勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年09月

    テイカカズラ
       

    韓国の文政権と与党は、北朝鮮のすることにすべて賛成という屈辱的姿勢を見せている。韓国国民が、海上で漂流していても、北朝鮮は救助せずに射殺。その上、遺体を燃やすという蛮行を行った。これに対して、韓国与党は金正恩氏の「遺憾表明」ですっかり舞い上がり、北を非難するどころか賞賛する始末だ。韓国与党は、自国民よりも正恩氏に関心を寄せるという倒錯した状況に置かれている。

     

    これは、北朝鮮を「チュチェ思想の聖地」と考えているからだ。金正恩氏は、その聖地における輝かしい「シンボル」なのだろう。今も、こういう子どもじみた妄念から解き放たれず、ますます憧憬の念を深めているに違いない。

     

    『中央日報』(9月28日付)は、「国民感情に火をつける、金正恩擁護」と題する社説を掲載した。

     

    韓国の国民が北朝鮮軍に殺害されたにもかかわらず、責任ある与党側の人たちが北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を事実上称賛した。今回の事件の本質は、北朝鮮軍が海で行方不明になった韓国国民を救助するどころか銃で射殺した後に燃やしたという反倫理的な行為だ。

     

    (1)「殺害されたイさんは韓国海洋水産部の公務員であり、海に落ちた後、浮遊物にしがみつきながら約30キロ漂流した。北朝鮮軍に発見された時は力尽きた状態だったはずだ。北朝鮮は国際規範に基づき遭難者を救助すべきだった。しかもイさんは非武装状態だった。金委員長は非難世論が強まると、3日後に謝罪性の通知文を送った。人を殺害した後に「申し訳ない」という格好だ」

     

    海を漂流する人間を救助せず、射殺するという北朝鮮を崇め奉る韓国与党は、異常な集団と言うべきだろう。この集団が、「反日」をリードしてきたもので、いかに歪んでいるか想像がつくのだ。

     

    (2)「にもかかわらず、韓国の一部の人たちはあきれるような表現で、北朝鮮の残酷な行為に怒りを感じている国民感情に火をつけた。柳時敏(ユ・シミン)盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長は、金委員長を「啓蒙君主」に例えた。柳理事長は25日、ユーチューブのライブ配信で金委員長の通知文が伝えられると「(迅速な謝罪は)我々が望んだ朗報」とし「(金委員長は)啓蒙君主のようだ」と語った」

     

    (3)「共に出演した丁世鉉(チョン・セヒョン)平和統一諮問会議首席副議長は、「(金委員長は)度量が大きいところがある」と称えた。北朝鮮がイさんの遺体を海上で燃やした蛮行についても「残った残余物に対して防疫規定に基づき焼却措置を取ったとすれば理解できる」とかばった。北朝鮮の反倫理的行為に免罪符を与えたのだ」

     

    金正恩氏を「啓蒙(絶対)君主」に喩えるとは、教養の程度が知れる恥ずかしい話である。ちなみに、啓蒙絶対君主とは18世紀ヨーロッパの絶対主義時代のことだ。200年前の歴史的に克服された君主を引き合いに出して褒めるとは驚く。批判対象であっても、褒められるべき対象ではないのだ。時代錯誤も甚だしい。

     


    (4)「大韓民国の統一部長官を務めたという彼の経歴が疑われる。さらにこの日のユーチューブ参加者は北朝鮮の通知文を喜ぶように笑ったりもした。国民が犠牲になった状況でどうすれば笑いが出るのだろうか。李仁栄(イ・インヨン)統一部長官も同日、国会で「(北朝鮮最高指導者が)『申し訳ない』という表現を2回も使ったのは初めて」と金委員長を擁護した」

     

