勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年01月

    a0960_005446_m
       

    韓国国内で、文大統領が微妙に低姿勢へ変わってきたと指摘されている。これまでの、弁護士特有の攻撃的な口調が減り、国民への謝罪も増えるなど、変化しているという。国内問題での争い事を少なくし、その余力でライフワークの南北問題へ取り組む計画であろうと見られている。

     

    その南北問題に確たる手がかりがあるわけでない。7月の東京五輪で日本・米国・韓国・北朝鮮4ヶ国首脳会談を開催したいという「夢」に賭けている。だが、余りにも壮大すぎる夢である。日本という最大の「変数」がどう出てくるか。それには、韓国が旧徴用工賠償問題の解決策を見せねばならないのである。韓国は、来年の大統領選挙を控えて、日本に譲歩する案を立てられる見通しはない。この一つだけをとって見ても、「夢」の実現は難しいのだ。昨年1年間、なにもしなかった「無策」が惜しかったことが分かるはずである。

     


    『中央日報』(1月31日付)は、「本当にレームダック防止用か、『決定できない大統領』文在寅の変身」と題する記事を掲載した。

     

    執権5年目を迎えた文在寅(ムン・ジェイン)政権の基調に小さな変化が感じられる。これまでは改革などの政策目標を掲げて「突進」を叫ぶ姿が多かった。だが最近になり対立の管理と収拾に傍点をつける文大統領の歩みが目につく。さらに弁護士出身者特有の攻撃的口調までソフトに変わったという評価もある。

    (1)「秋美愛(チュ・ミエ)氏と尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の対立が代表的だ。文大統領は4回も公開的に謝罪した。発言水準も「大統領として非常に申し訳ない気持ち」「国民に非常に恐れ入る」「人事権者として謝罪申し上げる」と高くなっていった。18日の新年会見では特に「尹錫悦検事総長は一言で文在寅政権の検事総長」「政治をするつもりで総長の役割をしているとは思わない」とした。その後与党陣営の「尹錫悦叩き」が静まり、逆説的に「潜在的野党圏候補として」尹検事総長の大統領選支持率が下落した」

     

    去年は、ユン検察総長を解任する問題ですべての時間を空費した。結果は、政権側の大敗北に終わった。コロナ・ワクチンの購入も忘れて、この問題に没頭していたのだ。このツケが今、大きく文大統領にのしかかっている。日韓問題を解決しなければ、外交問題は一歩も進まないことが、しだいに明らかになってきたのである。

     


    (2)「不動産政策も同じだ。文大統領は「不動産供給に向けた特段の対策を用意する」とし、規制一辺倒だった過去の政策方向を変えることを示唆した。新年早々から政界を揺るがした元大統領赦免論も文大統領が静めた。反対が圧倒的な国民世論を意識したものだが、いずれにせよ「時期尚早論」で議論を終息させた」

    不動産高騰を抑えるべく20回以上も政策を発動した。すべて売買規制に重点を置き、逆に価格を煽る結果になった。ようやく、供給増が解決策と分かるという、信じがたいドタバタを演じてきた。


    (3)「野党から「決断できず決定を先送りする大統領」という批判を受けた過去の姿とは違いがある。文大統領はなぜこのように変わったのだろうか。政界では「文大統領が決心した脱政治基調の影響」という分析がまず出ている。青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)関係者は、「不必要な対立のため政策的成果に全力を傾けられない状況に対する様々な省察があったのは事実で、青瓦台で文大統領がこうした悩みを最もたくさんした」と話した。政治的対立構造のため政策成果を出すことができない構造を改善しようという意志が込められているという説明だ」

     

    文大統領の任期が1年余に迫って来た現在、過去に実績が一つもないことに気付いたのであろう。国内対立に明け暮れているよりも、対立を減らして外交面で実績を上げることに方向転換したに違いない。

     

    (4)「外交界では、「任期中に韓半島問題解決と関連した成果を出すための事前作業」との見方もある。米国のバイデン政権発足により韓半島(朝鮮半島)と北東アジアの外交環境は大きく変わった。文大統領と与党陣営が「南北・米朝関係改善の決定的機会」と考えている7月末の東京五輪を控えているタイミングでもある」

     

