勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年04月

    ムシトリナデシコ
       

    4月23日の本欄で、昨年の中国人口は瀋陽市を初めとする大都市において「人口減」に突入したと報じた。中小都市に続き、中国の一部の主要大都市でも本格的な「人口マイナス成長」時代になった。中国全体の人口減が明らかになったのは、今回のニュースが初めてである。

     

    中国は世界覇権を狙うと豪語してきたが、覇権狙いどころか足元のふらつく経済へ落込むことになった。一方の米国では、メキシコ国境に何十万という移民予備軍が殺到している。米国はその気になれば、いつでも人口調整できる恵まれた条件下にある。人口動態だけ見ても、中国は米国を凌駕できる状況でないことを証明した。中国の敗北である。

     


    『フィナンシャル・タイムズ 電子版』(4月28日付)は、「中国、人口減少発表へ 大躍進政策以来初めて」と題する記事を掲載した。

     

    中国では2020年12月に最新の国勢調査が完了しているが、結果はまだ発表されていない。調査について知る関係者らによると、中国の総人口は14億人弱と発表される見込みだ。19年時点での中国の人口は14億人を突破したと発表されていた。関係者らによると、極めて慎重に扱う必要のある数字とみなされているため、データとその意味合いについて政府の関係各部局の見解が一致するまでは公表されないという。

     

    (1)「中国政府は国勢調査結果を4月初旬に発表する予定だった。中国国家統計局の劉愛華報道官は16日、公表前に「さらなる準備」が必要になったことが遅れの一因だと述べた。遅れはソーシャルメディア上で広く批判されている。地方の当局者も発表を前に備えを固めている。安徽省統計局の副局長は4月の会議で、当局者は国勢調査結果を解釈するために「議題を設定する」とともに、「世論の反応を注視すべきだ」と主張している」

     

    中国政府は、ストレートに人口減の現実を発表できないで悩んでいる。

     

    (2)「中国の人口が減少すれば、現時点で推計13億8000万人のインドが早々に人口世界一となる可能性があるとアナリストらはみている。人口の減少は消費から高齢者介護まで、アジア最大の経済大国に広範な影響を及ぼしそうだ。黄研究員は「中国の人口動態上の危機は予想以上のペースと規模になっている」と説明する。その上で「国に破壊的な影響をもたらす恐れがある」と語る」

     

    国連推計では、2027年に中国人口はインドに世界1位を譲ることになっていた。中国が昨年、人口減になったのであれば、中国の1位陥没は早まる。日本がその例であるが、人口減は、社会保障費負担に大きな影響が出てくる。国防費に湯水のように金を使えなくなるはずだ。習近平氏にとっては、悪夢が始まるはずである。

     

    (3)「中国では15年に政府が数十年来の家族計画政策を緩和し、全てのカップルが1人ではなく2人の子どもを持てるようにした後も出生率が低下している。中国の人口は1970年代末に「一人っ子政策」が導入されてからも、共産主義革命後の若年世代の膨張と長寿化の影響で増加していた。公式統計によると、中国の出生数は2016年に増加した後、3年連続で減少した。当局者はこの減少について、若年女性人口の減少と子育て費用の増大が原因だとしている

     

    下線部だけが理由ではない。女性の価値観が変わったのである。最早、専制主義で中国を統制できる時代が終わったことを意味している。監視カメラで四六時中、監視されている中国社会が、若い女性から忌避されていることに気付くべきだった。

     


    (4)「実態はさらに悪化している可能性がある。中国人民銀行(中央銀行)は先週公表した報告書で、中国の合計特殊出生率(1人の女性が生涯のうちに産む子供の数)は1.5を割り込んだと推計している。公式の推計値は1.8だ。「中国が出生率を過大に推計しているのはほぼ事実だ」と人民銀は指摘している。「中国の人口動態がもたらす問題は(予想以上に)大きくなる恐れがある」という」

     