    韓国進歩派は、常人の団体とは言いがたい。18世紀の啓蒙絶対君主に憧れるという、非民主主義の集団と言うべきだろう。文大統領をはじめ民主主義のルールを勝手に変えるあたり、彼らは200年以上も遅れた集団と再定義すべきだ。国民一人一人の権利を守る意識に欠けているのは当然であろう。

     

    (5)「国民は北朝鮮の非人間的な蛮行に怒りを感じている。今回の事件に金委員長の許可や指示があったかどうかは分からないが、金委員長に総体的な責任がある。したがって金委員長に対して蛮行を糾弾し、真相究明および関係者の処罰を求めるのが正常だ。にもかかわらず金委員長を「啓蒙君主」「度量が大きい指導者」などと称賛する人たちの考えには怒りを越えて悲しみを感じる。このためSNSでは「悲惨だ」「北に対する文在寅政権の片思いに金正恩が韓国人銃殺で応えた」という非難が多い」

     

    韓国与党は、北朝鮮が思想上の母国である。共産主義・専制主義を喜んで受入れている集団である。こういう韓国の政治状況を考えると、韓国経済が発展できないのは当然である。韓国は、終わりという認識を一段と深めざるを得ない。

     

     

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    米国が、中国の半導体受託生産(ファウンドリー)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)向けの輸出に規制を課した。これを受け、中国はハイテク分野の新たな「長征」に備える必要があるとする社説を『環球時報』が掲載するほどの衝撃を受けている。

     

    米政府筋によると、SMICへの制裁を提案したのは米国防総省とされる。同省は中国軍のテクノロジーの進歩に手を貸しているとして、SMICを危険視してきた。SMIC側は、中国人民解放軍とは無関係と主張しているが、ファーウェイ同様ににわかに信じがたい話である。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(9月26日付)は、「米のSMIC制裁、対中関係は新局面へ」と題する記事を掲載した。

     

    米政府が半導体受託生産の中国最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)に制裁を科したことが明らかになった。中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に米国の技術を使った半導体の供給を停止したのに続く措置で、中国の半導体産業にさらなる打撃を及ぼしそうだ。

     

    (1)「英『フィナンシャル・タイムズ』が入手した米商務省の通知文によると、同省は9月25日、SMICと取引のある企業に対し、SMICへの輸出には「軍事目的」に転用される「容認できないリスク」があると警告した。米政府が輸出規制を発動すれば、SMICは半導体の製造に必要な米国のソフトウエアや装置の供給を受けられなくなる恐れがある。各社がこうした製品をSMICに輸出するには、事前の許可が必要になる」

     

    今回の輸出規制は、1952年に制定された「チンコム」(対中国貿易調整委員会)の復活を思わせる措置である。すでに、ファーウェイにも実施されているので、いずれは、「現代版チンコム」が登場するのであろう。米国が、世界覇権に挑戦する中国を絶対に容認しないという強い姿勢を見せている。

     


    (2)「米ユーラシア・グループでテクノロジー政策部門を統括するポール・トリオロ氏は、「米国がどれだけ厳格に制裁を執行するかにもよるが、最悪のシナリオはSMICへの供給は完全に断たれ、中国の半導体生産能力は大幅に低下する事態だ。そうなれば米中関係は新たな局面を迎えることになるだろう」と語った。SMICは中国政府が目指す半導体の国産化で重要な役割を担う「国策企業」だ。7月には上海市場に上場して76億ドルを調達し、中国では2010年の中国農業銀行以来の大型上場となった。同社は、すでに米国によるファーウェイへの制裁強化で既に打撃を受けている。売上高の5分の1を占める最大の顧客に製品を供給できなくなったからだ。SMICは上場の際の目論見書で、米国が制裁をさらに強化するリスクについて警告していた。

     

    米国が、SMICに対してファーウェイ同様に、完全な輸出禁止処分にした場合、中国の半導体生産能力はさらに低下する。現在の中国における半導体自給率は、20%を割り込んでいる。これが、さらに低下することだ。米中関係は、「新たな段階に進む」と抽象的に言っているが、具体的にはどうなるのかだ。

