勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年05月

    ムシトリナデシコ
       

    先の中国全人代で、中国政府が香港へ国家安全法を制定すると発表して以来、台湾の存在が関心を呼んでいる。台湾はこれに応える形で、自由の天地として香港人の受入れ方針を発表した。米国は、すでに台湾について強い防衛方針を表明している。香港では、こういう背景もあり台湾が安住の地として脚光を浴びている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月27日付)は、「台湾蔡総統、香港からの移住支援を表明、中国警戒も」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は27日、香港人の台湾への移住を支援すると表明した。北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針が採択される見通し。自由の制限を懸念し、台湾への移住希望者が急増するとの見方が出ている。中国は香港と台湾の連帯に警戒を強めそうだ。

     

    (1)「蔡氏は27日午後に台北市内で記者団の取材に答えた。「自由と民主を追求する香港人の決意を支持する」「台湾での居住や労働などで必要な支援を行う」と表明した。蔡氏は行政院(内閣)に具体的な施策の策定を指示したと明かした。香港人が台湾で一般の居留許可を得るには「台湾で600万台湾ドル(約2200万円)以上の投資を行う」などの条件をクリアする必要がある。こうした条件を再考し、受け入れをしやすくする可能性がある。香港では2019年6月から政府への抗議活動が激化し、台湾など海外への移住希望者が増えた。台湾では19年に、香港人への居留許可の件数が前年比41%増の5858件となった。20年14月は2383件と前年同期の2.5倍となった」

     

    台湾で一般の居留許可を得るには、約2200万円以上の投資が前提である。庶民が、こういう条件をクリアするには障壁が高すぎる憾みがある。そこで、これを大幅に引下げるなどして多くの香港人を受入れるのであろう。

     

    蔡総統は記者団に対し、「香港からの友人に人道援助を提供する行動計画を提案する」と述べ、「われわれは、民主主義と自由を求める香港の人々の決意を支持し続ける」と語った。蔡総統は計画の詳細やタイミングは明らかにしなかったが、対中政策を担当する大陸委員会が計画を主導し、当局の作業部会が宿泊場所や雇用も含め、必要な予算や資源について調整を行うと説明した。台湾には亡命を求める香港の活動家に適用できる難民法はないが、政治的理由で自由と安全が脅かされている香港市民を支援することは法律で約束している。蔡総統は、香港からの移民は過去1年間に急増しており、この傾向は続くと当局がみていると明らかにした。以上は、『ロイター』(5月27日付)が伝えた。

     

    (2)「『香港国家安全法』の制定方針が示されたことで、台湾では中国への警戒感が一段と強まっている。蔡総統が主席を務める対中強硬路線の与党・民主進歩党(民進党)は香港民主派と交流があり、中国側は両者の連帯に神経をとがらせている」

     

    香港民主派は、台湾与党の民進党と交流があるという。台湾としても香港とのパイプを太くすればするほど、台湾人の支持を固められるという政治的な配慮もあるだろう。また、米国との関係強化という副産物も得られるから、台湾と香港民主派の関係は深まるだろう。中国の香港「制圧」目的が、意外にも米国を軸にして香港民主派と台湾を結びつける、予想もしなかった事態に向かう。

     

    蔡総統は25日、フェイスブックへの投稿で、英国からの返還後50年は香港が変わらず、高度な自治を持ちながら香港の人々が香港を統治するという約束は破綻寸前だと訴えた。また、香港を巡る状況が変われば、台湾と香港間の貿易や経済、文化面の関係を促す法規制は停止の可能性があるとも説明。台湾は抑圧されている香港住民への必要な支援を提供すると表明した。以上は『ブルーンバーグ』(5月25日付)で報じられた。

     

    先の中国全人代で、中国政府が香港へ国家安全法を制定すると発表して以来、台湾の存在が関心を呼んでいる。台湾はこれに応える形で、自由の天地として香港人の受入れ方針を発表した。米国は、すでに台湾について強い防衛方針を表明している。香港では、こういう背景もあり台湾が安住の地として脚光を浴びている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月27日付)は、「台湾蔡総統、香港からの移住支援を表明、中国警戒も」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は27日、香港人の台湾への移住を支援すると表明した。北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針が採択される見通し。自由の制限を懸念し、台湾への移住希望者が急増するとの見方が出ている。中国は香港と台湾の連帯に警戒を強めそうだ。

