勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年03月

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    文政権は、世論調査によって思いの外弱体化していることが判明した。首都ソウル市長選(4月7日投票)は、野党候補が47.3%の支持を集め、与党候補に16.7ポイントもの大差をつけていることが分かった。

     

    ソウル市長は、「小統領」とも称されるように、「大統領」への椅子が最も近いポストとされている。閣僚級の待遇を受ける唯一の広域自治体首長である。政府の閣僚会議に参加する資格を与えられているのだ。

     

    このソウル市長選で、野党候補が当選すればどういうことになるか。閣僚会議に野党出身者が席を持つのである。文政権のレームダックを象徴するような話になろう。

     


    『聯合ニュース』(3月29日付)は、「ソウル市長選の支持率 野党候補47.3%で与党を16.7Pリード」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の世論調査会社、エムブレインパブリックが29日に発表した調査結果によると、ソウル市長選(4月7日投開票)の野党陣営の統一候補、保守系最大野党「国民の力」の(オ・セフン)元ソウル市長の支持率は47.3%。革新系与党「共に民主党」候補の朴映宣(パク・ヨンソン)前中小ベンチャー企業部長官(30.6%)を16.7ポイントリードした。調査は26~27日、ソウル市内に住む18歳以上の800人を対象に行われた。野党候補の呉氏は年齢、地域、職業を問わず支持を集めた」

     

    野党候補(呉氏) 47.3%

    与党候補(朴氏) 30.6%

     

    支持率でこれだけの差がついたのは、野党候補が一本化した結果だ。野党は、「政権交代」を訴えており、来年3月の大統領選勝利を目指している。朴槿惠・前大統領は、国政壟断によって弾劾辞任という不名誉な結果だった。現在の野党(前与党)は、苦しい立場に追込まれていた。それが、文政権の「オウンゴール」によって、復活の糸口を掴んだ形になった。

     

    与党は、余りにも無策の上に与党の利益を露骨に追い求めてきた。これが、世論の反発を受けて、与野党が逆転する事態を迎えようとしている。

     


    (2)「与党の支持層が強いとされる40代では、呉氏の支持率は与党候補の朴氏(39.4%)をわずかに上回る41.3%にとどまった。中道層では呉氏が51.6%で、朴氏(26.6%)に2倍近い差をつけた。「現政権をけん制するため野党候補が当選すべきだ」と答えたのは55.6%、「現政権を支援するため与党候補が当選すべきだ」としたのは29.2%だった」

     

    選挙に大きな影響を及ぼすのは、中道派の動きである。野党候補の呉氏が、中道層の51.6%の支持を集め、与党候補の朴氏(26.6%)に「ダブルスコア」に近い差をつけている。

     

    現政権をけん制するため野党候補が当選すべき 55.6%

    現政権を支援するため与党候補が当選すべき  29.2%

     

    文在寅政権は、朴槿惠政権の二の舞いに陥っている。文氏は、「積弊一掃」という合い言葉で、反日=反保守を一括りにして、進歩派による長期政権を目指す布陣を優先した。政策実現よりも、政権の長期化という「独裁政治」と同じ軌道を歩み始めていたのだ。これが、世論のしっぺ返しを受けた最大の理由であろう。

     


    文政権は、巻き返しを計っている。不動産投機を行なった公職者を徹底的に摘発するというのだ。

     

    『聯合ニュース』(3月29日付)は、「地位・政治利益問わず不正投機追及を 文大統領」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は29日に開かれた「公正社会反腐敗政策協議会」で、「都市開発過程であった公職者らの投機行為について所属と地位を問わず、厳しく処分しなければならない」として、「国の行政力と捜査力を総動員してほしい」と指示した。

     

    (3)「また、「政治的な有利不利を問わず、最後まで追及してほしい」として、「違法行為は断固として処罰し、不当利益を徹底的に回収しなければならない」と強調した。宅地開発などを手がける公共機関、韓国土地住宅公社(LH)の職員らが新都市に指定される前の地域の土地を投機目的で不正に購入した疑惑の徹底究明を強調したのに続き、不正投機の根絶に向けた強い意志を示した発言とみられる」

     

    与党議員はこれまで、自ら不動産投機に手を染めたケースが相次いだ。政府与党は、それに対して厳しく対応することもなかった。そういう甘い処理が、公務員の規律弛緩を招いたと言えよう。

     

    さらに、文氏の「綱紀粛正」命令に水をさす事件が持ち上がった。

     

    大統領府で経済政策を担当する金尚祖(キム・サンジョ)政策室長(閣僚級)は29日、不動産がらみの不祥事で更迭された。文政権の不動産腐敗構造が、もはや止まらない状態であることが明らかになった。

