勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年04月

    あじさいのたまご
       


    韓国ご自慢のコロナウイルス感染検査キットは、FDA(米国食品医薬局)から緊急使用承認を受けられず、50万セットが米国の倉庫に眠っている。コロナで苦しんできた米国が、韓国産検査キットの使用を認めない理由は不明である。憶測するに、性能が劣っていることだ。韓国が、ことあるごとに日本へ見せびらかしていた検査キットは今後、どうなるだろうか。

    『中央日報』(4月30日付)は、「米メリーランド州知事が輸入した韓国製コロナ診断キットFDA承認受けられず」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国メリーランド州のレリー・ホーガン州知事が直接空輸した韓国企業ラボジノミクスの新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)診断キットが米国食品医薬局(FDA)の緊急使用承認(EUA)を受けられなかったことが確認された。これに伴い、50万件分の診断キットが移送されて10日が過ぎたが、現場での使用が不透明な状態だ」

     

    韓国ラボジノミクス社は、文大統領が企業訪問したほどの企業だから、企業自体に問題はあるまい。その最新検査キットに、FDAからの緊急使用許可が出ないのだ。韓国ではすでに4社製品が、緊急使用許可を受けている。これは、米国がコロナ蔓延中という最悪事態で、「やむなく行なった」措置に見える。FDAは、コロナ感染が落ち着いてきたので、緊急使用許可を渋っていると読める。



    (2)「外交部関係者は4月29日、中央日報の電話インタビューに「ラボジノミクスの新型コロナ診断キットがまだFDAの緊急使用承認を受けられなかったのは事実」としながら「だが、新型コロナ事態によって連邦政府がFDAの承認がなくても州政府次元で診断キットを売れるように規制を緩和した状態で販売は可能だ」と話した。
    実際、ドナルド・トランプ政府は新型コロナ事態発生後、診断能力の困難を経験した後、州政府次元でFDAの承認なしでも診断キットを購入して使えるように許可した。

    下線のように、感染が最悪事態においては、人命救助が優先されFDAの承認がなくても販売を認めてきた。だが、この混乱状況が収まってきた以上、FDAの承認は従来の厳格路線に戻ったということであろう。


    (3)「これに先立ちホーガン州知事は駐米韓国大使との電話会談を通じて韓国側に診断キットを買えるように取り持ってほしいと要請した。今月18日、大韓航空機を通じてボルチモア・ワシントン国際空港に診断キットが移送されて2日後の20日、ホーガン州知事は「われわれは該当企業とともにテストを終えた」と明らかにしたことがある。しかしFDAは、ラボジノミクスの診断キット緊急使用承認検討について尋ねる現地メディアに、この日も「まだ検討していない」と答えた」

     

    ラボジノミクス社の診断キットの性能に問題があるのだろう。これまで、韓国4社の製品には緊急承認を出したが、もはやそういう状況でない、と「拒否姿勢」を滲ませている。

     

    (4)「州知事が、FDAの承認なく自己判断で診断キットを使って、万一生じかねない政治的責任と医学的責任により、簡単に使用決定を下せずにいるのではないかとの分析が出ている。実際、ホーガン州知事は韓国産診断キットを自らの空輸した後、トランプ大統領と舌戦を繰り広げていた。トランプ大統領は当時、ホーガン州知事が韓国からキットを購入して連邦政府の検査能力拡大努力を無にしているとして不快感をあらわにした。これに対してホーガン州知事は「トランプ政府は州政府が自ら(診断キットを確保)しなければならないと繰り返し明確に話した」とし、政府指針に従った行為だったと反論した」

    下線部分を読んで浮かび上がってくる事実は、FDAの検査能力拡大によって、ラボジノミクス社の診断キットの性能では、パスしないということだ。州知事は、そういう客観情勢の変化を読めずに右往左往している。

     

    (5)「現在、新型コロナ診断キット関連でFDAの緊急使用承認を受けた韓国企業は4社だけだ。これに先立ち3月24日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ大統領との電話会談で「(米国に診断キットを支援するには)FDA承認手続きが必要な場合もある」と言及した後、比較的早く緊急使用承認を受けた。だが、以降の状況がやや変化して、韓国の外交部や食品医薬処など関係部署は該当企業と共に米側と協議中だが、複雑なFDA承認手続きを通過するのに困難を経験しているという」

     

    このパラグラフから浮かび上がる点は、韓国製検査キットが能力的に低いという判定が出ていることだ。この防疫学的な判定は、政治力を持ってしても覆す訳にいかず、州知事はジレンマに立たされている。日本が、内々で行なわれた韓国からの検査キット購入要請に慎重だったのは、米国から情報として入っていたのであろう。韓国は、米国で大恥をかく結果となった。自慢もほどほどにしておくべきだったのだ。





