勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年06月

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    米バイデン大統領は、米情報機関に対してコロナウイルス発生源を90日以内に報告するように命じた。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(電子版)は7日、米国立研究所が2020年にまとめた報告書で、新型コロナウイルス発生源について、中国武漢ウイルス研究所から流出したとの仮説に「説得力がある」との見解を示していたと報じた。報告書では、ウイルスが流出した疑いについて、さらなる調査が必要だと結論付けたという。

     

    このように米国立研究所が、「武漢研究所流出説」に一定の信憑性を取っていたのに対し、世界保健機関(WHO)や米衛生当局の指示のもと、世界の主な学術誌や科学者、報道機関が、ウイルスの「研究所流出説」を陰謀論として片付けてきた。一大「ウイルス・マフィア」が形成されていたのである。

     

    『大紀元』(6月8日付)は、「ポンペオ氏『米政権内で妨害あった』ウイルス起源調査巡り 研究への資金提供が一因」と題する記事を掲載した。

     

    ポンペオ前国務長官は6月3日、英文大紀元の取材に対し、退任前の数カ月間に新型コロナウイルスの発生源を特定しようとしたが、政権内の関係者から猛烈な反対を受けたと明かした。米誌の報道では、ウイルス調査を阻止した主な理由の一つとして、利益相反が挙げられている。つまり、自己保身がされて真実の究明を妨害したのである。

     

    (1)「ポンペオ氏は、2020年後半から、ウイルスの発生源について可能な限り多くの証拠を公開するよう働きかけてきたと説明した。しかし、当時、情報機関は多くの重要な証拠を持っていたが、公開を拒否していた。同氏は、「これらの証拠を公開することが重要であり、米国民はすべての事実を知る権利がある。もし、武漢ウイルス研究所からウイルスが流出したのであれば、中国共産党が責任を負うべきだ」と強調した」

     


    不思議なことに、米政権内部でも中国に加担する人たちがいた。それは、次のパラグラフ以下で明らかにされているように、武漢ウイルス研究所へ米国から研究資金が提供され、米中で共同研究されていた事実を知られたくない、という自己保身(利益相反)であった。

     

    (2)米有力誌『ヴァニティフェア』が6月3日発表した調査報道によると、同誌はトランプ前政権の内部メモを入手した。このメモの中で、米国務省のディナンノ前国務副次官補は、2つの部署のスタッフがホワイトハウスの省庁間会議で、政府高官に対し、収拾のつかない事態を引き起こす可能性があるため、ウイルスの発生源を調査しないよう警告したと記しているという。それによると、少なくとも4人の元ホワイトハウス高官が警告を受けた」

     

    米政権内部で、ウイルスの発生源を調査しないよう警告する人物がいた。

     


    (3)「国務省の調査チームは、武漢ウイルス研究所の科学者3人が、2019年秋にウイルススのサンプルを使った機能獲得実験中にウイルスに感染したことを示す機密情報を入手した。また、米非営利団体「エコヘルス・アライアンス」は、過去5年間に米国国立衛生研究所(NIH)から受け取った補助金340万ドル(約3.7億円)のうち、60万ドル(約6600万円)近くを武漢ウイルス研究所に割り当て、コウモリのコロナウイルスがヒトへの感染の可能性に関する機能獲得研究に使われていた」

     

    米国国立衛生研究所(NIH)から武漢ウイルス研究所へ過去5年間、約6600万円の研究資金が提供されていた。米国民の税金が流れていたのだ。そのテーマが、コウモリのコロナウイルスがヒトへの感染の可能性に関する機能獲得研究である。今回のコロナウイルス発症と、どんぴしゃりで一致する。

     

    (4)「報道では、コロナウイルスの発生源に関する調査を妨げている主な理由の1つとし利益相反を挙げている。つまり、米国の衛生当局が(武漢ウイルス研究所の)怪しいウイルス研究に多額の補助金を出したため、調査はあらゆる段階で妨害されたという。65日付の英紙『デイリー・メール』によると、エコヘルス・アライアンスの代表で、コロナウイルスの発生源を調べるWHO(世界保健機関)訪中団メンバーのピーター・ダスザック氏が2020年初頭に26人の科学者に送ったメールの中で、「コロナウイルス(covid-19)が自然発生したものであると主張し、ウイルスの研究所流出説を糾弾する」共同書簡を英医学誌『ランセット』に掲載するよう求めていた」

