセンスを供与している。浙江海正薬業は2月に中国当局から生産認可を得ており、量産を本格化する。

     

    日本では、すでに医師の判断によって新型コロナの患者に投与されている。冒頭の通り、新型コロナウイルス治療のため、臨床試験(治験)を近く始め早急に結論を出し、増産体制に入る予定だ。中国では、アビガンの有効性を認めて増産体制を敷くことになった。

     

    韓国では、アビガンについてこれらと全く反対の決定を下した。治験もせず、「まやかし医薬品」扱いする反日ぶりを見せている。3月19日付ブログを再掲する。

     

    『中央日報』(3月16日付)は、「韓国政府、日本のアビガンを新型コロナ治療薬に使用しない方針『臨床的根拠が不十分』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府が新型コロナウイルス感染症の治療のために輸入特例を検討していた日本の新型インフルエンザ治療薬「アビガン」を導入しない方針を決めた。アビガンを新型コロナ治療薬として使用するほどの臨床的根拠が十分でないという国内専門家らの意見に従ったのだ。

     

    (1)「韓国の食品医薬品安全処は16日、疾病管理本部からアビガンを国内に導入してほしいという要請がなく、医薬品輸入特例を検討していないと明らかにした。アビガンは富士フイルムの子会社の富士フイルム富山化学が開発した新型インフルエンザ治療薬。日本政府は2014年、従来のインフルエンザ治療薬が効かない場合に使用できるという条件で承認した。日本は最近、新型コロナ患者にアビガンを投薬して一部効果が見られたと明らかにした」

     

    韓国食品医薬品安全処は、疾病管理本部からアビガンの国内導入要請がなかったので、輸入を検討しない方針を明らかにした。

     

    (2)「食品医薬品安全処の李儀卿(イ・ウィギョン)処長は先月25日、アビガンについて「まだ国内使用が許可されておらず、輸入特例など導入案を検討中」と述べた。その後、疾病管理本部などは特に要請をしなかった。疾病管理本部は医療界がこの薬物の効能・効果を疑問視しているという点に注目した。新型コロナ感染者の治療を担当した主治医らで構成された中央臨床委員会などは、アビガンを新型コロナ治療に使用するほどの根拠が十分でないとみている。国際学術誌『ネイチャー』などに掲載された論文を分析した結果、アビガンが新型コロナウイルス抑制効果はなく、副作用も深刻であり、新型コロナ治療薬として使用しにくいという結論を出した」

     

    中国では、肺炎などの症状が改善したという。今後、中国の医療現場で患者への使用が推奨される手はずになっている。韓国は、最初からアビガンを拒否する姿勢が鮮明である。中国でも治療現場で使われていることは承知のはず。だが、中国へ問合せもせず、文献だけで不採用を決めた。文政権の反日姿勢を「忖度」したのだろう。

     

    (3)「中央臨床委員会のオ・ミョンドン委員長(ソウル大病院感染内科教授)は「アビガンは試験管研究で新型コロナウイルス抑制効果がなかった。患者に臨床試験を施行したデータもない」とし「動物実験で胎児への毒性と死亡が報告されるなど深刻な副作用がある薬物」と述べた。続いて「中国で治療薬として許可されたというニュースがあったが、ネイチャーの論文によると『単に臨床試験患者を募集する』と話しただけだった」と指摘した。オ教授は世界保健機関(WHO)でも新型コロナ治療薬臨床試験「候補」にアビガンを挙げていないと伝えた。オ教授は「アビガンはWHOが選別して公開した新型コロナ治療薬臨床試験医薬品候補目録に含まれなかった。これ以上はアビガンが治療薬として許可されたというフェイクニュースが広がらないことを望む」と話した」

     

    下線部分は、完全拒否の姿勢である。アビガンが治療薬として許可されたことを「フェイクニュ-ス」とまで言い切り捨てている。日本への感情的反発を隠すことなく顕わにした。これが、人間の生命を預かる医師の発言であろうか。

     

     

