中国は、不動産バブルを抑制すべく不動産開発企業へ融資枠をはめている。これが、土地需要を冷やしている。地方政府にとって、土地売却金は重要な財源であり、この減少が財政赤字を生んでいる。この結果、地方債の発行残高は、10月末で540兆にも達した。日本のGDPに匹敵する金額である。年末には561兆円へ達する見込みだ。中央政府も財政赤字が膨らんでいる
『大紀元』(11月24日付)は、「中国の地方債 10月残高540兆円 史上最高」と題する記事を掲載した。
(1)「中国財政部(財務省)は23日、地方政府の債券発行量および債務残高を公表した。これによると、10月までの地方政府の債務残高は約30兆元(約540兆円)に達し、史上最高となった。財政部の統計によると、1~10月までに発行された地方債は6兆4916億元(約117兆円)で、昨年同期比6%増えた。新規地方債のうち、再融資債の規模は2兆8291億元(約51兆円)で、同75%急増した」
1~10月の地方債発行高は、117兆円(前年比6%増)。うち、借り換え債が51兆円(同75%増)である。借り換え債のウエイトが高まっているのは、地方財源が逼迫化している証拠だ。土地売却収入減によって借り換え債に依存せざるを得なくなっている。
(2)「再融資債(借り換え債)は、満期を迎えた既発債の借り換えや元本償還のために発行されている。1~10月までに新たに発行された地方債の約半分は、経済活動に投入されておらず、古い債務を返済するために発行されたと見受ける。中国メディアなどは、再融資債の拡大が1~10月地方債の増加の主因であると指摘した。地域別でみると、広東省が発行した地方債の規模が最も大きい。5894億元(約11兆円)に達した」
借り換え債発行は、過去に発行された債券返済目的である。それだけ、新規事業へ投入されたことにはならない。要するに、資金繰りをつけるための発行であり、「自転車操業」状態に入っている。
(3)「10月末までの地方政府の債務残高は29兆7000億元にのぼる。中国金融学者の鞏勝利氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、地方政府の「金欠状態」は「前例のないほど深刻化している」と指摘した。同氏は地方政府の債務残高は今年、30兆元を上回る可能性が大きいとした。「中央政府が小康(ややゆとりのある)社会を実現できたと宣言すれば、エネルギー問題や都市建設など、資金を必要とする分野がさらに増えるからだ」と指摘」
下線部のように、地方政府の資金繰りは前例のないほどの「金欠状態」である。不動産バブルのストップで、さらなる地価値上り状況でなくなった。今年の地方債発行残高は30兆元(約561兆円)になると予想されている。
(4)「鞏氏によると、中国国内に使われている電力の72%は火力発電に頼っている。「他の自然エネルギーへの転換は大きな事業である。一次エネルギーの多くは海外からの輸入に依存している。資金がなく、地方債などを発行しなければ、一次エネルギーを得られないので、中国当局にとって大きな難題である」と同氏は述べた。金融学者の陳有成氏は、中国不動産企業の過剰債務問題が深刻化しているため、地方政府の財政は過去のように「不動産市場や土地収入に頼れなくなった」とした。地方債発行は、地方政府にとって「(財源確保の)唯一の方法になっている」と陳氏は述べた」
「一次エネルギー」とは、加工されない状態で供給されるエネルギーで、石油、石炭、原子力、天然ガス、水力、地熱、太陽熱などを指す。中国の石炭は品質が悪い(二炭化炭素が多い)ので、輸入に頼らざるを得ない。こうして地方政府は、石油、石炭、天然ガスを輸入しなければならないのだ。一方では、インフラ投資の責任も持たされるという重荷を負わされている。それだけに、土地売却収入減は地方政府にとって最大の問題である。
地方政府だけが火の車であるわけでない。中央政府の財政赤字も急拡大する見込みである。それによると、2025年には10兆元(約170兆円)を突破し、21年の2.3倍になる見通しだ。税収の伸びが鈍るほか、22年から中国版「団塊世代」の大量退職も始まり、年金や医療の給付が増える。健全とされてきた財政の急速な悪化は中国経済の新たな火種になる。
以上の見通しは9月27日、政府系シンクタンクである中国財政科学研究院が発表したもの。過去の税収や財政支出、将来の経済成長率見通しをもとにはじいた。増減税や制度改革の影響は盛り込んでいない。中央政府の財政も悪化の一途である。地方政府の困窮ぶりを助ける余地はなさそうだ。不動産バブルが支えてきた中国経済は、米国と覇権争いできるゆとりは一段と消えて行くであろう。