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    中国外交は、手段を選ばない狡猾さを見せている。チェコ第2位の権威ある政治家だったヤロスラフ・クベラ前上院議長が1月に急逝した裏に、中国大使館による「死への脅迫」があった。2300年前の秦の始皇帝も使ったであろう、この古典的手法で相手を屈服させているのだ。

     

    『大紀元』(4月29日付)は、「急逝したチェコ前議長夫人、『中国大使館の脅迫状に殺された』」と題する記事を掲載した。

     

    チェコ第2位の権威ある政治家だったヤロスラフ・クベラ前上院議長は、1月に急逝した。クベラ氏の夫人は427日、チェコのTV局番組に出演し、夫は中国大使館の脅迫を受け強いストレスを感じ、大使館招待の夕食会以後、体調を崩したと告白した。 大物政治家を脅したとして、チェコの世論では中国当局に対する強い怒りの声が上がっている。

     

    (1)「ベラ・クベラ夫人によると、台湾訪問を予定していたクベラ前議長に対して、中国大使館が脅迫状を送りつけ、家族を危険に晒したという。「夫が亡くなった後、遺品整理を始めた。書類の中に公式手紙が2通入っていた。 1通は中国大使館から、もう1通は(チェコ)大統領府から。どちらも恐ろしい内容で、2通の脅迫状をどうすればいいのかわからなかった。ベラ夫人は夫の死後に手紙を見つけ、娘のバンドラ・ビンソバさんと2人で恐怖におびえたという。また、2通の手紙は、圧力が夫を殺したという十分な証拠になると強調した」

     

    中国は、台湾を外交的に孤立させるために、相手の生命に危機感をたもたせるような脅迫状を送りつける。凄いやり口である。中国には、どうしても「成り上がり者」というイメージが消えないのだ。

     

    (2)「クベラ前議長は2月中の台湾訪問の予定を発表していたが、120日に心筋梗塞で死亡した。その後、緊急対応した医師が家族に伝えたところによると、クベラ氏の心臓発作は、突然のものではないという。心臓に症状が出始めたのは、中国大使館が議長夫妻を大使館での夕食会に招待した117日頃だと告げた。ベラ夫人は番組の中で、夕食会当日、中国大使館職員から、夫と離れるよう要求された。「張建敏・駐チェコ中国大使と1人の中国人通訳が夫を別室に連れて行き、3人で2030分話した。夫は出てきたあと、かなりストレスを感じている様子で、酷く怒っていた。そして、私に『中国大使館が用意した食事や飲み物を絶対に食べないように』と言った」という」

     

    こういう中国が、好きで好きで堪らない人もいる。厚遇されている結果だろうが、その反対給付で魂を売っている人がいるのだ。

     

    (3)「ベラ夫人が夫に、部屋の中で何が起きたのか聞くと「張大使から台湾に行かないように求められた。もし行けば、張大使自身が中国中央政府により逮捕されるそうだ」と話したという。クベラ氏は2019年、中華民国(台湾)駐チェコ代表部から国慶節式典の招待を受けており、2020年の台湾総統選挙後に台湾の訪問を約束していた。中国政府はこの約束に不満を爆発させた。張大使は頻繁に、チェコのゼマン大統領に圧力をかけ、クベラ前議長の台湾渡航をキャンセルしなければ、両国のビジネスに最大限の報復をかけると脅した。張大使の外交的、脅迫的な手紙と、圧力に屈したチェコ大統領府事務局代表ブラティスラフ・マイナール氏からの手紙で、クベラ氏は、台湾訪問を辞めると表明することはなかった

     

    張大使は頻繁に、チェコのゼマン大統領に圧力をかけ、クベラ前議長の台湾渡航をキャンセルしなければ、両国のビジネスに最大限の報復をかけると脅した、という。自由貿易原則に違反している。こういう中国が、WTO(世界貿易機関)の原則を守っているという虚言を漏らすが、裏でやっていることは「かくのごとし」である。

     

    (4)「チェコのアンドレイ・バビス首相およびミロシュ・ビストルチル新上院議長は、張大使がクベラ氏の台湾訪問を巡って、チェコ政府を脅迫する書簡を送ったことを確認している。その内容には、中国でビジネスを展開するチェコのシュコダ(Skoda)自動車など複数のチェコ企業に対して、報復することを示唆した」

     