     

    氏は不動産価格の高騰を受け、住宅賃貸料の値上げ幅を従来の賃貸料の5%以内に定めた住宅賃貸借保護法の改正案が施行される2日前の昨年7月29日、自身が保有していたソウル市内マンションの「伝貰」(家賃の代わりに入居時に高額を預ける賃貸方式)の保証金を8億5000万ウォン(約8200万円)から9億7000万ウォンに14.1%引き上げ、賃借人と契約を更新したことが判明したのである。「どいつもこいつも」不動産投機ボケ状態である。政府高官としての矜恃がないのだ。

     

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    習近平氏は、国内で脅迫政治を行なっているが、外交面でもこれを使って圧力を掛けている。21世紀の現在、考えられない野蛮な手法である。

     

    中国は、南シナ海を自国領海とする「強盗手法」を用いて、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内へ約200隻の漁船を集結させている。悪巧みをしていることは確実である。ロイター通信によると、3月28日(現地時間)、フィリピン国防省は南シナ海のウィットサン礁近くに停泊中の中国船220隻の即刻退去を要求するために戦闘機を出撃させた。


    これについて、デルフィン・ ロレンザーナ比国防長官は声明で「軍用機を毎日送って主権巡察を行っており、状況を監視している」とし、「フィリピンの漁船を守るために海軍駐留を強化する」と述べた。

     

    中国船舶は、3月7日からデモを行うかのように群れを成し、同海域に留まっている。領有権紛争中のフィリピンとベトナム政府も中国に公式抗議した。これについて中国は駐フィリピン中国大使館を通じて「当該船舶は漁船で、荒波を避けて停泊しているだけだ」と反論した。

    『日本経済新聞 電子版』(3月29日付)は、「中国、ASEANに関係格上げ要求」と題する記事を掲載した。

     

    中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)に対し、外交関係を「包括的な戦略的パートナーシップ」に格上げするよう求めていることがわかった。現状は米国、欧州連合(EU)、日本などと同じ「戦略的パートナーシップ」。中国は政治、経済、安全保障で欧米よりも深い関係を求めるが、ASEANは等距離外交を続ける構えだ。

     

    (1)「外交関係者によると、2020年の高官級協議で中国側が、21年中に実現したいとASEANに伝えてきた。ASEAN側の窓口は21年半ばまで「対中調整国」を担うフィリピンだ。同国のロクシン外相は1月中旬にマニラで会談した中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相から改めて、格上げを求められた」

     

    中国は、ASEANを中国側へ引っ張り込むために漁船約200隻をフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内へ送って嫌がらせをしている。これを監視するフィリピン軍用機は、韓国製である。

     

    (2)「ロクシン氏は1月下旬のASEAN外相会議でほかの加盟9カ国の外相に「中国の提案を検討したい」と呼びかけた。ロクシン氏は「(米中など)大国間の争い」に巻き込まれずに等距離外交を保つことが大事で、全会一致で決めるべきだと主張した。南シナ海の領有権を中国と争うASEAN加盟国は多い」

     

    フィリピンのロクシン外相は、ASEANが米中などとの等距離外交を保つことを主張している。中国は、このフィリピンの意見を変えさせるため200隻もの漁船をフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に止めて威嚇しているのだ。

     

    (3)「中国は3月上旬以降、フィリピンやベトナムなども領有権を主張する南沙(英語名スプラトリー)諸島のサンゴ礁付近に200隻前後の漁船を停泊させている。フィリピンの排他的経済水域(EEZ)の一部だ。漁船は中国の「海上民兵」が習近平(シー・ジンピン)指導部の意向で配備したとフィリピン政府はみている。中国は多数の漁船を停泊させることで、南シナ海の実効支配を続け、譲歩しない姿勢を東南アジア諸国や、対中警戒を強める米国に向け、強調しているとみられている。こうした行動は、中国の提案を巡るASEAN側の姿勢に影響しそうだ」

     

    こういう中国の有無を言わせない圧力は、絶対に許してならないことである。インド太平洋戦略を発動させて、すぐにでも追い払ってしまいたい衝動に駆られるが、いかんともし難いものだ。

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    3月18日の米中外交トップ会談は、記者団の前で1時間双方の非難合戦となった。とりわけ、中国の米国非難は喧嘩腰であり、礼儀を重んじる外国交渉にふさわしくなかった。実は、あの荒くれ会談の冒頭1時間のシナリオが、中国によって練られた結果という事実が判明した。

