勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年12月

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    韓国は、新型コロナウイルス第3波の襲来に手を焼いている。文大統領の楽観的な見通しが外れ、感染者数は全国で1000人を超える日が常態化している。だが、対策を「レベル3」へ引上げると、ロックダウン(都市封鎖)になるので、その一歩手前で食い止めるべく、首都圏で「5人以上の会合」を禁止し、罰金300万ウォン(約28万円)を科す方針を発表した。

     

    日本政府も、年末年始で「5人以上」の会合を自粛するように呼び掛けている。ただ、あくまでも自粛である。韓国のような罰金を伴うものではない。この背景には、日本の「実効再生産指数」(1人の感染者が何人の感染者をつくるかを示す)が、12月21日現在「1.03」であり、12月15日の「1.11」から改善傾向を示していることもある。確かに、現在の実効再生産指数が下降に向かっている。それだけに、確実に「1」を切って感染拡大局面を終わらせることが重要である。政府や都知事が、懸命に呼び掛けているように、日本はあと一息である。

     


    『ハンギョレ新聞』(12月22日付)は、「韓国、首都圏5人以上の私的会合「禁止」、摘発されれば過料300万ウォン」と題する記事を掲載した。

     

    ソウル、京畿、仁川(インチョン)の首都圏全地域で、23日から来年13日まで、室内外を問わず5人以上の私的な会合が禁止される。私的な会合そのものを禁止するわけではなく、4人までは容認することで接触を最小化することが趣旨となっている。

     

    (1)「ソウル市、京畿道、仁川市は21日、こうしたことを内容とする集合禁止行政命令を下した。行政命令の発動期間は23日0時から来月3日の24時までだ。5人以上の集合禁止は、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の最高段階であるレベル3で適用される「10人以上の集合禁止」よりも強い措置だ。新型コロナウイルス感染症の第3波が拡散の一途を辿っている中で、クリスマスと年末年始の期間に各種会合を通じて人的接触が拡大すれば、防疫システムが深刻な状態へと突き進んで崩壊しかねないという判断によるものだ」

     

    韓国首都圏(ソウル市、京畿道、仁川市)は、人口密集地である。現在のコロナ対策は「第2・5段階」に止まっている。第3段階になると「ロックダウン」に等しく、これを行うと経済活動が麻痺することから、「会合基準」だけを厳しく制限して「5人以上」に罰金を科すというもの。

     

    (2)「今回の行政命令は同窓会、同好会、ピクニック、忘年会、職場の会食はもちろん、互助会、引っ越し祝い、誕生会、還暦、卒寿のような、親睦を目的とするあらゆる社会活動が対象となる。ただし結婚式と葬式だけは、行事の例外的性格を考慮し、レベル2.5の基準である50人以下の容認を維持することになった。また行政・公共機関の公的な業務遂行、企業等の経営活動のための行事・会合は規制対象外」

     

    今回の「5人以上の禁止」は、行政命令である。あらゆる私的会合まで適応されるという厳しさである。ただ、結婚式と葬儀は除外するという。

     

    (3)「今回の措置によって、私的な会合の違反行為で摘発されれば、事業主と利用者双方に対して最大3000000ウォン(約28万円)の過料の賦課、告発などの行政措置が下される。ソウル市のソ・ジョンヒョプ市長権限代行はこの日、「爆発的なコロナ感染者の増加を乗り越えられなければ、街が閑散として都市が封鎖されるニューヨークやロンドンの光景がソウルでも広がる恐れがある」と協力を訴えた」

     

    日本と較べた韓国の危機感は凄い。ソウルが、ニューヨークやロンドン並みに厳しい封鎖状況に追込まれかねないと警戒している。

     

    (4)「ソウル、京畿、仁川の3自治体は、中央政府によるレベル2.5への引き上げにもかかわらず、この1週間で全国の感染者の71%が首都圏で発生していることから、同一生活圏内の接触を最小限にとどめるべきだとの共通認識に立ち、このかん対策を議論してきた。クリスマスイブを基点として年末年始の知人や家族の会合が大きく増えると予想される中、3自治体は、今回の措置により感染症伝播の可能性が低下すると期待している」

