勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年04月

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     英BBCが日本の対策に高評価

       

    英BBCが日本の対策に高評価

    韓国が日本の感染者急増で拍手

    韓国識者が政府へ警告した内容

    国内でマスク増産体制30億円

     

    日本の新型コロナウイルス感染者数は、欧米がピークを越えた後でも、なおピークのメドが立たない状況にある。「世界で最大の清潔国」と言われる日本が、感染抑制に手間取っている背景には、諸外国のような強制措置を取らず、あくまでも国民の自主性に待つという緩やかな規制が理由であろう。これに対して、日本国内からも、「生温い」という批判が寄せられている。

     

    憲法改正すらできない日本が、都市封鎖や強制措置を伴う措置を取ったらどうなるか。人権弾圧、戦前回帰、軍国日本への予行演習という厳しい批判が出るにちがいない。そういう国論分裂を招くような「コロナ対策」は、決して得策でない。終息への時間が遅れても、国民全体が納得する方法で、コロナを制圧するしかないであろう。

     

    英BBCが日本の対策に高評価

    こういう日本的なコロナ対策が、実は海外から高く評価されている。

     

    英公共放送『BBC』では、「住むのに最も健康的な国家」という特集を展開。その筆頭に日本を挙げ、「健康を意識する文化がコロナ危機の衝撃を最小限にとどめている」と生活文化の高さを称賛している。『ENCOUNT』(4月21日付)が伝えた。詳細は、次のようなものだ。

     

    特集では、「世界中で病院や治療院がコロナとの戦いの最前線となっている。しかし、その戦いの成功の大部分は国ごとのヘルスケア制度の有効性にかかっている」と分析している。特集では、英シンクタンク『レガタム』が毎年発表する繁栄指数格付けの健康部門に基づいて、「最も健康的な国」を選出。2019年度版の健康部門でシンガポールに続いて、第2位に選出されているのが日本である。今回の特集では、最初に取り上げられた。

     

    具体的には、次のような事例を挙げている。

     

    1)多くの日本人は、以前からマスクを着用している。花粉症対策もあって、冬と春には着けている。それが、現時点までにコロナ感染症が大きなアウトブレイクに繋がっていない理由としている。花粉症対策などによる、日本のマスク文化を高く評価している。

     

    2)日本人の60%以上は毎年健康診断を受けている。健康状態を維持する努力をしている。これが、コロナ重症例が少ない理由の一つである。

     

    以上二つの理由は、日本が、世界で1、2位を争う長寿国である理由であろう。こういう客観的な背景を考えれば、都市封鎖という強制措置を取らずとも、自主的な管理措置によって、日本がコロナウイルス感染から身を守れる「自信」を与えてくれるのだ。

     

    英国BBCは、日本のコロナウイルス対策を「マスク文化」と絡めて高く評価しているが、そのマスク不足が深刻化している。これまで、海外からの輸入に頼ってきた弱点を露呈したものだ。

     

    中国で、新型コロナウイルス発症当時は、日本の地方自自体の貯蔵していたマスクまで寄付して、在庫払底の中で見舞われた日本襲来である。それゆえ、日本政府も危機に陥って右往左往させられた。中国の感染拡大を、対岸の火事と思って見ていたのである。その虚をまんまと突かれた形である。

     


    韓国が日本の感染者急増で拍手

    この状況に、韓国市民は日頃の反日感情も手伝い、拍手するという異常局面を迎えている。日本のコロナ感染者数が、韓国を上回ったとして「トップニュース」扱いだ。韓国の人口に比べて、日本は2.5倍である。日本の感染者数が、韓国の2.5倍を上回ったならば、反日感情から見て「拍手」も無理からぬであろう。人口比で見れば、日本の現状は韓国よりはるかに低いのだ。

     

    韓国の恒常的な対日感情の悪化によって、韓国政府は日本へマスクを贈るかどうか、世論の動向を見て決めるという。こういう話が伝えられると、日本としては複雑な感情にならざるを得ない。パンダミック(世界的大流行)は、国境で防げない点では一種の天災のようなものだろう。地震や津波の災害と似た側面がある。ならば、被害の大きな国へそれなりの支援をするのは普通のこと。韓国の場合は、世論の動向を見て日本へマスクを贈るか決めるというのだ。(つづく)

     

     

