文大統領は、内外の政策で完全に袋小路へ入り込んだ。文氏が政治生命を懸けた南北交流は、米国バイデン大統領が金正恩と面会しない方針で宙に舞うことになった。文氏の大統領在任期間は、あと13ヶ月を残すのみである。国内では、次期大統領選の候補者選びが始まる。文氏のレームダックは確実だ。文氏は、内外で何も業績を残せなかった大統領になろう。
『中央日報』(3月31日付)は、「金正恩に会うことはない、これがバイデンスタイル…韓国の『トップダウン推進』立場を事実上拒否」と題する記事を掲載した。
北朝鮮へのアプローチをめぐる韓国と米国の隔たりが克明に表れた。韓国は北朝鮮非核化のために米朝の首脳が直接会うトップダウン方式を好むが、米国は米朝の首脳が会うことはないという点を明確にした。北朝鮮は弾道ミサイル発射試験に続き、30日には金与正(キム・ヨジョン)労働党宣伝扇動部副部長の談話で文在寅(ムン・ジェイン)大統領に向けて「米国産オウム」「厚顔無恥」などと暴言を浴びせ、文政権が推進する南北協力に呼応する考えがないことを表した。米国とは隔たりが浮き彫りになり、北朝鮮には拒否され、文政権の北朝鮮政策は「総体的難局」に直面している。
(1)「米ホワイトハウスは29日(現地時間)、バイデン米大統領は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会う考えはない、と明らかにした。サキ報道官はこの日の定例記者会見で、「大統領は北朝鮮と一定形式の外交をする準備ができていると話したが、金委員長と向き合って座ることも含まれるのか」という質問を受けると、「彼(バイデン大統領)の接近方式はかなり異なると考える。それは彼の意図ではない」と答えた。ホワイトハウスと米国務省はバイデン政権の発足直後から北朝鮮に対する「新しい接近法」を予告してきたが、首脳会談の可能性を一蹴したのは異例だ」
文氏は、大統領在任中になんとしてもあと一回、金正恩氏と会談したい。これによって、南北交流を軌道に乗せたいとしているが、不可能になってきた。7月の東京五輪で、日米韓朝4ヶ国首脳会談を開きたいという夢物語は完全に消えた。
(2)「文在寅政権はバイデン政権にシンガポール式の米朝首脳会談を提案するなど、トランプ式の北朝鮮政策の延長線で政策を推進すべきだという立場を伝えたが、結局、拒否されたのだ。ブリンケン国務長官は国連体制内で同盟と共に北朝鮮の核問題を扱うと強調した。ブリンケン長官はこの日、ニューヨークの海外メディア向けプレスセンターで記者会見し、「(北朝鮮の)弾道ミサイル発射は国連安保理決議を違反し、地域と国際社会を脅かすため、我々そして国連体制を含む同盟とパートナーの糾弾対象だ」と明らかにした。これに先立ちバイデン大統領は25日、「ミサイル発射は国連安保理決議1718号違反」と宣言し、米国は直ちに安保理傘下の北朝鮮制裁委員会を招集した」
米国は、トランプ大統領時代の米朝トップ会談で問題解決する方式を捨てた。全て、国連や同盟国と一致した行動によって、北朝鮮へ圧力を掛ける方式へ戻る。文大統領が、単騎で動いてもどうにもならない状況になっている。
(3)「トランプ政権の北朝鮮政策がトランプ-金正恩間の首脳外交に焦点を合わせたのに対し、バイデン政権は韓日米3カ国の連携や中国など周辺国の関与を強調した。ブリンケン国務長官は「我々は北朝鮮問題に関しては米韓日間の調整がどれほど重要であるかを知っている」とし「3カ国は北朝鮮の挑発に対抗して朝鮮半島非核化を進展させるという約束の前で団結している」と評価した。
米国は、先ず日米韓3ヶ国で北朝鮮の徴発に対抗する姿勢である。韓国だけの動きを封じている。
(4)「ブリンケン長官は最近、韓国と日本を訪問した当時、北朝鮮核問題を主な議題とし、アラスカ州アンカレジで中国側とも議論したと伝え、「中国と意見がある程度一致する分野の一つだと考える」と述べた。北朝鮮の同盟であり経済的な命綱である中国までも引き込んで北朝鮮を圧迫するという米国の意志を表している」
米国は、中国とのアラスカ会談において北朝鮮問題で歩み寄りの可能性がある、と見ている。中国は、北朝鮮問題で米国へ歩みよらざるを得ない事態を抱えているようだ。その中身は不明である。
(5)「米軍は30日、米陸軍ホームページで、在韓米軍をはじめとするインド太平洋地域の米軍が今月初めから12日までミサイル防衛合同訓練をしたと、今になって公開した。太平洋地域駐留米軍のミサイル防衛部隊が合同訓練に同時に参加したのは初めてだ。訓練に参加した米軍部隊の配置地域を見ると、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を想定している可能性が高い。今回の訓練を自衛隊は参観した可能性が高いが、韓国軍は参加しなかった。軍関係者は「米軍は韓国軍に参加を要請しなかった」と話した」
下線部のように、米国は韓国と一線を引いている。韓国とは、「腹を割った話合い」を避けているようにも見える。韓国を信頼しきれないという面があるのだろう。