     

    考えられるのは、米中関係の悪化である。つまり、軍事的衝突である。南シナ海で小競り合いか、中国軍による台湾攻撃である。ただ、米軍はすでに重爆撃機3機をインド洋に配置しており、準備に怠りはない。5時間で紛争現場に到着するという機動力を確保しているのだ。実戦経験ゼロの中国軍が、百戦錬磨の米軍とどう戦うのか。普通の感覚であれば躊躇するはずだが、奢り昂ぶっている中国のこと。自らの限界を忘れて暴走する危険性は大きい。

     


    (3)「米商務省は4月、敵とみなす国の軍事システム開発を支える技術の輸出を禁じる新たな規制を発表した。新規制では、既存の輸出管理規制における軍関連組織の規定を大幅に拡大した。中国が「軍民融合」戦略を通じ、民間企業と共同で兵器開発を進めるのを阻止する狙いがある。新規制ではさらに、許可が必要となる軍関連組織向けの輸出品の範囲を大幅に広げたほか、軍事利用の定義も厳格化し、最終製品の部品だけでなく開発や生産を支える製品なども対象に加えた。米商務省は9月26日、次のような声明を発表した。「商務省産業安全保障局(BIS)は米国の安全保障と外交政策に対するあらゆる脅威を絶えず監視・評価している。特定の案件にはコメントできないが、各省庁と協力し、必要に応じて適切な措置をとる

     

    下線部は、事実上の「チンコム」復活を意図している。米国の技術支配力を利用して、「米国発の技術&ソフトウエア」を利用する世界中の工業製品は、中国への輸出規制対象にするという強い姿勢である。習近平氏は、完全に米国の実力を見誤った。2008年のリーマンショックで、米国は再起不能と誤解したことが、今日の中国における悲劇を招いている。中国の勝てる相手ではないのだ。

     

    日本は、米国と2度戦い敗れた国である。一つは太平洋戦争。もう一つは、戦後の日米経済摩擦で半導体産業を奪われたのである。米国は、巧妙な相手なのだ。中国は負けるだろう。

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    習近平氏は、焦りに焦っている。民族主義者の側近に踊らされ、「米国弱し」と見くびって始まった南シナ海進出が、中国と習氏の運命を左右する局面に向かっているからだ。米国は、中国共産党と中国国民を区別して扱い、中国共産党の撲滅を訴えている。これに危機感を募らせる習近平氏は、毛沢東時代に戻って国民へ革命精神をたたき込むという。迷惑なのは、共産主義と無縁の一般国民である。

     

    『大紀元』(9月28日付)は、「『金儲けと洗脳』中国各地政府が『革命景勝地』建設に巨額投資」と題する記事を掲載した。

     

    中国共産党のイデオロギーが破綻しつつある今、各地政府は「貧困緩和」や「産業発展」などの理由を挙げて、次々と巨額を投じ「革命景勝地」を建設し、国民に「洗脳教育」を受けさせている。これに対して、地元住民の不満が噴出している。

     

    (1)「中国共産党による人権弾圧を伝えるオンライン雑誌『ビター・ウィンター』は9月27日、中国政府が開発した「革命景勝地」の一つである山西省運城市の袁家村では毎日、「紅歌」という共産党を称賛する中国の革命歌が繰り返し放送されていると報じた。同景勝地のスタッフは、「政府は主に幼稚園や小学生たちのために研修旅行を企画し、この革命景勝地でその『愛国心と党への愛』を育んでいる」と述べた」

     

    習氏は、大慌てである。中国国民が、米国の宣伝に乗せられて共産主義に背を向けることを恐れているのだ。幼い子どもたちに革命ムード教えるべく、研修旅行を始めているという。

     