     

    5人以上」の私的会合に約28万円の罰金が掛けられるとなれば、この禁を破ってまで会合を開く「剛の者」はいなくなろう。ただ、政府はこれに協力する飲食店などに、それにふさわしい保障金を払うべきだ。

     

    (5)「これまでに発表されたコロナ抑制策の中で、「5人以上の集合禁止」は最も強力な措置だが、取り締まりの実効性などに対する疑問も残る。京畿道のイ・ジェミョン知事は、「K防疫の成果は、政府の努力もあったが、何よりも国民の積極的な参加によるものだった。現在の状況の深刻さを伝え、国民の参加を誘導するという面もある」とし「違反行為に対しては可能な範囲で強く取り締まる」と述べた」

    韓国は、違犯者を取り締まる。日本は、各人の良識に訴える。この日韓の違いは大きい。これから年末年始という最大の国民的イベント時期をどう過ごすか。それぞれ、国民の意識レベルが問われる局面になった。

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    文在寅(ムン・ジェイン)氏とは、いかなる人物か。その人柄を適確に示す「エピソード」が現れた。コロナワクチンの輸入手配の遅れの責任を内閣に押し付け、「何回、言わせるのか」と叱責したのだ。支持率低下を恐れ始めているのだろう。

     

    これが、真実であるはずがない。韓国では、大統領の意向がすべてを決める「超法規」的な権力の持ち主である。その大統領の「命令」に背いて、内閣がワクチン手配を疎かにするとは考えられないこと。文氏が、これまでワクチンについて無関心であったから、手配しなかったはずである。

     

    ソウル大学医大の李鍾求(イ・ジョング)教授(元疾病管理本部長)は12月21日、『中央日報』の電話取材に対して「2月と6月の2度にわたり、文大統領が出席した会議でワクチンと治療剤を確保しなければなければならないと提言した」と話した。文大統領はこれに対して特別な言及をしなかったという。『中央日報』(12月22日付)が報じた。

     


    文大統領が、ワクチンについて強い関心があれば、前記の李教授発言に対して、何らかの反応があったはずだ。2回も同じ発言を聞き流した。無反応であったという。

     

    『朝鮮日報』(12月22日付)は、「ワクチンの確保『何回言わせるのか』 文大統領、今になってスタッフを叱責」と題する記事を掲載した。


    文在寅大統領は21日に青瓦台(韓国大統領府)で行われた会議で、韓国でコロナワクチンの確保が遅れている問題を指摘し、スタッフらと内閣を叱責したことが分かった。

     

    (1)「文大統領は、「これまでワクチンを確保するよう何度も指示したが、今に至るまで進展がなく、結局今のような状況を招いてしまった」という趣旨の言葉でスタッフらを叱責したという。文大統領はこの日、丁世均(チョン・セギュン)首相と行う毎週の定例会議でも「政府によるワクチン確保に問題がある」との考えを示したようだ。韓国政府によるコロナワクチン確保が他国よりも遅れていることへの指摘が最近になって相次ぎ、これが国民の不満として高まりつつあることから、文大統領は首相と青瓦台のスタッフらを同時に叱責したのだ。文大統領は会議で病床確保問題にも言及したという」

     


    文大統領は、最近になって急にワクチン問題について発言するようになった。それまでは、「K防疫モデル」を自慢していたのである。前記のソウル大李教授は次のようにも語ったと報じている。

     

    「2月2日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)防疫専門家懇談会に出席した。李氏は会議の中間辺りでワクチンと治療剤の重要性を強調したという。また、会議が終わろうとする瞬間に『ちょっと待ってください』と叫び、『感染病は必ず科学が勝利することになっている。ワクチンと治療剤があってこそすべてのことが解決できる』と再度強調した」。文氏は、こういう専門家の指摘を無視したのである。

     

