勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年02月

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    役所へ夜陰に忍び込む公務員

    北朝鮮へ原発プレゼント3案

    北は欺瞞術教本に則り行動へ

    米が失敗と判定する韓国外交

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領の残り任期は、15ヶ月程度と少なくなってきた。文氏は、レガシーとして南北交流に全力を挙げる構えだ。これまで、強硬であった対日政策も緩和に動き出すなど腐心している。文氏の北朝鮮への「愛情」が、国内で廃止に踏みきった原発を、北朝鮮へは電力不足の切り札として建設する案を検討させたのである。

     

    韓国国内では、「危険」であるとの理由で操業中の原発を廃止させる一方、建設中の原発2基は工事中止という荒療治を行った。その危険である原発にもかかわらず、北朝鮮へは建設しようという計画が明るみに出たのだ。文政権は、原発の取り扱いが国内と北朝鮮で正反対という二重基準であった。同時に、そこまでやって北朝鮮へ奉仕し、南北対話再開に持込みたいという執念に驚かされるのである。

     


    原発建設は、韓国と北朝鮮だけの合意で建設できるものでない。
    原子力関連事業は、核拡散防止条約(NPT)・国際原子力機関(IAEA)などが関連している。要するに、米国など国際社会と必ず協議して、安全性を確保しなければならない。北朝鮮は、かつて軽水炉原発建設に着手しながら、核開発が露見するという契約違反を問われ、途中で建設を放棄させられた一件がある。こういう過去を持つ北朝鮮へ、韓国が原発建設計画を持込むのは、非常識という一語に尽きるのである。韓国野党とメディアが、一斉に批判している。

     

    役所へ夜陰に忍び込む公務員

    韓国が、北朝鮮へ原発を建設するという「驚くべき計画」が露見したきっかけは、次のようなものであった。

     

    韓国月城(ウォルソン)原発1号機が、操業中にも関わらず突然、操業停止になった。これについて、韓国監査院(日本の会計検査院)が会計監査に入る直前(2019年12月1日)、政府の産業通商資源部(省)の公務員らが夜陰に紛れて役所へ忍び込み、関連データを削除するという違法行為を行った。その中に、無関係のはずの「北地域原発建設推進方案」文書も一緒に削除されていたことが判明した。北朝鮮原発推進案である。

     

    産業通商資源部の公務員が、違法に削除したファイル530件の中に前記北地域原発建設推進方案」文書入っていたのである。このファイルは全て、「60pohjois」というフォルダに収められていたという。「pohjois」とは、フィンランド語で「北」という意味である。これらの文書は、2018年4月27日の南北首脳会談が終わり、5月26日に第2次首脳会談が開かれる直前、52日から15日にかけて集中的に作成されたことが判明した。

     


    この時間軸を見ると、
    北地域原発建設推進方案」文書は第1次南北首脳会談の後に大急ぎで作成され、第2次南北首脳会談に間に合わしたことが読み取れる。その際、文氏は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)氏と、二人きりで会った「橋上会談」でUSBメモリーを渡していることが確認されている。その会話の中で「発電所」という言葉が確認されている。韓国大統領府では、「火力発電所」と言い逃れし、問題のUSBメモリーは絶対に開示しないと力んでいるのだ。

     

    大統領府と与党「共に民主党」は、2月2日も産業通商資源部による北朝鮮での原発建設検討計画について、「青瓦台(大統領府)が検討したことはなく、報告を受けたこともない。推進した事実はない」と強く否定している。しかし、文大統領が南北首脳会談で北朝鮮の金国務委員長に手渡したUSBメモリーは、「国家機密なので公開できない」と突っぱねている。公開はできないが、原発関連の内容ではないというのが与党の主張だ。この発言を聞いただけでも、心証は限りなく「黒」である。

     


    日韓慰安婦合意を骨抜きにする際、文政権は慰安婦合意の交渉過程(国家機密)を公開したのである。文政権にとって不都合なことは、「国家機密」扱いにする。朴政権が取り決めた日韓慰安婦合意は、「国家機密」でなく公開する恣意的な扱いだ。「同じ外交機密でも、一つは非公開にし、別の一つは公開したというのは二重基準と見るしかない。相手が一つは北朝鮮、一つは日本ということ以外に差をつけた理由がない」と指摘されている。文政権の外交姿勢が、日本を足蹴にしながら、北朝鮮に対してはこれだけ「丁重」なのだ。

