勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年10月

    テイカカズラ
       

    中国政府が10月23日、不動産税を試験的に「5年間」導入の検討を決めた。時期や実施都市は未定である。せいぜい、1~2都市と予想されるが、早くも住宅暴落説が出るなど、騒ぎが広がっている。

     

    住宅バブルをここまで拡大させ、その頂点での不動産税導入とは、タイミングとして悪いことは事実だ。これまで無税であった住宅に対して課税されるとなれば、その衝撃が広がるのは当然である。10年前に実施すべきであったのだ。そうすれば、住宅バブルの拡大を防げたはずである。今になって、「共同富裕」という所得分配の不平等是正と目標を突付けられ、二進も三進も行かなくなっている。政策予見能力が、ゼロであることを示している。

     


    『大紀元』(10月25日付)は、「中国当局、不動産税を試験的に導入 専門家『経済的不確実性が高まる』」と題する記事を掲載した。

     

    中国の全国人民代表大会(国会に相当、全人代)常務委員会は10月23日、国務院(内閣に相当)に対して、一部の都市で不動産税を試験的に導入する権限を与えると決定した。試験期間は5年。専門家は同税制度の導入により、不動産バブルは崩壊する一方で、中国経済への大打撃が必至だと警告した。国営新華社通信によると、全人代常務委員会は、課税対象となるのは「居住用」と「非居住用(商業用など)」の各種類の不動産物件と定めた。また、同委員会は「条件が揃った時に、タイムリーに(不動産税関連)法律を制定する」と明示したという。

     

    (1)「習近平国家主席はここ数年、国内不動産市場の過熱化を巡って、「住宅は住むためのもので、投機活動の対象ではない」と複数回発言し、市場の沈静化を図った。習当局は8月、国内の格差是正を目指し「共同富裕」方針を掲げた。10月16日、習近平氏は共産党理論誌「求是」で、『共同富裕を推進する』と題した評論記事を掲載し、「不動産税の立法と(不動産税制度)改革を推し進め、試験導入に取り組む」と主張した」

     

    習氏が、不動産税について試験的導入に取り組むと表明するほど、所得分配の不平等是正が避けて通れない問題になっていることを覗わせている。

     

    (2)「中国国内で不動産税の導入に反対する人が多い理由は、「法的根拠がないため」だと米サウスカロライナ大学の謝田教授は示した。「中国共産党は土地を国有化している。住宅を購入した市民は、住宅使用権を持つが、土地の所有権を有しない。当局の不動産税徴収は『筋が通らない』と主張する人が多い」。反対者は、不動産税は各家庭にとって大きな負担になることも強調している。謝教授は、「不動産税率は不動産相場の約1%にあたるという米国の基準で試算したところ、一世帯が支払う年間不動産税の金額は1万元(約18万円)以上という結果を得た。中間層にとって大きな負担であることがわかる」と述べた」

     

    不動産税の導入に反対する人の理由は、「法的根拠がないため」とするが、それは屁理屈である。ならば、消費税にも「法的根拠」はないのだ。ただ、財源をつくる必要上、課税するもの。住宅という最大の資産に課税せず、日々の暮しに必要な物品に消費税を課す方がはるかに不条理である。

     

    一世帯が払う不動産税が、1%の税率でも約18万円になるという。これまで、これを無税にして消費税をかけてきた。「ジニ係数」が上昇して、社会的不平等を増幅する原因になってきたのである。

     


    (3)「教授によると、反発が最も強いのは、複数の物件、あるいは数十軒、数百軒の物件を持つ党内の既得権益集団だ。「当局が不動産税を本格的に導入すれば、彼らは税金逃れのため、物件を次々と売却することが容易に想像できる」。今年1月、収賄罪などで、当局に死刑判決を受けた国有不良債権処理大手、中国華融資産管理股份有限公司の頼小民元会長について、中国メディア「財新網」は、「100軒余り」の住宅物件を持っていたと報じたことがある」

     

    不動産の無税は、「金持ち優遇」の最たるケースである。共産党を名乗る政権が行うべき政策でない。

     

