勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年11月

    a0960_005041_m
       

    韓国は、12月に開催予定の日中韓首脳会談をぜひとも実現させたいと焦っている。日韓関係が正常な状態であれば、遅延することなく開催すべきであろう。だが、歴史問題を絡めてきた韓国の対日非難に対して、軽々な解決をすることは、百害あって一利なしである。韓国に日本との外交的行き詰まりがどういう結果をもたらすか、政府も民間も十分に考える時間を与えることである。

     

    日本は、昨年7月から対韓国への半導体重要3素材の輸出手続き規制を行った。韓国はこれに対して、「反日不買運動」で対抗してきた。韓国は、それ以前に日本に対して行った、日韓慰安婦合意の破棄や旧徴用工問題賠償という解決済み歴史問題を蒸返し、日韓関係を根本的に破壊した。こういう、韓国自らが行ったことを棚に上げて、「反日不買運動」という感情論で対抗してきたのである。

     


    韓国は、現在になって歴史問題を蒸返したことに反省の気持ちが出始めている。この「千載一遇の機会」を生かさなければならない。過去の日韓関係は、日本が日韓併合という弱味で、最後は妥協して韓国を「甘やかして」きた。そのツケが、歴史問題として際限なく繰返させている。日韓慰安婦問題では、韓国の市民団体がこれを悪用して寄付金を集めて私腹を肥やす事件まで起こっている。反日が、韓国ではビジネスとして成立する奇妙な事態を生んでいるのだ。

     

    こういう腐った韓国の反日土壌を断ち切るためには、日本は韓国に対して安易な姿勢を見せるべきでない。反日をやれば、どういうブーメラン効果が起こるか。韓国社会へ考えさせる時間を与えるべきである。それをやらないから、反日運動は儲かるものとして、繰り返し引き起されるのである。そういう愚を繰り返してはならないのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(11月28日付)は、「日中韓首脳会談開催へ努力を」と題する社説を掲載した。

     

    日本、中国、韓国3カ国の首脳が、年内に韓国で会談するめどが立っていない。新型コロナウイルスや北朝鮮問題などへの対応で国際協調が求められる時期だけに、会談の意義は大きい。実現への努力を重ねるべきだ。

     


    (1)「日本政府は菅義偉首相の訪韓の環境が整っていないとみている。元徴用工問題を巡り韓国で日本企業の資産が差し押さえられており、現金化という最悪の事態を防ぐのが先決だ。1965年の日韓請求権協定が揺らぐ現状を韓国側の責任で是正する必要がある。情報機関トップや韓日議員連盟の会長が相次ぎ来日し、菅首相らと会談した。新駐日大使に内定した姜昌一氏は東大で学び、革新系与党出身で数少ない知日派だ」

     

    小渕首相当時に、金大中大統領と「日韓共同宣言」(1998年)を発表して、日韓新時代の到来を約束しあった。だが、たった3年間で韓国国会は、この「日韓共同宣言」を全員一致で破棄する決議(2001年)をしている。理由は、日本の教科書問題である。このように、韓国は気に入らないことが起これば簡単に両国の合意を破棄する。日韓慰安婦合意は、国家間の正式合意である。日本から10億円の資金も提供され、慰安婦の人たちに配分されていた。それを、文政権は勝手な理由をつけて破棄したのだ。日本は、こういう韓国と情にほだされて、簡単に握手することは無駄であろう。

     

    (2)「日本からも日韓議連の河村建夫幹事長らが訪韓しており、菅政権誕生を機に対話の機運が生まれているのは評価できる。それでも両国間に温度差が隠せないのは根幹部分で前進がみられないためだ。韓国から聞かれる「冷えこんだ日本との関係を改善する文大統領の意志」が本物かは疑念が残る。韓国側は日韓首脳による「共同宣言」案や、日本企業の資産売却を来夏の東京五輪終了時まで凍結する案を、日本に持ちかけた。これでは根本的な解決にはならない。北朝鮮との対話再開の環境づくりを優先するようでは困る」

     

    日韓が、話合いをすることは結構である。だからと言って、簡単に過去の「反日」を水に流すような「お人好し外交」は身を滅ぼす。中国は、韓国の「THAAD」(超高高度ミサイル網)が無害であることを知りつつ、韓国へ徹底的な報復を継続している。韓国が、中国から離間しないように脅迫しているのだ。日本は、中国のような脅迫行為をしてはならないが、韓国の要求に振り回される事態だけは避けるべきである。