     

    米国を初めとするウイルス関係研究者が、揃って「武漢研究所流出説」を否定したのは、怪しいウイルス研究に多額の補助金を出したという後ろめたさである。まさに、自己保身であった。

     

    (5)「複数の米メディアはこのほど、情報公開法(FOIA)に基づき、米感染症対策トップのファウチ博士の2020年前半に送受信した数千ページに及ぶ電子メールの内容を入手した。その中には、2020年4月18日付のダスザック氏からファウチ氏へのメールがあり、メール本文にはウイルスの研究所流出説に反論してくれたファウチ氏への謝辞が書かれている」

     

    ここに恐るべき「陰謀」があったことを示している。コロナウイルスの発生源を調べるWHO訪中団メンバーのダスザック氏が、米感染症対策トップのファウチ博士へ「ウイルスの研究所流出説に反論してくれた謝辞」のメールを送っていたのだ。

     

    (6)「前記のダスザック氏は、武漢ウイルス研究所との共同研究で20数本の論文を発表しており、そのうち少なくとも3本は、同氏自身が武漢ウイルス研究所のコロナウイルス専門家である石正麗氏と共同執筆したものである」

     

    黒幕は、ダスザック氏に絞られてくる。武漢ウイルス研究所との共同研究で20数本の論文を発表していたのだ。学者の世界では、研究業績を上げるために反倫理的なことでもしかねない脆さがある。ジキルとハイドである。

     


    (7)ウイルス学者で米国疾病予防管理センター(CDC)のレッドフィールド前所長は、『ヴァニティフェア』誌に対し、
    昨年3月にCNNの番組で「コロナウイルスは武漢ウイルス研究所から流出した」という説に支持を表明した後、かつての友人を含む多くの「著名な科学者」から死の脅しを受けたと訴えた。「私は(攻撃が)政治家から来ると思っていたが、科学界から来るとは思っていなかった」と驚いたという」

     

    このパラグラフは、学者の陥り易い「ジキルとハイド」を立証している。いずれ、この闇の世界に光が当てられ、真相が明らかになろう。

     

     

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    米上院の超党派議員団を乗せた、米空軍C-17大型輸送機が6月6日、台北松山空港に到着した。中国当局は昨年、「米軍機が台湾に離着陸するときは米中開戦の時だ」と官製メディアを通じて威嚇していた。今回の米軍機乗り入れでは、これについて一切触れなかった。

     

    米上院議員団は、タミー・ダックワース議員ら3人である。議員らは、米政府が今後台湾に対して、ウイルスワクチン75万回分を提供すると発表した。議員らは約3時間、台湾に滞在し、蔡英文総統らと会談した。

     

    米国が、わざわざ米軍機を台湾へ乗り入れさせた狙いは何か。米国が、不退転の決意で台湾を防衛するという意思を見せつけたことだ。中国は、米軍機の台湾乗り入れが開戦に繋がると威嚇してきた。現実に米軍機が乗り入れても、中国は何らの妨害工作もできなかった。

     

    国際情勢が、中国にとって不利になっていることも影響しているはず。近く開催されるG7では、対中国問題を集中的に取り扱う予定である。対中包囲網が出来上がるのだ。こういう追詰められた状況で、米軍機に手出しをすれば自ら墓穴を掘ることになろう。中国は、自重せざるを得ない局面だ。

     

    『大紀元』(6月8日付)は、「中国当局、米軍機の台湾入りに沈黙 かつて『米中開戦』と威嚇」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国外務省の汪文斌報道官は7日の記者会見で、米上院議員らの訪台に「断固として反対する」と述べた。こうした立場を米側に厳正に申し入れたという。しかし、米軍への言及はなかった。国営新華社通信などを含む官製メディアは米議員らの訪台について報道しなかった」

     

    中国は、自国に都合の悪いことを報道しないのが原則である。今回の一件は、中国に不利であることを物語っている。

     


