勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年12月

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    ドイツのメルケル首相は就任以来、一貫して中国との経済関係を深めてきた。だが、今や大きな転換期を迎えている。メルケル首相が来年、引退することから外交関係の見直しが始まっているからだ。その結果、中国偏重を修正し日本との関係強化に努めることが明らかになった。

     

    『時事通信』(12月27日付)は、「ドイツ、中国偏重の政策転換「異質な国」と警戒、多角外交で日本重視」と題する記事を掲載した。

     

    ドイツが中国偏重と指摘されてきたアジア太平洋政策の修正に乗り出している。中国について、経済発展を遂げても民主化に至らない「異質な国」(独外交筋)であり続けると位置付け、是々非々で向き合う方針に転換。独政府は一方で、これまで重視してこなかった日本との関係緊密化に目を向けている。

     


    (1)「クランプカレンバウアー国防相は今月の時事通信とのインタビューで、中国の南シナ海での覇権主義を批判。15日の岸信夫防衛相とのウェブ討論ではインド太平洋に軍艦を派遣すると表明し、岸氏も「強く支持する」と応じた。独政府が9月に策定した「インド太平洋指針」にも、中国の南シナ海での領有権主張を否定した仲裁裁判所判決への言及など、中国けん制の要素が盛り込まれた」

     

    ドイツは戦後、欧州域外での軍事作戦には慎重な姿勢をとってきた。今回インド太平洋へ、軍艦の派遣は異例の決定となる。クランプカレンバウアー氏は、インド太平洋で自由な海上交通路を守ることは欧州に直結する問題だと指摘。中国を念頭に「安全保障の野心追求のため、他国に負担を押し付けるべきではない」と述べている。注目すべきは、ドイツ海軍将校の日本派遣などを通じて、日本など友好国との防衛協力を進める意欲も示したことだ。岸防衛相は「緊密に連携したい」と述べ、ドイツの方針を歓迎した。

     


    (2)「一連の動きは、蜜月とも評された対中関係を築いたメルケル首相の引退を来年に控えるドイツにとって、一つの転機だ。メルケル氏は2005年の就任以来、12回訪中。同行企業団は競って中国側と大型契約を交わし、中国はドイツにとって輸出入総額で最大の貿易相手国になった。ドイツが掲げたのが、「貿易による変革」という理念だ。東欧や東独のように、経済発展と民主化は表裏一体で進展するという考えで、民主活動家の抑圧といった中国の人権問題に敏感な国内の一部世論を説得する材料ともなった」

     

    ドイツが大きく外交の舵を切ったのは、中国の政治的な異質性が原因である。いくら経済関係を深めても、中国民主化見通しは遠くなってゆくばかりだ。それどころか、中国が安全保障上の障害になり得る危険性を持ち始めている。中国は、ドイツにとって輸出入総額で最大の貿易相手国になっている。それでも、ドイツは人権を無視する中国と、根本的に相容れないという原点の確認となった。韓国に聞かせてやりたい話だ。

     


    (3)「中国は、世界第2位の経済大国に躍進する一方で、共産党による一党支配体制を強化してきた。とりわけ今年に入ってからの香港の統制強化は、ドイツの警戒感を格段に強めた。経済面の実利もかすみつつある。中国政府が進める経済圏構想「一帯一路」の主要事業は、中国企業が独占的に受注。独紙『ウェルト』は今月、「貿易による変革は、中国では幻想だった」と断じた」

     

    ドイツは、第二次世界大戦中の手痛い失敗がある。ナチスのユダヤ人虐殺である。それだけに、人権問題では中国の蛮行を許せない立場だ。

     

