勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年09月

    テイカカズラ
       

    米中対立の最中、中国は欧州主要国を米国から引き離す「大胆計画」が失敗した。欧州の最大の「敏感問題」である人権弾圧を行う中国の言い分に耳を貸す国はなかった。当然のこと。こういう時代離れした「人権弾圧」が、欧州諸国から承認されるはずがないのだ。中国が、いくら取り繕っても溝を深めるだけであろう。

     

    『大紀元』(9月1日付)は、「各国から人権問題への懸念表明、仏メディ『王外相の欧州歴訪は失敗』」と題する記事を掲載した。

     

    中国の王毅外相は8月25日~9月1日の日程でイタリア、フランスなど欧州各国を訪問している。香港問題などで溝が広がる各国との関係修復を図る狙いがあるとみられる。しかし、最初に訪れたイタリアから、現地住民による人権問題への抗議が相次いだ。仏メディアは今回の訪問は「失敗に終わった」と評した。

     

    王氏のヨーロッパでの重要な訪問先では、香港人、ウイグル人、チベット人および現地の支援抗議団体が行く先々で彼を待ち受けていた。フランスでは8月28日と30日の両日、100人以上の人々が中国共産党の暴政に抗議した。王氏の8月31日の訪問先はドイツのアンゲラ・メルケル首相で、自民党議員で人権委員会委員長のジェンセン氏をはじめとする複数の独議員らは、香港と新疆問題を前面に押し出すよう呼びかけた。

     


    (1)「各国で冷や飯を食わされた。中央通信社の報道によると、王毅氏はイタリア滞在中、「五つ星運動」の元メンバーであるルイジ・ディマイオ伊外相との間で、新シルクロード政策を通じた二国間協力協定の強化を図るための2つの重要な貿易協定に調印したが、同国ジュゼッペ・コンテ首相は王毅氏との会談を拒否し、2人は電話でのやりとりのみとなったという。また王氏と会談したオランダのステフ・ ブロック外相は、北京が新疆や香港のウイグル人の自由を制限していることに懸念を表明した」

     

    イタリア首相は、王毅外相と面会せず電話でのやりとりという「素っ気ない」扱いをした。パンデミックへの怒りであろう。

     

    (2)「ノルウェーでは、王氏は北極圏の共同計画について対談する予定だったが、香港の反体制派にノーベル平和賞を授与しないようノルウェーに要請した同氏の発言が議論の火種となった。王氏は28日夜、フランスのマクロン大統領と、さらに翌日には同国ドリアン外相とも会談したが、両日とも会談後の記者会見は行われなかったという」

     

    王氏は、ノルウェーでは香港民主派がノーベル平和賞を受賞した場合の対応を聞かれて「平和賞の政治化を見たくない」と述べた。ノルウェーのノーベル賞委員会が2010年、中国の獄中の民主派作家、劉暁波氏(17年死去)に平和賞を授与し、両国関係が悪化したことを意識した発言である。これは、「中国が警告した」と受け止められており、ノルウェーの反発を招きかねない際どいもの。歴訪効果を一層、引下げることになった。

     


    (3)「メディアの報道によると、フランスのマクロン大統領は王氏に対し、フランスは中国通信機器大手ファーウェイの設備を禁止しないが、通信セキュリティの重要性からして、フランスはヨーロッパの5Gシステムを使用する意向を表明した。マクロン大統領もル・ドリアン外相も、中国の人権状況、特に香港や新疆ウイグル族の状況に対する深刻な懸念を、繰り返し王毅氏に表明した」

     

    フランスは、間接的にファーウェイの「5G」使用を拒否した。マクロン大統領もル・ドリアン外相も、中国の人権状況に対する深刻な懸念を表明するという、面目丸潰れの局面を招いた。フランスを訪問して、「やぶ蛇」となった。

     

    (4)「フランスの新聞『ジュルナル・デュ・ディマンシュ』は、ファーウェイ5G問題から台湾問題まで、フランスと中国の間では対立が深まっているとし、欧州での中国人気は過去最低になっているが、王氏の訪問は人気回復にあまり役立っていないようだと報じた」

     

    人権という逆風の中で、王氏の歴訪は何の効果もなかったと、フランス現地紙が報じている。

     