     

    (3)「蔡氏は27日午後に台北市内で記者団の取材に答えた。「自由と民主を追求する香港人の決意を支持する」「台湾での居住や労働などで必要な支援を行う」と表明した。蔡氏は行政院(内閣)に具体的な施策の策定を指示したと明かした。香港人が台湾で一般の居留許可を得るには「台湾で600万台湾ドル(約2200万円)以上の投資を行う」などの条件をクリアする必要がある。こうした条件を再考し、受け入れをしやすくする可能性がある。香港では2019年6月から政府への抗議活動が激化し、台湾など海外への移住希望者が増えた。台湾では19年に、香港人への居留許可の件数が前年比41%増の5858件となった。20年14月は2383件と前年同期の2.5倍となった」

     

    台湾で一般の居留許可を得るには、約2200万円以上の投資が前提である。庶民が、こういう条件をクリアするには障壁が高すぎる憾みがある。そこで、これを大幅に引下げるなどして多くの香港人を受入れるのであろう。

     

    蔡総統は記者団に対し、「香港からの友人に人道援助を提供する行動計画を提案する」と述べ、「われわれは、民主主義と自由を求める香港の人々の決意を支持し続ける」と語った。蔡総統は計画の詳細やタイミングは明らかにしなかったが、対中政策を担当する大陸委員会が計画を主導し、当局の作業部会が宿泊場所や雇用も含め、必要な予算や資源について調整を行うと説明した。台湾には亡命を求める香港の活動家に適用できる難民法はないが、政治的理由で自由と安全が脅かされている香港市民を支援することは法律で約束している。蔡総統は、香港からの移民は過去1年間に急増しており、この傾向は続くと当局がみていると明らかにした。以上は、『ロイター』(5月27日付)が伝えた。

     

    (4)「『香港国家安全法』の制定方針が示されたことで、台湾では中国への警戒感が一段と強まっている。蔡総統が主席を務める対中強硬路線の与党・民主進歩党(民進党)は香港民主派と交流があり、中国側は両者の連帯に神経をとがらせている」

     

    香港民主派は、台湾与党の民進党と交流があるという。台湾としても香港とのパイプを太くすればするほど、台湾人の支持を固められるという政治的な配慮もあるだろう。また、米国との関係強化という副産物も得られるから、台湾と香港民主派の関係は深まるだろう。中国の香港「制圧」目的が、意外にも米国を軸にして香港民主派と台湾を結びつける、予想もしなかった事態に向かう。

     

    蔡総統は25日、フェイスブックへの投稿で、英国からの返還後50年は香港が変わらず、高度な自治を持ちながら香港の人々が香港を統治するという約束は破綻寸前だと訴えた。また、香港を巡る状況が変われば、台湾と香港間の貿易や経済、文化面の関係を促す法規制は停止の可能性があるとも説明。台湾は抑圧されている香港住民への必要な支援を提供すると表明した。以上は『ブルーンバーグ』(5月25日付)で報じられた。

     

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    韓国は5月30日から、先の総選挙で選ばれた国会議員による第21代国会が始まる。日本として注目すべきは、韓国第20代国会で廃案になった、旧徴用工補償案のいわゆる「文喜相(ムン・ヒサン)法案」が、可決されるかどうかである。

     

    第21代国会がスタートしなければ、どうなるか状況は掴めない。ただ、次の記事にあるように、日本側から韓国へボールが投げられたわけで、韓国も無視できない動きとなろう。

     

    『朝鮮日報』(5月27日付)は、「文喜相議長の徴用補償案『韓国国会で通過すれば安倍首相はすぐ日韓首脳会談に出る』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日韓議員連盟の河村建夫幹事長は26日、「(韓国第20代国会で廃案になった、いわゆる)文喜相(ムン・ヒサン)法案や、これよりもさらに進展した案が次の韓国国会で通過すれば、安倍晋三首相は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と首脳会談をし、輸出規制が解かれることになるだろう」と述べた。文喜相国会議長が代表発議した「文喜相法案」は韓日の企業と両国国民の寄付で徴用被害者に補償する内容を含むものだ」

