勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年05月

    テイカカズラ
       

    鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は28日、東京五輪公式ホームページの地図に竹島が表示されている問題について、「既に日本側に強く抗議した」とし、「可能な限り最大限に強力な対応を取る」との方針を示した。鄭氏は、「ミスター喧嘩師」と呼んで良いほど、日本に対して強硬姿勢を取る人物である。

     

    日本政府は当初、東京五輪公式ホームページに竹島を掲示したが、韓国側の要請で削除した。見た目には消えているが、拡大して見ると「点」として残っているという理由で、その「点」も消せという要求である。日本政府は、この再度の要請を断ったもの。これについて、鄭外交部長官がいきり立っているのだ。

     


    鄭氏は、かつて日本に向かって「トライ・ミー」(やるなら、やって見ろ)というヤクザ言葉でまくし立ててきたことがある。この人物が、先頭に立って抗議するので、日本が拒否している以上、「東京五輪不参加」という事態も起こりうる状態になってきた。すでに、元と前の二人の首相は、「東京五輪不参加」を主張している。

     

    『中央日報』(5月28日付)は、「韓国『東京五輪地図から独島削除を』要求に日本政府『全く受け入れられない』」と題する記事を掲載した。

     

    日本政府は28日、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会のホームページに掲載されている地図に、まるで日本の領土であるかのように表示されている独島(トクド、日本名・竹島)を削除するよう求める韓国側の要求を「受け入れられない」として拒否した。この日、加藤勝信官房長官は首相官邸で開かれた記者会見で、「歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土であり、韓国側の主張は全く受け入れられない」と話した。

     

    (1)「加藤官房長官は、組織委ホームページの地図から独島を削除しなければ五輪参加をボイコットするべきだという李洛淵(イ・ナギョン)元首相の発言などに対して意見を求められると、「引き続き、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くという決議のもと、同時に冷静かつ毅然に竹島問題に対応していきたい」とした。日本が独島を削除しない場合に韓国が大会に参加しない可能性に関しては、「大会への選手団の派遣に関しては、各国のNOC(国内オリンピック委員会)、NPC(国内パラリンピック委員会)で判断されるものと承知している」と説明した」

     

    下線部を読めば、日本政府はこれ以上妥協しないから、不服であれば韓国が出場に関して、国内オリンピック委員会が判断されることと突き放した回答をした。韓国が、国際法的にも日本領である竹島を戦後の混乱期に「奪取」したのだ。米国もこの間の事情を承知している。

     


    (2)「これに先立ち李洛淵氏は27日、フェイスブックに「日本政府に独島表記を直ちに削除するよう強力に求める」とし「日本が最後まで拒否するなら、(韓国)政府は五輪ボイコットなど、可能なすべての手段を動員して断固として対処しなければならない」と明らかにした。丁世均(チョン・セギュン)前首相も26日にフェイスブックを通じて「日本政府は五輪地図に表記した独島を削除せよ。独島は不可逆的に大韓民国の領土」とし「日本が最後まで拒否するなら、『五輪不参加』などの手段を総動員しなければならない」と伝えた」

     

    このパラグラフに登場する二人の首相経験者は、来年の大統領選に与党候補者として名乗りを上げている。それだけに、この問題で国内世論を焚きつけるであろう。韓国が不参加になれば、竹島問題が世界中にアピールされる。中国が、韓国の肩を持つかどうか。こちらの方も興味深い問題である。

     


    (3)「日本は東京五輪ホームページ内の全国地図に、島根県の上の方、独島の位置に該当する場所に小さな点を描き、独島がまるで日本の領土であるかのように表示した。これに対して韓国政府は2019年7月、日本側に抗議して削除を要求したが、日本側はできないとの立場を示した。その後、東京五輪組織委員会は地図のデザインを変えて、裸眼で見れば独島は見えないように処理をしたが、画面を拡大すると相変らず同じ位置に小さな点があるというような手を使った。外交部は組織委ホームページに日本領土であるかのように表示された独島を削除するように外交ルートを通じて日本側に要求したが、日本政府はこれを拒否するという立場を伝えたという」

