勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年11月

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    今回の総選挙は、憲法改正時期をめぐって重大な決定をする契機になりそうだ。日本維新の会が、41名の議席を得てことで、衆院での発議権が生まれることである。

     

    日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は、11月2日の定例記者会見で、国会で来夏の参院選までに憲法改正原案をまとめて改正を発議し、国民投票を参院選の投票と同じ日に実施するべきだとの考えを示した。『朝日新聞 電子版』(11月2日付)が報じた。

     

    事務的な話だが、憲法改正では国会で衆参両院において、それぞれ3分の2以上の賛成がなければ,国民投票に付せられない決まりである。そこで、両院の最新勢力分布を見ると次のようになっている。

     

    衆院定数は465名である。うち、自民党261名、維新の会41名、公明32名で合計334名。これが、衆院の71.8%を占める。

     

    参院定数は242名である。うち、自民党111名、公明党28名、維新の会15名で合計154名。これが、参院の63.6%である。

     


    憲法の規定では、両院でそれぞれ3分の2以上(66%)の賛成が得られれば、国民投票にかけられることになっている。この規定によれば、参院で自・公・維のほかに7名の賛成者が出れば、憲法改正案が国民へ提案される規定である。

     

    ここでは、憲法論を広く取り上げるのでなく、安全保障の面から見ておきたい。それは、自衛隊を明記するか、どうかが論争点になっているからだ。自衛隊は、法的に軍隊でない。発足時が、「警察予備隊」であったからだ。朝鮮動乱後、日本国内で不穏な動きが発生しないようにという目的で警察「予備隊」であった。この位置づけは、現在も変わらないのだ。

     

    私の高校時代に防衛大学校が設立(1952年)された。当時の高校生の間では、全く無関心の一言であった。ただ、九州出身者が入学している,程度の関心は持っていた。それほど、戦後の雰囲気は「平和憲法・永世中立」といったもので、戦争放棄した日本に自衛隊が必要かという議論が支配的であった。

     


    革新政党が、国会で自民党と議席を争える勢力を維持できた背景は、「戦争放棄論」の支えであろう。アジアで、日本の安全保障を脅かす国が存在しなかったのが理由だ。米ソ対立と言っても、欧州が舞台であった。欧州ではNATO(北大西洋条約機構)を結成して、旧ソ連軍と対峙していた。

     

    この状況下で、日本の再軍備論は荒唐無稽なものとして退けられたのである。防衛費は、対GDP比1%という枠がはめられて、「専守防衛」が目的とされてきた。ただ、こういう制約が課されたので、自衛隊の装備が高度化したことは事実だ。日本の高い工業技術力を背景に、軍事力として世界5位にランクされている。有り体に言えば、金をかけないで高度の防衛力を備えているのが自衛隊である。

     

    現在のアジア軍事情勢は、様変りしている。中国の軍事的台頭によって、中国がアジアの覇権国を目指し,公表している倍の軍事費を使って膨張を進めている。具体的には、南シナ海の島嶼を占領して軍事基地化し、自国領海と嘯(うそぶ)く事態を迎えている。余勢を駆って台湾と尖閣諸島の同時侵攻を模索するという、10年前には想像もできない状況になっている。

     

    日本の革新勢力は、こうした中国の軍事的台頭に対して、有効な手立てができなかったのでる。これが、革新勢力の位置を相対的に低下させた原因となった。かつて日本社会党(現・社民党)は、自民党と対抗する議席を誇った。鈴木茂三郎は1951年、日本社会党委員長に就任した際の党大会で、「青年よ、再び銃を取るな」と名演説をして若者に反戦を訴えた。以後、この言葉が日本の平和運動の象徴的な存在となった。

     

    こういう歴史から、革新政党は脱皮できなかった。日本共産党は別として、他の革新政党は安全保障面で現実に対応する政策を持つべきであった。中国の軍拡にどのように対応するのか、国民の不安に対して具体的に応えるべきだったのだ。「安倍首相の時は憲法改正させない」と妙な力み方をして、憲法の本筋論に踏込まなかったのは、政党として「義務放棄」であろう。

