勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年06月

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    朴槿惠(パク・クネ)政権を支えた与党は、朴氏の弾劾による追放で野党に転落した。その後の国政選挙も振わず、与党「共に民主党」の暴走を許し、韓国政治は危機を迎えている。この最悪状態を改革するには、野党が奮起して政権交代を実現するほかない。こうした定石通りの動きが始まっている。次のようなものである。

     

    野党「国民の力」の党代表選予備選挙(カットオフ)で、36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)前最高委員が1位で通過した。今回のカットオフは、一般国民2000人、党員2000人を対象に2社の機関が行った世論調査を1対1の割合で合算した結果だ。李氏が41%を記録し、2位の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)前議員は29%だった。国会議員経験のない1位と当選4回を経験した2位の差が10ポイントも広がったのである。



    一般国民調査で、李氏(51%)は、羅氏(26%)を2倍近く圧倒したが、党員調査では1、2位の順位が逆転した。ただ、その差は1ポイント程という僅差であった。少なくとも党員調査では当選4回のベテランが優勢であろうという一般的な予測が見事に外れた。この機に保守野党の体質も抜本的に変わらなければならない。そういう党員の切迫感が、「李俊錫旋風」に映し出されたとみられる。韓国政治を変革するには、まず野党が変革するという危機感の現れだ。


    6月11日の全党大会の勝負は、「党員投票70%、国民世論調査30%」方式となる。予備選挙とは違って党員投票と国民世論調査が7対3の割合なので、結果を予断することはできない。国民は、今回の全党大会が保守野党の刷新と変化を推し量る試金石と見ている。

     

    「李俊錫旋風」は、韓国ギャラップの「次期政治指導者選好度」調査で3%を記録した。6月4日、韓国ギャラップによると、1~3日に成人男女1003人に今後韓国を率いていく政治指導者として誰が良いかを尋ねた結果、李俊錫氏が3%に達したもの。

     


    李在明(イ・ジェミョン)京畿道(キョンギド)知事(24%)、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長(21%)、与党「共に民主党」の李洛淵(イ・ナクヨン)前代表(5%)に続き李俊錫氏が4位へ名前を連ねた。李俊錫氏は、まだ36歳で憲法上の規定で大統領選に立候補できないが、国民への認知度は上がっている。

     

    『東亞日報』(5月26日付)は、「野党代表選で30代の李俊錫の風、民心は『年寄り党の刷新』だ」と題する記事を掲載した。

     

    野党「国民の力」の代表選挙戦に世代交代の風が吹いている。6月11日の全党大会を控え、最近実施された世論調査で、国会議員に一度も当選したことがない36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)前最高委員が、院内代表を務めた当選5回の朱豪英(チュ・ホヨン)議員、当選4回の経験を持つ羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)前議員など重鎮を退けて支持率トップを記録した。1970年代生まれの当選1回の金雄(キム・ウン)、金恩慧(キム・ウンヘ)議員も善戦している。前例のない新進候補らの躍進に野党だけでなく与党も神経を尖らせている。

     

    (1)「当初、全党大会に若い活力を吹き込む程度の候補と見られた彼らが序盤レースで予想外の気勢を上げているのは、新鮮さを越えて意味深長だ。今回選出される党代表は、就任後9ヵ月しか残っていない来年の大統領選の大きな絵を描き、選挙を指揮する役割を果たさなければならない。このような重大な時期に、高度な政治力が求められるポストに経験のある重鎮ではなく若い新進候補を党の看板に掲げろという声が大きくなるのは、野党の世代交代に対する国民的要求がどれほど大きいかを物語る」

     

    現政権は、進歩派であるが中身は民族主義である。保守派以上に頑迷で、支持者の利益のみに奉仕するという強い党派性を示している。韓国の政治・経済の行き詰まりは、この「敵・味方論」に起因している。韓国を変えるには、革新的な保守派が政権に復帰することである。その保守派で、改革が起ころうとしている。36歳の国会議員未経験者が、次期指導者候補に浮上しているのだ。

     


    (2)「最終選挙戦まで時間があり、党員投票が7割反映されるため、実際の結果を予断することはできない。このような傾向がいつまで続くのか、一般党員の票心にまで影響を及ぼすかは見守らなければならない。明らかなことは、新進候補らの新しい風が依然として「年寄り党」、「地域党」の限界から脱せずにいる同党の換骨奪胎を追求しているという事実だ」

     