    (2)「地元商店の店員は、「当店は毛沢東時代のスタイルで装飾することを求められた」「地元の管理部門は毛沢東の肖像を提供し、毎週月曜日の朝、全従業員が肖像の前で『党に従う』と誓わなければならない」と明かした。湖南省、山東省、浙江省などの各地政府は、「革命観光」に対して多額の投資を行っている」

     

    商店街は、毛沢東時代のスタイルで装飾し、当時の雰囲気を醸し出しているという。タイムマシーンに乗せて、革命精神をたたき込むというアイデアを考え付いたのだ。地方政府は、「革命観光」に多額の資金を投入し、新たなビジネスを始めるという。インフラ投資もあらかた終わったので、新規分野で「革命観光」に着目したのだ。抜け目ない商売根性だ。

     

    (3)「習近平氏が、9月中旬に湖南省の「革命観光」スポットを視察した際、「赤い遺伝子」を強調した。それを受け、同省株洲市は9月27日、「産業+革命観光」をテーマにした活動を行う「株洲観光特急」を開通した。また、開通してから6年経った吉衡鉄道も、同日に「革命旅行特急」を初運行した。浙江省温州市第八中学校の生徒クラスは9月下旬、「革命研修旅行」のために同省鹿城を訪れ、「党の歴史を学び、革命書籍を読み、旧跡を訪れ、革命曲を歌う」などの活動を行った」

     

    習近平氏が、先頭に立っているのが興味深い。習氏が一番、「共産党崩壊」を恐れているはずだ。終身「国家主席」を夢見るだけに、国民から共産主義にソッポを向けかれると立つ瀬がないのだ。

     


    (4)「『ビター・ウィンター』によると、
    広東省梅州市平遠縣仁居村はもともと、客家人を中心とした村で、地元の住宅のほとんどが客家の伝統的な様式だったが、2018年から地方政府は、数千万元を投じてこの村を「赤い村」に変身させたと報じた。村人がお金を出し合って作ったセメント道路は砂利道に改修され、「打倒帝国主義」「打倒地主」「赤い遺伝子の伝承」などの共産党の看板やスローガンが道や路地のいたるところで見られるようになったという。梅州の地元メディアは、「地方政府は住民の意見に十分に耳を傾け、支持を得た」と主張している。しかし、村人は「政府からは何の相談もなく私たちの道路を再舗装した」と言い、共産党を称賛するためにお金を全て使った地元政府を非難した」

     

    下線部のように、「打倒帝国主義」、「打倒地主」、「赤い遺伝子の伝承」などを看板にしているが、国民はとうの昔に共産主義を見限っている。続発する汚職と格差拡大。生真面目に生きる人間が、もっとも恵まれない社会が中国になった。この中国が、自由と民主主義の米国や同盟国に勝てるはずがない。

     


    (5)「福建省福州市の政府も、2019年に地元の於山景勝地を革命景勝地に作り替え、同区内の先祖代々を祭る「宗祠」(しゅうし)を革命教育基地に改造し、革命教育のための講堂や党へ忠誠を誓う記念碑を設置した。山東省淄博市の政府は、毛沢東像など革命景勝地の建設に約140万米ドル以上を費やしたうえ、現地の「党の建設テーマパーク主題」の開園日には、市民に毛沢東像の前で線香や冥銭を燃やさせた。台湾の中央通訊社は、「トランプ政権が米中対立を強めたため、米政界が「中国共産党」と「中国人民」を区別したことは、非常に問題の核心を突いているため、北京側は警戒している」と報じた」

     

    国民に選挙権も与えない中国共産党が、国民から支持されるはずがない。食うや食わずの極貧時代は、「計画経済」の意義もあった。だが、生活が生存水準を上回るようになった現在、共産主義の成立基盤は消えたのだ。そういう歴史的な共産主義の位置づけを忘れて、米国と覇権競争することなど論外である。

     

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    韓国が、大きな期待を持って日韓関係打開に動き出した。日本は、いたって平常心で臨んでおり好対照をなしている。これは、日韓関係悪化で困るのが韓国であることを証明する話だ。

