勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年10月

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    8年越しのTPP加盟論議

    台湾加盟申請ライバル登場

    自動車・農業が日本を意識

    微温湯経済から脱出可能か

     

    韓国は、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟をめぐって甲論乙駁状態である。だが、中国の加盟申請に背中を押されて、申請意向が固まり始めたようである。絶えず、中国の鼻息を気にしなければならないのだ。韓国の主体性はどうなっているのか。TPP加盟の事前折衝で、日本は「反対意向」を示した。

     

    韓国は、福島県を含む8県(青森,岩手,宮城,福島,茨城,栃木,群馬,千葉)全ての水産物の輸入禁止措置を行っている。理由は、福島原発事故による放射能汚染問題である。科学的に無害が証明されているにも関わらず、「風評」を持出して禁止を続けている。日本が、こういう非友好国である韓国をTPP加盟国に迎えたくないと言うのは当然だ。前記8県の漁業者に対する冒涜である。

     


    米国はこれまで、東北、甲信越、関東地域の14県で生産された合計100種類の農産物について輸入停止措置を講じていた。これが、9月22日から撤廃されて輸出可能となった。こういう変化を考えると、韓国の姿勢は頑なであり「反日姿勢」の一端と読み取れるのだ。日本が、韓国をTPPへ受入れないと非公式に反応しているのは、国民感情から言えば自然であろう。韓国が今後、水産物輸入規制を撤廃すれば話は変って来る。

     

    8年越しのTPP加盟論議

    韓国政府が最近、「TPPへの加入申請の決定が近づいた」と明らかにした。TPPへの加盟は、2013年に検討し始めてからすでに8年も過ぎている。韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は10月18日、「もう時間がない。決定は最終段階だ。『加入する、しない、するならいつする』までを含む決定は10月末か11月初めには出さねばならない」と述べた。

     

    韓国が、8年越しのTPP加盟問題の検討に終止符を打とうとする大きな理由は、中国がTPP加盟を申請したことだ。これを追うようにして、台湾もTPP加盟を申請してきた。これも韓国の背中を押していると見られる。先ず、中国との関連を見ておきたい。

     


    中国が、TPPへ加盟申請したことで、中国への義理立てがなくなった。中国を差し置いて、韓国だけTPPへ加盟申請すればまた、嫌がらせを受けるという被害者意識が先だっていたものだ。そういう懸念がなくなった。ここまで、中国の顔色を気にしなければならないとは、主権国家として恥ずかしいことである。

     

    日本や豪州は、中国の加盟に対しては否定的に反応した。だが、台湾へは明確に「歓迎」意思を示している。これが、韓国にとって新たな「脅威」になってきたのだ。

     

    これまで台湾は、中国に妨げられ主要国とのFTA(自由貿易協定)を結べなかった。だがTPP加盟に成功すれば、世界貿易の舞台へ本格的に登場できる基盤が与えられる。台湾を代表する産業は、いうまでもなく半導体である。EU(欧州連合)も、半導体事業強化の目的で台湾へ接近する姿勢をはっきりと見せてきたのだ。

     


    中国の主張する「一つの中国論」は、すでに色あせてきた。中国の人権弾圧への非難が高まり、中国経済に陰りが強まってくると共に、「民主主義台湾」への評価ががらりと変わってきた。EUの台湾をめぐる評価は、次のように高まっているのだ。

     

    EUは9月、インド太平洋戦略を公表し、台湾と主に経済面で関係深化に踏み出す姿勢を打ち出した。さらに踏み込んだのが欧州議会である。EUと台湾の政治的な関係強化を勧告する文書を賛成多数で採択した。文書に拘束力はないが、台湾をインド太平洋地域で重要なパートナーと位置づけ、関係を強めるべきだと主張したのだ。

     

    EUは、これまで米トランプ政権時代に米中の通商対立を利用し、対中輸出を増やすという利益を享受してきた。そのEUが、人権意識の「本家」であることを自覚して、中国へ強い姿勢を見せている。昨年12月末に7年越しで妥結・署名した対中の包括的投資協定が、

    今年に入ってEU議会の反対で批准審議を棚上げしてしまった。署名後2年間に批准しなければ、白紙化される規定である。包括的投資協定は多分、水泡に帰すだろう。

     

    この間隙を縫って、台湾の人権と半導体技術がEUから高い評価を受けることになってきた。「落ち目の中国経済」から、「フレッシュで半導体技術を持つ台湾」へと視点が移りつつあるのだ。

