菅首相は、スマホ料金の大幅引下げを通信3社に迫ってきたが、NTTが予想以上の大幅引下げを発表した。韓国メディアは、管氏の交渉手腕に改めて注目しているという。これまで8年間、韓国は安倍前首相の交渉姿勢に反発して、「安倍批判」を繰り広げてきた。菅首相は、安倍氏ほどの派手さはないが、目標を着実に実行する姿に、安倍氏よりも手強い相手という認識を深めているという。
『朝鮮日報』(12月4日付)は、「菅は安倍以上に手強いかも」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の成好哲(ソン・ホチョル)記者である。
菅首相は就任から3カ月も過ぎていない今月3日、日本の消費者に「朗報」が伝わった。日本の大手通信会社のNTTドコモが携帯電話料金を引き下げると発表したのだ。来年春には20ギガバイトのデータ契約を月2980円で可能にするというものだ。現在、5000~6000円はかかることから、破格の値下げと言える。NTTドコモは、韓国ではSKテレコムのような企業だ。
(1)「日本は、「世界で携帯電話料金が最も高い国」として悪名が高い。日本の通信業界は20年以上にわたり政界や世論から激しい批判を受けてきたが、それでも企業側は動こうとはせず、NTTドコモは毎年およそ8000~9000億円の営業利益を出してきた。営業利益率は20%前後に達する。文字通り金をかき集めているのだ。韓国でもSKテレコムは批判を受けているが、それでも営業利益率は6%ほどだ」
菅首相は、公約のスマホ料金の大幅値下げを実現させる方向だ。不妊治療も所得制限をつけずに無料化を実現させる。一方では、65歳以上の高齢者の健康保険の自己負担分を1割から2割に上げるという懸案事項を実現させる方向で動いている。官房長官を8年間やってきただけに、裏方から日本の問題点を知り抜いていた結果だ。
以上は、内政面である。安倍前首相が得意とした外交問題では、菅首相も日韓問題で韓国をキリキリ舞いさせている。派手さはないが、韓国の弱点を見抜いていることは間違いない。
(2)「最弱政権と言われた菅首相が、かつての小泉政権も、あるいは安倍政権でさえもできなかったことを短期間でやり遂げたのだ。菅首相は就任直後「国民から見て『当たり前のこと』をやる」と語ったが、その時から「20ギガデータの携帯電話契約」を具体例として挙げていた。菅首相は10年以上前、通信事業を管轄する総務大臣を努めている」
菅首相の強味は、情報収集能力の高さである。朝食会を開いて、相手の話をじっと聞く。官僚だけの話を聞かないことが成功の秘訣かも知れない。官僚は、「できないこと」を理路整然と述べるが、解決策になるとお手上げである。こういう官僚の弱点を100%知り抜いている。それも強味であろう。要するに、「苦労人」であるから、実現の道を探し出すことに長けているのだ。
(3)「1948年生まれの菅首相の経歴を見ると、歴代の首相たちとは大きく異なる。日本に今も根強く残る「父親の選挙区を引き継いだ世襲議員」ではなく、ましてや一流大学出身でもないし華々しい経歴があるわけでもない。秋田県のいちご農家の長男で、高校卒業後は夜行バスで東京に行き、段ボール工場に就職した。しかし仕事がつらかったため2カ月でやめ、法政大学に入学した。「最も学費が安かった大学」を選んだという」
一流大学という概念づけは難しい。4年間の大学生活は、人生を生き抜く基盤を形成する。それは出発点に過ぎず、将来の成果を約束するものではない。「いかに生きるか」。それは、本人が社会へ出てからの努力に比例する。官僚社会との違いがそれだ。菅首相が官僚を信用しないのは、学歴にあぐらをかいて努力しない姿を嫌うのであろう。農家では、種を蒔いた後が勝負である。官僚社会は、種を蒔いただけであとは人任せである。
(4)「10年以上にわたり衆議院議員の秘書を務めた後に横浜市議会議員となり、40代後半になってついに衆議院議員に当選したが、そのときまで一度も「ボス」をやったことはない。大学時代は空手部に所属したが、そのときも副主将で、市議会議員の時は横浜市長の右腕だった。8年続いた安倍政権では「ナンバー2」の官房長官を務めた。菅首相は韓国語の「泥スプーン」によく似た言葉の「苦労人」と呼ばれる。苦労の末に世間の厳しさを理解する人物という意味だ」
菅氏は、これまで確かに「ナンバー2」の人生であった。ナンバーワンでなかったが、「オンリーワン」を目指してきた。戦前の財閥では「ナンバー2」の番頭が、三井・住友を動かしてきた。番頭であることが、堅実な経営の舵取りに向いているし、時には「緊褌一番」の大勝負にも出られる。こういうタイプの首相が日本に出るのも良かろう。
(5)「実際、これまでの生涯で常に「ナンバー2」の補佐的な役割をしてきた菅首相は、「実務やディテール、推進力は最強」と評されている。そのため背後から政治家を動かす真の実力者とされるエリート官僚や財界などから「最も恐れられる政治家」とも言われている。菅首相について韓国国内では「安倍前首相よりはくみしやすい」と考える雰囲気がある。かつて戦闘機に乗った写真を公開するなど、帝国主義の雰囲気を醸し出した安倍前首相と比較し、菅首相をより穏やかな人物と考えたのだ」
韓国の人物評は間違っている。安倍前首相が、戦闘機に乗ったから右翼だとかおかしな認識である。菅首相と韓国要人の会談中、管氏が声を出して三度笑ったから日韓関係は上手く行くとか、根拠のないことで結論を出している。菅首相の真骨頂は、8年間の官房長官時代に、韓国がいかに日本を騙すか。その手口をすべて知っていることであろう。日本が、韓国の手にダマされない。韓国は、そのことを肝に銘ずべきだ。