    (4)「台湾の経済評論家、黄世聡氏は、今、不動産税の試験導入を他の都市に拡大するのは「タイミング的に悪い」と指摘した。同氏は、不動産市場の中国経済に対する貢献度が大きいとし、不動産企業の過剰債務問題に加え、「不動産税の導入は市場への打撃が大きく、中国経済の不確実性がさらに高まる可能性があると述べた。中国不動産市場に詳しい評論家、鄭義氏は、当局が不動産税を導入することに2つの目的があると分析した。「1つは国内の不動産価格、住宅価格の高騰を抑える狙いがある。もう1つは、税収を増やすためだ」と話した」

     

    下線部が、不動産税導入の目的であろう。ここへ来て、試験的にでも不動産税導入を決めたのは、財源不足対策が主なものだろう。土地売却収入に依存する中国財政が、行き詰まってきたにちがいない。習氏によれば、共同富裕実現は2050年頃と先延ばしされた。その前に、財政を立て直す必要があるに違いない。

     

    (5)「鄭氏は黄世聡氏と同様に、市民に不動産税を納めさせることで「不動産市場はさらに低迷する恐れがある」との見方を示した。同氏によると、現在の中国の不動産市場において、取引件数はすでに減っているだけでなく、住宅ローンを払えず物件を手放す人も増えている。謝田氏は、習近平当局の政策で不動産バブルが崩壊すれば、「購入者らの住宅ローン返済の延滞や不動産企業の債務返済困難が予想され、金融機関の資金回収は一段と悪化する」と示した。恒大集団を含む不動産企業の過剰債務が解決されていない今、不動産税の導入は中国経済に「重大な影響をもたらす」と同氏は警告した。「習近平政権がこの悪影響に気付き、不動産税政策を棚上げする可能性はある」

     

    この段階での不動産税導入が、窮余の一策であることは確かである。それだけに追詰められている。凶と出るか吉と出るか。凶の公算が大きい。中国人は、利を見るに敏な民族である。これを忘れてはならない。民衆は、中国4000年の歴史が繰り返す「興亡史」を肌で知っているはずだ。


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    米中対立は、中国が覇権競争を諦めない限り元へ戻ることはなさそうだ。米中対立において、中国が決定的に不利な点は、技術的に有力同盟国を持たない点である。言うなれば、中国は発展途上国のロシア・イラン・北朝鮮を率いるだけである。米国は、先進国全てを束ねる立場にあり、技術の相互融通が可能である。中国は、米同盟国から技術封鎖を受ければ、手も足もでないという極限状況に追込まれるのだ。

     

    中国は、こういう不利な技術競争条件にあるにもかかわらず、「米国打倒」を狙っている。中国は、どのようにして米同盟国と戦うのか、理解不能な行為と言うほかない。

     


    韓国紙『中央日報』(10月25日付)は、「今後100年を動かす戦略技術の確保、技術主権の出発点」と題するコラムを掲載した。筆者は、イ・ジョンヂン/ソウル大工大教授である。

     

    (1)「ここ数年間、国際的に技術覇権という言葉ほど注目されたキーワードが「技術主権」だ。技術主権とは、国家経済と国民福祉のために必要な技術を主権的な意志で自ら調達できる国家の能力をいう。技術主権は、核心戦略技術とこれを支える製造力量がある場合に確保される。他国が持っていない固有の戦略技術があってこそ技術先進国と共に対等なパートナーとして優遇され、未来産業のグローバル概念設計をするのに参加できる」

     

    下線部は、自国が技術的優位性を持って初めて、他国との技術交流において優遇されるという意味である。韓国の技術優位性は半導体しかないので、それ以外の技術開発で成果が求められる環境になった。

     

    この意味で、韓国が反日で騒ぐマイナスは極めて大きいと言わざるを得ない。日本が、韓国をパートナーとして相手にしなくなればどうするのか。孤立するだけである。北朝鮮といくら親密になっても有益な技術は得られないのだ。

     


    (2)「技術主権は最近多くの国が真剣に議論している「経済安全保障」の必須条件でもある。経済安全保障は、国家経済の運営と国民の生活のために必須の技術と製造力量を備え、グローバルサプライチェーンを安定的に維持できる場合に守られる。複雑に感じられるこの話を整理するとこうだ。戦略技術があってこそ技術主権を持つことができ、技術主権があってこそ経済の安全が保障される。いま米中が技術覇権をめぐって対決する中、他の技術先進国も技術主権を確保するために競争している。この数年間の各国の動きをみると目まぐるしい」

