勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年06月

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    中国の戦狼外交は、あちこちに敵を作って歩いている。それが、国威発揚と誤解している結果だ。なぜ、他国へ傍若無人の振る舞いをするのか。それは、GDPが世界2位になったことと無縁でない。中国社会における人間の価値を計る物差しは、相手の所有する財産が基本である。こういう物でしか測れない価値基準が、現在の中国を尊大にさせているに違いない。

     

    中国が、GDPで世界2位になった2010年以降は、習近平氏が国家主席に就任した2012年以降と重なり合っている。こうしたGDPを背景にして、中国の民族主義は暴走を始めた。

     


    『日本経済新聞 電子版』(6月22日付)は、「インドと欧州を近づけた中国、『政冷経熱』の終焉」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「距離を縮めるインドと欧州。2020年1月のブレグジットで欧州連合(EU)27カ国と英国に因数分解された欧州の側が、インドへの接近を競い合う構図である。54日、まず英国が首脳会談を開いた。58日はEUの番だ。インドとの首脳会議は従来、EU大統領や欧州委員長の役目だったが、今回は初めて27カ国首脳が顔をそろえた。関係強化の証しとばかり、英国とEUのそれぞれがインドと合意したのが、自由貿易協定(FTA)の交渉入りだ。英がまだEUの一員だった07年から計16回の交渉を重ねたが、ほとんど進展がなく、13年以降は中断したままだった」

     

    2013年以降、インドはEUとFTA交渉を中断したままだったが、この5月に英国とEUとそれぞれ交渉を始めることになった。そのきっかけは、中国の勃興にある。互いに中国の存在を意識して、経済面で「脱中国」を目指している結果である。

     


    (2)「インドは、2011年の対日本を最後に10年間も新規のFTAの発効がない。そのインドが、欧州との協議再開に動いた事情は、経緯を振り返れば明快になる。19年11月、大詰めだった東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)交渉からの離脱を宣言した直後、ゴヤル商工相が「我々はEUとFTA交渉を行うべきだ」と口にした。土壇場でRCEPに背を向けたのは、貿易赤字の4割を占める中国からのさらなる輸入拡大を嫌ったためだが、その反動として、数少ない貿易黒字相手の欧州へと意識が向いたのは自然な流れだ」

     

    インドが、RCEPの調印寸前にUターンしたのは、中国の影響が高まることを警戒した結果である。インドが「脱中国」を実現するには、EUや英国とFTAを結ぶことを踏み台に関係を強化すれば、代替可能と見たのであろう。

     


    (3)「EUや英国にとって対インド貿易は赤字だ。しかも貿易総額は大きくない。域内貿易が6割を占めるEUにとってインドはシェア0.%、英国にとっても1.%にすぎない。13億人市場の潜在力は認めるにしても、FTAの優先順位が高いとは思えない。ではなぜ、欧州の側が熱心なのか。そこにはブレグジットの微妙なアヤが作用している」

     

    現在の欧州側の貿易構造では、インドのウエイトは僅かである。EUと英国において、いずれも10位以下である。それにも関わらず、なぜインドとのFTAを急ぐのか。

     

    (4)「起点は英国だ。EU離脱後、成長戦略の軸足をかつて植民地支配した英連邦へと回帰させ、豪州やシンガポールに接近した。とりわけ経済規模が最大のインドにはジョンソン氏が執着する。ブレグジット後に通商上の競争相手となった英国の動きをEUも看過できない。英が先行し、EUが追走しているのが、相次いだ首脳会談の図式といえる」

     

    英国の事情は、EUから脱退した後の貿易の穴をアジアで埋めざるをえない。とりわけ、将来のインド経済の成長に期待する部分が大きい。EUも事情は同じだ。英国がインドと有利な関係を結ぶならば、EUも傍観はできないのだ。

     