     

    下線のように裸眼で見て分からなければ、それでいいのではなかろうか。この問題の「火付け」は、旭日旗排斥で騒ぎまくっている韓国女子大の教授だ。筋金入りの反日闘士である。

     

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    米国バイデン政権は、碁盤の陣地取りを思わせるように組織的な戦略を進めている。クアッド結成、日米首脳会談、米韓首脳会談と順を踏んで攻め上がっているのだ。これに呼応して、米議会は「対中競争法」の成立が大詰めである。

     

    中国は、米韓首脳会談で韓国の米国寄り姿勢が鮮明になったが、公式の反応を控えている。まだ、指導部の方針が決まっていない証拠であろう。韓国が、米国の対中姿勢に賛同して「台湾」を共同声明で明記するまでになっている。それだけに、対応に苦慮しているのであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月28日付)は、「米、当局者を台湾へ長期派遣 上院が対中法案採決へ」と題する記事を掲載した。

     

    米議会上院は中国との覇権競争に備える包括法案を近く採決する。米政府当局者を台湾へ長期派遣する制度を盛り込んでおり、米台間の交流を拡大する。2022年の北京冬季五輪に米国の外交使節を送ることを禁じる条項も入れ、中国への圧力を強めた。

     

    (1)「上院は28日未明(日本時間同日午後)、対中法案である「米国イノベーション・競争法案」の採決に向けて審議を続けた。下院でも類似の法案を審議し、上下両院が法案の詳細を擦り合わせて大統領が署名すれば成立する。与野党対立が激しくなるなかでも、対中政策は超党派で協力する機運が高まっており、夏をめどに法案が成立する公算が大きい」

     

    米国は、「対中競争法」の成立を目指して、上下院が勢力的に法案審議を進めている。中国の米国覇権への挑戦を絶対に阻止する。こういう強い信念が覗われるのだ。米国は、第一次・第二次の世界大戦で挑戦者を退けてきた。新興国の侵略戦争については、多くのノウハウを持っている。それだけに、中国に対しても準備万端整えて迎え撃つ体制である。中国は、百戦錬磨の相手を「敵」に回す形である。

     

    (2)「上院で審議している法案は1000ページを超え、安全保障や経済面で中国に対抗する方策を幅広く盛り込んでいる。米政府当局者を台湾へ2年間派遣する制度では、1年は台湾の行政機関や議会で勤務し、もう1年は中国語や台湾政治を学ぶ。米議会関係者によると、これまで台湾への派遣制度の大半は3カ月程度までにとどまっていた。法案が夏に成立すれば、政権・議会は22年に派遣を始める方針だ」

     

    台湾支援では、米国の政府当局者を2年間台湾へ送って業務をさせることになっている。すでに、米海兵隊が台湾へ駐留しているという情報も出ており、米国は不退転の決意で臨んでいることが分かる。

     

    (3)「法案は22年の北京五輪について、米政府当局者の参加を目的とした連邦予算の支出を禁じる。事実上、外交使節の派遣を見送る「外交ボイコット」につながる。米政権が「ジェノサイド(民族大量虐殺)」とみなす新疆ウイグル自治区での中国による人権侵害に抗議する狙いがある。中国は人権侵害を否定している」

     

    来年の北京冬季五輪では、米政府当局者の中国派遣を禁止する。外交的なボイコットである。新疆ウイグル自治区における人権弾圧への抗議が理由だ。

     


    (4)「下院でも賛同する声が多い。下院で当局者派遣制度の新設を盛った法案を提出している与党・民主党のアミ・ベラ下院議員は日本経済新聞の取材に対して「中国との競争は数十年に及ぶ。台湾での経験が豊かで教育された人材を育てることは米国にとって良いことだ」と指摘した。ベラ氏は下院外交委員会でアジア政策を統括する立場にあり、立法や予算について強い権限を持っている」

     

    下院でも台湾への当局者派遣制度を盛り込んでいる。中国との競争は数十年に及ぶ、という前提で、人材養成から着手して本格的な支援体制を組む。

     