    経済の安全は、戦略技術を持つことである。韓国の対日政策には、この視点がゼロである。むろん、中国にもない。尖閣諸島で日本を軍事的に刺激することが、どういうリアクションをもたらすか。そういう計算ができないのだ。要するに、中韓ともに総合的な戦略がないのだ。

     

    (3)「米国の歩みが断然、注目の対象だ。オバマ政権とトランプ試験で予熱を与えた後、バイデン政権で本格的な加速ペダルを踏んでいる。2021年6月に公開された「グローバルサプライチェーン報告書」は、対中国技術主権報告書と呼ばれるほどだ。グローバルサプライチェーンで米国の製造力量が脆弱だという短所を埋めるために、インテルなど自国製造企業を支援する一方、同盟国の先端製造工場の誘致にも積極的に取り組んでいる。バイデン大統領が外国半導体企業をホワイトハウスに呼んで情報共有と工場新設を督促するのもすべて、覇権国家として技術主権を確保するための戦略の一環だ」

     

    米国は、下線のように覇権国家として技術主権を確保するだけでなく拡張させている。これが米国の強みであり、中国の弱点である。

     


    (4)「日本も数年前から技術主権と経済安全保障を国家政策の最優先順位に引き上げるために準備してきた。10月8日の岸田首相の所信表明演説では、新内閣の4大重点政策の一つに経済安保を提示した。この問題を担当する閣僚級の経済安保担当相を新設し、経済安保法案を提出するなど慌ただしく動いている。経済安保の核心である戦略技術開発のために伝統的に強いバイオ・素材・ロボット技術だけでなく、量子コンピューティング・海洋技術など未来戦略技術リストを発表し、育成に入っている。企業の戦略技術開発を支援するために1000億円を支援し、大学の戦略技術基礎研究と人材養成を後押しするため10兆円規模のファンドを立ち上げている」

     

    日本は、紛れもなく「技術立国」である。一時、足りない技術は他国から買えば良い、という風潮が強かった。こういう風潮に逆らい、トヨタのように必要な技術は全て自社で揃える「自前主義」が、結果として生き残る術であることを示している。「流行の考え」は、欠陥があるものだ。

     

    (5)「欧州もこうした状況で欧州の技術主権を固める動きを見せている。10月15日に欧州連合(EU)の大統領にあたる欧州委員長が欧州議会を相手にした国政演説で、半導体問題を欧州の技術主権の問題として明示的に宣言し、半導体生産生態系の再構築に乗り出した。デジタル分野の技術主権には命運をかけるように行動していて、欧州の強みである再生可能エネルギー分野の戦略技術開発には欧州開発銀行(EIB)まで動員しながら投資に動いている」

     

    EUは、半導体技術への育成に力を注ぎ始めた。そこで、「中国よりも台湾」という政策転換が起こっている。EUの台湾接近の裏には、半導体技術の存在がある。

     


    (6)「友好的な技術共有と複数の国に分散したグローバルサプライチェーンのおかげで世界的に物価が安かったグローバル化時代はもうない。各国が費用を多く支払ってでも技術主権を確保して経済安保を守るために競争するという新しい混沌の時代が開かれている。韓国も7月に戦略技術リストを発表し、最近では閣僚級で構成された対外経済安保戦略会議を新設し、国会では「核心戦略産業特別法」を発議した。もう技術主権の問題は選択でなく、先進国として定着できるかの目安となる国家的なミッションになった」

    グローバルサプライチェーンという考えが、一国経済を危機に追込むという時代になった。経済安保が前面に出てきたからだ。生産コストよりも経済安保重視である。このきっかけを作ったのが、中国のコロナ発生である。中国は、自業自得へ追込まれている。

     

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    いやはや、韓国の日本への対抗は病的な段階である。日本のコロナ感染者数が激減していることに、「ヤキモチ」をやくという珍現象が起っている。

     

    日韓の比較がし易いように、両国のコロナ感染者数をほぼ同時刻の発表にあわせた数字は次の通りである。

     

