勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年05月

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    米中の対立が深まるとともに、米国の対中圧力は一段と厳しくなってきた。すでに、貿易・技術の締め付けを行なっているが、外に資本市場で中国企業締出しを強化する構えである。だが、中国から伝えられる米国への対抗策は、稚拙なものばかり。中国は、保有する米国国債1兆ドル余の売却をちらつかせている。米国側は、全く無意味で素人が考える策だと、笑われているほど。

     

    国際金融市場を掌中にしている米国に対して、小技を掛けたところで怪我するのは中国なのだ。その現実を知らないから、米国に向かって「対等」を演じ粋がっているのが習近平氏とその一派の盲動である。下記の記事は、中国の一方的義務の放棄で、米国投資家を損させるという「奇襲策」である。

     

    国際金融市場では、「信頼」が絶対的な担保である。その担保が一方的に外されれば、中国企業は世界中から信頼を失うことになる。世界での起債もビジネスの契約も不可能だ。信頼できないからだ。また、米国政府が、黙って引き下がると想定しているところがナイーブである。米国は、関税率を引上げ、それで投資家の穴埋めをするであろう。要するに、中国には有効で合法的な対抗策がないのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月23日付)は、「米中対立、資本市場にも火種、中国対抗の構え」と題する記事を掲載した。

     

    米中対立が資本市場にも及ぶとの警戒感が市場で広がり出した。米国側は上院が中国企業を念頭に会計検査を拒んだ外国企業を上場廃止する法案を可決するなど、対中姿勢の硬化が鮮明だ。対抗して中国当局も米国投資家をリスクにさらす手段を打ち出すとの観測がくすぶる。中国企業が発行したドル建て債などについて、米投資家の利益を損なう制度見直しを通じ、米側を揺さぶるとの見方も浮上してきた。

     

    (1)「中国側が米国への対抗策として利用するのではないかと投資家が懸念を募らせているのが「キープウェル」と呼ばれる条項だ。一般に、親会社が子会社の財務を良好な状態に保つことを約束する内容で、海外で社債を発行して資金調達する子会社を支援するために付けることが多い」

     

    「キープウェル」条項を外して、中国企業の子会社に債務不履行させ、米国投資家に損させるというのだ。これほど、幼稚な話を聞いたことがない。この程度の知識しかないとすれば、呆れるほかない。これで信頼を失うことが、ブーメランとなってどれだけの損害に膨らむか。そういう想定ができないとすれば、ビジネスの継続は不可能である。

     

    (2)「5月上旬。経営再建中の国有企業、北大方正集団が、「キープウェルを付した債券は(支援の対象として)検討しない」との表明が伝わると債券市場に動揺が走った。北大方正は子会社が発行したドル建て社債17億ドル(1830億円)にキープウェルを付与しているが、償還が危ぶまれている。同社は過去の野放図な投資や買収がたたり、日本の会社更生手続きにあたる「重整」を進めている。裁判所の判断次第では「キープウェルが無効になる可能性がある」(上海天尚弁護士事務所の郝燦弁護士)」

     

    上記の国有企業、北大方正集団のケースは、意図的でないだろう。親会社の経営内容がよくて、意図的に米国投資家に損をさせる目的で「キープウェル」を外す場合、その反響は全く異なる。

     

    (3)「もともとキープウェル条項は親会社と債権者の契約ではなく、債権者は債券の元利払いを親会社に求めることはできない。「重整」手続き中とはいえ北京大学にルーツを持つ名門企業である同社の社債でキープウェルが機能しなければ、なし崩しに同条項を軽視する動きが広がりかねない。キープウェルが機能しなくなると、子会社の資金繰りへの懸念から社債の価格が下落するなど、特に米投資家が影響を被るリスクがある。格付け会社大手のフィッチ・レーティングスは、同条項がつく中国企業の社債は960億ドル(10兆円強)にのぼると指摘する」

     

    キープウェル条項がつく中国企業の社債は、10兆円強にのぼるという。これが、意図的に外されるものならば、訴訟になるだろう。米国政府も放置しまい。関税率引き上げで対抗すると見られる。中国にとっては、トータルの計算で損を被るはずだ。