    (5)「同紙はまた、王氏の今回の訪欧の目的が、「誰にとっても良い安定し繁栄した欧州を支持する」と宣言したものの、実際の目標は欧米間の結びつきを弱体化し、北京と欧州の個別国との二国間関係を強化し、結束された欧州に直面することを避けることである、との見解を示した。王氏訪問の際、フランスの電気通信事業者であるブイグテレコム は27日、次世代通信規格5Gのセキュリティ上の懸念から、政府の要請に応じて国内のファーウェイのアンテナを8年以内に段階的に解体すると発表した」

     

    王氏の欧州諸国訪問は、米国との関係にくさびを打つ目的であった が、全く逆の結果を招いている。中国は、欧州が格下に見ていることが認識できず、逆に「不遜な態度」を取り続けている。中国が、威張り散らす唯一の根拠は「GDP世界2位」である。欧州は、そういう物的ものに大きな価値を見出さない地域である。「人権・教養」が上位概念なのだ。中国は、成り上がり者に過ぎないのである。

    テイカカズラ
       


    米国は、中国の台湾攻撃の機先を制すべく、米台の経済対話強化に動き出している。台湾には世界有数の半導体企業が存在するので、中国がこれを抑えるべく台湾へ不穏な動きをさせないために先手を打つものと見られる。

     

    米国は、半導体を巡り中国へ一段と強い攻勢をかけている。中国が苦し紛れに台湾半導体企業を軍事的に抑えるリスクも高まっているほど。米国は先手、先手で中国の反撃を抑え込む準備をしている。

     

    『ロイター』(8月31日付)は、「米、台湾との新経済対話創設へ 中国からの圧力に対応」と題する記事を掲載した。

     

    米政府は31日、台湾との新たな経済対話を創設する考えを表明した。台湾との関係を強化し、中国からの圧力の高まりに対抗するのを支援する狙いがあるとした。

     

    (1)「米政府はまた、台湾の安全保障に関する米国の基本姿勢を記したレーガン政権時代の文書の機密指定を解除したと明らかにした。アナリストらは、台湾当局をさらに支援する姿勢を示す動きだと分析している。スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、保守派シンクタンク、ヘリテージ財団のオンラインフォーラムで、台湾との経済対話を通じて「ハイテクを中心に、半導体や医療、エネルギーなどの分野で経済関係の最大限の可能性を探る」と説明。「台湾との関係は対中関係と相互に関わり合っているかもしれないが、その一部というわけではない」と強調した」

     

    米台でFTA(自由貿易協定)問題が持ち上がっており、米国が台湾との経済的つながりを強化する動きである。これが、「一つの中国論」に抵触するかどうか、米国は無視する構えだ。ここまで、米国が台湾に肩入れするのは、台湾の半導体産業を中国へ渡さないという強い決意の表れであろう。米台経済対話強化には、こういう狙いが込められている。

     

    (2)「トランプ米政権が製造業のサプライチェーンにおける中国への依存度低下を目指す中で、台湾の半導体受託生産最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は5月に米アリゾナ州に総工費120億ドルの半導体工場を建設すると発表している。スティルウェル氏は今回の動きは政策の転換を意味せず、「一つの中国」原則の範囲内での「大幅な調整」だとした。重要度が極めて高い地域の「平和と安定に対する中国の脅威の高まり」や、中国政府が台湾を軍事的脅威にさらす一方で外交的には台湾を孤立させようと試みていることが、今回の対応につながったとした。「台湾当局が中国共産党による圧力、威嚇、排除の取り組みに抵抗するのを引き続き支援する」と言明した」

     

    下線部のように、中国が台湾に向けて軍事的脅威を高めている以上、米台が経済対話強化に踏み出すのは当然という姿勢である。

     

    (3)「台湾外交部(外務省)は、中国が軍事的脅威によって台湾周辺の平和と安定を損なおうとする中、米政府による支持表明に感謝するとした。その上で、台湾の防衛力強化に引き続き取り組む方針を示した。スティルウェル氏の前任のダニエル・ラッセル氏は、台湾の安全保障に関する「6つの保証」を記した文書の機密指定解除は、米政権内のタカ派の要望に歩み寄った結果だとみられると分析」

     

    台湾の安全保障に関する「6つの保証」を記した文書の機密指定解除がされた。その内容は、次のパラグラフの通りだ。

     

