勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年11月

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    11月24日現在のワクチン接種完了率は全国民の79.1%、18歳以上の成人では91.1%にまで達したが、再び危機状態に陥っている。「ワクチンは効果がないのではないか」という不信論まで広がっている、と『朝鮮日報』(11月25日付)が報じている。

     

    24日、ソウル・セブランス病院の新型コロナ重症者用病床(37床)のうち、空いている病床はたった1床だった。ほかの36床では人工呼吸器などを装着した新型コロナ重症者が治療を受けている。ソウル峨山病院(41床)、ソウル大学病院(38床)、サムスン医療院(31床)、ソウル聖母病院(20床)など、いわゆる「ビッグ5」と呼ばれるほかの病院でも空いている病床は3床(聖母)、 4(峨山)5(サムスン)7(ソウル大学)だけだ。これらの病院にある病床167床のうち、147床(88%)が使用されている。残った20床が埋まるのも時間の問題という。

     


    『朝鮮日報』(11月25日付)は、「韓国の接種率は80%なのに、集団免疫は幻想だった」と題する記事を掲載した。

     

    政府が「集団免疫」の獲得に言及したのはワクチン接種を開始した今年2~3月ごろのことだ。当時流行していた新型コロナウイルスはデルタ変異株より感染力が弱く、ワクチンを大勢の人々が接種すれば、ウイルスの勢いを止めて「集団免疫」獲得効果が期待できた。ところが、感染力が約3倍高いデルタ変異株が入って来たため、こうした計算が外れた。いくらワクチンを大勢の人々が接種しても、デルタ変異株の感染拡大速度に追いつくには力がおよばない状況だ。

     

    (1)「デルタ変異株に対して集団免疫を獲得するには全国民の約83%以上が免疫力を持っていなければならないが、今のワクチンは感染予防効果が60~80%しか出ていな現実を考慮すれば、全国民がワクチンを接種しても集団免疫獲得は容易でないということだ。疾病管理庁の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)庁長が今年9月、「デルタ変異株は感染力が強く、感染遮断効果を下げる面があり、集団免疫獲得は難しいと判断している」と言及したのも、こうした見地によるものだ」

     


    韓国政府は、ワクチン接種率の高さをオリンピックのメダル数争いと同じ感覚で自慢してきた。デルタ変異株という感染力が2.7倍も高い新事態への備えがなかった。その意味で、8月の日本が苦しんでいたケースを分析していなかったのであろう。

     

    (2)「ワクチン接種が本格化するにつれて歓喜していた世界各国が、今では集団免疫よりも被害を最小限にとどめること、すなわち日常生活回復を維持した状態で接種率を引き上げ、ハイリスク群を中心にできるだけワクチンを多くの人々に接種し、重症者や死亡者を減らす方へ方向転換しているのも、このためだ。米CNNは「ワクチンが持つ効果は顕著だが、ワクチンだけで新型コロナを終息させるのは不可能だという教訓を学んでいるところだ」と指摘した

     

    下線部は、重要な指摘である。日本が、マスク着用、手洗い励行という感染下の生活スタイルを続けている実例を知って欲しいものだ。

     


    (3)「国内で感染者と重症者が急増しているのも同じ流れだ。しかも、韓国は今年上半期のワクチン不足で、高齢者層とハイリスク群から先にアストラゼネカ製ワクチンを中心に接種が行われた。同ワクチンは接種後3ヵ月経過すると抗体値が急減することが確認されているが、政府はこれといった後続対策ないまま、接種率70%達成を根拠に「段階的な日常生活の回復(ウィズコロナ)」措置を始めた。だが最近、高齢者層を中心に感染者と重症者が急増すると、遅ればせながら「ブースター接種(追加接種)」を急いでいる」

     

    日本では、アストラゼネカ製ワクチンを製造していたが、効果に疑問があるとして使用しなかった。今になって見れば、厚労省専門家の見方が正しかった。

     