     

    (3)「日本も東京五輪の成功や日朝問題の進展に向け、韓国との対立を放置するのは国益に沿わない。米大統領選で同盟重視を唱えたバイデン氏の当選確実を受け、「日米韓」体制を支える安全保障の協力や経済連携の立て直しは急務だ。徴用工問題と日本からの輸出管理の問題は実質的に絡み合っており、一方だけを解決させるのは困難だ。包括的な決着でこそ、こじれた日韓関係が正常化する。日中韓首脳会談をソウルで開いた2015年には、日韓首脳も約3年半ぶりの2国間会談によって関係改善に導いた。地域の安定のため、外交力と首脳の指導力が問われる局面を迎えている」

     

    韓国が、日本へ協力を申入れているのは、韓国の利益になるからやろうとしているだけである。東京五輪を舞台に、南北交流促進や米朝接近の舞台回しを目指しているのだ。日本は、韓国が東京五輪に協力してくれることに感謝しても、それ以上の行為に出るべきでない。文政権による一連の反日行動を精算させるには、まだまだ反省させる時間が必要なはず。日韓関係修復には、時間をかけて慎重の上にも慎重を期すべきなのだ。 

     

     

     

    35
       

    米中デカップリング(分断)が本格化すれば、中国はどこの国を頼るだろうか。米国にバイデン政権が誕生すれば、同盟国の結束を図って中国へ圧力をかけると広言している。EU(欧州連合)も米国と足並みを揃えて、中国への門戸を狭める。となれば毎日、尖閣諸島で嫌がらせをしている日本しか頼る先はないのだ。

     

    中国のことだ。自分から頭を下げてくることは絶対にない。先の王毅外相の訪日は、中国の申入れであったという。菅新政権の対中政策の感触を探りにきたのだろう。すでに、習近平氏が突然のTPP(環太平洋経済連携協定)参加意思を表明した。参加資格もない中国が、名乗り出たのは「中国を忘れないでね」というシグナルである。

     


    『日本経済新聞 電子版』(11月28日付)は、「中国、TPP検討の思惑、包囲網打破へ日本に接近」と題する記事を掲載した。

     

    貿易や投資で高度な自由化を求める環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加に、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が前向きな姿勢を打ち出した。もともとオバマ前米政権が主導したTPPの目的は対中包囲網づくりだった。あえてそこに中国が参加検討を表明する背景には、3つの深謀が働いている。

     

    (1)「習氏は20日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「TPP11参加を積極的に考える」と表明した。15日に東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に署名した勢いのまま、突然の発表だった。予想外の参加表明の狙いは、米国との覇権争いに終わりはないと見越し、TPPをテコに日本に近づき日米関係にくさびを打ち込むことだ。中国外務省の関係者は「日本を味方につけて米国の対中包囲網を打ち破る」と真顔で語る。「塑造周辺(自陣営の周辺国を作る)」という習指導部の外交方針を体現する」

     

    中国は、都合のいいときだけ日本へ接近する。日本は、その意図を見透かしているからニーハオと言ってきても「無駄弾」である。米中関係の密接さも知らないとすれば、中国の外交はどうなっているのか。どう転んでも、日本が中国の味方になるはずがない。基本において、日本は中国を尊敬していないからだ。恋愛と一緒である。お互いが尊敬の念を持たずに愛は続かない。それは、一時の打算に過ぎず破綻する運命だ。

     


    (2)「2つ目の狙いは、米次期政権との対話の糸口を探ることだ。中国では「習氏の表明が米国のTPP復帰を早める」との論調もある。米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領は国際的な枠組みを重視する。同氏のもとで米国がTPPに復帰すれば、なかば恒久的な対話の窓口ができると期待する」

     

    このパラグラフの認識も間違っている。米国がTPPに復帰する時期について、当面は無理とされている。ラストベルト地帯の雇用が改善しなければ、米新政権はTPPを持ち出せないと見られている。仮に、22年に米国がTPPに復帰しても、中国を加盟させる意思はゼロである。TPPはもともと、中国排除の目的で結成されたのだ。中国外交は、完全に目算が狂っているのだ。

     