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    韓国経済は、迫りくるコロナ大恐慌を乗り切る唯一の道は、手元にキャッシュを積んでおくしかない、と守りの姿勢を強めている。本社社屋の売却など、めぼしい資産は現金化するという姿は、底の浅い韓国経済の実態を反映している。

     

    『朝鮮日報』(4月22日付)は、「現代製鉄は社屋、LGは株式、現金確保向けの資産売却相次ぐ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「大韓航空は531日まで最大15%割引で航空券を購入できる「先得航空券」を販売している。こうした航空券の販売は同社創業以来初めてだ。新型コロナウイルスの影響で国際線の運航便数が90%以上減少し、売り上げが激減したことから、何とか航空券をあらかじめ販売し、現金を確保したいという狙いがあるという。大韓航空は遊休資産で時価5000億-6000億ウォンの土地(ソウル市鍾路区松ヒョン洞)のほか、時価300億ウォン台と推定される済州島の社宅も売却を目指している」

     

    コロナ恐慌で最大の被害をうけているのが航空業界である。トップ企業の大韓航空は、国際線の運航便数が90%以上減少し、売り上げが激減している。コロナ禍の前に、昨年7月からに「反日不買」の悪影響を受けており、体力消耗は限界を超えている。遊休資産として、合計5000~6000億ウォン(約500億円前後)の売却を目指している。

     


    (2)「新型コロナウイルスで経営環境が悪化し、企業は売れるものは全て売って現金を確保している。本紙と韓国経済研究院が年初から421日までの上場企業による資産処分・譲渡を集計した結果、店頭市場コスダックまで含め、合計で30件に達した。土地・不動産などの有形資産を売却し、現金確保に動いた企業が前年同期(13件)の2.3倍に達した格好だ。処分・譲渡金額は15841億ウォンで、前年同期(6226億ウォン)の2.5倍を超えた」

     

    上場企業による資産処分・譲渡を集計した結果、4月21日までに合計で30件に達している。前年同期の2.3倍にも達した。上場企業における現金化に動きが激しいことを物語っている。処分金額は、1兆5841億ウォン(約1409億円)になっている。

     

    (3)「企業は46月期の業績から新型コロナウイルスによる影響を本格的に受ける見通しだ。信用格付けが下方修正され、資金調達がさらに困難になることに先手を打って備えている。本紙が国内の信用格付け会社3社の社債格付けを分析した結果、今月に入って格付けが下方修正されたか、格付け見通しがネガティブに変更された大企業はハンファソリューション、SKエナジー、Sオイル、ホテル新羅など16社に達した」

     

    今年の韓国企業は、大量の格下げを予告されている。その企業数は16社だ。格下げされる前に、資産を売却して現金化する「防衛策」に出ている。

     

    (4)「コロナ事態の直撃を受けた現代自動車グループは全ての系列企業に「現金性資産を最大限確保せよ」という指針を下した。鄭義宣(チョン・ウィソン)首席副会長を含め、系列企業50社余りの役員1200人以上が今月から給与を20%自主的に返納することを決めた。これも現金確保に同調する動きだ。現代自グループのもう一つの主力系列会社、現代製鉄はソウル市の江南大路沿いにある蚕院社屋の売却に向け、主幹事の選定を終えた。

     

    現代自動車グループは、系列企業に対して現金保有命令を出している。それだけでない。系列を含めた50社で、役員1200人以上の給与を自主的に20%返納させて、「現金流出」を防ぐ苦肉の策に出ている。現代自の系列企業の現代製鉄は、ソウル市の江南大路沿いにある蚕院社屋の売却に向けて手続きを進めている。まさに、臨戦態勢だ。

     


    (5)「内需企業は支出をさらに引き締めている。ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長=日本名・重光昭夫=は今月から6月まで給与の半分を返上した。持ち株会社の役員、社外取締役、ロッテショッピングの役員も給与の20%カットを決めた。新世界グループのイーマートは先月、ソウル市の馬谷都市開発事業の業務用地を売却し、現金8158億ウォンを確保した」

     

    ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長は、4月から6月まで給与の半分を返上するという。関連会社役員も20%の賃金カットを決めた。

     

