日本政府は、来年2月の北京冬季五輪へ政府高官の派遣を見送った。代わりに、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長らが出席すると発表した。日本が、「外交ボイコット」という言葉を使わなかったことで、中国のメンツも立つ格好だ。日本は米国と中国の双方へメッセージを送る形になった。
『日本経済新聞 電子版』(12月24日付)は、「中国、橋本会長らの出席『歓迎』、北京冬季五輪」と題する記事を掲載した。
(1)「来年2月に開催する北京冬季五輪に東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長らが出席することについて、中国外務省の趙立堅副報道局長は24日の記者会見で「歓迎する」と表明した。そのうえで「スポーツを政治問題にしないという約束を実行するよう促す」と注文をつけた。日本政府が「外交ボイコット」との表現を使わなかったことを評価しているとみられる。習近平(シー・ジンピン)指導部は日本が「外交ボイコット」を表明し、東南アジアや欧州などにも影響が広がる事態を懸念していた」
日本は、「外交ボイコット」なる言葉は使わず、政府高官の派遣を見送った。これは、中国の受けるダメージを最小限に抑えた形になった。山下JOC会長らが「代理出席」の形である。他国も、五輪関係者は出席するであろうから、日本だけ特別に中国へ配慮したとは言えない。
日本は、政府高官の派遣中止によって米国と歩調をとることになった。中国は、日本が最後に選択すべき局面において、西側諸国を選ぶことを知ったにちがいない。韓国のように、恫喝すれば中国へ馳せ参じることはないのだ。日本の価値観は、欧米と共にある。
『中央日報』(12月24日付)は、「安倍元首相に会った後、北京五輪『外交的ボイコット』を発表した岸田首相」と題する記事を掲載した。
23日に安倍晋三元首相に25分間ほど会った岸田文雄首相が翌日、北京冬季オリンピック(五輪)「外交的ボイコット」を決めた。6日に米国が中国の人権弾圧を理由に外交的ボイコットを公式宣言して以降、岸田首相は「適切な時期に外交上の観点などを勘案し、国益の観点から自ら判断する」という言葉を繰り返してきた。21日の記者会見でも関連の質問に「今しばらく諸般の事情を総合的に勘案して判断していきたい」と慎重な立場を維持した。
(2)「来年が日中国交正常化50周年であるうえ、直前の夏季五輪開催国として政府高官級が誰も出席しないのは適切でないというのが、岸田政権内の雰囲気だった。外交的ボイコットの名分である中国の人権問題に対し、日本政府が制裁決議案に賛同しなかったという点も指摘された。したがって、今年7月の東京夏季五輪に中国から苟仲文国家体育総局長が訪日しただけに、政府組織上閣僚でないスポーツ庁の室伏広治長官(元ハンマー投げ選手)を派遣する案が検討された」
来年は、日中国交正常化50周年になる。現在の日中関係では、華やかな式典もないであろう。中国海警船によって、尖閣諸島の領海侵犯が頻繁に行なわれている現在、「祝賀」とはほど遠い雰囲気である。
(3)「24日に日本政府が発表した最終結論は、「政府関係者は一人も派遣しない」だった。前日、岸田首相は安倍元首相の議員会館事務室を訪れた。共同通信は「安倍元首相がこの席で外交的ボイコットを早期に表明することを要求したとみられる」と伝えた。北京五輪に政府使節団が1人でも行けば中国の人権弾圧を容認することになり、国際社会に誤ったメッセージを与えるという理由からだ」
日本が、米国の西側同盟国の一員である以上、西側の不信を買うような行動は慎まなければならない。韓国のような「二股外交」は、著しく国益を損ねるのである。
(4)「日本政界では、安倍元首相ら自民党内の強硬派の圧力に岸田首相一人では対抗できなかったという解釈が出ている。さらに現在推進しているバイデン米大統領との就任後最初の首脳会談を意識せざるを得なかったという分析もある。共同通信は「人権問題を理由に外交ボイコットを発表した米国や英国と協調する姿勢を示した形」とし「ただ、中国との関係を考慮して首相が直接発表せず、官房長官が発表する形をとった」と指摘した」
岸田首相は、早くから「私は出席しない」と明らかにしてきた。今年夏の東京五輪で、中国政府の代表は、序列のかなり低い「体育相」であった。日本政府が、神経を使うほどの高官でなかったのだ。中国も日本と「軽い付き合い」である以上、JOC会長らで釣り合っているのかも知れない。