     

    今回の総選挙は、安全保障=憲法改正に対する国民の意思が示されたと見るべきだろう。立憲民主党が、想像もできないような議席減に見舞われた理由は、日本共産党との共闘である。自衛権は、国家存立の基本権である。その自衛権の象徴である自衛隊を、明確に否定している共産党と手を結んだことは、立憲民主党として致命的な誤りであった。

     


    立憲民主党はただ、小選挙区で議席を伸したいという選挙戦略での共闘であると主張していた。共産党の位置づけを「閣外協力」としてきたが、国民はそう受取らなかったのである。政権を委ねるかどうか、立民党への根本的な疑問を持ったのだ。それは、今回の総選挙の結果にはっきりと現れている。

     

    自民党が公示前勢力から15議席減にとどめ、単独で絶対安定多数の261議席を確保した。全289小選挙区の65%にあたる189選挙区で勝利を得たのだ。重複立候補者を含む比例代表の当選者を含めると、候補者の4分の3が議席を得た計算である。

     

    小選挙区の投票総数に占める自民候補への票は48.41%5割に満たない得票率で65%の小選挙区をおさえたことになる。小選挙区の特性を生かし、効率よく議席を確保したといえるのだ。裏返していえば、立民党と共産党の候補者一本化の効果がなかったことを意味する。立民党の選挙戦略が失敗であった証拠であろう。

     


    小沢一郎氏は、過去の小選挙区の党派別得票数を分析して、野党候補が一本化すれば自民党を倒せると豪語してきた。実際にやって見たら、逆の結果が出てしまったのだ。選挙の大ベテランである小沢氏さえ見誤ったのは、国民の安全保障への懸念を完全に見落としていた結果であろう。

     

    自民党が、結果的に議席減を最小限に抑えられたのは、安全保障への取り組みである。コロナ問題も、ワクチンを入手しながら厚生官僚による権威主義で、国内での臨床試験を行い、2ヶ月の時間を無駄にした。アジアでも臨床試験を済ませた欧米ワクチンが、日本の僅かなサンプル数で厚生官僚の権威付に利用され、その蔭で多くの犠牲者が出たのだ。こういうミスはあったが、安全保障問題を考えれば自民党支持にならざるを得なかった。これが、真相であろう。

     

    立民党は、オウンゴールの形で敗北を喫したのである。安全保障政策で逃げ腰の政党が、政権を獲れるはずがない。もっと、大人になるべきだ。責任政党とは、こういうものだろう。

     

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    習近平氏は、こういう事態に襲われるとは夢にも思わなかったはずだ。昨年いち早く、コロナウイルスの収束宣言を出し、余裕をみせていたのである。こうして、「マスク外交」や「ワクチン外交」と華々しく動き回ったほどだ。その結果は、いずれも品質劣化で悪評を呼ぶなど、想定外の事態を招いていた。

     

    今回は、デルタ変異株が中国を襲っている。中国製ワクチンでは効かず、欧米製ワクチンしか効果を上げられないという現実の前に、お手上げ状態である。中国では、欧米製ワクチンを承認していないのだ。理由は、欧米が中国製ワクチンを承認しないという「非科学的」理由である。要するに、メンツ問題である。このメンツは、中国人の生命を脅かしている現在、いつまで続けられるか。時間との勝負になっている。

     


    英紙『フィナンシャル・タイムズ』(11月2日付)は、「中国の厳しい移動制限、外国人の大量流出招く危険」と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平国家主席が新型コロナウイルス対策の規制を強化するなか、中国の米企業ロビー団体のトップが、国内から欧米人幹部が一斉にいなくなる恐れがあると警鐘を鳴らした。新型コロナ撲滅戦略の下、中国政府は帰国者に3週間の隔離を求め、企業の現地駐在員と家族に対しビザ(査証)の発給を制限するなど、1年半以上にわたって厳しい国境管理をしている。