     


    (4)「さらに米国で上場する中国企業の株式では、中国の法規制を回避するため使われる「VIE(変動持ち分事業体)」と呼ばれる仕組みに不確実性があるとされる。おおざっぱにいえば企業を2つの部分に分けて、1つが中国事業を手掛け、もう1つが海外上場などを果たす枠組みだ。VIEはアリババ集団や百度など、米国に上場する中国企業に幅広く採用されている。海外投資家は企業の株式を直接保有するのではなく、様々な契約を通じて同等の権利を確保する。だが、現時点では中国の法律にはあいまいな部分が残り、今後の動向によっては海外投資家が権利の制約を受けかねない。14年に米上場を果たしたアリババも、目論見書に、VIEが外資規制に抵触すると中国政府が判断した場合に、投資家が損失を被る可能性を記載している」

     

    海外投資家は企業の株式を直接保有するのではなく、様々な契約を通じて同等の権利を確保する。これが、「VIE(変動持ち分事業体)」と呼ばれる仕組みだ。現時点では中国の法律にはあいまいな部分が残り、今後の動向によっては海外投資家が権利の制約を受けかねないという。14年に米上場を果たしたアリババの目論見書に、VIEが外資規制に抵触すると中国政府が判断した場合に、投資家が損失を被る可能性を記載している。中国政府が、この曖昧な部分を悪用すれば、国際紛争に発展する。中国政府はそれを承知で行なうほど、常識知らずであろうか。

     

    (5)「実際に中国当局が海外投資家の権利を損ねる動きを本格化させれば、中国側も企業の資金調達が難しくなるという返り血を浴びる。対米けん制手段として取り沙汰されることが多い、中国政府が保有する米国債の売却と同様に「抜かずの宝刀」に近い。それでも、トランプ米政権が中国企業への圧力を強めるなか、米側にくぎを刺す一連の動きのなかにキープウェルやVIEが浮上する可能性は否定できない。中国当局が可能性に言及するなどの動きが出てくれば、市場の波乱要因になる懸念がある。米中摩擦が激しさを増す中で不確実性は高まっている」

     

    中国の経常黒字が、間もなくゼロになる。こういう事態では、海外での資金調達が必須条件になる。その中国が、唯一の生き綱を米国への復讐で断ち切るほど愚かであれば、「世界覇権論」は白昼夢となる。もはや、「何おか言わんや」である。


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    コロナ緊急事態宣言の解除は、5月25日が有力になった。海外で行なわれたロックダウン(都市封鎖)を行なわず、「要請自粛」という極めて緩やかな形の対応でここまでこぎ着けた。憲法上、強制できないという制約条件下で、ようやく手にできた成果である。人口100万人当りの死亡者数は0.47と世界最低である。勝ち誇っている韓国は0.50人である。

     

    韓国の防疫体制と異なり、コロナの全数調査を行なったわけでない。クラスター対策を徹底化し、早めに感染者を探し出す方法が成功したもの。海外メディアは、日本流の防疫対策に疑念を呈していたが、感染者の急速拡大を食い止めたことから見方を一変して、高い評価を下すメディアが現れた。

     

    米『ブルーンバーグ』(5月23日付)は、「新型コロナ、日本独自の要請対応が奏功ー緊急事態全面解除迫る」と題する記事を掲載した。

     

    この記事を執筆した記者に、日本人は一人も入っていない。3人の記者は全員、外国人である。自画自賛的な記事ではないことに注目して貰いたい。

     

    (1)「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は、21日までに首都圏の1都3県と北海道を除き解除された。安倍晋三首相は、新規感染者数の減少が続けば、これらの地域についても31日の期間満了を待たずに解除する方針を示している。日本の新型コロナ感染症死者は22日時点で808人未満。海外のように厳しい外出制限や罰則を伴わない独自の「要請」対応は、成功裏に終わりを迎えつつあるように見える」

     

    23日夕刻の情報によれば、25日に首都圏と北海道が全面解除の見込みが強くなった。産経新聞が伝えた。

     


    (2)「専門家会議副座長の尾身茂氏は、日本の医療制度、初期のクラスター対策、そして国民の健康意識の高さの3つの要因が寄与したと分析する」

     