    (5)「五輪をめぐる今後の焦点は2つある。一つは北京五輪での外交ボイコットの条件や対象だ。下院民主党幹部の側近は「全面的な外交ボイコットは強硬すぎる」との認識を示す。もう一つは企業への対応だ。与野党の下院関係者は「五輪前に中国の人権改善を促す取り組みを米企業に求めるべきだ」との見方を示す」

     

    下院では、北京五輪での外交ボイコットについて、上院よりもやや弾力的な扱いとなっている。この点が、上院との調整に委ねられている。

     

    (6)「上院の法案は沖縄県尖閣諸島が米軍の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象になるとも明記した。中国軍へのけん制も強める。中国による台湾侵攻を抑止するため経済や外交面での対抗措置を同盟国と協議し、あらかじめ公表するよう政権に求めた。中国軍に軍事施設の利用を認めた国に対して資金支援を制限するとした」

     

    上院の法案では、尖閣諸島が米軍の日本防衛義務対象になると明記した。これは、中国が尖閣諸島と台湾への同時攻撃しても防衛するという意味である。米国の国内法で、インド太平洋戦略の核である台湾と尖閣諸島を防衛することを示したのだ。日本にとっては、心強い法律である。日米同盟へ揺るぎない確信を与えてくれる法案である。

     

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    中国は、米韓首脳会談で韓国が米国寄りへ大きく舵を切ったことで失望感を見せている。これまで「仲間」と見ていた韓国が、米国へ走ったことで裏切られたという思いもあるのだろう。だが、韓国は米韓同盟で安全保障を米国に託している身である。それを忘れて、中国へ愛想を浮かべてきたこと自体が「不謹慎」であろう。外交儀礼とは言え、一定の限度があることを忘れ、中国と外交・国防の「2+2会合」まで開くという逸脱したことを行なっていたのだ。

     

    『東亞日報』(5月28日付)は、「駐韓中国大使、『韓国、台湾に言及しなければ良かった』」と題する記事を掲載した。

     

    中国の邢海明駐韓大使が5月26日、韓米首脳会談の共同声明に台湾海峡と南シナ海に関する内容が「なかったなら良かっただろう」と話した。韓国政府が、台湾関連の言及は「非常に原則的な内容」として火消しに乗り出した状況で、台湾問題の議論自体を問題にしたのだ。邢氏は、「中国と米国の和解のために、韓国をはじめ中間の国々が良い役割をすることを望む」と述べ、韓国に米中間の均衡外交を求めた。



    (1)「邢氏は同日、MBC時事番組に出演して、韓米声明に「中国」という表現がなかったことについて、「(韓国が)努力したと評価する」としつつも、「中国という単語は出てこなかったが、(中国を)念頭に置いた部分がある」と述べた。また、「中韓国交正常化の時、台湾が中国の一部であることを明確に認めた。南シナ海問題も中国は周辺国と協力して解決すれば良いと考える」と強調した」

     

    中国は、南シナ海や東シナ海で行なっている行動が、国際法違反であるという認識がゼロである。正確に言えば、「認識ゼロの振りをしている」と言うべきだ。中国が、国連加盟国の一員である以上、国際法を遵守すべきであることを知らぬはずがない。要するに、知りながら国際法を破るという最悪の国に成り下がっている。有り体に言えば、「質(たち)が悪い」のだ。

    (2)「また、「クアッド」(米国、中国、日本、インド4ヵ国の協力枠組み)の言及を念頭に、「一国や数国で作る秩序に対して、中国は少し違う考えをする」とし、「米国はグループを作って中国を封じ込めようとする傾向があるが、(韓国が)中国の立場を考慮してくれれば有難い」と述べた。韓国がクアッドに参加すべきではないと主張したのだ」

     

    中国が、南シナ海や東シナ海で行なっている行動は国際法違反である以上、その脅威に直面している関連国が「団結」するのは自衛権発動の一環である。中国は、これを不服とすれば自らの海洋進出行動を改めるべきで、クアッド参加国を非難するとは本末転倒である。韓国に対して、クアッドへ参加するなと遠回しに言っている。中国が、国際法を遵守すれば全て氷解することなのだ。