     

    (1)「こうした規則のおかげで感染拡大を抑え死者数を減らすことができたと評価されている。ただ、デルタ型の変異ウイルスが中国全土の3分の2にまで広がって、地域的なロックダウン(都市封鎖)が再開され、再び移動制限が敷かれた。コロナ対策からの出口戦略が明確に示されず、しかも他の多くの国が入国制限を緩和している今、米国の企業幹部らはこのままでは外国人の国外流出が加速する可能性があると警告した。中国ではポストを離れる外国企業の駐在員が増えており、上海と北京の米国商工会議所の代表をそれぞれ務めるカー・ギブス、アラン・ビービ両氏も今後数カ月以内に去ることになっている」

     


    中国は、「ロックダウン」の再開である。また来た道である。海外では、有効なワクチン接種のお陰で「ウィズコロナ」が始まっている。中国だけは、「オフリミットコロナ」である。総合科学力の差が、これほど歴然としているのも皮肉な現象である。

     

    外国人は、中国を離れるか入国できないという、ビジネスにとって極めて不都合な事態になっている。これでは、商売もあがったりである。

     

    (2)「中国ビジネスに長い間携わり、当初の予定より早く現在のポストを去るギブス氏は、「国民の勤勉な働きと起業家精神のおかげで中国は急速な発展を遂げたが、国を対外的に開放したことが大きな要因だったことも事実だ」と話す。「外国の資本、発想、経営管理の専門知識を取り入れたことで、中国は急ピッチで世界の中で最も重要で最も進んだ経済大国の仲間入りを果たした」のである。ところが、在上海の米商工会議所に加盟する338社を対象にした最近の調査では、70%以上の企業が外国人人材を呼び込んだり引き留めたりするのに苦労しており「コロナ関連の移動制限」が最大の問題になっていることが明らかになった。

     

    中国は、外国の専門知識を取り入れたことで、急ピッチで経済大国の仲間入りを果たした。それは、人間の往来が自由であったからこそ可能になった。現在は、全く状況が異なって「鎖国状態」である。これでは、新たな技術も資本も入りにくくなる。中国にとって大きな損失になろう。

     

    (3)「ギブス氏は、「コロナが世界で流行し始めてから、企業幹部とその家族を中国に呼んだり帰国させたりすることが極めて困難になっている」とは言う。母親が子どもと離れ離れにされた事例はそれほどないが、それでもこうした事例を含め、厳しい隔離規則のせいでさらに不安を感じる駐在員もいる。外国人が長期間、享受してきた優遇税制措置の廃止と都市部の生活費の上昇も大きな懸念材料だという

     

    下線部のような、マイナス要因も加わっている。こうして、中国は外国人を「追出す」ような環境をつくっているのだ。

     

    (4)「中国で働く外国人の減少に加え、「外国人留学生もほぼ完全にいなくなって」おり、過去数十年間、米中外交の重要な柱となってきた「人の交流」にさらなる打撃を与えているとギブス氏は話した。移動制限が2022年末まで延長されるかもしれないという不安が広がっており、多くの人にとって不透明感が一段と増している。来年2月に開催される北京冬季五輪では、外国人の観客が認められない。多くの企業関係者は習氏が国家主席として歴史的な3期目の続投を決めるとみられる来秋の重要な共産党大会に向け、中国が厳戒態勢やそれに伴う国境封鎖を優先すると考えている

     

    デルタ型の変異ウイルス克服に、中国製ワクチンが無力となれば、中国得意のロックダウンしか対抗策はない。国境封鎖して、外国人を入国させない手段しかないとすれば、来年秋の共産党大会まで「開国」は不可能だ。こういう恐怖感が、中国在住の外国人に広がっている。習近平氏も、欧米との科学力の差を嫌と言うほど経験させられているに違いない。少しは、現実を学んだであろうか。

     

     