    日本 10月24日23時55分  234人

    韓国 10月25日午前0時   1190人

    日韓の人口比は、日本が韓国の約2.44倍であることから見て、韓国の感染者数は96人でなければならない。現実には、その12.4倍の感染者数である。つまり、韓国の感染者数は、日本に比べてまだ非常に高いレベルにあるのだ。

     


    韓国は「K防疫」と言って、世界の模範的なコロナ防疫モデル国を自慢してきた。現状は、これとほど遠い状況にある。ここで、韓国が編み出した奇手は、コロナワクチン2回目接種率がOECD10位であり、日本を上回っているという妙な自慢を始めていることだ。

     

    接種率を高める努力は必要である。だが、それのみ取り上げて自慢するよりも、現実の感染者をいかに減らすかである。競うべくは、そういう防疫効果を基準にすることだ。韓国は、「ゴールポスト」を動かして、「日本より勝った」と言っているようである。

     


    『ハンギョレ新聞』(10月25日付)は、「韓国、国民参加と医療現場の献身が成し遂げた接種完了率70%突破」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「韓国の新型コロナウイルスワクチンの接種完了率が70%を超えた。今年2月26日に韓国国内でワクチン接種が開始されてから8カ月での達成だ。接種完了率70%突破は、来月初めに実施される予定の「段階的日常回復(ウィズコロナ)」の最重要条件だ。コロナ予防接種対応推進団は24日、ワクチン接種完了者が同日0時現在で3598万人となり、全人口(昨年12月現在で5135万人)の70.1%に達したことを明らかにした。70%が達成されたのは23日午後2時ごろ。23日だけでも新たな接種完了者は33万人にのぼった」

     

    韓国は、オリンピックのように記録達成に拘っている。目的は、感染者を一人でも多く減らすことである。それによって、犠牲者を減らせるからだ。

     


    (2)「韓国のワクチン接種完了率70%突破は、接種を韓国よりも先に開始した英国(66.7%)、日本(69%)、イスラエル(65%、以上21日現在)、米国(57.7%、22日現在)などの主要国より早い。接種初期はワクチン導入が遅れるとともに供給量が少なかったため大いに懸念されたものの、下半期に入ってワクチン供給問題が解消されたうえ、国民参加率が高まったことで接種が急激に速まった。国民の積極的な姿勢、医療現場と支援スタッフの献身、政府の努力が調和した結果だ。ワクチンの輸送、保管、接種などのしっかりしたインフラも支えとなった」

     

    韓国は接種完了率が70%で、日本の69%を上回ったと自慢している。問題は感染者数であるが、これについて一言半句触れていないのだ。韓国は、日本よりも接種率が高ければ、人口比での感染者数が日本より減って当然だが、逆の結果になっている。それは、日本が効率的接種である「職域接種」の結果、集団感染を防いでいるのであろう。薄く平らに接種するよりも、集中的な接種が効果を上げているのだ。

     


    (3)「接種完了率が70%を突破したことで、段階的な日常回復への転換にもさらに弾みがついた。接種目標の達成により危篤化率と死亡率が下がるとともに、段階的な日常回復への転換の開始の重要な前提条件が整えられた」と語った。政府は25日に公聴会を開き、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の段階的緩和に向けた素案を公開し、29日には日常回復の履行計画を発表する予定だ。来月初めから食堂やカフェなどの生業施設の営業時間制限が緩和されるなど、まずこれまで被害が大きかった業種と感染拡散の危険が小さな施設に対して、段階的に日常回復措置が実施される見通しだ。自営業者をはじめとする脆弱階層の苦痛が軽減されることになるのは幸いだ」

     

    大いに効果を上げて、苦境にある自営業者を助けられることになれば良いことである。今回のパンデミックでは、最大の被害者が自営業者である。廃業が相次ぎ、自営業者比率が20%を割り込んでいる。

     

    (4)「政府は、段階的な日常回復の最終段階を開始するための接種完了率の基準を85%と見ているが、来年初めには可能になると展望している。そのためには、ワクチン接種を1度も受けていない人のワクチン接種が急がれる。24日午前0時現在のワクチン未接種者は1058万人で、このうち18歳以上は500万人。ワクチンの異常反応に対する懸念などの様々な理由で接種が忌避されている。政府は強制的な措置を取るのではなく、自発的にワクチンを打つよう、これらの人々の説得、誘引に努力を惜しんではならない。ワクチン接種完了者に対する特典の拡大、異常反応についての情報を隠すことなく公開することによる不必要な不安の拡散の防止、ワクチン接種による被害に対する補償の強化、交通弱者や障害者のための接種支援の強化に取り組むべきだ」