    (3)「韓米が首脳会談を通じて、安保だけでなく経済・先端技術分野に同盟を拡大したことに対しても邢氏は警戒心を示した。また、「中国は米国のように(自国の)技術を他国に渡さないように統制したことは一度もない」とし、「(中国は)10年内に22兆ドルを海外から輸入するのに、韓国が国益を判断して、このような(中国)市場を活用して経済発展をするのが正しいと考える」強調した」

     

    中国は、他国の技術を窃取してきた「ならず者」国家である。米国は、これまで中国の民主化を手助けする立場から、技術窃取を大目に見てきた。だが、それも限界を超えている。米国が、自らの覇権へ挑戦すると広言する中国を甘やかすはずがない。中国が作り出した技術など実質的にゼロである。全て模倣でしかないのだ。

     

    (4)「邢氏の発言は、韓米首脳会談後に出てきた中国の反発のレベルから踏み出すものではなかった。「火遊びするな」という中国の不満を受け、韓国政府が「韓中は特殊な関係」と火消しに乗り出していることを考慮し、ひとまず韓国の行動を見ることにしたものとみられる。特に、韓国まで背を向ける場合、同盟国を糾合する米国の中国牽制を阻止することが難しいと判断したようだ。邢氏は、習近平国家主席の訪韓計画については、「現状況では話すことはない」と述べた」

     

    下線部が、韓国の信用できない部分である。中韓が特殊な関係とは、中国が宗主国であったことを意味する。つまり、朝鮮が中国の植民地であったことを認めているのだ。韓国は、日韓併合36年間を「屈辱の歴史」として、今も敵対意識を燃やしている。だが、中国へは「特殊な関係」と美化する。韓国は、同じ「植民地」という実態にもかかわらず、日本へは抵抗し中国へは恭順して見せるのだ。この違いは何か。中国へも堂々と、抵抗すべきだろう。そうすれば、日本も韓国を見る目が変わるにちがいない。

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    中国習近平政権は、人権弾圧で手段を選ばない「悪魔の実験」を始めている。英国BBC放送が伝えた。それによると、カメラに写った人間の表情からAI(人工知能)分析を用い、感情を読み取るという恐ろしいことを始めたもの。

     

    このAI分析には、ファーウェイが関与していると報じられている。実は、ファーウェイCEOの任正非氏が、AIを利用したソフトウェア分野へ新規参入すると発言しているのだ。『ロイター』(5月24日付)が、以下のように報じた。

     

    「米国の制裁でハードウエア事業が行き詰まった問題を乗り越えて成長を続けるため、思い切ってソフトウェアで世界を主導しようと従業員向けメモで呼び掛けている。ロイターがメモの内容を確認して分かった」

     


    「任氏は、ソフトウェア事業に集中する理由として、この分野の将来的な発展が基本的には「米国のコントロール外にあり、われわれがより大きな独立性と自主性を持てる」からだと説明している。具体的に挙げられているのは、独自基本ソフト(OS)「鴻蒙(ハーモニー)」や、クラウド人工知能(AI)システム「マインドスポア」などのソフトウェアのエコシステムの構築だ」

     

    『大紀元』(5月27日付)は、「中国政府、新疆でAIによる感情認識実験 被験者はまるで「実験用マウス」扱い、技術者告発―BBC報道」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府が少数民族ウイグル族を対象にAIプログラムと顔認識カメラを利用した「感情認識システム」を運用していたことが明らかになった。同プログラムは、中国の華為技術(ファーウェイ)が開発に関与した可能性も提起されている。

     

    (1)「英BBCは25日、匿名の中国人ソフトウエア・エンジニアとのインタビューより、中国政府が運用している「AI感情認識システム」関連資料を報道した。同エンジニアは問題となったシステムについて「カメラを通じて表情と肌、毛穴の微細な変化まで感知し、チャートでウイグル族の心理状態を細かく分析できる」と説明。「感情認識システムはうそ探知機に似ているが、はるかに進んだ技術で、現地の公安にはこうしたシステムが設置されている」と実態を伝えた」