    保守派と言えば、「年寄り党」のイメージである。だが、文政権による悪政で若者の支持者が急減しており、保守派へ鞍替えしている。大学を出ても就職できない政権を支持するはずがない。

     


    (3)「「国民の力」は4月7日の再・補欠選挙で、「20~30代」若者層、合理的中道層の支持を得て勝利した。彼らの支持は、同党が骨を削る革新を通じて合理的保守に新たに踏み出すことができなければいつでも撤回される「条件付き支持」だった。同党が再補選後も国家的課題に対する未来ビジョンなく党権闘争など旧態依然の姿を見せていることに対する警告とムチが、新進候補らに対する国民支持に投影されているのだ」

    この4月の二大市長選で、保守派候補が大勝した。20~30代の圧倒的な支持を得た結果だ。これら20~30代は、文大統領を実現させた支持層であるが、文氏の掲げた「公平・公正・正義」に裏切られ保守派候補へ鞍替えしたものである。保守派は、この新しい政治の潮流に乗れるかどうか。11日の代表選挙が注目される理由である。

     

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    EU(欧州連合)は、異分子排除で全力を挙げている。すでに中国は、人権問題でEUの標的にされている。これに加え、「脱炭素」を基準にするEU域外からの輸入品に対して、国境炭素税措置を科す。中国は、世界一の二酸化炭素排出国である。それだけに狙い撃ちしやすいのである。

     

    日本とEU(欧州連合)は5月27日の定期首脳協議で、気候変動対策の連携を深めるグリーン・アライアンス(同盟)の立ち上げに合意した。世界の脱炭素化を日欧で主導するという目的だ。日本とEUの二酸化炭素削減目標は、次のようなっている。

     

    EUは、2030年に55%減(1990年比)を掲げる目標設定である。日本も、昨秋にEU同様に50年の実質ゼロを表明した。今年4月には30年度に46%削減(2013年度比)すると発表。EUは「日本と政策目標が非常に似てきた」と歓迎している。

     

    日本とEUでは、最大の二炭化炭素排出国である中国に厳格な削減を促す「包囲網」を築く。EUは、その一環として脱炭素の「考え方が同じ」である民主主義国を中心に、「グリーン同盟」を結ぶ方針だ。第一号が日本となった。

     


    EUは、日本との合意をモデルにして米国などにも、「グリーン同盟」を拡大させる構想を抱いている。合意文書には、中国を念頭に「主要新興国に対し、野心的で具体的な短期、中長期の目標や政策策定を共同で働き掛ける」と明記した。

     

    中国を「グリーン同盟」に引入れようという狙いは、中国が2030年までCO2排出量増加を宣言しているためだ。

     

    中国が、それまでは経済成長優先策を貫くという意味である。これは、一人当たり名目GDPを2021~2035年までに先進中等国(約2万ドル)並みに引き上げる目標を立てている結果でもある。そのためには、目前にある「中所得国のワナ」を何としても乗り越えたいというのが願望だ。「中所得国のワナ」に陥れば、経済成長率が停滞して米国覇権への挑戦などはたんなる「寝言」になる。

     


    その意味で、今後の10年間が中国経済にとって最重要期になる。だからと言って、二酸化炭素の排出を増やし続けることは許されない。はっきりと、「ケジメ」を付けさせなければダメである。

     

    西側民主主義国が、中国の覇権挑戦に手を貸すほどお人好しであるはずがない。世界を騒がす危険因子である中国の野望は、一国も早く排除することが暗黙の合意だ。当然、2030年までのCO2排出量増加を認められるはずもない。

     

    『ロイター』(6月4日付)は、「EUの国境炭素税 鉄鋼・セメント・電力などが対象=素案」と題する記事を掲載した。

     

    EU欧州委員会は7月14日に「国境炭素税」について提案を行う。ロイターが入手した素案によると、域外から輸入する鉄鋼・セメント・電力などが課税対象となる。

     

    (1)「国境炭素税は、EUよりも環境規制が緩い国からの輸入品に事実上の関税を課して公平な競争を確保する狙いである。2026年から全面的に導入されるが、23年から「移行期間」を設ける可能性がある。素案は修正される場合もある。国境炭素税の対象となるのは鉄鋼・アルミニウム・セメント・肥料・電力など。輸入業者は「デジタル証明書」を購入する必要がある。証明書1枚が二酸化炭素(CO2)排出量1トンに相当する。証明書の価格はEU排出権取引制度での排出枠の価格に連動する。この措置は世界貿易機関(WTO)のルールに完全にのっとっていると指摘した」