    (6)「出資先企業の株式を処分する企業も増えている。LG電子は流動性確保に向け、中国法人LGホールディングス(香港)の株式約4100万株を6688億ウォンで処分した。ヘテ製菓食品は主力子会社、ヘテアイスクリームの全株式を1400億ウォンでピングレに譲渡。CJ ENMも子会社のスタジオドラゴンの株式1659億ウォン相当を処分した」

     

    出資先企業の株式を処分するという。本業に関係のない企業を整理しようという動きだ。

     

    (7)「韓国経済研究院のチュ・グァンホ経済政策室長は「コロナ事態はこれまで経験したことがない危機状況であり、不確実性が高まっているため、企業は生き残りのために流動性確保に命懸けだ」と述べた」

     

    韓国経済が、これまで経験したことのない恐慌を恐れている。文政権の経済政策に期待できない以上、自衛策を講じるのであろう。

     

     


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    フランスで、新型コロナウイルスの発症原因を巡る科学的な議論に一石を投じる動きが出てきた。2008年にエイズウイルス(HIV)を発見した功績でノーベル生理学・医学賞を共同受賞したウイルス学者リュック・モンタニエ博士が、「新型コロナウイルスは人為的に作られた可能性が高い」と主張した。

     

    ノーベル賞受賞学者でウイルス専門学者の発言だけに、その影響力には大きなものがある。これまで遺伝子を組み替えているという指摘があり、本欄もそれを伝えてきた。科学的な究明がなければ、新型コロナウイルスの真相は闇に葬られたままであろう。

     

    『朝鮮日報』(4月21日付)は、「ノーベル賞受賞者も『新型コロナ、中国の研究所で作られた』」と題する記事を掲載した。

     

    「全世界で240万人以上が感染した新型コロナウイルスは、中国・武漢ウイルス研究所から流出した可能性がある」という主張が次々と提起されている。学界では「人為的に作られたウイルスだと見なすのは難しい」という意見が多いが、中国政府が十分な情報公開をしていないため、騒動が広がりそうな気配だ。

     

    (1)「フランスのウイルス学者リュック・モンタニエ博士は17日(現地時間)、ある番組で「新型コロナウイルスは人為的に作られた可能性が高い」と主張した。モンタニエ博士は2008年にエイズウイルス(HIV)を発見した功績でノーベル生理学・医学賞を共同受賞した学者だ。博士は「新型コロナウイルスは全般的にコウモリから出たと見られる特徴を持っているが、これをもとにして人為的実験を通してHIVのシーケンス(配列)を入れたものと見られる」「それに伴ってウイルスにかなりの変化が生じた」と述べた」

     

    下線部は、少数の遺伝子研究者が論文で指摘している点だ。わずかな部分でHIV遺伝子が加わっているというもの。これまでは、少数説であるために注目されなかったが、HIVでノーベル賞を受賞した「超専門家」の発言だけに無視できない重みがある。

     


    (2)「博士は、「なぜこのようなことをしたのか分からないが、HIVワクチンを開発したくてやったのではないかというのが私の仮説の一つだ」「中国当局はどんな研究をしたのか公表しなければならない」とも言った。武漢研究所だと特定はしていないが、中国の研究の過程で、新型コロナウイルスが発生した可能性があるというものだ」

     

    中国が、ワクチンの開発を目的にして遺伝子組み換えをしたのでないかという見方は、本欄が取り上げてきた中国人民解放軍と民間企業によるワクチン開発説と符節を合わせている。

     

    (3)「このような主張は、当初は陰謀論だと受け止められていた。今年1月末、67万人のフォロワーを持つ「ゼロ・ヘッジ」という金融専門ブロガーが「中国の科学者がウイルスを作り出した」と主張した時は、これを一蹴(いっしゅう)する雰囲気があった。しかし、今月14日、米紙ワシントン・ポストが具体的な状況を提示、武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出した可能性を主張する説に火をつけた。2018年に米国の官僚が武漢ウイルス研究所を訪問した後、安全管理の脆弱さを指摘し、感染症発生の可能性があると米政府に報告したものだ。フォックスニュースは「中国政府は実験室からウイルスが漏れ、収拾した過程について報告を受けた」と報道した」

     