     

    『大紀元』(3月29日付)は、「中国外交トップの『騒ぎ立て』は演出?トランプ政権対中ブレーン、米中会談の裏明かす」と題する記事を掲載した。

     

    ポンペオ前国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏はこのほど、米中アラスカ会談は中国側の要請で行われたものだと明かした。さらに、北京は米新政権がトランプ政権の対中政策を転換させると期待していたが、その期待が打ち砕かれたため、会談を利用して「騒ぎ立てた」と指摘した。マイク・ポンペオ前国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏は今年1月、トランプ政権の政権交代で辞任した後、ポンペオ氏と共にワシントンのシンクタンク、「ハドソン研究所」に所属している。

     


    (1)「3月18日に行われた米中アラスカ会談の前、中国外務省の趙立堅報道官は「中国側は米国側から両国間高層戦略対話の要請を受けた」と主張していた。しかし、ユー氏は台湾通信社「中央社」とのインタビューで、会談はそもそも中国側が米国に開催を懇願したものだと述べた」

     

    米中アラスカ会談は、中国側の要請で行なわれたという。習近平氏は6月中の訪米計画を持っていたとされるから、中国側要請は事実だろう。だから、会談会場が米国のアラスカとなったと見られる。

     

    (2)「米中高層会談の数週間前から、北京はすでに米国の対中政策を覆すことが不可能だと知っていたと明かした。「北京の当初の主な目的は、バイデン政権に前トランプ政権の対中政策を全面的に覆すよう働きかけることだった。しかしバイデン政権は新疆、チベット、台湾、香港、貿易、南シナ海などの重要問題において、基本的に前トランプ政権の政策を継続させている。希望が打ち砕かれた北京側は逆ギレし、アラスカ会談を利用して米国を罵倒し、国内での宣伝効果を狙った」と説明した」

     

    米中会談前から、中国がトランプ政権時の対中政策の撤廃を要請していたというニュースも流れていた。これに対して、米国が厳しいレッドラインを示すという情報も報じられていた。

     

    それゆえ、中国が厳しい会談になることを想定していたことは確かだ。中国国内向けに、下線のような逆ギレを演出して米国非難演説をしたのは予定どおりと言えよう。

     


    (3)「同氏はまた、会談に参加した中国の外交担当トップ、楊潔篪氏はこれまでの「穏やかで、礼儀正しく、質素な」イメージを一変させて戦狼になったのには、間違いなく習近平氏の指示によるものであると指摘した。ユー氏は米中間のケンカは悪いことではないと考えている。「アラスカで感情を爆発させた中国の言動は、中国の外交の失敗を示した。中共に対して少しでも幻想を抱いていた米国人や各国政府にとっても良い授業となったはずだ」と述べた」

     

    楊潔篪氏は、これまで米国との交渉で成果を上げたことで現在の地位にあるとされている。ところが、バイデン政権ではこれまで通りの実績を上げられないと判断し、習近平氏の指示通り「悪役」に一変したと見られる。この豹変こそ、中国外交の本質である。世界中に、中国外交の粗野な姿を見せつけたので、従来の幻想を捨てさせる上で好都合となった。

     

    (4)「米中関係の将来について、ユー氏は北京の行動が変わらなければ、どの政党がホワイトハウス入りしても、米国の対中政策は基本的に変わらないと指摘した。「米国民は中国共産党の統治と米中関係の本質について新たな認識を持つようになった。このことは米国の外交政策にとっては非常に強力な礎と原動力となるだろう」。同氏は世論を反映する米国議会でも、過去数年間に可決された対中関連法案も非常に一貫していることから、議会の対中見解は基本的に一致していることがわかると説明した。「つまり、政党を問わず、また誰が大統領になろうと、みなこの現実を尊重せざるを得ない」と付け加えた」

     

    米国外交は世論を反映する。世論の急変がない限り、政権交代しても外交政策の基本に変化はないのだ。これが、理想的な外交政策とされている。米国外交が超党派的であるのは、外国の理想型を追っている結果である。

     

    (5)「同氏はさらに、「もし中国が国際社会のルールを守らなければ、世界でますます孤立することになるだろう」と強調した。ユー氏は、「共産主義は一種の幻想的な承諾でしかなく、中国では未来がないのだ。その点に関しては中国の人々はみな知っている。共産党内の多くの人々もそれを知っている。しかし皇帝が服を着ていないという現実をあばく勇気と度胸のある人が誰もいないだけだ」と述べた。ユー氏は、台湾は非常に健全な社会であり、民主主義のモデルであるとし、「中国人は台湾から学ぶべきだ」と述べた」