     

    北朝鮮へ原発プレゼント3案

    産業通商資源部の職員らが2018年5月に作成し、後ほど違法に削除した「北地域原発建設推進方案」文書には、次の3案が盛り込まれていた。『中央日報』(2月1日付)から引用した。

     

    1)過去の韓半島(朝鮮半島)エネルギー開発機構(KEDO)が軽水炉の敷地として内定した場所に原発を建設する案

    2)非武装地帯(DMZ)に原発を建設する案

    3)工事を中断している国内の新ハンウル3・4号機を完工し北朝鮮に電力を送る案

     

    これら3案について、それぞれ説明したい。この中で、文政権がいかに北朝鮮への原発建設を安易に考えていたかが分かり、唖然とさせられるのである。(つづく)

     

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    韓国最大野党である「国民の力」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が1日、釜山を訪れて「日韓海底トンネル建設」案を打ち出すと、与党「共に民主党」は日本への利敵行為という理由で猛反発している。文大統領は、日本への接近姿勢を強めているのに、与党は日本を「敵」扱いだ。韓国進歩派の本音が、ポロリ出た感じである。

     

    日韓海底トンネル論は突然、降って湧いた話である。4月の釜山市長選を前に、野党が選挙戦を有利に運ぶためのアドバルーンだが、与党は「日本への利敵行為」という言葉を使って反対する騒ぎに、韓国社会の反日の深さを改めて示している。

     

    文政権支持メディアの『ハンギョレ新聞』は、政府の意向を受けたのであろう早速、「日本利敵論」の火消しに追われている。文大統領は7月の東京五輪で、日本に北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)氏を招待して貰い、南北会談を狙っている手前、困った事態が起こったのだ。

     


    『ハンギョレ新聞』(2月3日付)は、「『韓日海底トンネル』にとんでもない『イデオロギー論』」と題する記事を掲載した。

     

    野党「国民の力」が、47日の再選・補欠選挙にともない行われる釜山(プサン)市長選挙を控え打ち出した「加徳島(カドクド)・九州海底トンネル」の公約に対し、突然、親日議論が広がった。韓国と日本の間に海底トンネルを作れば日本に一方的に有利であるため、「親日公約」だというのが共に民主党の主張だが、共に民主党内でも強引に親日フレームをかぶせようとするものだという批判が出ている。

     

    (1)「共に民主党のチェ・インホ首席報道担当は2日午前、書面で論評を出し、「韓日海底トンネルは、日本利益がより多くなりうるという点で推進力を得られなかった、親日的な議題」だとしながら、「日本が先に提案もしない未成熟な論点を、広域自治体の首長選挙を控え突然取り出したのは、本当に無責任な処置」だと批判した。そして、「北風工作から海底トンネルまで、国益を考慮せず選挙にだけ没頭する『国民の力』は、誤った主張を撤回せよ」と主張した」

     

    韓国政界は現在、与野党が激突している。文政権が、北朝鮮へ原発を「寄付」する提案をしたのでないかという問題が持ち上がっているからだ。国内では、原発廃止を実行しているにも関わらず、北朝鮮へは原発寄付構想が利敵行為になるという筋書きである。こうして、野党は「北朝鮮利敵論」を叫び、与党は「日本利敵論」という対立構図である。

     


    (2)「ホン・イクピョ政策委議長もこの日、 韓国放送(KBS)で、「海底トンネルを通じて私たちが得る収益は、日本に車で行くということしかないが、日本は、我が国と北朝鮮を経て、中国、ロシア、欧州にまで行くことができる道が開かれる」としながら、「極めて不適切な政策選挙公約だ。韓国より日本のための政策であるのに、なぜ、突然不意に言い出すのか理解できない」と批判した。 そして、「私たちが得る収益がおよそ5であるならば、日本が得る収益はおよそ500以上になるだろう」としながら、「これこそ、キム・ジョンイン委員長がおっしゃった利敵行為に近いことだ」と批判した」

     