    3つの要因とは、次のような内容だ。

    1)医療制度の充実

    2)初期対応でクラスターを捕捉できた

    3)国民の健康意識の高さ

     

    以上の3点について私のコメントを付したい。

    1)は、今回のコロナ禍が全額、国費負担であること。患者は、経済面の負担を恐れずに治療を受けられ、これが感染者の拡大を防いだ。海外では、患者負担もありこれが感染者を拡大させている。経済的貧困者に、死亡者が多い理由である。

     

    2)は、保健所が初期段階でクラスターをしらみつぶしに調査して感染源を把握した。東京湾の釣り船では、感染源突き止めた。成功例と指摘されている。

     

    3)は、日本国民の健康意識の高さである。日本人の清潔好きは世界的にも有名である。この日々の生活態度が、ロックダウンをしないでも感染拡大を防いだ。ただ、「日本人だから罹らない」という傲慢さが出ると心配だという声がある。日本人の寿命は現在、世界で1~2位である。結局、すべての要因は、日々の生活態度がコロナ感染拡大を防ぎ、世界最低の死亡数に止まった。

     

    (3)「ワクチンが市場に出回るまで世界各地で新型コロナの影響は当面続くとされる中、感染症が沈静化に至っていない他国や国内で次の波に備えるために、今回の緊急事態宣言は示唆に富む。まず、早期の対応が大切だ。政府の対応が遅れたとする声がある一方で、1月に国内で初の感染者が確認された時点から保健所が、感染者との濃厚接触者の追跡に動いたことが効果を発揮したとの見方がある。北海道大学公共政策大学院の鈴木一人教授は、日本の方法は「アナログで、シンガポールのようにアプリを使った追跡ではない」が、「とても有効だった」と話す」

     

    ここでは、前記の3要因を具体的に説明している。保健所のアナログ対応で感染源潰しが成功した背景を説明している。IT探索のアプリを使った追跡では、人権侵害を引き起す恐れがある。韓国は、自動検索を行なっているが、問題を含んでいる。ただ、日本でも採用について検討余地はある。

     

    (4)「厚生労働省の資料によると、2018年時点で全国の保健師数は約5万3000人で、そのうちの15.3%が保健所に勤務し、普段はインフルエンザや結核などの感染症対策に当たっている。北海道医療大学で感染症を研究する塚本容子教授は、「日本にはCDC(米国の疾病対策センター)のような機関がないとよく言われる」とした上で、「各地の保健所がCDCの役割を果たしている」と指摘した。保健所による感染者の追跡は、ライブハウスやナイトクラブでの集団感染対策にも貢献した」

     

    日本では、保健所が米国のCDCの役割を果たしている。全国に8100人余の人々が、感染症対策に従事しているという。この人々が、今回のコロナ禍でフル回転してくれた。

     


    (5)「2月に横浜に到着したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号では、乗員乗客含め700人以上が感染し、13人が死亡した。欧米諸国が「対岸の火事」として中国での感染拡大を見守る中、日本は他国より早く新型コロナの集団感染に直面することとなった。このことが国民の危機意識を高めたと指摘する声もある。早稲田大学政治経済学術院の田中幹人准教授は、「各国の多くの人々が、新型コロナはいずれは収まる病気だと楽観視していたころ、日本にとっては家の目の前でクルマが燃えているような状況がしばらく続いた」ため、国民は「コロナに対する警戒感を高めていた」と述べた。専門家らはクルーズ船での対応の経験を生かし、「密閉」、「密集」、「密接」の3要素がそろうと感染リスクが高いと指摘し、政府は「3密」を避けるよう国民に呼び掛けた」

     

    横浜港に到着したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が、日本人にコロナ感染症への警戒感を植え付けたという。ここから、「密閉」、「密集」、「密接」の3要素が揃うと危険という「3蜜警戒」が合い言葉になった。

     

    (6)「世界保健機関(WHO)事務局長上級顧問を務める英キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授は、感染者の追跡方法にも改善の余地があると指摘。「時間のかかる聞き取りによる追跡は、小規模の地域限定的な感染には有効」とする一方、「記憶の偏りがある上、アプリで接触者や利用施設を特定するよりは効率的でない」と答えた」。