    合計特殊出生率は、2015年以降ずっと水増しされている。2015年で、1.05であったはずである。それが、噓に噓を重ねてきた。現在、1を割っているはずだ。

     

    『ロイター』(4月28日付)は、「中国の人口が50年ぶりに減少―FT紙」と題する記事を掲載した。

     

    (5)「中国は出生数の増加に向け、いわゆる「一人っ子政策」を16年に廃止し、代わりに「二人っ子政策」を導入した。当時は、10年時点で13億4000万の人口を2020年までに14億2000万程度とすることを目標にしていたが、その後出生率は低下が続いている。出生率の低下と急速な高齢化は現役世代に圧力をかけ、生産性を低下させる」

     

    2010年当時、2020年の人口は14億2000万人を目標にしたが、14億人を割ったことになる。経済的には、住宅バブルが崩壊するだろう。住宅の先高期待で投機をしてきた人たちが、人口減に直面して住宅を売りに出すであろう。これは、大きな影響を与えるであろう。

     


    (6)「キャピタル・エコノミクスは28日付のリポートで「国勢調査前の数値を用いたわれわれの予測によると、労働人口は2030年まで毎年0.5%ずつ減少する。国内総生産(GDP)にも同様の影響が出る」と指摘した。「成長が鈍化すれば(中国経済が)米国に追いつくことは一段と困難になる。世界における中国の地位にも影響が生じる可能性がある」と分析した。中国人民銀行(中央銀行)は人口動態が変化したことを認識する必要があるとし「教育と技術の進歩で人口の減少を補うことはできない」と警告した」

     

    労働人口は、2030年まで毎年0.5%ずつ減少する。GDPにも同様の影響が出ると予測されるに至った。中国経済の敗北は、確定的である。世界覇権への挑戦などと言っていられる状況でない。

     

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    経済力に裏打ちの米外交

    米は潜在成長力を上回る

    米ロ首脳会談で突破口へ

    回復の山越えた中国経済

     

    米国バイデン政権は、間もなく発足後「次の100日」を迎える。これまでの「100日」は、外交面で米同盟国の結束、とりわけインド太平洋戦略対話の「クアッド」(日米豪印)の結束を固めた。内政面は、コロナ対策と大型景気刺激策(1.9兆ドル)を軌道に乗せることに全力を上げた。外交・内政のいずれも、見通しがついたところである。

     

    米国景気は、過去にない回復力を見せている。中国景気は、不動産バブルを崩壊させることなく、いかに静かに収束させるか、「腫れ物」に触るような神経過敏症に陥っている。この好対照な米中の動きは、世界のエコノミストの目算を狂わせている。中国が、コロナ収束後、最も早く景気回復軌道に乗ると見られていたからだ。だが、米国は、中国のような不動産バブルという「業病」を抱えている訳でなく、前記1.9兆ドルの寄与があって、21~22年の力強い回復力で世界の誤解を打ち消すはずだ。

     

    米国が、景気刺激策で強くアクセルを踏込んだのはなぜか。中国の民族主義者に囲まれた習近平氏が、パンデミック後の米国経済回復力を弱々しいと見ていることへの反発である。

     

    中国は、新型コロナを発症させた責任を忘れ、世界で一番早くコロナを終息させた国と間違った認識を持っている。米国は、中国の間違った認識によって、周辺国へ軍事侵攻しないよう、米国経済自体が力強く復活しなければならない歴史的使命を負っている。そのためにも、米国は中国を上回る経済成長力を見せつけ、中国の蒙昧を晴らさせなければならないのだ。

     

    経済力に裏打ちの米外交

    バイデン政権は、強い経済力によって世界外交を牽引する構想を固めている。具体的には、中国に対して海外膨張戦略を放棄させることだ。この「バイデン大構想」は、過去の米国共和党政権が行なったソ連攻略方式を応用し、中国へ覇権挑戦の無意味さを自覚させなければならない。米国のソ連攻略方式は、次のようなものであった。

     