     

    中国は、2030年まで二酸化炭素の排出総量が増え続けるという。これで2060年に排出総量をゼロにするという目標が達成できるのか、口先だけであろう。こういう中国に対しては、EUが考案した国境炭素税が大きな効き目を持つはずだ。中国企業も真面目に対応するであろう。

     

    (2)「輸入業者は、毎年5月31日までに前年に欧州へ輸入した商品について排出量を報告し、国境炭素税の徴収証明書を提出するよう求められる。提出を怠った場合には証明書の費用の3倍の罰金が科せられる。素案によると、既に排出量取引が行われている国に拠点を置く輸入業者は国境炭素税の減額を要求できる可能性がある。こうした国・地域には中国や米カリフォルニア州などが含まれる」

     

    国境炭素税の徴収証明書提出を怠った企業は、3倍の罰金を科されるという。具体的に、中国企業の脱法行為を防止する目的である。

     

    中国の産業構造とCO2排出量の関係を調べると、次の事実が浮かび上がる。鉄鋼部門は、国内産業の中でも断トツの規模でエネルギーを消費している。2018年には、国内のエネルギー消費合計の13%を占めた。また、非鉄金属やセメント、ガラス、化学品などの重工業部門は、鉄鋼と同様に住宅需要の後に続く傾向がある。合計すると、鉄鋼・非鉄部門がエネルギー消費量の約4分の1を占めている。


    中国のエネルギー需要と住宅建設や鉄鋼生産量を比較すれば、前記3者の間に相関関係のあることが分かる。つまり、中国では住宅建設を抑制することが、二酸化炭素排出抑制に繋がるのである。中国の住宅建設は現在、実需よりも投機需要を満たす形になっている。都市部の住宅は、約2割が空き家である。値上り期待の投機目的である。

     

    中国では、不動産バブルが二酸化炭素を余計に排出させるという逆立ちした現象をもたらしている。

     

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    中国は、これまで武漢が新型コロナウイルスの発症地であることを頑なに否定してきた。世界中から非難と賠償を求められるからだ。そこで、「知らぬ、存ぜず」で逃げ切る姿勢に徹してきたもの。米国バイデン大統領が5月26日、米情報当局に真相究明を命じて、事態はにわかに動き始めた。

     

    この裏には、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(5月24日付)で、「武漢ウイルス研究所職員、19年秋に体調不良で通院か 米報告書」と題するスクープがあった。次のように報じている。

     

    「中国の武漢ウイルス研究所(WIV)に所属する3人の研究員が2019年11月に、病院での治療が必要になるほどの体調不良を訴えていたことが分かった。これまで公表されていなかった米情報機関の報告書から明らかになった。新型コロナウイルスが同研究所から流出した可能性についてより詳細な調査を求める声が高まる可能性もある」

     


    この報道を受けて、バイデン大統領が真相究明を命じた。WSJは、「
    武漢研ウイルス流出説、信頼性高まる」(27日付)と題する社説を掲載した。

     

    (1)「2020年2月6日、華南理工大学の肖波涛教授(分子生物学)は、この(武漢)ウイルスについて「恐らく武漢の研究所が発生源だろう」と結論付けた論文を発表した。しかし中国政府はコロナの発生源に関する研究を厳しく制限しており、同教授は論文を撤回した。中国共産党はその後、攻勢に転じた。中国の駐米大使は、研究所からウイルスが流出したとの説は「全くばかげている」と主張。こうした説は「人種差別や外国人への嫌悪」をあおりかねないと述べた」

     

    中国政府は、昨年2月の中国人学者による「武漢起源説」を撤回させて、米国を感染源とする「インチキ説」を外交部広報官のツイッターで世界へ発信させる恥ずべき行為に出た。

     

    (2)「発生源の精査は1年前に開始されるべきものだった。しかし、党派色の強いメディアは公平な議論を妨げた。多くの「専門家たち」は政治的打算で動き、科学に従うよりも集団思考の犠牲となった。単に点数表を付けているのではない。新型コロナの武漢起源説は、次のパンデミックを阻止し、危険な研究施設をより適切に運営し、人類を守るすべを理解する上で極めて重要である。世界は依然として誠実で開かれた調査を必要としている」

     