    (4)「一部では「政府は明確な分析もなく不確実な集団免疫効果を強調し、目に見える接種率の数字にばかり集中していた」と指摘する声もある。事実、デルタ変異株が国内でも広がった今年8月、専門家らは「政府は1回目接種率を引き上げようとするのではなく、ハイリスク群や(高齢者など)脆弱(ぜいじゃく)者用施設に対するブースター接種を急ぐべきだ」と勧告した。だが、政府は「秋夕(チュソク=中秋節、今年は9月21日)前までに1回目接種率70%、10月末までに接種完了率70%達成」という「接種率に対する幻想」に振り回され、真に実質的な対策は怠ったとの批判は免れない

     

    韓国政府は、日本を意識して功を焦っていた面は確かである。それが、完全に裏目に出てしまった。すでに、「ウィズコロナ」続行は困難であるが、メンツで継続しているように見える。こうしてみると、気の毒なほど日本を標準にしていることがわかる。国情が異なるのだから、「反日」で煽る無益を覚るべきだろう。

     


    (5)「慶尚南道医師会のマ・サンヒョク感染病対策委員長は、「政府は接種率達成という政治実績を上げることにきゅうきゅうとし、十分な研究や調査をせずに集団免疫を公言した」「『接種率さえ高ければ新型コロナが終息するだろう』という発言が今や不信を膨らます逆効果となっている」と指摘した」

     

    このパラグラフは、正しい指摘である。文政権は、「ラッパ政権」である。何ごとも針小棒大に言って、国民の感情を煽る。後になって、収拾に困るのだ。反日騒動も全く同じスタイルである。

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    米国バイデン政権は、サプライチェーンの米中デカップリング(分離)に全力を挙げている。中でも、半導体企業の米国誘致に積極的である。その「勝利の証」として、サムスン電子が新規ファウンドリー半導体生産ライン建設地としてテキサス州テイラー市を最終選定したと発表した。予想投資規模は170億ドルに達する。

    ホワイトハウスは、ディーズ国家経済会議委員長とサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)名義で、「米国のサプライチェーンを確保することは、バイデン大統領と政権の最優先課題である。サムスンがテキサス州に半導体工場を新たに建てることにした発表を歓迎する」と声明を発表した。こうした共同での声明は異例とされる。



    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月24日付)は、「
    サムスンの米半導体工場、地政学が落とす影」と題する記事を掲載した。

     

    最先端の半導体工場を国内に構えることは各国共通の望みだ。韓国サムスン電子が米国に半導体工場を建設するのは、こうした流れにうまく乗った動きと言える。だが、かつてないほど制約が増えている地政学と先端半導体生産の関係について、サムスンはこの先、交渉術を学ぶ必要があるだろう。世界最大の経済国において、世界で最も重要な業界の技術的覇権を握ることは羨望の的になるが、必ずしも居心地が良いとは言えない。

     

    (1)「サムスンはテキサス州テイラーに170億ドル(約1兆9500億円)を投じてファウンドリー(受託生産)専用の先端半導体工場を建設する。半導体の国内生産増強を目指すバイデン政権にとっては、目標にさらに一歩近づくことになる。サムスンのライバルである台湾積体電路製造(TSMC)もアリゾナ州に120億ドル規模の半導体工場の建設に着手しており、2024年には量産体制が整う見通しだ。米インテルは3月、200億ドルを投じて同じくアリゾナ州に半導体製造工場2カ所を新設すると明らかにしている」

     

    米国は、世界の二大ファンドリーの半導体工場を米国に建設させることに成功した。これで、米国の半導体自給率をぐっと高めて、中国をさらに引離す体制を構築している。むろん、米インテルも最高技術を駆使して、二大ファンドリーと共存体制を組む。米国が半導体の黄金時代を迎えることになった。

     


    (2)「これら巨額の建設費用は、ますます小型化が進む半導体を製造するのに必要な投資額がこれまで以上に膨らんでいるという事情を反映している。TSMCは向こう3年間に半導体工場に1000億ドル余りを投じる計画だ。サムスンは2019~30年の長期計画としてロジック半導体に1430億ドルを投じる方針で、その大半は研究・開発(R&D)に振り向ける」

     