    ニクソン政権(1969年2月~74年8月)と、レーガン政権(1981年2月~89年2月)は、旧ソ連に対して経済力で冷戦を終わらせた。具体的には、次のような外交手段を使った。

     

    ニクソン政権は、中国との極秘交渉によって対ソ連戦略で共同歩調をとることに成功した。当時の中国は、ソ連と路線闘争を行なっており、中ソ国境にソ連軍が終結するという緊迫化した事態にあった。中国は、このソ連の圧迫を逃れるために、対立していた米国と手を結び、米中が共同でソ連に対抗する構図をつくり上げた。

     


    レーガン政権は、強引な手法で日本経済との競争を制し、米国経済復活の道を開いた。その経済力を背景にして、ソ連との軍拡競争に挑んだ結果、ついにソ連と和解し「冷戦時代」に幕を閉じた。レーガンは、ゴルバチョフソ連書記長と4回の会談を重ねた。ジュネーブ(1985年11月)、レイキャビク(1986年10月)、ワシントンD.C.(1987年12月)、モスクワ(1988年6月)と首脳会談を行って相互理解を深めた。

     

    こうした歴史の転換点は、共和党大統領の手によって行なわれた。バイデン政権は民主党であるが、バイデン氏は民主党中道派である。共和党との接点は十分あるので、超党派で対中国戦略を進めることになろう。

     

    バイデン政権は、既述のように中国が米国経済に抱いている蒙昧を醒まさせなければならない。中国だけでなく、世界には中国経済の潜在成長力の高さを信じているエコノミストが存在する。こういう中で、「論より証拠」によって米国経済の強さを証明しなければ、世界中にある「中国強し」という誤解を消すことができなくなるのだ。

     


    そこで、バイデン政権が取った最初の手法は、コロナ後の回復に1.9兆ドル(約200兆円超)もの財政支出を決めたことだ。これは、米国経済に過熱のリスクをもたらすと指摘されるほどの刺激的予算である。だが、財務長官やFRB(連邦準備制度理事会)議長は、こうした批判に耳を貸さず自信満々である。それは、イエレン財務長官の就任演説に現れているように、中国の専制主義へ対抗するという目的を明白に打ち出しているからだ。

     

    イエレン氏は、前FRB議長である。FRBが、イエレン氏の意向を十分に理解して、これへ全面的な協力をする暗黙の姿勢を取っている。FRBは、2023年まで「ゼロ金利」を継続する旨の発言をしている。財政・金融の両政策が、揃って米国経済の短期復活を目指している。

     


    米は潜在成長力上回る

    現在の景気予測では、次のような見通しが最新のものである。

     

    調査会社IHSマークイットが行った調査では、2021年第4四半期の実質GDPのエコノミスト予想平均は、前年同期比6.7%増である。この予想通りであれば、現在のように深刻な不況から脱却しつつあった1983年以来、最も強い成長となる。さらに、現在の予測はパンデミック下で控え目な面もあるので、さらに上方修正の可能性を秘めている。

     

    米国では、一部のエコノミストから経済刺激策の規模が行き過ぎていると指摘されている。実際、来年の経済成長率はプラス3.3%と予測されている。これは、米議会予算局の推定する2022年末のGDP「潜在成長率」の2.7%を相当に上回る数字である。直近でGDPが潜在成長率をこれほど大幅に上回ったのは、米国が深刻なインフレ問題に見舞われていた1973年だけである。このときのインフレは、1980年代初めまで解消されなかった。以上は、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月26日付)が報じた。(つづく) 


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    韓国は、今や反日材料に事欠かない状況である。旧徴用工・旧慰安婦に加えて、福島原発トリチウム処理水の海洋放出のほかに、米国の北朝鮮政策の遅れに日本が絡んでいるのでないかと疑念を深めている。すべて「日本のせい」に擦り付けて、韓国の責任を回避している国となった。

     