     

    日本のコロナ第一波は収束するが、第二波、第三波への準備が必要である。それには、下線のような保健所の人海戦術でなく、アプリなどのIT利用を勧めている。国民の意識改革で、受入れるかどうか、議論すべきだろう。経済・生活の行動を制約する現行コストより、はるかに少なくなるメリットはある。


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    韓国政府は、コロナ禍で日本へ防疫用品を寄付することはなかったが、慶州市は姉妹都市の京都や奈良へ防疫用品を寄贈した。これに、市民の一部が反対している。反日感情の強さを示している。小学校から行なわれている反日教育の結果が、こういう局面に現れているのだろう。

     

    『中央日報』(5月22日付)は、「日本への防疫物品支援で非難、慶州市長『地震の時に支援受けた』」と題する記事を掲載した。

     

    慶尚北道慶州市(キョンジュシ)が日本に新型コロナウイルス防疫物品を支援し、論議を呼んでいる。朱洛栄(チュ・ナギョン)慶州市長は「戦争中、敵にも医療など人道主義的な支援はするものだ」とし、釈明した。

    (1)「慶州市は21日、新型コロナで防疫物資の調達に苦労している日本の姉妹・友好都市に対し、慶州市に備蓄された防護服など防護物品を支援する計画を明らかにした。慶州市は17日、姉妹都市の奈良市と交流都市の京都市に対し、防護服各1200セットと防護用ゴーグル各1000個を航空便で送った。また、今月末までに姉妹都市の小浜市、友好都市の宇佐市と日光市の3都市に防護服各500セットと防護用ゴーグル各500個を支援する予定だと説明した。21日基準で奈良市では19人、京都市では248人の感染者が発生している」

     

    慶州市が、京都や奈良へ送った防疫用品は、ありがたく頂くべきであろう。慶州地震(2016年)の際は、日本の姉妹都市がお見舞いの品を送ったという。そのお返しを込めた意味もある。

     


    (2)「朱市長は支援計画を明らかにした際、「困っている時に助けるのが本当の友であり隣人」とし「誰が先に手を差し伸べるかは重要ではない。今は韓日両国が新型コロナ対応のために協力しなければいけない」と述べた。
    また慶州市は、防護物品を受けた京都市が朱市長の応援映像メッセージと慶州市コロナ対応事例集を京都市の公式ユーチューブチャンネルと世界歴史都市連盟のホームページで紹介した、と説明した」

     

    政府間は外交面で対立しても、草の根の部分では交流があって当然だ。卑近な例で言えば、親同士が対立していても、子ども同士は仲良くするというケースである。

     

    (3)「慶州市の発表直後、一部の市民は韓日間の外交問題が解決していない時点で市が日本に防疫物品を支援したと非難した。慶州市のホームページには22日、「今がどういう時か分かって日本に支援するのか」「支援したければ個人の費用でしろ」「新型コロナで慶州経済が厳しいのに日本を助けているのか」などと非難する内容が次々と書き込まれた」

     

    慶州市の市民からは、日本への防疫品寄付を非難する声が上がっている。こういうケースを見ると、日本でも他国へ支援するとき、反対の声は慎むべきだと思う。折角の誠意が、台無しになるからだ。

     

    (4)「これに対し朱市長は22日、自分のフェイスブックで立場を明らかにした。朱市長は「支援の件で大変な非難と攻撃に苦しんだ」とし「土着倭寇か、チョッパリ(日本人に対する差別用語)か、狂ったのか、未来統合党らしいなど生涯に受ける暴言を一晩ですべて受けたようだ」とコメントした。そして、「反日感情が強いこの時期になぜそんなことをしたのかという批判は謙虚に受け入れるが、市民に理解を求めるために少し説明しようと思う」とし、コメントを続けた。朱市長は「2016年の慶州地震で厳しい状況を迎えた時、我々は日本をはじめとする海外の姉妹・友好都市から多くの助けを受けた。今回の防疫物品支援は相互主義の原則の下で支援するもの」と伝えた」