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    日本の総選挙で、野党の勢力が相対的に後退した印象を強めている。自民党は議席を減らしたが、国会運営には何らの支障もない。それどころか、野党である「日本維新の会」は、是々非々の立場ながら、大局的に岸田政権へ協力すると見られる。

     

    こうなると、岸田政権は外交政策において従来路線をさらに強固なものにし韓国へ対応すると見られる。新幹事長に、茂木外相が就任することもあり、韓国は厳しい立場に追込まれることになった。

     

    韓国紙『中央日報』(11月2日付)は、「261議席で力得た岸田首相、韓日関係は強硬路線続きそう」と題する記事を掲載した。

     

    岸田文雄首相率いる自民党が新型コロナウイルスの感染者の減少と弱い野党を追い風に総選挙で単独過半数の261議席を確保し、韓日間の冷えこんだ気流が続く見通しだ。就任から1カ月で迎えた総選挙で自民党の保守路線に対する国民の支持を再確認したことから強硬な韓日関係へのアプローチも続く見通しだ。韓国政府の立場では任期末の韓日関係正常化への試みに悪材料が重なり続けることになる。



    (1)「韓日間の最大の懸案である過去史をめぐる対立と対北朝鮮共助問題に対する岸田首相の立場は事実上前任の安倍晋三元首相と菅義偉前首相のアプローチ法を継承している。旧日本軍慰安婦と強制徴用の問題に対しては韓国側に「先に解決法を提示せよ」とし、対北朝鮮政策では北朝鮮の武力挑発を糾弾して対立点を立てる形だ。実際に岸田首相は先月13日の参議院本会議で強制徴用問題と関連し「日本が受け入れられる解決策を早期に出すよう韓国側に強く求めたい」と明らかにした。岸田首相は就任11日ぶりに文在寅(ムン・ジェイン)大統領と電話で会談したが、過去の問題に対しては立場の違いだけ再確認するのにとどまった」

     

    外交路線は、政権交代にともない変わるものでない。韓国は、こういう現実を理解せず,一喜一憂している。日韓関係の基本問題は、韓国が国際法を守るか守らないかという一点にある。日韓関係は、韓国が国際的な視野へ戻れば解決する。韓国の全面的な譲歩が条件である。

     


    (2)「極右性向の日本維新の会が合計41議席を得て第3党になったのに対し立憲民主党が96議席、共産党が10議席と議席が減ったこともやはり日本の右傾化を加速する見通しだ。世宗(セジョン)研究所のチン・チャンス日本研究センター長は「外形的には自民党が国政運営に向けた絶対安定議席を確保したようにみられるが、国内政治的リスクは相変わらずの状況。また、岸田首相が日米関係に集中する状況で韓日関係改善は優先順位から押し出されることになるだろう」と懸念する」

     

    韓国の最も悪い面の一つは、「極右」とか「右傾化」という言葉を簡単に使うことである。こういう決め付け方は、事実認識をしないでレッテルを貼る韓国の悪い点を表している。その最たる例は、「親日排斥」である。

     

    日本にとっての韓国の外交的位置は、安全保障体制の変化とともに変わった。韓国は、この事実を知らずに日韓外交を行っている。日本の安全保障体制では、米国、豪州、印度、ASEAN(東南アジア諸国連合)の次に韓国がくる。つまり、韓国は日本外交にとっての序列で5番目へと大きく下がっている。こういう現実を、しっかり頭に入れるべきである。

     

    (3)「韓日関係の冷えこみは、終戦宣言をはじめとする韓国政府の韓半島(朝鮮半島)平和プロセス再稼働の努力にも否定的な影響を及ぼすと予想される。日本は終戦宣言に懐疑的な立場を見せている。先月19日の韓日米の北朝鮮担当高官による協議で、外交部の魯圭悳(ノ・ギュドク)韓半島平和交渉本部長は、終戦宣言に対する支持と協力を要請した。だが日本の船越健裕外務省アジア大洋州局長は、「北朝鮮が韓半島の緊張造成行為を繰り返している」と強く糾弾したという」

     