    これまで、保守派一掃という狙いで反日を煽ってきた。それが皮肉にも、日本との関係を改善しなければ、南北対話再開にこぎつけられないという局面に向かっている。気付くのが余りにも遅かったのだ。

     

    (5)「米朝関係進展と南北関係改善などにオールインしなければならない文大統領としては、国内的対立によるエネルギー消耗を減らす必要があり、こうした考えが最近の歩みに反映されていると分析される。文大統領が、最近韓日関係改善に積極的な姿勢を見せていることを同様の脈絡で解釈する見方もある。国民大学のイ・ウォンドク教授は「韓日関係改善はバイデン政権が韓日両国に強く要求している事案。残り任期中に韓半島問題を除いたすべての対立要因を排除し、ひたすら南北問題で具体的成果を出すという強い意志が(最近の変化した態度に)込められているようだ」と評価した」

     

    文氏が、反日から「親日」を演出しても誰も信ずる者はいないであろう。北朝鮮の金正恩氏の東京五輪出席には、事前準備として米朝交渉が始まらなければならない。現状では、その気配すらない。その前に、米国は中国を巡る同盟国会議を開かなければならないのだ。こうした米国の外交日程から見ても、7月の東京五輪で米朝首脳会談が開催できるとは思えないのだ。文大統領は、取らぬ狸の皮算用に酔っている。

     

    次の記事もご参考に。

    2021-01-11

    メルマガ222号 「断交寸前」反日判決、旧慰安婦賠償で危機招く文在寅「日本は無傷」

    2021-01-21

    メルマガ225号 日本へ「白旗」掲げた文在寅、慰安婦・徴用工など歴史問題で「自縄自縛」

     

    a0960_005442_m
       


    韓国の唯一の日本への対抗策は、不買運動である。一昨年7月から始まった反日不買運動は、消費財を狙い撃ちにした。そのターゲットは、ビールである。昨年、日本ビールの輸入額は566万8000ドル(約5億9000万円)。前年比85.7%減である。意地でも日本ビールを飲まないという凄さである。

     

    日本ビール輸入額は、2018年7830万ドルでピークに達した。輸入ビール市場で圧倒的首位に立っていた。2位の中国ビール(491万2000ドル)のほぼ倍を記録していたのである。それが現在、輸入ビールで9位へと転落。韓国人の日本嫌いが現れている。

     


    これは韓国人の本音でないことが、別のアンケート調査で判明した。生まれ変われるなら、日本に生まれたいという人が圧倒的であるのだ。となると、「反日不買」は劣等感の裏返しとなる。

     

    『チャイナレコード』(1月30日付)は、「生まれ変わるなら『韓国より日本』と考える韓国人が多いのはなぜ? 韓国ネットユーザーの考えは」と題する記事を掲載した。

     

    韓国のインターネット(1月26日付)でこのほど、「生まれ変わるなら、日本に生まれたいという韓国人が意外にも多い」と題したスレッドが話題となっている。

     

    (1)「スレッド主は、ネット上で行われたアンケートで「生まれ変わるなら韓国VS日本のどちらで生まれたい?」との質問に対し、圧倒的に「日本」との回答が多かったことを紹介。その上で「少し意外だった。あんなに反日運動をして日本を批判しているのに、住みたいところは日本なのか?不思議だ」としてその理由を問い掛けている」

     

    口では反日を唱えているが、本心は日本を羨ましく思っていることが明らかである。徴兵制がない。就職率がよく「就職浪人」は存在しない、などの点を考えただけで、日本が「若者天国」であることは確かだ。

     


    この理由は、経済政策の違いにある。韓国は、市場規制型で自由な活動を制約している。これは、「企業性悪説」に立っているからだ。企業性善説を唱える積もりはないが、「原則自由」で、弊害を抑制する形に転換しなければ韓国の若者は救われない。「就職浪人」期間が、2~3年は政府の責任である。ただ、そういう政府を選んでいる国民自体にも問題がある。

     

    (2)「これに対し、他のネットユーザーから最も多く挙げられている理由は次のようなものだ。

    韓国の徴兵制度

    軍隊の存在が大きい

    男性はみんな徴兵制のない日本を選ぶ

    軍隊、北朝鮮の脅威を考えたら当然だよ

    若い時の徴兵2年は影響が大きい

    などの声が見られた」

     

    日本は徴兵制がないにも関わらず、韓国は「日本軍国主義」と騒いでいる。徴兵制のない日本が、軍国主義であると非難するのは的外れである。そういう矛楯を考えない韓国が、いかに感情的であるかを示している。

     


    (2)「その他は次のような答えだ。

    就職問題を考えたら日本の方が楽そう

    反日の対象は日本の政治家であり、一般人じゃない

    韓国での人生はもう十分。次は違う国を生きてみたい

    自分が日本国民なら韓国に生まれたいと思うか?