     

    随分と酷い日本批判が書き込まれている。匿名の恐ろしさである。名前を出せば、ここまでは書かないだろう。日本も教訓にする話であろう。



    (5)「続いて、「今は日本が我々よりも防疫的にかなり厳しい状況だ。経済大国の日本はビニール防疫服やプラスチックゴーグルが足りず、検査を適時にできない状況を迎えている。このような時に大乗的な次元で助けることが文化大国の我々の雅量であり本当に日本に勝つ道ではないでしょうか」と問い返した。
    朱市長は「戦争中、敵にも医療など人道主義的な支援はするもの」とし「韓日中関係は歴史の屈曲も深く、国民感情も複雑だが、長い呼吸で長期的な観点で眺めなければいけない関係」と主張した」

     

    寄付に、名目が必要という点に引っかかる。寄付は、名目でするのでなく率直な気持ちの表れである。下線分のような発言をしなければ、市民を納得させられない。これも、日本は教訓にするべきだろう。

    (6)「最後に朱市長は、「そのような複合的な観点で防疫に少し余裕が生じた我々の市が支援をすることになったという点を理解してほしい」とし「いま我々に必要なのは無条件の反日ではなく、未来志向的な克日という点を強調したい」とコメントした」

     

    「反日から克日」というスローガンを出している。ここまで来ると、韓国の日本への思いがどんなものか。おおよその見当がつく。「苦節10年、一剣を磨く」という精神だ。


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    韓国は不思議な国である。総選挙は、経済政策で失政続きでも、与党が6割の議席を獲得した。コロナ対策が上手くいったというのが理由だ。アフター・コロナは、コロナ禍で痛んだ韓国経済の立直しが最大の課題である。だが、経済政策はいたって不得手である。どう乗り切るのか。

     

    『朝鮮日報』(5月22日付は、「経済面で文大統領支持2%」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の洪永林(ホン・ヨンリム)世論調査専門記者である。

     

    韓国総選挙で与党が勝利して以降、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は高いまま推移している。韓国ギャラップなどの調査で60%を記録している。朝鮮王朝時代に王室を礼賛した歌集「竜飛御天歌」のように、与党からは文大統領を太宗、世宗にたとえる「文飛御天歌」が休みなく鳴り響いているという。政府・与党はウキウキしてばかりいるのではなく、国民が大統領を支持する理由も見据えながら、国政の方向をチェックする必要がある。

     

    (1)「先週のギャラップによる調査で、文大統領の支持者に「どんな点で文大統領はうまくやっているか」と質問したところ、「新型コロナウイルスへの対処」(49%)が半分を占めた。それ以外の回答は「分からない」(9%)、「全般的によくやっている」(7%)、「熱心にやっている」(5%)など理由が具体性を欠いた。支持理由を見ると、コロナ後に大統領の支持率を下支えする素材が何かは見えてこない。特に大統領を支持する理由のうち、「経済政策」と「雇用創出」はそれぞれ1%にとどまり、「経済問題にうまく対処している」との回答は2%にすぎなかった」

     

    文大統領の高い支持率は、コロナ対応の結果である。これが49%の支持率を稼いでいる。経済問題になると、たったの2%に過ぎない。コロナ「様々」である。コロナが去った後の支持率はどうなるのか。経済本番において、はなはだ心配になる事態だ。

     

    (2)「今回に限らず、現政権発足以来、ギャラップが毎週、累計で140回実施した調査でも、大統領を支持する理由が「経済政策」との回答が皆無か1-2%にすぎないケースが129回に達した。「雇用創出」との回答も0-2%だったのが113回に上った。国政運営に対する評価に経済が与える影響が大きかった過去の政権とは異なる基準が適用されていることを意味する。積弊清算、韓日対立、朝米・南北首脳会談、新型コロナウイルスなどが大統領の支持率にプラス効果をもたらし、経済の失政が浮き彫りとなる機会が少なかったからだ」

     