     

    このパラグラフは、日本側が日韓関係改善の糸口を明確に示したものだ。旧徴用工賠償問題について韓国が法案を可決すれば、日韓首脳会談を開き輸出手続き規制を解除するだろう、という話である。逆に言えば、韓国国会が補償案を成立させない限り、日韓首脳会談を開かないこと。輸出手続き規制の解除もない、と鮮明にしている。

     


    第21代国会は、与党が177議席(定員300)という圧倒的多数を占めている。極論を言えば、与党案はすべて成立する環境である。その与党からは、反日的行動が一層、強まる兆しを見せている。例えば5月24日、国立ソウル顕忠院で開かれた行事では、「親日派の墓を顕忠院から撤去すべき」とし「(第21代国会で)親日派墓撤去法を作らなければいけない」という発言が飛び出したのだ。

     

    こういう中で、旧徴用工補償案が可決される見通しは、全くつかないと言うべきだろう。となれば、日韓関係は改善される可能性はさらに遠くなる。

     

    (2)「これは、河村氏が同日、国会事務室で本紙のインタビューに応じ、「文喜相法案が座礁したのは遺憾だ。韓国の次期国会でも両国関係を改善する法案を引き続き推進してほしい」として、述べた言葉だ。河村氏は「今月13日にも官邸で安倍首相に会い、韓国の状況について話した。安倍首相は韓国の国会が変わっても日韓関係のため引き続き努力してほしいと言った」と語った」

     

    安倍首相は、日韓関係改善意欲が強いことを韓国側へアピールしている。ただ、それが無条件でないことを明確にしていることも事実だ。

     

    (3)「河村氏は先月15日に投票が行われた韓国の国会議員総選挙運動時、安倍首相の官邸の雰囲気が深刻だったとも話した。「当時、韓国与党から反日表現が出て、反日を選挙に利用する動きがあったため、首相官邸では非常に敏感に受け止め、注視した」というのだ。また、「安倍首相の周辺に嫌韓・反韓性向の人物たちがいないとは言えない」「首相官邸には、韓国与党が反日を選挙に利用するのを許してはならない、という動きがあった」と言った。それほど韓日関係はきわどい状況だということだ。

     

    韓国の先の総選挙で、韓国与党は「韓日決戦」とあからさまに反日を煽って選挙戦に臨んだ。これは、日本側の心情を痛く刺激した。本欄も、こういう反日で選挙戦を戦うという非常識を強く非難した。選挙に勝つために隣国を罵倒する。異例の話である。こういう与党が、徴用工賠償案を可決するか、疑問符がつくのである。

     


    (4)「河村氏は、日本では最近、「尹美香(ユン・ミヒャン)事件」に注視している、とも語った。河村氏は「特定団体が慰安婦問題を利用して物議を醸しているという話が毎日報道されている。今回の事件が、両国の未来志向的な関係を作っていくきっかけになることを願う」と述べた」

     

    「尹美香事件」とは、元慰安婦支援団体が集めた募金が、支援団体代表者の尹美香氏によって、自分の財産形成に流用したという疑惑事件である。すでに検察捜査のメスが、二度も加えられる大型犯罪の様相を呈している。この団体が、日韓慰安婦合意を破棄させる上で、大きな影響を与えた。この事件が落着して、韓国で日韓問題を冷静に考え直す雰囲気が生まれるか。日本側は、好転を期待している、というのである。


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    韓国のサムスン電子とSKハイニックスは、半導体メモリーの世界メーカである。米中冷戦の中で、中国ファーウェイへの納品を巡り、米中双方から袖を引っ張られるモテぶりだ。その裏で、冷酷な国際政治の力学が働いている。有無を言わせない無言の圧力がかかっているのだ。洞ヶ峠を決め込むことで有名な韓国だが、まかり間違えば米国から「破門」を申し渡される危険性も抱える。企業サイドに任せるばかりでなく、韓国政府が、乗出す事態にまで発展しそうである。