    南北の終戦宣言は、形式的とは言え極めて危険である。現状は,何の変化もなく敵対している。それを放置して終戦宣言とは、北朝鮮の軍事拡大を容認すると同じである。文大統領がレガシーにしたいという「個人プレー」である。米国も強く反対している。

     


    (4)「ある外交消息筋は、「日本もやはり『外交的アプローチ』が必要という大前提には同意するが、終戦宣言に同意できないというのが確固とした立場。むしろ北朝鮮の核開発とミサイル発射を糾弾し、抑止力強化に焦点を合わせたのは北朝鮮を対話のテーブルに呼び出すことが優先という韓国とは相当な間隙がみられる」と話した」

     

    韓国が,異常な行動を取っているというほかない。北朝鮮の代弁をしているようなものだ。文氏の両親は、朝鮮戦争時に北朝鮮から韓国へ避難してきた身である。文氏の祖先墳墓の地は北朝鮮にある。望郷の念止み難しであろうが、ここは個人よりも大統領として行動すべきなのだ。

     

    (5)「こうした雰囲気の中で、文大統領と岸田首相とも1~2日に英グラスゴーで開かれる第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に参加する。韓日首脳間の対面会談が行われる可能性は大きくなさそうだ。韓日ともに国内政治的変数に縛られ、会ったとしても関係改善を深く議論しにくい状況であるためだ。これと関連し、毎日新聞は先月29日、複数の政府関係者の話として、岸田首相がCOP26を契機にバイデン米大統領との首脳会談を推進していると報道したが、韓日首脳会談に対する言及はなかった

     

    日本外交の基軸は日米同盟にある。日韓は、法的にも同盟関係にないのだ。友好国の域に止まっている。韓国は、これを忘れて日本へ100%の利益供与を求めている。認識が甘いのだ。

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    韓国では,日本の総選挙に関心が集まっていた。自民党が、議席を大幅に減らすことを願っていたようだが、結果は逆になった。野党の日本維新の会は、議席4倍増を達成したが、保守強硬派と見ている。その面では、「落胆」している様子だ。

     

    日本人の韓国観はイデオロギーと無関係である。過去の度重なる「反日運動」へ嫌気がさしているだけ。韓国が、それさえ改め歴史問題を持出さなくなれば、平穏な関係に戻ると見られる。現実は、なかなかそうならず、いつまでもギクシャクした関係に陥っているのだ。

     

    自民党幹事長の甘利氏は、小選挙区での敗退責任を取って辞任。後任は、外相の茂木氏が就く。日本の対韓外交の基本線は、岸田・茂木という「外相コンビ」が、政府と党のトップとなって取り仕切る。韓国にとっては、ますます「難攻不落」が予想されよう。

     


    『中央日報』(11月1日付)は、「また自民党選択した日本、弱い野党と新型コロナ感染大幅減が追い風に」と題する記事を掲載した。

     

    異変はなかった。4年ぶりに実施された日本の衆議院選挙で日本の有権者は再び自民党を選択した。10月4日に就任した岸田文雄首相は初の試験台で合格点を取り今後の国政運営に弾みをつけることになった。

    (1)「11月1日午前に選挙管理委員会が発表した最終結果によると、自民党は今回の選挙で小選挙区189議席、比例代表72議席を得て、定数465議席(小選挙区289議席、比例176議席)のうち261議席を確保した。単独で233議席以上の過半数を占めただけでなく、すべての常任委員会で過半数の委員を確保し常任委員長も独占できる絶対安定多数議席に達した。前回の選挙の276議席には至らないが、単独過半は容易でないだろうとされた当初予想よりはるかに良い成績だ。31日の投票完了直後に発表された出口調査でも自民党の単独過半は「ギリギリ」か「どうにか達成」になるだろうという見通しが多かった。だが、接戦地域で相次いで自民党が勝ち、予想外の圧勝を収めた」

     