    (4)「タカ派は、台湾の防衛に明確なコミットメントを示さずに、中国による軍事的冒険主義を阻止するのに十分な支援は行うという「戦略的曖昧さ」を撤回するよう求めてきた。6つの保証には、台湾への武器売却について終了の期限は設定しておらず、中国に事前に相談するとの合意もないほか、台湾に関する米国の基本政策を盛り込んだ台湾関係法の修正にも合意していないという記述が含まれる。スティルウェル氏は、これらの保証は「現在も有効だ」と強調した」

     

    米国の台湾への「6つの保証」は、現在の米国政府の行っている台湾支援を正当化している。米国が、台湾に対してにわかに接近しているのでない、というもの。米国政権が、台湾防衛に全力を挙げる基本姿勢を示しているのだ。台湾に関する米国の基本政策を盛り込んだ「台湾関係法」について、中国の要求する修正にも合意していないという重要な記述がある。これは、米中復交の際に台湾支援を盛り込んだ米国の立法精神が、現在もそのまま生きていることを証明している。

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    中国の半導体産業は、完全に米国の出方一つにかかっている。先週、開催された世界半導体会議で、米政権による制裁の影響を次に受けるのは、中国の半導体業界との懸念が色濃く反映されという。すでに、ファーウェイは米国から全面的な禁輸措置を発表されている。この結果、スマホや次世代通信網「5G」は、ファーウェイの主柱たり得ない事態へと追い込まれている。クラウド事業ならば、米国からの半導体輸入が可能ゆえ、ここで生きる道を探すことになった。ただ、ここにも不確実情報が流れており、楽観は禁物である。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(8月30日付)は、「ファーウェイ、クラウド事業で生き残り探る」と題する記事を掲載した。

     

    中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は、新たなクラウドサービス事業に生き残りをかけている。米政府から事実上の禁輸措置を受けているが、クラウドサービス事業では引き続き米国製半導体を調達できるためだ。

     

    (1)「最近始まった同事業は、顧客企業に演算能力やストレージを販売するほか、人工知能(AI)へのアクセスも認める。同社はこの分野では中国市場をけん引するアリババ集団や騰訊控股(テンセント)に大きく後れを取っている。しかし急速に成長しており、1月にファーウェイは同事業をスマートフォンや通信機器事業と同列に扱うことを決めた。ファーウェイに部品を供給する中国企業の関係者は、クラウド事業が国内市場での地位を安定させるための鍵だと指摘した。中国政府が公共事業契約を通じて同社への支援を強化するためだ」

     

    ファーウェイは、クラウド事業で生きる道を探すという。

     

    (2)「同事業に携わる複数の関係者は、事業が拡大していると話した。「我々は顧客にサービスや製品パッケージを提供し続ける」。同社内部で事業戦略に詳しい関係者は強調する。「半導体の品質は以前ほど高くないかもしれないが、禁輸措置の影響を受けていない他の製品については品質が少し向上しており、顧客も受け入れるだろう」。事情通の一人は同社が禁輸措置で携帯端末向け半導体を調達できなくなり、スマホなど消費者向け事業の見通しが絶望的なため、クラウド事業に重点を移す必要があったと指摘した。消費者向け事業は2019年のファーウェイの売上高である1220億ドル(約12兆8600億円)の半分を占める」

     

    ファーウェイは、米国の禁輸措置を受けてスマホ事業は大きな痛手を受ける。売上の半分は、耐久消費財である。それが「全滅」になる。その穴を、クラウド事業で埋めるというのだ。

     

    (3)「業界の大物やアナリストたちによると、クラウド向け半導体のメーカーはファーウェイと取引を継続でき、他の部品も市場で調達できる。「米インテルは輸出継続許可を昨年取得しており、ファーウェイのサーバーに使われているCPU(中央演算処理装置)を供給し続けている」。ある半導体業界の幹部は匿名を条件に明らかにした」

     

    クラウド向け半導体のメーカーは、ファーウェイと取引を継続でき、他の部品も市場で調達できるという。だが、次の記事がそれを否定するような事態を示唆している。

     


    『ブルームバーグ』(8月31日付)は、「トランプ政権の対中制裁に戦々恐々、次は発展途上の半導体業界か」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「レノボ・グループ(聯想集団)の親会社の投資部門レジェンド・キャピタルでマネジングディレクターを務めるアーサー・コ氏らによれば、テクノロジー分野の中国台頭を封じ込めようとするホワイトハウスの取り組みはすでに、同分野で世界のサプライチェーンを揺るがしている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う混乱後に製造業は回復し、中国半導体需要の強靱さを支えているものの、米国が制裁を強化すれば発展途上の中国半導体業界に深刻な打撃をもたらす恐れがあるとみている」