    韓国が、この台湾の存在を気にするようになっている。台湾は、韓国と半導体を中心に主力産業分野が重なる。実際に台湾は、中国よりもTPP加入の可能性が高い。TPPを主導する日本が、台湾と半導体サプライチェーン同盟を強化しているからだ。中国はTPPの高い加入基準をクリアするのは絶望的である。当の中国も、TPP加盟を「10年計画」で臨んでいるほどである。

     

    これまで台湾は、中国の牽制により通商面で出遅れていた。韓国企業がその分、恩恵を享受してきたとも言えるのだ。その蔭の「実力国」台湾が、TPPに加入すれば他の国ともFTAを結ぶ可能性は広がるであろう。その場合、韓国企業には大きなライバルになる、という「台湾脅威論」が韓国で語られるようになっている。(つづく)

    次の記事もご参考に

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    メルマガ298号 韓国経済に「SOS」、10月中に家計債務整理案 ウォン危機防止へ全

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    メルマガ301号 ご存じですか「イカゲーム」 韓国の恥部曝け出し一攫千金へ走る「悲哀」

     




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    中国は、感情的理由で豪州へ経済制裁を加えているが、大きなブーメランを浴びることが決定的になってきた。中国の台湾侵攻の際に、豪州は米国と共に戦うと国防相が発言したもの。中国の「戦狼外交」が、事前にこうして敵をつくっていくことを察知できない無能さに呆れるほかない。

     

    中国は、先にロシア海軍と多数の軍艦によって日本列島を一周して「威圧」を与えた積もりになっている。清国時代、英国から購入した最新鋭軍艦で長崎まで二度も回航し威圧する行動を取ったことがある。これに奮起した日本は、自力で軍艦を建艦して日清戦争で大勝した。日本は、こうした中国の威圧に屈することがない国家である。それは、中国を文化的に恐れていないからだろう。

     

    『朝鮮日報』(10月27日付)は、「オーストラリア国防相『中国が台湾を攻撃すれば同盟国の米国と共に対応』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「オーストラリアのダットン国防相は10月24日(現地時間)「中国が台湾を攻撃した場合、オーストラリアは米国と共に行動するだろう」と発言した。国際的な外交・安全保障問題で米国の側に立つ考えを重ねて明確にした形だ。今年5月にはオーストラリアのモリソン首相も「中国が台湾を攻撃した場合、オーストラリアは米国とその同盟国を支持するだろう」と発言していた。オーストラリアは先月、米国や英国と共に中国の膨張に対抗するため、3カ国による安保協力体「AUKUS」を立ち上げた」

     

    豪州が、AUKUS(米英豪三ヶ国)の軍事同盟を結んだ意味は大きい。米英から攻撃型原潜技術を導入して建艦することになったもの。原潜が完成する前に、米英からリースして配備する計画である。南シナ海で豪海軍の原潜が米英海軍と同一行動を取るのだ。

     

    近代戦の経験のない中国海軍にとっては、身震いするほどの恐怖感に襲われるはずだ。海南島から出撃するはずの中国潜水艦部隊は、AUKUSの潜水艦部隊によって、足止めされる危険性に遭遇するであろう。

     


    (2)「ダットン国防相はこの日、オーストラリア・スカイニュースとのインタビューで「ある時期に中国と(自由民主陣営との間で)戦争が起こる可能性はあるのか」との質問に「中国は台湾に対する意図を明確にしており、米国も台湾についての考えを明確にしている」「中国が台湾に対して武力攻撃を行えば、オーストラリアは米国の対応を見極めた上で、70年以上にわたりそうだったように同盟国(米国)と共に行動するだろう」との考えを示した。ダットン国防相はさらに「(戦争は)誰も望んではいないが、(戦争が起こるかどうかは)中国側に問うべき質問だ」とも指摘した」

     

    台湾侵攻を決めるのは習近平氏である。自らの政治生命が掛かった決断になるはずだ。敗北すれば、習氏の政治生命はそこで終わる。同時に、反習派の手によって拘束されるだろう。こういう大きなリスクの掛かった台湾侵攻を簡単に始めるかどうか。中国経済斜陽化の中で、余りにも危険な台湾侵攻作戦になるはずだ。

     

    (3)「オーストラリアのこのような考えは、米国による台湾防衛の約束とも一致する。今月21日に米国のバイデン大統領はタウンホール・ミーティングの際、「中国が台湾を攻撃した場合、米国は防衛するのか」との質問に「そうする」と答えた。オーストラリアは先月15日に米国、英国と共に各国名の最初の文字を取った安保協力体「AUKUS」を立ち上げ、米英から技術支援を受け原子力潜水艦8隻を建造することを決めた。米空母をオーストラリアに循環配備することにも合意した」