    日韓海底トンネル論は、日本がつくった戦前からの構想である。それが、金大中大統領時代の日韓雪解けとともに浮上したもの。戦後の日韓海底トンネル論は、韓国が持ち出したのである。韓国が得る利益がおよそ5であるならば、日本が得る利益はおよそ500以上になるだろう、というのは全くのデタラメ話である。こうやって、民衆の反日を煽っているのだ。

     

    (3)「野党「国民の力」はでたらめだという立場だ。チュ・ホヨン院内代表はこの日、「親日利敵行為であるならば、本人(共に民主党)の大統領時代に主張したあの方(注:2人の民主党出身の大統領)も親日なのか、その部分から先に返事を待つ」と反発した。 1999年、金大中(キム・デジュン)大統領が日本を訪問し、海底トンネルに肯定的に言及したことがあり、2003年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が、当時の日本の小泉首相との首脳会談で海底トンネル推進を論議した事実を示したのだ」

     

    このパラグラフに、これまでの日韓海底トンネル論の経緯を指摘している。韓国は、進歩派大統領が音頭を取って盛上げてきたのが真相。日本利敵論は、全く当らないのだ。

     


    (4)「野党「国民の力」は特に、キム・ジョンイン非常対策委員長の発言を「利敵行為」だと言及したホン・イクピョ政策委員会議長を狙いに出た。キム・イェリョン報道担当は論評で「『突然だ』『日本だけ得をする』さらに『利敵行為』とまで言い、野党第一党の代表を攻撃する旧時代的な遺物のような政治を行う底意は疑わしい。韓日海底トンネルの推進が『利敵行為』であるならば、共に民主党は日本を敵に規定しているのかも問いたい」と反発した

     

    野党から、下線部のように与党の「日本利敵論」を指摘されると、与党はグーの音も出ない。文政権が日本接近中であり、この外交戦略を台無しするからだ。

     

    (5)「共に民主党内からも、過度に単純な1次元的な批判だという指摘が出ている。海底トンネルは航空業界やホテル業界などの利害関係が複雑に絡んでおり、地域の利益と国家全体の利益を総合的に突き詰めなければならない複雑な事案であるにも関わらず、極めて断片的な“善悪の議題”にしてしまったということだ。与党関係者は「選挙を控え、深い考えもなしに突然海底トンネルを提案した『国民の力』は批判されて当然だ」としながらも、「露骨な非難は両国関係の役に立たない。あのようになるのであれば、もはや共に民主党政権には、海底トンネルは検討さえできない議題になるだろう」と述べた」

     

    日韓海底トンネル論が日本利敵論になれば、韓国進歩派は二度とこの問題について検討できなくなるだろう、と指摘している。その通りである。第一、日本側が全く無反応の問題を韓国側だけで賛成・反対と叫んでみても無駄である。日本が絡む問題になると、こうやって「場外乱闘」を始めることに不思議な感じがするのだ。

     

    次の記事もご参考に。

    2021-02-02

    韓国、「やっぱり日本!」最大野党の保守派、日韓海底トンネル計画をまた持ち出す「意図」

     

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    米中首脳の電話会談は、まだ開かれていない。中国は、水面下で米バイデン政権へ交渉を呼び掛けているが、公式な申入れではないという。米国に断られることを恐れているというのだ。それだけ、バイデン政権に怖さを感じている証拠だろう。

     

    中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は2月2日、米国の企業家らを前にオンラインで講演した。バイデン米政権に「(中米)関係を再び予測可能で建設的な軌道に戻すのは(中米の)共通の責務だ」と述べ、対話の再開を呼びかけた。米国は無反応である。

     

    楊氏は、前記のオンラインの講演で、「中国は大統領選挙を含む米国内政に干渉していない」と発言している。実はこの点が現在、問題になっている。英カーディフ大学の研究チームの最新調査は、昨年11月の米大統領選挙の前後、米国内のソーシャルメディア上で、中国共産党政権と関わっている可能性の高いアカウントが虚偽情報を流し、暴力行為を呼びかけたと指摘している。この問題については、後で取り上げる。

     


    『中央日報』(2月2日付)は、「楊潔チ主任『中国は米国大統領選挙に介入していない…トランプ政策の廃棄を』」と題する記事を掲載した。

     

    楊主任は、米国の企業家らを前にオンライン講演で、トランプ政権の対中政策への強い非難で始まった。楊氏は、バイデン政権の対中政策変更を求めたが、中国の譲歩や態度の変化に関する言及はなかった。