    武漢ウイルス研究所員3人は2019年11月、原因不明の病気で入院している事実が判明している。これは、武漢発症を疑わせるに十分なデータであった。さらに、武漢ウイルス研究所で新型コロナ発生前に科学者たちがきちんとした防護具のないまま、素手でコウモリを扱っていてかまれる様子が含まれる国営放送局・中国中央テレビの映像の存在が確認されている。

     


    『朝鮮日報』(6月3日付)は、「『コウモリが手袋かんで破れた』武漢研究所が削除した映像あった」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「米紙『ニューヨーク・ポスト』(5月28付)H、武漢ウイルス研究所(WIV)の研究者が手袋やマスクなどの保護具を着用せずにコウモリとその排せつ物を扱う様子が映る中国中央テレビの映像を公開した。2017年12月29日に中国で放映されたこの映像で、半袖・半ズボン姿の研究者たちは、手袋以外は保護具を着用しないまま、感染性が高いコウモリの排せつ物を採取した」

     

    WIVの研究者が、保護具を用いないで感染性の高いコウモリの排せつ物を扱っていた、と指摘している。この点は、WIVに研究資金を提供している米国側も認識しており当時、注意を与えたと報じられた。

     

    (4)「同研究室で一部の研究者は、手袋を着用しないままコウモリの研究サンプルを受け渡しした。研究室の中で一般的な衣類を着て、頭に保護具をつけていない姿も映像にある。この映像で、ある科学者は「コウモリが手袋をかみ切って私をかんだ」「針でジャブ(jab)をもらった気分だ」と言っている。この映像にはコウモリにかまれた部分がひどく腫れている写真も登場する」

     

    映像には、コウモリに噛まれて腫れている部分も出てくるという。こうなると、WIVが感染源であることを疑わせるに十分な資料と言えそうだ。米情報当局は、どのような結果をもたらすか予断はできない。だが「武漢クロ説」となれば、中国の立場は世界で完全に孤立する。

     


    『フィナンシャルタイムズ』(6月1日付)は、「
    コロナ起源巡る新リスク」と題する記事を掲載した。

     

    (5)「バイデン氏は、武漢ウイルス研究所からの流出説を巡り米情報機関で意見が割れている点を率直に認めた。同氏は流出説が真実だと立証された場合、その波紋が招く事態を深く憂慮しているかもしれない。バイデン政権がいくら阻止しようとも、米裁判所では中国に巨額の賠償金を求める訴訟が相次ぐだろう。その場合、バイデン政権の中国と対立するところでは対立しても協力できるところはするという微妙なバランスを維持することは極めて難しくなるからだ」

     

    米情報機関が、武漢ウイルス研究所を発生源と認めれば、米国裁判所に賠償金請求が殺到すると見られる。以前の予測では、米国だけで2兆ドルという試算もあった。中国は支払い能力を超えているので、大きな問題が発生する。

     


    (6)「中国が、新型コロナの発生源を巡り自らが世界に責められていると再び感じるに至れば、また強硬な姿勢で反撃に出てくるだろう。あるいは、世界を分断させようと画策してくる可能性は高い。パンデミックの発生源を解明しようとする動きは誰にも止められないし、必要なことだ。だが、それは大きな危険をはらんでいる」

     

    中国は、コロナウイルスの発症地を厳重調査せよと主張した豪州に対して、常軌を逸した制裁を加えている。このことから推測できるのは、中国が世界を分断させる途方もないことを企む危険性を秘めている点だ。一種の「鎖国状態」をつくりだす事態が予想される。

     

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    最近、日本に対する韓国の素材・部品輸入依存度が過去最低になったが、対日貿易赤字幅はむしろ拡大したことが分かった。政府の素材・部品・装備国産化の努力にもかかわらず、まだ高付加核心素材・部品では日本への依存を抜け出せていないからだ。

     

    『中央日報』(6月4日付)は、「韓国、素材・部品の日本依存度が過去最低も 貿易赤字が増加する理由」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「産業通商資源部「素材・部品総合情報網」によると、今年1-4月の韓国の素材・部品累積輸入額(647億9500万ドル)のうち日本製品(96億9600万ドル)が占める割合は15.0%だった。前年同期(16.1%)比で1.1ポイント低い数値だ。関連統計を作成し始めた2001年以降、最も低い。これは素材・部品・装備の国産化努力のおかげだ。2019年の日本の輸出規制以降、韓国政府は核心素材・部品・装備の自立に向けて支援政策を進めてきた」

     