    韓国に生まれたから反日運動をするのであって、もともと日本に生まれるのならそれは問題にならない。韓国国民にどちらに生まれたいか聞いたら、おそらく28で日本の勝利だ

     

    日本人で韓国に生まれかった、という人は少ないだろう。猛烈な受験競争して大学へ入学できても就職先は少ない。露骨な男尊女卑で性犯罪の多発社会である。徴兵で大学生活を中断するケースもある。日本に生まれた若者には想像もできない過酷な社会である。

     

    政治は、党派対立が激しく、敵味方に分かれて互いに憎しみ合う姿は想像を絶する。正義の味方であるべき警察や検察が、政権の手先になっているなど、理性没却の日常に絶望の連続である。国民の不平不満のはけ口が、反日である。どう見ても、将来性があるとは思えないのだ。合計特殊出生率が世界最低記録を更新していることが、韓国絶望のシグナルになっている。

     

    次の記事もご参考に。

    2020-12-02

    日本、「自信持って!」英紙、豊かな高齢ニッポン絶賛。世界の移住希望先で「ランク2位」

    2021-01-17

    韓国、「誤解とねつ造」日韓逆転が実現した、間違いだらけの著書に飛びつくメディアの「

    2021-01-15

    韓国、「文政権の罪」住宅政策失敗で異常な株式熱、5人が1人「素人同然で火傷必至」


    23
       

    昨年7月ころから欧米では、中国による新疆ウイグル住民100万人拘束や香港の民主化弾圧への抗議から、2022年北京での冬季五輪ボイコットが議論されている。すでに本欄では複数回、取り挙げてきた。その後、ボイコット論は力をえており、バイデン政権の意向次第では微妙な情勢になっている。

     

    『中央日報』(1月30日付)は、「米国『新疆で集団虐殺』…『北京五輪ボイコット』に飛び火する可能性」と題する記事を掲載した。

     

    中国新疆地域イスラム族の人権問題が来年の北京冬季オリンピック(五輪)開催の伏兵に浮上する兆しだ。ジョー・バイデン米政府が新疆事態を「集団虐殺」問題とみているという強硬立場を表明しながらだ。時を同じくして西側メディアや専門家を中心に北京冬季五輪をボイコットするべきだという主張も出てきている。



    (1)「トニー・ブリンケン国務長官は就任当日の27日(現地時間)、初めての記者会見で「新疆地域ウイグルのムスリムに対して集団虐殺(ジェノサイド)が強行されたというのが私の判断であり、これは変わらない」と話した。トランプ政府時期の対中圧迫政策から変化があるのではないかと注目された中で、新疆地域人権問題を深刻に扱うという立場を公式化した」

     

    ブリンケン国務長官は就任当日、新疆地域ウイグルのムスリムに対して集団虐殺(ジェノサイド)が強行されていると指摘した。

     

    (2)「これに先立って「集団虐殺」という表現を使ったのはマイク・ポンペオ前長官だ。ポンペオ氏は退任前日の今月10日、「共産党の指示と統制の中で中国が新疆地域でウイグル族とその他少数民族に対して集団虐殺を行ったという結論を出した」とし「中国共産党政府は100万人以上の民間人に対する任意拘禁や拷問、深刻な身体的自由剥奪と民族・宗教集団破壊行為が行われた」と猛非難した」

    ポンペオ前国務長官も、新疆地域でウイグル族とその他少数民族に対して「集団虐殺」を行っていると発言した。ブリンケン国務長官は、前任者の発言を踏襲したもの。

     