    TSMCやサムスンは、さらなる投資として合計2430億ドルを投じるという。従来の米国から見れば、夢のような話が転がり込んできた形だ。米中デカップリングという戦略目標に沿った動きである。

     

    (3)「とはいえ、その背後では地政学上の問題が重要な鍵を握っている。半導体の製造拠点はアジア地域に集中している。しかも最先端半導体はTSMCとサムスン2強の独壇場だ。トレンドフォースの分析によると、米アップルやエヌビディアを顧客に抱えるTSMCは、4~6月期にファウンドリー事業の市場シェアで半分以上を占めた。第2位のサムスンのシェアは約17%と、首位のTSMCに水をあけられているが、サムスンは自社製品に搭載する半導体を内製している」

     

    米国は、これまでアジアに集中してきた半導体工場を米国へ移させて、地政学的な安全性確保に出ている。米国が、必要とする半導体を米国内で製造できれば、サプライチェーン・ショックを克服できる。それだけでも、中国に対して大きなアドバンテージとなる。

     


    (4)「米中の競争が激化する中、中国の隣国に先端半導体の製造拠点を集中させることはリスクが増している。折しも、新型コロナウイルス禍によって、地理的に偏ったサプライチェーン(供給網)のぜい弱性が改めて浮き彫りとなった。さらに中国も、自国で半導体工場の建設に巨額を投じている。華為技術(ファーウェイ)を巡る一連の騒動は、外国の半導体技術に依存していることを露呈する形となり、中国の国産半導体への決意をなおさら固くした」

     

    中国は、わざわざ米国にデカップリングを決意させる「ヘマ」をしでかした。豪州に攻撃型原子力潜水艦8隻を建艦させる要因も、中国がつくったのである。習近平氏は、自分から敵をつくって包囲網の中へ飛び込んでいる形だ。「戦狼外交」がもたらした、一連の外交的な失敗である。

     

    (5)「半導体技術に熱いラブコールを送る各国政府は手厚い支援で誘致する構えで、その点はメーカーにとっては追い風だ。ただ、厚遇には政府による介入を伴う可能性がある。例えば、TSMCはトランプ前政権の輸出規制によって、ファーウェイを顧客として失った。新たな半導体工場(とりわけ外国資本の工場)への資金支援を有権者に訴えている西側の政治家は、いずれ規制強化を目指すかもしれない。サムスンとTSMCは半導体製造の技術を極めた。今度は緊迫の度を増す先端技術の供給網を巡る地政学という、従来とは異なる3次元チェスを習得する必要がありそうだ」

     

    このパラグラフは、極めて意味深長なことを告げている。サムスンが、米国政府の補助金を受ける以上、米国政府の意図に従わざるを得なくなるという指摘である。サムスンの国籍は韓国でも、今後は米国政府の意向にも従わざるを得なくなろうと示唆しているのだ。サンムンの国籍は、韓国から米国へ移るほどの変化を予想しているのである。

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    ガンは労働分配率の低下

    働きに見合う賃金が必要

    無力化された日本の労組

    日本株の魅力は内部留保

     

    世界のサプライショックによって、世界的な物価上昇が起こっている。その中にあって、日本もエネルギー価格の上昇はあるが、物価水準として均せば「さざ波」程度である。依然として、低物価に変わりない。

     

    欧米の金融当局は、消費者物価上昇に頭を悩ませている。日本では、物価が少しは上がって景気が刺激されれば良いという、「期待感」をのぞかせている。日本経済は全く、別次元をさ迷っているが、低物価だけ突出しているのではない。「低物価・低金利・低成長・低失業」の4点セットになっている。これが特色である。

     


    将来の先進国経済が進むべきひな形が、日本に見られるというイメージもある。だから、このままで良いかと思われるがちだが、そうでないことを指摘したい。日本の労働生産性が低い結果でなく、労働分配率が低い「異常現象」である。労働生産性に見合った賃金でないのだ。こういう事実を認識して、「労働に見合った賃金」を受取り、日本経済を正常化させるべきである。

     