     

    日本のように、職域での集中的なワクチン接種が感染予防効果を上げていることは明らかだ。その点で、韓国はどうなっているのか。ただ、接種率を引き上げるだけでは問題解決にならないであろう。人口比で、日本並みに感染者数が減ったとき、初めて「K防疫」と自慢できるのだ。

     

     

     

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    中国の「戦狼外交」が威力を失い始めた。「一つの中国論」を盾にして、他国を恫喝してきたが、もはやこれに怖じ気づく国もなくなってきたようだ。中国は、明らかに落ち目になってきた。中国の土台をなす経済が、不動産バブルであったことが世界中に知れ渡って、「大したことはない」と見くびられ始めてきた現実もある。

     

    欧州と台湾が、半導体を軸に接近する気配である。欧州にとって半導体は、喉から手が出るほど貴重な産業である。その半導体の受託生産で、台湾は世界一の実績を上げている。中国を共通の「思想的な敵」に擬する欧州と台湾が、外交的に接近しても不思議はない状況である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月25日付)は、「欧州と台湾、政治でさらに接近 台湾外相が東欧歴訪」と題する記事を掲載した。

     

    欧州連合(EU)と台湾が一段と距離を縮めようとしている。台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は欧州を歴訪し、スロバキアで26日に開かれる国際会議で演説するほか、27日にはチェコでミロシュ・ビストルチル上院議長と会談する。経済だけでなく政治面でも欧台の関係強化を狙う。ただ、ドイツなど主要国は中国への刺激を避けたいのが本音で、関係強化が進むかは不透明だ。

     

    (1)「呉外相の欧州訪問は19年にデンマークで開催された民主フォーラムに出席して以来、約2年半ぶりだ。呉氏は24日、欧州訪問への出発を前に「台湾はチェコやスロバキアと同様に自由、人権、法治を渇望している」と述べ、中国対抗を念頭に欧州との連携強化の姿勢をアピールした。チェコのビストルチル氏との会談は昨夏に同氏が台湾を訪問して以来。台湾側はこれとは別に現在、国家発展委員会の龔明鑫主任委員(大臣)を代表にした経済視察団がスロバキア、チェコ、リトアニアの3カ国を歴訪中だ。地元メディアによると、視察団は25日にチェコの首都プラハで、インターネットセキュリティーや宇宙産業などの分野で協力する覚書に署名した。欧州との関係強化を模索する動きが続いている」

     

    下線のように、台湾が投資案件を携えて訪欧している。これは、儀礼的な訪問でないことを示している。

     


    (2)「背景には、欧州の台湾への姿勢の変化がある。人権や民主主義を巡って中国との関係が悪化するなか、米国や日本などと同様に、同じ民主主義の台湾と連携を深めることが重要だとの認識が広がりつつある。EUは9月、インド太平洋戦略を公表し、台湾と主に経済面での関係深化に踏み出す姿勢を打ち出した。さらに踏み込んだのが10月21日。欧州議会は、EUと台湾の政治的な関係強化を勧告する文書を賛成多数で採択した。文書に拘束力はないが、台湾をインド太平洋地域で重要なパートナーと位置づけ、関係を強めるべきだと主張した」

     

    欧州が、台湾を見直すきっかけは中国横暴への忌避感覚が働いている。一言で言えば、その「野蛮な振る舞い」を嫌っているのだ。EU自体も、台湾をパートナーとして位置づけ始めている。

     

    (3)「具体的には、EUの台湾での出先機関の名称を「欧州経済貿易事務所」から「EU事務所」に変更し、事実上格上げするように促した。さらには投資協定締結や世界的に不足する半導体調達などでの関係強化も促した。特に半導体は、欧州には最先端の製造技術を持つ半導体メーカーが1社もない。多くを米国や台湾、韓国に依存し、欧州現地での調達ルートの強化は喫緊の課題だ。EUでデジタル政策などを統括するベステアー上級副委員長は、採決直前の19日、欧州議員を前に「台湾が民主主義、自由、開かれた市場を守るために我々は関与を強める必要がある」と発言。台湾との政治から経済まで広範の関係強化が、今後のEUにいかに重要かを訴え、理解を求めた」