    (3)「国連は集団虐殺を「国家的、人種的あるいは宗教的集団のすべてまたは一部を破壊しようとする意図」と定義する。米政府が「集団虐殺」という表現を公式に使ったのは2016年イスラム国(IS)の行為を「集団虐殺」と規定して以来初めてだ。トランプ政府に続いてバイデン政府の基調も超強硬という事実が確認されて新疆問題は新しい局面に入りつつある。米ABC放送は「集団虐殺という表現は中国共産党指導部との決別を意味する」と論評した」

     

    国連の集団虐殺の定義は、「国家的、人種的あるいは宗教的集団のすべてまたは一部を破壊しようとする意図」としている。新疆ウイグルでは、ウイグル族の文化と宗教の破壊が行われている。ウイグル語を禁じ、中国語を教え始めているからだ。中国は、虐殺行為に該当する。

     


    (4)「続いて西側メディアからは北京五輪ボイコット事態につながりかねないという分析も出始めた。CNNは「中国が新疆で集団虐殺を行っているという米国の判断は、北京冬季五輪出場への準備をしている選手と国家を道徳的窮地に追い込んでいる」とし「米国の決定が直ちに参加拒否につながることはないが、90カ国余の参加国に圧力として作用することになる」と伝えた」

     

    米国政府が、中国の虐殺行為を認定している以上、北京五輪は大きな圧力を受ける。


    (5)「リック・スコット米共和党上院議員ら12人は、昨年3月、国際オリンピック委員(IOC)が2022年北京冬季五輪開催決定を再考するべきだという決議案をすでに議会に提出した状態だ。英国をはじめとするオーストラリア、カナダの政界もボイコット決議案を推進しているところだ」

     

    米共和党上院議員らが、IOCへ北京五輪開催について再考決議案を上程済みである。これに英豪加の三ヶ国が合流すれば、大きな力を持つはずだ。

     

    (6)「英国評論家メラニー・フィリップス氏は、『ザ・タイムズ』に寄稿した記事で「ナチスがユダヤ人を地球上から抹殺しようとしたのと同じように、中国政府が新疆ウイグル族を抑圧している」とし「これは人類に対する犯罪だ。北京五輪に対する国際的なボイコットに出るべき」と主張した」

     

    これに対し、中国政府は前例のないほど強硬な語調で反論している。それほど危機感を強めていることを表わしている。中国が、海警法で他国との紛争を起こせば、北京冬季五輪の開催は一段と困難になろう。

     

    他の記事もご参考に。
    米国、「ここまできた冷戦」22年の北京五輪に不参加の呼びかけ、人権弾圧とコロナが「理由」

    2020-07-22 05:00:32


    メルマガ198号 先進国共通「くたばれ中国」 この怨嗟で包囲される習近平、英豪が北京冬季五輪に不参加も

    2020-10-12 05:00:10

     

     

     

    a0960_008707_m
       

    中国の国内情勢は、異常なほどの厳戒体制である、習批判をする海外向けツイートは庶民でも禁固9ヶ月という厳罰である。従来にない動きだ。体制批判に過敏な反応をするのは、現実の中国国内が、相当に紊乱している証拠に違いない。失業や犯罪が多発している現状から見て、激しい「モグラ叩き」が行われている。戦前の日本において悪法であった「治安維持法」の幽霊を見る思いがする。中国、「危うし」である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月30日付)は、「ツイッター投稿で投獄、締め付け強める中国政府」と題する記事を掲載した。

     

    中国共産党は世界における自国のイメージを操作する取り組みを強化しており、中国市民を次々に投獄している。そのほとんどは、外国のソーシャルメディアを使って習近平国家主席や政府を批判した、ほとんど影響力を持たない一般人だ。

     

    (1)「中国当局はここ3年で50人余りについて、公の秩序を乱し、党の支配を攻撃するためにツイッターなど外国のプラットフォームを使用したとして、刑務所に送り込んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が裁判所の記録や、言論の自由を推進する活動家の管理するデータベースを調べた結果、明らかになった。いずれのプラットフォームも中国では使用が禁止されている」

     

    中国は、国民がツイッターで海外への中国批判を極端に警戒している。こんな国内取締をしなくても、習近平体制の「悪行」は世界に知れ渡っている。頭隠して尻隠さずだ。このWSJ記事は、香港発である。中国国内からは発信できないほど取締が厳しくなっている。

