韓国は、反日が生きがいになっている感じさえ与える国になった。これにより、不都合なことも多いのだ。日韓関係は、歴史問題さえ持出さずに来れば万事、丸く収まっていたはずである。それが、解決済みの徴用工と慰安婦の問題で深刻な対立を生んでいる。外交に歴史問題を持出すことはタブーなのだ。文政権は、自らその外交の「掟」を破って四苦八苦している。
『朝鮮日報』(10月13日付)によれば、韓国陸軍が1999年から2000年に導入した12機のドイツ製偵察ヘリBO105の標的捕捉探知装置(TADS)が故障して修理もできない状態にあるという。韓国陸軍が導入したBO105はTADSを使って夜間にも標的を捕捉できる仕様だが、故障のために夜間の偵察は難しく、昼間に肉眼でのみ偵察が可能で、同紙は韓国軍が1200億ウォン(約114億円)の血税を無駄にしたと報道した。
こういう事例は、自衛隊に相談すれば少なくとも解決のヒントを得られたであろう。それが、2018年12月に起こった韓国海軍艦艇による、海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件で対立したままだ。韓国軍は従来から、北朝鮮軍を「主敵」としてきた。今や、自衛隊がその位置に代わるという異常な振る舞いをしている。これでは、日韓の防衛協力も途切れたのも同然である。日本へ前記のTADS故障の修理問題で相談できるはずもない。
『ニューズウィーク日本語版』(10月27日付)は、「インド太平洋の安保同盟 QUADとAUKUSから取り残される韓国」と題する記事を掲載した。筆者は、佐々木和義氏である。
韓国軍は当初、米国製F35Aを60機配備する計画だった。しかし、日本政府が護衛艦「いずも」と「かが」をF35Bが発着できる軽空母に改修する計画を発表した直後の19年8月、韓国政府が軽空母の開発に着手すると発表し。20年8月、F35Aの20機を垂直離着陸型のF35Bに変更すると発表した。
(1)「ロッキード・マーチン社が公表しているF35Aの航続距離は2200キロメートル以上で、韓国内のすべての空軍基地から北朝鮮全域をカバーする。一方、F35Bは航続距離が短く、また、搭載できる兵器も少ないことから有事の際の運用に限界がある。さらにF35のアジアの整備拠点は、韓国が戦犯企業に挙げている三菱だ。一定の飛行時間ごとに行われるメンテナンスやオーバーホールと修理など、国際整備拠点「MRO&U」で行う決まりで、自衛隊と在日米軍や在韓米軍等のF35は愛知県にある三菱重工業のF35最終組立施設「FACO」で行われる」
F35の定期修理工場は、アジア拠点が愛知県の三菱重工業である。韓国が、反日を貫けば日本を避けるであろう。代わりにどこへ行くのか。
(2)「韓国軍が指定可能な「MRO&U」は愛知県の「FACO」、オースラリアのウィリアムズタウン、米国のフォートワースである。韓国から直行可能な「MRO&U」は三菱しかない。韓国からウィリアムズタウンへは、韓国の清州空軍基地から米国のグアム空軍基地やオーストラリアのタウンズビル空軍基地を経由するなど片道だけで最低3日はかかる。フォートワースへの自力飛行は不可能だ」
韓国は日本を忌避すれば、オースラリアのウィリアムズタウンか米国のフォートワースである。韓国から豪州のウィリアムズタウンへは、片道だけで最低3日掛かるという。韓国は,意地を張れば大変な時間的なロスが掛かる。
(3)「李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使は10月13日、国政監査で「クアッド(QUAD:日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による外交・安全保障の協力体制)」参加に関する野党の質問に「当分の間は参加国を増やす考えがないことを米国側と確認した」と答弁した。コロナ禍の長期化で、中国との蜜月関係の構築が厳しくなった文在寅政権は、(米国あら)招待されたら(クアッドへ出席を)検討する方針に転化したが、バイデン政権が韓国を招待することはなく、米国が韓国をクアッドに参加させる意思がないことを明確に示したことになる」
米国は、インド太平洋戦略では、「クアッド」(日米豪印)と「AUKUS」(米英豪)の二頭馬車を編成した。前者は、緩やかな対話集団。後者は、軍事同盟である。この「ツー・トラック」によって、韓国の出る幕はなくなった。駐米韓国大使は、「日本が韓国のクアッド参加を拒否した」と発言している。これは、言外に「韓国も参加の意思を固めていた」ことを覗わせている。韓国は、クアッド参加のタイミングを逸したのだ。
(4)「英国は9月15日、米国、オーストラリアと3カ国同盟「オーカス(AUKUS)」を結成すると発表した。クアッド参加国の中で中国から距離があるオーストラリアの軍事力が強化され、また将来的にオーカスとクアッドが連携するとみられており、英国がアジアの安保に関与できるようになる」
英国が、インド太平洋戦略に積極的である。今回の「AUKUS」では、中国と軍事対決する意思を明確にしている。英国は、韓国の出番を奪ってまでも中国へ対抗する姿勢を鮮明にしたのである。韓国が、国際情勢を見る目がなかったのだ。