米中対立の最中、中国は欧州主要国を米国から引き離す「大胆計画」が失敗した。欧州の最大の「敏感問題」である人権弾圧を行う中国の言い分に耳を貸す国はなかった。当然のこと。こういう時代離れした「人権弾圧」が、欧州諸国から承認されるはずがないのだ。中国が、いくら取り繕っても溝を深めるだけであろう。
『大紀元』(9月1日付)は、「各国から人権問題への懸念表明、仏メディ『王外相の欧州歴訪は失敗』」と題する記事を掲載した。
中国の王毅外相は8月25日~9月1日の日程でイタリア、フランスなど欧州各国を訪問している。香港問題などで溝が広がる各国との関係修復を図る狙いがあるとみられる。しかし、最初に訪れたイタリアから、現地住民による人権問題への抗議が相次いだ。仏メディアは今回の訪問は「失敗に終わった」と評した。
王氏のヨーロッパでの重要な訪問先では、香港人、ウイグル人、チベット人および現地の支援抗議団体が行く先々で彼を待ち受けていた。フランスでは8月28日と30日の両日、100人以上の人々が中国共産党の暴政に抗議した。王氏の8月31日の訪問先はドイツのアンゲラ・メルケル首相で、自民党議員で人権委員会委員長のジェンセン氏をはじめとする複数の独議員らは、香港と新疆問題を前面に押し出すよう呼びかけた。
(1)「各国で冷や飯を食わされた。中央通信社の報道によると、王毅氏はイタリア滞在中、「五つ星運動」の元メンバーであるルイジ・ディマイオ伊外相との間で、新シルクロード政策を通じた二国間協力協定の強化を図るための2つの重要な貿易協定に調印したが、同国ジュゼッペ・コンテ首相は王毅氏との会談を拒否し、2人は電話でのやりとりのみとなったという。また王氏と会談したオランダのステフ・ ブロック外相は、北京が新疆や香港のウイグル人の自由を制限していることに懸念を表明した」
イタリア首相は、王毅外相と面会せず電話でのやりとりという「素っ気ない」扱いをした。パンデミックへの怒りであろう。
(2)「ノルウェーでは、王氏は北極圏の共同計画について対談する予定だったが、香港の反体制派にノーベル平和賞を授与しないようノルウェーに要請した同氏の発言が議論の火種となった。王氏は28日夜、フランスのマクロン大統領と、さらに翌日には同国ドリアン外相とも会談したが、両日とも会談後の記者会見は行われなかったという」
王氏は、ノルウェーでは香港民主派がノーベル平和賞を受賞した場合の対応を聞かれて「平和賞の政治化を見たくない」と述べた。ノルウェーのノーベル賞委員会が2010年、中国の獄中の民主派作家、劉暁波氏(17年死去)に平和賞を授与し、両国関係が悪化したことを意識した発言である。これは、「中国が警告した」と受け止められており、ノルウェーの反発を招きかねない際どいもの。歴訪効果を一層、引下げることになった。
(3)「メディアの報道によると、フランスのマクロン大統領は王氏に対し、フランスは中国通信機器大手ファーウェイの設備を禁止しないが、通信セキュリティの重要性からして、フランスはヨーロッパの5Gシステムを使用する意向を表明した。マクロン大統領もル・ドリアン外相も、中国の人権状況、特に香港や新疆ウイグル族の状況に対する深刻な懸念を、繰り返し王毅氏に表明した」
フランスは、間接的にファーウェイの「5G」使用を拒否した。マクロン大統領もル・ドリアン外相も、中国の人権状況に対する深刻な懸念を表明するという、面目丸潰れの局面を招いた。フランスを訪問して、「やぶ蛇」となった。
(4)「フランスの新聞『ジュルナル・デュ・ディマンシュ』は、ファーウェイ5G問題から台湾問題まで、フランスと中国の間では対立が深まっているとし、欧州での中国人気は過去最低になっているが、王氏の訪問は人気回復にあまり役立っていないようだと報じた」
人権という逆風の中で、王氏の歴訪は何の効果もなかったと、フランス現地紙が報じている。
(5)「同紙はまた、王氏の今回の訪欧の目的が、「誰にとっても良い安定し繁栄した欧州を支持する」と宣言したものの、実際の目標は欧米間の結びつきを弱体化し、北京と欧州の個別国との二国間関係を強化し、結束された欧州に直面することを避けることである、との見解を示した。王氏訪問の際、フランスの電気通信事業者であるブイグテレコム は27日、次世代通信規格5Gのセキュリティ上の懸念から、政府の要請に応じて国内のファーウェイのアンテナを8年以内に段階的に解体すると発表した」
王氏の欧州諸国訪問は、米国との関係にくさびを打つ目的であった が、全く逆の結果を招いている。中国は、欧州が格下に見ていることが認識できず、逆に「不遜な態度」を取り続けている。中国が、威張り散らす唯一の根拠は「GDP世界2位」である。欧州は、そういう物的ものに大きな価値を見出さない地域である。「人権・教養」が上位概念なのだ。中国は、成り上がり者に過ぎないのである。