    こういう中国の妨害工作は、広く世界に知らしめることだ。これが、中国の本当の醜い姿である。今回の新型コロナウイルスで、世界中に被害を与えている。このコロナ禍が一段落したとき、世界中から賠償請求の嵐に見舞われるであろう。その時初めて、世界に友人がいないことを知るはずだ。GDPだけをプライドにしている中国。誰も、それを立派だと思い、尊敬しないのだ。


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    香港風邪の二の舞いは必至

    都市封鎖耐久性1位は米国

    中国は摩擦失業25%恐怖

    韓国はサービス業で失業者

     

    中国武漢を発症地とする新型コロナウイルスは、全世界に飛び火している。震源地の中国は、すでに下火になって「コロナ勝者」のように振る舞うほど。果たして、今回の新型コロナウイルスは、一過性で終わるのだろうか。多くの疫学者は、今秋以降の「第二波」襲来を予測している。となれば、中国が「コロナ勝者」を名乗るのは早すぎるようである。

     

    香港風邪の二の舞いは必至

    ここで、新型コロナウイルスと比較すべきパンデミックとして、香港風邪が上げられる。第一波は1968~69年、第二波は1969~71年に大流行した。死者は第二波の方が多く、最終的には世界で100万人以上が死亡する大惨事になった。ニューヨーク市は非常事態を宣言。ベルリンでは、あまりの死者の多さに遺体が地下鉄のトンネルに安置された。ロンドンの病院は機能不全に陥った、とされる。今回の新型コロナウイルスの被害と実によく似ているのだ。

     

    香港風邪が、今からざっと50年前に世界を恐怖の坩堝に陥れたと同様に、現在の世界も恐怖の中に追い込まれている。一過性でなく、第二波の大流行が起こるとすればどうなるか。これまで、中国や韓国で早々と感染者数が減っても、それで安心できないことを示唆しているのだ。第一波に続く第二波の襲来を乗り切って始めて、「最終コロナ勝利者」となれるであろう。中国は、第一波の「ラップタイム」だけで勝ち名乗りを上げていると言える。

     

    最終的なコロナ克服には、新薬やワクチンを開発する科学力に依存するほかない。それは、総合的な国力に依存するもの。ただ、新薬だけでも短期間に開発できるのでない。最低限、2~3年の時間を必要とする。現在のパンデミックには役立たないのだ。そこで、過去の感染症治療に有効であった薬剤が、今回も利用される可能性を高めている。

     

    日本の「アビガン」が、まさにその適例である。抗インフルエンザウイルス製剤として登場し、現在は過去の治療時よりも3倍の投与によって治療効果を上げている。すでに中国で投与され実証済みである。中国では、軽症患者の7割が7日間で回復したというデータが発表されている。日本では、今回の新型コロナウイルスの治療で、患者が希望した結果、すでに3000人の治療に使われている。ただ、医師の判断による無条件使用には、法的に新たな治験が必要である。すでに始まっている。

     

    日本のアビガンと並んで世界的に注目されているのが、米国の「レムデシビル」である。日本政府は、「レムデシビル」を5月中に薬事承認する方向とされている。ドイツや米国で近く正式承認されれば、緊急対応として国内での審査を簡略化し、1週間程度で国内初めての新型コロナ治療薬として承認されるという。このように、日米が揃って新型コロナ治療薬として患者に投与するのは、日米における科学力の高さを示している。

     

    新型コロナウイルスでは、これまでアビガンやレムデシビルが治療面で登場しなかった。それゆえ、ロックダウン(都市封鎖)という荒療治が行なわれてきた。このロックダウン効果には、果たして永続性があるだろうか。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月27日付)によれば、「迅速な封鎖と死者数との相関はない」という結論を出している。ここでは、スウェーデンの例が取り挙げられている。

     

    スウェーデンは常識的な指針に従ってコロナウイルスと闘っている。米国の大半の州が行っている都市封鎖よりずっと経済的打撃の少ないやり方だ。

     

    1)65歳以上が感染による死者の約80%を占めているため、高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の封鎖措置は取らなかった。

    2)子どもの死者も出ていないため、小中学校も閉鎖しなかった。

    3)スウェーデンの封じ込め策は米国より負担が重くないため、ウイルスの再流行阻止に向けてより(経済的に)長期間維持できる。

    4)スウェーデンは、店舗もレストランも大半の事業所も閉鎖しなかった。ただ、ボルボの自動車工場は閉鎖した。

     

    スウェーデンは、人口(1018万人=2018年)が少ないという国情の違いもあって、すべて国民が納得するまで話合う政治システムができあがっている。民主主義のお手本である。酒類販売も「専売品」扱いで、どこでも販売していないお国柄だ。居酒屋を覗いて見たら、暗いランプの下で、一列に対面に座って静かに飲んでいた。敬虔なプロテスタントの国であるから、ロックダウンもせずにコロナを乗り切る意向であろう。(つづく)