    北朝鮮問題は、韓国だけの問題ではない。日米ともにミサイル攻撃のリスクに曝されている以上、韓国が運転席に座って主導権を取れる問題ではなくなった。この点が、韓国の認識不足として指摘されている。すなわち、2018年当時の認識で、北朝鮮政策を考えていることに、米国は違和感を強めている。

     

    『中央日報』(4月28日付)は、「バイデン政府、『対北朝鮮政策のレビュー』韓国政府には同盟の復元を要求するか」と題する記事を掲載した。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領が4月27日、4・27板門店(パンムンジョム)宣言3周年を迎えて「平和の時計を再び回す準備をしなければならない時」と述べたが、米朝対話再開の兆しは見えていない。まもなく発表される米国政府の初めての対北朝鮮政策基調により、米朝交渉および南北関係の行方が決まるものとみられる。

     


    (1)「バイデン行政府の新しい北朝鮮政策はこれに先立って強調してきた原則論から大きく抜け出さないというのが外交街の大方の見方だ。北核脅威を受け、同盟と緊密な調整に基づいて対応して対北朝鮮交渉の可能性を開けて外交と圧迫を併行する戦略などだ。アントニー・ブリンケン米国務長官は1月北朝鮮に向かって「追加制裁」と「外交的インセンティブ」の可能性を同時に言及したが、このような方針の延長線上で北朝鮮が非核化にあって確実な進展を見せれば、対話も可能だという意味である可能性が高い」

     

    文大統領が主張するような、生やさしい状況ではなくなっている。米国は、北朝鮮に対する全ての対策のお膳立てをして臨む方針である。つまり、最悪の場合に軍事行動も含めた戦略の決定である。

     


    (2)「何よりバイデン行政府は米中間競争構図と同盟の復元という大きな枠組みで北朝鮮を眺めているが、韓国の北朝鮮政策の認識だけが2018年水準に留まっているという指摘が出る。牙山(アサン)政策研究院米国政策研究センターのジェームズ・キム上級研究委員は「対北朝鮮政策がまだ発表されていないだけでなく、駐韓米国大使がまだ空席で、国務省内の対北朝鮮政策特別代表席が維持されるかどうかも分からない状況は北朝鮮問題が米国の外交政策でそれだけ低い順位に押されていることを反映する」として「たとえバイデン行政府が制裁緩和や経済協力など開かれた姿勢を見せても、その言葉が実質的な進展につながるかは疑問」と指摘した」

     

    米国は、インド太平洋戦略の一環として北朝鮮問題を捉えていることが、トランプ政権時の対北朝鮮政策との根本的な相違点である。韓国にはその認識がなく、南北交流していれば、自然と北朝鮮問題が解決に向かうという「牧歌的」対応に止まっている。韓国が、幼稚過ぎるのである。

     


    (3)「北核問題に関連して韓米間認識の違いが露わになるほど日本の影響はさらに強くなるという懸念も継続して提起される。菅義偉首相は16日(現地時間)、日米首脳会談後の記者会見で共同声明には盛り込まれなかった「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄)」の用語にあえて言及したりもした」

    韓国は、日本の出番をできるだけ少なくしたいと考えている。これは、米国からはっきりと否定されている。日本も当事者である。

     

    『東亞日報』(4月28日付)は、「米国防総省報道官『焦って失敗すれば日韓も危険』対北政策で慎重姿勢強調」と題する記事を掲載した。


    米国防総省のカービー報道官は4月26日(現地時間)、バイデン政権の対北朝鮮政策の見直しについて、「非常に深刻な安全保障問題」とし、「できる限り最も慎重な方法でなされなければならない」と強調した。今月中旬頃と予想された新たな対北朝鮮政策の発表が遅れていることについて、「焦って失敗すれば、その結果は米国人だけでなく韓国、日本の同盟国にも非常に危険だ」と述べた。

     