    ガンは労働分配率の低下

    こういう書き方をすると、煽動しているように見えるがそうではない。日本経済に活力をもたらすには、労働に見合った賃金を受取ることで所得が増え消費増につながれば、「万年低物価」という沈滞ムードを打破できる。

     

    1980年代まで、高度経済成長時代の家庭は、すべて「共稼ぎ」でなくても家計を維持できた。それは、年々の賃上げがそれなりに期待できたからである。現在は、共稼ぎが普通である。それでも、住宅を買えば苦しくなる状態だ。むろん、当時とは潜在成長率で天と地もの違いがあるから当然、起こるべきことである。ただ、今の「雀の涙」程度の賃上げでは、日本経済が循環しないのだ。30年前の労働分配率は、現在よりに約10%ポイントは高かったのである。

     


    そこで、せめて生産性上昇に見合った賃上げを行なうべきだ。実は、生産性上昇率に見合った賃上げをしていない結果、企業の内部留保(利益剰余金)は増える一方である。財務省の「法人企業統計」によれば、
    2020年度は過去最高の484兆円に達している。2020年、日本の名目GDPは538兆円である。何と、名目GDPの89.9%にも相当する金額が、内部留保となって眠っているのだ。

     

    むろん、これだけの内部留保があるから、安定した雇用を確保できるというメリットを否定するものではない。大きな経済的なショックが起こっても、従業員を解雇せずに一時的な赤字で凌げる体力をつくっていることを認めなければならない。だが、そういう「保険」のために日々、生活に苦闘している従業員を犠牲にすることは、回り回って自社の業績にも響くという「合成の誤謬」に気付くべきであろう。

     

    先に、「低物価・低金利・低成長・低失業」が4点セットになっていると指摘した。これは、日本的経営の特色を100%表している。日本企業が、名目GDPの約90%にも相当する内部留保を抱えていることの必然的結果だ。誤解ないように指摘したいが、名目GDPはフロー概念であり、内部留保はストック概念である。単なる比較論で言っているだけである。

     


    日本の消費者物価上昇率(前年同月比)は、1993年以来、2008年夏場の2ヶ月をのぞけば、2%を超えたことがない「超安定状態」である。消費者物価が上昇しても、必ず「0%」に引き戻されるほど、このラインが強い吸引力を持っていることが分かる。これには、次に述べるような「メカニズム」が、消費者の中に出来上がっているのでないかと思わせるほどである。

     

    所得上昇率が低いという事情があるものの、「物価上昇は悪」という認識を決定的に刷り込ませてしまっていることだ。過去、消費税率引上げのとたんに景気を冷やしたのは、この「物価上昇は悪」というイメージに逆らったからである。賃上げ率を上まわる消費税引上げは、消費者にとって容認しがたいことなのだろう。現状の低い賃金引上げ率が続くならば、今後の消費税引上げは絶望と見たほうがよい。

     

    政府が将来、消費税引き上げを考えているとしたら、生産性に見合った賃上げルールを確立して実行することが大前提になる。消費税率を引き上げられるほどの体力(賃金引き上げ率)を持つ日本経済へ回復させるには、賃上げルールをどのように確立するかである。

     

    政府が、民間企業の賃上げに干渉することは不可能である。だが、望ましい経済運営に当っては、労働生産性上昇率に見合った賃上げが不可欠である。税制で、その誘導策をいかに設けるかである。政府は、労使の自主交渉を見守りながら適正に誘導する政策手腕が問われる。岸田政権は、労働分配率問題に触れているので、そのルートを早く示すべきである。(つづく)

     

     

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    中国は、米国と同盟国が台湾防衛に乗出していることに焦りを見せている。その見せしめの一環として、台湾独立を支援したと見られる企業に罰金を課すと発表した。早速、罰金第一号企業として、台湾・遠東集団(ファーイースタン・グループ)がヤリ玉に上がった。他国籍の企業にも網を広げるのでないかと懸念されている。

     