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    薫風の5月は目前であるが、「ステイホーム」で家籠もり生活を余儀なくされている。何とも無粋な毎日だ。だが、新型コロナウイルスは現在、第一波に過ぎない。今秋以降に第二波が来る見通しが濃くなってきた。新薬もワクチンもできていない現状では、ウイルスの第二波を防ぐ手立てはあるのか。日米の研究陣が、総力を挙げる。

     

    『中央日報』(4月29日付)は、「米保健当局者、『秋に新型コロナ第2波来るほぼ確信している』」と題する記事を掲載した。

     

    米国ホワイトハウスの新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)対策タスクフォース(TF)で主導的な役割を果たしている米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士が、「米国に新型コロナ流行の第2波が来ることをほぼ確信している」と話した。

    (1)「4月28日(現地時間)、CNNはファウチ氏はこの日テレビ会議で行われた米ワシントンDCの行事「エコノミッククラブ」で、米国で新型コロナの第2波がやってくる可能性に関する質問に「私はコロナが戻ってくることをほぼ確信している」と語ったと報じた。ファウチ氏は「私の考えでは、このウイルスが戻ってくることは必然的だ」とし、今年下半期に第2波が来れば「それをどのように扱うかによってわれわれの運命が決まるだろう」とした」

    米国は、第二波の「コロナ戦」にも敗れる訳にいかない。世界の盟主としての立場がある。医薬品関連では、国内生産体制を敷くべく企業をプッシュしている。サプライチェーン見直しの第一弾になるであろう。医療用マスクを輸入するのでなく、「防疫安全保障」という考え方から、国内生産に切り替えさせる方針だ。

     

    (2)「続いて、「新型コロナは地球から消えないだろう」と述べたファウチ氏は、「現在議論されている措置が講じられるとするならうまく乗り切れるだろうが、そうできない場合には『良くない秋』と『良くない冬』を迎える可能性もある」と付け加えた。この日、FOX(フォックス)放送に出演したホワイトハウスのデボラ・バークス新型コロナ対応調整官も「普通、北半球の呼吸器疾患が夏の間に南半球に移るのはそこが秋だから」としながら「夏に(新型コロナ)ウイルスにどんなことが起きるのか知るために、オーストラリアとニュージーランド、南部アフリカ、チリ、アルゼンチンを見守るのは非常に興味深いこと」と話した」

     

    これから南半球が、コロナウイルスにどのように対応するか興味深いという。ウイルス菌の変種も出てくるであろう。それを見届けるというのだ。

     

    (3)「バークス氏は、医療用個人防護具(PPE)、無症状者を含めた新型コロナ患者を追跡する監視システムなどに言及して、「秋に何が起きようともコロナへの準備が整っているよう動いている」と強調した」

     

    米国は、コロナとの緒戦で苦戦を強いられた。だが、米国のトップレベルの科学者と億万長者、経済界の大物たちで構成される十数人のグループは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)問題で解決策があると主張している。彼らは、米政府にこうした計画を持ち込むための戦略を立てている。その概要は、次の記事で明らかにされている。

     


    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月28日付)は、「
    新型コロナ対策、極秘計画『マンハッタン計画』とは」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「これら科学者とその支援者たちはグループの取り組みについて、第2次大戦中に原爆開発に関わった科学者グループにちなみ、ロックダウン(都市封鎖)時代の「マンハッタン計画」と表現している。ただし今回の科学者らは、世界中から集められた非凡なアイデアを精査するために頭脳と資金を駆使している」

     

    このグループは、ボランティアであり利益目的でない。コロナ菌を早急に撲滅するために、既存の薬剤を組み合わせたりしながら目的達成を目指している。ボランティア参加者は全員、医薬品株を持たぬ条件であり、米国のために尽くす。それが同時に、世界に役立つという信念である。

     

    (5)「グループは自らを「COVID-19を食い止める科学者たち」と呼んでいる。その中には、化学生物学者、免疫学者、神経生物学者、時間生物学者、腫瘍学者、胃腸科専門医、伝染病学者、原子物理学者などが含まれている。生物学者で2017年にノーベル生理学・医学賞を受賞したマイケル・ロスバッシュ氏もプロジェクトの中心となっている科学者の1人だ。彼は「計画への参加資格という点では、私が最低ランクの人物であることは間違いない」と述べている

     

    あらゆる分野の科学者が、「全員集合」である。これで、「国難」に立ち向かうという姿勢を前面に出している。計画の概要は、ホワイトハウスに提出され、副大統領の手元に渡っているはずだという。提出された計画が実行されるか否かはまだ不明。実行されれば、世界に旋風を巻き起こすという。