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    世界を巻き込む新型コロナウイルスを封じ込めるべく、医療関係者は極限を超えた作業を強いられている。その中で、血液による「抗体検査」の実用化が急がれている。新しい血液検査が、新型コロナウイルスへの免疫を持つ人を発見できるチャンスをもたらそうとしているからだ。感染を封じ込め、経済を正常な状態に戻すための闘いにおいて、これが局面を大きく変える可能性を秘めている、と期待がかかる。

     

    世界では、複数の学術研究機関、医療関係企業が、こうした血液検査の開発を急いでいる。日本では横浜市立大学医学部が3月9日、新型コロナウイルスの抗ウイルス抗体を検出する技術を開発したと発表した。感染既往歴が判定できるのも特徴。今後、市内の病院などと協力し、症例数を積み上げると同時に、関東化学と連携し、臨床現場で使える試薬キット化を目指す、という朗報が出てきた。

    血液検査では、軽症・無症状の感染者が持つ抗体を迅速に特定できる。現在行われているような診断検査、つまり感染を確認するために鼻を綿棒でぬぐって検体を採取するなど、なかなか受けられない場合もある手法とは異なるものだ。

     

    『ロイター』(3月29日付)は、「新型コロナの局面変えるか、抗体検査に希望の光」と題する記事を掲載した。

     

    昼夜を問わず何千人もの新型コロナウイルス検査が米国で進む中、新しい血液検査が、このウイルスへの免疫を持つ人を発見できるチャンスをもたらそうとしている。感染を封じ込め、経済を正常な状態に戻すための闘いにおいて、これが局面を大きく変える可能性を秘めている。

     

    (1)「ニューヨーク市にあるマウント・サイナイ・アイカーン医科大学のフロリアン・クラマー教授(ワクチン学)は、「最終的には、こうした抗体検査が、誰がこの国を正常な状態に戻せるのかを突き止めるのに貢献するかもしれない」と語る。「いち早く通常の生活に戻り、すべてを再スタートさせられるのは、免疫を持った人だろう」。クラマー教授を中心とする研究者らは、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」に関する米国発の抗体検査の1つをすでに開発した。教授の研究室は、検査薬の主要成分を他の機関に配布し、検査手順を共有することに忙殺されているという。教授は今週、患者から得られた検体の検査を始められるよう、研究成果を自大学の臨床研究所に持ち込んでいる」

     

    冒頭で紹介した横浜市大医学部の抗体検査の手法確立は、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学とほぼ同時期と見られる。横浜市大の研究チームについては、後で詳しく取り上げたい。こうやって、日米の医学部が揃って学術研究からスタートしている点が注目される。

     


    (2)「抗体検査は、診断検査が当初直面したような官僚主義的なハードルに邪魔されることはないだろう。米食品医薬品局(FDA)は先月ルールを緩和し、体液を対象とする検査は、FDAにおる完全な検証・承認を経ずに商品化可能になっている

     

    FDAは、厳格な判定に時間を要して、これまで商品化時期が遅らされてきた。ただ、下線のように血液検査によるものは、FDAの検証・承認を必要でなくなった。その分、医療機関で利用される時期が早くなる。

     

    (3)「抗体検査は比較的低コストで簡単であり、指先を針で刺して採取した血液を用いる。1015分で結果が得られるものもある。診断検査よりもはるかに容易に、感染検査の範囲を拡大できる可能性がある。研究者や感染症専門家によれば、この新型ウイルスに対する免疫がどれくらい持続するのか、検査の精度はどうか、どうやって検査を展開するのかといった問題は数多く残っているという。今のところ、ウイルスを撃退した人がどれくらいいるのかは分からない」

     

    指先から僅かな血液を採取して、10~15分で抗体の有無を判定できるという点で革新的とされる。

     

    (4)「テネシー州にあるバンダービルト大学医科大学院のウィリアム・シャフナー教授(感染症学)は、企業、学校、プロスポーツチームはこうした検査に殺到するだろう、と言う。また、広範囲の検査サンプルに基づいて高いレベルの免疫が確認できれば、州知事や市長は自信を持って、活動制限を解除できるようになる、と同教授は言う。「コスト効率が高く、入手しやすく簡単に使えれば、こうした検査キットは非常に魅力的になるだろう」としている」

     