     

    下線部分は、中国にとっては泣き所である。地団駄踏んでも台湾へ対抗できないのだ。

     


    (4)「ただEU内での温度差はまだ大きい。EUのボレル外交安全保障上級代表も「微妙なバランスが重要だ」と指摘するように、EUは台湾との関係強化で中国との対立を招く事態は望んでいない。EUの中国との貿易額は台湾の10倍以上で、中国は欧州経済に欠かせない巨大市場だ。中国の人権問題など譲れない面では主張しつつ、経済面での結びつきは維持したいのが本音だ。とりわけドイツは中国への輸出依存度が高く、中国との関係悪化には非常に敏感だ。対中強硬の米国とは立場が異なる」

     

    EUにとって、中国が欠かせない市場であるが、それは昔も変わらないことだ。それにも関わらず、EUで台湾との関係見直しが始まっている現実を知るべきだ。いったん、ぐらついた関係は、決して元へは戻らないものである。

     

    (5)「米国が対中姿勢を鮮明にするなか、欧州が今後、中国と台湾の間をどうバランスさせるかは依然、不透明だ。中国は強く反発している。習近平国家主席は25日、国連が中華民国(台湾)に代わり中華人民共和国の代表権を認めた「アルバニア決議」から50年の節目に演説した。「国際ルールは193の国連加盟国が守るべきだ。例外があってはならない」と述べ、最近の米欧など世界各国の台湾への接近を強く批判した」

     

    下線部の通りとすれば、中国は南シナ海から撤退すべきである。常設仲裁裁判所から、南シナ海占領の違法性を100%突かれているからだ。身勝手はことを言うべきでないのだ。

     

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    日本は夏のオリンピックの頃、コロナ蔓延で世界から冷たい視線を浴びていた。「清潔の国」が、「コロナの国」に転落したからだ。ところが現在、コロナ感染者は急減している。昨日(24日)は、東京の新規感染者は19人、全国でも234人となったのだ。桁を間違えているのでないかと思うほどの変化である。

     

    理由はいろいろ挙げられている。その中で有力なのは、クラスターの発生が抑えられていることのようである。日本では、職域での集団接種が行われている。企業・学校が集団接種しているほか、自治体がいつでも自由に接種できるなど多様化している。かかりつけの医院で接種できたのも、全国の接種率を引き上げる上で貢献した。接種後も、清潔好きで手洗いを励行し、「マスク好き」の習慣が、コロナミステリーを生んだ背景と言えそうだ。

     

    韓国紙『中央日報』(10月25日付)は、「1日2万5000人から300人台に、日本の新型コロナ感染者ミステリー」と題する記事を掲載した。

     

    最近新型コロナウイルス感染者数が急減した日本全域できょう25日から飲食店の営業時間短縮制限が全面解除される。

     

    (1)「11月から韓国政府も段階的日常回復である「ウィズコロナ」を導入する予定で、先に制限を解除する日本の状況に関心が集中する。NHK、朝日新聞と時事通信などによると、東京都と大阪府は前日新型コロナウイルス関連会議を開き、25日から飲食店に要請してきた営業時間短縮を解除することにした。現在適用されている酒類提供午後8時まで、飲食店営業時間午後9時までなどの制限が全面解除される。首都東京を含め事実上全国的に営業時間短縮が解除されることになる。ただ感染状況が最も悪い沖縄県だけは来月1日から解除する方針だ」

     

    飲食店での営業時間が緩和されるのは、無条件ではない。自治体の基準をパスした店は解除されても、そうでない店の制限はつく。

     


    (2)「日本では最近新規感染者数が急減した。NHKが厚生労働省と都道府県の発表を集計したところによると、15日から21日までの新規感染者数は526人→507人→428人→230人→372人→391人→345人だった。全国21の都道府県に最も強力な行動制限措置の緊急事態宣言が発令中だった8月27日の2万4196人に比べ大きく急減した」

     

    感染者の減少は、劇的ですらある。「これぞ日本」と言いたくなるほどだが、油断はできない。ここで失敗したら、世界の笑いものになる。

     