    自民党は、予想以上に「善戦」した。失点を最小限に抑えた形だ。これで、岸田政権は、盤石な構えになる。自民党の新幹事長は茂木外相だ。韓国へは強硬な立場を貫いて来ただけに、韓国は目先を変えた安易な交渉姿勢で臨めなくなった。

     


    (2)「連立与党である公明党は32議席を得て、それまでの29議席から小幅に増えた。自民党と合わせれば293議席で、憲法改正を発議できる3分の2議席数の310議席には満たなかった。自民党の善戦は「限りなく弱い野党」の影響が大きかった。立憲民主党や共産党など野党は今回の選挙で候補を一本化して対抗したが、国民は野党連合を自民党の代案勢力に選択しなかった。立憲民主党はそれまでの109議席より減った96議席にとどまり、共産党もやはり12議席から2議席減り10議席となった」

     

    共産党は、野党統一戦線で微妙な立場に立たされている。日本の伝統的な価値観と大きく離れているからだ。アンチ天皇制・自衛隊否定・日米安保否定となると、普通の野党でも腰が退けるはず。むろん、共産党の主張は尊重されなければならない。ただ、賛成するかどうかとなると、ためらう人も出てくるだろう。この微妙な「空気」を読めるか読めないかだ。今回の総選挙では、良い悪いとは別にして、共産党の主張に距離を置いていることが分かる。

     


    (3)「特に立憲民主党がカラーの異なる共産党と一本化を試みたことが痛恨の失敗を呼んだと日本メディアは分析した。共産党は天皇制廃止、日米安保条約破棄などを党論に掲げる日本の極左性向の政党だ。日本メディアは、共産党支持者は立憲民主党の候補に入れたが、立憲民主党支持者は共産党に入れなかったと伝えた。代わりに浮動票が日本維新の会に集まり、維新は合計41議席を得て第3党に上がった。立憲民主党では枝野幸男代表に対する責任論が噴出しており、しばらく混乱が続くだろうと日本メディアは予想した」

     

    日本人の価値観は、天皇制維持に見られるように伝統重視であることが分かる。その点では、英国と似通った面がある。英国政党史における離合集散の跡を調べて見るのも良かろう。意外と、日本の野党の活路はその辺にあるのかもしれない。

     

    (4)「新型コロナウイルスが、主要争点になるほかなかった今回の選挙で、折しも感染者数が大きく減ったことも自民党に好材料として作用した。日本政府の新型コロナウイルス対応に対する否定世論を前任者である菅義偉前首相が背負って退く構図が作られ、岸田首相は「コロナ後の経済回復」を重点課題として掲げることができた。岸田首相は今回の総選挙を通じてリーダーシップに対する疑問を相当部分払拭し、今後の政権運営で主導権を握れるようになった。岸田首相は総選挙直後に新型コロナウイルス収拾に向けた追加補正予算を年内に処理し、経済政策である「新しい資本主義」構想を実現する政策の具体化を急ぐという計画を明らかにした」

    コロナの収束が、総選挙で自民党へ有利に働いたことは否めない。8月の横浜市長選で、野党候補が勝利を得たのは、コロナの影響が大きかった。昨年4月、韓国の総選挙で与党が大勝した背景にも、「K防疫」が原動力になっていた。感染症と選挙の関係は深いようだ。

     

     

     

     

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    ドイツは、親中派とされるメルケル首相の退任決定と共に、中国へ厳しい姿勢を見せている。中国政府は、中国語や中国文化を世界へ普及する目的で始めた「孔子学院」設置が、実はスパイ機関やプロパガンダ(政治宣伝)でないかと疑われている結果だ。

     

    ドイツ教育大臣は、中国が孔子学院を通じてドイツの言論自由へ干渉しているとして、全国にある孔子学院閉鎖を求める事態になった。すでに、カナダや米国では、孔子学院閉鎖が進んでいる。ついに、ドイツへもこの波が及んできた形だ。日本でも、政府が実態調査を始めている。

     

    『大紀元』(11月1日付)は、「ドイツ教育大臣、孔子学院の全校閉鎖求める」と題する記事を掲載した。

     

