勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年11月

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    米国は、中国とのオンライン首脳会談後、畳みかけるように台湾をめぐって「接近戦」を展開している。中国が抱いている「米国衰退論」を打ち砕くようにパンチを繰り出しているのだ。「米国を舐めるなよ」と、言い聞かせるような動きである。

     

    欧州も、台湾の民主主義防衛へ協力姿勢を強めている。12月中旬発足予定のドイツ新政権は、メルケル氏の「親中政策」を離れて、「台湾接近」姿勢を強めている。EU(欧州連合)が、半導体強化に動いており、台湾を取り込もうという戦略が見え見えである。

     

    米国は、こういう欧州の動きを見ながら協力して、台湾防衛を強化して中国に台湾侵攻を諦めさせる意図を明らかにしている。

     


    バイデン米政権は、12月9~10日、初の「民主主義サミット」をネット経由で開催する。この民主主義国家を集めて開催するバーチャル会合へ、台湾を招待したのである。中国は、外交的に台湾を孤立させようと圧力をかけていることへ対抗する動きである。米国は、民主的な100カ国・地域以上の政府が招待しており、中国やロシアなど専制主義的な国家の首脳は除外した。バイデン政権は、この場へ台湾を招くことで、国際会議に台湾を参加させる取り組みを広げるとともに、中国の脅しに対抗する「橋頭堡」として、台湾の地位を高める狙いがある。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月25日付)は、このように分析している。

     

    『中央日報』(11月26日付)は、「再び訪台した米議員団『到着映像も公開』、中国『また挑発』激昂」と題する記事を掲載した。

     

    米中首脳間のオンライン会談が行われてから10日後、米下院議員が再び台湾を訪問した。中国は「挑発」としながら強力に反発している。米議員団の訪問は今月10日に続いて今月に入って2回目となる。

     

    (1)「台湾中央通信は、米下院在郷軍人委員会のマーク・タカノ委員長のほか民主党・共和党の下院議員5人や議会補佐官ら17人が25日午後10時10分(現地時間)、米軍C-40C行政専用機を通じて松山空港に到着したと伝えた。これに先立ち、米上・下院議員団が米軍輸送機で台湾を訪れた当時、到着場面を非公開とした台湾当局はこの日、米議員が着陸する場面を外部に公開した。代表団が搭乗したC-40Cはボーイング737機の軍用機バージョンで、米海軍や空軍が主要公務員や物品を輸送するときに使われる専用機だ」

     


    米国の超党派議員団は、11月に二度も訪台して米台関係が密接であることを示した。米国が、米中首脳会談後に強い姿勢へ転じているのは、米国による「台湾防衛」への本気度を示している。台湾だけでなく、ASEAN(東南アジア諸国連合)へも「逃げない米国」を見せつけているのであろう。久々に見せた「強い米国」再現を意図している。

     

    (2)「彼らは26日午前、台湾在郷軍人会を訪問した後、午後に蔡英文総統と台湾国防長官と相次いで会談する予定だ。台湾外務部は、議員団到着直後に出した声明で、「米下院議員の訪問は米議会の超党派的で堅固な台湾-米国関係の支持を示すもの」としながら「今回の訪問を通じて台湾と米国議会の間の深い友情を一層深化できると信じている」と歓迎した。台湾総統部の張惇涵報道官も「これら議員団は台湾の世界保健機関(WHO)オブザーバー資格の回復を支持する法案に署名するなど台湾の国際参加を積極的に支援している」とし、「台湾と米国の関係と地域の安全保障問題に対する深みのある交流を望む」と明らかにした」

     

    米国の台湾への肩入れは、国際機関への台湾復帰のテコにすることと、中国による台湾と国交を結んでいる国々への圧力を取り除く狙いもある。中国は、世界での台湾の存在を消したいと願っている。そのため先ず、台湾と国交断絶させる工作を展開している。資金供与などの「買収戦術」を使って、相手国を籠絡させる汚い手である。

     


    (3)「相次ぐ米議員団の訪問に対して、中国メディアは朝から「また挑発」という見出しの報道を相次いで流して激昂した反応を見せている。中華網は、「米国の政治家が台湾問題に荒々しく介入して衝突を起こしている」とし「今後は恐ろしくないのか」と非難した。米中のオンライン会談でバイデン大統領は「一つの中国」政策を支持するという原則的な立場を明らかにしたが、台湾を巡る米中の対立は悪化の一途をたどっている」