    (4)「インド太平洋指針は、中国への過度の依存を改め、アジア外交を多角化するとうたっている。多国間主義を掲げる独政府が、アジアの新たな協力相手として期待を寄せるのが、民主的価値観を共有し、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や環太平洋連携協定(TPP)をまとめた日本だ。インド太平洋指針の策定責任者である外務省のヤスパー・ウィーク氏は、「日独はルールに基づく国際秩序を守ることで一致している」と強調。別の独高官も「日本との協力の可能性を過小評価していた」と振り返る。EUの盟主ドイツの変化は、日本外交の多様化の契機ともなりそうだ」

     

    ドイツは今年9月、「インド太平洋の政策ガイドライン」と題した戦略文書を発表。海洋秩序の維持に貢献する方針を掲げ、日本やオーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化を打ち出していた。ドイツ国防相のクランプカレンバウアー氏は、「政治経済の中心は大西洋からインド太平洋にシフトしている」と述べ、北大西洋条約機構(NATO)やEUによる関与の重要性を主張した。

     

    中国にとっては、大きな情勢変化である。EUと米国が、インド太平洋で自由と民主主義を守る「大連合」が動き出すのである。中国が、いつまで強気を通して海洋拡大を続けるのか。限界点にきている。

     

     

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    韓国与党は進歩派の看板を上げている。実態は、欧米のリベラル政党と異質である。民族主義が前面に出ており、人権弾圧の北朝鮮を支援するという常識ではあり得ない行動を始めた。韓国政府が、北朝鮮の人権弾圧を非難するビラ散布禁止の立法措置を行ったのである。

     

    米国議会は、来年1月に超党派機構「トム・ラントス人権委員会」の公聴会を開催する意向を固めた。この公聴会では、韓国文政権が擁護すべき北朝鮮の人権に対して、逆に弾圧する側に回ったとして非難が集中するであろう。文政権は、内政問題でも多くの課題を抱えているが、さらに同盟国である米国からの圧力に直面する。

     

    『東亜日報』(12月26日付)は、「米議会人権機構委員長『韓国与党は自由制限党』」と題する記事を掲載した。

     

    米議会内の超党派機構「トム・ラントス人権委員会」の共同委員長を務める共和党のクリス・スミス下院議員が、対北朝鮮ビラ禁止法(南北関係発展法改正案)を通過させた韓国与党に対して、「自由党ではなく『自由を制限する』政党」と批判した。来年1月に開かれる米議会の公聴会でこの問題を提起する意向も明らかにし、対北朝鮮ビラ禁止法をめぐる韓米間の葛藤が続くものと予想される。

     

    (1)「スミス氏は12月24日(現地時間)、米政府系放送局の『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)に、「米国民は、70年間米国の同盟であり強力なパートナーである韓国でどんなことが起こっているのか知らなければならない」とし、対北朝鮮ビラ禁止法処理に対する米社会の関心を呼びかけた。また、「2017年に急進的で進歩的な左派政党が政権を獲得し、基本的な市民・政治的権利を縮小し始めた」と主張し、「(政権与党は)自由党ではなく自由を制限する政党」と非難した。米議員が韓国の政権与党を批判するのは異例のこと」

     

    韓国進歩派は検察総長追放に動くなど、リベラル政党にあるまじき行動を取っている。「民族業者政党」とも揶揄されるほど、北朝鮮の悪に目を塞ぎ接近しようとしている。今回の北朝鮮へのビラ散布禁止法は、半ば北朝鮮の要求に基づくもの。人権重視というリベラル政党本来の姿勢から離脱した動きだ。米国が、厳しい姿勢で臨むのは当然である。

     

    (2)「スミス氏は、国境を越えて北朝鮮に民主主義を支持する情報と、自身が「聖書と防弾少年団(BTS)風船」と呼ぶ宗教と韓国大衆文化の資料を風船で散布することを犯罪視するのは問題と指摘し、対北朝鮮ビラ禁止法の通過を「文在寅(ムン・ジェイン)政府と国会内の協力者による市民・政治的権利に対する非寛容の事例」とも述べた。さらに、「世界の自由を愛する人々は、風船散布の禁止において、北朝鮮の要求に対する文政府の黙認、脱北者や人権擁護者に対して文政府が見せた敵対感に驚かなければならない」と強調した」