    検査方法が簡単であることから、高いレベルの免疫が確認されれば、大いに普及するという見立てをしている。

     

    『化学工業日報』(3月10日付)は、「横浜市立大、新型コロナウイルス抗体、患者血清から検出」と題する記事を掲載した。

     

    (5)「横浜市立大学の梁明秀教授と竹内一郎教授らは3月9日、横浜市内で会見し、新型コロナウイルスの抗ウイルス抗体を検出する技術を開発したと発表した。ELISA法とイムノクロマト法を用いて、患者血清中からIgG抗体を検出する。感染既往歴が判定できるのも特徴。今後、市内の病院などと協力し、症例数を積み上げると同時に、関東化学と連携し、臨床現場で使える試薬キット化を目指す」

     

    関東化学は、国内有数の試薬品メーカーである。横浜市大は、この関東化学と提携して、臨床現場で使える試薬キット化を目指すという。

     

    (6)「梁教授が開発したコムギ無細胞たんぱく質合成システムを利用し、抗体検出に必要な抗原を作成できるようにしたのがポイント。中国が発表した新型コロナウイルスの遺伝子情報に基づき、バイオインフォマティクスの手法で同ウイルスに特徴的なたんぱく質を突き止めた。新型コロナウイルスの患者に由来する検体6例すべてで陽性を確認した。PCR検査などの方法と比べ、特別な装置もいらず、そのまま診療現場で使えるのが特徴だ。抗体の有無で判断するため、肺炎患者らを対象に新型コロナウイルスかどうかを迅速に診断できる。感染既往歴が分かることから、疫学調査での利用も見込む」

     

    抗体検出は現在、一般化しているPCR検査に比べ特別の判別装置が要らず、診療現場で使えるという。防疫専門家が指摘する夢の判別法として、「リトマス試験紙」のようなものになるのだろうか。とすれば、革命的な検査法となる。感染既往歴が分かることから、疫学調査での利用も見込むという。

     

    (7)「検出条件のさらなる最適化を図り、早ければ今年夏ごろにも研究用試薬として提供し、体外診断用薬として展開。併せて、関東化学とともに量産体制の構築も検討していく。今後の課題として、梁教授は「少ない抗体量でも検出できる精度向上が必要だ」と語った。竹内教授は、臨床医の立場から「どのタイミングで使うのが最適かといったマニュアルの作成が欠かせない」と指摘した」

     

    早ければ今年夏ごろにも研究用試薬として提供する。体外診断用薬として幅広く展開すると言う。3月9日の記者会見は、横浜市役所で行なわれた。横浜市が全面的な支援体制を取るのであろう。


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    英国は、ジョンソン首相までが新型コロナウイルスに感染する緊急事態で、中国の情報隠蔽に強い怒りを示している。コロナ終息後、中国へ損害賠償を求める案や、ファーウェイ(華為技術)の5G導入も再検討を漏らすなど、対中国への怒りが充満している。英国も、米国に次いで険悪な雰囲気を漂わせている。

     

    『大紀元』(3月30日付)は、「英、中国の感染情報隠蔽で被害甚大、華為5G参入見直すも」と題する記事を掲載した。

     

    英メディアによると、英政府の閣僚は、中国当局が中共肺炎(新型コロナウイルス肺炎)の感染情報を隠ぺいしたとして怒りをあらわにし、中国通信機器大手、華為技術の次世代通信規格5G参入を見直す可能性があるという。同国ではこれまで、チャールズ皇太子やボリス・ジョンソン首相とマット・ハンコック保健相の感染が確認された。英紙ガーディアンなど複数のメディアによると、マイケル・ゴーブ内閣府担当大臣は329日、感染情報を隠ぺいした中国当局は、英政府が感染拡大阻止に失敗した責任を負うべきだと非難した。

     