     

    中国は従来、米国機が台湾へ着陸したら、「何が起こるか分からない」と威嚇し続けてきた。現実には、何の威嚇行為もせずに口頭非難に止まっている。万一、軍事行動を取れば何が起こるか。中国も軽率な真似はできないのだ。米国は、こういう瀬踏みを続けながら米台関係強化に踏み出している。

     

    (4)「米国務省は前日、12月9~10日に米国主導で開かれる「民主主義サミット」の公式招待名簿を公開し、この中に台湾を含めた。これに対して中国外交部の王毅部長は24日、「民主主義という旗を掲げて世界の分裂を策動している」と激しく非難した。中国外交部の趙立堅報道官も「台湾独立勢力とともに火遊びすれば自らの身を焼くことにつながる」と再度警告した」

     

    このパラグラフに見られるように、中国は「口先非難」に止まっている。

     

    (5)「11月23日には米国・台湾間の経済繁栄パートナーシップ対話(EPPD)が開かれた。半導体など産業体サプライチェーンに対する協力と、中国圧迫に対する共同対応を約束している。米国はこの日、米第7艦隊所属の誘導ミサイル駆逐艦「USSミリアス」(DDG‐69)を台湾海峡に通過させた

     

    米国はこの日、米第7艦隊所属の誘導ミサイル駆逐艦「USSミリアス」(DDG‐69)を台湾海峡に通過させて、万一に備える用心深さを見せた。役者は、米国が何枚も上である。世界覇権国としての貫禄を見せているのだ。

    テイカカズラ
       

    ドイツは、12月上旬にも新政権が発足する。環境と人権を重んじ、理想主義がにじむ左派リベラル政権である。気候変動対策で欧州をけん引すると意気込み、中国やロシアには人権で注文をつける姿勢である。北京冬季五輪への外交ボイコットに追随する可能性が出てきた。メルケル氏の「親中政策」には、大きな修正が加えられる。

     

    9月の総選挙で第1党になった中道左派・ドイツ社会民主党(SPD)と環境政党の緑の党、中道リベラルの自由民主党(FDP)の3党が24日、政権樹立で合意した。外相は、緑の党から出るとみられている。緑の党は、これまで中国に対して厳しい姿勢で臨んでいる。

     


    『ハンギョレ新聞』(11月26日付)は、「『中国は…』ドイツ連立政権の合意文に10回登場、対中政策変わるか」と題する記事を掲載した。

     

    ドイツでいわゆる「信号連立」政権樹立の交渉が終わり、ドイツの対中国政策の変化の可能性が強まったという指摘が出てきた。

     

    (1)「香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は25日、「社会民主党のオラフ・ショルツ代表が、緑の党および自由民主党との連立政権の樹立に合意した。これまで対中国強硬論を主張してきた政治家の相当数が内閣に参加することになるものとみられる」と報じた。特に同紙は「連立政権樹立の合意文には、中国に対する言及が10回ほど登場するが、新疆ウイグルでの人権弾圧問題と香港の基本権蹂躪、台湾状況などについての言及も含まれている」と報じた。いずれも、中国側が「内政」と規定し、外部からの介入に強く反発している内容だ」

     

    これまで、対中国強硬論を主張してきた政治家の多くが、入閣する見込みという。これは、中国にとって、極めて好ましくない現象である。ドイツ新政権が、ここまで対中政策を変えるのは、ドイツ国内の事情だけでなく、欧州全体の対中観の変化を示している。それは、同時に台湾への接近である。

     

    民主主義の友邦である台湾を支えることが、政治的にも経済的にも利益になるという判断が生まれてきたことと無縁でない。これが、台湾海峡の現状を守り平和を保つことにも役立つと考えるようになってきた現実を反映している。中国は、台湾にも欧州にも攻撃的な姿勢を強めているが、これにひるまず中国へ剛速球を投げ返す姿勢だ。10月には欧州議会が、台湾との関係を強化し「包括的かつ強化されたパートナーシップ」の確立を求める決議を採択しているほどだ。

     


    (2)「実際、合意文では「欧州連合(EU)レベルでの単一の対中国政策の一部分として、ドイツは民主的な台湾が国際機関に実質的に参加することを支持する」とし、「新疆ウイグル自治区の問題を含む中国の人権弾圧に対してより明確に発言し、香港の一国二制度(一つの国家に二つの体制)の原則が復旧されるよう促す」と強調している」