    (2)「台湾と中国大陸のネットユーザーは、米空軍C-17輸送機が台湾に到着したことに強い関心を寄せている。ネットユーザーは、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報が昨年8月に掲載した社説を探し出し、「なぜ今回、中国当局は黙っているのか」と書き込んだ。環球時報は昨年8月31日、米海軍の電子偵察機EP-Eが台湾本島から離陸した疑いがあるとして、『蔡英文当局に決定打となる警告を発する必要がある』との社説を公開した」

     

    昨年8月末では、『環球時報』も威勢のいい社説を書いていた。米軍機が、現実に台湾へ着陸すると足がすくむのであろう。「開戦リスク」を伴う行動には臆病になって当然だ。

     

    (3)「記事では、「これは大陸(中国共産党)が国家統一を維持していくというレッドラインを越えた」と示し、「大陸(中国共産党)が確かな証拠を掴めば、関連空港および着陸した米軍機を破壊できる。これによって、台湾海峡の戦争開始になるだろう」と主張。中国人ネットユーザーはSNS上で、今回米軍機の台湾着陸に関して中国当局が沈黙を貫いていることに不満を示し、「輸送機にはっきりと『US Air Force』と書かれているのに」「確かな証拠は今あるよ」「レッドラインの基準は変わったのか?」などと批判した。強硬派のネットユーザーは「米軍機を撃墜せよ」と主張した」

     

    中国は、米国が本気度を見せてくると「ビビる」のだ。こうなると、中国の威嚇の影響度がぐっと下がる。

     


    (4)「台湾人ネットユーザーは、「中国側のミサイルが全部壊れたんじゃないの?」「反米は仕事だけど、米国に移民するのは生活のためだということだ」とあざ笑った。
    「宣戦布告」した環球時報が6日午後に発表した社説は、米軍機について触れず、米議員と米政府による台湾へのワクチン提供について批判を展開した」

     

    6日の環球時報社説は、米軍機乗り入れに触れず米議員とワクチン提供の批判だけだった。「怖い物」には触れないのだ。

     

    (5)「米空軍のC-17大型輸送機は、世界各国の米空軍主要基地に配置されている。同軍機は、77.5トンの貨物搭載ができる。米陸軍のM1エイブラムス戦車1両、またはM2ブラッドレー歩兵戦闘車3両などを搭載できる。また、全装備した兵士や、負傷者と医務官らを空輸できる能力を持つ」

     

    3人の米上院議員の搭乗に-17大型輸送機を使うとは、米国の意図が明らかである。中国を挑発しているのだ。多分、沖縄からは偵察機を付けているはずである。米国の「トライミー」(来るなら来い)という威勢を感じる。

     


    (6)「『ブルームバーグ』7日付によると、米国防総省元高官のドリュー・トンプソン氏は、米議員がC-17輸送機に乗り台湾を訪問したのは、台湾を支持する姿勢を表すためだとした。「今回の訪問は、米国が台湾海峡の安定に注意を払っていることを台湾の蔡英文総統に伝え、安心させたいためだ。同時に、台湾に自己防衛の必要性を促すためでもある」と同氏は指摘した」

     

    米議員の大型輸送機搭乗は、米国の台湾支持姿勢を明確にしている。同時に、台湾自体に自己防衛の努力を促す狙いもあるという。今回の米軍機搭乗の米議員台湾訪問は、中国側の姿勢チェックの狙いもあるはずだ。

     

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    韓国与党『共に民主党』は6月7日、旧徴用工遺族が日本企業16社を相手取り起こした損害賠償訴訟が一審で却下されたことで反発している。「納得しがたく、国民の感情ともかけ離れた判決」としている。韓国は、「国民情緒法」といわれるごとく国民感情にそった判決が「名裁判」と評価される社会だ。感情を超えた論理的な判決は、上記のように「国民の感情ともかけ離れた判決」と猛反発する。韓国が、近代社会でなく感情社会である証拠がここに見られる。韓国は「リンチ裁判」が向くようである。

     

    『中央日報』(6月8日付)は、「強制徴用訴訟却下、判事の弾劾請願登場」と題する記事を掲載した。

     