     

    米国の有力シンクタンク幹部が、菅首相の政治手法を分析して、日韓関係打開に関する見通しを示している。それによると、日韓慰安婦合意を推進したのが菅官房長官(当時)であり、韓国はそれを破棄する形で裏切った。菅氏の韓国への不信の念は強いはずで、韓国は小さな「誠意」を積み重ねなければなるまい、と貴重なアドバイスをしている。

     

    『中央日報』(9月25日付)は、「菅義偉時代でも韓日葛藤解決は難しいもよう」と題するコラムを掲載した。筆者は、マイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長である。米国国家安全保障会議(NSC)日本・朝鮮担当部長(2001~04年)を経験している。

     

    菅義偉首相は韓日関係に変化をもたらすだろうか。彼のニックネームは「解決者」だ。しかし韓日葛藤の打開は期待しにくい。両国問題はどちらか一方が政治的損失を甘受する譲歩を受け入れないことには解決できない。韓国政府は2015年安倍晋三前首相と朴槿恵(パク・クネ)前統領の間で成立した韓日慰安婦交渉合意が不当だと主張している。日本は当時両首脳の合意が最終的・不可逆的な解決だったという立場を守っている。弱り目にたたり目で、韓国大法院は1965年韓日請求権協定で強制徴用被害者の損害賠償請求権が消滅していないという判決を下した。日本政府は一方的な協定廃棄は国際法違反だとしている。



    (1)「地政学的・理念的観点からみると問題はさらに複雑だ。アジアで韓国と日本は米国との同盟関係を最も固く維持している。日本は中国の覇権主義的野望に対抗して米国・オーストラリア・インドを含む4カ国協力体構成を推進し、インド太平洋地域の領域内協力を強化している。反面、韓国は経済的・地理的に中国の圧迫を受けやすいため、米国との安保協力を強く維持しながらもアジア内の米中経済葛藤で戦略的曖昧さを維持している。日本指導者は韓国が中国側に加わり日本の戦略的利益を阻害していると考えている。韓国指導者は日本がインド太平洋戦略で北東アジア内の競争を深化させて韓国の立場を難しいものにしていると考えている

     

    韓国は、自国本位で国際情勢を見ている。米中対立の世界史的な認識がないため、日本の「インド太平洋戦略」が理解できずにいる。韓国は、南北統一だけが外交と認識するほど、外交視野が狭い。中国に対する認識も、日本とは異なるのだ。

     

    (2)「結局、菅氏は日本の立場を簡単に変更することはできず、しないだろう。ひとまず菅氏は1965年請求権協定や2015年慰安婦合意に対して日本国内からも国際社会からも、事実上、いかなる圧力も受けていない。菅氏は安倍氏の外交政策から大きく外れることはないとすでに宣言した。菅氏は保守的だが実用的だ。安倍氏は彼の母方の祖父・岸信介前首相に従って米国との同盟強化および左派最小化を成し遂げるという決意を持って国会に入ったが、菅氏は1996年に政界に入り、彼の地方区である横浜の実用的・経済的な懸案に集中した。農家の息子である菅氏には政治的・理念的遺産がない」

     

    管氏の生い立ちが、安倍・前首相と違っていることからも、政治手法は異なって当然である。「菅氏は保守的だが実用的だ」と指摘するように、韓国は、先ず小さな誠意を見せることである。管氏は、それが日本の国益になるという自信を持たない限り、日韓関係打開に向けて腰を上げないだろう。

     