    (5)「以前のFTA交渉を座礁させた難題のひとつに妥協の余地が生じたのも大きい。13年の交渉中断はインド側が自動車部品やワイン、スピリッツなどの関税引き下げをかたくなに拒んだことが主因だった。一方のEU側もソフトウエア開発やアウトソーシングの受託、医療業務といった、インドが強みを持つサービス輸出や「人財輸出」への市場開放には消極的だった。反対の急先鋒(せんぽう)が英国だった。後のブレグジットにつながる移民労働者の急増や雇用流出に神経をとがらせるなか、インドにサービス市場を開放すれば、旧宗主国で英語圏の自国が最も影響を被るのが確実だったからだ」

     

    皮肉なことに、英国がEUに止まっていた時、EUはインドとのFTAに消極的だった。英国が反対したからだ。その英国がブレグジットして、インドへ接近し始めた。EUも刺激されてインドへ接近するという、漫画のような構図が生まれている。

     

    (6)「それら以上に重要なのは、やはり対中国だろう。中国はEUにとって域外で最大、英にとってもEUや米国に次ぐ3位の貿易相手だ。巨大な輸出市場としてはもちろんだが、コロナ禍では医療物資など輸入依存への危機感も高まった。世界が調達網の分散に動くなか、欧州にとって歴史的にも関係が深いインドはその代わりになり得る存在だ。ただし、あくまでそれは将来への期待にすぎない。モディ政権下のインドは、前回のFTA交渉時よりむしろ保護主義を強めており、譲歩を引き出すのは至難の業だ。それでもインドに近づくことで、中国をけん制する意味は大きい

     

    インドは、土壇場でRCEPに背を向けたように保護主義的になっている。それでも英国とEUは、中国をけん制すべくインドとのFTA交渉を始めざるを得ない局面である。中国が、インドと欧州を接近させた接着剤である。

     

     

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    韓国大統領府は、最大野党「国民の力」の代表が36歳・非議員を選んだことに刺激されている。大統領府はこれに負けじと、青年秘書官として「24歳大学生」のパク・ソンミン前与党「共に民主党」最高委員を選んだ。大学生ゆえに任期中は、大学を休学するという。学生の身分で大統領府入りである。文政権は、切羽詰まっている感じだ。

     

    この新人事によって、与党を離れた20~30代の若者の支持を再び取り付けようという狙いである。この人事を見て驚くのは、若者がなぜ政権与党に背を向けたか、その理由を掴んでいないことである。一口に言えば、大学を卒業しても満足な就職先のないことである。この問題を解決しないで政権与党の支持率を上げようとしても無駄である。

     


    『ハンギョレ新聞』(6月22日付)は、「共に民主党の失敗で20~30代が背を向けた」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙のソン・ハニョン政治部先任記者である。

     

    選挙で有権者の年齢層によって支持する候補や政党が分かれる現象を「世代投票」という。2002年の大統領選挙では、20代と30代の多くは進歩派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補を選んだ。50代と60代の多くは(保守派の)イ・フェチャン候補を選んだ。40代はほぼ同じだった。世代は地域主義に完全には取って代わることはできなかった。

     

    (1)「2011年10月26日のソウル市長補欠選挙、2012年の総選挙と大統領選挙、2014年の地方選挙、2016年の総選挙、2017年の大統領選挙、2018年の地方選挙、すべてが同じだった。20~40代は民主党の永遠の支持層であるかのようだった。共に民主党の代表予備選挙でイ・へチャン候補が「共に民主党20年政権論」を叫んだのは、2018年7月だった」

     

    政権与党は、奢り昂ぶっていた。20年間政権を維持すると豪語していたのだ。その一環として、検察に政権腐敗の捜査をさせないように検察組織の改革までやってのけた。国民が、与党に対して厳しい視線を向けるのは当然だ。

     