     

    バイデン大統領は、台湾防衛についての質問に対した「決まり切ったこと」と言ったニュアンスで、「イエス」と答えている。ホワイトハウス報道官は、後からこれを「否定」したが、演出に過ぎない。米国は、米国のために台湾防衛へ出るのだ。台湾を見捨てたら、米同盟国は疑心を持ち、米国覇権は大きく揺らぐはずである。米国は、「同盟国と共にある」のが現実である。

     

    (4)「ダットン国防相は、上記のインタビューで「オーストラリアは20世紀に起こったあらゆる戦争で米国、英国と共に行動し、次の世紀でもこの協力を深めていく大きな義務がある」「これはわが国の安全保障の基盤だからだ」との考えも示した。その上でダットン国防相は「今すぐ100隻の潜水艦を購入したとしても、中国のようなスーパーパワーと競争できるわけではない。重要なことは同じ考えを持つ国々との協力だ」と指摘した」

     

    米英豪は、「一卵性」である。英国が、米豪の「母国」のようなものだ。「血は水より濃し」である。一緒のルーツであることが、最後の結束力の要になる。日本は、この三ヶ国と最も親しい関係にある。それは、外交上の大きな財産だ。中ロによって、軍艦で日本列島を一周されても「冷笑」している理由であろう。

     

    (5)「ダットン国防相はオーストラリアの政権与党では保守系のグループを代弁する人物として知られる。警察で勤務してから2001年に国会議員に当選し、政治家としての道を歩み始めた。移民国境警備相や内務相などを経て今年3月に国防相に就任した。2018年には自由党内で代表の座を巡ってモリソン首相と争ったが敗れた」

     

    ダットン国防相は、まだ51歳の若さである。将来は、豪州首相の座につく人であろう。こういう重要人物が、中国に対して一歩もひけをとらない姿勢を見せていることは、AUKUSの結束力の強さを証明している。

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    韓国の文在寅大統領は、来年度の予算案を国会へ上程するに当たり、最後の施政方針演説を行った。文氏の任期は来年5月まで。あと、6ヶ月を残すのみとなって、国会演説は自省を含むものであった。文大統領が、「これまで超高速成長してきた裏には影も多い」とし、未解決の課題を一つひとつ取り上げたのである

     

    文大統領は、今年の8月15日の光復節(独立記念日)演説では、「先進国」という単語が7回も出るほど、「先進国」という言葉に陶酔した。今年7月のUNCTAD(国連貿易開発会議)で、事務的に韓国が発展途上国の分類から先進国へ変わった結果である。文氏は、それにも関わらず「国連が満場一致で昇格を承認した」と大いに話を盛った。文氏の政策が良かったので、韓国が先進国になったと言わんばかりであったのである。

     

    この8月光復節の演説と、今回の国会演説では大きな差がある。韓国経済が未だ、多くの未解決問題を抱えて苦闘している現実を赤裸々に訴えたのである。

     

    『ハンギョレ新聞』(10月26日付)は、「韓国社会の超高速成長の裏に影も多い、という文大統領の自省」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が10月25日、国会で施政方針演説を行った。政府の首班として、政府が国会に提出した来年度予算案を説明するためだ。任期最後の年の演説なので、例年とは重みが違っていた。編成はしたものの執行の大半は次期政権が担うことになる最後の予算案に込められた政策意志を説明することで、現政権がこれまで進めてきた政策課題の成果と不十分な点、次期政権に継承を望む点を明らかにした。文大統領が「これまで超高速成長してきた裏には影も多い」とし、未解決の課題を一つひとつ取り上げたことが特に目を引く」

     

    人間誰でも去り際になると、来し方行く末に思いを馳せるようだ。日韓問題もその課題に入っているはず。浅はかな名誉心で始めた「反日運動」が、大きな溝を生んでもはやどうにもならない事態となっている。2015年12月の日韓慰安婦合意を骨抜きにしたミスは大きかった。日本は、絶対に妥協しないことだ。韓国に対して、「外交とは何か」を教える実例にすべきであろう。

     