    (3)「菅氏は政治家としては珍しく、権力を利用して実質的な成果を出す人物だ。このために日本の官僚や経営者は彼を尊敬しながらも多少恐れる。行政府人事権を首相に集中させた人物が他ならぬ菅氏だ。安倍氏が中央集権的で支配的なリーダーシップを成功裏に確立する過程で、静かにこれを実現させた人物がこの菅氏だった。菅氏は難題を解決するにあたり、自身を助けてくれる人物を招いて共に食事をする。その問題に対してある成果を出すことができるという確信を持つことができれば、官僚を圧迫してこれを直ちに実行するよう強力に推し進める。一例として、菅氏は観光活性化のためにたった数日で出入国管理問題を処理し、数年で日本の観光収入は3倍に増大させた。ただし、菅氏は自分が解決できると思えることだけに動く」

     

    下線部分は、実によく管氏の政治パターンを分析しており興味深い。総理就任後の有識者との面談・会食がそれを跡付けている。今のところ、管氏の面談相手は内政問題の関係者である。日韓問題の関係者はいないようだ。

     

    (4)「菅氏は人の話に熱心に耳を傾けて研究する人物なので、韓国政府は信頼できる交渉家を起用して交渉に対する圧迫なく対話する道を選ぶのが望ましい。菅氏は2015年慰安婦交渉を邪魔しようとした自民党内の右派政治家たちを水面下で阻止した。日本が妥協する名分を韓国が与えれば菅氏は呼応するだろう。菅氏は適切な雰囲気が醸成されればある分野での両国協力に心を開いて動くこともできる」

    管氏は、文政権による日韓慰安婦合意破棄によって裏切られている。この不信感をぬぐい去るためには、韓国がそれなりの努力をすべきである。韓国は、国家間の協定破棄がこういう重い「罰」を受けることを改めて知ることだ。

     


    過去、革命政権でも国家間の条約・協定を遵守するというのがパターンである。合法的に結ばれた日韓慰安婦合意を、韓国国内の事情で破棄とはとんでもない思い上がりである。文政権は、その罰を受けるだろう。

     

    (5)「多くの韓国人は、このような小さな動きに満足しないだろうが、大きな合意が成立するような政治的環境ではない。韓国と日本は共に葛藤の対価を支払っている。今は2カ国首脳が小さな事案から少しずつ協議を詰めていくときだ」

     

    韓国は、日本への甘えを捨てることだ。困った時は、大仰な態度で日本へ接近するが、ひとたび状況が変われば罵詈雑言である。日本は、韓国政治を信用できないのである。



     

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    中国の「戦狼外交」は、あちこちで反発を生んでいる。威張り散らして歩く姿が、各国で非難されているもの。中国は、「自国が一番偉い」と鼻に掛けているが、裸の王様に過ぎないのだ。

     

    『大紀元』(9月27日付)は、「『中国に真の同盟国はない』、米政権の対中政策ブレーン余茂春氏、習氏の多国間主義主張を否定」と題する記事を掲載した。

     

    米国のマイク・ポンペオ国務長官の中国政策首席顧問で、中国安徽省出身の余茂春(マイルズ・ユー)博士は9月22日、珍しく公のイベントに出席し、国連総会で習近平国家主席が提唱した「多国間主義」を否定した。中国の国営メディアが、近代史における中国民族の最大の反逆者と呼んでいる余茂春氏は、習主席の発言は「自己認識の欠如」から来ていると述べた。

     

    同氏は、中国を統制している中国共産党は北朝鮮、そして「その気がないふり」をしているロシアを除けば、真の同盟国がなく、「孤立している」と話した。また、香港における中国共産党の「残忍で半ファシスト的な」行動が示すように、中国共産党の信頼性の欠如についても言及した。これらの発言は、カナダのシンクタンクであるマクドナルド・ローリエ研究所が主催した、中国共産党の香港での政策の意味合いに関するオンラインディスカッションで述べられたものだ。

     