    『朝鮮日報』(11月24日付)は、「台湾独立を支持すれば、中国では稼げない」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府は11月22日、中国に投資した台湾の大企業に罰金を科し、「台湾独立を支持すれば、中国でカネを稼ぐことを認めない」と表明した。台湾企業に独立傾向である台湾の民進党政権と手を切るよう公に警告した格好だ。軍需企業を除けば、中国政府が政治的な理由を掲げて企業を制裁するのは前例がなく、中国が維持してきた政経分離の原則を事実上放棄したのではないかとする見方も出ている。中国に投資した韓国など外国企業が同様の被害を受ける懸念も高まっている。

     


    (1)「中国国営新華社通信は22日、上海市、江蘇省など5地域で台湾・遠東集団(ファーイースタン・グループ)集団が投資した化学繊維、セメント企業を調査し、罰金を科すとともに、遊休賃貸用地を回収したと報じた。環境保護、土地利用、従業員の保健、生産安全、消防、納税、商品の品質などほぼ全ての分野で問題が発見されたという。中国政府で台湾事務を担当する中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の朱鳳蓮報道官は、「我々は台湾企業が大陸に投資することを歓迎し、企業の合法的権益を保護するが、台湾独立を支持し、両岸(中台)関係を破壊する者が大陸でカネを稼ぐこと、飯を食べて釜を壊すことを絶対に認めない」と述べた」

     

    遠東集団は1937年に上海で設立され、49年に台湾に移転した。石油化学、繊維、セメントを主力とし、通信、海運事業も展開している。年商は7200億台湾元(約2兆9900億円)に上る。中国にも大規模投資を行い、グループのウェブサイトによると、100社近いグループ企業のうち28社が中国本土にある。

     

    中国は、年商ざっと3兆円規模の企業を手玉に取ろうとしている。難癖を付けて、絞り取ろうという戦術か。

     


    (2)「さらに、「台湾企業は是非をはっきりさせ、台湾独立勢力と明確に一線を画すべきだ」と述べた。中国当局は蔡英文総統が率いる台湾・民進党政権を台湾独立勢力と規定している。人民日報系の環球時報は台湾政府の発表を引用し、遠東集団は2020年の台湾立法委員選挙で民進党候補47人に5800万台湾元(約2億4000万円)を寄付したと報じた」

     

    後述のように、国民党への寄付ならば認めるが、中国政府に敵対する民進党候補者への寄付はまかり成らぬという姿勢である。

     

    (3)「遠東集団は同日、今年4~6月に中国当局から総額8862万元(約16億円)の罰金処分を受けたが、経営に支障はないと説明した。一方、台湾の財界団体・中華民国工商協進会の林伯豊理事長も「個別のケースだ」として慎重な立場を示した。台湾メディアは遠東集団が民進党候補だけでなく、国民党の候補14人にも寄付した点を挙げながら、「遠東集団は最近悪化した両岸関係の犠牲になった」と評した。李徳維立法委員(国民党)は台湾紙・聯合報の取材に対し、「中国当局は違法事実があれば明確に説明すべきだ。ビジネスはビジネスであって、他の要素が介入する可能性をなるべく抑えるべきだ」と指摘した」

     

    下線によれば、遠東集団は民進党候補だけでなく国民党候補にも寄付しているという。中国の罰金は、完全な言いがかりと言える。それだけ、米台関係の接近に焦っている証拠であろう。

     


    (4)「これまで中国当局は台湾企業の投資を受け入れるため、政治と経済を分離してきた。習近平国家主席は1999年、台湾と近い福建省の省長に昇進した直後、台湾の企業経営者に「両岸関係にどんなことが起きても、省政府は法律に従い、台湾企業の正当な利益を保護する」と述べた。当時の李登輝元台湾総統が中国と台湾を「国と国の関係」とみなすべきだとする「二国論」を唱え、中国に投資した台湾企業の懸念が高まっていたタイミングだった」

     

    習氏は、福建省の省長に昇進した直後、台湾企業の投資を歓迎する姿勢を明確にしていた。中国経済がまだ成長路線に乗っていない時期である。この当時は、まだ頭が低かった。

     