     

    米国が、その気になって半導体制裁規制強化すれば、中国の半導体は壊滅的な打撃を被るという。まだ、制裁強化があり得る感じも否めないのだ。

     

    (5)「同氏は、「米国が例えば最先端の半導体製造といった中国テクノロジー産業の重要部分をさらに攻撃すれば、その影響は壊滅的だろう」と述べた。米政府は8月、華為技術(ファーウェイ)による半導体技術へのアクセス遮断を狙い、同社に対する制限措置を強化。ロイター通信が先週報じたところによると、米国は半導体製造装置や関連ソフトウエアツール、レーザー、センサーなどの輸出に対する新たな規制を検討している。電子設計自動化(EDA)ツールを提供している米シノプシスの中国部門会長コ・チュン氏は、米国の規制措置を受け、同社はすでにファーウェイとの協力を停止したと今年の大会で明らかにした」

     

    米国政府は、半導体製造装置や関連ソフトウエアツール、レーザー、センサーなどの輸出規制を新たに検討しているという。それが現実化すれば、中国から国産半導体が消えてしまうほどの影響が出るという。そうなれば、ファーウェイのクラウド事業も不確実になる。中国は今、米国を敵に回した恐ろしさを実感しているだろう。

     

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    中国浙江省の義烏(イーウー)は、世界最大の日用雑貨卸売市場である。グッズなど小間物の注文が、世界各地から殺到する地域として有名である。この義烏が、今秋の米大統領選に使われるグッズで、トランプ氏はバイデン氏の20倍もの受注に賑わっている。

     

    中国政府は、民主党のバイデン氏に肩入れしているとされるが、グッズでは「トランプ当確」となっている。実は、この選挙用のグッズには深い意味がある。グッズの発注が多いのは、陣営の熱気度を示している。

     

    一般に、大統領選では世論調査が重視されている。もっと大事なのは、それぞれの党員でトランプとバイデンをどれだけ支持しているか、それを示す「熱意」が、投票行動に結びつくのだ。その熱意が、「グッズ」の受注量に表われるのである。米国大統領選を占う重要なヒントが、中国浙江省の義烏に見られるのだ。

     

    『大紀元』(8月31日付)は、「中国の義烏指数『トランプ必勝』選挙グッズの受注はバイデンの20倍」と題する記事を掲載した。

     

    世界最大の日用雑貨卸売市場である中国浙江省の義烏(イーウー)はこのほど、トランプ氏の大統領選挙戦関連グッズをバイデン氏関連のものの20倍以上受注したことから、現地業者は「トランプ氏が2020年の大選に勝利する」と確信しているという。

     

    (1)「シンガポール最大の華字紙『聯合早報』は8月30日、「義烏指数は米大統領選の秘密をばらす」と題した記事を掲載した。記事によると、米大統領選挙のたびに、義烏は候補者の旗、野球帽、Tシャツ、ゴム製ブレスレット、ラテックスマスクやその他の小物などのキャンペーンプロモーション商品の注文を受けてきた。これらの商品を扱う業者らは今年、「トランプ氏が勝利することはほぼ確実」と口をそろえるという。義烏に工場を持つ李さんは同紙インタビューで、何の迷いもなく「もちろん、トランプ氏が勝つだろう」と断言し、「半年以上にわたる『義烏指数』を見てきたから、このように判断した」という」

     

    前回の米大統領選の世論調査で、トランプ氏は敗北予測であったが逆転勝利した。この結果、各種世論調査が調査手法に工夫を加え、今回は予測精度を上げるべく努力している。ただ、こういう「義烏指数」にまで、関心が向けられている訳ではない。ここは、穴場であろう。

     


    (2)「昨年末から、李さんの工場では、「Trump2020」および「Keep America Great」(アメリカを偉大なままに)という文字が印刷された応援旗10万枚以上を販売したのに対し、同じサイズの民主党候補のバイデン氏のものは数千枚しか売れなかったという。「注文は捏造できない」「私たちは小さな商売をやっているだけで、誰がアメリカの大統領にとって相応しいか、わからないけれど、誰が当選するかは知っている」と付け加えた」

     