     

    『韓国経済新聞』(5月25日付)は、「半導体掌握しても『米中の切っ先』に立つ韓国『ぎりぎりの綱渡り』」と題する記事を掲載した。

     

    最近会った韓国のある半導体企業幹部は「中国ファーウェイをめぐる米中間の攻防が激しくなるほど韓国の半導体企業に対する両国の圧迫と懐柔も激しくなるだろう」としながらこのように話した。攻撃する米国、防御する中国の双方ともサムスン電子とSKハイニックスは「相手方を座り込ませる武器」になる。両社が2019年基準でDRAM市場の73%のシェアを掌握し、半導体のグローバルサプライチェーンのカギを握っているためだ。サムスン電子とSKハイニックスがDRAM供給を絶つことになればファーウェイは再起不能状態に追いやられる。

    (1)「問題は韓国企業が「刀の柄」ではなく「切っ先」をつかんでいるというところにある。米国と中国が売り上げ割合の1位と2位を争っており、どちらか一方の手を上げることはできない状況だ。米国のファーウェイ制裁はオバマ政権時代の2011年に遡る。当時米国防総省は「ファーウェイは中国人民解放軍と密接な関係がある。民間企業の仮面をかぶったスパイだ」という疑惑を提起した。トランプ大統領就任後の米国の「ファーウェイ叩き」はさらに強硬だった。米高官らは「ファーウェイがスマートフォンとネットワーク装備を通じて軍事機密を盗み出している。米国の技術を違法に持ち出している」と主張した。昨年5月にはファーウェイをブラックリストに上げ「米国内販売」を禁止させた」

    ファーウェイは、表面的に民営企業形態である。実際は、社員=労働者を株主としており、その裏で労組=中国政府というトリックが施されている。歴とした、中国人民解放軍の一部門である。スパイ活動の一翼を担っているのだ。



    (2)「強力な制裁でも、ファーウェイがこの1年間にスマートフォンやネットワーク装備などを順調に生産し続けると、米商務省は今月14日に「対ファーウェイ追加制裁案」を出した。ファーウェイが独自開発した通信用半導体を調達できないようファーウェイの設計図を受けて半導体を生産する台湾のファウンドリー(受託生産)企業であるTSMCに米国政府の輸出許可を受けるようにしたのだ」

    米国は、ファーウェイがスパイ機関と位置づけている。米国の技術やソフトを輸出禁止した理由は、スパイ機関であるという認定である。

     

    (3)「最近強化された制裁もファーウェイをへこませられないだろうという見通しが出ている。通信用半導体を独自に生産する代わりに米国を除いた国の企業が開発・生産した半導体を調達することには支障がないためだ。韓国半導体業界は、米国政府がさらに強力な制裁カードを切るならばサムスン電子とSKハイニックスを活用するだろうという予想が出ている」

     

    (4)「サムスン電子とSKハイニックスの悩みは、米国が「ファーウェイのスパイ行為を助けている」と主張し、「メモリー半導体供給中断」を要請するケースだ。両社とも簡単に拒否できない圧力に直面することになる。ファーウェイのスマートフォンとネットワーク装備などにサムスン電子とSKハイニックスが製造した半導体はいまも使われている。米国政府は「ファーウェイがスマートフォンとネットワーク装備を通じて機密を盗んでいる」という疑いを引っ込めていない」

     

    米国は、最終的にサムスンとSKに対して、ファーウェイとの取引中止を迫ると見る向きも出てきた。ファーウェイを屈服させるには、これしか道がないという判断からだ。



    (5)「米国は、サムスン電子が半導体のグローバルサプライチェーンのカギを握っているという点で、ファーウェイを終わらせる「最後の決定打」として活用できる。DRAMとNAND型フラッシュは「産業のコメ」と呼ばれるほど広範囲に活用される。ファーウェイのスマートフォンとネットワーク装備だけでなく、アップルやインテルなど世界のほとんどのIT企業製品に使われるサムスン電子、SKハイニックスが特定企業へのDRAM供給を絶てばその企業はIT製品製造を事実上断念せざるを得なくなる」