    (4)「バイデン政権発足後の外交安保政策と関連してカービー氏は、「私たちがインド太平洋地域に優先順位を置くことは明白だ」とし、中国を狙った国防戦略の強化を核心に挙げた。オースティン国防長官が就任直後、初の海外歴訪先に日本と韓国を選んだことや、国防総省内の中国タスクフォース(TF)局長でバイデン大統領の長年の参謀であるエリー・ラトナー氏が、アジア太平洋地域の安全保障を担当する国防次官補に指名されたことなどが、これをうかがわせる代表的な事例だ」

    北朝鮮問題は、インド太平洋戦略の一環であるとはっきり認めている。韓国は、「クアッド」参加意思を表明しないで逃げ回っている。となれば、韓国にとって北朝鮮問題は進展余地がなくなるという意味でもあろう。

     

    (5)「カービー氏は、北朝鮮に関する質問には「セキュリティ事項」として発言を控えた。対北朝鮮政策の発表の時期については、「北朝鮮が(核の)計画と能力を進展させようとしていることから、できるだけ最も慎重な方法で行われる必要がある」と述べた。焦って進めて失敗する場合、米国と韓国、日本の同盟国に非常に危険な結果を招くことになるということだ」

    このパラグラフから受ける印象は、米国の北朝鮮政策はかなり軍事的に踏込んだものになりそうだ。文大統領が想定するような「ママゴト遊び」ではない。文氏の対北朝鮮意識は、2018年当時のものである。国際情勢の進展に合せたのではない。

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    韓国は、インド太平洋戦略対話の「クアッド」参加をめぐって、米国との間に隙間が生まれている。米国はこれまで、クアッド参加を要請してきたが、韓国は「要請されていない」と否定しているからだ。韓国の「曖昧」は、中国の怒りを買わないために編み出した戦術だが、逆に米国から不信の念を持たれている。米韓関係が疎遠になる原因である。

     

    『中央日報』(4月28日付)は、「福島汚染水に続きワクチンまで、文―バイデン 足並み乱れ止まらず」と題する記事を掲載した。

     

    ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は26日(現地時間)、「(ジョー・バイデン)政府が今後数カ月間、米国で生産したAZワクチンを共有する方案を検討している」と明らかにした。サキ報道官は「AZワクチンが米国内で承認されていない点を考慮すると、今後数月間、米国の新型コロナ対応でこれを使う必要はない」と説明した。

     

    (1)「これに先立ち、文大統領は26日、首席・補佐官会議で「余裕がある時はすべての国々が連帯と協力で同じ声をあげたのに、自国の状況が差し迫るようになると、連合も国際共助もすべて後回しにされて国境封鎖とワクチン輸出統制、買い占めなどで各自生き残りを図っている」とし「全世界的なワクチン生産不足とワクチン開発国の自国優先主義、強大国のワクチン買い占め」をワクチン需給難の原因に挙げた。文大統領は国名を取り上げることはなかったが、事実上、米国に対する批判とも同じだった」

     

    韓国は、日本が9月末までにワクチンを確保すると発表して以来、ワクチン確保が最大の政治課題になっている。韓国の入手遅れが、文大統領を焦らせて米国批判へと発展している。

     


    (2)「文大統領の発言12時間後、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策本部のアドバイザー、アンディ・スラビット氏は「米国はAZワクチン6000万回分を利用可能なときに外国に供給する」とツイートした。その20分後にはサキ報道官が会見でこれを再確認した。結果的に米国がワクチンを外国に共有すると公式発表する12時間前に、文大統領がワクチンを握りしめて放さないという趣旨で米国を狙撃した格好になった。文大統領の発言の強さを見ると、韓国政府がホワイトハウスのワクチン配布計画発表自体を事前に把握できていなかった可能性が高い」

     

    文大統領の「ワクチン寄こせ」発言の12時間後、米国は「AZワクチン6000万回分を利用可能なときに外国に供給する」と発表した。この米国の発表は、文大統領の批判があったから行なったのでなく、韓国が米国の動きを知らずに過激発言をした可能性が大だ。

     