    中国で、新型コロナウイルスがつくられたという説は当初、陰謀論として扱われてきた。誰でも初めて聞けば、中国政府がそのような危険な火遊びをするとは思えない。私もそういう見方の一人であった。だが、科学的な根拠を提示されると、そういう陰謀論が揺らぐのである。しかも、その後の中国政府の対応は、隠蔽一辺倒である。自らが潔白であるならば、こういう後ろ向きの姿勢でなく、原因究明に向けたオープンな体制を取るはずである。米国人科学者の調査を拒否しているところが一層、疑惑を深めた理由になっている。

     

    (4)「欧州では、ドミニク・ラーブ英首相代行が16日、「中国は新型コロナウイルス感染症がどのように発生し、なぜ防ぐことができなかったのか、答えなければならない」と非難した。中国内部からも「実験室からの流出説」が出た。広州市内にある華南理工大学所属の肖波濤教授は今年2月、「新型コロナウイルスは、武漢ウイルス研究所または武漢疾病管理センターから出たもの」「研究者たちはよくコウモリにかまれていた」と明らかにして波紋を呼んだ」

     

    欧州では、中国がマスク外交で問題の本質をウヤムヤに終わらせようという動きに非難が高まっている。「世界共通の災難」という中国の発言は、明らかに「自然発生論」で覆い隠そうという意図である。だが、新型コロナウイルス感染症による人命被害・経済被害は、中国が賠償しなければならないと主張する声があちこちから上がっている。次の記事は、それをしめしている。

     

    「米バーマン法務グループが新型コロナウイルスに感染した40カ国・1万人の代理人として米フロリダ州の裁判所に訴訟を起こした」と英紙デイリー・メールが4月19日、報道した。中国が初期に新型コロナウイルス感染症発生を隠ぺいして被害を広げたため、合計6兆ドル(約646兆円)を賠償しろというものだ。米保守団体フリーダム・ウォッチは中国が生物化学兵器の製造過程で新型コロナウイルスを流出させたとして、テキサス州の裁判所に先月、提訴した」(『朝鮮日報』4月21日付)

     


    (5)「学界では、「新型コロナウイルスは人為的に作られたものではない」という主張が多数派となっている。仏紙ル・モンドはモンタニエ博士の主張を紹介しつつ、「このような主張は学界の主流ではなく、全世界の多くの学者が同意しない」と伝えた。韓国パスツール研究所のキム・スンテク人獣共通ウイルス研究チーム長は「新型コロナウイルスの塩基配列を分析してみると、人工的に作られたものではないというのが専門家たちのおおかたの意見だ」と言った。高麗大学九老病院のキム・ウジュ感染内科教授は「新型コロナウイルスの配列を見ると、見慣れないものではなく、既存のウイルスと類似しており、自然界からでたと見る方が妥当だ」と話す」

     

    ここでは、遺伝子組み換えでないという多数説を紹介している。だが、真実は多数説で決まるものではない。多数説には、「見落とし」があるもの。少数説を吟味すべきである。

     

     

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    新型コロナウイルスによって、欧米は地獄の日々を送ってきたが、ようやく曙光が指してきた。感染率の「基本再生産数」(RO)が1を下回ってきたからだ。1人の感染者が、1人以下の感染者を出す状況にまで事態が改善されてきたのである。こうして、経済活動再開が具体的な日程に上がってきた。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月21日付)は、「コロナ感染の変数『RO』封鎖解除に向け注目」とだいする記事を掲載した。

     

    欧米各国は、新型コロナウイルスの流行に関する重要な変数をある水準まで低下させることに成功したとしている。それは、各国経済を凍結状態に陥れたロックダウン(都市封鎖)によって、感染拡大の抑制に成功したことを示唆しているという。

     

    (1)「この変数は基本再生産数(RO)で、新型コロナウイルスの感染者1人が平均で何人に感染させるかを示す。各国政府が何億人もの人々に自宅待機を強いている施策の緩和を模索する中で、この数値が大いに注目されるだろう。基本再生産数が1未満であれば、流行は収まりつつある。1未満でも1に近ければ近いほど感染者の減少は遅く、流行再燃のリスクが高い。1以上にとどまれば、流行は勢いを増す。欧州全域と米国の一部では1未満に低下しており、これは良い知らせだ。基本再生算数の推定値は、確認された感染者数および入院者数の伸びに関する情報に基づいている」

     

    RO(基本再生産数)が、1未満になると流行が収まりつつあるというシグナルである。欧州全域と米国の一部に、明るさが見えて来た。これは、日本にとっても良い情報である。

     