    中国の半導体産業は、黎明期にある。製造技術が未発達で製造過程は低い歩留まりのままで、進歩しないとされる。それだけに、サムスン電子とSKハイニックスを発注先として失うことは、死活問題になる。

      

    (6)「サムスン電子は、ファーウェイにメモリー半導体を供給すると同時に世界のスマートフォンとネットワーク装備市場で競争する。複雑な戦いをしなければならない状況だ。ファーウェイはサムスン電子から年間4兆ウォン前後のメモリー半導体を購入する大口顧客であると同時にスマートフォン世界2位の企業で1位のサムスン電子を追いかけている。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が力を入れている第5世代(5G)ネットワーク装備市場では世界1位の企業だ。韓国半導体業界では、サムスン電子が米国と中国のどちらか一方に偏るよりは中立を守ってぎりぎりの綱渡りに出るだろうという観測が優勢だ

     

    米中対立がさらに激化すれば、米国はサムスンにファーウェイへの供給中止を迫る法律をつくって迫るだろう。米国覇権に挑戦する中国は、米国にとって敵なのだ。下線をつけたような観測は甘い。米国が、韓国半導体企業に最後の決断を迫る時期は近いであろう。


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    米中対立の激化とともに、中国は対ドル人民元相場を安値に誘導している。米国の関税率引き上げを相殺する目的とされている。従来は、1ドル=7元が関門とされたが、現在(5月26日)は、7.13元まで下げてきた。人民元安は、苦しい中国の輸出環境突破に寄与するとしても、いつ千尋の谷へ落込まないとも限らない。危ない橋を渡っているのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月26日付)は、「中国の元安カード、はらむリスク」と題する記事を掲載した。

     

    中国人民銀行(中央銀行)が連日で対ドルの基準値を約12年ぶりの安値に設定し、市場で思惑を呼んでいる。米中対立の激化で市場の元売り圧力が強いなか、元安を容認したとの見方だ。だが安易な「元安カード」は米国の一段の反発を招くおそれがあるほか、思わぬ資金流出を呼び込むリスクも潜む。コロナ危機下での新たな波乱材料にもなりかねない。

    人民銀は26日、人民元の売買の基準値を対米ドルで前日よりも元安の1ドル=7.1293元とした。前日に123カ月ぶりの安値水準としたのに続き、市場に根強い元安・ドル高の流れを容認する構えをみせた。

     

    (1)「人民銀の「元安容認」はどこまで本気なのか。米運用会社のストラテジストは人民銀の動向に目をこらす。「中国は通貨の『武器化』を避けるはずだと思っていた。しばらく動きを注視する必要がある」と。市場関係者の脳裏には、2019年夏にかけて米中対立が激化した場面で、人民銀が元安容認の姿勢を強めたことが刻まれている。高関税による輸出コストの増加を、通貨安で補う狙いだと解釈された。同年8月には米財務省は中国を為替操作国に指定し、「関税戦争」が「通貨戦争」に飛び火する恐れも強まった」

     

    米国は、中国を「敵」と位置づけている。いつでも、経済面で「熱戦」になる危険性を抱えていることを忘れてはなるまい。固定観念で見てはならないのだ。中国が、背に腹はかえられぬ事態になれば、躊躇することなく元安相場へ誘導するだろう。

     

    (2)「その後、流れはいったん変わる。米中の貿易交渉が20年1月に第1段階の合意に至り、為替操作国の指定も外れた。香港への統制を強める「香港国家安全法」をはじめ、米中対立の先行きは予断を許さないが、市場には「貿易戦争が再燃しない限り、元安誘導も限られる」との見方もある。26日の上海市場では、元を一段と売り込む動きは限られた

     

    市場は、人民元の売り込みに慎重姿勢という。だが、長い目で見れば、経常収支赤字は不可避となっている。大幅な貿易黒字を稼ぎ出すバックグランドが、消えかかっているのだ。中国が、グローバル経済の名の下で、世界のサプライチェーンを豪語する時代は、コロナのパンデミックとともに消えたとみるべきだ。趨勢的には、人民元安は既定路線になっている。