    (3)「3つ目の狙いは、国内改革を進める外圧としての活用だ。中国共産党幹部を養成する中央党校の国際戦略研究院の梁亜浜副教授は「外部の力を借りることも、中国の改革開放を絶えず深化させる重要な手段だ」と中国メディアで指摘した。関税撤廃率が99.%に達するTPPは、貿易や投資の自由度がRCEPを上回る。TPP加入に備えて、国内の構造改革を進めて民間の活力を高める必要がある。習政権のもとで改革の機運がしぼんだが、改革派の知識人らはTPPをきっかけに再び前進させるべきだと訴える」

     

    中国が、TPPに加盟するには現在の「国進民退」を改めて、「民進国退」に戻すことが不可欠である。つまり、国有企業中心の産業政策を捨てて、自由競争基本の市場経済に戻すことだ。それは、中国共産党による統制経済でなくなるという意味だ。中国が、そこまでしてTPPに加盟するとは考えられない。

     


    (4)「ただ中国が実際にTPPに参加するにはハードルが高い。TPPは、政府が国有企業を補助金などで優遇して競争をゆがめることを禁じる。鉄鋼など中国の国有企業がむやみに設備投資を膨らまし、グローバルな供給過剰を生んだことが念頭にある。習氏は4月の党内組織の会議で「国有企業も改革や合理化が必要だ」としつつも「絶対に否定や弱体化はできない」と述べた。国有企業の増強を前提としたままでは、TPP参加交渉はつまずきかねない」

     

    習氏の権力基盤は、共産党二世グループ「太子党」「紅二代」にある。彼らが、国有企業全体を率いているのだ。紅二代の経済的利益は、国有企業から吸い上げている。その結果、栄耀栄華な生活を送くれるのだ。国有企業の縮小・解体はタブーである。こういう事情ゆえに、TPPに加盟できる訳がないのだ。

     

    (5)「習指導部は、経済強国を築くため、国内産業を保護すべく多くの規制を駆使してきた。TPPのルール分野には個別に適用を見送る凍結規定があるものの、多用は認められない。中国内には貿易面だけ参加する「限定参加論」を唱える声もあるが、加盟国の同意が得られるかは読めない」

     

    どう見ても、中国がTPPに加盟することは不可能である。そこで、中国が貿易面だけ参加する「限定参加論」を唱える声もあるという。とんでもない甘えである。社会主義国のベトナムもTPP加盟に当り、国有企業の比率を引下げる努力をしたのだ。中国だけ甘やかすことは不可能である。中国は加盟に当って、既存加盟国すべての承認を必要とする。一国でも反対があればダメなのだ。中国が、こういう「限定参加論」を持ち出すほど、米中デカップリングが深刻であることを物語っている。早くも、中国敗北を示している。

    a0960_006624_m
       

    日本が、日中韓首脳会談に参加する方針を見せないことから、中国が日韓関係修復に一肌脱ぎたいような素振りを見せ始めた。日本は何も、中国の介入を必要としている訳でない。韓国の「反日体質」をこの際、徹底的に矯正させるという「教育効果」を狙っているだけである。二度と再び、歴史問題を蒸返して「謝罪と賠償」というパターンの繰り返しを阻止したいのである。そのために、日本は絶対にここで妥協してはならない。むろん、中国の介入も必要ないのだ。

     

    『レコードチャイナ』(11月28日付)は、「日韓関係は、切っても切れず『糸口もつかめない』状態ー中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国商務部が主管するサイト『中国商務新聞網』(12月27日付)は、日韓関係について「切っても切れず、糸口もつかめない」とする記事を掲載した。

     

    記事は、今月23日に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新しい駐日大使に姜昌一(カン・チャンイル)氏を起用したことを挙げ、「このニュースは2年の間、波風が多かった日韓関係にいくらかの温かみを与えた」と指摘した。姜氏は「日本通」として知られ、東京大学大で修士、博士号を取得した、日本問題に詳しい歴史学者。共に民主党所属の国会議員を4期務め、現在は韓日議員連盟の名誉会長を務める。

     


    (1)「記事は、「イライラと悪化の中にある日韓関係において、『日本通』が駐日大使に就任することは、少なくとも韓国が双方の交流において、日本の意図と要求により耳を傾け、理解したいということを意味している」とし、韓国大統領府関係者が「関係を改善したいという文大統領の意思を反映した人事」と評したことを伝えた」