    (1)「マイケル・ゴーブ大臣はBBC番組「アンドリュー・マー・ショー」で、中国では昨年12月に最初の症例が確認されたにもかかわらず、「中国当局の報告では、この感染病の規模、性質、感染力について明確に示されなかった」と述べた。メール・オン・サンデー紙は328日の報道では、ジョンソン政権の閣僚や高官らが虚偽の情報を提供した中国当局に憤り、政権が通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の5G網参入を禁じる可能性があると示した。同紙は政府高官3人を取材した。高官らは、「今、最も重要なのは危機に対処していくことだ。感染が終息すれば、(中国当局に)責任を追及していく」と表明し、「中国当局がやり方を変えなければ、孤立した国家(Pariah State)になるだろう」とした」

     

    事態は、思わぬ方向へ動いている。中国は、感染者数や死亡者数を過少に報告して、情報隠蔽を図ったことで、英国のコロナウイルス被害を拡大させた。この理由で、中国の責任を追及すると怒りを顕わにしている。「中国当局が、やり方を変えなければ孤立した国家」になると警告している。ファーウェイの5Gも再検討を臭わせている。導入の白紙化であろう。

     

    米国はすでに、米議会上院で対中損害賠償法案が提出されている。下院でも、中国非難決議案が上程されている。英国も、米国同様の法的な措置に出るのだろう。米英が、一致して中国へ法的な措置に出れば、中国の打撃は大きい。

     

    (2)「同報道によれば、英政府は、中国当局が中国国内の感染者数を隠したことに怒りを隠せない様子だ。英科学界と医療界の専門家の推測では、中国国内の実際の感染者数は当局公表の1540倍だという。中国当局は、感染症例81470件しか報告していない。最近では、新規感染者数が「ゼロだ」と宣伝している。メール・オン・サンデー紙は、ジョンソン首相に近い情報筋の話として、英政府は感染情報を隠ぺいした中国との外交関係を見直す可能性が出たとの見解を示した。また、5G網構築に関して中国のファーウェイに友好的な態度を示したジョンソン首相に対して、同盟国の米国および英国内の保守党議員らが異議を唱えてきた」

     

    本欄では、コロナウイルス死亡者数が、当局によって情報操作されている事実を事細かに報じてきた。中国は、WHO(世界保健機関)を抱き込んで、台湾の出席権まで奪う徹底的な「中国寄り」を見せて顰蹙を買うほどだ。WHOが、政治的な中立性を放棄する姿は、中国のテコ入れによるものだ。英国は、こういう中国に毒されたWHOにメスを入れるべきである。中国は、WHOを抱き込んでいるので、感染者数や死亡数を誤魔化してもばれない、と高を括っているに違いない。

     


    (3)「ジョンソン内閣の閣僚1人は、『メール・オン・サンデー紙』に対して、虚偽の情報を提供して「世界経済を台無しにした中国当局を見て見ぬふりをしてはいけない」と述べた。同閣僚はまた、「われわれはファーウェイのような企業を(英国内)経済活動に参入させ、しかもインフラ設備において重要な役割を果たさせた」ことについて、今後「中国のサプライチェーンや戦略的なインフラ設備に頼るすべてのプロジェクトを早急に見直す必要がある」と語った」

     

    中国による虚偽情報は、世界中を惑わせている。こういう噓八百を平然と行なう中国の企業が、誠実なビジネスを行なうとはとうてい思えないのだ。同じ穴の狢(むじな)である。今回の新型コロナウイルス感染は、世界中に多くの教訓を残した。


    ポールオブビューティー
       

    韓国は、日韓通貨スワップ協定締結を画策しているが、日本が取り合わないことで慌てている。麻生副総理兼財務相が、27日の記者懇談会で日韓通貨スワップ協定消滅の理由で、韓国の高姿勢に日本が反発したことを明らかにした。

     

    この発言に対して、韓国メディア『中央日報』が批判する記事を掲載した。「日韓通貨スワップ協定は、日韓双方に利益がある」という理屈である。だが、形式的には日韓双方が同額の通貨を預け合うものの、日本が預かったウォンでドルを調達することはあり得ない。韓国が一方的に利益を受けるのだ。韓国は、世界の安全通貨「円」を使い、難なくドルを調達できるからだ。形式と実際の違いを知らない韓国報道である。

     