     

    文大統領は、ただ南北朝鮮が統一すれば由とする幼稚な視点である。そのためには、あえて韓国の自由や民主主義を犠牲にしても良いという、極端な思考の持ち主だ。米国が、この危険な動きにブレーキを掛けようとしている。同盟国米国からの非難は、文大統領にとって決して無視できない圧力になろう。

     


    (3)「スミス氏は、来年の米議会の公聴会でこの事案が扱われることを再度確認し、「次の会期に韓半島で続いている市民・政治的権利に対する政府の脅威の実態を把握するために公聴会を推進する」と述べた。スミス氏は最近、韓国最大野党「国民の力」の池成浩(チ・ソンホ)議員に電子メールを送り、対北朝鮮ビラ禁止法を阻止するために憲法訴訟を起こすことを支持し、必要な場合は支援を惜しまない考えを示したという」

     

    スミス氏は、韓国最大野党「国民の力」の議員へ、憲法訴訟を起こすように訴えている。その際は、必要な支援をするというのだ。文政権には突風となろう。

     

    (4)「米議会人権委員会は、公聴会に国内の北朝鮮関連団体を招請する計画だ。脱北者団体「自由北韓運動連合」の朴相学(パク・サンハク)代表の法律代理人の李憲(イ・ホン)弁護士は、「米議会で公聴会が開かれれば、朴氏に出席してほしいと言われた。公聴会の日程が決まり次第、調整する」と話した。こうした中、ソウル中央地検公共捜査1部(梁東勳部長検事)は23日、朴氏を寄付金品の募集および使用に関する法律(寄付金品法)違反の疑いで不拘束起訴した。朴氏が2015~19年に寄付金品募集の登録をせず寄付金を集めた疑いが適用されたという」

    文政権の「汚いやり口」は、北朝鮮へのビラ散布をしてきた責任者を検察の手で弾圧することだ。ソウルの人権団体が行った最近の調査によると、脱北者の3分の2近くが、ビラや報道、映画やドラマなどを通じて、外部の情報に接していたことが分かった。こういう人権支援団体を適当な口実を作って弾圧し、北朝鮮の金正恩氏の「ご機嫌伺い」しているのだ。恥を知るべきである。

     

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    物腰の柔らかさと巧みな弁舌。30~40代のママ達の人気を高めてきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領に、黄昏の風が吹き始めている。チョ・グク事件、失業者の増加、不動産価格の高騰など、国民の期待を裏切りっぱなしの文政権に愛想が尽きた、というのだ。

     

    30~40代女性層は、文政権支持基盤であった。それが、揺るぎ始めるとなれば、政権・与党ともに一大事である。だが、文政権に危機感はなさそう。ユン検察総長追放が、文政権の基盤固めに必須という認識である。「軟性ファシズム」(合法的にファシズムへ向かい、野党勢力を駆逐する)へ向けた危険な階段を昇ろうとしているのだ。

     

    『朝鮮日報』(12月26日付)は、「『ゾッとするような4年間』 親文在寅系のママ向けコミュニティ・サイトで高まる反文在寅の声」

     

    親文(親・文在寅大統領)系の母親向けインターネット・コミュニティ・サイト「82cook」の掲示板に13日、「文在寅大統領を支持しない」というスレッドが立った。「投票権を得てから進歩系にばかり投票してきたけれども、チョ国(チョ・グク=前法務部長官)問題以降、現政権に背を向けた。ロウソク集会(参加)後、より良い世の中になるよう望んできた。私のような人々の方がもっと激怒している」という内容だった。

     

    (1)「この文章には、これまで620件のコメントが寄せられた。この掲示板のコメントがこれまで最高200件程度だったのと比べると、爆発的な反響だ。コメントのほとんどは「私も期待していたが、あまりにも失望した」「ゾッとするような4年間」など同調する内容だった。このスレッドより20分早く立てられた「文在寅大統領を支持する」というスレッドのコメントは66件にとどまっていた」