    中国の業者は、選挙用グッズの受注量で米国の大統領選の行方が分るという。これは、共和・民主の両党における「支持派の熱意」を計るバロメーターであるからだ。バイデン氏のグッズが少ないのはなぜか。民主党左派が、バイデン氏支持で納得していない証明である。民主党の団結を守るため、中道派のバイデン氏が「消去法」で候補に選ばれたのである。そういう事情が、グッズの受注量に響いているのだ。

     

    (3)「また別の旅行用品卸売り企業の販売員である周さんも、同じ判断を下した。周さんは「聯合早報」のインタビューに対し、「自分のいる工場では去年末から米大選の関連グッズの受注を開始し、最初のころは、すべてトランプ氏関連のもので10種類以上を生産した。ここ2カ月くらいはバイデン氏関連の受注もボチボチ入り始めたが、1種類しかないし、その数もトランプ氏の5分の1にも満たない」と答えた。周さんはまた、海外営業チームにいる同僚は、最近トランプ関連商品の受注が相次いでいると話した。ほんの数日前にも、別の同僚が「トランプ商品の生産を早めるように」と生産関係者に催促したという」

     

    共和党候補トランプ氏は、現職大統領である。対抗馬のライバルがいたわけでない。一貫して「強力候補」であった。その勢いが、選挙用グッズの受注量増加に表われている。

     

    (4)「2016年の米大統領選では、米主流メディアは圧倒的にヒラリー氏を支持し、同氏の勝利を楽観視していた。一方、義烏の中小企業は、手元にある2人の選挙関連グッズの注文状況をもとに、「トランプ氏の勝利」を予測していた。義烏の判断が正しいと裏付けるかのように、米メディアは、「8月21日時点で、トランプ氏の選挙運動チームが12億ドルの選挙資金を集めたのに対し、バイデン氏は6億9900万ドルの資金しか集められていない」と発表した」

     

    トランプ氏の選挙資金は、バイデン氏を70%も上回っている。支持への熱意が、これだけの差になっているのだろう。選挙用グッズにそれが表われている。

     

    (5)「今年5月末、米警官に拘束され死亡した黒人男性フロイド氏事件の時も、「Black Lives Matter」(黒人の命は大切だ)の文字入りマスクの注文が殺到し、義烏の卸売り業者らは「デモはすぐには終わらないだろう」と判断したという。義烏の業者は彼らの長年培ってきた「感覚」で、世界を揺さぶるこれらの政治的出来事について、正確な判断を下している。彼らの中には、米国で大統領選が行われることも、トランプ氏の名前すら知らない人もいた」

     

    人々の社会運動への参加熱意は、こういうグッズ販売にも出るのだ。

     

    (6)「中国メディア「消費者報」も、2019年12月3日に同様の報道を行った。当時取材を受けた義烏の卸売り業者らは、皆口を揃えて「トランプ氏が『また勝つ』」と語ったという。また、別の義烏の服飾企業の経営者は「現在、店にあるのはすべてトランプ氏関連のもので、売れ行きは好調で、トランプ支持者が使用する野球帽を一回で、5000個注文した顧客もいた」という

     

    トランプ氏は、白人労働者(非大学卒)が主要支持基盤である。この層が、熱狂的にトランプ・グッズを購入しているとすれば、11月3日の大統領選挙結果にそれが現れるだろう。

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    世界で「投資の神様」とされる、ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイは8月30日、日本の5大商社の株式をそれぞれ5%超取得したと発表した。バフェット氏はこれまで、なぜか日本株に関心を示さずにきた。その氏が、1年前から三井物産、三菱商事、伊藤忠商事、住友商事、丸紅などを買い集めてきたもの。将来、10%まで買い進む意向も発表した。

     

    日本の5大商社が、揃って投資対象になったのは「バリュー株」(資産・収益に見合わない安値株)として、市場の人気圏外に置かれたからだ。バフェット氏の目から見れば、「宝物」が放置されている感じなのだろう。日本企業の内部蓄積が多いことも評価されたに違いない。

     

    『ロイター』(8月31日付)は、「米バークシャー、日本の5大商社株約5%取得、市場に驚きの声」と題する記事を掲載した。

     

    バークシャー傘下のナショナル・インデムニティが8月31日に財務省関東財務局に提出した大量保有報告書によると、伊藤忠商事株式の5.02%、丸紅5.06%、三菱商事5.04%、三井物産5.03%、住友商事を5.04%、それぞれ取得した。バークシャーの発表文によると、約1年間かけて取得したという。長期保有を意図しているとした上で、保有率を最大9.9%に引き上げる可能性があるとした。