    ワシントンの韓国大使館員は、用事があるときしか米国務省へ顔を出さないという。日本大使館員は、用事があろうとなかろうと、頻繁に顔を見せコミュニケーションを取っている。この違いが、韓国の情報不足を招いているのであろう。

     


    (3)「韓国政府がホワイトハウスのこのような計画を知らないまま、文大統領が直接ワクチン余裕国の利己心を公開的に批判する結果まで続いたのなら問題は深刻だ。韓米間で正常な疎通と調整が行われているのかという根本的な質問につながりかねないためだ。対米業務に精通した前職高位外交官は、「大統領がロシア産ワクチンの検討まで指示した厳しい状況で、外交ラインがホワイトハウスのこのような動向を認知していなかったというのは理解できない」と話した。鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官が公開的に米国との「ワクチンスワップ」まで言及しているというのに、米国も韓国が焦る事情を知らないはずがないが、事前に米国は韓国に耳打ちさえしなかったということにもなる」

     

    韓国大使館員が、米国務省と疎遠になっている結果だろう。韓国は、日韓関係の修復で米の介入を求めるが、米国はそれを断っているという。米韓の交渉現場に、気まずい空気が流れていることは想像に難くない。

     

    (4)「現在、新型コロナ防疫措置で韓米当局者間の対面接触が制限されているのは事実だ。だが、主要な懸案まで韓米間で微妙な足並みの乱れが出る状況が繰り返されている。今月13日、日本政府の福島原発汚染水放出決定の時を見てもそうだ。日本は午前8時に放出決定を公式発表したが、わずか2時間後の午前10時ごろには「これを支持する」という趣旨で米国務省報道官のコメントが出された」

     

    日米間の意思疎通に比べ、米韓のそれは円滑でないことが、非常に大事な場面でミスを誘うのだ。

     


    (5)「こうしたことは韓米同盟の「基礎体力」自体が弱くなったという懸念につながっている。経済社会研究院外交安保センターの申範チョル(シン・ボムチョル)センター長は、「韓米同盟をすでにインド太平洋安保という大きな絵で見ている米国は、ワクチン・先端技術・クアッドなどをひとまとめにして大きな枠組みで調整しようという立場だ。韓国政府は『クアッドの要請はなかった』という形で一貫している。気まずい議論を避けようと防御的態度を取れば取るほど、緊密な共助の機会も減らざるを得ない」と話した」

     

    このパラグラフは重要である。米国は、インド太平洋戦略という大きな枠組で米韓同盟を捉えている。「クアッド」(日米豪印)の結束が、米国のアジア戦略の基本になっており、これをベースに対中国戦略を立てるのである。こういう枠組へ韓国が入れなければ、今回のようにワクチン問題で、後回しにされることは不可避であろう。米韓同盟の位置づけは、クアッドのはるか後ろに下がっている。韓国は落ちこぼれた。

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    韓国は、日韓の経済関係復活を切に希望している。その条件として、日本の心のこもった謝罪は必要だが、難しいであろうとしている。そして、日韓通貨スワップ協定を結びたいというのだ。こんな、上から目線の条件を出す韓国と、日韓関係修復を願う日本人が存在するだろうか。

     

    米中対立激化の中で、韓国の立ち位置が極めて微妙になっている。こういう状況下で、韓国は日本に頭を下げさせ、通貨スワップ協定という「おいしいお土産」を手にしたいとしている。いくら温厚な日本人でも、「お門違い」と門前払いするに違いない。日本に対して、どこまで甘えているのか。「ガツン」とやらなければ目が覚めない人種であろう。

     

    『中央日報』(4月27日付)は、「韓国全国経済人連合会、新たな韓日関係に向けた両国協力案 セミナー開催」と題する記事を掲載した。

     

    韓国全国経済人連合会は27日午前、ソウルの全経連会館で「2021新たな韓日関係に向けた両国協力案」と題するセミナーを開いた。

    (1)「韓日議員連盟の金振杓(キム・ジンピョ)会長は祝辞で、「韓日政界が反日・嫌韓感情を支持層確保のために利用したりもした。このような対立的感情を和らげて両国の政策決定権者が身動きの幅を広げられるよう政界で助けるべきだ」と主張した」