     

    朴政権弾劾という異常事態後、多くの国民は真の平穏な生活を望んだ。それがすべて裏切られたのである。その怒りが、インターネット・コミュニティ・サイトに投稿され、多くの賛成コメントが寄せられている。

     

    (2)「会員数37万6000人の「江南ママVS木洞ママ」というコミュニティ・サイトには先日、「新型コロナはそれほど心配することではない。『K防疫失敗』と文政権を攻撃するが、千辛万苦の末、ろうそく(集会)で建てた政府なのに、これではいけないのでは」というスレッドが立った。だが、このスレッドに寄せられた32件のコメントはすべて「何を話にならないことを言っているの」「まだ親文がいるなんて驚いた」という批判的な内容だった」

     

    文政権支持の投稿には、多数の「ノー」というコメントがつくようになった。従来にない変化である。

     

    (3)「会員数300万人の母親向けコミュニティ・サイト「マムズ・ホリック」の会員は21日、「文政権になってから(住宅)融資は全部ふさいでしまい、住宅価格は天井知らず、最低時給引き上げで従業員数は減り、気に入るようなことが一つもない」というスレッドが立った。このスレッドに対して、ある会員は「前の大統領も悪い点があったが、少なくとも庶民である私の生活には大きな影響がなかった。でも、今の政府は(政策を)打ち出すたびに私にとって直撃弾となって、生活が揺るがされて、これから生きていく希望もなくなった」とコメントを付けた」

     

    朴政権では、国民生活に影響が出なかった。文政権では、生活基盤を壊されている。この違いは大きい。

     


    (4)「30~40代の女性たちが中心の母親向けコミュニティ・サイトは、開設初期は出産・育児・生活情報をやりとりする場だった。だが、文大統領は2017年の大統領選挙をきっかけに母親向けサイトは強硬な親文系サイトに変わり、文大統領を批判する書き込みをサイト管理者が削除したり、会員を強制脱退させたりすることが相次いだ。このため、自然と現政権を支持する書き込みばかり掲載されることが増えた」

     

    若い母親向けコミュニティ・サイトは、文在寅支持勢力に乗っ取られたが現在、再び元の自由に意見を言えるサイトに戻っている。これは、「親文勢力」の後退によるものだ。

     

    (5)「こうした雰囲気が、昨年のチョ国問題や不動産価格急騰、今年の新型コロナ問題などを経て一変したというのだ。文大統領を支持する書き込みは掲載されても支持を得られず、「支持するという理由はいったい何?」と問いただす書き込みの方が強くなった。「文政権になってから生活がすごく苦しくなった」と不満を書き込む人も多い」

     

    庶民は、熱狂的は「親文勢力」と異なり生活がかかっている。生活が苦しくなれば、率直に不満を口にするのは当然である。文氏の神通力は消えてきた。

     


    (6)「明知大学人文教養学部のキム・ヒョンジュン教授は、「文大統領の核心支持層である30~40代は家計に最も敏感だ。しかし、チョ国問題で失望し、不動産問題で以前よりはく奪感が高まっている上、新型コロナ問題が長引いているため、家計や生活も良くなくなったため、背を向けたのだろう」と分析した」

     

    30~40代は、家計に最も敏感な層である。その生活が苦しくなれば、文大統領の支持層から離れて不思議はない。文大統領には、マイナス材料ばかりが目立って増えてきた。

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    訪日観光客のトップは中国人である。地理的に近いことも大きな理由だが、人気の秘密はそれだけではない。後述のように10項目もあるという。これを反映して、中国人が海外へ移住する先の2番目が日本である。1位は米国。3位カナダである。

     

    『大紀元』(12月25日付)は、「19年、中国人1000万人が海外移住、日米などが人気」と題する記事を掲載した。

     