     

    (3)「人民銀の易綱総裁は26日に公開したインタビューで「流動性の確保」に言及し、金融緩和姿勢を鮮明にした。財政刺激や金融緩和にあわせ、緩やかな元安で景気を支える狙いがあってもおかしくはない。それでも市場の懸念は消えない。「金融分野という新しい戦場へと緊張が及ぶ懸念が強まっている」。米JPモルガンのストラテジスト、ジョナサン・カベナー氏らは金融分野での米中対立が人民元安につながる可能性があると指摘する」

     

    米中の金融分野の対立は、刻々と迫っている。中国が、香港へ国家安全法を導入すれば(8月頃か)、米国は対抗措置を取るのは決定的である。香港への特恵条項(関税など)は廃止されれば、香港の経済的地位低下は避けられなくなる。それは、同時に、人民元相場安となってはね返るだろう。また、中国が、南シナ海の台湾所有の島嶼を占領すれば、これも人民元安要因となる。

     


    (4)「米国には米投資家の中国投資を制限する動きが広がる。米上院は、米国に上場する外国企業に経営の透明性を求める法案を可決した。米取引所ナスダックは中国企業の新規上場を事実上制限する新ルールを公表した。JPモルガンによると、米国からの中国株への投資は19年4~6月時点で190ドル(約20兆円)にのぼり、中国外での保有割合は2割強と香港に次ぐ高さだ。資本市場での米中対立が強まれば、米国からの中国への資金流入が細る懸念もあいまって、強い元安圧力がかかる可能性がある」

     

    米国は、資本市場から中国企業を排除する立法措置を進めている。これが本格化すれば、中国へのドル流入が細る。これも、人民元安要因となる。

     

    (5)「中国の外貨準備は国際通貨基金(IMF)が試算する適正規模は下回り、輸出や短期債務の規模からみて盤石とはいえない。3~4月の資本流出が計6兆円に達したとの試算もある。人民元カードを安易にちらつかせると、思わぬ資金流出を招くリスクもある」

     

    IMFは新興国の外貨準備の適正水準の判断材料として、外貨準備の①対輸出額、②対短期債務残高、③対マネーサプライ、④対その他負債比率を挙げている。これらの基準は、外需の急減への耐性、短期債務の返済能力、国内資本逃避への耐性、対内証券投資における資金流出への耐性といった観点に基づくものだ。IMFは以上4つの基準を合わせた外貨準備高の適正水準を公表している。これに基づくと2017年末以降、中国の外貨準備高はIMFの算出する適正水準を下回っているのだ。この隠れた事実を確認すると、中国の「人民元安」誘導は、危険な火遊びに映る。

     

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    韓国は、日本より一足早くコロナ警戒体制を解除したので、これまで鼻高々であった。文政権支持のメディアである『ハンギョレ新聞』(5月21日付)は、露骨に日本を批判した。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の過程で立証された開放性、民主性、透明性など、韓国社会の力量は日本のそれを上回る」(社説「『加害者』日本がなぜ恥知らずにも介入するのか」)と豪語したのだ。日本メディアが、韓国の元慰安婦支援団体の募金流用を批判した記事への反論である。

     

    要するに、韓国は日本よりも開放性、民主性、透明性で優れているから、コロナ禍を克服できた、という主張である。飛躍もはなはだしい論調だが、その韓国で世論操作が堂々と行なわれているのだ。何が、開放性、民主性、透明性かと、改めて韓国へ問い直したいのである。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月26日付)は、「世論工作員の告白、操作技術も進化、世界70カ国で確認」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「3月、韓国・ソウル。過去の大統領選挙で世論工作に関わったという人物が重い口を開いた。「金、異性、詐欺事件。あらゆる問題が対象だ」。インターネットを使った口コミ代行業を請け負う。主要顧客は政党だ。「金になれば、保守からも革新からも受注する」という。数十人のアルバイトを雇って韓国で人気のSNS(交流サイト)「ネイバー」や「カカオトーク」に様々な投稿を書き込ませ、拡散する。「少しの根拠を誇張して広める。1千人のうち10人が信じれば十分に効果はある」と明かす」