    (3)「これに対し18日に米誌タイムは「日本の新型コロナウイルス急減、ミステリアスな成功神話を作り出す」と題した記事を通じ、「一夜にして日本は驚くべき、そして神秘的なコロナ成功ストーリーを書いた」と評価した。タイムは日本の新型コロナウイルス防疫成功要因として▽迅速な予防接種キャンペーン▽不安拡散にともなう夜間の外出自粛▽マスク着用と8月末の悪天候などを挙げた」

     

    米誌タイムは、日本を激賞してくれた。マスク着用の継続が、ワクチン接種率向上と相まって感染者減少に寄与しているのであろう。

     


    (4)「日本でも同様の分析が出ている。東京医科大学の濱田篤郎特任教授は時事通信とのインタビューで、ワクチン接種拡大や国民の感染リスクの行動自粛、8月下旬から暑さがやわらぎ国民が部屋を換気したことなどが影響を及ぼしたようだと話した。彼は、9月から世界的に感染者数が減り始めており、デルタ株の感染力は強くなったが、病原性(感染で疾病を起こす能力)は弱まった可能性もあると指摘した。東京都医師会の鳥居明理事もやはり同様の説明を出した。彼はニッポン放送に出演し、日本の2回目のワクチン接種率が60%を超えたことや、感染が一気に拡大したことで国民の間で行動変化があったと指摘した」

     

    世界の感染症専門家は、病原性の弱体化を上げている。感染率が下がると、新たな変種が出現しない状況が生まれるというのだ。

     

    (5)「これに対し一部では新型コロナウイルス検査の急減が感染者数の減少につながったとの意見も出ている。最近日本政府は無料で行われていた新型コロナウイルス検査を有料に転換した。PCR検査を受けるのに約2万円の費用が必要になり、8月中旬には1日17万件まで増えていた検査件数は最近3万件から6万件規模に縮小した。だが症状があり医師が検査を勧告したり濃厚接触者である場合は無料検査が可能だ。もちろん韓国のようにだれでも無料で検査を受けられる環境ではないだけに、無症状患者が相当数存在する可能性はある」

     

    このパラグラフは、俗説と言えそうだ。これまでも個人が、安心のために受ける検査は有料であった。検査件数が減ったから感染者が減ったと言うならば、その後に蔓延しているはず。こういう非科学的な話は困るのだ。

     

    (6)「ただ東京都の資料によると、新型コロナウイルス検査件数は8月末から10月中旬には3分の1に減ったが、同じ期間に新型コロナウイルス陽性率も25%から1%水準に落ちた。このため新型コロナウイルス検査の急減が感染者数減少につながるという推測は明確な解答にはならないとタイムは指摘した」

     

    ウイルスの陽性率が現在、1%水準に低下している。これは、蔓延していない証拠だ。

     

    (7)「ただ専門家らの間でこうした感染拡大傾向の急減が続くのかに対しては見通しが交錯する。タイムは「ワクチンの効能が次第に落ち冬季が近づく状況で専門家らはなぜこれほど患者が急激に減少したのか正確にはわからない。深刻な患者があふれ死亡者が急増したこの夏のように日本はまた別の流行に直面するかもしれない」と懸念する。日本では「パンデミック2カ月周期説」が出回っている。この仮説によると、新型コロナウイルス流行は約2カ月間急増した後、約2カ月間減少する」

     

    油断しないで警戒を続けることが肝心だ。

     

    (8)「実際に日本では(昨年)12~1月に流行して感染者数が7000人台でピークとなった後に減少し、(今年)4~5月から感染拡大傾向が本格化した。最近の第5波は7月から再び増加し8月まで最多記録が続いたが再び下方曲線を描いている。これと関連し東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授は「天然痘やはしか、スペインかぜも周期があったとされるが、新型コロナの周期もウイルス学者の間で指摘されている」と話した。その上で「過去の例が繰り返される場合、今月底を打って増加に転じた場合、12月に再度ピークを迎えることになる」とし、感染者数が第5波ほど急増するかは新たな変異株の出現に左右されるだろうとした」

     

    問題は、新たなコロナウイルスが発生するかどうかである。それが出なければ、コロナがインフルエンザと同様な扱いになる。これが、世界の感染学者の見解である。要は、正しく恐れることだ。

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