     

    中国が、「AI感情認識システム」を開発し、カメラを通じて表情と肌、毛穴の微細な変化までを感知し、チャートでウイグル族の心理状態を細かく分析できるというもの。戦後、日本でも「ウソ発見器」が捜査に使われたことがある。これで、自白を強要するという人権侵害が起って問題になった。これと、同類の話であろう。

     

    (2)「ウイグル族に対する中国政府の新たな人権侵害も明らかになった。現地の目撃談によると、ウイグル人の手首と足首に拘束具が装着され、まるで「実験用マウス」のように扱われていたこともあったという。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィー・リチャードソン事務所長はBBCのインタビューで、新疆ウイグル自治区の警察は「一体化統合作戦プラットフォーム(IJOP)」という監視プログラムを運営していると述べ、「(ウイグル人が)非常に強圧的な環境で暮らしており、かなりの圧力を受けていることを示している」と述べた」

     

    中国(漢族)は、ウイグル族を人間と見ていない証拠だ。数々の人権侵害を平気で行なっている点で、ヒトラーと同類である。習近平は、ここまでやって自らの権力基盤を守ろうとしている。

     

    (3)「中国内で独自開発されたスマートフォンやアプリも、監視ツールとして悪用されている。ウイグル族の監視について、米コロラド大学・アジアセンターのダレン・バイヤー博士はインタビューで「ウイグル族は地域公務員にDNAサンプルを提出し、連絡先リストや携帯メールを収集する政府アプリをスマートフォンにダウンロードしなければならない」と述べ、「彼らは、スマートフォンを携帯しなければ拘禁され、脱出できないと感じている」と説明した」

     

    習近平政権は、ウイグル族を厳しく弾圧している。中国経済が衰退したとき、ウイグル族は最初に反乱を起こすことに間違いない。中国の過去の歴史を見ても、辺境の部族が反乱に立ち上がってきた。習氏は、自ら反乱の芽を育てているのだ。「満州族」を平定したのとは訳が違う。その報いを受けるのは当然であろう。

     


    (4)「中国の通信技術企業のファーウェイが、少数民族の監視に活用できるAI顔認識システムの開発に関与した可能性もある。BBCは米映像監視企業IPVMの資料を引用し、ファーウェイと中国科学院が18年7月に出願した特許から、顔認識を通じて民族、年齢などを識別できるシステムがあることを報道した中国は世界で監視カメラが最も多い国で、政府が国民の一挙一動を監視、統制できる「ビッグ・ブラザー」体制だと批判され続けてきた。犯罪率低下の名目で施行されている監視体制は、少数民族、民主化運動、法輪功弾圧などに悪用されている」

     

    ファーウェイは、中国科学院と共同で出願した特許に、顔認識を通じて民族、年齢などを識別できるシステムがあるという。ファーウェイは、これまで中国政府と無関係な「民間企業」と宣伝してきた。思わぬところで、ウソがばれることになった。ファーウェイの実態は、裏の株主構成から言って、国有企業である。これは、米国の法学者が突き止めている。

     

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    中国共産党は7月1日、創立100年を迎える。習近平氏の思惑では6月に訪米して地固めし、「世界の中国共産党」を大々的に祝う予定であったという。現実は、この思惑と逆行している。欧米では、連携して中国を監視する姿勢が強まっている。日米豪印は「クアッド」を結成して中国対峙姿勢を強化している。

     

    このように、中国共産党創立100周年は波風が立つ中で迎えようとしている。100周年は、中国共産党が成功したという証でなく、危機を一層深めているというシグナルとして受け取るべきだろう。中国共産党は、未だに国民へ選挙権も与えずにいる。正確には、政権転覆を恐れて、選挙権を与えられないのだ。ここに、一党独裁の悲劇がある。

     


    『大紀元』(5月27日付)は、「英元外交官『中国の経済を成長させたのは中国人民だ』」と題する記事を掲載した。

     