    (2)「文大統領は、世界で最も深刻な少子化と高齢者貧困率、自殺率、労災死亡率を取り上げ、「恥ずかしい大韓民国の自画像」だと述べた。いずれも成長至上主義に押さえつけられた傷口から出たうめき声だ。韓国社会がかなり前から解決を目指してきたにもかかわらず、これといった進展が見られない難題だ。文大統領は「不動産問題は依然として国民の暮らしにおいて最大の問題でありながら改革課題」だとしたうえで、「首都圏集中現象と地域不均衡も解決できていない課題」だと語った。住宅価格の不安は文在寅政権でさらに深刻になった」

     

    このパラグラフは、韓国政治が国際標準からみていかに遅れているかを表している。全て、日本に劣っている現実である。

     

    OECDによると、韓国の相対的貧困率は16.7%(2018年基準)で、37の加盟国のうち4番目に高いレベルだ。相対的貧困率は、全体人口のうち可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合を指す。韓国国民の6人に1人が貧困危機に陥っているという意味である。この裏には、年金受給率が極めて低いという実態がある。

     

    公的年金が支給される割合は2018年基準で46%にとどまり、半数を下回っている。それさえも他国と比べて年金支給額が少ない方だ。退職前の平均所得に対する国民年金の割合で計算する「所得代替率」は、OECDの平均が男性は62.9%、女性は62.2%だ。韓国の場合、所得代替率は45.1%に過ぎない。

     

    こういう手薄な社会保障にもかかわらず、「韓国が先進国」といって自画自賛してきたのである。文氏は、大統領として深くその責任を感じるべきであるが、反日妄念でそれがかき消されているであろう。

     

    (3)「文大統領は具体的に言及しなかったが、コロナ禍はこれらの課題にさらに暗い影を落とした。デジタル経済の加速化は世界規模のプラットフォーム独占を生み、情報技術(IT)革新の裏面の弊害を露呈した。コロナ禍の衝撃に対応するための超低金利と流動性拡大は資産不平等をさらに拡大させた。文大統領は韓国社会の統合を妨げる障害として、不公正や差別、排除を挙げたが、コロナ禍で深刻化した不平等は、ポストコロナになっても簡単に解消されそうにない。将来世代に希望を与えるためには、公正と正義に向けた創意的な解決策をより積極的に模索しなければならない」

     

    コロナ禍は、韓国にも低金利をもたらして、政策金利を年利0.5%にまで引下げさせた。これが住宅投機を生み、ソウルの住宅は文氏の大統領就任後4年で8割も高騰させたのである。コロナ禍は一方で、最低賃金の大幅引上げで苦しむ自営業へ、さらなる廃業を迫ると最悪事態を招いた。文氏は疫病神になったのだ。

     

    (4)「文在寅政権の任期はあと6カ月余りだ。その後は、来年3月に選出される次期大統領がこれらの課題を抱えていかなければならない。これらの課題に対して政治勢力によって異なる優先順位をつけ、異なる解決策を求めていくとしても、韓国社会が直面している問題そのものを避けて通ることはできない。大統領選挙の過程が一日も早く、このような問題をいかに解決するのか討論し、解決策をめぐって競争する本来の姿を取り戻すことを願う」

     

    韓国は、経済や社会の面で背伸びして、日本を「同一レベル視」している。これが、根本的な間違いである。日本と韓国では、その生い立ちも違うし蓄積も違うのだ。そういう日本を敵視しても、韓国はなんの利益もない。日本が戦前、米国を敵視したように愚かなことだ。それぞれ、国力に応じた外交を行うべきである。日韓関係が、平静になれば韓国の得るところは大きいはず。韓国は、日本を敵視するよりも、その前に自国を凝視することである。

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    中国経済が大揺れである。人民元建て債券のデフォルト(債務不履行)だけでなく、外債(ドル建て)のデフォルトへと拡大している。信用不安の渦中にある。経済活動が正常な状態にないのだ。

     

    外債のデフォルトが起ると、海外から中国への信頼が一段と低下することを意味する。中国は、外貨準備高3兆ドル台維持を至上課題としているだけに、外債デフォルトは身を切られる思いのはずである。

     

    中国国家発展改革委員会(発改委)は、同委員会と外為当局が10月26日、主要セクターの企業との会合を持ったと明らかにした。声明によると、当局は企業側に、対外債務構造を最適化し、元本と利息の返済に向けて事前の準備をするよう要請した。企業名は明らかにしていない。

     

    当局は、関係者を緊急指令で北京に集めたという。その結論が、「対外債務構造を最適化し、元本と利息の返済に向けて事前の準備をするよう要請した」だけ。拍子抜けするような話だが、改めて当局が支援しないと申渡したのだろうか。そうとすれば、今後ともデフォルトは増え続けるであろう。