    (2)「変化は2019年に現れた。チョ・グク問題が始まりだった。チョ・グク法務部長官の任命の賛否を問う世論調査で、20代は30代と異なり反対意見が多かった。特に20代男性の反対が圧倒的だった。「20代男性」が共に民主党に背を向けたのだ。“ジェンダー対立”の表れでもあった。2020年の総選挙では、20代の共に民主党からの離脱は目立たなかった。コロナ禍のためだった。それでも、兆候が全くなかったわけではなかった。20代は30代や40代より相対的に共に民主党への支持が少なかった。過去の選挙とは異なる現象だった。共に民主党が目ざとければ、この時に危機の兆候を感知しなければならなかった。共に民主党はそこまで鋭くはなかった。「チョ・グク問題」の傷は新型コロナウイルス感染症と総選挙で覆われ、中で腐っていった」

     

    「チョ・グク問題」とは、法務部長官のチョ・グク氏が、自分の娘の不正大学入学に関わった事件である。両親が、大学教授であることを悪用して不正入学させたもの。「学歴社会」の韓国では、とうてい許せないとして非難が爆発した。チョ・グク氏は、法務部長官を辞任した。

     


    (3)「(昨年4月の)総選挙後の共に民主党の討論会で、チョン・ヘグ教授は「20~40代が望む世界」を次のようにまとめた。「彼らの人生に何よりも重要なのは、社会経済的な条件の改善であると同時に、そのなかで一人ひとりの自由と幸福を享受する暮らしではないだろうかと思う。特に、彼らの努力に比べ十分な機会を与えられずにいる若者層に、雇用をはじめ彼らが円満な社会生活を維持できる機会と条件を用意することが何よりも重要だ

     

    20~30代の若者の就職難を解決できない政権では、支持を集められるはずがない。「チョ・グク」事件で離れた若者は、腐敗と就職難が決定的な引き金になった。

     

    (4)「(今年)4月7日のソウル市長補欠選挙の結果は至極当然だった。共に民主党が過去10年間に築いたのは砂の城だった。誰も恨むことはできない。共に民主党の無能さと怠惰と破廉恥の対価だからだ。20~30代が共に民主党を裏切ったのではなく、共に民主党が20~30代を裏切ったのだ。20~30代の怒りは無差別的だ。保守野党「国民の力」が政権を取っていたならば、国民の力に向けて爆発したはずだ。しかし、現在の与党勢力は共に民主党だ。悔しがる理由はない。国民が既得権勢力だといえば既得権勢力なのだ。違うといっても無駄だ」

     

    2002年以来、20~30代の若者は進歩派候補者に投票してきた。それが、今年4月の二大市長選で進歩派を離れて保守派へ鞍替えした。この事実は、決して一過性ではなさそうだ。文政権の重なる失政が、進歩派離れを起したと見るべきだろう。

     


    (5)「共に民主党の前に、さらに大きな危機が近づいている。2022年3月9日の大統領選挙だ。保守野党の30代代表の登場は、ソウル市長補欠選挙での投票心理が来年の大統領選挙でも再演され得るというシグナルだ。20~30代が野党を支持すれば、共に民主党による再度の政権獲得は不可能だ」

     

    来年3月の大統領選で、20~30代の若者が保守派候補に投票すれば、文政権の後継はあり得ない。経済政策の大失敗と腐敗政治が固定支持層を離間させた要因である。この点の改革がなくして、進歩派の再執権は望むべくもない。今後、9ヶ月で形成逆転を望むのは無理というべきだ。

     

     

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    ロシア大統領のプーチン氏といえば、首脳会談で遅刻する常習犯である。遅刻することで、相手より「大物」であることを誇示する駆け引きであろう。そのプーチン氏が、バイデン大統領との会談では定刻通りに会場へ到着した。これだけでも、大きなニュースである。米ロでは何が話合われたのか。その結果が、中国へどのような影響を及ぼすのか。

     

    『大紀元』(6月22日付)は、「米露首脳会談、専門家『中国当局が圧力感じている』」と題する記事を掲載した。

     

    米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領は6月16日、スイスで初めての首脳会談を行った。専門家は、中国当局が米露の接近に不安を感じていると指摘した。両首脳の直接会談は、米国はテクノロジー、軍事的侵略、人権など各分野で中国との対抗姿勢を強めている中で行われた。

