韓国人は、何かに付けて自らの根拠なき優位性を誇るが、またその適例が見つかった。日本を極右政治と罵っているのだ。これが、堂々と韓国メディアに登場する。同じ認識であろう。
『中央日報』(8月9日付)は、「韓国言論人『日本の極右政治が20年先を行く日本を20年遅滞させた』」と題する記事を掲載した。
韓国の言論人、キム・オジュン氏が「2020東京五輪」と関連し、「日本の極右政治が20年先を行っていた日本を20年遅滞させた」と評価した。
(1)「キム氏は9日、韓国交通放送(TBS)のラジオ番組で、東京五輪に対し「歯車のように回っていた日本式の緻密さと日本式洗練美、現代的感受性は跡形もなかった。私が記憶している1980~1990年代の日本は、経済だけでなく、社会や文化で20年は先を行く国だった。今回の五輪を通じて見た日本はもはやそんな国ではなかった」と話した」
キム・オジュン氏と言っても、日本では知られていない。韓国では「問題人物」のようである。「進歩左派を自任し、嘘と低質発言に明け暮れては、進歩陣営の品格をも傷つける」(『東亞日報』2012年2月13日付)と批判された過去をもつ。
今回の東京五輪開会式を批判しているが、誰にも批判の自由はある。日本の有名芸能人までが、「開会式で眠ってしまった。恥ずかしくて海外へ行けない」とまで言っている。一方、あの開会式は良かったという評価もある。何よりも大事なことは、アスリートが全力を発揮できたか。パンデミック下の安全はどうであったか。そういう総合的な評価が欲しいと思う。
(2)「続けて東京五輪開会式について、「2000年代初めならそれなりに通じたであろう感受性や洗練美。1990年代にあのような形の感受性を洗練されたと考えたことがある。その時のままだ。20年ほど前の日本でやっていたものだが、まだやっているというのが感じられる」と評価した。最後に「日本で極右が前面に出た1990年代後半~2000年代初期から日本の社会的、経済的、政治的遅滞が進んだとみる」と話した」
下線部分は、あまりにも皮相的な見方である。世界で最高の人口高齢化が進む日本の成熟度を見るべきだった。極右政治とは何か。言論の自由が保障されている中で、日本の選挙民が民主的方法で選んだ政権である。この現実を見落として、極右と表現するのは自らの無知を告白しているようなものである。
日本から見た韓国政治は、掛け値なしに極左に見える。その証拠をお見せしよう。韓国与党が、強引に言論統制をする法案を国会に提出しているのだ。民主主義の原点は、言論の自由を守ること。進歩派を名乗る韓国与党は、来年の大統領選を有利に運ぶために、不利な情報を遮断しようとしている。こういう政治は、中国のような「極左政治」でしか見られないのだ。
『朝鮮日報』(8月26日付)は、「国境なき記者団『メディアに圧力かける道具になるだろう』、朝日『民主化継承したという文政権、普遍的価値傷つける』」と題する記事を掲載した。
韓国与党・共に民主党の言論仲裁法改正案強行に対して、国際言論団体や海外メディアも懸念を表明した。
(3)「フランスのパリに本部を置く国際言論団体・国境なき記者団(RSF)は25日未明(韓国時間)、国会法制司法委員会の改正案強行処理に先立って発表した声明で、「韓国国会の過半数を占めている共に民主党が報道機関の虚偽・操作報道に対する処罰を強化する言論仲裁法の改正案を表決に付する予定だが、(この法案では)虚偽・操作報道の定義がはっきりしていない」と述べ、「改正案には犯罪行為に対する詳細な定義が含まれておらず、虚偽・操作かどうかや故意・悪意を判断するシステムに関する言及がない」と指摘した」
この法案自体が言論弾圧目的である。下線を引いたように具体的な基準が示されていない点で、いかようにも悪用される危険性を秘めている。韓国与党が、弾圧しようと思えば、全て弾圧できる悪法である。
(4)「国境なき記者団のセドリック・アルビアニ東アジア事務局長は、「改正案は(虚偽かどうかなどが)恣意(しい)的に解釈される余地があり、報道機関に圧力をかける道具として使われる可能性がある」「敏感な事案に対する裁判所の決定は主観的になるかもしれないため、立法者たちは十分な制度的装置を保障せずに決して新しい法律を作ってはならない」と強調した」
下線部の指摘は、その通りである。法律が、拡大解釈される余地を残すことは自殺行為である。立法府の責任は極めて重い。それを忘れて、党利党略の言論弾圧法をつくる。この刃が、韓国進歩派に向けられる危険性を考えていないのだ。
(5)「朝日新聞は、文在寅政権と共に民主党に対しても、「軍事独裁にあらがった民主化運動の流れを継承していると自負する。だがその実、巨大与党の数の力を背景に、普遍的な価値を傷つけるような手前勝手な政治手法が目立つようになってきた」と批判した。その上で、「韓国の民主化は、先人が勝ち取った大切な遺産である」「その原則を後退させてはならない」と強調した。朝日新聞の今回の社説は、1970年代から韓国の民主化運動を支持してきた日本のリベラル(進歩系)勢力も文在寅政権の言動に失望していることを示しているものと評されている」
下線部のように、与党が国会で絶対多数を握って以来、やりたい放題の法律を作っている。検察改革と称して政権の犯罪捜査を妨害するガードをつくったほど。文大統領が引退後、検察の捜査を受けないように予防線を張ったものと理解されている。何人も、法の前で平等である。この近代法の精神を踏みにじる悪法をつくっている。それが進歩派与党だ。
こういう韓国の実態をみて、日本政治を極右と罵れるはずがない。韓国こそ、言論弾圧という形で、極右か極左かに走っている危険な状態だ。深刻な反省が求められるのである。