     

    中国の発行体によるオフショア債のデフォルト(債務不履行)はすでに年間記録を更新。年初来でデフォルトが少なくとも87億ドルに達しているが、その3分の1を占めるのが不動産業だ。『ブルームバーグ』(10月26日付)が報じた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月26日付)は、「中国不動産・当代置業がデフォルト 『流動性の問題』」と題する記事を掲載した。

     

    中国の中堅不動産、当代置業(モダン・ランド)は26日、25日に期限を迎えたドル建て社債2億5000万ドル(約280億円)の元本と利息を支払えなかったと発表した。「マクロ経済や不動産業界を取り巻く環境、新型コロナウイルスなどの悪影響から想定外の流動性の問題が生じた」という。

     

    (1)「格付け会社フィッチ・レーティングスは26日、当代置業を部分的な債務不履行(デフォルト)と認定した。同社は取締役会と経営陣がグループの財務状況を評価しており、近く独立した財務アドバイザーを起用する方針だと説明した。同社は社債の償還期限を3カ月延ばすよう求めた提案を取り下げ、21日から香港市場で株式売買を停止した。当面、売買停止は続く見通し」

     

    当代置業は、25日が期限だった社債(利率12.85%)の元本と利息の支払いを実施しなかったことを明らかにした。「予想外の流動性問題」が理由という。中国恒大集団の債務問題が業界内に波及している影響だ。

     

    中国の高利回り債を保有するある投資家は、不動産開発業者が「次々」とデフォルト(債務不履行)に陥りつつあるとし、「次はどの企業かという疑問が常にある」と語った。『ロイター』(10月26日付)が報じた。

     

    (2)「中国メディアは、同社が資産リストラと戦略投資家の導入によって再建をめざす方針だと報じた。QUICK・ファクトセットによると、25日償還の社債は10月初めまで発行時の額面に近い価格で取引されていたが、直近では額面の2割台まで急落した。中堅不動産をめぐっては、花様年控股集団や中国地産集団、新力控股などでデフォルトが相次いでいる」

     

    10月初めまで、正常に取引されていた社債が突然のデフォルトである。これは、業績悪化が原因でなく資金繰り上の問題と見られる。金融機関が、業界の前途に相当の警戒感を持っていることを覗わせている。不動産取引に悪影響が強く出ているのだ。

     


    『ロイター』(10月25日付)は、「
    中国不動産・当代置業が社債元利払い実施せず 不履行ドミノ懸念」と題する記事を掲載した。

     

    中国の不動産開発会社、当代置業は、25日が期限だった社債(利率12.85%)の元本と利息の支払いを実施しなかったことを明らかにした。「予想外の流動性問題」が理由という。中国恒大集団の債務問題が業界内に波及している。

     

    (3)「10月に入り、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が期日の到来したドル債でデフォルトを起こした。9月に2種類のドル債の利払いを見送った恒大は、そのうちの一つで猶予期限目前にデフォルトを回避したが、もう一つの猶予期限が29日に迫る。香港の不動産開発・投資会社、華人置業集団は25日遅く、中国の不動産開発会社、佳兆業集団が発行した社債の売却に伴い、今年度に2億8837万香港ドル(3710万ドル)の損失を計上するとの見通しを示した」

     

    下線のように、恒大が見送っていたドル建て債の一つの利払いを行いデフォルト回避に出たことで、一時的に状況好転の期待も出たもののそれも束の間。中国の不動産開発会社、当代置業が25日期限の利払いができなかった。理由は、予想外の金融逼迫という。まさに、信用不安の渦中に立たされている。

     


    (4)「中国の高利回り債を保有するある投資家は、不動産開発業者が「次々」とデフォルト(債務不履行)に陥りつつあるとし、「次はどの企業かという疑問が常にある」と語った。デュレーション・ファイナンスのデータによると、当代置業の2022年2月償還債(利率11.8%)は1.6%下落し利回りは1183%前後となっている。中国のCSI300不動産指数は2.7%安。ハンセン本土不動産指数は約5.1%安。同セクターは不動産税導入計画を巡る懸念にも圧迫されている」

     

    中国当局が、試験的に不動産税を導入する計画を発表しただけで、こういう事態を招いたと説明している。中国の金融環境がどれだけ緊張状態に追込まれているかを傍証するに足る材料である。

     