    (2)「厄介なのは、この数値が1をわずかに下回るか上回るかという点に、ウイルスの流行が非常に敏感に反応することだ。このため、各国政府は学校・工場・店舗の再開といった規制緩和措置がこの数値にどう影響するかを予測し、その影響をモニターし続けなければならない。数値が再び1を上回れば、一部の規制を復活させざるを得なくなるかもしれない」

     

    ROが、1を大きく割り込むこと(例えば0.2~0.3)が経済活動再開のメルクマールになる。1を僅かに下回る程度では、再び1を上回る危険性が高いのだ。

     


    (3)「米国でコロナ危機の中心となっているニューヨーク州では、アンドリュー・クオモ知事が19日、同州の基本再生産数が0.9に低下したことを明らかにした。ただ、「ここから先に進む上で許される誤差の範囲は極めて小さい」と指摘。数値がわずかに上昇して1.2となれば、「ウイルスは拡散し、流行となり、大流行となり、制御不能ということになる」と語った」

     

    注目の米国ニューヨーク州では、ROが0.9になった。この程度では、再び大流行の危機が高まる。

     

    (4)「欧州の政府も、数値が1未満になったと述べているが、新型コロナとの戦いに勝利したと言うにはほど遠く、数値は再び上昇する可能性があると強調している。フランスのエドゥアール・フィリップ首相は19日、フランスではこの変数が0.6に低下したと述べ317日から実施されている封鎖措置のおかげで感染拡大のスピードが「急激に落ちている」ことを示すものだと語った。武漢での事例について中国の科学者が主導して行った研究では、厳格な都市封鎖によって再生算数は3.86から0.32に低下したことが示されている」

     

    フランスも、ROが0.6にまで低下してきた。封鎖措置の効果が急激にでてきたもの。最近の数値は、何も対策がなされなかった場合の再生算数として多くの研究で推定されている平均34から大幅に低下している。感染のスピードが落ちなければ、一部の重症患者によって大半の国々の医療システムが崩壊する恐れがあった。

     


    (5)「フランスのフィリップ首相は19日、再生算数の推定値について、現在511日までとなっている封鎖措置を段階的に解除する際に使用する数値の1つになると述べた。英国では政府の主席科学顧問パトリック・バランス氏が先週、国内の再生産数は1を割り込んだ可能性が非常に高いが、恐らく0.5を上回っていると述べた。これは、新型ウイルスの流行は縮小しているが縮小ペースは不透明という意味だ」

     

    英国でも、封鎖措置解除の目安はROの低下である。現状では、0.5程度だが、これではまだ、自信をもって解除に踏み切れないという。

     

    (6)「科学者はなお、ロックダウンを緩和していく手順を調整するのに役立つとみられる予測モデルを研究している。デンマークでは、11歳未満の児童を対象に学校を再開した。これは、他の国でも初期に採用される緩和策の1つになるとみられる。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの科学者らによる学校閉鎖に関する研究によると、学校閉鎖だけでは「死者数を24%減らすだけで、他のソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)措置と比べ効果が非常に小さい」という」

     

    ソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)措置が、RO値を下げるうえで最も効果があるという。新型コロナウイルスが、ヒトからヒトへの感染である以上、対人距離の確保が最優先策になるのは当然であろう。RO値を0.2~0.3まで引下げるのは、人間の忍耐度に比例するようだ。

     

     

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    韓国が、朝鮮戦争参加国へマスク贈呈検討中と報じられた。朝鮮戦争で、日本は自衛隊の前身である警察予備隊が発足したばかりであり、正式な支援要請は受けなかった。ただ、旧日本海軍の関係者が、米軍の要請により秘かに機雷の掃海作業で出動していたことは伝えられている。

     

    韓国が、マスク外交によって、国連軍の一員として戦闘行為へ参加した諸国へマスクを贈呈することは、独自判断で行なえばよいことで、日本を除外しても当然であろう。日本の国民感情から言えば、むしろ「貰わない」方を選ぶかも知れない。それほど、日韓関係は悪化しているからだ。

     

    『朝鮮日報』(4月21日付)は、「韓国政府、米国・日本と韓国戦争参戦国にマスク支援を検討」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府が米国と日本、そして韓国戦争(朝鮮戦争)参戦国などにマスク支援を検討していることがわかった。

     