    元英国の駐中国外交官であるロジャー・ガーサイド氏は5月23日、米オンライン週刊誌「The Wire China」のインタビューで、「中国経済を発展させたのは中国共産党ではなく、中国人民である」と発言した。同氏はまた、中国での政権交代や指導者交替の可能性とその理由について言及した。

     

    (1)「中国共産党は過去40年間、驚異的な成長を遂げたのは、国有企業、共産党、そして中国の特色を備えた社会主義のおかげだと宣伝してきたが、同氏は「これには同意できない。中国の経済を強くしたのは中国の人民と民間企業とその活力だ」との見方を示した。

     

    中国が高度成長を実現できたのは、総人口に占める生産年齢人口(15~59歳)比率の上昇によるものだ。これは、2010年に終わった。現在は、経済が永遠の下降局面に入ったところである。中国のように政治改革(政権交代)がない国では、経済改革もなく一日一日と「地獄」へ向かっている。これが、経済の原則である。

     

    (2)「その理由について、「中国は道徳的危機、拡大し続ける大きな社会的不平等、知識と文化の停滞、統治者と被統治者の間の信頼の欠如、同僚間の信頼の欠如、世界各国との大きな不信頼関係など長年にわたる根深い問題に苦しんでいる。しかし、これらの問題はいずれも全体主義体制では解決できず、あるいは効果的に対処できない問題ばかりだ。どんなに繕っても、政治改革がなければ、中国経済の健全な発展に不可欠な自由市場経済への移行はできない」とした」

    個人の所得レベルが上がれば、個人の認識も変るものだ。食うや食わずの段階の「自由」は、「死ぬ自由」ぐらいしかない。だが、生活水準の向上と共に、「人間らしさ」を求めるようになる。選挙権の行使による政治の流れを決める権利に目覚めるのだ。現在の中国は、この段階にきた。中産階級と言われる層の増加である。これが、中国共産党を破壊する潜在的な因子になろう。

     


    (3)「さらに、「選挙と政治の自由を通じて市民を動員しなければ、地域レベルでの既得権益を克服することはできないだろう。そして、自由な報道と独立した司法機構がなければ、腐敗を減らすことはできない。しかし、これらのことはすべて、自由に選出された民主主義政府にしか解決できない。中国の李克強首相らはこのことをしっかり理解しているはずだ」と同氏は語った」

     

    インドと中国の比較で分かることは、インドに無限の発展の可能性がある点だ。インドは、選挙権が与えられている。国民が、政権を選択できる以上、政治改革=経済改革によって自律的発展軌道に乗れる可能性を秘めている。中国は逆である。時間の経過と共に、没する経済へ転落する。これは、歴史が証明するであろう。

     

    (4)「ガーサイド氏は4月30日付のカナダ最有力紙『グローブ・アンド・メール』に寄稿し、中国共産党の政策はすでに中国にダメージを与えていると指摘した。「中国の多くのエリートが習近平氏の路線に強く反対している。なぜなら、彼らは、政治改革のない経済改革が中国に害を及ぼし、同時に彼ら自身の利益までも危険にさらしていることを認識しているからだ。彼らは政治改革を渇望している」。

     

    生産年齢人口比率の低下する経済では、市場経済化を徹底させて無駄を省く経済システムに転換することである。その必要性が、最も高まっているのは中国である。現実は、これに逆行している。死期を早めるだけである。

     


    (5)「「中国の活気ある民間部門と膨大な中産階級は皆財産を所有し、教育を受け、向上心もある、しかし、彼らはあらゆる
    政治的権利を奪われている」。「中国の経済的成功は、社会主義による恩恵ではなく、中国人民の活力と向上心のおかげだ。しかし人民は選挙権も、彼らの統治者を罷免する権利もない。このような政府システムは不信頼と恨みを生んでいる。これこそが中国共産党政権の弱さの根源だ」。「もし人々が当局の宣伝から抜け出して考えれば、このいわゆる『万能の党』には、根強く存在する一連の問題を解決する力がないことに気づくだろう」

     

    下線部分が、真実を突いている。習近平による国民弾圧強化は、中国共産党の弱さの証明である。弱さは、時間が来れば自壊するものである。

     

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