    『中央日報』(3月30日付)は、「麻生氏、韓日通貨スワップに言及『誰が頭を下げて金を貸すか』」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の拡散で、その必要性が提起されている韓日通貨スワップ協定の締結に対し、日本側の担当閣僚である麻生太郎副首相兼財務相が否定的な反応を示した。韓国の丁世均(チョン・セギュン)首相が今月27日、外信記者懇談会で「(米国に続き)日本との通貨スワップの締結は正しいと考える」と明らかにした直後だった。

    麻生氏は、実際に提案が今年のような場合にはどのように対応すべきかについてはひとまず言葉を控えた。だが、過去の韓国との交渉経験を紹介しながら「日本としては残念に思う部分はない」という趣旨で、否定的な内心を表わした。

     


    (1)「(麻生氏は次のように語った)「6~7年前ぐらいに(スワップ協定の残額が)日本銀行に50(億ドル)、財務省に100(億ドル)ほど残っていたが、(韓国に)『大丈夫か』と確認したところ、『大丈夫だ』との返事が返ってきた。だからそれ(通貨協力の規模が)が減った。その時、『本当にいいのか』と聞いたら、韓国は『(どうか)借りてくださいと(日本が)言うなら、借りることもやぶさかではない』と答えた。(金を貸す側が)頭を下げて『借りてほしい』などという話は聞いたことがない。(それで)交渉テーブルを蹴って(交渉から)撤収した。それで終わりだ。スワップに対して韓国との間にあったのはそれが最後だった。今はどうなっているのかよく知らない」

     

    「韓国は、『(どうか)借りてくださいと(日本が)言うなら、借りることもやぶさかではない』と答えた」という部分は、言葉は違うが韓国メディアも報じていた。私は当時、高姿勢だと記憶している。この「借りてください」という言葉の中に、日韓通貨スワップ協定の本質が隠れている。日本が韓国に「円」を貸し、韓国はそれを使いドルを調達するからだ。

     

    韓国が、日韓通貨スワップ協定を自然消滅させた背景には、外貨準備高が増えてきて、日本の世話にはならないという自負があったのだろう。だが、輸出依存度の高い韓国は、それだけ世界経済の影響を受ける、本質的な脆弱性を忘れていた。天狗になっていたのだ。

     


    (2)「朴槿恵(パク・クネ)政府時期、当時の柳一鎬(ユ・イルホ)副首相兼企画財政副長官との会談で、協議開始に意気投合したのは麻生氏自身だった。
    だが、釜山(プサン)日本領事館前の慰安婦少女像設置問題が発生して、2017年1月に日本政府は進んでいたスワップ協議を一方的に中断した。当時、麻生氏は少女像の設置が「2015年韓日慰安婦合意違反」としながら「約束した話が守られないなら、貸した金も返ってくる可能性もない」と主張した」

     

    国際条約では、外国公館付近に相手国を不快にさせる造営物を置いてはならないという取り決めになっている。韓国側は、この条約に違反して少女像を設置したが、韓国政府は無関心を装っていた。だから、麻生氏が「約束した話が守られないなら、貸した金も返ってくる可能性もない」と発言したのだろう。非は、韓国にある。貸した金とは、日韓通貨スワップ協定で、日本が提供した「円」を指す。

     

    (3)「突き詰めてみると、直近で韓日スワップ協定再開のテーブルを蹴飛ばしたのは、日本政府、特に麻生氏自身だったということだ。それでも麻生氏はこの直近の交渉には全く言及せず、スワップ協定延長不発のすべての責任を韓国側に転嫁したのだ。27日の記者懇談会で言及した「金を貸すほうが頭を下げるという話は聞いたことない」という発言も、今後物議をかもす見通しだ。両国間協定で、韓国だけに恩恵があり、まるで日本は一方的に恩恵を与えるような侮辱的な言葉に映りかねないためだ


    下線部分は、完全な中央日報記者の勘違いである。そもそも、日韓通貨スワップ協定によって、日本が利益を受けるものならば、日本は率先して合意するはずだ。現実は、日本が嫌がっていることに現れているように、日本が一方的に韓国へ利益を供与することである。日韓の外貨準備高を比較しても分かるように、日本は圧倒的に韓国を引き離している。その日本が、ウォンをドルに換える理由はゼロなのだ。


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