韓国国民は、今回のユン検察総長追放劇の不条理さを観察していた。毎月1回行っている「次期大統領候補好感度調査」(12月)で、ユン検察総長が1位に踊り出た。今回のユン検察総長追放劇では、ユン氏が前記の世論調査でランクされるのが政治的行為と「因縁」をつけられたほどだから、与党には別の意味でも気になる存在だったのだ。仮に、ユン氏が次期大統領候補に名乗り出れば、与党は手強い相手になる。そこで、事前にユン氏の芽を摘んでしまえという思惑があった。
だが、国民は明き盲ではない。文政権の邪悪な行動と見ていたのだ。むろん、ユン氏はこういう形で世論調査に名前がでること自体、迷惑として世論調査会社へ削除するよう、2回も要請したという。それでも、こういう高い「好感度」を獲得していることは、検察の公明性を期待・評価している証拠であろう。
『ハンギョレ新聞』(12月29日付)は、「韓国検察総長、次期大統領候補の好感度調査で首位」と題する記事を掲載した。
韓国の次期大統領選挙候補者の好感度調査で、ユン・ソクヨル検察総長が首位に立ったという結果が出た。イ・ナギョン共に民主党代表とイ・ジェミョン京畿道知事がその後を追っている。
(1)「リアルメーターは、今月21~24日の4日間、全国有権者2041人を対象に調査した結果、次期大統領選候補好感度調査でユン総長が23.9%を記録し、イ・ナギョン与党代表(18.2%)とイ・ジェミョン知事(18.2%)を抑え、トップになったと発表した。ユン総長の大統領選候補好感度は先月(19.8%)より4.1ポイント上がっており、3ヵ月連続上昇したと、リアルメーターは明らかにした。共同2位との格差は5.7ポイントで、誤差範囲外だ」
ユン検察総長のこれまでの好感度推移は、次の通りである(リアルメーター調査)
ユン検察総長 イ与党代表
2020年6月 10.1% 30.8%
7月 13.8% 25.6%
8月 11.1% 24.6%
9月 10.5% 22.5%
10月 17.2% 21.5%
11月 19.8% 20.6%
12月 23.9% 18.2%
上記のユン検察総長とイ与党代表の好感度推移は、12月で逆転している。これは、理不尽なユン検察総長追放劇に対する国民の怒りを表わしている。ユン検察総長が、大統領選へ出馬するかどうかは全く不明だが、国民は現政権への不満と不安を表明していると受入れるべきだろう。
(2)「ユン総長の好感度は、すべての地域でまんべんなく上昇した。年代別では30代(+7.9%ポイント)で大幅に上昇した。進歩層(+2.8ポイント)よりは保守層(+3.6ポイント)で大幅に上昇した」
ユン検察総長の好感度は、地域別では全地域で上昇した。年代別で、30代(+7.9%ポイント)が大幅に上昇した。また、進歩層も保守層もまんべんなく上昇している。これを見ると、今回のユン検察総長追放劇はいかに理屈に合わなかったかを示している。
前記のような結果に、大統領府はまだ反省していないのだ。
『ハンギョレ新聞』(12月27日付)は、「ブーメランとなった『検察総長懲戒』 文大統領、16時間後に謝罪、残るカードは」と題する記事を掲載した。
(3)「大統領府内部では、来年1月に高位公職者犯罪捜査処(公捜処)を設置し、早ければ来年旧正月前にチュ長官を含めた追加の内閣改造を断行することで、巻き返しを図るものとみられる。これと共に、大統領府秘書陣の再編が同時に進められる可能性も取りざたされている。大統領府関係者は「来年1月から検察と警察の捜査権調整が本格的に施行されるが、まだ検察に残っている直接捜査を完全になくすことが目標」だとし、「いわゆる『検察改革シーズン2』を任期内に完了し、完全な検察改革を成し遂げれば、支持層も結集すると思う」と見通した」。
下線のように、まだ「悪巧み」をしている。「検察に残っている直接捜査を完全になくすことが目標」と検察の骨抜きを狙っている。韓国の検察から捜査権を奪い、起訴権だけ残すというもの。捜査権は警察に移し政権の影響下に置くという構想だ。こうして、検察を有名無実化して、文政権の疑惑捜査を防止するという恐るべき「腐敗推進」政権を実現させようとしている。ここまで来たら、韓国民主主義は死亡する。韓国国民は、「火焔瓶」を持って軍事政権に立ち向かったように、「言論」で立ち上がるべきだ。