     


    (1)「米ロ首脳会談に先立って行われたG7サミットやNATO、EUとの会談で、米国は中国の話題で持ちきりだった。ロシアを抑え込んで中国との対決に集中することは米国の明確な目的であり、進展の兆しが見られると、台湾在住のマクロ経済学者、呉嘉龍(ウー・チャロン)氏は言う。呉嘉隆氏は17日大紀元とのインタビューで、今回の米ロ首脳会談について、2つの出来事に着目した」

     

    今回の米ロ首脳会談には、二つの注目点があるという。

     

    (2)「呉氏は、首脳会議の前にプーチン大統領は、同じく米国に対抗姿勢を示している中国の習近平国家主席と会談しなかったことに注目した。数週間前、中国は外交トップである楊潔篪・共産党中央政治局委員をモスクワに派遣したが、プーチンは電話でしか話さなかった。呉氏はまた、プーチン大統領には会議に遅刻する癖があったが、今回の首脳会談には、時間を守って出席したと指摘した。「この2つのことから、バイデン氏とプーチン大統領は会議前に、何らかの合意を得た可能性が高い」と指摘する」。

     

    二つの注目点は、次の事柄である。

    1)プーチン氏は、中国外交トップの楊氏が訪ロした際、面会せずに電話で済ませたこと。

    2)プーチン氏は、米ロ首脳会談で遅刻しなかったこと。

    これら2点で、米ロは事前に打ち合わせがあったと見ている。つまり、米ロ首脳会談を成果あるものにしようと努力したことだ。

     


    (3)「呉氏は、バイデン氏はプーチン大統領との直接会談を通じて、「国際社会、特にドイツやフランス、イタリアなどの欧州各国にメッセージを送った」との見方を示した。「一つは、同盟国とともに、中国と対抗していくことだ。もう一つは、ロシアが対中包囲網に参加しなくても、中立的な立場を取ってほしいということだ」と」。

     

    バイデン氏は、二つの目的があったと見る。米ロ首脳会談によって欧州各国を安心させること。また、ロシアには対中面で中立的立場を取ってほしいことを滲ませた。

     

    (4)「バイデン政権は5月、ロシアがドイツまでの天然ガス輸送パイプライン、「ノルド・ストリーム2」の事業会社に対する制裁措置を解除した。呉氏は、ドイツや欧州各国は今後、ロシアから天然ガスを購入できるため、欧州とロシアの関係がさらに緊密になると予測している。この動きは「中国への対抗姿勢を鮮明にした米バイデン政権にとって良い兆しである」と呉氏はみている。米側はロシアを「反中連合」から排除したくないからだ

     

    バイデン政権は、ロシアがドイツまでの天然ガス輸送パイプライン事業を認めた。これは、米国による欧州とロシアへの接近を意味しており、ロシアを味方につけようとする狙いだ。

     

    (5)「台湾シンクタンク、国防安全研究院の陳亮智・副研究員は、米ロ首脳会談において、プーチン大統領は対中にも、対米にも慎重的だったとの見解を示した。プーチン大統領は、首脳会談に先だって、米NBC放送のインタビューを受けた。その際、大統領は中国軍による台湾侵攻の可能性について質問を受けた。大統領は「その問題についてコメントできない」「政治には仮定法がない」と明言を避けた。陳氏は、「台湾問題に関して、プーチン大統領は米国に歩調を合わせようとしなかった。一方、中国当局への支持も表明したくない」と述べた

     

    プーチン大統領は、台湾問題について明言を避けた。ロシアが、対米や対中で慎重な姿勢であることを覗わせている。

     

    (6)「中国当局は、米ロ首脳会談に比較的に穏やかな反応を示している。中国外務省の趙立堅報道官は17日、米ロ首脳会談について、「中国側は、米ロ双方が戦略的かつ安定的な対話を行うことで意見一致したことを歓迎する」と好意的だった。しかし、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は18日、「バイデン氏は、中ロ関係をぶち壊そうとした」「米国によるロシアへの脅かしと圧力は事実である」などと批判を展開した」

