中国は2月1日から「海警法改正」施行により、警備船に武器を所持させ公海上で外国船舶に使用する権限を与えた。これは、極めて危険な行為であり国際法違反である。日本では、尖閣諸島でそのリスクが発生する恐れが強くなってきた。米国は、この海警法施行に当たり中国へ警告を発している。
米国務省は2月19日、中国で施行された海警局に外国船舶への武器使用を認める海警法に懸念を表明した。
国務省のプライス報道官は定例記者会見で、同法の文言が東・南シナ海で「近隣国を脅かす目的」や「違法な海洋権益を主張するために使用される」ことを米政権は懸念していると述べた。さらに、米国は「南シナ海の大半の地域を巡る中国の海洋権益に関する主張は完全に違法」とするポンペオ前国務長官の発言を再確認するとし、日本やフィリピンとの同盟国としてのコミットメントを堅持すると強調した。以上は、『ロイター』(2月19日付)が報じた。
『日本経済新聞』(2月25日付)は、「尖閣で領海侵入、米が中国非難 海警法施行でリスク増大 偶発的な衝突警戒」と題する記事を掲載した。
米国防総省は2月23日、中国海警局の船による沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海への侵入をやめるよう非難した。中国による「海警法」の施行で、平時とも有事とも区別できない「グレーゾーン事態」がおきるリスクが増した。米国は中国に自制を促すとともに、偶発的な衝突への警戒を強める。
(1)「国防総省のカービー報道官は23日、海警局による領海侵入について「誤算につながり、物理的な損害を生む可能性がある」と批判した。記者団からの質問に答えた。当初は「こうした行動への懸念を明確に表明している」と述べるにとどめたが、その後、中国に行動を改めるよう明確な表現で言い直した。カービー氏は「米国は尖閣での日本の主権を支持する。中国にこうした行動をやめるよう求めている」とも語った。国際秩序を維持するため、戦力の近代化や同盟国との協力強化に努める方針を強調した」
米国が、尖閣諸島を巡る中国海警船の領海侵犯について警告した。これまでになかったことである。
中国は、次のような戦術を取ると予想されている。
1)中国は、大量の漁船を尖閣諸島へ向かわせ、日本の海上保安庁の警備艇と衝突事故を起こさせる。
2)中国は、兵器を積んだ海警船によって無防備の保安庁警備艇を追い払う。
3)その間に、中国漁民を尖閣諸島へ上陸させる。
4)中国軍は、航空機で食糧・武器・弾薬を運び込み、尖閣諸島占領を終了する。
以上のような手順で「尖閣占領」を済ませるというのだ。ここから中国漁民を追い払うには、防衛よりも2倍の犠牲が出ると予測されている。そこで、前記の1)の段階において、海上自衛隊が早期に出動して、上陸防止が最適手段と指摘されている。中国との関係が悪化するとか躊躇していると、その隙を突かれるだけである。日本は、防衛手順を決めておき、それを自動的に発動して退去させることだ。その手順について、米軍と調整しておく。
(2)「バイデン政権は、対中政策の検証を進める。その一環で米軍は6月上旬までにオースティン国防長官に提出する報告書をまとめる。日本の役割も含めて東シナ海、南シナ海を包含するインド太平洋での警戒態勢や軍事作戦も検証の対象となる。内容次第では中国の行動に効果的に対処する態勢を米軍がとる可能性もある。バイデン政権の内情に詳しい関係者によれば日本の役割拡大への期待は大きい。バイデン政権は首脳の電話協議などを通じ、尖閣が米国による日米安全保障条約第5条の適用対象だと繰り返し確認している」
下線のように、米軍は6月上旬までにインド太平洋戦略の具体案を決めるという。尖閣諸島防衛もその一環として取り挙げるはずだ。
(3)「日本政府はカービー氏の発言を好感している。茂木敏充外相は24日の記者会見で、発言を「歓迎する」と表明した。カービー氏は尖閣に関して日本の「主権を支持する」とも言明した。米国はこれまで尖閣における日本の領有権を明言していない。記者団とのやりとりの中で出た発言でもあり、日本外務省幹部は「政権として従来の立場を変更したわけではない」と分析する。日本政府は海警法施行を受け、中国海警局の尖閣周辺での活動に対する批判と国際社会への発信を強めてきた。1日の施行直後は「(海警法が)国際法に反する形で運用されることがあってはならない」と指摘していた」
米国政府が、尖閣諸島防衛に積極姿勢を見せているのは理由がある。
1)尖閣諸島が中国の手に渡ると、中国海軍は直接、太平洋へ出られるので潜水艦による米本土攻撃が容易になる。
2)尖閣諸島を埋め立て軍事基地にして、台湾と沖縄への攻撃拠点にする。
前記の2点が現実化すると、日米双方にとって重大な軍事危機が迫ってくる。ここは用意周到に準備して、中国の尖閣諸島略取を絶対に防止しなければならない。
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