     

    中国外交は、独裁者の意向一つで動いている。それだけに、極めて危険な要素を秘めている。中国の突発的軍事行動を抑制するためにも、同盟国は結束して隙を与えない努力が必要になる。

     

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    文政権は、選挙で勝つために何でもやることを証明しようとしている。過去は、これが成功してきたが、今回の公務員「土地投機根絶案」で文政権不人気を挽回できるか不明である。

     

    ソウル市と釜山市という韓国の1位・2位の市長選で与党候補が不利な状況に追込まれている。不人気な理由は、住宅高騰の裏で公務員が土地投機して大儲けしている事件が発覚したからだ。その不正も、100人以上がかかわったという「集団土地投機」で、国民の怒りが収まらないのである。

     

    韓国で、公務員の土地投機が大きな社会問題になった背景は、「新階級」が生まれているという絶望感がある。新階級とは、「公務員・学閥・不動産」の3つを指す。今回の公務員による不正な土地投機は、公務員と不動産が合体しているところに国民の大きな反発がある。

     

    公務員試験に合格するには2~3年の就職浪人が当り前の社会だ。そうして得た資格を悪用して土地投機で利益を懐にする。朝鮮李朝時代の役人の両班(ヤンバン)が、農民を収奪していたころと瓜二つの現象である。韓国社会は、韓服から背広に替わっただけで、公務員(役人)の行動に何らの変化もないのだ。

     

    『中央日報』(3月29日付)は、「韓国、すべての公務員財産登録 過去に投機で稼いだ利益まで没収推進」と題する記事を掲載した。

     

    公職者が過去に不動産投機で稼いだ利益まで遡及して没収する案を与党が推進する。親日反民族行為と同一線上で処罰するという趣旨だ。財産登録範囲は9級までの元公職者に拡大することにした。与党「共に民主党」と政府は28日に高位協議会を開きこうした方向で公職者投機根絶対策を協議した。29日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領主宰で開く緊急反腐敗政策協議会で対策を確定し発表する。



    (1)「この日の高位政府与党協議会に参加した民主党の金太年(キム・テニョン)代表代行は「現行法でも公職者の不動産投機の不当利益を没収しておりすでに推進中。不十分な部分があると判断されれば没収に向けた遡及立法に出るという点を明確にする」と明らかにした。犯罪行為を処罰する法律の大部分は遡及適用されない。憲法上、法律が作られた時点以降の犯罪行為にだけ適用する。「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」程度だけが例外だ。過去の日帝強占期に親日派が蓄積した財産は遡及して没収できる」

     

    韓国では、盧武鉉政権時代に「日本憎し」で親日子孫の財産を没収する法律を作った。これは、時期を遡って法律を実施する「遡及」という特別の手法である。今回の土地投機による利益没収は過去に遡るというのだ。ここまでやれば、選挙対策として十分という狙いであろう。ただ、朝令暮改の韓国与党のこと。市長選が終われば、取り消すこともありうると観測されている。

     

    (2)「民主党のチェ・インホ首席報道官は「政府与党では具体的議論がなかったが、党最高位では公職者の地位を利用して投機利益を得たり試みたりした者を親日反民族行為者と同列と規定して投機犯罪を取り扱おうという議論があり共感が形成された。遡及立法が推進されるだろう」と明らかにした。現在政府与党内部では韓国土地住宅公社(LH)職員の土地投機で議論になった第3期新都市までに遡及適用する案も議論されている」

     

    ここで、改めて「親日」を持ち出してくるところが「ミソ」である。国民に「反日意識」を想起させる効果を狙っている。「反日」と言えば、選挙に勝てるという妄念に取り憑かれているのだ。

     

    (3)「公職者の土地投機犯罪に対する処罰水準も非常に高くなる。未公開情報を持って土地・住宅など不動産を売買し50億ウォン以上の不当な利益を得た公職者は最大で無期懲役に処する。不当利益規模が5億ウォン以上50億ウォン未満であれば3年以上の有期刑に処する。不法行為で得た利益は没収され、不当利益の3~5倍に相当する金額を罰金として払わなくてはならない。現在4級以上の公務員を基準とする公職者財産義務登録範囲も元公務員に拡大する。財産公開対象ではなかった5~9級まで広がる。公務員任用と同時に財産公開対象になることもあるという意味だ」

     