    (5)「ところが、中国の国力が高まり、中国当局は台湾など核心的利益、自国の発展利益を強調し、それに逆らう外国企業に対する不買運動を助長するなど、さまざまな名目で圧力を加えている。2016年に韓米両国の合意に基づき、ロッテグループが韓国・慶尚北道星州郡に保有するゴルフ場に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を決めると、中国はそれに反発し、ロッテ系列企業に報復措置を取った。当時も中国政府は表面的には建築許可、衛生問題、自発的な不買運動などを理由に挙げたが、今回の遠東集団のケースを見て分かるように、今後は政治的な理由を掲げる可能性もある。中国に投資した外国企業に「台湾独立反対」の立場を表明するよう求めたり、米国主導のサプライチェーン同盟に加わらないように要求するのではないかとの懸念も出ている」

     

    今の習氏は、すっかりふんぞり返っている。台湾企業に罰金を課すという変わり方である。台湾を踏み絵にして、いろいろと難題を吹っ掛けてきそうである。

     


    韓国企業も、韓国政府の「二股外交」に乗せられていると大変なことになろう。早く意を決し、二股を清算すべきだろう。当の中国が、二股を認めなくなるからだ。

     

    (6)「中国に投資した企業経営者は、「過去の中国共産党幹部にとっては投資誘致が最優先課題だったが、今は多少損をしても核心的利益を鮮明に表明することが重要になったようだ。半導体などを巡り、米中が本格的に競争すれば、中国が自身の『発展利益』を掲げ、米国に協力的な外国企業に対し、直接、間接的に制裁を加えないという保障はない」と指摘した」

     

    中国が、本性を現して来たのだ。「ニーハオ」という昔の甘い声にすがっていると、大変な損害を被る時代になってきた。中国が、柄にもなく米国覇権へ挑戦するという夢を持ったことが、こうした傲慢な事態を引き起している。韓国は、目を覚ますべきである。

     

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    韓国の金富謙(キム・ブギョム)首相は24日、新型コロナウイルスへの対応を話し合う中央災難(災害)安全対策本部の会議で、新型コロナの感染者が増加していることについて、「状況が予想より深刻」とし、「首都圏だけをみるとすぐにでも非常計画の発動を検討しなければならない状況」との認識を示した。

     

    23日に新たに確認された新型コロナ感染者数は、同日午後9時時点で3573人となり、過去最多だった18日発表の3292人を超えた。金首相は「何より重症者の病床など首都圏の医療対応余力を回復させることが急務」とした上で、「在宅治療の活性化も当面の課題だ」と述べ、在宅治療の支援策を補完するよう指示した。

     

    以上は、『聯合ニュース』(11月24日付)の報道であるが、次のような非常計画の発動を検討す動きを見せている。

     


    「ウィズコロナ」開始は、11月1日からである。すでに4週間目で、ソウルの新規新型コロナウイルス感染者が最多を記録している。これまで行われていた「ソウシャルディスタンス」(社会的距離確保水準)に戻ることはできなくても、接種完了・陰性確認制度の「防疫パス」の適用対象を広げ、食堂やカフェの未接種者受け入れ人員を4人に縮小することなどが検討対象に上がっているという。

    『中央日報』(11月24日付)は、「ソウルの新型コロナ感染最多を記録…『未接種者4人までの会合』縮小を検討」と題する記事を掲載した。


    中央災害安全対策本部などが23日に明らかにしたところによると、韓国政府は25日に新型コロナウイルス日常回復支援委員会第4回会議を開き、防疫パス適用基準などを議論する。

     

    (1)「防疫パスをカラオケとネットカフェなど18歳以下の児童・青少年が多く利用する施設に新規適用し、対象者も青少年に拡大することを検討中だ。日常回復支援委員会関係者は「防疫パスを強化し、食堂やカフェ、塾などに通う時も必ず持参するようにしようという意見がある」と話した。これを通じて自律にまかせた満12~17歳の接種をもう少し強く押し進める可能性がある」

     