    (2)「韓国でもこれまで医療スタッフや専門家らが「ワクチン確保」を何度も要求してきたが、「韓国政府は比較的消極的」との指摘を受けてきた。最近になって韓国がワクチンを確保できていないことが問題になると「わが国の感染者増加のペースは他国に比べて安定していた。またワクチンの導入は他国における副作用の事例などを確認する必要があった」などと弁解した。しかし丁首相は20日「政府がワクチンのタスクフォース(TF、特別任務遂行チーム)を稼働した今年7月の時点では、韓国国内の感染者数が100人ほどだったので、ワクチン依存度を高めようと考えなかった側面がある」として事実上政府の責任を認めるような発言を行った」

     

    政府は、「K防疫モデル」を自慢しすぎて、ワクチン導入の必要性に言及することを軽んじたのである。コロナは、ソーシャルディスタンスだけで撲滅できない事実を忘れていたのだろう。

     


    (3)「文大統領は、今月に入って「ワクチン確保」を強調し始めた。今月13日のコロナ対策会議においては「ワクチンと治療薬が使用される前までが最後の山」と述べ、17日に行われた来年度の経済政策における方向性に関する報告の席では「ワクチンの普及についてスピード感を持って推進せよ」と指示した。同じ日に青瓦台で行われたNSC(国家安全保障会議)常任委員会においてもワクチン確保の問題が議論されたが、その後これといった進捗が見られなかったため、この日は文大統領自ら強い口調で叱責したとの見方も出ている」

     

    文大統領は、12月に入って初めてワクチンについて言及している。各国が、パンデミックの中でワクチンの奪い合いになっている。今になって、文大統領は右から左へとワクチンを調達できないと言って、責任を内閣に押し付けてはならないのだ。すべての責任は、文大統領自身にある。

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    今年の韓国即席麺は、輸出が好調である。新型コロナウイルス感染拡大の影響による「巣ごもり」と、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が米アカデミー賞を受賞し、劇中に登場する即席麺のアレンジメニュー「チャパグリ」が注目を浴びたことも追い風になった。

     

    こうして、世界のインスタントラーメン需要が増え、韓国農心(ノンシム)の海外売上高が過去最大になる見込みだという。農心は世界即席ラーメン製造会社5位に名を連ねるまでになった。グローバル市場調査会社ユーロモニターによると、農心は韓国企業で初めて世界インスタントラーメン製造会社5位(昨年の売上高基準)に入った。今年はシェア5.7%で、6位との差をさらに広げる見通しだ。

     

    今年の世界即席ラーメン市場規模は約412億ドルと、前年比で11.3%成長すると予想される。世界市場でシェア1位は中国の康師傅で、今年の予想シェアは13.4%。2位は即席ラーメンを最初に開発した日本の日清(9.9%)。3位はインドネシアのインドフード(7.5%)、4位が日本の東洋水産(7.3%)。韓国の農心は5位である。以上は、『中央日報』(11月4日付)が伝えた。

     

    『聯合ニュース』(12月21日付)は、「韓国の即席麺輸出が過去最高、巣ごもりや『パラサイト』効果で」と題する記事を掲載した。


    (1)「韓国の即席麺の輸出額は2020年に6億ドル(約620億円)程度に上り、過去最高を記録する見通しだ。韓国関税庁と食品業界が21日までに集計したところ、1~11月の輸出額は5億4972万ドル(約568億円)で、前年通年(約4億6700万ドル)を上回った。新型コロナウイルスが流行する中、即席麺は備蓄食料として需要が拡大した。また、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が米アカデミー賞を受賞し、劇中に登場する即席麺のアレンジメニュー「チャパグリ」が注目を浴びたことも追い風になった」

     

    今年上半期、『ニューヨークタイムズ』(NYT)は、辛ラーメンを「世界最高の即席ラーメン」に選定した。「チャパグリ」の人気も好調の一因だという。映画『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞で映画に登場した「チャパグリ」への関心が高まったもの。「チャパグリ」とは、「チャパゲティ」と「ノグリ」をまぜて作るもので、インターネットから広まった食べ方。後に、農心からカップ麺として発売された