    (1)「楊主任は、「中国は外国に発展モデルを輸出せず、イデオロギー対決を望んでおらず、米国の地位に挑戦したり、取って代わろうとしたりせず、勢力範囲を手に入れる考えはない」と主張した。「発展し続ける中国の歩みと人類の平和と発展という崇高な事業は、いかなる力量でも妨げることはできない」とし「米国は、香港・チベット・新疆および中国の主権と領土問題への介入を停止しなければならない」と求めた。中国の既存の政策に対する変化はないというメッセージだ」

     

    習近平氏は、米国の覇権に挑戦すると明言したが、楊氏はそのような意思はないと否定している。ならば、米国はじめ西側諸国で、相次ぐスパイ活動を展開するのか。言行不一致もおびただしいのだ。

     

    (2)「トランプ政権に対する批判の水位は高かった。「過去数年間、米国のトランプ政権は非常に間違った反中政策を施行した」とし、「一部の人が自分の政治的私益と狭い偏見で米中関係を破壊することはできない。歴史の誤った側に立ち、両国の人民と対立するならば、必然的に失敗するだろう」と主張した」

     

    中国はことさら、トランプ政権を悪者にしている。バイデン政権は、大筋でトランプ氏の対中政策が正しかったという見方なのだ。中国が、トランプ批判をすればするほど、米中外交にズレを生むはずだ。

     

    (3)「代わりに中国は、具体的な要求を列挙した。楊主任は「米国の新政府は中国人の米国留学生を苦しめ、中国の米国内メディアを制限し、孔子学院を禁止し、中国企業を圧迫するなど、誤りで人心を得られなかった政策を解除し、両国の各界各層の交流と協力を妨げる『障害物』を取り除くことを希望する」と求めた。経済にも言及した。楊主任は「経済問題を政治化したり、『国家安保』の概念を濫用してはならない」と強調した」

     

    中国は、トランプ氏の対中政策でかなり痛めつけられたことを「白状」している。これは、バイデン政権にとって、またとない良い話を聞いた訳で、「政策続行」である。中国のスパイ活動封じには、最適手段であったことを証明しているのだ。

     

    (4)「楊主任の演説は、バイデン政権発足後、中国高官の初の米中関係に関する演説で、大きな注目を浴びた。スコット・ケネディ戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問は、前日「もし楊潔チが表面的にあいまいなプラスチックのオリーブの枝だけ差し出すならば、同じ対応が返るだろう」とし、香港『サウスチャイナ・モーニングポスト』(SCMP)に発表した。バイデン時代の米中関係が、大きな枠組みで「トランプ2期」になる可能性が高いという意味だ」

     

    バイデン政権の対中政策は、大きな枠組みで「トランプ2期」になる。米国は、政権が変わっても外交・安保の政策は変わらない国である。今後、そのことが明らかになろう。

     


    『大紀元』(2月2日付)は、「米大統領選、数百の中国関連ツイッターアカウントが偽情報流布」と題する記事を掲載した。

     

    英カーディフ大学犯罪・セキュリティ調査研究所(CSRI)は1月27日、調査報告書を発表した。報告書は、中国当局がSNS大手ツイッターを通して影響力を行使し、米大統領選挙に介入し、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関して偽情報を広めたとした。

     

    (5)「報告書は、「米大統領選挙の7日前、500余りのアカウントから構成したネットワークが虚偽情報を流したことを判明した。一部のアカウントは英語で、その他のアカウントは中国語で投稿した」と示した。また報告書は、同ネットワークは反米プロパガンダを展開し、2019年の香港民主化運動を中傷したとした。同ネットワークは、16日に米議会議事堂で暴力事件が発生した前後も、暴力行為を強く呼びかけ、米国を「政治が崩壊し、深刻な混乱に陥った国となった」と表現した」

     

    楊氏は、オンラインの講演で「中国は大統領選挙を含む米国内政に干渉していない」と発言したが、これは真っ赤な噓である。米国の500余りのアカウントから構成したネットワークが、16日に米議会議事堂で暴力事件が発生した前後も、暴力行為を強く呼びかけていたのだ。米国政治の混乱を狙ったものである。米国は、民主主義の国である。暴力事件で、ひび割れするような「柔な」ものでない。