    テイカカズラ
       

    韓国政府は、一貫して北朝鮮最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)氏にまつわる「健康異変説」を否定している。統一部長官は28日の国会外交統一委員会で、北朝鮮の金正恩国務委員長の健康悪化説について、「特異な動向がないというのが政府の基本的な立場」として、「インフォデミック(デマの拡散)と言える。非常に残念な現実」との認識を示した。『朝鮮日報』(4月29日付)が報じた。

     

    一方、韓国国会の立法調査処は28日、注目すべき報告書を発表した。北朝鮮の金正恩国務委員長が、妹の金与正(キム・ヨジョン)「党中央委第1副部長」に後継者を意味する「党中央」という地位と役割を付与するだろう、とする分析報告書を出したのだ。その中で、「政府は北のあらゆる状況変化を考慮した総合的な対北政策を立てる必要がある」と提言している。韓国政府の公式態度と全く異なる見方が提示されている。

     

    『朝鮮日報』(4月29日付)は、金与正、『後継者の地位を得るもよう』」と題する記事を掲載した。
     

    (1)「韓国国会の立法調査処は28日、北朝鮮の金正恩国務委員長が妹の金与正「党中央委第1副部長」に後継者を意味する「党中央」という地位と役割を付与するだろう、とする分析報告書を出した。「党中央」は、1974年に金日成(キム・イルソン)の後継者に内定した金正日(キム・ジョンイル)と、2010年に金正日の後継者に内定した金正恩に付与された呼称だ。北朝鮮が「白頭の血統」である金与正を金正恩の公式後継者として打ち出し、体制安定を図ろうとしているという意味だ」

     

    金与正氏が、「党中央」という地位と役割を与えられるだろうという分析は重要である。「党中央」とは、後継者に内定した場合に付与される呼称であるからだ。これは、与正氏が実兄の正恩氏に代わって党を代表する意味である。完全に、正恩氏の「健康異変」を前提にした分析である。

     

    (2)「国会立法調査処は、「北朝鮮の党政治局会議と最高人民会議第14期第3次会議の分析と示唆点」を扱った報告書「イシューと論点」にて、「党政治局会議で、組織指導部第1副部長金与正が政治局候補委員に補選された」として、「金正恩委員長は、国家的危機を克服するため金与正の地位と役割を『党中央(後継者)』の役割にまで拡大し、『白頭の血統』の統治権を強化する可能性がある」と指摘した」

     

    金ファミリーが、北朝鮮を統治するという意味である。専制主義の「王政」と同じだ。この政治システムが、「社会主義」と称しているところに不思議さを感じる。社会主義とは、資本主義の先に登場する政治システムのはず。資本主義も経験しない北朝鮮が、一足飛びに「社会主義」を名乗る。中国と同じで、牽強付会と言うほかない。

     


    (3)「その根拠として、「2020年の独立した政治主体としての金与正の活動は、事実上党の唯一指導体制に責任を負う『党中央』の役割だった」と記した。その上で「これは組織指導部第1副部長の役割だけでなく、今後白頭の血統の公式後継者としての地位と役割に拡大し得るという可能性を予告しているもの」と主張した。金与正はこのところ相次いで金正恩に代わって対南・対米談話を発表し、自分の地位を指導者級のラインに上げた」

     

    報告書では、「今年初めから金正恩の代わりに対南、対米談話を発表するなど、金与正の活動は事実上、党の唯一指導体制の責任を背負った『党中央』の役割だった」として、「特に、金正恩の身辺異常説が提起されると、一層注目を受けるようになった」と言及している。これは、正恩氏が自らの健康に自信が持てず、徐々に与正氏に「党中央」の役割をさせていたとも理解できよう。この前提で考えれば、連続したミサイル発射実験は、自らの生命に異常を感じて、矢継ぎ早に行なったという解釈も可能になろう。

     

    (4)「「党中央」は、1974211日から13日まで開かれた党中央委員会58次全員会議で金正日が後継者として内定した直後、『労働新聞』の社説などで後継者を指す表現として初めて登場した。ただし、同報告書は「(金与正の後継構図が)金正恩委員長の復帰後すぐになされるというよりも、一度、公式な手続きがさらに必要だろう」と留保した」

     

    報告書は、与正氏へ「党中央」の肩書きを与えるには、正式な手続きが必要であろうとしている。ただ、専制主義の王政ゆえに、会議は形式である。いかなる便法を用いても、金ファミリーが北朝鮮を統治することに変わりはない。


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