     

    韓国が、日本との関係修復に全力を上げていることは事実である。だが、韓国は徴用工問題を自国で解決する意向を見せない点が最大の難問である。韓国は、これを逃げ切ろうと狙っている。その底意が透けて見えるから、日本は警戒しているのだ。

     

    (2)「このほど、日中韓が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が署名に至ったことに言及。「これにより、3者間の経済協力がますます緊密になる」とした上で、「2つのパートナーの距離が徐々に離れていく場合、第3者(注:中国)がタイムリーに介入すれば2者の行き詰まりを打破し、互いの負の感情を緩和することができる。RCEPへの署名は日韓関係の正常な発展を促す一定の作用がある」と指摘した」

     

    RCEPは、貿易関係の領域である。別に日韓の経済関係が止まっているわけでないので、中国がRCEPを持ち出して、「介入」する必要性はゼロである。中韓関係も「THAAD」問題でギクシャクしているが、日本が第三者として介入する必要はない。それと同じことなのだ。

     


    (3)「そして、「最近、双方のハイレベル交流が頻繁に行われ、関係改善の突破口を積極的に探している」としたほか、「韓国は拉致問題という『日本の痛いところ』を利用し、東京五輪という接点に乗じて、遠ざかっている日本との関係を縮めようとしている」とも指摘。11月中旬に日本を訪問した韓日議員連盟の金振杓(キム・ジンピョ)会長が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を来年7月の東京五輪に招待することについて「日本が前向きな回答を示した」と明らかにしたことを挙げた。なお、日本側はこれを否定している」

     

    韓国は、自国が譲歩しないで「得する」ことだけを模索している。これでは、日本を納得させられるはずがない。現在の日韓関係悪化は、すべて文政権が仕掛けたものだ。日韓慰安婦合意の破棄。旧徴用工問題賠償は国際法違反である。日本に責任のある問題ではない。文大統領は、日本に喧嘩を売って、最後は頭を下げて解決したという「不格好」な終わり方を避けたいだけである。日本が、それに付合って譲歩する必要性はない。文大統領の「自作自演」の騒ぎなのだ。

     

    (4)「一方で、記事は「日韓関係の正常化は徴用工と慰安婦問題という歴史的な『閉塞点』を避けられないことにも目を向けるべきだ」と指摘する。これまで徴用工問題をめぐって日本企業への賠償を求める訴訟が起こされてきたこと、慰安婦被害者らが日本政府に対して起こした損害賠償請求訴訟を審理しているソウル中央地裁が今月10日、英国の国際法の権威であるクリスティーヌ・チンキン教授から、日本の賠償を認めるようにとの趣旨の意見書を受け取ったことを説明した」

     

    慰安婦問題は、韓国が一方的に破棄した問題である。今後一切、日本の責任は免除されるべきである。徴用工問題は、1965年の日韓基本条約で解決済みである。もはや、日韓の歴史上の問題はすべて解決しているはず。これが、法的な解釈なのだ。

     

    テイカカズラ
       

    韓国で前代未聞の法務部長官による検察総長業務停止命令は、法務部の中核部署「検察局」に所属する検事たちが反対の意向を示すなど、法務部全体を巻き込む事態となってきた。一方、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長が、「秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官による職務停止命令の効力停止」を求めた申し立ての最初の裁判が今月30日に決まった。裁判所とその周辺では、尹錫悦総長懲戒とその程度を決定する法務部懲戒委員会が予定されている来月2日より前に、裁判所が秋美愛長官の処分効力を停止させるかどうかを決定するだろうという観測が広がっているという。

     

    法曹界では、「裁判所は尹錫悦総長の執行停止申し立てを受け入れる可能性が高い」という見方が多い。検察総長の職務停止は事実上、「総長解任」と同じで、尹錫悦総長に大きな被害を与える措置だということだ。この件で裁判長を務めるチョ・ミヨン部長判事について、裁判所内では「きちょうめんで合理的な判事」という評価が多い。『朝鮮日報』(11月28日付)が報じた。

     


    今回の秋法務部長官の「暴走」は、韓国司法の信頼性を問われる重大な事態である。法務部検察局の中核幹部がユン総長業務停止命令に反対の動きを見せるのは当然であろう。

     