    下級審である第1審裁判所で日帝強占期強制徴用被害者の損害賠償請求訴訟に対して却下判決が下された影響が尾を引いている。このような決定を下した判事を弾劾するよう求める要求まで出てきた。

    6月8日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)国民請願掲示板には「反国家、反民族的判決を下したキム・ヤンホ判事の弾劾を要求します」と題する請願が登場した。この日午後2時基準で5万4500人余りが同意した。現在、この請願は「管理者検討中」状態で転換された。



    (1)「請願人は、キム部長判事が反民族的な判決を下したと批判した。前日、ソウル中央地方法院(地裁)民事第34部で強制徴用被害者ソン・ヨンホさんら被害者と遺族85人が日本製鉄・三菱重工業・西松建設など日本企業16社を相手取って起こした一人1億ウォンずつの損害賠償請求訴訟に対して却下判決を下したことに伴うものだ。請願人は、「キム部長判事は韓日(請求権)協定により個人請求権が消滅したという立場を法理に引用して使った」とし、「これは日本自民党政権で過去の歴史賠償責任を負わないために前面に出した弁解にすぎない」と主張した」

    韓国は、朝鮮半島だけが世界と思い込む視野狭窄症に罹っている。国際法では、「司法自制の原則」と言って後日、裁判所が条約や協定について判断を下さないという原則がある。こういう「司法自制の原則」がなければ、外交交渉は成り立たない。どうか、こういう酷さ社会の取り決めを知って欲しい。

     

    裁判官弾劾は、判決内容によってできるものではない。破廉恥な事件でも起さない限り、裁判官の身分は保証されている。こういう原則も理解しないで騒ぎ回る状態は、韓国の後進性を示しているのだ。

     


    (2)「あわせて、「国際社会が日帝植民支配を不法とみなしていないとした部分は、臨時政府の法統を継承する大韓民国の憲法に正面から挑戦する反国家的・反憲法的行為」とし「このような判決は大韓民国政府の公式立場を否定したもの」と批判した。また、請願人は「キム部長判事は判決を下して個人の政治的動機によるものであることを示しさえした」とし、「これは三権分立に反するもので、良心に従った裁判権の独立を規定した憲法にも背く」と主張した。請願人は、「国憲を遵守して司法府の正義を正しく立て直し、民族的良心を回復するためにもキム部長判事を直ちに弾劾措置に処するべき」と要求した」

     

    「国際社会が日帝植民支配を不法とみなしていない」のは事実である。先進国は、すべて植民地を持っていたのだ。その中で、日本は植民地であった朝鮮と台湾の近代化に取り組み、インフラ投資から帝国大学までつくって、日本国内と変わらない政策を行なった。

     

    英国は、インドで大学をつくらなかったほかに、近代工業の発展の芽も摘んできた。朝鮮では大いに殖産興業に務めた。韓国は、こういう客観的な事実を理解すべきである。未だに反日を得意がっている姿は滑稽なのだ。

     


    『ハンギョレ新聞』(6月8日付)は、「『日本から得た外貨で“漢江の奇跡”』強制徴用判決、荒唐無稽な論理」と題する記事を掲載した。

     

    「同地裁また、「請求権協定で支給された3億ドルは過少であるため、被害者の賠償請求権が含まれたとみなすことはできない」という原告側の主張に対し、「当時立ち遅れた後進国の地位にあった大韓民国と、すでに経済大国となっていた日本国の間で成立した過去の請求権協定を現在の物差しで判断するのは誤っている」と反論した。さらに「当時、大韓民国が請求権協定で得た外貨は、いわゆる『漢江(ハンガン)の奇跡』と評価される世界経済史に記録される目覚ましい経済成長に大きく貢献した」とし、日本の“貢献”を強調した」

     

    韓国は、日本の「経済協力金」について正しい認識がない。1965年、次のような内容である。

    1)無償3億ドル

    2)有償2億ドル

    3)3億ドル以上の民間借款

    合計約11億ドルにものぼるものであった。なお、当時の韓国の国家予算は3.5億ドル、日本の外貨準備額は18億ドル程度である。こういう状態を考えれば、11億ドルは、韓国国家予算の3年以上の資金が、しかもドルで支払われたのである。

     