     

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    2020-11-13

     

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    韓国の20年版国防白書は、日本についてこれまでの「パートナー」から「隣国」へ格下げした。日本の防衛白書では、すでに韓国の位置を米国に次ぐ順位から5番目に引下げている。これで、「お互い様」という関係で、スッキリした状態になった。俗に言えば、「他人同士」になれたのだ。

     

    日本の安全保障上のパートナーは、次のような順序になっている。

    米国、豪州、印度、ASEAN(東南アジア諸国連合)、そして韓国である。日本の防衛ラインが、南シナ海と東シナ海へとシフトしている以上、もはや朝鮮半島の安保問題に日本が関わる必要がない、という判断である。いわば、韓国は日本から見捨てられた関係になった。

     

    韓国は、この事実を気付いていないのだ。韓国防衛は、米軍が責任を負っているが、米軍の後方基地は日本にある。その日本に対して感謝の気持ちもなく、際限ない反日を繰返している。日本が、韓国への信頼感を欠くのは致し方ない仕儀である。

     


    『聯合ニュース』(2月1日付)は、「韓国国防白書、日本を『パートナー』から『隣国』に格下げ」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権で2回目となる2020年版の国防白書では北朝鮮について「敵」との記述が盛り込まれなかった。また、強固な韓米同盟を強調する中、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管を「加速化」させるとした一方、「パートナー」としていた日本は「隣国」と記述するにとどめた。

     

    (1)「20年版白書は前回の18年版と同じく、「わが軍は韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵とみなす」と記述した。「北の大量破壊兵器は朝鮮半島の平和と安定に対する脅威」との記述も18年版と変わっていない。18年版白書で「北の政権と北の軍はわれわれの敵」との記述を削除し、「敵」を広範囲かつ包括的な概念とした定義を今回も維持した。北朝鮮に対する不要な刺激を最小限にとどめる狙いがあるとみられる」

     

    朝鮮戦争を引き起した北朝鮮軍は、韓国にとって文字通りの「主敵」である。ところが、文政権になって主敵でなくなった。「お仲間」感覚になっている。以来、韓国軍の北朝鮮軍への警戒感は、目に見えて緩んでいる。海上や陸上からの「脱北者」を見過ごす事例が頻発している。仮に、北朝鮮軍の正規兵ならば、冷や汗かく事態を招くだろう。

     


    (2)「ただ、北朝鮮が2019年に短距離弾道ミサイルの発射実験を強行し、党大会などに合わせて新型兵器を相次いで公開している中、「北の顔色をうかがいすぎ」との批判が出そうだ。20年版白書の公表を控え、「北は主敵」との記述を盛り込むよう求める声も出ていた。1995年から2000年までは白書で「主敵」との記述があったが、04年からは「直接的な軍事脅威」「現存する北の軍事的な脅威」などに変更された。10年に韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件と延坪島砲撃事件を受け、「北の政権と北の軍は敵」との記述が再び登場し、朴槿恵(パク・クネ)前政権まで続いた」

     

    北朝鮮は最近、韓国を攻撃するミサイルを開発している。実態は、韓国の主敵に変わらないのだ。その認識を欠き、日本に敵意を持つという逆立ちした価値観に囚われている。これまで韓国軍の上官は、自衛隊に留学して見識を磨いてきた。こうした対立関係になった以上、自衛隊は韓国軍将兵を受入れてならない。

     

    (3)「20年版白書には悪化した韓日関係が反映された。周辺国との国防交流協力について、前回と同じく日本を中国に続いて2番目に取り上げ、「日本は両国関係だけではなく、北東アジアおよび世界の平和と繁栄のためにも協力して行かなければならない隣国」と記述した。18年版白書で「両国は地理的、文化的に近い隣国であり、世界の平和と繁栄に向け共に協力していくべきパートナー」としたことから格下げした形だ」

     

    日韓の感情的対立は、永久に消えないと見るべきだろう。防衛という最も機敏な面では、一切の協力を断ち切ることが賢明だ。韓国軍トップは、定期的に中国軍トップと交流がある。日本の極秘情報が漏れる恐れもある。米軍が、米韓共同作戦の統帥権を韓国軍に渡さない裏には、信頼度が「今一つ」という面も指摘されている。

