韓国は、日本を思い通りに動かせるものと錯覚している。歴史問題を持ち出せば、日本が有無を言うことなく、韓国提案に賛成すると思っていたのであろう。日本が、米トランプ氏の「G7拡大案」に不賛成であることを表明したので、改めて日本との関係改善なくして、国際社会で地位を向上させることは不可能と思い知ったようだ。
韓国は、WTO(世界貿易機関)事務局長に立候補の意思を示している。この候補者は、日本の半導体主要3素材輸出手続き規制強化の際、先頭に立って口汚く日本を罵った女性である。日本人が、余り好感を持てないようなタイプの人物だけに、賛成するとは思えない。韓国は、早くもこういう予感を持ち始めている。やはり、隣国との関係は大事である。韓国はそれを切実に思っているようである。
『聯合ニュース』(6月29日付)は、「G7拡大にWTO事務局長選、日本が国際社会で韓国の足かせとなるか」と題する記事を掲載した。
韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた強制徴用判決や、日本の対韓輸出規制など、これまで2国間で生じていたあつれきが国際社会に舞台を拡大している。
(1)「菅義偉官房長官は29日午前の定例会見で、先進7カ国首脳会議(G7サミット)拡大構想を巡り、G7の枠組みを維持することが大変重要だとする立場を明らかにした。韓国を名指しすることはなかったものの、トランプ大統領がG7に韓国、オーストラリア、インド、ロシアなどを含める構想を明らかにした状況で「枠組みの維持」を強調したのは、韓国の参加に反対したものと受け止められる」
韓国は、米国のG7拡大案を「決定事項」と誤解している。7ヶ国の合意が前提である。他国も拡大案を否定している。日本だけを恨むことはないのだ。
(2)「韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が立候補した世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙でも、日本は協力しないとみられる。兪氏は日本の対韓輸出規制に対する韓国政府のWTO提訴を担当してきた人物であり、兪氏のWTO事務局長就任は日本政府としては負担になる。日本政府は兪氏の立候補について、公式的に反対の立場を明らかにしてはいないものの、韓国外交部は対応策を模索している」
日韓は、貿易問題でWTOを舞台に最も争ってきた関係である。韓国が、そのWTO事務局長立候補は、日本が不利な立場になることを意味している。日本とすれば、他国の候補者を選びたいと思うのは当然であろう。仮に、日本が立候補したとすれば、韓国も忌避するであろう。常識で判断すればそうなるはずだ。
(3)「WTO事務局長選は支持が最も低い候補が脱落する過程を繰り返し、最終的に1人の候補者を全会一致で選任する方式のため、日本が反対して否定的な流れを作れば悪影響を及ぼす可能性がある。外交消息筋は、「WTO事務局長の選出にはすべての加盟国の同意が必要なため、日本の反対が強ければ、合意に至る過程で障害になる可能性もある」と述べた」
日本が、韓国の立候補者に対して積極的な反対論を言わなくても、他の候補者を選べば済むことだ。韓国は、国連事務局長も出した国であるから満足すべきだ。さらに、他の官職も欲しいとなれば、日本への対応を変えることだろう。隣近所も、普段の付き合いが大事なのだ。
(4)「G7の拡大にも日本を含むすべての加盟国の同意が必要だ。外交部当局者は「G7の構造改革問題は現在の加盟国の合意が必要で現在、米国政府内で検討が進行中と承知している」と説明した。韓国の青瓦台(大統領府)と政府は、日本のけん制をある程度予想していたものの、不快感をあらわにしている。G7拡大構想を巡り、日本が韓国の参加反対を米国に伝えたと報じられたことについて、青瓦台関係者は29日、聯合ニュースの取材に対し、「隣国に害を与えることに慣れた日本の一貫して反省しない態度にはもう驚きもしない」とし、「恥知らず」と強く批判した」
下線を引いた部分の発言を聞けば、日本は意地になっても反対しようと思うはずだ。「感情国家」韓国高官らしい発言で苦笑せざるを得ない。日韓併合は75年も昔のこと。それをあたかも、数年前のように大仰に言っている。日韓基本条約で、すべて清算済みである。
(5)「両国はこれまでも歴史問題などにより、国際社会で互いをけん制してきた。2006年の国連事務総長選では当時、外交通商部長官だった潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が出馬したが、日本は4回目の模擬投票で安全保障理事会の理事国15カ国のうち、唯一、棄権した。韓国も日本が安保理常任理事国入りを目指し推進する常任理事国の拡大に反対してきた。金在信(キム・ジェシン)国立外交院日本研究センター顧問は、「今の韓日関係では、日本はG7拡大やWTOでの韓国の地位向上を望まないと思う」とし、「政府は米国など関連国を対象に友好的な国際世論作りに努力を傾ける必要がある」と指摘した」
韓国は中国と一緒になって、日本の国連常任理事国昇格に反対した国である。日本が、どんな思いで韓国を見ているか、その気持ちを忘れては困るのだ。隣国としての儀礼に反したことをやった以上、日本が賛成しないのは致し方あるまい。外交関係も、「目には目を歯には歯を」が原則であろう。