    下線部分では、日本への依存度低下理由が国産化としているが間違えている。正しくは、輸入先の代替である。台湾や中国からの輸入に切り変えた結果だ。だいたい、2年程度で国内生産に代替できるはずがない。

     


    (2)「日本産の素材・部品輸入比率は2003年に28.0%でピークとなった後、徐々に低下している。日本が輸出規制を始めた2019年には15.9%まで落ちたが、2年ぶりに比率がさらに減った。素材・部品の輸入先も多角化した。同じ期間、台湾からの素材・部品輸入比率は昨年の8.3%から今年は9.3%に上昇した。中国からの輸入比率も同じ期間29.1%から30.1%に高まった

     

    下線部のように台湾や中国からの輸入が増えている。

     

    (3)「日本への依存度は低下したが、貿易赤字幅はむしろ増えた。今年1-4月、日本との素材・部品貿易で韓国は59億9600万ドルの赤字だった。前年同期比7億900万ドル増。韓国は1-4月、日本に対して前年同期比6.2%増の43億ドル分を輸出した。しかし同期間の輸入額(96億9600万ドル)は輸出額の倍を超え、赤字幅が拡大した。これは韓国の輸出好調で全体の輸入額が大きく増えたからだ。韓国は外国から素材・部品・装備など中間財を輸入した後、これを再加工して売る貿易構造を持つ。最近、半導体など韓国の主力製品の輸出が大きく増え、ここに使用される日本製の高付加核心素材・部品の輸入も急激に増えたと分析される」

     

    韓国貿易は、加工型貿易である。他国から部品・素材を輸入して加工・組立てて付加価値を付けるものである。こういう貿易構造では、TPP(環太平洋経済連携協定)に参加して原産地証明書を多く取得できるシステムが、最も有効なはずだ。ただ、これまでTPP参加を拒んでいたのは、日本製品が最終的に関税ゼロで韓国市場に流れ込むことを恐れていることにある。未だに、TPP加盟は先の話にすぎない。日韓の経済的な競争力では、これだけの差があるのだ。

     

    (4)「実際、1-4月の貿易赤字幅が大きかった日本からの輸入品目をみると、電子部品(19億200万ドル)、一般機械部品(64億4000万ドル)、化学物質および化学製品(13億100万ドル)、ゴムおよびプラスチック製品(5億7800万ドル)など中間財の品目が多い。産業通商資源部の関係者は、「政府の素材・部品・装備国産化努力で日本からの輸入比率を大幅に減らしたが、依然として韓国の輸出品に日本の中間財を使用するケースが多く、代替が難しい品目もある」と説明した」

     

    下線部のように、日本からの輸入が不可欠という分野が多い。技術格差である。

     

    (5)「専門家らは、素材・部品・装備で独立するためには高付加核心品目の国産化に集中する必要があると助言する。漢城大のキム・サンボン経済学科教授は、「日本の核心素材・部品・装備製品をみると高付加価値を持ち、代替が不可能な品目が多い」とし、「こうした品目の国産化を支援してこそ、韓国の素材・部品・装備の競争力が高まり、貿易赤字幅も減らすことができる」と述べた」

     

    下線のようなことは、一朝一夕に実現できるはずがない。韓国出身者で、未だにノーベル科学賞の受賞者がゼロである。日本出身者では、22名(2019年)である。この差は大きいのだ。戦後に限って見れば、日本は米国に次いで世界2位である。

     

     

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    来年3月の次期大統領選をめぐって、積極的な動きが始まっている。前検察総長のユン氏は、文政権に虐められてやむなく辞任したという背景もあり、文大統領批判がユン氏支持に結びついている。ユン氏は、立候補への意思は示していないが、時局への認識についてユーチューブを使って発信している。

     

    韓国の世論調査会社、アールアンドサーチが4日に発表した調査結果によると、来年3月の次期大統領選挙で尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長は、43.8%の支持率となった。革新系与党「共に民主党」所属の李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事の34.1%を10ポイント近くも上回っている。早くも「ユン旋風」が起きそうな気配である。文大統領にとっては頭の痛い問題になってきた。

     