    韓国政府は、日本との交渉で補償金を受けとった後に韓国政府が個別支給するとしていたが、韓国のインフラ整備や企業投資の元手として使った。韓国政府は、その後に軍人・軍属・労務者として召集・徴集された者の遺族に個人補償金に充てた。個人補償の総額も約91億8000万ウォン(当時約58億円)と、無償協力金3億ドル(当時約1080億円)の5.%に過ぎなかった。こういう低額であったことが、現在まで尾を引いているのである。

     

    韓国政府は上記以外の資金の大部分は道路やダム・工場の建設などインフラの整備や企業への投資に使用し、そのため「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を起こすことができた。今回、韓国裁判所の指摘した点は全て事実である。この事実を受入れず、韓国が自力で発展したとは笑止千万である。もっと頭を冷やして歴史を見直すべきである。

     

     

     

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    韓国では下級審である地方裁判所が、大法院(最高裁)の判決を覆した。ソウル中央地裁が6月7日、旧徴用工による賠償請求の訴えを却下する判決を出したもの。同種の訴訟を巡っては、2018年に大法院で日本企業に賠償を命じる判決が確定している。今回それとは異なる判断が示された。判決文では、旧徴用工賠償は日韓基本条約(1965年)で解決済みとした。

     

    韓国が、日本企業へ賠償請求判決を出しても日本の提訴により国際裁判で敗訴すれば、日韓関係に重大な影響を及ぼす。それが、韓国の安全保障を棄捐して韓国憲法の規定する国民の基本価値に重大な影響を及ぼす、としている。まことに真っ当な判決が出てきたと言うほかない。初めて聞く内容である。

     


    『中央日報』(6月8日付)は、「G7サミットを控えて覆された強制徴用判決、ついに『外交の時間』が来た」と題する記事を掲載した。


    ソウル中央地裁民事合議第34部(部長キム・ヤンホ)が7日、日本の戦犯企業に強制徴用被害補償の責任を問えないと判決し、文在寅政府は任期内に韓日関係の改善に向けた事実上最後の糸口をつかむことになった。裁判所が10日に予定されていた宣告期日を操り上げて言い渡すことで、11~13日英国ロンドンの主要7カ国(G7)サミットで文大統領と菅義偉首相が会談する構想にも肯定的に働くものとみられる。

     

    (1)「韓国政府は日本との和解と徴用被害者のための正義の実現という二兎を追うということが問われている。その間、政府は司法府の判断の尊重と日本との関係改善への努力が相反する構造的な矛盾に陥っていた。司法府の判断を尊重すれば2018年大法院の判断により日本の戦犯企業の資産現金化など強制執行を通じて被害者に賠償するのが当然になるが、この場合、韓日関係は回復が不可能な状況に陥るのが目に見えるためだ」

     

    韓国地裁が、本来であれば文大統領の考えるべきであるような内容の判決をくだした。日韓関係の悪化が、韓国国民にとって潜在的な不利益を及ぼすという観点からくだした判決なのだ。「弁護士・文在寅」が、考えもつかないハイレベルの内容である。

     

    (2)「裁判所は、この日の判決で被害者の訴訟を却下しながらも「個人の損害賠償請求権が消滅したり放棄されたとはいえない」と言い渡した。1965年韓日請求権協定により、日本政府や企業を相手取って訴訟を提起することができないだけで、損害賠償請求権は依然として生きているという趣旨だ。カギは、韓日関係の改善はもちろん、高齢の強制動員被害者と遺族らに有意義な支援を行おうとする文在寅政府の意志と能力がどれくらいになるのかだ」

     

    裁判所は、日本企業への請求権は消滅しているが、国内的には韓国政府が賠償に応じるようにと示唆している判決文である。

     

    (3)「ソウル大学国際大学院のパク・チョルヒ教授は、「これまで、日本は韓国政府が無対応で一貫しながら司法府に過去史問題を任してこのようになったという不満があった。今回の判決を活用すれば、政府が行政府や立法府の次元で問題解決のために積極的に努力するという信号を発することが可能になったもよう」とし、「もう過去史問題を解決しようとする政府の政治的意志にすべてがかかっている」と話した」

     