     

    合意文書では、新疆ウイグル自治区の問題や香港の一国二制度の原則復旧が取り上げられている。中国としては、とても応じられない内容だ。ドイツも中国も、ともに妥協できなければ対立するしかない。中国にとって、「親中のドイツ」が反中に転じる事態は、余りにも打撃の大きい変化である。

     

    (3)「次期政権の内閣のメンバーも、ドイツの対中国政策に変化が生じることを予告している。外相として有力視される緑の党のアンナレーナ・ベアボック代表は、「価値に基づく外交」を強調し、中国の人権問題について批判的な発言を続けていたことがある。財務相を担当するとみられる自由民主党のクリスティアン・リントナー代表も、前任のアンゲラ・メルケル首相の政権での穏健で合理的な対中国政策を攻撃していた」

     

    ドイツ新政権は、中国に対して厳しい要求を出すことは確実と見られる。これに対して、中国は当然、強くはね返すであろう。その結末は、北京五輪への外交ボイコットである。すでに、米英が「検討中」となっている。検討中とは、外交ボイコットへ踏み切る前提であろう。米英が踏み切れば、ドイツも追随する可能性が強まるであろう。

     


    (4)「『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は専門家の言葉を引用し、「合意文に出てきた中国関連の表現は、ドイツ政府がこれまで使ってきた表現よりはるかに強力であり、習近平主席の統治下の中国の方向性に対するドイツ内の懸念が強まっているという点を反映したものとみられる」とし、「中国側が越えてはならない線だと規定した問題まで取り上げたことは、今後、これらの問題について、さらに公開の場で対応するつもりだということを示したもの」だと報じた」

     

    中国の示すレッドラインへ、欧州もドイツも挑戦して一歩も引かない姿勢を取っている。かつて欧州は経済的利益優先で、中国の人権問題へ目を瞑ってきた。その中国経済が落ち目になっている。「金の切れ目が縁の切れ目」は、古今東西の外交政策において現実のようである。

    あじさいのたまご
       


    中国は、米中デカップリングによって壁が作られつつある中で、TPP(環太平洋経済連携協定)への加盟実現に力を入れている。11月12日閉幕した、日米中や台湾など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)は、TPP加盟国がすべて揃う場所でもある。中国と台湾は、TPP加盟を申請しており、双方が支持を訴える場となった。TPPへの新規加盟には、既存加盟国による全会一致の承認が必要である。それだけに、中台双方にとってTPP加盟に向けてアピールする好機となったもの。

     

    この席で、岸田首相はTPPについて「不公正な貿易慣行や経済的威圧とは相いれない21世紀型のルールを規定する協定だ」と強調した。TPPに加盟申請した中国について、やんわりと「拒否」回答を行なった形だ。中国は、不公正な貿易慣行や経済的威圧を行なう常習犯的な国家である。

     

    『大紀元』(11月24日付)は、「豪首相、経済的脅迫行なう国はCPTPP加盟条件満たさず 中国念頭に」と題する記事を掲載した。

     

    豪州スコット・モリソン首相は11月22日、首都キャンベラで行われた記者会見で、中国を念頭に、貿易相手国に対して経済的脅迫を行う国は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の加盟条件を満たしていないと強調した。

     

    (1)「モリソン首相は、CPTPPの加盟条件は非常に厳しい。新規申請国は(これらの条件を)満たす必要がある。他の貿易相手国を脅かしたという記録が残らないことが重要だ」と述べている。モリソン氏はまた、この問題に関して日本の岸田文雄首相と緊密に協力していると述べた。岸田首相は、12日に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議で、CPTPPは不公正な貿易慣行や経済的強制を容認しないと警告した」

     

    豪州は、9月に米英豪三ヶ国で「AUKUS」なる名称の軍事同盟を結んだ。米英からの技術導入によって最新型攻撃原潜8隻の建艦計画を発表している。中国からの経済制裁に対して、軍事対抗する狙いである。これだけ、険悪な関係になりながら、平静を装ってTPPへ加盟したいという中国の神経は理解を超えている。中国は、まず経済制裁を解くことが先決であろう。

     


    (2)「中国は、豪州にとって最大の貿易相手国である。昨年4月、政府がウイルスの発生源について独立調査を求めたことを受けて、中国政府は年間200億ドル(約1兆7000億円)以上に相当する豪州の輸出品に対する貿易報復を開始した。貿易制裁の対象となったのは、牛肉、大麦、石炭、綿花、銅、水産物、砂糖、木材、ワインなど、幅広い豪州製品である。制裁措置としては、豪州製品への高額な関税、輸入停止、通関遅延などがある」