    若者対策に力を入れるという。防疫パス強化とワクチン接種の推進である。だが、即効性は薄い。緊急にやるべきことは、「ウィズコロナ」の中断であろう。社会的活動規制をできるだけ避け、「政府も対策をしている」というポーズを取っている感じが強い。人流を減らすことが先決である。

     

    日本への対抗で、それができないのであろう。韓国国民から、日本は見事に成功しているのに韓国はできないのか、という非難がすぐに上がるはずだ。日頃から、反日を煽ってきた手前、動きが取れない事態である。

     

    韓国の「ウィズコロナ」は緩和しすぎたという判定が、すでに英国から出ていたのだ。その結果を見ておきたい。

     


    『中央日報』(11月12日付)は、「『ウィズコロナ』一気に緩和しすぎたか…英国『韓国の防疫強度、G20で最低水準』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府が推進している段階的日常回復(ウィズコロナ)が過度に防疫基準を低くしたという主張が出ている。韓国の防疫強度が主要20カ国・地域(G20)のうち厳格度指数で最下位水準という海外の研究結果が発表されながらだ。

    (2)「11月11日(現地時間)、英国オックスフォード大学が発表した新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)厳格度指数をみると、韓国は100点満点中39.35点だ(11月8日集計)。G20のうち韓国より低いのはメキシコ(35.19点)・スロベニア(36.11点)だけだ。厳格度指数は各国の新型コロナ対応水準を分析したものだ。集会人員や大衆利用施設営業など9つの分野の防疫措置を評価している。点数が高いほど防疫度が高いということを意味する。韓国の指数はウィズコロナ施行後8点ほど落ちた。漸進的なウィズコロナを施行中のシンガポール(44.44点)や防疫措置をほぼ解除した英国(41.20点)と比較すると韓国の防疫レベルが一瞬で落ちたという分析だ

     

    下線のように、韓国の防疫レベルは11月1日からガクンと落ちている。「K防疫モデル」の名に恥じることで、政治的配慮が優先された結果であろう。大統領選挙への影響と日本との比較論が登場することを避けたと見られる。「ウィズコロナ」への動機が不純である。

     


    (3)「韓国防疫当局は11月1日から首都圏10人、非首都圏12人まで私的な集まりを許容している。レストランやカフェは24時間営業することができる。遊興施設は夜12時まで運営する代わりに防疫パス(接種証明・陰性確認制)を適用中だ。だが、シンガポールは3カ月前に新型コロナ対応体制を切り替えたが、接種完了者に限って飲食店の利用を許容している。未接種者は24時間以内に遺伝子増幅(PCR)陰性確認書を提出しないと飲食店を利用できないほど防疫が今も厳しい。ウィズコロナ施行後、防疫パスを解除したデンマークは8日に防疫パスの再導入方針を出した」

     

    下線のように、大胆な「ウィズコロナ」であった。これでは事実上、「コロナ終息」宣言のようなものだ。政権・与党の不人気を挽回する意図が見え見えである。

     

    (4)「韓国は、2年近く続いた社会的距離の確保で大きな被害を受けた自営業者および小商工人の困難を考慮して日常回復後は防疫規則を大幅に緩和した側面がある。だが、今年冬に少なくとも5000人、多くて2万人が一日に発生する可能性があるという警告が出ているだけに緊張しなければならないという声が高まりそうだ

    韓国では、これから大波の「第6波」が予想されている。その矢先に大胆な「ウィズコロナ」へ踏み切ったのである。

     


    我が日本はどうか。『毎日新聞』(11月23日付)によると、名古屋工業大学の平田晃正教授(医用工学)チームが、ワクチンの効果や過去の流行の周期、国内の大型休暇の日程などをAIに学習させてシミュレーションした結果、東京の場合、年末から感染者が増え始めるが来年1月中旬のピーク時でも一日感染者は370人程度と予測した。

     

    平田教授は、マスクの着用など感染対策を続けることが前提だが、ワクチン接種の効果が大きいので、今冬の第6波は東京だけでなく、全国的にも第5波の5分の1~10分の1に抑えられるだろうとしている。

     

    以上は、『中央日報』(11月24日付)からの転載である。韓国メディアの羨望が感じられるのだ。



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