    (1)「
    同氏は、「共有できる価値観。これが多国間主義の基盤である」と述べた。「私たち(米国)にはオーストラリア、日本、英国、カナダ、EU、NATO、ASEAN加盟国などの国がある。私たちはみな同じ価値観を共有している」。余氏は、米国と価値観を共有する世界中の友好国や同盟国に対し、「中国の脅威に対抗するために民主主義の同盟を構築すること」を呼びかけた。「世界のほぼ全ての自由民主主義国は中国が脅威であると認識している」と同氏は言った。中国には真の同盟国として信頼できる国がないということを覚えておいてほしい。だから、昨日国連で習近平が、中国が多国間主義の擁護者だと話したのはとても皮肉なことだ」。余氏は習氏の主張を退け、「自己認識の欠如を完全に反映している」と話した」

     

    中国には、真の友好国はないと言い切っている。それは、相手国を支配しようという目的であるからだ。儒教独特の秩序意識が災いしているのであろう。

     

    (2)「余氏はまた、米国は「世界的に実存する中国の課題に直面する際、世界のどの国よりも多元的だ」としながらも、「多国間主義には目標がないといけない」と話した。米国の前政権が他の5カ国との間で行った多国間協議で、北朝鮮問題が進展しなかったことに触れて、余氏は「パーティー、会話、宴会はうわべの付き合いで、世界のあらゆる問題を解決することはできない」と述べた。余氏は、ドナルド・トランプ大統領は別のアプローチを取り、金正恩氏と直接話すことを選び、「3年半もの間、彼を無力化した」と述べた」

     

    ここでは、トランプ式の外交術を評価している。「パーティー、会話、宴会はうわべの付き合い」という月並みなことでなく、「国益」を前面に据えた外交交渉であるからであろう。このトランプ式の外交術を理解した安倍前首相は、実益を得たというべきだ。

     


    (4)「さらに、「中国と周辺地域における米国の目標は、香港で消滅した自由や法の支配などの価値を守ることだ」 と強調した。「中国は国際システム全体を、中国の社会主義(中国の特色を持つ社会主義)と世界のその他の国々との終わりのない戦いと見なしている。だから彼ら(中国)は、2つのシステムの体系的、政治的、イデオロギー的な違いを忘れてほしいと思っている」と余氏は話した」

     

    中国は、自国が滅びるまで米国覇権に対抗して戦い続けると見られる。これが、帝国主義の恐ろしさである。韓国進歩派メディアは、中国を資本主義国という見当違いの意見を持っている。とんでもない間違いである。古い国際共産主義の夢を捨てずに持ち続けている。それが中国である。

     

    (5)「余氏は9月22日のオンラインディスカッションで、1997年以降の香港の状況を「惨めな失敗に終わった壮大な実験だ」と表現した。香港は「中国共産党の信頼性を試す実験」であり、失敗に終わったことで、中国政府は信頼できないことを世界に示した、と同氏は述べた。1997年、英国が香港を返還した際、中国は「一国二制度」を50年間維持すると約束した。しかし中国共産党はすでに約束を破り、共産主義と全体主義を香港の人々に押し付けようとしている」

     

    香港に対する「一国二制度」破棄は、世界の中国に対する見方を一変させた。中国は、国際的約束を守らない国という烙印を自ら求めたのである。これから大きな代償を払わせられるのだ。

     


    (6)「余氏は、中国共産党の「一国二制度」は「内面の矛盾」を抱えた「破産したアイディア」だと見ている。中国にとっての「国家統一」は、「政治的自由」をなくしては意味がないと指摘し、東西ドイツの統一や朝鮮半島を例に挙げた。同氏は、中国共産党が民主主義を残忍に弾圧し、香港に国家安全法を課したことで、香港での「一国二制度」モデルが「台湾への模範的な影響」を完全に失ったと述べた」

     

    習氏にとっては、2047年まで有効な香港との「一国二制度」を途中で破棄したのは、中国国内の内部矛楯の噴出である。国内経済は、破綻状対に向かっている。失業者の急増に伴う社会不安が社会騒動に発展しかねないのだ。香港デモが、本土のデモを誘発する危険性を遮断したかったのだろう。

     

     

     

     

     

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