    『朝鮮日報』(11月28日付)は、「秋美愛法相・沈載哲検察局長直属の検事らも『尹検察総長職務停止は違法』」と題する記事を掲載した。

     

    法務部の中核部署「検察局」に所属する検事たちが「秋美愛法務部長官による検察総長(日本の検事総長に当たる)職務停止および後続措置は違法・不当だ」という意見をまとめ、同長官に伝えたことが27日、分かった。秋美愛長官の指示に対して、高等検察庁長(日本の検事長に当たる)から平(ひら)の検事に至るまで反発するという、史上初の「検乱」の渦中で、法務部の中心部でも「違法・不当だ」と批判の声が上がっているということだ。

     


    (1)「本紙の取材を総合すると、27日午後、法務部検察局の検事10人余りは秋美愛長官の最側近である沈載哲(シム・ジェチョル)検察局長に面談を要請して1時間ほど面談したとのことだ。この面談の場には金泰勲(キム・テフン)検察課長も同席したという。検察局の検事たちは前日夕に会議を行い、「総長に対する懲戒請求と職務停止決定や最近の大検察庁捜査情報担当官室の家宅捜索の過程などで違法が多い」という意見を事前にまとめたとのことだ」

     

    これまで、法務部と検察庁が対立していた構図だが、その法務部検察局の中核幹部が、ユン総長の業務停止命令に反対の意向を示すまでになっている。法務部長官とこれに従う親政権側検事には、不利な状態になってきた。

     

    (2)「検察局の検事たちはこの面談で、沈載哲局長に「外部に我々のこうした見解を発表はしないが、局長は我々の意見を秋美愛長官に必ず伝えてほしい」と述べた。これに対して沈載哲局長が何と答えたかは確認されていない。検察関係者は「検事たちの不満がたまり、秋美愛長官の目の前まで迫っているということだろう」と言った。

     

    法務部の親政権側検事を除けば、大半が秋法務部長官の行動に反対であることが分かった。韓国の「良心」が問われる事態である。

     


    (3)「同日、検察局の検事たちから意見を伝えられた沈載哲局長は、代表的な親政権派と言われている。秋美愛長官と与党・共に民主党が尹錫悦総長の懲戒と司法処理を推進する重要な根拠として挙げている「判事査察疑惑」も同局長から始まった。同局長は今年2月に大検察庁反腐敗・強力部長を務めていた時に入手した主な裁判所判事の判例・タイプなどに関する文書を持っていたが、今年7月に法務部検察局長になった後、これを「尹錫悦攻撃」の材料として秋美愛長官に提供したものだ」

     

    人間の世の中である。他人を蹴飛ばしても出世したいという邪心を持つ者は必ず表われる。沈載哲局長は、代表的な親政権派と言われている。ユン検察総長を追放して、自分が後釜に座ろうという魂胆であろう。醜い構図である。事の発端は、この人物が火付け役かも知れない。浅ましい限りである。

    118
       

    北朝鮮が、米国の新政権登場に祝電も送らず息を潜めている。過去の例では、米国に新政権が登場後に必ずミサイル発射などの「脅し」をかけてきた。今回は、これまでにない慎重姿勢を見せている。

     

    『聯合ニュース』(11月27日付)は、「北朝鮮在外公館に米国を刺激しないよう指示=韓国情報機関」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は27日の国会情報委員会で、北朝鮮が米大統領選後、在外公館に米国を刺激する対応をしないよう指示し、問題が生じれば大使に責任を問う方針を伝えたと報告した。極めて慎重に発言するよう求める指示を出しているという。同委員会幹事を務める与党「共に民主党」の金炳基(キム・ビョンギ)議員が明らかにした。

     

    国情院によると、北朝鮮は米大統領選後、通常は10日以内に結果を報道したが、今回は関連報道をしていない。また、トランプ大統領との親交関係が無駄になり、米朝関係などを一からやり直すことへの不安感を見せている。

     

    (1)「米新政権がオバマ政権時代の対北朝鮮政策「戦略的忍耐」に回帰する可能性があるとの見通しを示す一方、トランプ政権とは異なりシステム的なアプローチが予想され、バイデン次期大統領氏が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)との面会に言及したことから米朝首脳会談の実現も期待しているという。金氏はシステム的なアプローチについて、トランプ大統領の一方的なトップダウン方式ではなく、官僚による検討や政策研究を通じたボトムアップ方式にする意味だと説明した」