     


    (4)「20年版白書では日本の政治指導者の独島関連の挑発、18年の海上自衛隊哨戒機の韓国艦艇に対する威嚇飛行と「事実をごまかした一方的なメディア発表」で両国の国防関係が難航し、197月の日本の対韓輸出規制措置が「未来志向の発展への障害」になっていると指摘した。また、韓国政府が輸出規制措置の撤回に向けた協議を条件とし、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了通知の効力を停止した状況についても言及」

     

    日本の防衛省は2日、竹島(韓国名・独島)の領有権問題とレーダー照射事件に関する記述が日本の立場と相いれないと問題視した。在日韓国大使館の駐在武官を呼んで抗議したのだ。韓国軍のレーダー照射事件は、戦闘行為である。友軍である日本の哨戒機にやるべき行為でない。日本の哨戒機は、国際標準の飛行を続けており、韓国艦艇を威嚇する行為はなかったのだ。

     

    日本側の抗議に対して一切、データを出さず感情的対応によって、事態を紛糾させた。こういう韓国軍は、とうてい日本の「パートナー」と呼べる相手でなくなった。まさに、日本を「主敵」扱いし始めている背景を見せつけている。代わって、北朝鮮軍が「友軍」になるという倒錯した状態だ。米韓合同訓練について、北朝鮮に連絡するという何とも形容できない、腑抜けの事態になっている。

     

    (5)「その上で、「今後も日本の歴史歪曲(わいきょく)、独島に対する不当な領有権主張、懸案問題でも一方的かつ恣意(しい)的な措置に対しては断固として厳しく対処する一方、共通の安保懸案については朝鮮半島と北東アジアの平和と安定のため、継続的に協力していく」と明記した。昨年7月に日本の防衛省が公表した20年版防衛白書でも、韓国との「幅広い協力」との記述が削除されていた」

     

    日本は、韓国軍から歴史問題まで持ち出されている。軍部は本来、こういう政治問題に口出ししてはならないのだ。韓国軍が、日本を「敵国」扱いしている以上、インド太平洋戦略の「クワッド+α」へ迎え入れる気持ちも萎える。「ご自由にお好きなようになさい」。これが、韓国軍に対する日本の感想だろう。

     

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    韓国、「腑抜け」文在寅、米韓軍事演習も北朝鮮の了解求めるという「異常」

     

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    ミャンマーの国軍系テレビは2月1日、クーデター宣言を報じ、軍の勇敢さと愛国心をたたえる歌を一日中流した。アウン・サン・スー・チー国家顧問をはじめとする高官が未明に一斉に拘束された。10年前に民主化に転じるまで軍政下で生きてきた住民たちは、慌てて食料品を買い込み、ATM(自動預払機)から現金を下ろしたという。

     

    時間が経つとともに、国軍によるクーデターに至るまでの状況が、次第に明らかになってきた。

     

    昨年の総選挙の不正を主張するミャンマー国軍は、2月1日に予定されていた議会招集の延期を強く要求していた。アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる与党(国民民主連盟:NLD)代表らと1月末から水面下で折衝を続けたが、交渉は決裂してクーデターに踏み切ったもの。複数のミャンマー政府関係者が明らかにした。

     


    国軍はクーデター4日前の1月28日から首都ネピドーで与党との交渉を開始した。与党側からはスー・チー氏の側近チョー・ティン・スエ国家顧問府相ら2人が出席。国軍側も2人が出席して解決策を探ったが、最後まで妥協点を見いだせなかった。以上は、『共同』(2月2日付)が報じた。

     

    アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)高官は2日、スー・チー氏の健康状態は良好で、国軍がクーデターを起こした際に拘束された場所にとどめられていると明らかにした。スー・チー氏の健康状態は良好で、別の場所に移送される計画はないとフェイスブックに投稿した。『ロイター』(2月2日付)が伝えた。

     

    中国国営の『新華社通信』(2月2日付)は、ミャンマー国軍によるクーデターを巡り、軍関係筋の情報として、拘束された地方政府の幹部らほぼ全員が2日に解放されたと報じた。北西部ザガイン地方域自治体の長、ミン・ナイン氏は解放後BBCに対し、拘束中も丁重な扱いを受けたと述べた。その上で「国の将来を憂いている。最善を望んでいたが、最悪のことが起きた」と述べた。