    中国の研究機関が12月22日発表した「中国国際移民報告2020」によると、昨年、中国国内から約1073万人が外国に移民した。米中関係が悪化したにもかかわらず、米国は中国人の中で最も人気のある移民先となった。日本とカナダは米国に次ぎ、2番目と3番目に人気のある国であるとわかった。

     

    (1)「中国のシンクタンク、全球化智庫(CCG)と西南財経大学が、同報告書を共同で作成した。2019年に中国から1027万2300人が外国に移住した。報告書は、中国は世界3番目の「移民輸出国」となったとした」

     

    中国は2019年、1027万2300人が外国に移住した。世界では3番目という。

     

    (2)「中国人の主要移住先は米国、日本、カナダなどの各国。国・地域別では、香港への移住者227万2300人とマカオへの29万7600人を除けば、米国への移住者は288万9200人で最も多い。日本への移民は78万4800人で2番目多い。カナダへは69万1500人と3番目多い。4位と5位はオーストラリア(64万1624人)と韓国(62万295人)」

     

    中国人の主要移住先(2019年)

    1)米国     288万9200人

    2)日本      78万4800人

    3)カナダ     69万1500人

    4)オーストラリア 64万1624人

    5)韓国      62万0295人

     

    日本が、米国に次いで2番目である。米国が圧倒的に多く、全体の28.1%を占めている。日本は7.6%だ。カナダを上回っている。 



    日本が、米国に次ぐ中国人移住者の人気になっている理由は何か。その具体的な項目を見ておきたい。

     

    『レコードチャイナ』(12月26日付)は、「なぜこれほど多くの人が日本を好きなのか!? それがわかる10のコト」と題する記事を掲載した。中国の大手ポータルサイト・百度(バイドゥ)に18日、「この10項目が、なぜこれほど多くの人が日本を好きなのかを教えてくれる」より転載した。

     

    在日外国人の中で、中国人の割合が最も高く、日本で仕事をしたり学んだりしているほか、日本国籍を取得する人までいる。日本は先進国としての優位性があるが、彼らを本当に引きつけているのはそれだけではない。これほど多くの人が日本を好きになったのは偶然ではないのだ」とした上で、10項目を紹介している。

     

    (3)サービスの質、接客態度が良い:「日本のサービスは世界中で称賛されている。コンビニやレストラン、スーパーなど、消費者と直接向き合う場所でも、病院や銀行、行政機関などの場所でも、うやうやしく相手にサービスを提供するスタッフをよく目にする」と説明。「日本の多くの会社では、専門機関に新入社員のマナー教育をしてもらうという習慣が残っているが、これは中国では考えられない」とした。

     

    中国の公共サービスの悪さは有名である。「人民見下す」という悪習があるからだ。

     

    (4)物価が安く、安定している:「単純な物価を見ると、もちろん日本は高いと言える」とする一方、「日本人の給料を見てみるとそれでも食べていけないということはない」と主張。また、「東京のアルバイトの時給は1000~1500円(東京の最低賃金は1013円)。1時間働けば1食食べられると考えれば、日本の物価は高くはない」

     

    日本の低物価は、高齢化社会による特有の現象である「低経済成長」という側面を反映している。中国もいずれそうなるはずだ。


    (5)時間に正確:「日本人は時間に対する意識が強い。公共交通機関は早く出発することもなく、遅れることもない」。また、「日本の時間への正確さはあらゆる面に現れている」とし、「行政機関に予約をして行けば相手は当然のようにそこで待っていて、いつまでも待たされるというようなことはない。個人が会う約束をしても、時間通りに到着するのが普通だ」

     

    時間に正確であることは、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』によれば、資本主義経済発展の必須事項である。

     

    (6)言ったことをきちんとやる:「日本人の品格はやはり肯定に値する。約束したことは必ずやり遂げ、できないことがあればすぐにコミュニケーションをとる。日本の社会システムの基礎は誠実さであり、多くの国にとって立国の根本でもある。誠実さとは目に見えないものだが、ひとたび失えば再度手に入れるのは容易ではない」