    日韓の過去史にまつわる問題は、すべて韓国政府が賠償すべきであると指摘している。日本にとっては、これまでの主張が通った形である。国際法の視点から言えば、今回の判決が解決の方向を指し示している。

     


    (4)「外交部当局者は判決直後、「政府は今後も司法判決と被害者の権利を尊重し、韓日関係などを考慮しながら両国政府とすべての当事者が受け入れられる合理的解決策を議論することに開かれた立場をもって日本側と関連協議を継続していく」と話した。加藤勝信官房長官は7日、定例記者会見で関連質問を受けて「引き続き動向を注視する」として「両国の懸案解決のために韓国が責任を持って対応することが重要だ」という立場を繰り返した。また、「現在の韓日関係は徴用工(強制徴用)問題と慰安婦問題などによって非常に厳しい状況」とし「問題解決のための韓国からの具体的な提案も注視する」と述べた」

     

    このパラグラフは、韓国政府の責任が極めて重いことを指摘している。文政権の残り任期は1年を切った。9月からは次期大統領選挙に突入する。あと3ヶ月で解決できるはずがない。

     

    『中央日報』(6月8日付)は、「かけた韓国の裁判長『国際裁判に進めば同盟が不安定になり安保脅かされる』」と題する記事を掲載した。

     

    (5)「今回の判決では、韓日関係の梗塞が結局、韓米同盟の弱化につながり、憲法上の価値が侵害される可能性もあるとみた。「もし国際裁判で敗訴すれば日本との関係が損なわれ、これは安保と直結した米国との関係(の毀損)にもつながる。そうなれば憲法上の安全保障を損ない、司法信頼の低下により憲法上の秩序維持を侵害する可能性がある」と判決文で指摘した」

     

    このパラグラフは、味読すべき内容である。日本企業に旧徴用工賠償を命じる判決がもたらすマイナスを深く考えた判決である。駐韓米軍の後方基地はすべて日本にある。そういう意味で、日本が韓国の安全保障に深く関わっているのだ。その大事な日韓関係を損ねるような判決は結局、韓国国民の不利益になると指摘する。韓国進歩派による日本糾弾が、何とも足元を見ない空疎なことを暗示しているのだ。

    次の記事もご参考に。

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    韓国、「狡猾」徴用工・慰安婦問題の解決案出さず、日韓首脳会談求め「実績づくり狙う」

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    メルマガ264号、「反日韓国」は永遠に続く! うつ病世界一が示唆する「民族滅亡リス

     


     

     


    中国にとっては大きな外交的失敗に終わった。日本は、台湾へコロナ・ワクチン124万回分を寄贈したが、中国による妨害工作は日航機の離陸するまで行なわれた。日航機の輸送中に東シナ海で中国空軍の妨害を防ぐべく、沖縄から米空軍偵察機も飛び立ったという情報まで流れている。それだけ、緊迫して状況にあったのだろう。

     

    『大紀元』(6月7日付)は、「台湾へのワクチン寄贈、岸防衛相『到着を見守る』中国が最後まで妨害か=台湾メディア」と題する記事を掲載した。

     

    64日午後、日本政府から台湾に無償提供したワクチンが無事に台湾に到着した。台湾メディア「上報」4日付は、ワクチンが専用機に積まれる前まで、中国側は妨害工作を働いていたと報じた。同記事によると、岸信夫防衛相はワクチンが台湾に到着するまで見守っていた。

     


    (1)「菅義偉首相が2日、「COVAX(コバックス)ワクチンサミット」で台湾へのワクチン提供を進める方針を示した。記事は、その後中国が外交ルートを通じて圧力や妨害を続けていた、と述べた。外交筋が明らかにしたところによると、中国側は「一つの中国の原則に反する」として、この行動のリスクを度々警告していたという。「人命がかかっているというのに、まだ『一つの中国』と言っているのか」と中国側の強硬な態度に日本側は呆れていたという」

     

    中国は、日本から台湾へのワクチン贈呈に当って最後まで妨害したという。中国がメンツを潰されると見たからだろう。

     