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    中国は、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟をめぐって、中国らしい「合従連衡」工作を始めた。TPP加盟国のベトナムとマレーシアに接近して、TPP加盟11ヶ国の結束を崩させて、TPPへ入り込もうという「企み」を始めたのだ。

     

    中国は、TPPの規約を緩めさせ、自らの改革をしないでTPP加入の特権を得ようとする卑怯な戦術を編み出してきた。警戒しなければならない。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月26日付)は、「中国、TPP加盟へ切り崩し ベトナム・マレーシアに照準」と題する記事を掲載した。

     

    中国が、環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟に向け、東南アジア諸国連合(ASEAN)を切り崩している。新型コロナウイルスのワクチン供与や中国市場の開放をちらつかせ、中国のTPP参加に前向きな雰囲気をつくろうと躍起だ。

     


    (1)「中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は14日、「双方の関係を高め、地域の繁栄と安定により大きな貢献をしましょう」と、ブルネイのエルワン第2外相に電話で語りかけ、ミャンマー問題での協力を約束した。ブルネイは今年のASEAN議長国であるだけではない。ASEAN10カ国のうちTPPに加盟する4カ国(ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ)の1つでもあり、中国にとって働きかけが欠かせない。26日の中国・ASEANのオンライン首脳協議には李克強(リー・クォーチャン)首相が出席し、自由貿易の推進を呼びかける見通しだ」

     

    各国は、中国のこういう底意の見え見え工作に乗せられるだろうか。中国経済の地盤沈下とともに、こういう相手を「釣る」戦術は効かなくなるはずだ。すでに、欧州の「小国」が中国の実力を見透かし始めている。

     

    (2)「9月16日にTPPに加盟申請してからの中国の動きは素早かった。習近平(シー・ジンピン)国家主席がベトナムの最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長やシンガポールのリー・シェンロン首相と相次ぎ電話協議。両国から中国の申請に前向きな反応を得た。習氏は11月のASEAN首脳とのオンライン協議にも出席する。通常は格下の李首相の役割で、習氏の出席はASEAN重視を示す」

     

    中国は、ロシアと組んで軍艦で日本列島を一周させる無益な行動を行った。日本が、反感を抱いて中国をTPPへ絶対に加盟させない。そういう「副作用」を考えない当たり、中国の単細胞国家というイメージを拭えないのである。

     

    中国は、TPP加盟でASEANを味方に引入れようとしている。だが、ASEANでは「面従腹背」の可能性が大きいであろう。中国が、南シナ海問題で他国権益を侵害しているからだ。

     


    (3)「働きかけの「武器」となるのがワクチンだ。9月末には王氏がマレーシアのサイフディン外相と電話し、100万回分のワクチンを新たに寄付すると表明した。中国がマレーシアに提供したワクチンは寄付分だけで少なくとも合計150万回分になる。中国が4カ国に狙いを定めるのは、国有企業が多いなど経済構造が似ているのも理由とみられる。外交を専門とする北京の大学教授は「TPP加盟は10年単位の時間がかかる。いまは仲間作りが大事。国有企業が多いベトナムやマレーシアと協議して準備しておく」と中国側の思惑を明かす」

     

    中国のワクチンは、「水同様」で効き目が薄く、確実に追加で他国製ワクチンを打たなければならない。そういう中国製ワクチンを有り難がる国があるだろうか。中国は、未だにロックダウンに頼っている国である。中国製ワクチンが効かない証拠である。

     


    (4)「TPPは国有企業などで厳しいルールをもうけたが、国有企業が主体のベトナムには例外規定を認めた。中国が参考にしている可能性がある。東南アジアで大使を務めた中国の元外交官は「(国有企業など)解決が非常に困難な問題は例外化を考えるべきだ。中国市場は他国には魅力的だ。相手に利益を示し、交渉を有利に進めることが大事」と主張する。中国とASEANの貿易額は新型コロナにもかかわらず増え続ける。2020年の中国の対ASEAN輸入額は3013億ドル(約34兆円)と10年前の約2倍に膨らんだ。いまや欧州連合(EU)や米国を上回り、ASEANが中国の最大の貿易相手だ。4カ国にとっても、中国のTPP参加による大幅な関税下げは経済効果が大きい」

     

    TPPは、ベトナムに対して国有企業で例外規定を認めた。中国ほどの経済規模になっても、それを認めさせようという期待を持つべきでない。甘えてはいけないのだ。各国が、安全保障上で中国をTPPへ加盟させていいかどうか、それぐらい判断がつくはずだ。

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