     

    約束(契約)を守ることも、前記のマックス・ヴェーバーによれば、資本主義経済発展の必須事項である。

     


    (7)真面目で細かい。:「日本人はもともと慎重な性格で、仕事でミスをしないよう気を遣う。現在の中国工場の管理モデルの多くは日本から導入したもの。日本人のきめ細かさは社会の各方面にも現れており、駅のトイレ、標識、視覚障害者の通路、バリアフリーの通路などは本当によく作られている」

     

    マックス・ヴェーバーは、ドイツの時計職人が柱時計を背負ってスイスへ行商に行く話を取り上げている。日本人の「真面目で細かい」ことは、ドイツ・プロテスタントと良く似通っている。

     

    (8)「治安が良い」、「四季、文化が豊か」、「日本の家は快適」、「トイレが清潔で無料」、「病気や入院も怖くない」

     

    これらの項目は、説明の必要もなかろう。いずれも、生活環境を快適にする上で不可欠である。中国の人々はこれらによって、日本が先進国に映るにちがいない。

    テイカカズラ
       

    文政権に逆風が吹き始めた。この4月、総選挙で大勝した「K防疫」という順風は、コロナワクチンの入手難で国民の生命を危険晒すことで逆風に変った。韓国民は、いたって情緒的である。「感情8割、理性2割」の国民性だ。先進国、とりわけ日本のワクチン接種から遅れれば遅れるほど、文政権の人気は離散確実である。

     

    『朝鮮日報』(12月26日付)は、「ワクチン確保戦争に惨敗した文政権は正当性を失った」と題する寄稿を掲載した。筆者は、尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大学教授である。

     

    コロナ禍は、文在寅(ムン・ジェイン)政権における魔法の指輪だ。支持率が下落するたびに、政権はK防疫を盾にする。K防疫を大げさに称したコロナ・ファシズムは、人々の体と心を自発的に権力の統制へと従属させる。

     

    (1)「急激なコロナの拡散が、金城鉄壁かと思われたコロナ・ファシズムに亀裂を招いている。新規感染者数が連日1000人を超え、重症患者や死亡者も大幅に増えている。しかし、文政権のコロナ・ファシズムが与えた最大の害悪は、ワクチン・ディバイド(接種格差)を自ら招き、国民の生命を危険にさらしたことにある。国内の専門家は4月からさまざまなワクチンを大量に購入しなければならない、と政府に訴え掛けてきた。冬の大流行に備え、集中治療室と医療人材を拡充しなければならない、という訴えを繰り返してきた」

     

    筆者は、「コロナ・ファシズム」という言葉を使っている。文政権が、K防疫でコロナを一時的に収束させたと自慢し、国民の意識を団結させた。それが、4月の総選挙で大勝した背景である。その「コロナ・ファシズム」が今、大きくひび割れしている。感染第3波が襲来しているからだ。

     

    (2)「ユン・ソクヨル検察総長を追い出すことで政権の不正を覆い隠すのにあくせくしてきた文在寅政権は、7月にようやくワクチン購入交渉に乗り出した。他の国がワクチンの先行販売を終えた後だ。長期執権に力を入れてきた政権にとって、国民の生命保護は常に付随的だった。「ワクチン・ディバイド」という国家的危機は、政権レベルで生命を軽視したという明白な物証にほかならない。ワクチン確保に成功した国が日常へと復帰していく間、韓国はコロナの恐怖に震えなければならない。政権が引き起こしたワクチン接種の格差が、韓国を総体的な危険社会へと転落させた」

     

    文政権はこの1月以来、ユン検察総長追放で明け暮れしてきた。その間に、コロナワクチン対策を忘れていた。正確に言えば、「K防疫モデル」と「国産治療薬開発」に賭けていたのである。いずれも、海のものとも山のものともつかないことに、すべてを賭けるという危険な手に出たのだ。それが今、裏目に出ている。

