中国的社会主義を標榜してきた中国は、新型コロナウイルスで世界を混乱の坩堝へ引っ張り込み、未だ解決のメドも立たず、世界は凍結状態である。人権弾圧など強権政治を貫いてきたが、「チャイナモデル」は効率的と自画自賛してきた。その舌の根も乾かぬうちに、新型コロナの震源地となり、しかも情報を隠蔽した結果、世界の人的・物的な被害は計り知れない規模に膨れ上がっている。中国怨嗟の声は、大きくなるばかりだ。チャイナモデルの危険性はさらに鮮明になった。
『中央日報』(3月31日付)は、「西側から続々出てくる中国責任論、中国は『雑音』として強く反発」と題する記事を掲載した。
西側でますます台頭する新型コロナウイルスに対する「中国責任論」に中国が緊張している。「中国叩き」で先頭に立ってきた米国だけでなく、英国など一部西側諸国からも中国を恨む声が出始めたためだ。海外の動静に最も敏感に反応する中国『環球時報』は31日、「3大事実は中国がはばかることなく雑音に対抗するよう支持する」という見出しの社説を載せた。「雑音」は西側の中国非難を指す。
(1)「環球時報社説は現在西側で中国に向け提起している3種類の「雑音」を挙げた。
1番目の「雑音」は、中国が新型コロナ感染者と死亡者数を隠したということだ。中国の隠蔽により新型コロナウイルスの危険性がよくわからず、したがってまともに対応措置を準備できなかったと批判している。代表的にポンペオ米国務長官がこうした主張を展開している」
(2)「マイケル・ゴーブ英国務調整室長も最近英BBCとのインタビューで、「英国の新型コロナ問題に対する準備はなぜ不十分なのか」という質問を受け同様に答えた。彼は「昨年12月に中国で初めての新型コロナ事例が出現したが、中国は感染症の規模や特性、伝染性などについて明確に説明しなかった」と話した。中国が事態の深刻性をしっかりと知らせなかったということだ」
『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)の単独報道によると、武漢発コロナウイルスは広く知られた12月末よりもさらに早い11月中旬に初めて発見されたという。中国当局の隠蔽・統制の中、コロナウイルスは徹底的に隠された。中国は春節(旧正月)にすでに500万人が武漢を離れた後、今年1月下旬に新型コロナを公式発表した。事態はすでに手に負えなくなり、本人も知らない感染者が全世界に移動した後だ。中国は世界を地獄の門前にまで導いたことになる。崔炳鎰(チェ・ビョンイル)梨花女子大学国際大学院教授は、『中央日報』(3月31日付けコラム)で、こう指摘している。隠蔽こそ、中国が負うべき最大の罪である。
隠蔽は、共産主義と密接不可分の関係にある。となれば、今回の新型コロナウイルスは、世界に中国共産党が存在する限り、避けて通れない災難である。この前提に立てば、中国を原因とする世界的な感染症は、今後とも起こり得ると見なければならない。
(3)「2番目の「雑音」は、一部の基準に満たない中国製医療物資を問題にして中国外交に泥を塗っていることだ。オランダは28日に基準に満たない中国製マスク130万枚をリコールした。また、スペインとチェコでも中国製診断キットを輸入したが精度が大きく劣り使用を中断する事態が起きた。これに対し中国外交部の華春瑩報道官は30日、「われわれが受け取った援助物資の中にも一部不合格品があった」と話した。華報道官はしかし「これに対するわれわれの選択は援助を提供した国の善意を信じ尊重するということだった」と説明した」
下線を引いたスペインとチェコは、有償購入である。精度は30%未満と劣り、感染症に罹患しているかどうかという重要な判定で全く役に立たず、全量返品措置が取られた。感染症が蔓延している混乱状態で、役立たずの医療関連製品ほど、腹立たしいものはない。中国は、大きなミソをつけたのだ。
(4)「3番目の「雑音」は、「中国の責任を問い詰めるべき」という本格的な「中国責任論」の提起だ。環球時報は英『ガーディアン』紙を引用し、英国政府の閣僚と官僚らが新型コロナ関連の中国の不十分な情報に対し現在「計算(注:損害賠償)」を準備していると伝えた。『ガーディアン』紙はまた、「英国の官僚は『中国が疫病を利用して経済的な利益を得ている』とし憤怒していると伝えた。環球時報はこうした3種類の「雑音」が極めて時代錯誤的な「合唱」を生みだしていると非難した」
中国は、居丈高な振る舞いをしている。世界中に、これだけの迷惑と損害を与えながら、一言半句の謝罪をしないどころか、「当然」という態度である。ヨーロッパの中では比較的、中国に理解があった英国でする、「反中」に転じそうである。コロナが、招いた英中離間である。
(5)「環球時報社説はこうした、「合唱」の裏には中国に対する慢性的な偏見、中国の状況は安定したのに自分たちは危険に直面していることに対する憤怒、感染症を統制できない自身の無能を隠しその責任を中国に転嫁しようとする意図があると主張した。また、西側の攻勢に中国は持続的な新型コロナ統制、助けが必要な国に対する支援、新型コロナ問題後の素早い経済回復の3種類の事実ではばかることなく対抗しなければならないと強調した。こうした中国の強い反発はそれだけ西側の非難が痛いという話と解釈される」
下線部は、誠意の一片も感じられない態度である。こういう国に対して、各国は競ってマスクなどを寄付してきた。その挙げ句が、「感染症を統制できない自身の無能を隠し、その責任を中国に転嫁しようとする意図がある」と言い放っている。西側諸国は、この言葉を忘れてはならない。政治体制が異なり、生存競争する中国に対して無防備な「善意」は、自分の身を滅ぼすという貴重な教訓を得たであろう。残念ながら、これが世界覇権を狙う中国の素顔である。
今後、次の3点に力を入れるという。
① 中国自身の持続的な新型コロナ統制
② 助けが必要な国に対する支援
③ 中国の新型コロナ問題後の素早い経済回復
中国は、自力ではいずれも不可能である。西側諸国が、開発する医薬品などの世話になるはずだ。大言壮語もほどほどにすることが、国際社会で生きる術である。中国経済は、修復不可能なほどのダメージを受けている。不動産バブルは、コロナ不況で完全崩壊を余儀なくされる。その上に、莫大なコロナ不況回復資金がのしかかる。中国経済は終わったも同然の事態に追い込まれた。もはや、どうにもならない局面だ。