    (2)「同記事はまた、台湾へ無償提供した124万回分のワクチンを積んだ日本航空(JAL)のJL809便を追跡サイトで追跡したところ、東シナ海上空を飛行する同便を米空軍のMC-12W偵察機が沖縄の米軍基地からずっと追随しているというネット情報に言及した。同便が無事台湾に到着すると岸信夫防衛相はすぐにそのニュースをリツイートし、「無事に台湾へ」と投稿した。記事は情報筋の話として、台湾へのワクチン寄贈計画を進めるなか、台、日、米の3国は、外交による圧力に失敗した中国が、「より強力な干渉行動」に出て、衝突を誘発すると懸念していたと報じた」

     

    ワクチンを輸送した日航機は、東シナ海上空を飛行する際に、米空軍のMC-12W偵察機が沖縄の米軍基地からずっと追随したというネット情報も公開された。万々一に備えて、万全を期したのだ。

     

    (3)「4日に成田空港から日本寄贈のワクチンを見送った、謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表(駐日本台湾大使に相当)は、Facebookに一礼して日航機を見送る写真を添付した。謝代表はまた、「この国は特殊な状況にある。ワクチンが飛行機に積まれる前までは状況が変わる可能性があった。そのため、自分は最後まで秘密を守らねばならなかった。これらのワクチンが無事故郷に届けられるのを守ることが、最優先の使命であり、自分の責任だ」と説明した。謝氏は日本から台湾へのワクチン供給に関する情報を秘密にした理由について言及しなかったが、中国政府による圧力が関係しているとみられる」

     

    ワクチンの台湾空輸戦術は、最後まで極秘事項とされた。中国の妨害工作を回避するためである。

     

    (4)「台湾の王定宇・立法委員(国会議員)は5日、「中国は人命、健康を政治的手段にしている、その手口は粗末な上、うんざりさせられるものだ」と述べた。また、「日台の友情は中国の政治的介入に勝った、日本は『64日』の日付をあえて避けなかった。日台関係はこの先もっと良くなるだろう。中国はその悪行によって得るものよりも失うものの方が大きいかもしれない」と指摘した。王氏は、「中国の圧力はワクチンを載せた専用機が飛び立つ前まで続いた。在日中国大使らは自ら日本外務省に出向き、抗議し、『ワクチンを下ろさせ、できるだけ遅くらせるように』と要求した」と中国の圧力工作の一部始終を語った」

     

    「6月4日」は、言わずと知れた天安門事件発生日である。中国としては、この日を避けさせたかったのだろう。だが、日本政府は断固として実行したという。日本の強い決意を中国に見せつけるためだったのだろう。

     


    (5)「今回、ワクチンの輸送を担当した日本の航空機はJALのJL809便で、6月4日に台湾に到着した。野党・台湾基進で新聞部(ニュース部)副主任を務める陳子瑜氏は、日本の輸送機の便名と出発日付を合わせると「8964」になる。これは中国が最もタブー視する日だ。しかし、この日が意図的に選ばれたことは実に興味深いと述べた」

     

    日本政府は頼もしいことをやってくれた。日航機の便名と出発日付を合わせると「8964」になる。つまり、1989年6月4日の天安門事件発生日である。日本政府が、中国の人権弾圧に抗議する姿勢を見せたものだ。日中対立は、もはや引けぬところまで来ている。日中友好話は、昔のことになった。

     

    (6)「2011年の東日本大震災後、台湾から200億円の義援金が送られた。昨年4月、中共ウイルス(新型コロナ)感染拡大を受けて、台湾は日本に約200万枚のマスクを寄贈した。茂木外相は4日の記者会見で、「東日本大震災後に、台湾からいち早く多くの義援金を送ってもらったことは、鮮明な記憶として残っている。台湾との重要なパートナーシップや友情を踏まえた、今回の提供だ」と述べた。蔡英文総統は、「言葉では言い尽くせないほど感謝している」「価値観の共有に基づき、互いを信頼し助け合うという『台日友好』の真髄を改めて目にした」と自身のツイッターで発信した」

     

    日本が今回、ワクチンを無償で台湾へ提供したのは、2011年の東日本大震災後、台湾から200億円の義援金が送られて、世界で断トツの金額であった。また、約200万枚のマスクを寄贈されている。日本が、こういう恩義に応えるのは人間としての務めである。

     

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    2021-06-07

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