     

    中国外交部は、米ロ首脳会談に冷静な態度を見せている。官製メディアは米国批判である。中ロ関係を破壊する目的であると、正直に判断しているのだ。ただ、米ロ間で軍縮についても話合われている。

     


    (7)「呉嘉隆氏は、中国当局の反応について、習近平国家主席が「愛される共産党のイメージづくり」を指示したことに関係すると指摘した。「外務省が今までの戦狼スタイルを止めたのは、国際社会の中国当局への反感が一段と高まるのを恐れたためだ。陳亮智氏は、「国際社会の批判の声が高まれば高まるほど、中国当局にとって不利になるだろう」と語った。呉氏は、中国当局は、米国が主導する反中連合に対抗して、ロシアを含む他の国と協力して反米連合を形成する意図があるとした。両氏は、米ロの接近に中国当局はプレシャーを感じているに違いないとの見方に一致した

     

    中国にとっては、米ロの接近は不気味なはずだ。かつて中国は、ソ連へ対抗するために米国へ接近。米中が共同でソ連へ対抗し、ソ連崩壊をもたらしたからだ。プーチン氏にして見れば、中国は「裏切り者」である。今度は、米ロが共同で中国を陥れる、という構想に賛成するかどうか。時間の経過を見なければならない。米国は、「経済」という鍵を握っている。これの使い方で、ロシアを引き寄せられる余地はある。

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    東京五輪は、観客規制問題を残すだけでようやく開催の方向が見えてきた。一時は、開催反対の国内世論は8割にも達したが、現在は賛成が反対を若干、上回る程度まで変わってきた。だが、依然として楽観はできず「薄氷の開催」という状況に変わりない。

     

    菅首相は、支持率低下の中で五輪開催に賭けたのはなぜか。ここで、東京五輪を中止すれば、歴史的な笑い者にされるという危惧である。韓国からは、竹島問題でボイコットを叫んでいたこと。来年2月には北京冬季五輪が開催されること。どう見ても、日本の「弱腰」だけが目立って、逆に菅首相の政治生命が絶たれるリスクが高かった。

     

    そうであれば、仮に無観客でも実施して、「日本の意地を見せる」という心境になったのであろう。「檻の中の五輪」でも開催して、死中に活を求める決断であったに違いない。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(6月19日付)は、「五輪開催、菅首相の決意が固い理由」と題する記事を掲載した。

     

    今年5月の最悪期には、日本人の80%以上が間近に迫る東京五輪・パラリンピックの中止か延期を望み、国内ではほとんど誰も新型コロナウイルスのワクチンを接種しておらず、医療専門家は入れ代わり立ち代わり五輪は容認できないコロナ感染リスクだと訴えていた。

     

    (1)「2020年東京大会に強い圧力がかかっているにもかかわらず、政府と大会組織委員会の幹部らによると日本は中止の決断に近づいたこともない。彼らはただ時間切れが迫るようにし、大会開催は避けられないという雰囲気を醸成してきた。アナリストらの話では、開催への決意は金銭的な考慮とは何の関係もなく、選挙をにらんだ政治と中国より一歩先んじる思惑、そして菅義偉首相による現実的な計算の組み合わせを反映している

     

    政府と大会組織委員会の幹部らは、五輪中止論を考えたこともなかったという。総選挙を睨んだ政治状況と北京冬季五輪より7ヶ月前に開催するという思惑が支配してきた。米国メディア(WSJ)でも、東京五輪中止は中国に笑われると指摘してきた。G7までが、東京五輪への声援を送っているほどだ。

     