    (2)「
    今年1~11月の輸出額は前年同期比28.4%増加した。輸出先別にみると、中国向けが1億3856万ドルで全体の25.2%を占めた。次いで米国(7284万ドル)、日本(4498万ドル)、タイ(2466万ドル)、フィリピン(2237万ドル)の順だった。即席麺の輸出額は、16年の約2億9000万ドルから17年が約3億8000万ドル、18年が約4億1000万ドル、19年が4億7000万ドルと年々増加。20年は一気に6億ドルに迫るとみられる」

     

    韓国独特のあの辛い味付けのラーメンが好まれるとは、世界も広いという印象だ。かく言う私も、一度口にしたが辛くて味が分からないほど。日本人の味覚には「どーも」というのが実感である。

     

    (3)「食品メーカーは海外工場でも即席麺を生産しており、海外での消費量は輸出量を大きく上回る。中国と米国に工場を持つ農心は、「韓国からの輸出と同程度の売り上げを現地で計上している」と話した。八道はロシアとベトナムに現地法人を置いている。これら海外現法の1~9月の売上高合計は韓国からの輸出額を大幅に上回った。三養食品は全量を韓国で製造、輸出する。1~9月の輸出額はすでに前年通年を上回っているといい、韓国内の販売額より大きい。主に韓国で製造、輸出するオットゥギも、今年の輸出実績は前年同期比で2~3割伸びている」


    海外で韓国即席麺は売れているようだ。

     

    欧州市場の場合、英国・ドイツを中心に成長した。農心は英国のテスコ、モリソン、アズダ、ドイツのレーベ・エデカなど主要流通企業を中心に営業網を構築し、新型コロナ発生以降、現地の即席ラーメン需要を吸収している。農心の今年の欧州輸出額は30%増える見込みだ。今年最も大きく成長した海外市場は米国だ。カナダを含む米国法人の売上高は約3億2600万ドルと予想される。これは前年比28%増で、米国は今年の売上高基準で中国法人を越えた。以上は、『中央日報』(11月4日付)が報じた。




     

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    どんな優等生でも、油断して勉強しなければ「良い成績」は取れぬものだ。ドイツは、春の新型コロナウイルス第1波を難なく克服した、その成功体験に酔ってしまった。これが、その後の感染対策を生温いものにさせて、今回の失敗を招いたというのである。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月18日付)は、「コロナ優等生『ドイツ』なぜ危機的な状況に?」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルス感染症が欧州全域に広がった今年春、ドイツの対応は喝采を浴びた。しかし同国当局は今、制御不能の状態に陥りかけているのではないかと懸念している。

     

    (1)「新型コロナによる今年前半のドイツの死亡率は、世界的に見て最も低い部類に入っていた。感染者数は大規模な近隣諸国の大半より少なかった。病院の救急用ベッドが不足することは一度もなかった。これらの状況から判断して、ドイツ政府は欧州域内で最も緩い部類のロックダウン(都市封鎖)を行った。しかし現在、フランスとイタリアの新規感染者数が11月半ばのピークを下回っているのに対し、ドイツの1日当たりの感染者数と死者数は、毎週のように過去最多を更新している。このため医療システムは限界に近づいており、政府はより強力なロックダウン措置を強いられることになった」

     

    フランスとイタリアの新規感染者数は、11月半ばのピークを下回っている。ドイツの1日当たりの感染者数と死者数は、毎週のように過去最多を更新している。ドイツは、仏伊と比べて一目瞭然、春のコロナ優等生の面影は消えてしまった。

     


    (2)「ドイツ政府の公衆衛生研究機関ロベルト・コッホ研究所(RKI)のロタール・ウィーラー所長は15日、「今回のパンデミックで状況がこれほど深刻だったことはなかった」と語った。一体何が起きたのか。科学者や政治家、心理学者らは、政府関係者を含む多くのドイツ人が致命的な判断ミスを犯したと指摘する。今年の夏、比較的浅い傷だけで済んだあと、自分たちは安全だと考えてしまったのだという。科学者らによれば、こうした誤った認識に加え、政府が11月に実施したロックダウンが緩いものだったこともあって、全国で感染が急速に再拡大する中で社会的接触を十分に減らすことができなかった。11月のロックダウンでは、すべての店舗、オフィス、工場の営業が認められていた」