     

    豪州と中国の間は、2016年から悪化傾向が見られた。特に、豪州政府が2020年4月、新型コロナの起源についての独立調査を求めたことで、中国が激しく反発し急速に対立の度を深めた。中国は、経済制裁によって豪州を意のままに動かそうとしたに違いない。だが、「AUKUS」結成によって、事態は全く異なる方向へ発展。もはや、両国の修復は不可能になった。中国の「戦狼外交」が招いた外交破綻である。豪州による、中国のTPP加盟阻止は、報復外交の一環であろう。

     

    (3)「CPTTPへの加入には、全加盟国の同意が必要である。中国政府がCPTTPへの加入申請を発表した2日後の9月18日、豪州のダン・ティーハン貿易相は、中国の加盟に反対する姿勢を明確にし、中国当局にその旨を伝えた」

     

    豪州は、すでに中国へTPP加盟反対を伝えてあるという。TPP加盟では、一ヶ国でも反対があれば実現不可能である。日本も反対意向であるから、中国のTPP加盟不可は決定的である。中国は、それでも粘っているのは、台湾加盟を阻止すべく各国へ根回しするのであろう。この中国の働きかけを、どこの国が受入れるか。それが、これから浮き彫りになってくる。興味の焦点は、そちらへ移るだろう。

     

    サンシュコ
       

    韓国が、「ウィズコロナ」に踏み切ったのは11月1日からだ。一ヶ月も経たないうちに重大危機に落込んでいる。重症患者の激増で、病床が限界に達している。こうした失敗は、なぜ起こったのか。その裏には、日本への対抗がチラチラしているのだ。無理に、「ウィズコロナ」を実施して、「K防疫モデル」を誇示したかったのであろう。

     

    日本の防疫対策は、最初からクラスター発生予防に重点を置いた。韓国や中国は、全数調査である。防疫対策では、全数調査が政治的なもので「愚策」とされている。私は、防疫対策の素人である。だが、内外の防疫専門家は当初からこのように主張していた。今、韓国で指摘されているのは、日本の防疫対策がセオリー通りであることだ。韓国は、誤った政治臭の強い全数調査を反省すべきで、日本式防疫対策を学べというのである。

     

    『中央日報』(11月25日付)は、「韓国慶北医大教授『日本の感染者数急減K防疫の致命的誤り見せる』」と題する記事を掲載した。

     

    最近、日本で新型コロナウイルスの感染者数が急減しておりその理由に関心が集まっている。まだ正確な理由は明らかになっていない中、韓国の予防医学専門家が「日本の感染者急減は『K防疫』の致命的な誤りを見せる事例」と主張した。慶北(キョンブク)大学医学部予防医学科のイ・ドクヒ教授は16日にカカオが運営する一種のブログである「ブランチ」にこうした主張を投稿した。

     

    (1)「日本は11月22日、1日の感染者数としては今年に入って最も少ない50人を記録した。23日には113人と小幅に増加したが24日には再び77人に減った。死亡者もやはり19日が0人、21日が0人、22日が2人、23日が2人などほとんど発生していない。日本の感染者急減に対しては多様な主張が提起されている。日本のワクチン1回目接種率79%、2回目接種率77%を根拠とした「ワクチン効果」、そして「デルタ株自滅説」、検査件数急減説などだ」

     

    日本のコロナ感染者が、急減したことは世界的に注目されている。最も酷い非科学的なものは、検査件数を減らして陽性者の発見を抑えているというもの。この「ウソ情報」が、韓国では相当信じられている。「反日」と絡んでいるのだ。日本の国立遺伝学研究所と新潟大学の共同研究による「デルタ株自滅説」(10月30日発表)が、有力な説と見られる。これに加えて、日本人の清潔好きが、以後の蔓延防止に役立っているのでなかろうか。

     


    (2)「イ教授は、こうした説自体が「韓国の防疫が日本の防疫よりも立派だと信じたがるもの」と批判した。その上で日本の感染者数急減は、「自然感染を防がなかったおかげ」と主張した。イ教授は、「韓国と似たワクチン接種率の日本が韓国と最も違う点は、最初から国が乗り出して防疫という名前で無症状あるいは軽症で終わる自然感染を止めなかったというところにある。日本の感染者急減は、ワクチン接種率が50%に満たない時から始まったが、こうしたことは強力で広範囲な免疫を提供する自然感染の経験を持つ人たちが存在するために可能になることだ。感染者急減は単純にワクチン接種率だけ高めたからと可能ではない」と指摘した」