     

    韓国では、情報操作が世論調査にまではびこっている。文大統領の支持率が、複数の世論調査会社によって、ほぼ同時期に行なわれるにもかかわらず、相当の開きがあるからだ。これは、政権寄りの世論調査会社が、意識的に文氏の高い支持率を引き出すためのテクニックを使った調査であることが分かっている。

     

    韓国では、進歩派陣営で世論操作するケースが多い。例えば、2017年5月の大統領選では、いわゆる「ドルイドキング事件」によって、文在寅氏を持ち上げる記事をネットで大量に流させた。これが、文氏の支持率を一貫してトップに押し上げ、ついに大統領の椅子へ就けさせたのだ。その手口は、ネットでの書込み工作をする実行犯と、情報を提供した与党「共に民主党」の有力議員の存在が周知の事実となっている。日本ではこういう例を聞かないが、韓国の民主主義はそう言っては失礼だが、この程度のものである。

     

    (2)「言論の自由は民主主義の土台だが、偽ニュースによる世論操作という重い代償がのしかかる。英オックスフォード大によると、2019年に世界の70カ国・地域でネット世論工作の形跡が確認できた。17年の約3倍だ。調査担当のサマンサ・ブラッドショウ氏は「欧米で選挙に使われたのをみて多くの新興国が世論工作の技術を採用した」と話す。19年はウズベキスタンやインドネシアなどがリストに加わった。新型コロナウイルスを巡る国際世論を狙ったプロパガンダにも、影響が広がっている」

     

    下線部は、韓国に当てはまる。文大統領は、偽ニュースで当選したと言っても過言でない。選挙中に支持率が下がると、先のドルイドキングによって、大量の書き込みを行なわせて断トツの1位を確保し、あたかも高い支持率のように装い、選挙民の認識を誤らせたのである。大統領に当選した結果、韓国に何をもたらしたか。間違った経済政策による経済破綻である。

     

    (3)「『グラッツェ、チナ』(ありがとう中国)。3月、ローマ市内に中国国歌が流れ、行き交う人々が感謝を口にする動画がネットに拡散した。イタリアで新型コロナの感染者が急増し、中国が医療物資を送るなどの支援に動いた直後だった。ところが台湾の非営利団体「台湾ファクトチェックセンター」が映像を分析すると、音声や国歌が後から加えられたと判明した。「中国寄り」に編集されたものだと結論づけた。オックスフォード大の調べでは、動画や写真を駆使した世論工作が主流になりつつある。中国も動画サイトで影響力を持つインフルエンサーを育てているとされる」

     

    中国は、韓国よりも悪質である。「グラッツェ、チナ」という動画をつくって流したのである。中国も韓国も、どうしてこういう同じような過ちを冒すのか。儒教文化圏においては、手段を選ばず目的を達成するという「破廉恥文化」が根付いているのだ。非倫理的である。

     

    (4)「デマのまん延を防ぐため「偽ニュース防止法」を整備する国も増えている。だが政府による締め付けの強化は、行きすぎたメディア規制とも紙一重だ。自由と統制のバランスは難しい。米デューク大によると、19年に世界のファクトチェック機関は188団体に上り、17年から6割増えた。巧妙化する世論操作と、情報を正そうとする自浄力のせめぎ合いが続く。解があるとすれば「ひとつひとつを、地道に処理していくしかない」(ファクトチェック団体「インファクト」の立岩陽一郎編集長)。今ほど民主主義の底力が試されている時はない」

     

    韓国は、自国を民主主義国と過信しているが全く異なる。進歩派(文政権)は、陣営の論理で「敵―味方」論を信奉している。これは、ナチスに共通した危険な思想である。味方の過ちは徹底的に隠して、敵側と叩くという凶暴性を持っている。現在の、文政権を見れば明瞭である。前法相事件と現在の元慰安婦支援団体事件は、与党が庇ってまともな批判を許さないという前時代的な振る舞いである。これを捜査する検察には辛く当り、検察トップを引きずり下ろすという騒ぎだ。この韓国が、民主主義国とは信じがたいのである。

     

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