    (2)「菅氏の政治判断が正しかったことを示す兆候が増えている。定期的に実施されるNHKの世論調査によると、大会の中止を望んでいる日本人の割合は31%に低下し、回答者の3分の2近くが観客数に適切な制限を設けて大会を開催すべきだとしている。菅氏にとっては、ある単純な事実が五輪に関する計算を支配している。前回の総選挙から4年が経ち、10月22日までに次の総選挙を実施しなければならないのだ。菅氏が党首として生き延びるためには、自民党がその選挙で健闘しなければならない」

     

    菅首相には気苦労の多い毎日だ。メディアは遠慮なく批判するし、針の筵に座った気持ちであろう。だが、約8年の安倍政権を支えた政治的勘は健在であった。ワクチン接種の増加が、世論を変えると見ていた。現に、その方向である。

     

    (3)「菅氏の仲間の多くは、最も確実な賭けは五輪を成功させることだと考えている。「菅氏と側近たちは、大会が開催されれば五輪フィーバーが起きると考えている」と政治ニューズレター「インサイドライン」の歳川隆雄編集長は語る。「もし日本のメダルラッシュになれば、できるだけ早く総選挙を実施したがるだろう」。パラリンピックが95日に閉幕することから、菅氏はその直後に民意を問い、五輪で上向いたムードに乗ってあと4年間の任期を獲得したい考えだ」

     

    東京五輪で、日本選手がメダルラッシュになれば、これまでの「五輪反対」がウソのように「五輪礼賛」に変わる可能性がある。そして、パラリンピック閉幕の95日過ぎに、総選挙へ踏み切るだろうという。

     


    (4)「疫学者からの助言では、ただ単に大会を主催することはそれほど危険ではないことを示唆している。特に、五輪のために来日する人の80%はワクチンを接種済みだからだ。大きなリスクは国内の移動と人の接触が増すことから生じるが、大会組織委員会は会場の観客数を制限することでリスクを抑えたいと考えている」

     

    五輪のために来日する人の80%は、ワクチンを接種済みという。また、試合場と宿舎を往復して街角に向かわないように管理するので、疫学的な感染増大の懸念は薄らぐという。

     

    (5)「中止したら中止したで政治的なリスクがある。もしそれで国を守る決断力のある指導者と見なされたら、菅氏は短期的に追い風を受けるかもしれないが、その場合、何年もの努力と何兆円もの公的資金を費やした末に五輪を放棄した人物として選挙を戦わなければならない。日本の指導者たちは、中国が22年初めに冬季五輪を主催することも強く意識している。日本の恥ずべき失敗からわずか8カ月後に中国で五輪が見事に開催されるのは、自民党の政治家が誰も考えたくないことだ」

     

    日本は、来年2月の北京冬季五輪と比較して、見劣りしない万全の感染予防対策を取ることだ。今後、世界の感染予防モデルになるような東京五輪に仕上げて欲しいものだ。

     


    (6)「菅氏は何カ月も前から、コロナワクチンの接種を機に国民感情が変わることに賭けてきた。そして長い遅延の末、ようやくワクチン接種に弾みがついてきた。日本は現在、1日当たり60万回以上のワクチンを接種しており、今月中に100万回に引き上げることを目指している。大会が開幕する頃には、国民の約30~40%がワクチンを少なくとも1回接種している見通しだ」

     

    日本のワクチン接種の現状は、さながら「ワクチン・オリンピック」のように、職域で一斉に始まっている。もう2ヶ月早く、こういう状況であったならば、五輪開催への世論も変わっていたであろう。惜しいことをした。野党が、くちばしを入れてワクチンの国内治験を要求した結果、こういう遅れが生じたのである。

     

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    ポンペオ前米国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏はこのほど、米政府は新型ウイルスが実験室から漏洩した証拠を持っていると明かした。いずれ、公にされるだろうと語った。

     

    『大紀元』(6月21日付)は、「米政府はウイルス漏えいの証拠を持っている=トランプ前政権顧問マイルズ・ユー氏」と題する記事を掲載した。

     

    『ラジオ・フリー・アジア』(RFA) の6月17日のトークショーに招かれたポンペオ前米国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春氏は、次のように語った。

     