     

    下線は、重要な指摘である。全数調査で、陽性者を探し出す「ゼロコロナ」は、自然感染を阻止して抗体免疫をつくる環境を壊している。クラスターで感染者を発見して、封じ込めることのほうが免疫学では有効な策と指摘されている。韓国は、この日本方式をどれだけ非難したか。忘れられないほどの悪口雑言の集中であった。

     


    (3)「続けて、「日本のデータねつ造説は(新型コロナウイルス)流行初期から韓国社会を支配してきたフレームだった。そのため昨年3~4月から見られた非常におかしな現象、PCR検査もしないで放置するように見えた日本で新型コロナウイルス死亡がなぜ爆発しないのかに対しだれも質問を投げかけなかった」と主張した。イ教授は、「もし最初から完全に相反する防疫政策を持った韓国と日本が、緊密な共助体制で流行状況を比較分析していたならば、パンデミック状況で防疫とはそれほどすごい役割をするものではないとの事実を早くから看破できただろう」と繰り返し主張した」

     

    下線部は、韓国の全数調査による防疫対策が、日本のクラスター中心の防疫対策によって、その無効性が分かったであろうと指摘している。韓国では、日本がねつ造して感染者数を少なく発表していると宣伝してきた。韓国政府が、意図的にばらまいたウソ情報だろう。

     


    (4)「イ教授は、「日本の感染者数急減は韓国防疫の大前提、すなわち『無症状であっても絶対にかかってはならない感染症』という仮定に致命的な誤りがあることを見せてくれる。(韓国は)矛盾であふれた防疫を2年近く経験している」と指摘した。イ教授は「韓国ではこれまで学習されたウイルスに対する恐怖を受け入れるのが容易でない人たちも多いだろう。K防疫の弊害は、新型コロナウイルスに対して国が先導して誇張された恐怖を助長し、これを防疫の成果として積極的に活用したという点」と述べた」

     

    K防疫は、全数調査によって率先してコロナ恐怖症を強調し、その後の感染者減少を防疫の効果として政治的に利用した。その結果が、昨年4月の総選挙での与党大勝利に繋がった。だが、そのトリック効果がいま消えて、ブーメランを浴びている。韓国の学者は、このように喝破しているのである。

     


    (5)「その上で、「これまで防疫当局は無条件でワクチン接種率さえ高めればすべての問題を解決できるかのように国民を誤って導いてきた。この難局から抜け出すには、ブレイクスルー感染であれ何であれ、自然感染を経験する人が増えなければならない。いまからでも動線追跡する疫学調査と無症状者・軽症患者を対象にしたPCR検査を中止すべき」と付け加えた」

     

    下線部は、日本式防疫対策に転換せよと主張している。「動線追跡する疫学調査」とは、クラスター調査であろう。「無症状者・軽症患者を対象にしたPCR検査中止」とは、本人が異常を訴えてきたらPCR検査することに転換しろというのである。日本では、自主的なPCR検査で2万円掛かるが、保健所検査では無料である。この違いが重要である、のだ。

     

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    口にするのも憚れるような今回の一件で、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が、中国女子テニス選手とテレビ電話を30分してケリを付けようとしている。国際的には、なぜ、バッハ氏が登場したのか訝る声が強い。

     

    だが、やっぱり理由があった。女子テニス選手の相手である中国元副首相は、北京冬季五輪開催の立役者であったという。中国が、懇願してバッハ氏を担ぎ出して、幕引きを狙っているのであろう。

     


    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月25日付)は、「性的暴行疑惑の中国元副首相、五輪準備の立役者」と題する記事を掲載した。

     

    中国の著名テニス選手の彭帥さんと国際オリンピック委員会(IOC)トップが行ったビデオ通話により、性的暴行疑惑の渦中にある中国共産党元幹部に再び注目が集まっている。この元幹部は北京冬季五輪の準備で中心的な役割を果たしていた。

     