    現政権発足以来、ギャラップが毎週、累計で140回実施した世論調査では、大統領を支持する経済関連項目では次のような「落第」の結果が出ている。

    「経済政策」 皆無か1~2%にすぎないケースは129回

    「雇用創出」 0~2%のケースが113回

    この結果を見ると、文大統領への経済面での支持派ほとんど0~2%という惨憺たる結果である。それでも全体では高い支持率である。韓国国民は、霞でも食って生きているとしか思えないのだ。

     


    (3)「その間に行われた選挙も同様だ。2017年5月の大統領選は朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の弾劾政局に始まり、18年6月の地方選挙はシンガポールでの朝米首脳会談の1日後に行われた。今年の総選挙は予想外の新型コロナウイルス流行による影響が大きかった。経済問題が影響を与えにくい条件下で毎回選挙が行われていることになる。一部からは「文在寅政権は運が良い」と指摘する声も聞かれる。しかし、運を実力と錯覚してはならない。幸運が能力を偽装することを警戒し、リスクに備えなければならない点は株式投資や企業経営だけでなく、政治にも当てはめられる。政府・与党が総選挙での勝利と大統領支持率に酔いしれ、経済の活力を取り戻すことに全力を尽くさなければ、状況は深刻化しかねない」

     

    文大統領は、自身の大統領選挙(2017年5月)、地方選挙(2018年6月)、総選挙(今年4月)と勝ち抜いてきたが、いずれも幸運が味方している。その要因を順番に上げれば、朴大統領弾劾、米朝シンガポール会談、コロナ禍である。次は、次期大統領選(2022年5月)だ。この時も、神風は吹くだろうか。吹かなければ、悪化する経済が大きな壁になって立ちはだかるであろう。

     

    (4)「世論調査専門家は、「コロナ後に押し寄せる最悪の経済危機にしっかり対処できなければ、国民の評価は異なってくる」と指摘した。幸運が働いた結果を自賛し、文飛御天歌を歌っている場合ではないという話だ。永遠に続く幸運はない」

     

    確かに、永遠に幸運は続かない。いつかはメッキが剥がれる。その時、韓国は経済悪化という中でどういう政治を選ぶのか。韓国の現在は、仮装行列の最中にある。誰も、その深刻さに気付いていないのだ。

     

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    韓国文政権を支持するメディアが、日本より優秀だと吠えている。理由は、新型コロナウイルスで、韓国の防疫体制が完璧であったというのだ。コロナ禍は、まだ「終息」していない。「収束」の段階である。一時的に収まったという程度の話である。それを、韓国が勝ったと言って早とちりしているのだ。韓国の開放性、民主性、透明性などが日本より上回っている結果だという。

     

    話が、ここまで広がってくるとひと言、言う必要がある。韓国がそれほど開放性、民主性、透明性において優れている社会かと問わざるを得ないのだ。現在、韓国社会を揺るがしている元慰安婦支援団体の「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)に5月20日、捜査のメスが入った事件は何だったのか。

     

    韓国政権支持のメディアが、お仲間の醜態を隠して、何ごともなかったようなポーズを取ることは、まさに「メディアの自殺」である。文政権支持のメディアには、仲間の醜態であるはず。そうであればあるほど、きびしくその原因を突き止め、韓国国民に向かった再発を呼びかける立場だ。それにも関わらず、日本に向かって空威張りしている。見苦しい態度に映るのである。

     

    『ハンギョレ新聞』(5月22日付)は、「加害者」日本がなぜ恥知らずにも介入するのか」と題する社説を掲載した。

     

    日本のある新聞が20日、正義記憶連帯(正義連)と共に市民党のユン・ミヒャン当選者をめぐる問題を取り上げ、「平和の少女像」撤去と水曜デモの中止を要求した。「慰安婦」問題の加害者である日本でこのような主張が出てくるとは、開いた口が塞がらない。

     


    (1)「極右性向の産経新聞はこの日、社説に当たる「主張」欄に「反日集会やめ(少女)像の撤去を」という一文を載せた。同紙は「反日憎悪の象徴である『慰安婦像(少女像)』を早急に撤去してほしい」と主張した。また、日本軍慰安婦問題の解決を要求する「水曜集会」を「反日集会」と描写して「反日集会をやめるべきだとの主張はその通りだ」とした。韓日関係では泥棒がムチを持つことがたまに起こったが、盗人猛々しいにもほどがある。慰安婦問題は「反日憎悪」ではなく、「戦争犯罪」だ」