    下線部分は、最大で無期懲役という。なにか、中国の公務員が賄賂を受け取って無期懲役に処せられるのと似たような話だ。中韓の儒教社会は、公務員が民衆を食い物にしている「同じ穴の狢(むじな)」である。公務員は、「パブリック・サーバント」という認識に欠ける点で、マックス・ヴェーバーの指摘するように、近代官僚制とちがった「家産官僚制」と言わざるを得ない。お気の毒だが、韓国社会は時代遅れなのだ。

     





     



    あじさいのたまご

       

    ミャンマーの地元メディアや目撃情報によると、「国軍記念日」の式典が開かれた3月27日、治安部隊が各地で抗議デモの参加者に発砲し、複数の子供を含む114人が死亡。2月1日のクーデター発生以降、最悪の被害者を出した。

     

    市民グループによると、軍用機が少数民族カレン族の自治を行う地域の村を空爆し、少なくとも2人が死亡した。反政府組織のカレン民族同盟はこれに先立ち、タイ国境に近い国軍の拠点を襲撃し、国軍中佐ら10人を殺害したと表明。近年比較的平穏だった同地域で緊張が高まっている。『ロイター』(3月28日付)が伝えた。

     


    国軍のクーデターは、解決の目途がつかず泥沼化している。解決策は唯一、国軍が正気を取り戻すことである。主要国12ヶ国の軍制服組トップが、ミャンマー国軍を非難する異例の共同声明を発表した。

     

    『大紀元』(3月28日付)は、「ミャンマー、民間人に対する軍事力の行使を非難 日本を含む12カ国の軍制服組トップが異例の共同声明」と題する記事を掲載した。

     

    陸海空自衛隊の指揮組織・統合幕僚監部の幕僚長である山崎幸二陸将は3月28日、ミャンマーで起きている事態に対して、同国軍による暴力行為を非難し、平和的な解決を求める12カ国の制服組トップの共同声明を発表した。声明は、ミャンマーの事態に対してオーストラリア、カナダ、ドイツ、ギリシャ、イタリア、日本、デンマーク、オランダ、ニュージーランド、韓国、英国、米国の参謀長などが参加。政府首脳や外相など文民ではない軍事組織トップによる非難声明はまれ。 

     

    (1)「声明は、「参謀長などとして、我々はミャンマー国軍と関連する治安機関による非武装の民間人に対する軍事力の行使を非難する」とし、「プロの軍隊は、行動の国際基準に従うべき。自らの国民を害するのではなく保護する責任がある」と指摘。「我々はミャンマー国軍が暴力を止め、その行動によって失ったミャンマーの人々に対する敬意と信頼を回復するために努力することを強く求める」としている」

     

    下線部のように、国民を守るべき国軍が国民に銃を突きつけている構図は、暴力団そのものの振舞である。「プロの軍隊」がやるべきことでないとまで酷評されている。ミャンマー周辺国の制服組トップは非難声明に加わっていない。この際、勇気を出して非難すべきであろう。中国が非難に加わっていないのは、軍事クーデターと関係がある証拠と疑われるであろう。

     

    (2)「ミャンマーでは2月、クーデターが発生し、全土が軍事政権の支配下に置かれている。外務省によると継続的な市民への武力弾圧が起きている。3月27日にも、ヤンゴン市内および各地方で軍事政権に反対するデモ活動があり、当局の発砲による死亡事案が発生したという。また、各地で、デモに参加していない住民に対する暴力も報告されている。当局による制圧のための動きは一層厳しくなっているとみられる。国軍記念日を迎え、首都ネピドー郊外では国軍が軍事パレードを行った。クーデターに抗議する市民らはデモを実施。オンラインメディア「ミャンマー・ナウ」によれば、デモ参加者に対して、治安部隊が発砲し、少なくとも114人が死亡したという」

     

    3月27日の1日で、114人もの犠牲者が出ている。国連軍を組織して国軍を鎮圧しなければ、犠牲者は増えるばかりだろう。国営テレビは事前に、式典の妨害行為をすれば射殺されると警告していた。クーデター発生以降の死者は、27日で合計440人を超えたとみられる。

     


    (3)「27日、国連のグテレス事務総長は声明で、暴力を伴うデモ鎮圧で多数の死者が出たことについて「最も強い言葉で非難する」と表明。国際社会に「一致して断固とした対応」を取るよう呼び掛けた。10日、国連の安全保障理事会は、ミャンマーでの状況を非難する議長声明を採択した」

     

    首都ネピドーで行われた国軍記念日の式典には、ロシアのフォミン国防次官が出席した。外交筋によると、式典にはロシア、中国、インド、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、ラオス、タイの8カ国の代表が出席したが、次官級が出席したのはロシアだけだった。『ロイター』(3月28日付)が伝えた。

     

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