    (1)「韓国日報は20日、韓国政府関係者の話として、丁世均(チョン・セギュン)首相が新型コロナウイルス対策会議で、「保健用マスクを輸出・支援すれば国格をアップグレードするのに助けになるだろう」としながら対象国として米国と日本を具体的に取り上げたと報じた。これに対し食品医薬品安全処と外交部などが必要な措置を論議中だという」

     

    韓国から、これ見よがしにマスクを支援して貰えば、後になって外交面で何を言ってくるか分からないという危惧はある。

     


    (2)「日本に対する支援は慎重に推進中だという。韓国政府関係者は韓国日報に「1日のマスク生産量が1500万枚まで上がる今月末または5月初めごろには方針を決められるだろう。世論調査など国民の意見を聴取する過程を必ず経て、特に日本に対する支援はより慎重に決めることになるだろう」と話した」

     

    日本は、支援を受けるべきでなかろう。韓国政府が、世論調査という「スクリーニング」をかけてまで、支援先を決めるというお情けでマスク支援をして貰う必要はない、と断るべきだ。日本政府に意地があるならば、毅然として石にかじりついてでもマスク増産体制を早急に立てるべきだ。安倍政権の鼎の軽重が問われる。


    (3)「一方、米国と日本以外に韓国戦争に参戦した国に対し「恩返し次元」のマスク支援検討も進められているという。該当国は米国、フランス、英国、カナダ、コロンビア、フィリピン、タイ、エチオピアなど16カ国だ」

     

    国連軍として、朝鮮戦争に参戦した国には「恩返し次元」のマスク支援を検討中という。それは結構なことであり、大いにやるべきだろう。

     

    韓国政府が、日本へのマスク支援について世論調査するとは、日本としても聞き捨てならぬ話である。これでは、日本の立場はない。施しを受けるに等しい行為であるからだ。

     

    韓国では、先の総選挙で与党が「反日」を高く掲げ、「韓日戦争」と銘打って国民に反日を訴えた経緯がある。これほどまでに侮辱してきた韓国から、マスク一枚といえども恵んで貰うような振る舞いを受けることはない。日本政府が、その気になればマスク増産は困難な問題でないはずだ。

     

    韓国での日本関連記事では、日本のコロナ感染者急増を大喜びするコメントが列をなしているという。やっぱり、予想通りの事態が起こっていたのだ。大統領が「反日」を堂々と宣言する国である。国民が、これに呼応して「日本批判」を大合唱するのは致し方ないであろう。

     

    日本経済が、消えるという説まで唱えているほどだ。韓国経済が、日本の分を引き受ける「反射利益」(漁夫の利益)で大発展する。こういうコメントまで登場しているのだ。韓国経済の置かれている苦境を代弁している。劣等感の裏返しだ。

     


    『中央日報』(4月14日付)は、「
    日本のコロナ感染拡大、喜ぶことか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のナム・ジョンホ論説委員である。

     

    (4)「日本国内の新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染者数が急増しながら、関連記事に反日コメントが列をなしている。「地獄の門が開かれた。1万人突破は時間の問題」「絶対に助けてはいけない」--背筋が寒くなるような内容ばかりだ。2011年東日本大震災の時に560億ウォン(現レートで約49億5000万円)以上の寄付を集めた韓国人の性格がなぜここまで殺伐とするようになったのか」

     

    日本を羨ましく思ってきた気持ちが、逆転して「日本を呪う」気持ちに変わっている。その背後には、韓国経済の疲弊による閉塞感が、こういう感情を引き起していると見る。


    (5)「日本国内の新型コロナの感染拡大を心配しなければならないのは人道主義のためだけではない。在日同胞だけで60万人、日本への留学生も1万7000人になる。一方ではコロナで日本経済が消える場合、韓国側が反射利益を得るだろうという期待もあるようだ。日本企業が路頭に迷えば、ライバルの韓国会社側が海外占有率が高まるという論理だ。だが、他の外国にも競争者が山程いる世の中だ。日本の分をすべて韓国会社が占めることができるという保障はない」

    下線部分では、日本経済が消えるという期待感まで出ている。こういう「空想」に胸を膨らませているところに、韓国経済の行き詰まりが現れている。ここまで、日本を貶めようという国民から支援されたマスクに、日本人は喜ぶだろうか。

     

     

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