    (1)「余氏は、ウイルスが武漢の研究室から漏えいしたと信じている。「中国では近年、大躍進式にウイルスを研究している。内情を知る中国の専門家も中国のバイオセキュリティについて懸念を示している」と述べた。同氏はまた、「中国にはたくさんのウイルスがある。しかし、適切に管理されていない。SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスは研究室から漏洩した。証拠はたくさんあるが、公に言うことはできない」とした」

     


    余茂春氏は、ポンペオ前米国務長官の中国政策首席顧問を務めた。この関係で極秘情報に通じているはずだ。その余氏が、中国のウイルス研究所における管理が杜撰であると指摘している。この点については、映像で紹介されている。

     

    (2)「2002年11月、SARSが中国・広州を中心に流行が拡大した。しかし、中国当局はそれを隠蔽したため、SARSウイルスは世界中に広がり、数百人の死者を出した。そして、2019年末に新型ウイルスが武漢で発生し、中国当局は再び事実を隠蔽した。その後、ウイルスが世界中に蔓延し、今世紀の大災難を引き起こした。2021年6月17日の時点で、新型ウイルスによる感染者数は全世界で1億7700万人を超え、383万人を超える死者を出した」

     

    SARSも中国が起源である。この時も、事実を隠蔽した。今回の武漢における新型ウイルスでも、過去同様に隠蔽して世界中に災難を広げてしまった。

     


    (3)「余氏は、「新型ウイルス発生の真相を解明するためにも、中国政府は正直かつオープンな調査を受け入れなければならない。しかし、現在のような『ふたで覆う』方法では、余計疑わしく見える」と指摘した。また、余氏は「米政府は依然として多くの間接的証拠を掌握している。中国当局の不適切な管理により、他ウイルスが流出する事件はいくつもある。米国は15年前からずっと追跡している。時期がくれば発表されるだろう」と明かした」

     

    米国は、中国へウイルスの研究資金を提供していた関係で詳細を知る立場にあった。今回の武漢ウイルス研究所の場合、米国の研究者も中国で共同研究して論文を発表している。かねてから、米国は中国に対して杜撰はウイルスの管理について苦言を呈してきた。

     

    (4)「トランプ氏が退任した後になって、「ウイルス漏洩説」が再燃したことについて余氏はこう答えた。「トランプ氏が当時、確たる証拠を提出していたとしても、米国の主流メディアは彼が真実を語っているとは思わなかったかもしれない。トランプ氏はもう大統領ではなくなった今、政治的分岐による障害は取り除かれた」。余氏はまた、「米国の諜報機関はすでに多くの証拠を収集した。推論と相互参照によって正確な結論を引き出すことができる」と指摘した」

     

    米国の主流メディア(NYタイムズやワシントンポストなど)は、反トランプの先鋒に立っていた。トランプ潰しに夢中になっていたのだ。それゆえ、当時のトランプ大統領やポンペオ米国務長官の発言をまともに聞く雰囲気でなかった。それが今、「反トランプ」気分が消えて、冷静に前任者の発言を聞く状態になったのであろう。

     

    (5)「また、「ウイルスの起源に加えて、もっと重要なことは、中国政府が隠蔽と嘘をついたことだ。それが原因で世界は災難と損失を被った。その責任を追及しなければならない」と強調した」

     

    米政治専門メディアのポリティコによると、ポンペオ前米国務長官は6月13日、FOXニュースとのインタビューで、「新型コロナウイルスが中国の実験室から流出したものと信じるか」という質問に、断固として「そうだ」と答えた。その上で彼は「高さ100フィート分の証拠が積もっている」と付け加えた。 ポンペオ前長官はトランプ政権時代から新型コロナウイルスが武漢のウイルス研究所から流出したとの疑惑を提起してきた。バイデン米大統領も先月26日に新型コロナウイルスの起源と関連して追加調査を指示し、中国に国際調査への参加と資料提供などの協力を促した。以上、『中央日報』(6月15日)が伝えた。

     

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