     


    (3)「文在寅大統領は来年3月の接種を公言している。しかし、政府の大言壮語がたとえ100%実現したとしても、国民の一部だけしか接種を受けることができない。
    免疫効果の高いファイザーとモデルナ・ワクチンは了解覚書(MOU)の段階であり、国内導入時期を予測することができない。韓国政府が唯一最終契約を結んだアストラゼネカ・ワクチンは1000万人分にすぎない上、第3相臨床(注:最終治験)さえ完了していない。結局、韓国人のワクチン接種は先の国々に比べて、少なくとも6カ月から1年以上遅れるものとみられる」

     

    防疫当局が安易に捉えていたのは、大統領府、つまり文大統領が真剣にワクチン導入に関心を示さなかったからだ。真相を言えば、9月にワクチン導入方針が決まり、11月から輸入交渉が始まったのだ。そのとき、すでにファイザーとモデルナのワクチン交渉は、完全に後手に回っていた。

     


    (4)「国際学術誌「ネイチャー」によると、今年3月に27カ国が18業者から64億回分をワクチン開発段階である青田買いした。韓国と違ってこれらの国家は、ワクチンこそ国民の生命と国家経済を回復させる唯一の科学的解決策であることを正確に見抜いたのだ。
    これらの国々は、来年初めまでにワクチン接種を終え、集団免疫を獲得することになる。市民たちが日常に復帰する時点も、米国(4月)、カナダ(6月)、英国(7月)、EU(9月)、オーストラリア(12月)の順で、来年内に可能となる見込みだ(英国Airfinity調査)」

     

    27ヶ国が今年3月、18製薬会社と購入契約を始めている。韓国は、先述のように11月である。この間8ヶ月の遅れは、どうにもならない。指をくわえて見ていなければならないのだ。これが、韓国国民の感情を逆なでするだろう。コロナ・ファシズムは、完全に崩壊する。文政権への支持率は激落する。他国では、学校が開校し友人や知人らと自由に交流しながら、お祭りやスポーツを楽しむ人生が戻ってくる。コロナの恐怖に戦々恐々している韓国とは、まるで天国と地獄のように対照的だ。

     


    (5)「ワクチン・ディバイドは、国家経済の回復にも致命的な打撃を与える。今年、韓国はプライバシーの侵害、自由の剥奪、財産損失に耐えながら、国家防疫政策に忠実に従った。文政権によるワクチン戦争の完敗を受け、韓国国民は今後も1年以上、コロナ禍の泥沼に閉じ込められて苦しまなければならない。無能な政権が引き起こした人倫的大惨事だ

     

    先進国経済が、米国(4月)、カナダ(6月)、英国(7月)、EU(9月)、オーストラリア(12月)の順で、正常化への歩みを始める。となれば、韓国の焦りは大きくなろう。そのやりきれなさが、文政権批判となって噴出しよう。

     

    (6)「ソウル、釜山の市長補欠選挙(2021年4月)と大統領選挙(2022年3月)までコロナ禍を延長し、国民を手なずけ、選挙に勝利しようとするファシストの企画は粉砕されなければならない。ワクチン戦争に惨敗した文在寅政権の軟性ファシズム(注:コメントで説明)は、権力正当性の最後の基盤を失った。最後の審判台の前に立ったコロナ・ファシズムが、われわれの行動を待っている」

     

    現在の韓国は、コロナ・ファシズムをテコに国会で絶対多数を占め、その余勢を駆ってユン検察総長を追放し、政権の犯罪捜査を排除するという「軟性ファシズム」に進んでいる。ドイツのヒトラーが合法的に政権を握り、後にファシズムへ進んだ。これが、「軟性ファシズム」である。クーデターを起こした訳でない。文政権は、そういう危険な手を使おうしている。それだけに、要注意であると警鐘を鳴らしているのだ。

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