     


    クーデター発生後の状況が明らかになるとともに、血なまぐさい状況は回避されているようだ。クーデター発生直前まで、国軍と与党の国民民主連盟(NLD)の話合いが持たれていたことで、今後の交渉余地が残されているように見える。それだけに、米国を筆頭にする西側諸国は、軍事政権へ強硬策でなく、柔軟な姿勢が求められるようだ。強硬策に出れば、中国側へ追いやるリスクが高まるからだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月2日付)は、「ビルマ政変とバイデン氏の選択」と題する社説を掲載した。

     

    2月1日朝に米国人が目覚めると、ビルマ(ミャンマー)で迅速な(今のところは)無血の軍事クーデターが発生したとのニュースが流れていた。かつて同国の民主主義政権への移行はオバマ政権の主要な成果の一つとうたわれていた。

     

    (1)「ビルマ軍幹部は11月の総選挙で自分たちの政党が大敗したのを受け、再び権力を掌握するための動きを始めた。選挙で選ばれた国の指導者であるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相はその負託を生かし、軍の権力を制限する憲法改正を目指していた。そのことが軍による文民政府の強制停止と通信手段の遮断の引き金になったようだ」

     

    先の総選挙で与党が大勝した。国軍は、不正選挙が行なわれた結果だとして、これを認めない上に、クーデターに訴える無謀な行動に出た。

     


    (2)「バイデン政権が、この動きを非難しているのは正しい。だが、米国の単独行動での影響力は限定的なものにとどまる。欧米はビルマ軍に対し、市場へのアクセスという褒美と引き換えにスー・チー氏に権力を譲るよう迫ってきた。だが、権限委譲の程度は実際に行われたよりも誇張されていた。中国の南の国境に接する人口5400万人の国を経済的な孤立状態に戻せば、国民は苦しむこととなり、中国政府の思うつぼに陥りかねない」

     

    欧米はビルマ軍に対し10年前、市場へのアクセスという褒美と引き換えにスー・チー氏に権力を譲るよう迫った。この、手法は今も生きているはずだ。米国は、西側諸国と協調して軍部との話合いをすべきだ。軍部のクーデターを非難するだけでは、中国側へ追いやる危険性が高まろう。ミャンマーは日本との関係が深いことから、日本政府が軍部の説得に当るのも有効だろう。また、インド政府に説得役を依頼するのも良かろう。ミャンマー海軍は、インドから中古潜水艦を譲渡された間柄である。

     

    (3)「本紙コラムニストのウォルター・ラッセル・ミードが2019年に述べたように、「欧米の無責任な振る舞いのせいで、中国はミャンマーにとって、より安定した信頼できるパートナーのように見える」。トランプ前大統領の大国外交はともすれば雑な取引になりがちだった。一方、バイデン氏のチームは逆方向に大きく旋回しすぎ、米国の核心的利益を犠牲にしてもリベラルな価値観を強調する可能性がある。アジアにおける米国の優先課題はビルマのような独立国家に対する中国の支配力を制限することだ。同国はインド太平洋の戦略的な位置にある。中国はクーデターを非難するのを控えているが、恐らく軍事政権との外交ルートを築こうとする思惑があるのだろう」

     

    ミャンマーの地政学的重要性を見落とせない。軍事政権への短兵急な接し方は、絶対に避けるべきだ。

     

    (4)「欧米でかつて人道主義の英雄とみなされたスー・チー氏は、イスラム系少数民族ロヒンギャへの自国政府の対応を巡り、自身のリベラルな強みの一部を犠牲にした。同氏は不幸にも、緊張をはらんだ民族政治に屈することになった。ビルマは、民主主義と人権を巡る困難なジレンマを突き付けている。だが、同国がこれ以上中国の意向に沿うことになれば、米国の関与する余地は限られてくる。軍事クーデターへの米国の対応はアジアの戦略的状況を考慮しなければならない。そのためには道徳上の非難だけでなく、現実的な外交政策が必要となる

     

    下線部のように、軍事政権へはメンツの立つ方法で接触すべきである。くれぐれも、中国側へ追いやることだけは避けるべきである。

     

    次の記事もご参考に。


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    2020-10-28

     

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