     


    習近平氏はこの先、何をやろうとしているのか。他国への戦争か、国内不満の弾圧か。戦争を始めるとすれば、長期戦になると国内の不満は一挙に高まる。それを抑える予行演習かもしれない。ともかく、悪巧みを始めていることは疑いない。日本は、治安維持法で国内言論を弾圧して、太平洋戦争開戦の悪例がある。要注意である。

     

    (3)「投獄の増加は、国外のインターネット上で広がる論調を操作し、批判を抑え込もうとする中国政府の試みがエスカレートしている兆候だ。人権活動家によると、外国のソーシャルメディア上の意見に対する抑圧はこれまで、たいてい拘束や嫌がらせといった形で行われ、投獄されることはまれだった」

     

    過去の例では、外国のソーシャルメディア上での意見抑圧はこれまで、たいてい拘束や嫌がらせ程度ですんでいた。それが現在は、禁固刑である。何かを企んでいるはずだ。

     

    (4)「港湾都市の天津に住む無職のズー・シャオキン氏は昨年、共産党や新型コロナウイルス感染流行を巡る党の対応をツイッターで批判したところ、当局から拘束された。ズー氏は2020年2月、「中国共産党の制度は安定を原則としており、大きな問題に直面すれば誰もが保身に走る」とツイート。病院や保健当局については「意図的であろうとなかろうと、どこも感染者数を少なく見せている」と述べた」

     

    昨年2月、「意図的であろうとなかろうと、どこも感染者数を少なく見せている」とツイートしただけで、政府のお咎めを受けることになった。中国政府の弱点を突かれたと忸怩たる思いがしたのだ。

     

    (5)「同じ月の終わり頃、男たちは7人の警察官と共にズー氏の自宅へ押し入り、ズー氏を押し倒した。その後、ズー氏はツイッターの使用について取り調べを受けるために連行されたという。ズー氏は拘束された当時、約300人しかフォロワーはいないと訴えたが、現地の裁判所は11月、同氏が社会秩序を著しく傷つけたとし、禁錮9カ月を言い渡した。ズー氏は「無力感と憤りを感じた」という」

     

    前記のツイートで禁固9ヶ月である。完全に見せしめで「一罰百戒」を狙っている。

     


    (6)「WSJが確認した裁判所の記録によると、ここ2年間は毎年少なくとも25人が、外国のソーシャルメディア上での活動に直接関連する罪で禁錮刑を言い渡されている。2018年には8人だった。2019年の裁判のうち1件は執行猶予付きとなった。その大半はツイッター絡みだが、フェイスブックやユーチューブ(いずれも中国ではブロックされている)のほか、中国で広く使われているソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」や「微博(ウェイボ)」、「QQ」の利用に関連したものもある」

     

    外国のソーシャルメディア上の活動で、刑罰を受けたのは2018年に8人。その後の2年間でそれぞれ25人へ増えている。取締が厳しくなっている証拠だ。

     

    次の記事もご参考に。

    2021-01-07

    メルマガ221号 「傲慢&無知」中国、欧米一体で封じ込め戦略、英独仏がアジアへ海軍派遣

    2021-01-25

    メルマガ226号 「遠吠え」中国、手強いバイデン政権へ揉み手で接近も「空振り」

     

    a0960_008531_m
       

    文政権による「北朝鮮愛」が異常であることが、次々と明らかにされている。国内では正常運転中の月城原発を強引に閉鎖させる一方で、北朝鮮へは原発建設を申し出るダブルスタンダードを行っていた。原発は危険であるから廃止する、という理屈であれば、北朝鮮へ勧めるはずがない。こういう無定見な文政権の行動が批判を浴びるのは当然であろう。

     

    『朝鮮日報』(1月30日付)は、「今度は『北に原発建設』文大統領が推進する脱原発の終わりを知らぬ脱線と混乱、損失」と題する記社説を掲載した。

     

    韓国産業通商資源部(省に相当。産業部)が2018年の4・27南北首脳会談直後、北朝鮮に原発を建ててやる案を検討した文書が多数確認された。これらの文書は、監査院の月城原発1号機監査の直前、産業部の公務員が違法に削除したファイル530件の中に入っていた。このファイルは全て「60pohjois」というフォルダに収められていた。pohjoisとは、フィンランド語で「北」という意味だ。これらの文書は、4・27首脳会談が終わって5月26日に第2次首脳会談が開かれる直前の、52日から15日にかけて集中的に作成された。