     

    トランプ大統領のトップダウン方式に比べ、バイデン次期政権は、ボトムアップ方式とされる。北朝鮮は、次期政権の動きを見て具体策を決める模様。既定路線ではなさそうだ。

     

    (2)「国情院は北朝鮮が来年1月に開く予定の朝鮮労働党の党大会について、新型コロナウイルスの防疫問題などで延期する可能性があるとも報告した。党大会では閲兵式(軍事パレード)を行うとみられ、米新政権への軍事的誇示の狙いがあるとの見方を示した」

     

    朝鮮労働党の党大会では閲兵式(軍事パレード)を行うとみられ、米新政権への軍事的誇示をする可能性も指摘されている。この部分は、過去と同じパターンである。

     

    だが、米軍は北朝鮮に過去のような大掛かりな軍事実験をさせない意思を示している。それは、「死の白鳥」と呼ばれる超音速の米空軍戦略爆撃機B1B機体に、ミサイルを装着して飛行する様子が初めて公開されたことだ。これは、中朝への警告とも言われており、米国が、インド太平洋構想で迅速に対応することを示したものだ。

     


    『東亜日報』(11月26日付)は、「
    対北朝鮮強硬路線のシグナルか、米がミサイル装着の『死の白鳥』公開」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「別名「死の白鳥」と呼ばれる米空軍のB1B戦略爆撃機が、機体にミサイルを装着して飛行する様子が初めて公開された。米国が開発中の極超音速空対地ミサイル(AGM-183A)のB1B爆撃機装着のための実験をしたのだ。最近、F35Aステルス戦闘機で北朝鮮の地下核施設を破壊する改良型戦術核爆弾バンカーバスター(地中貫通爆弾)の投下実験を公開したのに続き、中国の域内の軍事的浮上や北朝鮮の核脅威などに対応するためとみられる。特に、バイデン政権発足を控え、米中関係はもとより米朝関係もしばらく緊張が続くという観測が流れている状況で、米国の戦略的優位を強調する狙いあるとみられる」

    大陸間弾道ミサイル(ICBM)など核戦略兵器を総括する米戦略軍は24日(現地時間)、 B1B爆撃機が最近、カリフォルニア州エドワード基地の上空で長距離空対地ミサイルに見立てた模型を機体下段に装着して飛行する様子を公開した。B1B爆撃機が機体に兵器を装着して飛行するのはきわめて異例のことだ。米戦略軍は、「今回の実験飛行がB1Bに極超音速兵器の装着の可能性を開いた」と明らかにした。

     

    米軍は、北朝鮮の核開発による脅迫には、このB1B爆撃機に登載するミサイルで圧倒する戦略を立ち上げた。

     

    (4)「米空軍が運用中のB1B爆撃機は、機体内部にだけ各種在来式ミサイルや爆弾を搭載している。1990年代初め、米国とロシアの核軍縮協定の合意後、B1Bの核武装が禁止され、核ミサイルを装着する外部の装置を除去したためだ。しかし、中国の軍事的脅威が増し、北朝鮮の核能力が高度化したことで、米空軍はB1B爆撃機の内部だけでなく外部に2022年を目標に開発中のAGM-183Aの多量装着を推進している。この場合、B1B1機に最大約30発が搭載可能だという」

     

    超音速B1Bの1機に最大約30発のミサイルを搭載可能という。「飛ぶ戦車」のような機能を発揮するのだろう。

    (5)「米戦略軍は今後、極超音速ミサイルを装着した約18機のB1B爆撃機をインド太平洋地域に循環配備して中国をより強力に牽制し、対北朝鮮抑止力を強化するという構想を持っている。軍関係者は、「極超音速ミサイルを装着したB1B爆撃機が戦力化されれば、北朝鮮の核挑発など有事の際、対応時間が大幅に短縮される。これは韓国に対する拡大抑止強化にもつながるだろう」と話した」

    米軍が、新政権移行の空白期を狙って不穏な動きをすれば即刻、対応するという強いイメージを発したと見られる。北朝鮮が、各国の大使館に慎重な対応を求めた裏には、米軍の不退転の決意を感じ取っているに違いない。

    このページのトップヘ