    ドイツのカーリチェク連邦教育研究省大臣は、同国内に設置されたすべての孔子学院の閉鎖を求めている。独週刊誌「デア・シュピーゲル」が伝えた。カーリチェク大臣は、各関係大学の学長室と各州の教育部長室に送った書簡で、孔子学院の役割を再評価し、結論を出すよう指示した。

     


    (1)「10月下旬、デュースブルク・エッセン大学とハノーファー大学に設置された孔子学院がドイツ人作家らの著書『習近平伝』の2回のリモート読書会を中止した。中国政府関係者の介入があったという。このことを発端に、カーリチェク大臣は、19の大学にある孔子学院がドイツの高等教育機関に与える影響について、「受け入れられないものだ」と懸念を示した。同氏は、各大学に対して孔子学院との協力関係の見直しを要請し、連邦憲法擁護庁や連邦情報局と緻密に連携するよう助言した。ドイツでは大学は各州の管轄であるため、連邦大臣が大学に直接介入するのは、極めて異例だという。

     

    中国では、大使館を通じて外国へ種々の干渉を行い問題になっている。北欧では、中国大使が暴言を吐いたとして厳重注意を受ける事態まで起っている。昨今の「戦狼外交」の一環として行っているものだ。

     

    中国では、他国政府に対して威圧的発言をすることが、中国の国威発揚をもたらすと錯覚している。実は、これが中国への評価を下げていることに気づかないようである。中国の「お山の大将」意識が非難の的になっているのだ。

     

    今回の騒ぎは、中国がドイツ人作家らによる著書『習近平伝』について、2回にわたるリモート読書会を中止させたことが発端である。『習近平伝』が、中国を批判していると見たものであろう。神格化されている習近批判を、許さないというポリシーなのだ。

     

    (2)「『習近平伝』の3人の共同著者のうちの1人、長年、中国に駐在した週刊誌のエイドリアン・ガイジュ記者は、同書は中国政府を敵対視しておらず、バランスの取れた内容だと強調し、「習近平氏が望んでいるのは、バランスのとれた報道ではなく、中国国内のように、国際社会までも彼を個人崇拝することだ」と糾弾した。ラジオドイツによると、政治学者のアンドレアス・フルダ氏は、ドイツの大学に対して孔子学院との提携をやめるよう進言したという。同氏は、今回の読書会の中止は、許すべきものではないとしている」

     

    習氏は、すでに中国で神格化されている。それだけに、海外で批判されることは絶対に許せないということなのだ。

     


    (3)「ドイツ紙『ディ・ヴェルト』は、「孔子学はドイツに伸ばしてきた中国共産党の長い手だ」と形容した。孔子学院について、欧米では教育の名を飾った中国共産党のプロパガンダ機関だという批判が広がり、米国をはじめ閉鎖する大学が相次いでいる。日本には14校ある」

     

    中国4000年の歴史は、陰謀と策略の歴史である。真摯に物事を探求するという歴史がない結果であろう。気の毒と言えば、これほど気の毒な歴史もない。歴史に,自己反省するという自浄作用がないのだ。

     

    日本では、孔子学院が14私立大学に設置されている。文部科学省によると、大学が海外の機関と連携する場合、学位の取得に関係しなければ、国に許認可を求めたり、届け出たりする必要はない。このため、国は孔子学院の運営実態を把握してこなかった。

     

    今年5月以降、孔子学院を設置している各大学に対し、教育活動の自主性に配慮しつつ、孔子学院の教育内容や組織運営の状況について、情報公開を徹底するよう求めることになった。文科省や外務省など関係省庁が連携し、情報収集を進める方針を決めたもの。

     

    日本政府が対応を強化するのは、欧米諸国が孔子学院を中国のプロパガンダ機関とみなし、規制を厳しくしていることが背景にある。日本政府だけが、何もしないで放置し問題が起ったのでは遅いので、問題発生を未然に防ぐ狙いもあろう。 

     

     

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