     


    (1)「文書を見ると、韓国政府は対北原発建設や各種電力事業、かつてのKEDO(韓半島エネルギー開発機構)モデルまで具体的かつ広範囲に検討したものとみられる。KEDOは1995年、北朝鮮の核凍結の見返りとして北朝鮮に軽水炉2基を建設してやる事業を担当した機関だ。北朝鮮が核関連の約束を破棄し、核開発を再開したことで、事業は中断された。ところが北朝鮮との非核化交渉が本格化する前に、再び原発を建ててやる案から検討していたのだ」

     

    北朝鮮の電力不足は、鴨緑江の水力発電の電力をほとんど中国へ販売して外貨を稼いでいるためだ。韓国は、この電力不足の穴を原発建設でカバーしようという狙いである。北朝鮮への経済支援と同じ目的である。国連による経済制裁に違反する行為である。

     

    (2)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4・27首脳会談で、金正恩(キム・ジョンウン)に韓半島新経済構想を収めた冊子などを渡した。金正恩と板門店の人道橋を散策した際には、「発電所の問題…」と語る音声もキャッチされた。首脳会談で北朝鮮の電力問題が検討され、その後、実際に北朝鮮へ原発を建ててやる計画を検討した蓋然性が高い。当時、韓国政府は脱原発を荒っぽく押し付け、まともに動いている月城原発1号機を早期に閉鎖しようとしていた。ところが裏では、北朝鮮に原発を建ててやろうとしていたのだ」

     

    下線部のように、国内は原発廃止で北朝鮮に対してOKというダブルスタンダードである。余りにも身勝手である。国内は原発反対市民団体へ補助金を与えて太陽光発電を推進していたのだ。すべて選挙がらみの「取引」である。

     


    (3)「文大統領は、原発は危険で脱原発すると言った。ところがチェコに行くと、韓国の原発が世界で最も安全だというような形で自慢した。危険だから月城原発1号機を閉鎖するというのに、どうやっても危険を作り上げられないとなると、今度は経済性の問題を作り上げて閉鎖した。月城原発1号機の問題を話し合って議決する韓水原(韓国水力原子力)理事会開催のほぼ1カ月前、既に韓国政府は青瓦台(韓国大統領府)に「閉鎖する」と報告していた」

     

    文氏は、原発問題を「食い物」にしてきた。まさに「八方美人」の最たるケースである。

     

    (4)「こうして、韓国国民の税金7000億ウォン(現在のレートで約655億円。以下同じ)を一瞬で吹き飛ばしてしまった。月城原発1号機が作り出す電気まで合わせると、損失は1兆ウォン(約936億円)を超える。世界最高の競争力を持つ韓国の原発産業も崩壊しつつある。この損失は計り知れない。それでいて北朝鮮には原発を建ててやるというのだから、この精神分裂的な様子をどう見るべきか。

     

    韓国の大学では、原子力学科から学生がほとんど消えてしまい、技術の継承もままならない事態まで追込んでしまった。経済的にも大きな損失を被っている。

     


    (5)「北朝鮮原発支援に対する批判が強まると、青瓦台は「事実と異なる、世を惑わし人を欺く主張」とコメントした。しかし具体的な説明は一つもできなかった。産業部は「首脳会談で出て来ることがあり得る南北協力を実務レベルで検討し、整理しただけ」とした。それが事実なら、こうも必死かつ組織的に隠すべき理由はない。なぜ日曜日の夜半にこっそりオフィスに入って関連ファイルをことごとく削除したのか。この問題を暴いていったら、衝撃的な諸事実が露わになるだろう」

     

    検察捜査を中止させるべく、検察総長「解任」まで策略を巡らした事情は、北朝鮮への原発建設計画が露見することを食い止めたかったからだ。

     

    次の記事もご参考に。

    2021-01-14

    韓国、「政治的意図」月城原発でトリチウム騒動、与党は疑惑隠しに利用も「無害物質」

     

    このページのトップヘ