     

    下線を引いたように社会の指導層が、ことごとくコロナ楽観論に傾いたのは、コロナ第1波克服に成功した結果であろう。油断がもたらしたものだ。

     

    (3)「ライプチヒ大学のウイルス学者、ウベ・リーベルト氏は、春の成功が「国民の間にある種の気楽さを生んだ」と語った。また、春の感染者数が比較的少なかったことは、多くの国民が秋の感染リスクの高さを軽視することにもつながった。パンデミックに対するドイツ人の姿勢や対応策を観察するため、複数の大学と公衆衛生研究所で立ち上げた研究グループ「Cosmo」によると、感染者が急増している現在でも、約40%のドイツ人は自分が感染する確率が比較的低い、または極めて低いと考えていることが分かった

     

    現在でも約40%のドイツ人は、自分が感染する比率が低いと見ているという。これは、根拠なき自信である。何か「ドイツ民族の優越感」に浸っているような錯覚に陥っている感じだ。先のパラグラフで、科学者や政治家、心理学者ら政府関係者を含む多くのドイツ人が、致命的な判断ミスを犯したのと同じ土壌にある「過信」だ。

     

    (4)「1日当たりの感染者数は12月に入ってから平均約1万8500人で、今週は3万人近い。11月より多く、春のピーク時に記録した6000~7000人をはるかに上回っている。RKIのデータによると、国内のコロナによる死者の約55%は11月初め以降に死亡している。ドイツが春に行った最初のロックダウンは、国内の流行の度合いに対して他国よりも早い段階で行われた。だが今週の対策強化はウイルスがかなり拡散してから行われた。感染者数が多いことは、多くの地域の公衆衛生機関による新規感染者の接触者追跡ができなくなり、隔離命令を出して感染の連鎖を絶つことが一層困難になることも意味する」

     

    かつてドイツは、二度も世界大戦を始めた国である。ドイツ民族の優秀性を過信した行動の裏には、欧州一の政治的後進国という劣等感を吹き飛ばす狙いもあった。民族特性とは恐ろしいもので、コロナ感染という状況下でも、「フランスやイタリアとは違う」という意識が働いているのだろうかと疑問に思うのだ。

     

    (5)「他の多くの欧州諸国と比較すると、ドイツの感染率と死亡率が依然として低いのは確かだ。しかし、春の時点ではドイツの病院がイタリアやフランスの患者の治療にあたっていたが、現在は一部が能力の限界に近づいている。公衆衛生当局者は、今週施行されたロックダウンの強化による効果が出てくる前に、事態がさらに悪化することを恐れている。同国南部バイエルン州のマルクス・ゼーダー首相は、「一部の人々が考える以上に、ベルガモのような状態に近づいている」と警告した。ベルガモは欧州の第1波で大きな打撃を受けたイタリア北部の町だ」

     

    バイエルン州が、「イタリアのベルガモ」になりかねないと同州首相が警告するほどの事態である。ドイツ南部と言えば、北部と違って陽気な人々である。秋の長期にわたる「ビール祭り」(オクトーバフェスト)で、盛大に羽を伸したツケが回ってきたのだろう。となれば、コロナ感染は相当深刻な事態が予想される。

     

     

     

     

     

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    韓国自動車業界5社でどん尻にある双竜(サンヨン)自動車が、日本の会社更生法の適用に当たる企業回生手続きを裁判所に申請した。双竜は、かねてから経営不振状態にあった。筆頭株主であるインド財閥のヒンドラは6月、経営支援できず売却方針を発表したが、買手も現れず会社更生法を申請する事態になった。

     

    マヒンドラは今年6月、双竜の売却方針を発表した。当時は、次のような記事(『中央日報』(6月21日付)が報じられていた。

     

    「業界では中国の吉利自動車と電気自動車メーカーのBYD、昨年マヒンドラと戦略的提携関係を結んだ米フォードなどの名が挙がっている。吉利自動車は近く双竜自動車の資産査定作業に出るという。双竜自動車の韓国工場を通じOEM(相手先ブランドによる生産)などを念頭に置いているとされる。フォードは、マヒンドラとインド市場攻略に向けスポーツ多目的車(SUV)3種と電気自動車1種を共同開発中で注目される」