    (1)「彭さんのソーシャルメディア公式アカウントからの投稿で性的暴行を受けたと告発された張高麗・元副首相(75)は、共産党最高指導部の一員も務めたが、比較的目立たない存在だった。だが現役時代には影響力のある有能な実務家とみなされ、2022年の北京冬季五輪招致を含め、中国政府の最優先課題の一端を任されていた。張氏は、責任者としてトーマス・バッハ会長をはじめIOC幹部と定期的に連絡を取っていた」

     


    中国政府の発表でも、張氏は運営組織のトップとして、競技場の建設から輸送まで、あらゆる事柄で指示する立場にあると説明されていた。同氏は2018年に後任に任務を引き継いでいる。

     

    (2)「張氏に対する性的暴行疑惑が最初に浮上したのは、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」で彭さんの公式アカウントから投稿があった11月2日。投稿は約20分後に削除された。それ以降、主要ソーシャルメディア上で彭さんの名前を検索することはできない状態になっている。選手仲間やテニス業界の関係者は彭さんと2週間以上連絡が取れず、世界中で彼女の身の安全を懸念する声が上がった。女子テニス協会(WTA)は中国での大会開催見送りも辞さない構えをみせている

     

    IOCは、彭さんと30分のテレビ電話で、「すべて終わった」と形にしたいのは明らか。彭さんに自由があるのか、肝心なことは聞いていないのだ。世界を騒がせた問題だから、早く収束させたいという思惑だけが先行した感じである。WTAは、人権問題として取り上げており、厳しい姿勢を取っている。

     

    (3)「こうした中、IOCのバッハ会長は21日、彭さんとビデオ通話をした。IOCはこれを受けて、無事を確認したとの見解を示している。IOCは、性的暴行疑惑で騒がれていることで、そっとしておいてほしいと彭さんから頼まれたと明らかにした。彭さんは3度の五輪出場経験を持つ。ウェイボーで疑惑が投稿されて以降、自身は疑惑について沈黙を保っている。バッハ氏とのビデオ通話が行われるまで、WTAや関係者は彭さんの安否と居場所を確認しようとしていたが、張氏はほとんど注目されていなかった。ところが、ビデオ通話の直後、2016年に北京で行われた会合でバッハ氏と張氏が握手している写真がソーシャルメディア上で出回ったことで、状況が一変した」

     

    彭さんは、中国政府から軟禁されているのではないかと予測されている。過去の失踪事件と経緯がよく似ているというのだ。相手の元副首相はいま、バッハ氏と握手している写真がSNSに出回っているという。

     


    (4)「IOCのマーク・アダムズ広報部長は「政府や企業、国際組織などの代表と同様、IOCの代表者は定期的に関係各位と会合を開いている。これは周知の事実だ」とコメントした。張氏は副首相の任務の一環として、冬季五輪の運営組織を率いた。副首相の役割には、外国要人らとの会合や金融・産業政策の策定支援などが含まれる。張氏は政府の役職に加え、2012~17年には中国共産党最高指導部の政治局常務委員も務めた。それ以前は彭さんの故郷である天津市の共産党書記だった。

     

    副首相だった張氏は、冬季五輪の運営組織を率いたという。バッハ氏とは、この縁で知り合っているのだ。こうなると、張氏がバッハ氏を担ぎ出してテレビ電話させたと見られよう。

     

    (5)「福建省の貧しい漁村の出身である張氏は、広東省深圳市や山東省の大型製造拠点など重要地域で経済成長やイノベーション(技術革新)を指揮し、党内で昇進していった。国営テレビに無表情で映ることで知られていたが、内情を知る関係者によると、これは過去の交通事故で顔に負ったけがのためだという。だが、張氏とやり取りした経験のある関係者は、裏では冗談をよく飛ばすなどユーモアのセンスにあふれ、表向きの顔とは違う一面をのぞかせていたと話している」

     

    張氏が、福建省出身であることから、習氏の系統であることがすぐ分かる。事実、習氏の強烈な推しによって中央委員会常務委員に上り詰めた人物という。一般には、予想外の人事であった。

     


    (6)「政府関係者らによると、今回の疑惑が党にとって大きなスキャンダルに当たるとは認識されていない。関係者らは今後の行方について予測するのは難しいとしながらも、党が幹部を捜査することはまれで、性的不品行の疑いだけで捜査の対象となることはないと話している

     

    下線のように、金銭の絡む事件でないこと。また、習氏系統であることから、お咎めはないと見られる。人権問題は、中国はフリーなのだ。被害者は、いつも立場の弱い人間である。

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