     

     

    (1)「8月30日に90歳の誕生日を迎えたバフェット氏は、「日本の未来にバークシャー・ハザウェイとして参加することは喜ばしい」と表明。「5大商社は世界各地に合弁事業が多数あり、今後さらに増やす公算が大きい。将来的に相互に有益な機会があることを望む」とした。三井物産の広報担当者は、バークシャーが長期保有を目的に同社株を取得したことは承知しているとした上で、「当社は常に、すべての株主のリターン改善を目指している」と述べたが、それ以上のコメントは控えた。丸紅の広報担当者は、特定の投資家の株式保有についてはコメントしないと述べる一方、「企業価値を高めるための経営努力を続ける」との方針を示した」

     

    下線部が、バフェット氏の日本5大商社への投資理由である。商社ゆえに国際的な視野で多角的投資をしている。その投資先が今後、発展すれば膨大な利益が上げられるというのが、バフェット氏の読みであろう。世界のバフェットが、長期的視点で世界と日本を見定めていることは疑いない。

     


    『ブルームバーグ』8月31日付)は、次のように指摘している。

     

    「バークシャーが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の先に目を向け、世界の成長に賭けている可能性が高いことを示していると、アシンメトリック・アドバイザーズのシニアストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は指摘する」

     

    「同氏は、「シクリカル(景気循環)的性質が非常に強い日本市場を考えると、バフェット氏は景気サイクルが底を打とうとしていると見込み、パンデミックの先を見据えていることを示していると思われる。「バリュー株がアウトパフォームし始めれば、(世界の)投資家は日本株に注目し始めるだろう。これはバフェット氏の投資以上の大きな変化となるだろう」と語った」

     

    日本株に、世界のフットライトが当てられていることは間違いない。新しい時代の到来であろう。

     

    (2)「今回の投資によってバークシャーは、米経済への依存度を低下させることになる。米国の第2・四半期の国内総生産(GDP)は、1947年の統計開始以来、最も大きな落ち込みとなった。バークシャー傘下の事業会社の多くは苦戦しており、今月発表した第2・四半期決算では、航空機部品メーカー、プレシジョン・キャストパーツに関連した評価損98億ドルを計上。傘下事業は鉄道や自動車保険など90以上に上る」

     

    バフェット氏は、傘下に多くに事業会社を抱えている。これら事業と日本の5大商社とのコラボの夢を描いているのだろう。

     

    (3)「このほか、投資目的で米アップルやクレジットカードのアメリカン・エクスプレス、バンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラなどの株式を1250億ドル(6月末時点)相当保有する。傘下事業の大半は米国にあるが、イスラエルのIMCインターナショナル・メタルワーキングや独オートバイアクセサリー小売りのデトレフ・ルイスなど少数の外国企業も買収している。マネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏は、バークシャーのポートフォリオにアップル偏重の感が出ており、バフェット氏はアップルと真逆な投資先を探していたとの見方を示した

     

    日本の5大商社は、多角的な投資先を抱えている。バフェット氏は、それらの投資先を組み合せれば、いかようにも事業計画が練り上げられるに違いない。奇想天外な計画を忍ばせているのだろう。

     

    (4)「バフェット氏が投資したと発表されると、その株は上昇することが多い。8月31日の東京株式市場で丸紅と住友商事は9%超上昇、三菱商事と三井物産は7%超上昇し、伊藤忠は4.2%上昇し上場来高値を更新した。とは言っても年初来で上昇しているのは5社中、伊藤忠だけ。丸紅、三菱商事、住友商事は10%程度下落し、TOPIX(6%)よりきつい下げになっている。株価が簿価を上回っているのも伊藤忠のみ。その点でバフェット氏のようなバリュー投資家のお眼鏡にかなったともいえる。5社は潤沢な手元資金を持つ。リフィニティブのデータによると、三菱商事は1株当たりのフリーキャッシュフローが4年間増え続けている。商社は鉄鋼、海運、コモディティー(商品)などの分野を通じて実体経済に深く関与している。理解できない事業には投資しない主義のバフェット氏にとって、商社はわかりやすい投資先に映ったとみられる」

     

    バフェット氏は、日本株に照明を当てた「大恩人」である。日本経済が、潜在的発展力を開花できる機会になれば、「絶好のチャンス」到来と言うべきだ。

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