WTO(世界貿易機関)の事務局長選で、大差で2位に甘んじた産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が、慣例によれば辞退するはずだった。米国が突然、韓国候補者を次期事務局長に推薦すると言い出して以来、次期事務局長決定は宙に舞う異常事態に陥っていた。2月5日になって、韓国候補が辞退を表明したので、ようやくナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相が、次期事務局長として正式決定される運びだ。
WTOの次期事務局長は、遅くとも昨年11月7日までには確定予定であった。それが、前記のような事情で遅れに遅れてきた。米国次期政権が発足しない限り、意見調整が終わらないためだ。それも終わって、選挙結果どおりの結論に落ち着くことになったもの。実に、3ヶ月遅れである。この間、WTO機能は麻痺していたのだ。
『聯合ニュース』(2月5日付)は、「WTO事務局長選 韓国候補が撤退表明」と題する記事を掲載した。
韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長は2月5日、立候補している世界貿易機関(WTO)事務局長選から撤退する意向を表明した。近くWTOに伝えるという。
(1)「兪氏は昨年6月、事務局長選への立候補をWTO側に届け出た。約7カ月にわたる選挙戦はこれで幕を下ろした。韓国からのWTO事務局長選への挑戦は今回が3回目。1994年と2012年にもそれぞれ立候補したが、選出されなかった。今回のWTOの事務局長選では、8カ国が候補を出し、第1ラウンドで5人に絞られ、第2ラウンドで兪氏とナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相が最終候補に残った」
WTO事務局長選は、単純に票数では決められず、米国、EU、中国、日本などの最終意見を聞いて決まるというルールになっている。ただ、票数が基盤になることは当然だ。これを頭に入れて兪明希氏とオコンジョイウェアラ氏の票数を占うと、だいたいの見当がつく。
オコンジョイウェアラ氏は、アフリカ44ヶ国とEU27ヶ国が基礎票である。これだけで71票になる。WTO加盟国は164ヶ国であるから半数は82ヶ国だ。オコンジョイウェアラ氏は、基礎票71票にあと12ヶ国の支持を積み増せば過半数の83票になる。オコンジョイウェアラ氏は、投票前に79票を確保したと話していたが、決して誇大ではなかった。
今回のWTO事務局長選の前に、「次の事務局長はアフリカ出身で女性」がコンセンサスになっていた。最終選考に残った二人の候補者は、いずれも女性である。そういう意味では、事前のコンセンサス通りに選考が進んだと言えよう。
(2)「WTOは昨年10月28日、より多くの加盟国の支持を集めたオコンジョイウェアラ氏を事務局長に推薦し、事務局長に選出しようとしたが、米国が反対を表明したため、原則となっている全会一致での合意に至らず決着がつかなかった。兪氏は撤退の理由について、米国などと協議を進め、WTOの機能を活性化する必要性などを総合的に判断して決めたと説明した」
米国だけが、WTO選挙結果を覆そうとした。EU・日本・中国はオコンジョイウェアラ氏を次期局長に推薦していた。米国の反対理由は、オコンジョイウェアラ氏が中国寄りという「偏見」に基づく。だが、EUも日本も支持したのだから、米国の反対理由は感情的なものと見られた。
(3)「米国が新政権発足に伴い、オコンジョイウェアラ氏支持に方針を変更したものと受け止められる。兪氏の撤退により、WTO事務局長にオコンジョイウェアラ氏が就任するとみられる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4日に行われたバイデン米大統領との電話首脳会談で、WTO事務局長選に関して言及しなかった。産業通商資源部の関係者は「韓米首脳間が議論する事項ではない」とし、「これまで米国などと協議をしてきた」と説明した。兪氏は「わが政府は今後も責任ある通商強国として多国間貿易体制の復活・強化のために多方面で寄与していく」と述べた」
韓国の兪氏は、米国の支持があったため独自判断で候補を辞退できないという辛い場面に立たされてきた。事務局長選の票数では、大差(投票結果は発表されない)をつけられていたので、それを覆しての事務局長就任が不可能な情勢であった。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、約90カ国と電話首脳会談をしたり親書を送ったりして「兪明希支持」を訴え、総力戦を繰り広げてきた。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も外交チャンネルを通じて支持を訴えてきた。康長官は、「毎日、電話での依頼が仕事である」とぼやくほど、韓国の外交網を総動員したのである。だが、EUや日本の支持を得られなかったことが敗因であろう。「反日」が招いた敗退とも言えるのだ。
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