     

    先ず、言いたいことは「極右」というレッテルを貼って相手を罵倒する非生産性である。この記事は、社説である。メディアの顔である。それが、自分と意見が異なるといって相手に「極右」のレッテル張りは慎むべきことだ。恥ずかしい行為なのだ。

     

    下線を引いた部分は、「慰安婦問題は『反日憎悪』ではなく、『戦争犯罪』だ」と規定している。抽象的に言えば、その通りである。ただ、歴史問題として語る場合、その時の歴史条件を抜きにしては善悪を語れないのだ。まず、そういう制約条件を前提にして議論を進めたい。

     

    当時の日本では、売春が公認されていたという事実を承認することだ。この点は、当時の世界で共通であった。売春は、貧困ゆえの哀しい話しである。「管理売春」は、貧しい女性が業者の食いものになることを防ぐ狙いもあった。戦場での慰安婦問題は、業者の経営下で女性が搾取されないように、日本軍による監視下にあったことだ。日本軍が経営していたのではない。

     

    こういう歴史的事実からすれば、「慰安婦問題は戦争犯罪」と直結しない。現に、朝鮮女性が拉致されたという韓国側の主張は、韓国人学者の実証分析で否定されている。あくまでも「自由意志」であった。だから、先述の通り「貧困ゆえの哀しい話し」なのだ。日本軍の戦争犯罪に結びつけるのは論理的飛躍である。まさに、「反日意図」から出発している。

     

    そこまで、日本の戦争犯罪に結びつけるには、もう一つ法的な根拠が欠けているのだ。売春が法的に違法であったという仮定が必要である。現在の法意識で、75年前の売春を罰することはできない。罪刑法定主義で、その当時に「売春は違法」という立法措置がなければ、何人も罰せられない。冷たいことを言うようだが、『ハンギョレ新聞』が、大上段に振りかぶった主張を展開するならば、そういう法的な回答しかできないのだ。

     

    もう一つ補足したい。韓国は、ベトナム戦争(1960~75年)に参戦して、韓国兵は現地で何をやってきたか。ベトナム女性に子どもを生ませ、置き去りにしてきたのである。日本兵の慰安婦問題を追及する前に、自国の恥を償ってくるべきなのだ。

     

    日本の売春禁止法は、1958年である。韓国は2004年である。この時間差は、46年という半世紀もの遅れがある。この事実を以てしても、韓国の売春に対する意識の低さは鮮明である。日本を責める資格はないのだ。

     

    (2)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の過程で立証された開放性、民主性、透明性など、韓国社会の力量は日本のそれを上回る。日本は筋違いな口を挟む立場にはない。日本の極右勢力は、慰安婦の人権運動の30年にわたる活動を毀損せんとする挑発を止めなければならない」

     

    このパラグラフでは、韓国優越論が全開である。こういう社説を書く論説委員の顔を見たいのだが、論説は一人で書くものではない。私の経験から言っても、論説委員が事前に相談して執筆するものだ。社説は性格上、論説委員長が編集して初めて脱稿する。このプロセス経てきた社説とすれば、『ハンギョレ新聞』論説委員は全員、韓国優越論に酔っていることになる。一人も冷静で論理的思考の持ち主はいなかった、という証明になる。

     

    韓国の慰安婦運動は、慰安婦問題を解決するために存在したわけでないことが、今回の寄付金流用疑惑で判明した。慰安婦問題を未解決のままにしておき、その間に寄付金を募る「ビジネス」に使ったことは明白である。2015年に合意した日韓慰安婦合意を破棄させた元慰安婦支援団体は、「解決」よりも未解決による「維持」を狙ったのだ。そうでなければ、寄付金が集められず、それを流用できなかったからだ。

     

    こういう状態で、韓国が「開放性、民主性、透明性などで日本を上回っている」と言えるはずがない。この記事を書きながら、論説委員は胸が痛まなかったであろうか。もしそうとすれば、「病膏肓(やまいこうもう)に入る」である。


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