     

    「(フォードの)電気自動車開発には双竜自動車も間接的に関係しているという。BYDは中国の電気自動車業界1位で、電気自動車バッテリー分野で世界トップ圏を走っている。BYDは一時双竜自動車平沢(ピョンテク)工場を活用して電気自動車を生産することを検討したという。業界ではBYDが双竜自動車買収を踏み台として韓国の電気自動車市場に参入することもあるとの見通しも出ている」

     

    当時は、売却による再建見通しもあったが結局、具体化する話は一社もなく、会社更生法を申請する羽目になった。

     

    『聯合ニュース』(12月21日付)は、「双竜自が会社更生手続き、資金難で借入金返済できず」と題する記事を掲載した。

     

    資金繰りに行き詰まっていた韓国の双竜自動車が、企業回生手続きを裁判所に申請したことが、21日分かった。法曹関係者によると、同社はこの日、取締役会を開いた後、裁判所に企業回生手続きを申請した。裁判所は、手続きの開始が決まるまで財産の保全処分と包括的禁止命令を出すとみられる。

     

    (1)「双竜自動車が企業回生手続きを行うのは、2008年の世界金融危機以降、深刻な経営難により09年1月に申請して以来、約11年ぶり。同社は政府系の韓国産業銀行からの借入金900億ウォン(約84億5000万円)を期限までに返済できず、ウリィ銀行からの借入金150億ウォンも元利金の返済に失敗した。外資系金融機関の延滞額600億ウォンを含む双竜自動車の延滞元利金は計1650億ウォン規模となった」

     

    双竜自動車の延滞元利金は計1650億ウォン(約154億円)である。会社更生法で、債務切り捨てを狙うが、あとの経営を引き受ける先が現れるかどうかである。戦闘的な労組を抱えた再建は至難であろう。

     


    (2)「同社は先ごろ発売したスポーツタイプ多目的車(SUV)「レクストン」の新モデルが好調だったにもかかわらず、15四半期連続で赤字を計上するなど、経営難に陥っている。双竜自動車の資本欠損率は7~9月期の連結ベースで86.9%と、昨年末(46.2%)と比べ大幅に上昇した」

     

    まだ、電気自動車を開発する力はある。ただ、資本欠損率は7~9月期の連結ベースで86.9%にもなっている。タコが自分の足を食っている状況で最悪事態だ。労組は、この状態でもストライキをしてきたから驚くほど。職場を守ろうという意識はなさそうである。

     

    (3)「同社の今年1~11月の販売台数は9万6825台で、前年同期比20.8%減少した。国内販売は7万9439台で18.3%減少し、輸出は1万7386台で30.7%急減した。双竜自動車は今年1~3月期の報告書と半期報告書、7~9月期報告書の3回連続で監査法人が意見不表明とし、上場廃止の危機に追い込まれた状態だ」

     

    今年1~11月の販売台数は9万6825台で、前年同期比20.8%減である。この状態で経営が成り立つ訳がない。会計監査も「意見不表明」で、監査責任を持てないと言われる状態だ。完全に「死に体」である。

     

    (4)「親会社のインド自動車大手マヒンドラ・アンド・マヒンドラに代わる新たな出資者も見つかっておらず、米自動車ディーラーのHAAHオートモーティブが関心を示しているものの、これまでに具体的な進展はないとされる。マヒンドラは先月10日の業績発表で、双竜自動車への追加出資を見送ると発表した。マヒンドラは新たな出資者が見つかれば、これまで75%だった持ち株比率を50%未満に引き下げ、筆頭株主から降りるとの姿勢を示している」

     

    満身創痍という状況だ。労組側に立つ文政権といえども、支援できる環境にない。だが、労組は政府へ支援を求めるだろう。政府が、どのように対応するのか、見ものである。韓国経済へ嵐襲来を告げる予兆となった。

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