米国は、中国とのオンライン首脳会談後、畳みかけるように台湾をめぐって「接近戦」を展開している。中国が抱いている「米国衰退論」を打ち砕くようにパンチを繰り出しているのだ。「米国を舐めるなよ」と、言い聞かせるような動きである。
欧州も、台湾の民主主義防衛へ協力姿勢を強めている。12月中旬発足予定のドイツ新政権は、メルケル氏の「親中政策」を離れて、「台湾接近」姿勢を強めている。EU(欧州連合)が、半導体強化に動いており、台湾を取り込もうという戦略が見え見えである。
米国は、こういう欧州の動きを見ながら協力して、台湾防衛を強化して中国に台湾侵攻を諦めさせる意図を明らかにしている。
バイデン米政権は、12月9~10日、初の「民主主義サミット」をネット経由で開催する。この民主主義国家を集めて開催するバーチャル会合へ、台湾を招待したのである。中国は、外交的に台湾を孤立させようと圧力をかけていることへ対抗する動きである。米国は、民主的な100カ国・地域以上の政府が招待しており、中国やロシアなど専制主義的な国家の首脳は除外した。バイデン政権は、この場へ台湾を招くことで、国際会議に台湾を参加させる取り組みを広げるとともに、中国の脅しに対抗する「橋頭堡」として、台湾の地位を高める狙いがある。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月25日付)は、このように分析している。
『中央日報』(11月26日付)は、「再び訪台した米議員団『到着映像も公開』、中国『また挑発』激昂」と題する記事を掲載した。
米中首脳間のオンライン会談が行われてから10日後、米下院議員が再び台湾を訪問した。中国は「挑発」としながら強力に反発している。米議員団の訪問は今月10日に続いて今月に入って2回目となる。
(1)「台湾中央通信は、米下院在郷軍人委員会のマーク・タカノ委員長のほか民主党・共和党の下院議員5人や議会補佐官ら17人が25日午後10時10分(現地時間)、米軍C-40C行政専用機を通じて松山空港に到着したと伝えた。これに先立ち、米上・下院議員団が米軍輸送機で台湾を訪れた当時、到着場面を非公開とした台湾当局はこの日、米議員が着陸する場面を外部に公開した。代表団が搭乗したC-40Cはボーイング737機の軍用機バージョンで、米海軍や空軍が主要公務員や物品を輸送するときに使われる専用機だ」
米国の超党派議員団は、11月に二度も訪台して米台関係が密接であることを示した。米国が、米中首脳会談後に強い姿勢へ転じているのは、米国による「台湾防衛」への本気度を示している。台湾だけでなく、ASEAN(東南アジア諸国連合)へも「逃げない米国」を見せつけているのであろう。久々に見せた「強い米国」再現を意図している。
(2)「彼らは26日午前、台湾在郷軍人会を訪問した後、午後に蔡英文総統と台湾国防長官と相次いで会談する予定だ。台湾外務部は、議員団到着直後に出した声明で、「米下院議員の訪問は米議会の超党派的で堅固な台湾-米国関係の支持を示すもの」としながら「今回の訪問を通じて台湾と米国議会の間の深い友情を一層深化できると信じている」と歓迎した。台湾総統部の張惇涵報道官も「これら議員団は台湾の世界保健機関(WHO)オブザーバー資格の回復を支持する法案に署名するなど台湾の国際参加を積極的に支援している」とし、「台湾と米国の関係と地域の安全保障問題に対する深みのある交流を望む」と明らかにした」
米国の台湾への肩入れは、国際機関への台湾復帰のテコにすることと、中国による台湾と国交を結んでいる国々への圧力を取り除く狙いもある。中国は、世界での台湾の存在を消したいと願っている。そのため先ず、台湾と国交断絶させる工作を展開している。資金供与などの「買収戦術」を使って、相手国を籠絡させる汚い手である。
(3)「相次ぐ米議員団の訪問に対して、中国メディアは朝から「また挑発」という見出しの報道を相次いで流して激昂した反応を見せている。中華網は、「米国の政治家が台湾問題に荒々しく介入して衝突を起こしている」とし「今後は恐ろしくないのか」と非難した。米中のオンライン会談でバイデン大統領は「一つの中国」政策を支持するという原則的な立場を明らかにしたが、台湾を巡る米中の対立は悪化の一途をたどっている」
中国は従来、米国機が台湾へ着陸したら、「何が起こるか分からない」と威嚇し続けてきた。現実には、何の威嚇行為もせずに口頭非難に止まっている。万一、軍事行動を取れば何が起こるか。中国も軽率な真似はできないのだ。米国は、こういう瀬踏みを続けながら米台関係強化に踏み出している。
(4)「米国務省は前日、12月9~10日に米国主導で開かれる「民主主義サミット」の公式招待名簿を公開し、この中に台湾を含めた。これに対して中国外交部の王毅部長は24日、「民主主義という旗を掲げて世界の分裂を策動している」と激しく非難した。中国外交部の趙立堅報道官も「台湾独立勢力とともに火遊びすれば自らの身を焼くことにつながる」と再度警告した」
このパラグラフに見られるように、中国は「口先非難」に止まっている。
(5)「11月23日には米国・台湾間の経済繁栄パートナーシップ対話(EPPD)が開かれた。半導体など産業体サプライチェーンに対する協力と、中国圧迫に対する共同対応を約束している。米国はこの日、米第7艦隊所属の誘導ミサイル駆逐艦「USSミリアス」(DDG‐69)を台湾海峡に通過させた」
米国はこの日、米第7艦隊所属の誘導ミサイル駆逐艦「USSミリアス」(DDG‐69)を台湾海峡に通過させて、万一に備える用心深さを見せた。役者は、米国が何枚も上である。世界覇権国としての貫禄を見せているのだ。