     

    韓国政界が日韓修復の音頭を取るには、先ず慰安婦と徴用工の賠償問題を解決する法律をつくって、過去史の完全解決を図ることであろう。

     


    (2)「日本の二階俊博自民党幹事長もビデオメッセージを寄せ、両国関係は過去史をめぐり難しい状況だが協力が必要な分野では交流すべきと強調した。二階幹事長はこのために、次の3点を提案している。

    1)新型コロナウイルス以前の水準での人的交流復元

    2)カーボンニュートラルなどESG(環境・社会・ガバナンス)分野協力

    3)全経連と日本経団連など民間経済団体の交流強化」

     

    慰安婦と徴用工の問題が解決すれば、徐々に日韓関係の回復が進むであろう。両国で、過去を語らないで、前を向くという宣言をすることが不可欠となろう。

     

    (3)「東アジア研究院のソン・ヨル院長は、「外交・政治的側面の韓日関係改善案」という主題発表で「最近の韓日対立は利益衝突というよりは信頼の喪失と感情対立が原因」と診断した。その上で、「『韓国人の心に届く日本の真の謝罪』を前提とした韓日関係構築は現実的に難しい。両国間の問題よりは、米中対立の中での安保と生産、技術、デジタル貿易などに協力方向を定めなければならない」と助言した」

     

    感情対立の方が、利益衝突よりも根は深い。「感情8割」の韓国社会が、過去を棚上げできるだろうか。一時的には可能でも、必ず再び、「反日」を始めるだろう。日本は、韓国に疲れているのだ。

     

    (4)「現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は5つの経済協力案を提示した。

    1)韓日相互ワクチンパスポート導入とトラベルバブル(防疫優秀国間で旅行客の隔離を免除する制度)の締結推進

    2)韓日通貨スワップ推進とチェンマイ・イニシアチブの実効性向上

    3)韓日人材活用最大化案策定

    4)炭素低減技術交流活性化」

     

    この4項目は、1)を除けば全て韓国に利益となるものばかりだ。2)韓日通貨スワップ推進とチェンマイ・イニシアチブの実効性向上は、韓国経済の最大の弱点である金融面を日本がカバーしてくれという「虫の良い」提案である。日本が、韓国に対して貿易の「ホワイト国条項」を外すだけでも、あれだけ抵抗されたことを思えば、一時の善意が後に仇となって、ごねられたら大変なことになる。ここは、心を鬼にして拒否すべきだ。

     


    韓国と中国の関係では、韓国が中国の属国のような卑屈な姿勢を見せている。韓国は、日本に対して真逆であり、上から目線である。こういう異常な振舞をする韓国とは、距離を置いて親密にならないことが、いざこざを起こさずに平穏な道を歩む秘訣となろう。間違っても接近せず、「ソーシャル・ディスタンス」を保ち、マスクをしている方が無難である。

     

    韓国の反日は、今後100年経っても好転しないだろう。

     

    日本政府は2年後に、福島原発処理水のトリチウムを放出すると発表した。韓国の騒ぎは酷いものである。まだ、放出が始まらないにもかかわらず、水産物に対する不安が高まったと称して、ソウル市が集中的に取り締まりに出るという事態を迎えている。

     

    ソウル市は4月25日、「輸入水産物の原産地表示をだます行為などを根絶するため、23日からソウル25自治区と国立水産物品質管理院、名誉監視員などとともに集中点検に着手した」と明らかにした。5月12日まで予定された取り締まりでは最近1カ月内にホタテガイ、冷蔵メンタイ、ガンギエイ、マダイなどを輸入した履歴がある鷺梁津水産市場など水産物販売業者、飲食店などを集中的に調べる、というもの。反日を煽る行為だ。


     

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