    『ハンギョレ新聞』(6月4日付)は、「間接話法・一方的メッセージ 有力大統領選候補の前検察総長、独特な『政治入門』」と題する記事を掲載した。


    (1)「ユン前総長は今年3月に検察総長を辞任した後、重要な懸案について直接発言した例がほとんどない。これまで、外交、経済、不動産、小商工人、半導体、建築など多方面の専門家に会い、「大統領選挙の授業」に熱中した。「捜査以外の知識はない」という批判に反論するための措置とみられる。特に、彼が専門家たちに会って意見を分かち合った分野を見ると、住宅価格の暴騰を抑えられずにいる不動産政策▽不安定になった労働市場▽新型コロナで直撃を受けた自営業・小商工人問題▽政府規制で20代の民意を刺激した仮想資産問題▽グローバル半導体戦争など、文在寅(ムン・ジェイン)政権が直面している国内外の懸案を網羅している

     

    検察一筋できたユン氏が、政治・外交などあらゆるテーマについて専門家の意見を聞き、大統領選への準備していることは明らかである。「文在寅政権が直面している国内外の懸案を網羅している」状況だけに、与党側は防戦にピリピリせざるを得まい。

     


    (2)「専門家との会合を通じて文在寅政権の失政を浮き彫りにし、「代案勢力」としての存在を認識させる狙いがあるということだ。キム・ドンモ韓国政治コミュニケーション学会長(湖南大学教授)は、「ユン前総長が現政権の弱点に関する専門家らに意図的に会い、“ジャブ”を打ち続けている」とし「自分は現政権とは違い、代案を提示できるということを見せる方式で存在感を高め続ける作業をしている」と分析した」

     

    ユン氏が、国民に向かった語り始めた時、強烈な文政権批判になることは明らかだ。しかも、感情論でなく、実戦論で立ち向かってくれば、脅威となろう。

     

    (3)「ユン前総長は6月2日、30代の時事評論家チャン・イェチャン氏を初めて自分の「スピーカー」に立てた。モ・ジョンリン延世大学教授と延禧洞(ヨニドン)の路地商店街で会ったときの映像と写真がチャン氏のユーチューブチャンネルで公開され、チャン氏はこれからユン前総長の公報参謀の役割をする予定だと明らかにした。ユーチューブによる大衆的なコミュニケーションへと変化を図っているとみられる」

     

    ユン氏は6月2日、ユーチューブに登場した。30代の時事評論家と延世大学教授という「脇役」を引き連れての第一声である。韓国では、文政権への批判が20~30代に最も強いこと。これを意識して30代の評論家と中立の大学教授。しかも既成メディアでなく、最も人気の高いユーチューブを利用するという、憎いばかりの舞台装置である。計算し尽くした演出である。

     

    (4)「特に30代を前面に出したのは、次期大統領選挙でスイングボーターに浮上した20~30民意に向けた戦略的選択という分析が出ている。ソン・ドンギュ中央大学メディアコミュニケーション学部教授は「脱政治化・脱理念化している20~30代に、ユン前総長は進歩と保守の二分法ではなく、目の前の現実の中のソリューションを提供する姿を見せるということだ」とし「巨大キャンプなどこれまでの権威を破壊することが、若い層には革新として受け入れられる」と解説した」

     

    下線部は、国民の視線を集めるに十分な配慮がされている。韓国の未来に絶望している20~30代に向かって、ユン氏が何を語るかである。既成政治家にない新鮮なイメージで訴えかけるのであろう。

     

    (5)「ユーチューブチャンネルも編集された画面を通じて意図されたメッセージを伝えるだけだ。大衆と会うことを避け、「非対面・一方通行」で好評を伝えるユン前総長の政治方式には、本質的な変化はないということだ。キム・ドンモ教授は、「ユン前総長が勢力整備など準備のできていないか、前面に登場したときになるべく打撃を少なくするために慎重に準備しているようだ」とし、「“塩梅をみる”というような行動を続ければ、あまりに時間を置きすぎて国民を失望させる可能性もある」と述べた」

     

    ユン氏は、国民の期待感を高めた後で、生の声で国民に訴えるのであろう。ハンギョレ新聞は、これまで文政権に肩入れしてユン氏を一方的に非難攻撃してきた。政権の「ユン批判」をストレートで記事にしてきたのだ。例えば、「ユン氏は、優秀な検事でなくどこにでもいる人物」と揶揄してきた。そういう平凡な人物を、なぜ検察総長にまで引き上げたのか。「無能」だから、文大統領の言うままになると仮定していたとすれば、検察を利用したことになる。いずれにしても、文大統領は非凡な人物を検察総長に任命し、辞任させるという「二重のミス」をしたことになる。自ら、墓穴を掘ったのだ。

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