3月9日投開票の韓国大統領選に立候補した与野党の4候補は25日夜、テレビ討論に臨んだ。与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏は、ウクライナがロシアの侵攻を招いた原因と批判した。「初心者のウクライナ大統領による外交の失敗が、ロシアのウクライナ侵攻を招いた」と言ってのけたのだ。
これは、韓国与党や文政権に共通した見方である。文政権が、西側諸国と歩調を合せてロシア制裁に踏み切らないで、ぐずぐずしてきた背景が、図らずも李候補によって明らかにされた。韓国政府は、ロシアの侵攻を黙認している点で中国と同じ立場である。「親中ロ路線」に基づくものである。
『WOW!KOREA』(2月26日付)は、「韓国野党の尹錫悦大統領選候補『ウクライナがロシアを刺激したと言った李在明候補…国際的な恥さらし、無知の所産』」と題する記事を掲載した。
野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)は26日、与党「共に民主党」の李在明氏のウクライナ侵攻発言について「国際的な恥さらし」と批判した。尹候補はこの日、フェイスブックを通じて「不幸な経験をした他国を慰めるどころか、選挙に活用するために何でも言う姿は全世界の人たちの怒りを買っている」とこのように明らかにした。
(1)「続いて、「海外の有名コミュニティ『レディット』に我が国の大統領選討論映像が掲載された。李候補の発言が世界に知られ、これを非難する数多くの書き込みが掲載されている」と述べた。さらに「韓国の元法務部長官は『指導力が足りない元コメディアンの大統領』、現法務部長官は『アマチュア大統領』と他国の国家指導者を卑下する書き込みも掲載された」と指摘した」
李氏の発言は、海外でも批判を呼んでいる。韓国は、朝鮮戦争で同じ民族から戦争を仕掛けられた国である。それだけに、ウクライナに対して深い同情があってしかるべきである。それがなんと、侵攻してきたロシアの肩を持つという信じ難い発言をした。韓国与党が、「親中ロ」であることをはしなくも示すことになった。
こういう政権において、在韓米軍の持つ統帥権を韓国軍へ移譲することは極めて危険である。韓国政権が、北朝鮮軍の侵攻があっても韓国軍が統帥権を持っていれば、大統領命令で抵抗せずに屈服することも可能だ。南北統一が期せずして実現する。こういう悪夢が、進歩派の「親中朝路線」では現実化するはずである。韓国進歩派は、油断ならぬ存在であろう。
(2)「尹候補は、「ウクライナのゼレンスキー大統領は海外に行かず、首都キェフに残って決死抗戦を率いている。(李候補の発言は)ゼレンスキー大統領を支持した72%のウクライナ国民を愚弄している。ロシアの侵攻がウクライナのせいだというのも深刻な無知の所産だ」と述べた」
常識のある人間であれば、ロシアの肩を持つことは考えられないであろう。ロシアの存在を絶対視する韓国与党は、米韓同盟の存在を疎ましく思っているに違いない。
(3)「また、「他国の戦争を他人事とみなし、言葉だけで平和を叫ぶ政治家に我が国の未来を任せることはできない。自尊心が傷ついたウクライナ国民に大韓民国の大統領選候補として謝罪する」と付け加えた。これに先立ち、李候補は前日、中央選挙管理委員会が主管する2回目のテレビ討論で、ウクライナ侵攻について「6か月の初歩政治家が大統領になり、NATOが加入をしてくれとも言わないのに、加入を宣言してロシアと衝突した」と述べた」
今にも、ロシア軍の砲弾が飛んでくると恐れているウクライナ国民に対して、李氏の発言は、余りにも残酷である。朝鮮戦争を経験した国民が、言ってはならない発言である。